スプライス

スプライス

三連休の初日は二本、

まずは「スプライス」をみてきました。

評価:(35/100点) – ジャンルっちゃそれまでだけど、スピーシーズ過ぎ。


【あらすじ】

ベンチャー製薬会社で働く研究員のクライヴとエルサは遺伝子結合(=スプライス)の実験を進めていた。異なる性別のハイブリッド二体を誕生させることに成功した二人は、人間と動物とのハイブリッドを計画する。経営と倫理の両面から会社に却下された二人だったが、エルサは好奇心を抑えられず実験を行い、遂に新種のハイブリッドを誕生させてしまう。ドレンと名付けられたハイブリッドは急激に成長していった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> スプライス実験
 ※第1ターニングポイント -> ドレンの誕生
第2幕 -> ドレンの成長と会社
 ※第2ターニングポイント -> クライヴがドレンと関係を持つ。
第3幕 -> 結末。


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【感想】

今日の1本目は「スプライス」です。「CUBE」で鮮烈なメジャーデビューを飾りソリッド・シチュエーション・スリラーというジャンル自体にスポットライトを当てさせたヴィンチェンゾ・ナタリ監督の最新作です。
この手の映画にしては珍しく、結構人が入っていました。アメリカでは(転けたけど)拡大公開作品でしたので、関東2館というのが結構効いているのかもしれません。カップルもちらほら居まして、ちょっと不思議な客層でした。
予告に出てくるエイリアンを見るだに「スピーシーズ 種の起源」なわけですが、実際に見てみると似ているのはアイデアの出だしとクライマックス以降ぐらいで、中盤は結構違います。初めと終わりが一緒なら一緒じゃないかと言われればそれまでですが(苦笑)そこは「そういうジャンルなんだ」って事で出来るだけ気にしないようにしましょうw
(余談ですが昔「ライオンキング」がでた時に、「ジャングル大帝レオのパクリ」なのか「ジャングル・サバンナもの」というジャンルムービーなのかで友人と揉めたことがあります。 結論としては最初にパクッた作品は”パクリ”。パクリが2作以上出てきた場合は「そういうジャンル」に昇格するというものですw だからマトリックスやエヴァンゲリオンは既にジャンル。)
本作をどのジャンルに入れるかと言われれば、おそらく「SF・ホラー」に入ってしまいます。いわゆるエイリアンものですね。しかし今回のエイリアン・ドレンがモンスターかするのは最終盤です。それまではひたすら飼育観察の話が続きます。そのダルさたるや、、、。
本作で一番きついなと感じたのはエルサのキャラクター描写です。基本的に作品の進み方は一本調子で、エルサのワガママとヒステリーにクライヴが押し切られて転がっていきます。個人的な趣味で恐縮ですが、私、ヒステリー女が喚く映画があまり好きではありませんw 特にちゃんと報いを受けないでヒステリーしたもんがちになってる映画は苦手です。
結局本作はエルサで始まりエルサで終わります。エイドリアン・ブロディの秀逸な困り顔も相まって、エルサのワガママっぷりだけが際だってきます。もちろん表現していること自体はCUBEもカンパニー・マンもNOTHINGも同じで、「特定のシチュエーションにおかれた人間があたふた」することによって業を表現していきます。ただ、それ自体もそこまでオリジナリティのあるものではないため微妙なB級感だけが印象に残っています。

【まとめ】

ナタリ監督にしてはかなり”普通な”作品です。私もこの監督はかなり好きなので相当期待を持っていましたが、ちょっと今作は微妙な感じでした。あくまでもB級であるという前提で見に行くにはお勧め出来ますが、予告にあるようなモンスターホラーを期待するのは止めた方が良いです。

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記事の評価

2010年極私的ベスト20

てさて年も明けましたので上半期に次いで映画ブログの醍醐味2010年極私的ベスト&ワースト20に行ってみたいと思います!
全部書いちゃうとつまらないと思ったので10月~12月は敢えて月間まとめを省いていました(←手抜きじゃないですよ、、、たぶんw)。
実は最初は普通にベスト&ワースト10で行こうともおもったのですが、どうしても上も下も10作品に絞るのがきつかったのでゆるめに20作品を選んでいます。言い訳をするならば、上半期の映画は結構忘れているので不利ですw
もしよろしければDVDをレンタルするときにでもご参考いただければと思います。とはいえ完全に個人的なランクですので、趣味丸出しなのはご容赦くださいw

まずはベスト映画の方からいってみましょう、


第20位

upintheair
邦題 マイレージ、マイライフ
原題 UP IN THE AIR
監督 ジェイソン・ライトマン
出演 ジョージ・クルーニー/ヴェラ・ファーミガ/アナ・ケンドリック
https://qbei-cinefun.com/up-in-the-air/
ちょっと印象が薄くなってきています。でもなんか面白かったのと、ラストの電光掲示板の前で唖然とするクルーニーが最高だったのは覚えています。

