これが日本の音楽業界の現状です。

これが日本の音楽業界の現状です。

日は久々の雑談でございます。きゅうべいです。

皆さん、「コンフィデンス」という雑誌をご存じでしょうか?

いわゆる「オリコン」ってやつでして、もともと「オリジナルコンフィデンス」という名前の雑誌だったのですが、数年前に「コンフィデンス」に名前が変わりました。いわゆるコンビニなんかで売っている「オリコン」とは違いまして、定価5,000円もする業界週刊雑誌です。当然一般の方が買うのは想定しておらず、業界内では半分オリコン社へのお布施も込みで定期購読されております(笑)。

その新春号に2016年の年間セールスランキングが出ていましたので、今日はコレを酒の肴にグダグダと愚痴っていきましょう!それではまずは御覧ください!

速報版2016年 オリコン年間ランキング~シングル~
出典:「コンフィデンス2017新年特別号」

順位 枚数 タイトル アーティスト
1 1,519,387 翼はいらない AKB48
2 1,294,962 君はメロディー AKB48
3 1,213,660 LOVE TRIP/しあわせを分けなさい AKB48
4 1,202,533 ハイテンション AKB48
5 910,811 サヨナラの意味 乃木坂46
6 851,229 裸足でSummer 乃木坂46
7 828,533 I seek/Daylight
8 828,315 ハルジオンが咲く頃 乃木坂46
9 541,121 復活LOVE
10 471,619 Power of the Paradise
11 467,845 二人セゾン 欅坂46
12 439,774 世界に一つだけの花 SMAP
13 392,719 世界には愛しかない 欅坂46
14 376,871 サイレントマジョリティー 欅坂46
15 365,328 チキンLINE SKE48
16 363,583 僕はいない NMB48
17 332,231 最高かよ HKT48
18 324,415 金の愛、銀の愛 SKE48
19 308,610 真剣SUNSHINE Hey!Say!JUMP
20 305,137 74億分の1の君へ HKT48
21 300,357 罪と夏 関ジャニ∞
22 296,753 甘噛み姫 NMB48
23 291,356 Sha la la☆Summer Time Kis-My-Ft2
24 288,361 Fantastic Time Hey!Say!JUMP
25 238,550 Gravity Kis-My-Ft2
26 232,695 NOROSHI 関ジャニ∞
27 220,211 ANOTHER STARTING LINE Hi-STANDARD
28 217,975 YAMATO☆Dancing BOYS AND MEN
29 217,454 UNLOCK KAT-TUN
30 211,800 薔薇と太陽 Kinki Kids

「これが日本の音楽業界の現状です。 楽しんでいただけましたでしょうか。」

良い悪いは一旦置いておきまして、物凄い事になっています。この国ではアイドルファン以外が絶滅したんでしょうか? ヒャッハー!!!っていいながらアイドルCDを手裏剣にして戦う修羅の世界です。2005年ぐらいにアニメ「魔法先生ネギま!」の主題歌「ハッピー☆マテリアル」が歌番組のヒットチャートから無かったコトにされて大騒ぎになったことがありました。もし今アイドルソングをチャートから排除したら跡形も残らないかもしれません。ある意味で、音楽産業としては「進化/深化の最終型までいったかな」という雰囲気です。

あと、ちょっと面白いのは、AKB界隈でも乃木坂46が序列のナンバー2なんですね。最近アイドルから離れてしまっていたので感覚が止まってて、てっきりSKE48が2番手だと思ってました。確かにテレ東のWBSを見てるといつも流れるマウス・コンピューターのCMは、AKBグループとは思えないぐらい可愛いですもんね(失礼)。

これ、イメージ的には「新日本プロレス vs UWF」ですよね。身内でライバル団体を作って、内ゲバ交流戦でファンを煽るという(笑)。誰が武藤役で誰が高田役なのか分からないのがもどかしいところです。きっとそういうのが分かってるファンは今が一番楽しいんじゃないかな~とちょっと羨ましくも思います。

