マイレージ、マイライフ

マイレージ、マイライフ

2本目は、ゴールデングローブの脚本賞を獲りました、

マイレージ、マイライフ」です。

評価:(90/100点) – 大人になるって、悲しいことなのかもね、、、。


【あらすじ】

ライアン・ビンガムはやり手の解雇通告人である。彼は依頼の来た会社に出向き人事担当に変わってリストラを穏便に通告していく。仕事で毎日のようにアメリカ中を横断する彼にとって、飛行機こそが「我が家」であった。ある日、新入社員のナタリーはビデオチャットで解雇を告げるシステムを会社に提案し、出張経費の削減を図ろうとする。これに反対したビンガムに、会社は彼女を実地研修のため出張に同行させるよう命じる。こうして、ビンガムとナタリーの解雇通告の長期出張が始まった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ビンガムの仕事風景とアレックスとの出会い。
 ※第1ターニングポイント -> ナタリーが出張に同行するようになる。
第2幕 -> ビンガムとナタリーの仕事。そしてビンガムとアレックスの恋愛。
 ※第2ターニングポイント -> ビンガムの妹の結婚式が終わる。
第3幕 -> 結末。


[スポンサーリンク]

【感想】

さて、残念ながらアカデミーは無冠に終わりましたが、ゴールデングローブ脚本賞を獲りましたマイレージ・マイライフです。監督は「ジュノ」のジェイソン・ライトマン。「ゴースト・バスターズ」で有名なアイヴァン・ライトマンの息子です。主演は大根役者ながら人の良さがにじみ出ているジョージ・クルーニー。ちなみに私はジョージ・クルーニーが大好きです。夜の早い回で見ましたが、かなり観客が入っていました。それでも大箱では無いのが残念です。
本作の原題は「Up In the Air」で、直訳しますと「空中を漂う」となります。ダブルミーニングになっていまして、「飛行機」そのものと「地に足が付いて無い男」の両方を表しています。すばらしいタイトルですので「マイレージ、マイライフ」よりも、これを意訳したタイトルをつけて欲しかったです。
また、以下の文章は例によって若干のネタバレを含みます。結末を知って見方が変わるたぐいのエンタメではありませんが、まっさらな状態で観たい方はご遠慮下さい。

本作のストーリー

本作の主人公ライアン・ビンガムは、独身で親戚や近所付き合いもほとんど無く、ほぼ一年中出張しています。夢は史上7人目の1000万マイレージを貯めて機長と会話をすること。時には「What’s In Your Backpack? (あなたは何を背負ってる?)」というテーマで「悠々自適な人生」の講演会まで引き受けたりします。彼にとっては家族は重荷であり、女性とも「カジュアルな関係」以上には踏み込みません。非常に合理的というか実利的に生きています。彼にとっては空港と飛行機がくつろげる唯一の場所であり、アテンダントの笑顔が癒しです。
ところが、彼が仕事として解雇通告をする際は非常に人間的で親身な対応をモットーとします。マニュアルに沿って事務的に解雇通告するのではなく、きちんと相手に納得させた上で生きる希望をもたせます。
そんな中で、彼は自分とは180℃考えの違うナタリーの面倒を見ることになります。プレイベートでの彼女は若くしての結婚を望み、高学歴ながら彼氏を追ってオマハまで来て解雇人のような泥臭い仕事に就きます。しかし仕事となると彼女は徹底した合理主義者になります。経費削減のためのビデオチャットを提案し、解雇通告もフローチャートでマニュアル化して誰でも出来るようにしようとします。
そんな全く別の存在・ナタリーがいる一方で、ビンガムは自分と同じく出張好きのアレックスに出会います。彼女との恋愛はあくまでも「カジュアルな関係」であり、お互いにショートメールをしたり落ち合って一晩だけ過ごしたりするだけの関係です。
この「似たもの同士」「正反対」という2人の女性を通じて、ビンガムは自身の価値観を徐々に変えていきます。

ビンガムの価値観

彼にとって家族は重荷です。女性とも真剣に付き合いません。そして飛行機が大好きです。要は「子供」なんです。たしかに仕事中にはとてつもない包容力を見せますが、プライベートは決定的に「子供」です。
彼は終盤、2人の女性を通じて真面目に恋愛しようと決意するに至ります。要は大人になろうという決意を固めたわけですね。まさにそのとき二つの悲劇が起こります。そしてこの悲劇によって彼は否応なく大人に”させられて”しまいます。彼は他人との関係をきちんと考えるようになります。それが如実に表れるのが最後に出てくる「ある手紙」です。
しかしその一方で、彼は夢が叶っても素直に喜べず、いままで好きだったはずの物を前にしてただ呆然としてしまいます。大人になったことで世界から喜びが消えてしまったんです。ビンガムは間違いなく「正しい大人」になったんですが、幸せそうには見えません。
本作における大人への成長は、責任の獲得であり、無邪気さの消失であり、そして夢に向かう情熱の喪失です。
本作が上手いのは、この流れが序盤でビンガムが解雇通告する際の話に通じるところです。ビンガムは自身を「ウェイクアップ・コール(目覚まし電話・価値観の転換を促す存在)」だとし、リストラ対象者に子供のころの夢をあきらめるなと言うんですね。ところが、いざ自分がウェイクアップコールを受けたら夢が消えちゃったんです。
だから、発着陸掲示板を前にしたビンガムの姿を見て、ちょっと泣いちゃうわけです。

【まとめ】

本作はかなりアクロバティックな変形の「少年の成長物語」です。たぶん社会人ならば、そして特に夢をあきらめざるを得なかったサラリーマンやOLなら、誰しも身につまされて心を揺さぶられるでしょう。ただのエンタメではありません。ある種のロマンでありファンタジーがこの作品には詰まっています。
大規模公開ではないですが見ておくべき良作です。間違いなくオススメします!!! 劇場で泣いてしまえ!!!

[スポンサーリンク]

記事の評価

トラックバック用URL:

https://qbei-cinefun.com/up-in-the-air/trackback/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です