第19位

outrage
邦題 アウトレイジ
原題 –
監督 北野武
出演 ビートたけし/椎名桔平/加瀬亮/三浦友和

https://qbei-cinefun.com/outrage/

たけし復活!!!って感じの大変愉快な映画でした。椎名桔平が最高。

第18位

the-secret-in-their-eyes
邦題 瞳の奥の秘密
原題 El secreto de sus ojos
監督 フアン・ホセ・カンパネラ
出演 リカルド・ダリン/ソレダ・ビジャミル/パブロ・ラゴ
https://qbei-cinefun.com/the-secret-in-their-eyes/
情熱のアルゼンチンからきたサスペンス大作はアカデミー賞外国語賞獲得。サスペンスよりも恋愛に着地させるところがさすがの一言。

第17位

district9
邦題 第9地区
原題 District9
監督 ニール・ブロムカンプ
出演 シャルト・コプリー
https://qbei-cinefun.com/district-9/
パワードスーツが出てくるまでの溜めとカタルシスが最高でした。だんだんエビが良い奴らに見えてくるのがポイントw

第16位

nordwand
邦題 アイガー北壁
原題 NORD WAND
監督 フィリップ・シュテルツェル
出演 ベンノ・フユルマン/ヨハンナ・ヴォカレク/フロリアン・ルーカス
https://qbei-cinefun.com/nordwand/
ひたすら鬱屈した感じの中に生まれる恋愛要素と男同士の信頼とが最高でした。

第15位

micmacs
邦題 ミックマック
原題 Micmacs a tire-larigot
監督 ジャン=ピエール・ジュネ
出演 バジル/ドミニク・ピノン/ヨランド・モロー/アンドレ・デュソリエ/ニコラ・マリエ
https://qbei-cinefun.com/micmacs-a-tire-larigot/
負け犬達のスパイ大作戦。スカした映像さえスルー出来れば超楽しい。

第14位

aneducation
邦題 17歳の肖像
原題 AN EDUCATION
監督 ロネ・シェルフィグ
出演 キャリー・マリガン/ピーター・サースガード
https://qbei-cinefun.com/an-education/
キャリー・マリガンの魅力全開。アイドル映画といわれればそれまでだけど、、、。

第13位

frozenriver
邦題 フローズン・リバー
原題 Frozen River
監督 コートニー・ハント
出演 メリッサ・レオ/ミスティ・アパーム/マーク・ブーン・ジュニア
https://qbei-cinefun.com/frozen-river/
やっと日本にきたサンダンス・グランプリ作品。田舎で女性が不幸になる話のある意味極北。

第12位

baaria
邦題 シチリア! シチリア!
原題 BAARIA
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
出演 フランチェスコ・シャンナ/マルガレット・マデ/ニコール・グリマウド
https://qbei-cinefun.com/baaria/
シチリア最高! イタリア最高! 内容が無いっちゃあ無いけど、所謂”人間賛歌”としてじっくり堪能できる。

第11位

2010y11
邦題 川の底からこんにちは
原題 –
監督 石井裕也
出演 満島ひかり/遠藤雅/相原綺羅/志賀廣太郎/岩松了
https://qbei-cinefun.com/sawako-decides/
上半期では1位にしたけどなんか、満島ひかりが結婚しちゃったからこの位置でいいやって感じw こういう良い映画を撮れると主演女優を口説けるのか、、、、。

第10位

2010y10
邦題 半分の月がのぼる空
原題 –
監督 深川栄洋
出演 池松壮亮/忽那汐里/大泉洋
https://qbei-cinefun.com/hanbun-no-tsuki-ga-noboru-sora/
こちらはまだ独身の忽那汐里主演作w BECKでは既に大人びていましたが、黒木メイサみたいな可哀想な位置にだけはならないように祈ってます。今思うと演出とか下手だったかもという気がするけど、見たときは滅茶苦茶楽しかったからベスト10に入れときます。

第9位

coraline
邦題 コララインとボタンの魔女
原題 Coraline
監督 ヘンリー・セリック
出演 ダコタ・ファニング/キース・デイヴィッド/ロバート・ベイリー・Jr/テリー・ハッチャー
https://qbei-cinefun.com/coraline/
最近BDで見直して改めて本作の異常性がよくわかりました。変だわ、この監督。でもそこが最高!

第8位

2010y08
邦題 ゾンビランド
原題 Zombieland
監督 ルーベン・フライシャー
出演 ウディ・ハレルソン/ジェシー・アイゼンバーグ/エマ・ストーン/アビゲイル・ブレスリン
https://qbei-cinefun.com/zombieland/
「ショーン・オブ・ザ・デッド」の二番煎じという話もあるけど、とにかく無類に面白いから気にしない。見ている間中「ヒャッハー!!!」な気分を味わえる快作。

第7位

2010y07
邦題 ヒックとドラゴン
原題 How to Train Your Dragon
監督 ディーン・デュボア/クリス・サンダース
出演 ジェイ・バルチェル/ジェラルド・バトラー/アメリカ・フェレーラ/クレイグ・ファーガソン
https://qbei-cinefun.com/how-to-train-your-dragon/
単体の映画としては「トイストーリー3」よりも上だと思いますが、個人的な思い入れの関係でこちらを下にしました。とはいえ間違いなく2010年のアメリカCG映画を代表する傑作であるのは間違いありません。

第6位

2010y06
邦題 トイ・ストーリー3
原題 TOY STORY3
監督 リー・アンクリッチ
出演 トム・ハンクス/ティム・アレン/ジョン・モリス/チャーリー・ブライト
https://qbei-cinefun.com/toy-story-3/
ということで、「トイ・ストーリー3」はここです。1作目の感傷込みでの位置なのでご容赦を。とにかく全編涙無しでは見られないほどキュンキュンきました。深夜回で見て本当によかったw