一方のジャニーズは、、、すいません。私、男アイドルはまったく分かりません^^; 握手会とか無いわりに頑張ってるな~と素直に感心してます。嵐(※7位)が218枚差と物凄い僅差で乃木坂46(※8位)に食い込んでおり、かろうじて男の面目を保ちました。アラシックvs乃木ヲタはまさしく「乃木坂ダービー」です。事務所が赤坂通りを挟んで200mぐらいしか離れてないですからね^^; 殴り合いにファミリーマート乃木坂駅前店の店員が巻き込まれていないか、とても心配です。たまに飲むヨーグルトを買ってますんで(笑)。きっと乃木大将も草葉の陰で大喜びでしょう。あと、ジャニーさん、ボーイズ・アンド・メン(※28位)はイジメないでね♡。生物の多様性は生態系の維持にとても重要です。

勝手なことをいいますと、「前前前世」をRADWIMPSがシングルカットしていたら、たぶん50万枚ぐらいは行けたんじゃないかってのはちょっと思います。商売としては単価が高いアルバムで大正解なんですが、なんかこう、音楽チャート文化に爪痕を残して欲しかったです^^;

こういうチャートって歴史に残るんですね。20年後とかに「あの頃のヒット曲」みたいな集計があると情報ソースになりますから。そういう意味で、いまこの瞬間の時代の空気としては、2016年を象徴する曲って「前前前世」と「世界に一つだけの花」なんじゃないかなと、個人的には思います。

「世界に一つだけの花」は今回のチャートで唯一既発曲なんです。すごく異質です。そうすると後世の人がこのチャートを分析したとき、「なんで2003年の曲がこんな所にいるんだ?」って話になって、そうするとジュリーさんと飯島女史の内ゲバとか、木村氏の翻意とか、そういうアレな事情が発掘されるわけです(笑)。でもそれが文化研究じゃないですか。

例えば「2014年の代表曲ってなんですか?」って聞かれたら、大抵の人はやっぱ「レット・イット・ゴー」を挙げると思います。ヒットチャートでダントツ・トップのAKB48「ラブラドール・レトリバー」を挙げる人は10年後にいるのかなっていう。まだ2年しか経ってない現時点でも、もうそれに近い空気はあると思います。「レット・イット・ゴー」のMayJのドヤ顔は忘れられませんが、「ラブラドール・レトリバー」はもはやワンフレーズも覚えていません。最初っから覚えてなかったんですけど(笑)。

たぶん服部氏が「これが日本の音楽業界の現状です。」って例の名言を残した2012年末で、歴史研究としては一区切りなんですね。このフレーズは将来、2000年代後半~2010年代の音楽業界を総括するフレーズとして必ず残ります。

私の青春だった「THA BLUE HERB」の名曲「孤憤」にこんなフレーズが有ります。

日本でトップのリリシストだの 日本で5本の指に入るプロデューサーだの
おだてられて調子乗ってるお前 はやし立てて一儲けしようと思ってるお前
こっから先てめぇらはゆっくり追い詰められる
黙殺しようと思っても不可能だ
うんざりするくらい目の前飛び回ってやる
てめぇらの考える程単純じゃねぇんだ
これから 札幌で皿売る時は 少しは質に気ぃつかえよ

――THA BLUE HERB「孤憤」より

当時は「おだてられて調子乗ってるお前」は小室ファミリーの事を指していたわけですが、いま聞いてもまだまだ思い浮かぶ顔が2~3あります(笑)。その小室ファミリーをクオリティで葬り去った宇多田ヒカルさんが去年カムバックして、いろいろと一石を投じてくれました。でも音楽業界は彼女におんぶに抱っこじゃあ、いかんのです。彼女を「一世代前の人」に押しやるぐらいのブランニューな波がこないといけません。

