ルドandクルシ

ルドandクルシ

本日の二本目は

「ルドandクルシ」です。

評価:(60/100点) – バカ兄弟が調子をこく話


【あらすじ】

ベトとタトはメキシコ郊外のバナナ園で働く兄弟である。ある日彼らの町にサッカー選手のスカウトを仕事とするバトゥータ(指揮者)と名乗る男が訪ねてくる。彼はタトをスカウトし、メキシコシティへと連れて行く。FWととして一軍入りしたタトを見て、バトゥータは兄のGKベトもスカウトする。こうしてベトとタトの兄弟はそれぞれルド(頑丈)とクルシ(自惚れ屋)として人気選手になっていく。しかし兄はギャンブル、弟は女性に嵌り、身を崩していく、、、。


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【感想】

本作はメキシコの新会社「チャ・チャ・チャ・フィルム」の初作品です。この制作会社を立ち上げたのは「アルフォンソ・キュアロン(ハリー・ポッターとアズカバンの囚人の監督)」「アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(バベルの監督)」「ギレルモ・デル・トロ」とメキシコのトップ監督3人です。特に私はヘルボーイとパンズ・ラビリンスでギレルモ・デル・トロの大ファンになっていますので、これはもう駆けつけるしかないというわけです。

本作のプロット

本作のプロットは予告編でほぼ全部流れています。田舎で暮らすバカな兄としっかり者の弟が都会で人気者になって調子に乗りまくり、結局は挫折を味わいます。作品中では兄のルドが本当にどうしようもなく描かれまして見ててイライラするレベルです。一方の弟・クルシは本当に可愛そうで、どっちかというと悪女に嵌って遊ばれてしまう被害者です。ところがそこはメキシコ映画、互いに「母への愛」「家族への愛」が人一倍強くダメダメなのにちょっとハート・ウォームな感じに着地します。
私はカルロス・キュアロン監督を存じ上げていないのですが、描き方で工夫しているなと思う部分が随所にありました。
一番初めに気付くのは、ロクにサッカーのシーンを映さないことです。本作ではルドとクルシは最初から天才という設定です。ところが当然両方とも俳優さんなのでそんなスーパープレーは出来ませんし、すぐにボロが出てしまいます。そこでプレー映像をほとんど映さず、実況や観客席の様子で適当に流します。これは結構良くも悪くもとれる手法で、よく言えば上手いごまかしなんですが悪く言えばサッカーがまったく描けていないとなります。でもCGを使っていかにもな画を撮られるよりはマシだと思います。
次にストーリーの構成です。ルドとクルシは中盤には早くも身を崩し始めるのですが、これが決定的になるのが妹が麻薬王と結婚する場面です。両者の共通の目的だった「愛する母のために家を建てる」というのが婿様にあっさり達成されてしまい、両者が母への愛を証明する機会を奪われてしまいます。そしてこの機会損失と同時に両者が決定的に追い詰められます。この流れは絶妙です。
とまぁ巧さは目立つのですが、最終的には微妙な印象を持ってしまいました。やはりサッカーシーンの弱さがありますし、何より元から天才っていうのがスポ根的な意味で残念な感じです。結局この一連の物語を通して二人に「何が残ったのか」or「何を得たのか」っていうところがあまり分かりません。ただ「調子に乗って挫折した」という事実を見せられるだけなので、ドラマがあんまり残らないんです。ルドもクルシも魅力的なキャラクターなので、もっと転がせたのではないかと思います。

【まとめ】

ルドもクルシも本当にキャラクターが立っていて、役者さんはすばらしい演技を見せてくれます。PKを使った伏線の張り方もベタベタですがちゃんとしています。それだけにあまり突き抜けていない作品というか、安定したエンターテインメント感を強く感じました。ハリウッド的と言ってしまっても良いかもしれません。もっとはじけたメキシコ映画を想定していたので思いのほか普通でビックリしました。オススメはオススメなんですが、単館映画ですのでDVDが出てからでも良いかもしれません。
わざわざ遠出してまで見るほどでは無いと思います。

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