第5位

2010y05
邦題 モンガに散る
原題 MONGA
監督 ニウ・チェンザー
出演 イーサン・ルアン/マーク・チャオ/マー・ルーロン/リディアン・ヴォーン/クー・ジャーヤン
https://qbei-cinefun.com/monga/
こちらも無類に楽しい青春映画。たいして予算も掛かって無さそうだし、なんでこういうのを日本で撮れないかな、、、、と羨ましくなるほど良く出来ている。

第4位

2010y04
邦題 ぼくのエリ 200歳の少女
原題 Let the Right One In
監督 トーマス・アルフレッドソン
出演 コーレ・ヘーデブラント/リーナ・レアンデション
https://qbei-cinefun.com/lat-den-ratte-komma-in/
青春バンパイア恋愛映画。といってもトワイライトみたいな適当さではなく、きちんとヴァンパイアはヴァンパイアとして生きている。ジャンル映画としてもちゃんとしているし、心と心の交流映画としてもちゃんとしている。つまり結構最強の部類。特にラストのプールでのシーンは本当にテンション上がりました。年間でも屈指の名シークエンスです。

第3位

sankaku
邦題 さんかく
原題 –
監督 吉田恵輔
出演 高岡蒼甫/田畑智子/小野恵令奈
https://qbei-cinefun.com/sankaku/
上半期の予告通り大幅にジャンプアップ!!! 少ない登場人物の中でよくぞここまで盛り上げた。小野恵令奈はAKB48脱退の後でいろいろと面白いスキャンダルばっかで株暴落中ですが、映画の輝きは色あせない。俳優は高岡さんのダメチンピラっぷりとか田畑さんの幸薄そうな感じとか最高でしたw







第2位

2010y02
邦題 キック・アス
原題 KICK-ASS
監督 マシュー・ヴォーン
出演 アーロン・ジョンソン/クロエ・グレース・モレッツ/ニコラス・ケイジ/マーク・ストロング
https://qbei-cinefun.com/kick-ass/
アメリカの春休み映画として評判は伝わっていたものの、日本公開されてみればこの圧倒的な面白さ。細かい事は良いのでとにかく見るべし。あ、ヤマト復活篇の原案をやってた○原某のせいで邦訳漫画も非実在青少年として発禁になりそうなので今のうちに買っておくべし。







第1位

2010y01
邦題 十三人の刺客
原題 –
監督 三池崇史
出演 役所広司/稲垣吾郎/市村正親/山田孝之
https://qbei-cinefun.com/13-assassins/
三池崇史最高!!!! Woooooooooowwooooo!!!!
で終わらせても良いくらい最高の娯楽超大作。日本映画でトップなのは間違いないんですが、キックアスとどっちを上にするかで迷いましたw どっちが印象に残ったかなと思ったときに、やっぱり好きなのは「みなごろし」だったんです。あれが2010年の映画のベストシーン。

ということで、極私的2010年ヒャッハー映画のトップは「十三人の刺客」です。まじ最高でした。なんか物凄い勢いで下半期の映画が軒並み上位に来てしまったのですが、その辺は印象とか記憶力とかいろいろあるので、、、すみません。

2010年映画館で見たのは一般公開の新作映画を211本、旧作映画を2本(恋する幼虫/中身刑事)、東京国際映画祭を7本、計220本でした。ワールドカップがあったりオリンピックがあったり浮気がちな年でしたので結構取りこぼしてしまいました。
輸入DVDで見た映画をいれるとトップ10にラース・フォン・トリアーの「アンチ・クライスト」とか入って来ちゃうんですが、それは来年にとっておきますw

おっと、大切な一作を忘れていました。2010年はどうしても外せない伝説級の一作がまだありました。







☆☆☆殿堂入り☆☆☆

2010y00
邦題 エクスペンダブルズ
原題 The Expendables
監督 シルヴェスター・スタローン
出演 シルヴェスター・スタローン/ジェイソン・ステイサム/ジェット・リー/ドルフ・ラングレン/ランディ・クートゥア/テリー・クルーズ/ミッキー・ローク/エリック・ロバーツ/スティーブ・オースティン/ゲイリー・ダニエルズ/デイヴィッド・ザヤス
https://qbei-cinefun.com/the-mechanic/
映画の出来とか細かいことは気にするな!!!! こんだけの漢達が出ているんだからつまんないわけがないだろ!!! 実はすでに輸入盤のDVD/BDのコンボセットを買って家でウヒウヒ良いながら見てますw
これぞお祭り映画。これぞオールスター。