そういう点で、私個人としては結構「ロキノン系」に期待してるんです。ロキノン系自体は古いですけど、「凛として時雨」とか「ONE OK ROCK」とか近年でもちょくちょくヒットチャートに「正統派の中2バンド」が入ってきてたじゃないですか。RADWIMPS もモロにその系譜ですけど、彼等は「前前前世」でポップス寄りにイメチェンして来てるんですよね。一部で「バンプ・オブ・チキン」扱いされてましたが^^; それに「MAN WITH A MISSION」もいますし。

余談ですが、まだあんまり売れる前の「MAN WITH A MISSION」と経済産業省がやってるイベントでご一緒したことがあります。自分のブースで海外のレコード会社の偉い人が来るのを待って売り込みをするイベントで、トーキョー・タナカさんがブースに駆り出されてたんですね。自分で自分を売り込めと。でも全然お客さんが来なくて結構暇だったんです。その時に近くのブースだったんで、「それ暑くないですか」って聞いちゃったんですよ(笑)。そしたら「いや、もう慣れたんで暑いのは大丈夫です。痒いですけど。」って会話したのを覚えてます。超いい人でした^^

是非、いまロキノン系で活動している方達も、「俺達が握手会アイドルを駆逐するんだ!」ぐらいの心意気でポップス戦線になだれこんで来ないかな~と妄想しています。

そしたらね、それこそ「平成維震軍 vs nWo」が見られるわけですよ!野田洋次郎は越中詩郎になれ!!!お前は越中だ!サムライだ!野武士になれ!!!

という宣言を以って、本日の閉会の挨拶と替えさせていただきます。

ご精読、どうもありがとうございました。
m(_ _)m

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NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム

NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム

今日は

「NERVE(ナーヴ)」を見てきました。

評価:(60/100点) – 山田悠介meetsハリウッド


【あらすじ】

大学進学を控えた女子高生のヴィーは、ステイトン島で鬱屈した生活を送っていた。母子家庭で働き詰めの母を想い、なかなか思い通りにいかない生活。せっかく受かったカリフォルニア美術大学も「実家から通える」距離では無いため母に進学希望を言い出せない。

そんな中、ハイスクール・クイーンでチアリーダーのシドニーとひょんなことから揉めてしまう。彼女はシドニーへの当てつけで最近流行っているというオンラインゲーム「ナーヴ」に登録する。それは、視聴者たちの無茶振りミッションをクリアしていくと報酬がもらえるという、群衆視聴型ゲームだった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> シドニーの挑発
※第1ターニングポイント -> ヴィーがナーヴを始める
第2幕 -> ヴィーのミッション・チャレンジ
※第2ターニングポイント -> ヴィーが警察にコンタクトする
第3幕 -> ナーヴの決勝戦


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【感想】

さて、今日はおしゃれな日比谷シャンテにたまに紛れこむドB級映画を見てきました(笑)。公開直後なんですが全然お客さんが入っておらず、ちょっと心配です。

主演はエマ・ロバーツ。すごいどっかで見たことあるなーと思ってたら、スクリーム4のジルでした!あんなチンチクリンだったのに、ずいぶんスレンダーになっちゃって、、、と思い、凄い自分の年齢を感じます(笑)。ジュリア・ロバーツの姪というか「エクスペンダブルズ」で敵役だったエリック・ロバーツの娘です。

そして相方はジェームズ・フランコの実弟のデイヴ・フランコです。笑った時のちょっと顎を引いて眉毛を「の」の字にする仕草がまんま兄貴で、そっくりさんかと思って見てました(笑)。

さらにさらに、監督はヘンリー・ジューストとアリエル・シュルマンのコンビで、これそのまんま「パラノーマル・アクティビティ3」「パラノーマル・アクティビティ4」の布陣です。つまり、POV/カメラ視点をやる気満々(笑)。映画の随所にカメラ越しやモニタ越しの視点がこれでもかと出てきます。

そう、本作ですね、見ている間中ずっーーっとなんか「ひっかかり」というかパチモノ臭さを感じるんですね(笑)。その1番の要因が雑なプロットとこの「そっくりさんっぽい」雰囲気だと思います。

山田悠介っぽさが全開

この映画は2012年発売の同名のティーン小説を原作としています。ですから山田悠介とはなんの関係もありません。なんですが、「冴えない女の子が携帯ゲームでクイーンになっていき、イケイケになって調子こきまくりの末、マジでやばい状況になって危ない目にあう」というプロットをどこかで見たことがありませんか?

そうです!かの有名な超大作ホラーSF「アバター(2011)」です!橋本愛が主演のスーパーメガヒット作で、日本中で(※主に渋谷界隈ですが)大アバター旋風を巻き起こしました!!!



なんか2つの映画が混ざってる気がしますが、私も歳なので気にしないでください^^;

そう、これですね、どう見ても山田リスペクトなんですよ。アバターでは橋本愛がどんどん厚化粧になっていってイケイケを表現していましたが、本作ではエマ・ロバーツがセクシーなドレスを着てイケイケになっていきます(笑)。B級映画好きの考えることって世界中どこでもだいたい一緒ですよね(笑)。ちゃんと己を取り戻すとダサいパーカーに戻ったりして、とても好感が持てます。ほんと良い意味で頭が悪い(笑)。

アバターの当時は「携帯電話(いわゆるガラケー)こそが日本の若者が内向きになった諸悪の根源だ!」みたいなノリで「携帯彼氏」とか「アバター」とかのテクノスリラー(※テクノロジーに乗っけた犯罪スリラー)が量産されてたんですが、その波がやっとハリウッドに到達しました。「ホステル」シリーズとか、「ロシアンルーレット(2010)」とか、あとは広い意味で「キャビン(2012)」とか、群衆視聴型スリラーって結構定番ネタです。でもそこに携帯ゲームを入れてきたところに「山田悠介魂」を感じました。

余談ですが、劇中のナーヴのコラージュ映像に「キャビン」と「ハンガーゲーム」の映像が入ってました。そういや「ハンガーゲーム」も視聴型ですね^^。良いリスペクトっぷりです。

本作に1番近い最近の外国映画というと、イライジャ・ウッドが主演をしていた「ブラック・ハッカー(2014)」ですね。インターネットによってプライバシーもクソも無い状態になり、そこに群衆心理が乗っかってとんでもないところまでエスカレートしちゃうという話です。

実際、メインの登場人物は片手に収まるほどで、特に特定の悪役は出てきません。あくまでも群集心理をスリラーにした話です。だからそもそもからしてウソ臭かったり、あんまりルールというか基準がよくわからなかったり、そもそもトップで視聴者8,000人って少なくないかとか、秘密ゲームのくせに決勝戦はかなり目立ってるなとか、そういう雑なところ全部ひっくるめて微笑ましく見られます(笑)。

【まとめ】

フル・プライスを払って見るのはちょっとアレですが、レイトショーや「TOHOシネマの日」を使って安く見られるなら一見の価値があります!個人的には挿入歌が最高のラインナップなのでサントラ買います(笑)。ということで、オススメでーす!!!ついでに是非「アバター」もね(笑)

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【ドラマ】11/22/63

【ドラマ】11/22/63

おはこんばんにちは。きゅうべいです。明けましておめでとうございます。皆さん、正月休みはゆっくりできたでしょうか? 私はひたすら喫茶店に入り浸って本ばっかり読んでました^^;

新年一発目の今日はちょっといままでと趣向を変えまして、海外ドラマの面白いやつを紹介したいと思います。やっぱね、まとまった時間があるときってついツタヤでDVD借りてきちゃうじゃないですか^^; そんな時海外ドラマってとっても使い勝手がいいんですよね。この「おすすめ海外ドラマ」シリーズではできるだけ新しいものを紹介していこうと思います。あくまでも紹介なのでネタバレは極力しません。さらっと読んでいただいて、もし気に入ったら是非是非、レンタル店に駆け込んでください。