ではでは、下の方のピース・オブ・クラップ達はまた後ほどw

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記事の評価
エリックを探して

エリックを探して

本年の初映画は

「エリックを探して」です。

評価:(55/100点) – 可もなく不可もない良い湯加減のタレント映画


【あらすじ】

エリック・ビショプは離婚歴2回の冴えない郵便配達員である。二番目の妻の連れ子2人を育てながら、今日も愛すべきマンチェスター・ユナイテッドを熱狂的に応援している。同居する息子2人は共に反抗的で、最初の妻・リリーとの間の娘・サムとは良好な関係である。
ある日、エリックは交通事故を起こしてしまい、心配した職場の仲間達はあの手この手でエリックを笑わし励まそうとする。仲間の一人・ミートボール主催の自己啓発会で、エリックは尊敬する人物に大好きなマンUのFWエリック・カントナを挙げ、彼に見守られている自分を想像する。その夜、自室のカントナのポスターに話しかけていたエリックが振り返ると、そこにはカントナが居た、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> エリックの事故と娘。
 ※第1ターニングポイント -> カントナが現れる。
第2幕 -> カントナの助言とリリー。
 ※第2ターニングポイント -> ライアンの部屋から拳銃が見つかる
第3幕 -> オペレーション・カントナ。


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【感想】

明けましておめでとうございます。今年は釣りバカ日誌みたいな定番プログラムピクチャーが無くて寂しい限りですが、とりあえず「エリックを探して」を見て来ました。1月2日にしてはというとあれですが、結構なお客さんが入っていました。箱根駅伝を見終わった後に夕方の早い回でみたのですがちょっと映画館の人の多さにびっくりです。
肝心の作品の方ですが、本国フランスでは昨年・春公開の映画です。エリック・カントナ本人がプロデューサーに名を連ね、監督にはイギリスの名職人ケン・ローチが起用されています。正しい意味での最上級な”俺様映画”であり、さすがキング・カントナって感じの規模です。ちなみにカントナを分かりやすく説明するならば、スケールを100倍ぐらいでかくした野球の清原みたいな人ですw
カントナがプロデューサーで自身を「人生の救世主」として登場させる辺りがカントナ・ファンにはビンビン響くのですが(笑)、そういった前提が無いと結構分かりにくいかも知れません。カントナが随分男前なヒゲを生やしていたので、最初出てきたときはアビシェーク・バッチャンかと思ったりもしましたがボリウッドファンにしか伝わらなそうなので止めときますw
とまぁ布陣からして完全なタレント映画なわけですので、細かいツッコミは野暮な気がします。
前半のダメ人間エリックが徐々に自身を取り戻していくあたりはかなり微笑ましく見られますし、特にカントナと2人で川辺をジョギングするシーンは絶品です。へたれ感がビンビンのエリックのジャンプは最高に爆笑できます。ただどうしても後半、息子とギャングの話が始まった辺りから失速していきます。コメディではあるものの、どうしても適当過ぎるギャングの描き方にどうかと思う部分がかなりあります。とはいえ、完全に素人である郵便配達員達が懲らしめられるレベルを考えればある程度は仕方が無いレベルなのかなとも思います。実際問題として本作はコメディですから、あんまりシリアス方向に触れないようにするには良い湯加減だとは思います。
そういった意味では非常にお正月向きな映画ですw 適度な適当さと、適度な”良い話”感。そして2時間以下の適切な上映時間。半年遅れの公開ではありましたが、お正月公開するにはうってつけのフィルムだったと思います。
ということで、明治神宮や川崎大師に初詣に行った帰りにふらっと入るにはなかなかの選択肢だと思います。オススメします。

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記事の評価
シチリア! シチリア!

シチリア! シチリア!

今年最後の映画は

シチリア! シチリア!」です。

評価:(95/100点) – 感傷と郷愁の”胡蝶の夢”


【あらすじ】

ペッピーノはシチリアに生まれ、幼少時に第二次世界大戦を経験した。終戦のどさくさで大金を手に入れるが乳牛の生産に失敗して貧乏に戻ってしまう。彼の唯一の救いはイタリア共産党の仲間達。彼はやがて美しいマンニーナと恋に落ち、家庭を持ち、自身も政治家を志すようになる、、、。


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【感想】

今年(たぶん)最後の映画は「シチリア! シチリア!」です。「ニュー・シネマ・パラダイス」でお馴染みの、ジュゼッペ・トルナトーレ監督とスパゲッティ・ウェスタンの巨魁エンニオ・モリコーネのコンビ作品です。公開から日は経っていますがかなりお客さんが入っていました。
元も子もない言い方をしてしまいますと、本作は完全な雰囲気映画です。その雰囲気の作り方がもの凄い事になっています。
メインストーリーは家族愛もので、どうしようもないヘタレな男が共産主義に傾倒していき、そして夢を追って政治家になろうとします。彼の家族は仲睦まじく、三人の子供と優秀な妻、そして妻の母の6人で幸せに暮らします。でもそれだけです。後は特にどうという話もありません。劇的な何かがあるわけでは無いですし、特別なにかを表現しているわけでもありません。一番近いのは「ものすごく良く出来た三丁目の夕日」でしょうか。
ただその雰囲気自体はとても普遍的に見えますし、少なくとも「シチリア」=「ゴッドファーザー」「エトナ火山」ぐらいの知識しか無い私でも(苦笑)それなりにグッとくるものあありました。強いて言えば多少ラストで”ぶつ切り感”がありますがそこまで気になるものでもありません。音楽と相まって良い雰囲気に浸りたい場合にはベストチョイスな映画です。かなり良い感じの雰囲気映画だったので、今年の映画鑑賞はこれで締めにしようかと思っていますw
とか言いつつ明日はキック・アス3回目(BD鑑賞入れると7回目)にふらっと行きそうですけどねw