ということで「おすすめ海外ドラマ」シリーズの1発目はこちら。

「11/22/63(全9話)」です。

評価:(95/100点) – 超ロマンティックなタイムスリップSF


【あらすじ】

時は2016年。国語教師をしているジェイクは、自身の離婚調停に辟易していた。ジェイクはある日、行きつけのダイナーのオヤジ・アルから不思議なことを聞かされる。彼のダイナーの倉庫に入ると1960年にタイムスリップできるというのだ。ガンに侵されていたアルは、ジェイクに最後の頼みとしてタイムスリップをして”あることをしてきて欲しい”と依頼する。それは1963年11月22日に起きた「ケネディ大統領暗殺事件」を阻止し、アメリカをより良い国にすることだった。ジェイクはしぶしぶながら1960年に飛び、そして3年間の独自調査を開始する。それはケネディ暗殺の最有力容疑者・オズワルドの尾行と、別容疑者の可能性の調査だった、、、。


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【感想】

さてさて、そんなこんなで趣向を変えました海外ドラマ紹介シリーズの第一弾は「11/22/63」です。原作はスティーブン・キング。キングと聞いて皆さんがすぐイメージするように、本作はロマンティック・SFサスペンスです。主役は「サム・ライミ版スパイダーマン」ハリー役のジェームズ・フランコ。ヒロインは「複製された男」で怖い奥さん役をやっていたサラ・ガドンです。最近は映画俳優もあたりまえのようにドラマに出てきて、とっても豪華になりました。

このドラマは2011年から1960年へタイムスリップしてそこで右往左往する男の話です。いたるところに名作映画ギャグが散りばめられており、それだけでも結構ニンマリできます。タイムスリップ・コメディみたいな要素はほとんど無く、どちらかというと「丁寧に作られた巻き込まれ型サスペンス」といった様相です。

話は過去に戻ったジェイクがそこで仲良くなった相棒のビルと共に、ひたすらオズワルドを尾行・盗聴して犯行の手がかりを探す展開です。なかなか尻尾を出さないオズワルド。そしてだんだん過去の世界に溶け込んで愛着を持ち始めるジェイク。そんな中で過去の世界にもかかわらずジェイクは恋人を作ってしまいます。いよいよ過去と離れがたくなっていく。だけれでも使命は果たさなければいけない。悶々とする中、ジェイクはある究極的な「答え」を選択します。

そう、本作はいわゆる「過去改変SF」です。このジャンルの金字塔「バック・トゥ・ザ・フューチャー」しかり、「バタフライ・エフェクト」しかり、そして昨年の「君の名は」。これらに一貫する「タイムスリップとロマンス」の最新版がこのドラマです。

本作は全9話と比較的短いドラマなのですが、実をいうと軽く中だるみします(笑)。するんですが、もし4~5話目で「ちょっとつまんないな~」とか思ってもそこで止めてはいけません。絶対最後まで見るべきです。というか、本作は最終話の第9話がもうそれだけで10,000点あげてもいいくらい滅茶苦茶面白いんです。もし上に挙げたような映画が好きな方がいたら、絶対見たほうがいいです。過去改変SF史上で最上級のロマンスを見ることが出来ます。甘ったるいご都合主義じゃなくて、これぞキングっていうすごーく苦くて、大人で、それでいて最高に泣ける展開がまっています。