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モンガに散る

モンガに散る

天皇誕生日は

「モンガに散る」を見ました。

評価:(97/100点) – 台湾発の熱き青春任侠映画


【あらすじ】

かつて台湾一を誇った港町・モンガに引っ越してきた高校性のモスキートは、初登校で早くも悪大将のドッグに目を付けられてしまう。しかしモスキートはドラゴン率いる四人組に助けられる。ドラゴンは地元モンガで有力なヤクザ・廟口のゲタ親分の一人息子だった。仲間として受け入れられたモスキートは、やがて四人と義兄弟の契りを結ぶ。面倒見の良いゲタ親分の元、5人は任侠として親交を深めていく。
一方その頃、モンガは中国大陸のヤクザ達に狙われていた、、、。


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【感想】

昨日は一本、「モンガに散る」を見て来ました。実は東京国際映画祭で当日券目当てに朝6:00から並んだのに見られなかった因縁の作品ですw 台湾では今年の2月5日に公開され、今年の観客動員数でトップを記録しています。客席も中高年を中心にそこそこ入っていました。
本作を一言で表すならば、「青春群像劇と任侠映画の融合」と言ったところです。母子家庭で育ちいじめられっ子で友達もいないモスキートが4人の親友を得て奮起し、彼らのために命を賭けて友情を守り通そうとします。そこに売春婦との不器用なラブストーリーや母親への愛、ゲタ親分への忠誠心が加わって物語は驚異的なカタルシスと共に進行していきます。
いつも部室(←実際は倉庫ですがあえて呼びます)に入り浸っては酒やテレビゲームに明け暮れ、彼らは友情と義理を深めていきます。その描写が幸せであればあるほど、そしてそれが儚ければ儚いほど、仲間の一人が暴走していく過程がひどく寂しく見えてきます。
この映画を見て思うのは、あまりにも映画としての出来が良すぎるというか、とにかく友情物語としての圧倒的な説得力と完成度です。日本でやったら間違いなく悶え合うだけの出来になってしまうところを、物凄く的確でテンポの良い演出で描いていきます。モンクがああいった行動をするのは彼が頭が良く先が読めすぎてしまうからであり、モンキーが単独で動くのは彼の正義感となにより祖父と二人暮らしであり家族の大切さを最も良く知っているからです。ドラゴンが終盤でああなってしまうのは彼が甘やかされて育った”王子様”だからであり、モスキートが先頭に立つのは彼には友情とゲタ親分という”父親代わり”の存在があまりにも大きすぎるからです。そしてアポが最後まで逃げ惑うのも彼がお調子者のムードメイカーだからです。全ての行動が的確にキャラクターを表しており、それによって奇跡的なまでの実在感を獲得しています。そう、彼ら5人は確かにそこに存在しているんです。そして、大陸から来た侵略者達によって踏みにじられようとしている「古き良きモンガ=義理人情の世界」を必死に信じ守ろうとするこの5人の若者が悲劇を起こしていくわけです。
本作は単純に友情や義理人情の熱血映画というだけではなく、そこにノスタルジーまでプラスされた叙情的で美しい世界を築き上げています。いつまででも見ていたいような、しかし壊れることが必然であるように儚い世界によって、140分が一瞬で過ぎていきます。
公開規模がかなり小さいですが、絶対にチェックしておいた方が良い作品です。オススメっていうよりは必見です!!

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キック・アス

キック・アス

本日は満を持して

キック・アス」を見ました。

評価:(100/100点) – 男は思い立ち、調子に乗り、挫折し、決意を胸に真の英雄になる!!!


【あらすじ】

コミックオタクで冴えないデイヴ・リズースキーは思い立ち、ebayで買ったコスチュームと靴を身につけヒーロー・キックアスになった。彼はパトロール中に偶然遭遇した車上荒らし達を止めようとするが、返り討ちに会ったあげく、朦朧としたところを車に撥ねられて全身を骨折してしまう。しかしそんなことで彼のヒーロー熱は冷めなかった。神経麻痺により痛みを感じなくなった彼は、生まれ変わったヒーロー・キックアスver2としてギャング達に襲われた男を助け、一躍スターになる。
そんな彼はある日意中の彼女・ケイティからヤク中の男に付きまとわれていると相談を受ける。キックアスの衣装に身を包み、意気揚々と男のアジトへと向かうデイヴだったが、、、、。。

【三幕構成】

第1幕 -> キック・アスの誕生と挫折。
 ※第1ターニングポイント -> キック・アスが人気者になる。
第2幕 -> ビッグダディとヒットガール。
 ※第2ターニングポイント -> ビッグダディが殺される。
第3幕 -> 復讐。


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【感想】

本日のレイトショーは満を持して「キック・アス」です。マーヴェルのアイコン・レーベルから発売されたコミックスが原作ですが、連載当初から映画化を前提に作られていたため、どちらが原作というよりは同時制作のような形になっています。アメリカでの評判や9月の「第3回したまちコメディ映画祭in台東」での先行上映の大評判ぶりからか、連日TOHOシネマズ川崎ではソールドアウト状態でまったくチケットがとれなくなっています。今日もレイトショーだというのに一列目以外は完全に満席でした。