必見の出来です。

ちょっとした補足

ちなみになんですが、、、、アメリカ人の感覚では「ケネディ大統領暗殺事件」というのは、まさに「アメリカ近代史のターニングポイント」なんですね。もちろんケネディ自身がアイドル的な人気があったというのもあります。ですがそれ以上に、後任のジョンソン大統領の始めたベトナム戦争、そして続くニクソンの経済政策失敗(1971年の第2次ニクソン・ショック)によるインフレ・高失業率・大不況、さらに繋ぎでグダったフォード、さらにその後のカーター政権で起きたイラン・アメリカ大使館人質事件を始めとする中東への弱腰外交。まさにケネディ暗殺からロナルド・レーガンのレーガノミクスまで約25年近くアメリカは暗黒期に突入します。その後も人によっては「湾岸戦争」「中東介入」「ITバブル」「リーマンショック」「格差拡大」などなど、挙げればキリがないでしょう。だから本作のように「もしケネディ暗殺が阻止されていたら、きっとアメリカはもっと良い国になっていたに違いない」というアイデアは凄く共感されるんですね。アメリカで本作が大絶賛されたのも、多分にこのバイアスはあると思います。

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バイオハザード:ザ・ファイナル

バイオハザード:ザ・ファイナル

本日の2本目はこちら

「バイオハザード:ザ・ファイナル」です。

評価:(30/100点) – 小じんまり、まとまりました。


【あらすじ】

前作までいろいろあって、アリスはワシントンに居た。ワシントンで彼女はレッドクイーンからのメッセージを受け取る。実はアンブレラ社は「エアボーン・アンチTウィルス」を隠し持っているというのだ!すべてのTウィルス感染体を死に至らしめる強力な薬を手に入れるため、アリスは始まりの地・ラクーンシティの「ハイブ」へと向かう。レッドクイーンの示した人類滅亡へのタイムリミットは48時間。果たしてアリスはアンチTウィルスを手に入れることができるのか?

【三幕構成】

第1幕 -> ワシントンでレッドクイーンと遭う
 ※第1ターニングポイント -> アリスがラクーンシティに着く。
第2幕 -> ゾンビ軍団との対決とハイブへの侵入
 ※第2ターニングポイント -> 最深部に着く
第3幕 -> アリスの正体とアイザックスとの決戦


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【感想】

さて、本日はスクリーン・ジェムズ作品が連続となりました。2本目はシリーズ6作目の「バイオハザード:ザ・ファイナル」です。なんだかんだで1作目が2002年ですから、もう14年もやってるんですね。1作目は井筒監督がテレ朝の「こちトラ自腹じゃ」でボロクソに叩いていたのをいまでも覚えています(笑)。1作目はたしかにダメダメではありましたが「走るゾンビ」を発明したエポックメイキングな作品でした。この作品で走り始めたゾンビは、ついに本家シリーズの「ドーン・オブ・ザ・デッド(2004/リメイク版)」でも取り入れられ、市民権を得ます。いまや何の違和感もなく、多くの作品でゾンビたちは元気に人間を走って追いかけています(笑)。

そう、そんな歴史的なシリーズの最後ですから、これはもうファンなら行くしか無いわけです!!!っと気合を入れてみてみますと、これね、ファンサービスしてくれてるのはわかるんですが、結構がっかりポイントがてんこ盛りです(笑)。

せっかく登場したドクター・アイザックスとウェスカーはとんでもなく小者になり、シリーズ全部の意義を吹っ飛ばすレベルです(笑)。しかも1作目を全否定するように「実はTウィルスはアンブレラ社の陰謀でわざと撒かれたのだ!」みたいな話まで飛び出します。いやいや、1作目でレッドクイーンが超慌ててハイブを閉鎖しようとしてたじゃん。っていうか、本作で出てくる陰謀が本当だとすると、そもそもハイブにTウィルスを撒く理由がないじゃん。もっと遠くで撒けよ、、、。とまぁいろいろとアレな事になっております(笑)。これですね、ある意味ヤケクソといいますか、さすがポール・駄目な方・アンダーソン監督(※注)。頑張っているのはわかるのにすごいヘンテコなことになっています。ファンサービスがファンサービスにあんまりなっていません(笑)。