話の概略

本作は一応カテゴリとして「コメディ」となっていますが、笑える要素が多いというだけで内容自体はいたってシリアスかつ王道なヒーローものに仕上がっています。作中では何度もバットマンやスパイダーマンを意識した台詞が登場します。つまり、この作品内では現実の私たちと同じように「ヒーローもの」の映画やコミックがあって、そういった内容を前提とした上で「ヘタレなオタクが真のヒーローになるまで」を重たいテンションと残酷な描写と、そして時折混じる笑いによって手際よく描いて見せます。
本作の主人公・デイヴはごく平凡で冴えない学生です。彼は毎日オタク友達と漫画カフェに入り浸り、女友達もいなく、バカ話をして過ごしています。そんな彼がガッツだけでスーパーヒーローになっていくわけです。そこには当然血も流れますし、苦悩も経験します。悪者達を華麗で無邪気に殺すヒットガールを目の前にして、彼は恐怖し一度はヒーローになることを捨てようとします。しかし暴力の連鎖は止まらず、マフィアとビッグダディ達との抗争に嫌でも巻き込まれてしまい、ついには逃げられない状態にまで追い込まれます。当初気軽にヒーローを目指していた彼は、スパイダーマン・ピーター・パーカーの台詞である「力には責任が伴う」と言う言葉を引用し、「力が無くても責任はあるんだ」と考えるに至ります。そして平凡な彼は、精一杯の正義感と勇気でもって、ついには真の意味でスーパーヒロイン・ヒットガールの相棒になります。
この物語は、私たちと同じ平凡な人間が「ヒーローになりたい」という無邪気な夢から調子に乗ってしまったことで本物の復讐劇に巻き込まれ、やがては挫折や痛みを知って真のヒーローに生まれ変わるまでを軽やかで残虐で誠実に描きます。本作は英雄譚であり、そこにはマッチョもスーパーマンも超人も居ない、平凡な人間達のあがきと苦悩とそして最後に訪れる真のヒーローへのカタルシスが詰まった大傑作です。

原作グラフィックノベルについて

原作グラフィックノベルは小学館集英社プロダクションから邦訳版が出ています。2008年2月から2010年2月まで全8冊の小冊子で刊行されたコミックスをまとめたものです。実際にグラフィックノベルと映画を比較すると、プロットはほぼ一緒でもまったく内容・印象が異なる作りになっています。
グラフィックノベル版と映画版の決定的な違いは、デイヴの性格設定とビッグダディ達の動機付けの部分です。
グラフィックノベル版ではデイヴはギーク特有の嫌味で根暗な部分が前面に出てきます。グラフィックノベルにおけるデイヴは、正義のために立ち上がるというよりはむしろ名声や優越感のためにヒーローになりたがります。彼が明確に「正義」を意識して行動を起こす場面は、火事に遭遇する第5話の1カ所のみです。このため、全体を通して自虐的で選民的な、感じの悪いオタク少年の自己憐憫が中心になります。
そしてビッグダディの部分です。こちらは映画版とはまったく異なります。ビッグダディはただのコミックオタクであり、自身がヒーローになるために勝手にストーリーを妄想してギャングに突っかかっていきます。そしてその自分の夢に娘を巻き込みます。こちらの設定は本当に救いやカタルシスがありません。ビッグダディはダメ人間のままで死にますし、デイヴも流されるだけ流されて手ひどい目に遭います。ただ、唯一ヒットガールにとっては、「親の敵討ち」という父の妄想が現実になるわけで、そこでまさに漫画的なヒロインに”一瞬だけ”なります。しかしヒットガールは何を得るでもなく鬱屈した日常へと戻っていきます。
グラフィックノベル版におけるテーマを考えるとすれば、それは「ヒーローなんて居るはずがない」という現実と絶望であり、しかしその一方で時折奇跡的に「ヒーローになってしまう瞬間がある」という幻です。
一方、映画版においては作りがぐっとシンプルかつエンターテイメント寄りになっています。ビッグダディ達とフランク・ダミコ・ファミリーの抗争や因縁は本物ですし、その中でキックアスが右往左往して巻き込まれながらも真のヒーローへと成長するのも本当です。そしてヒーローもののお約束であるヒロインとのラブロマンスもあります。これは「整理した」というよりは「エンターテイメントとして再構成した」と言った方が近いかも知れません。原作ファンには「原作の鬱屈した感じが無い」と言われてしまうかも知れませんが、私は映画版のストーリーの方が好きです。

【まとめ】

全男子必見のヒーロー・ムービーです。冒頭のモノローグで「一度は考えたろう?スーパーヒーローになりたいって。」というデイヴのセリフがあります。そう、私たちは子供の頃には誰もがウルトラマンになりたかったし仮面ライダーになりたかったはずです。でも当然現実にはなれるわけもないですし、実際に悪党(※例えばヤクザ)を敵に回したらとんでもないことになるんです。本作の主人公は、ヒーローになるためにひたすら根性で歯を食いしばります。ヒーローが実在した場合に起こりうる「悪党を惨殺する」という恐怖に駆られ、そしてその責任の重さを実感し、しかし彼はそれでも正義を信じて立ち上がります。これは「もし現実にヒーローが存在したら」という私たちが一度は夢見たことのあるファンタジーに現実を突きつけた上で、それでももしかしたら居るかも知れないという希望を残す堂々たる「英雄誕生譚」です。
是非劇場の大きなスクリーンでご鑑賞下さい。タイツを着たヒーローが苦手な人でも絶対に見て損はありません。近年稀に見る少年の成長物語の大傑作です。オススメです!