※注 ポール・アンダーソン監督は世界に二人おります。本作の監督・ポール・ウィリアム・スコット・アンダーソン監督は駄目映画ばっかりとっており、一方のポール・トーマス・アンダーソン監督はカンヌ・ベルリン・ベネチアを総なめにしております。このため映画オタクの間では俗称として、ポール・駄目な方・アンダーソン、ポール・出来る方・アンダーソンと呼び分けられます(笑)。

そう、本作ではファンサービスしようという意図は伝わってくるんですね。最終作なので舞台は1作目に戻ります。そして「対ゾンビ戦」ではなくて1作目の醍醐味であった「対殺人トラップ」にフォーカスされる。ちゃんと1作目で出てきた有名なレーザートラップも再登場します。とても気を使ってくれているのがわかります。でもですね、その割にメイン級の悪役の扱いが本当に酷いです。なんかもうキャラ崩壊しているレベルで、あれだけ強かったウェスカーがまさかそんな社畜的な意味で負けるなんて、、、という、、、なんでSFアクションホラー映画を見て私たちはサラリーマンの悲哀を感じなければいけないのかと(笑)。

そんなこんなで、せっかくのシリーズ最終作にも関わらず、シリーズが好きであればあるほどがっかりするという残念な事態になってしまいました。もはや誰向けなのかすらよくわかりません、、、。シリーズ初見では意味がわからないと思いますし、シリーズファンだとあまりに雑な展開に悲しくなってきます。ということで、この映画は無かったことにしましょう(笑)。

もとはといえば、4作目で完結するはずだったものを無理やり続けさせたスクリーン・ジェムが悪いんですから、ポールは悪くない!たぶん、、、きっと、、、いや、6割ぐらいはポールのせいかも(笑)。個人的には動いているアリ・ラーターを久しぶりに見れたのでそれだけでも良しとします!ということで、オススメ、、、しと、、、きま、、、、しょう、、、、、か?しときましょう!ポールも言ってるじゃないですか!

「ジャン・リュック・ゴダールも言っているように、女性と銃だけで映画は成り立つ。このコンセプトはクールでセクシーだよね」
出典:日刊ゲンダイweb 監督インタビューより
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/196257

やっぱダメだこの人(笑)。

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ドント・ブリーズ

ドント・ブリーズ

今日は2本です。1本目は

「ドント・ブリーズ」を見てきました。

評価:(70/100点) – 一発ネタの嵐でサービス満点


【あらすじ】

デトロイトの田舎町。ロッキー、マニー、アレックスの3人は、いつかこのつまらない田舎を抜け出してカリフォルニアへ行くために、強盗をしてお金を貯めていた。
ある時、マニーはギャングから街に30万ドルもの大金をもった爺さんが住んでいるという話を聞く。しかも家はゴーストタウン。周りには全く人が住んでいない。楽勝だと判断した3人は、意気揚々と強盗へ乗り込む。しかし、爺さんは凄腕の退役軍人だった、、、

【三幕構成】

第1幕 -> 爺さんの噂話
※第1ターニングポイント -> マニーが殺される
第2幕 -> 家から脱出せよ!
※第2ターニングポイント -> ロッキーが脱出する
第3幕 -> 最終決戦


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【感想】

さて、今日は今一番の話題作と言っても良い「ドント・ブリーズ」を見てきました。有楽町のみゆき座に行ってきましたが、完全なフルハウス。実は先週も見ようとして満員で諦めました。公開感が少ないからかものすごい混み方です。

この作品はアメリカの夏休み映画で、かなりわ話題になっていました。制作費10億円で興収は150億円オーバーですから大したもんです。監督はフェデ・アルバレス。残念な出来だったリメイク版「死霊のはらわた(2013)」で大抜擢された監督です。本作も引き続きサム・ライミがプロデューサーを務め、ジャンルものである「小屋に閉じ込められちゃったホラー」をやっています。

さて、ここでお約束です。本作は完全なるジャンルムービーであり、そして感心するほどのジェットコースターシチュエーションムービーです。ですから、ネタバレは作品価値を著しく損なう恐れがあります。私はこの後極力ネタバレ無しで書いていきますが、どうしても少々勘づいてしまうかもしれません。未見の方はお気をつけください。

これはシリアス版ホームアローンだ!