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記事の評価
シュレック フォーエバー

シュレック フォーエバー

今日は

シュレック フォーエバー」を見て来ました。

評価:(60/100点) – さすがの安定感だが、予告で全部見せすぎ。


【あらすじ】

シュレックはフィオナとの間に三人の子供を作り、幸せな生活を送っていた。しかし国の人気者という立場、父親という立場にどうしても物足りなさを感じてしまう。子供の1歳の誕生パーティでシュレックは遂に癇癪を起こしてしまい、フィオナから呆れられてしまう。一人パーティ会場を飛び出したシュレックは帰宅途中に馬車に下敷きになった男を助けるが、彼こそが悪名高き魔法使い・ランプルスティルスキンであった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> シュレックの平和な日常。
 ※第1ターニングポイント -> シュレックが契約書にサインする。
第2幕 -> シュレックとパラレルワールド。
 ※第2ターニングポイント -> オーガ達が捕まる。
第3幕 -> オーガ達の救出と結末。。


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【感想】

本日は「シュレック フォーエバー」を3D吹き替えで見て来ました。お客さんはまったく入っておらず250人の箱に一桁でした。比較的子供向けなアニメのレイトショーとしてはこんなものだと思います。

「シュレック」シリーズの意義と立ち位置

おなじみ有名なおとぎ話の主人公たちをブラックジョークのパロディにするシュレックですが、今回はグリム童話の「ランプルスティルスキン」がターゲットです。日本ではあまり馴染みのない話で、こちらのウィキペディアでは元ネタのドイツ語読みで「ルンペルシュティルツヒェン」となっていました。私は童話はわりと好きなほうなんですが、この話はまったく知りませんでした。
とはいえ本作の話自体にはあまり関係がありません。あくまでもディズニーが提唱する「夢と魔法の国」に悪意を剥き出しにした「夢もへったくれもない国」というブラックジョークの一要素です。
そうです。そもそもからしてこのシュレックというシリーズ自体が、アンチ・ディズニーという思想を前面に出した大人の悪ふざけ&ちょっぴり私怨のこもった作品です。何せ、元々80年代後半から90年代前半にディズニーの第二次黄金時代を引っ張ったジェフリー・カッツェンバーグが15年来の盟友マイケル・アイズナー社長に追い出されてスピルバーグやゲフィンとドリームワークスを作ったのが始まりですから。そしてアイズナーの暴走で「美女と野獣3」だの「ライオン・キング2」だのとふざけたOVAを作ってズタボロになったディズニーにトドメをさしたのが、2001年の「シュレック」です。「ドラゴンに捕まった眠り姫を救う運命の人」というこれ以上ないほどベタで「ディズニー的な」夢と魔法のプリンセスストーリーを見事に脱構築して見せ、あまつさえ「美醜の問題」「異種族間の恋愛」にまで完璧に納得せざるを得ない回答をずばっと出して見せた結末は、まさにディズニーとは違った角度からの「良質で道徳的な長編アニメーション」そのものでした。
「シュレック」が公開される2ヶ月前ですらディズニーは「わんわん物語2」なんぞ出してるわけですから、そのレベルの差はもう歴然だったわけです。
ご存じの通りこの「シュレック」を決定打にして、ディズニーは完全に経営難に陥ります。2005年にはアイズナーが辞任、直後にピクサーを買収、ディズニーの再建はジョン・ラセターに託されます。そして一昨年2008年に完全ラセター体制で作った「ボルト」によりディズニーは完全な復活を遂げます。
つまり、「ディズニーが迷走していた時期に登場した、ディズニーアニメに匹敵するレベルの大人も見られる長編劇場アニメ」としての「シュレック」シリーズは本家ディズニーの完全復活によって一旦その役割を終えたわけです。本作はそういった環境の中で発表されたシリーズの締めくくりであり、10年続いたシリーズへの供養でもあります。
そんな今作は、よりにもよって「パラレルワールドに迷い込んだシュレックが日常を取り戻そうと奮闘する」ストーリーです。考えすぎだとは思いますが、どうしても見ている間中ずっとこの「日常」と「パラレルワールド」との対比がそのまま「ディズニー・アニメ」と「ドリームワークス・アニメ」に見えて仕方がありません。見慣れているが故に当たり前になってしまった「ディズニー・アニメ」が、おとぎ話のパラレルワールドとしての「シュレック」に取って代わられるが、結局本家のすばらしさを再認識して「ディズニー・アニメ」へと回帰していく話。この構図だと「シュレック」が悪いみたいになってしまいますが(苦笑)、どうしてもこういった「ディズニーの完全復活に対する祝辞」に見えてきます。特にカッツェンバーグからしたら、アイズナーこそ憎けれど、古巣であり自らが黄金期を作り上げたディズニーやアメリカ・アニメ業界には相応の愛着があると思います。しかも本作の最後は一作目に回帰してくるわけです。いうなれば「ライバルの完全復活を素直に祝ったうえで、改めて宣戦布告している」のが本作です。それだけで十分に熱い話では無いでしょうか? 6割ぐらいは3Dメガネの疲労感で私が見た妄想かも知れませんけれどw

宣伝に対して思うこと

本作は内容だけを見れば文句なしの良作です。そりゃ多少ドタバタとせわしない印象もありますが、過去作のファンへの感謝をこめたキャラクターものとしては十分に満足出来る内容です。ただ、私は本作を見るのにどうしても抵抗がありました。というよりも「軽い失笑感」とでも言うべき嫌な感じがするんです。その要因は間違いなく本作の宣伝手法です。「ヒックとドラゴン」を見た際に、「シュレック フォーエバー 特別予告」なるものが劇場で流れていました。こういった特別予告自体はよくあるのですが、藤原紀香が出てきて二言三言しゃべった後に流れる予告編は完全に内容をすべてダイジェストで見せていました。「クライマックスは劇場で!」と藤原某が言った瞬間に「クライマックス手前まで見せたのかよ!!!」と突っ込んだのは私だけでは無いはずです。でまぁ実際に本作を見てみると、本当にラスト2分くらいまでを全部見せているわけですw この宣伝姿勢から見える作品への敬意や愛のなさと、そして質を無視した芸能人テンコ盛りな吹き替え陣が、間違いなく本作の価値を目減りさせています。
幸い何カ所かでは字幕版も公開されていますから、もし本作の宣伝に抵抗があるかたはそちらを選ばれた方が良いかもしれません。さすがに4作目なのでもう慣れましたが、それでも主役2人含めて違和感の多い吹き替え陣です。あまりにも山寺さん一人が上手すぎてドンキーの早口長台詞が浮いちゃってますしね。

【まとめ】

本作はシュレックのフィナーレに相応しいキャラものファンサービス満載の作品です。それだけに鑑賞にあたりシリーズを全てチェックしていることは前提になっています。是非子供連れで冬休みにご覧になっては如何でしょうか? 今年の洋画系冬休み映画はチェブラーシカとこれぐらいしか子供向けがありませんから、十分に選択肢に入ってくる良作だと思います。

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最後の忠臣蔵

最後の忠臣蔵

本日は1本、

最後の忠臣蔵」を観てみました。

評価:(60/100点) – 真っ当な作りだけど、面白いかは別問題。


【あらすじ】

赤穂四十七士の最後の生き残り・寺坂吉右衛門は遺族達を訪ねて生活の支援をしていた。16年を掛けて全ての遺族を訪ね終えた吉右衛門は、四十七士の十七回忌の法要のため京都の進藤長保の元を訪れる。その道中、彼はかつて討ち入り前夜に逐電(=脱走)した瀬尾孫左衛門によく似た人物を見かける、、、。


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【感想】

本日は一本、「最後の忠臣蔵」です。お客さんはお年寄りが中心でしたが、あまり入っていませんでした。原作は池宮彰一郎で、一度NHKで連続ドラマになっています。私は原作、ドラマ共に未見でした。
本作の話の内容自体は予告で全て語られます。なので、予告編を見れば十分です。オススメDEATH!!!!。




で終わるのもなんなので、ちょっとだけ書きますw
劇中繰り返し出てくる「曽根崎心中」があんまり関係無いとか、キャラも話も薄すぎるとかいう嫌いはあるのですが、全体的には結構よく出来ていると思います。ただ、良く出来ているといってもそれは「告白」的な意味で良く出来ているという感じです。どういうことかというと、それはあくまでも演出的な格好良さ・大作感が前面に出ているだけということです。
この話は世間から臆病者と罵られながらも生き抜いてきた孫左衛門の忠義の話であり、それには明確に「可音をしかるべき家に嫁がせる」というゴールが設定されているわけです。そしてこのゴールへの回答は、開始20分くらいに豪商のお坊ちゃん・茶屋修一郎が一目惚れする事で示されるわけです。後は「可音が嫁ぐ気になるかどうか」と「孫左衛門が隠している秘密とは?」という2点で1時間を引っ張ります。
後者については、予告の時点から散々見せられていますのでもはや引っ張りにはなりません。「だって内蔵助の隠し子でしょ?」というのは映画を見に来た全員が知っている事です。そして前者については、ものすごくあっさりと解決されてしまいます。映画の時間にして約3分。孫左衛門が可音とちょっと喋って終わりです。なので、この映画は非常に予定調和的に話が進んでいきます。そこには驚きや興奮はありません。私たちが予告を見て想像したまさにそのことが、たっぷりと間をとった演出でゆったりと語られます。
ですから、良い映画かどうかと聞かれれば「かなりまともな映画ですよ」と答えますが、「面白いですか?」と聞かれたら、、、、、お察し下さいw
元からしてそこまで盛り上げづらい題材ではあります。せめて討ち入りの回想をもっと豪華にするとか、所々で吉右衛門と孫左衛門の過去エピソードを入れるとかいう工夫があれば、もうちょい話の推進力を保てたかなと思います。
もちろん桜庭ななみが好きで好きでしょうがなかったりですとか、役所広司が好きで好きでしょうがないといった事情があれば興味も続くかとは思いますが、後半は結構睡魔との戦いでした。
チェックして置くに越したことは無い作品ですが、前夜にはたっぷり休息とカフェインを取って見に行くのがオススメです!!!

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