強盗が家主にひどい目にあわされて撃退されるというと、やはり筆頭は「ホームアローン」でしょう。今回は強盗側が主役ではありますが、やっていることは同じです。舐めてかかった盲目の爺さんは、実は近接戦闘最強の屈強のファイターです。とてもじゃないけど近づいたら勝ち目はありません。そしてそんな爺さんが拳銃まで持っています。こんな絶体絶命の状況の中で、ヘタレだけど献身的なアレックスは、惚れた女・ロッキーを守りつつ脱出の糸口を探していきます。

そう、これですね、主人公側は間違いなく強盗犯でありクズの集まりです。どう考えても盲目の爺さんは被害者なので、序盤は「爺さんやっちまえ!」と応援したくもなるのですが、これがとある展開で急に爺さんもアレだというのが発覚しまして、そこから先はもう感情移入もへったくれもない「アレな若者vsアレな爺さん」のグズだらけの異種格闘技戦が展開されます(笑)。

ですから、なんというか全体的にはあんまり応援とかどっちの立場でとかそういう映画じゃないんですね。完全にシチュエーションホラーであり、「なんとなく不穏な事」「すごい嫌な描写」を叩き込みまくってくる映画です。後味最悪。そしてどういう顔をして見ていいかわからない。でもなんか楽しい、という(笑)。これ、いうてみればバトルものだと思うんです。「貞子vs伽倻子」とか、「エイリアンvsプレデター」とか、なんかこう「悪役同士のバトルで両方アレだけど楽しい」というプロレスです。

そういった意味では、本作はとてもサービス精神が旺盛です。ほぼ全ての細かい描写がきっちり伏線になってます。例えば序盤で出てくるバールなんかはしょっちゅうほっぽられながらもちゃんと全編通して万能アイテムとして再登場し、その都度工夫をもって使われます。こういう小技は見事です。制作側がすごく気を使ってプロットを練っているのが伝わってきます。そして、カギやバールや拳銃や犬や、全ての「アイテム」「仕掛け」が絡みあってきます。だからこれ、すごくアクションアドベンチャーゲームっぽいんですね。こっちでこのアイテムを手に入れて、それをあっちで使うとこうなって、でも同じアイテムを後から別の用途に使う、みたいな。すごく練り込んだプロットが災いして、「シナリオちっく」でありちょっと事務的なところがやけに目につきます。多分監督がジャンル映画を撮るには真面目すぎるんだと思います(笑)。

【まとめ】

面白いかどうかで言えば間違いなく面白いですし、もう1回見たいかといえばもう1回と言わず2回はみたいです。でもあんまり「諸手を挙げて大ガッツポーズ!」って感じではないです。単に後味が悪いからなのか、それともメリハリがないからなのか。80分少々のタイトな映画ですが、畳み掛けてくる情報量は多く、結構疲れます(笑)。

クリスマスのデートムービーとしてはちょっとどうかと思いますが、見ておいて損はない良作です。

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ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

今日は

「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」を見てきました。

評価:(95/100点) – 最高のファンムービー爆誕!!!


【あらすじ】

帝国軍の技術者ゲイレン・アーソは、大量破壊兵器の研究者だったが、嫌気がさして家族ともども軍を脱走して田舎の星に身をやつしていた。しかしそんなアーソ一家の元に、兵器計画の遅れを懸念するオルソン長官の魔の手が忍び寄る。妻を殺されたゲイレンは、1人娘のジンを逃し、自ら帝国軍に連行される。

それから十数年、、、反乱軍の元に「ゲイレン・アーソが破壊兵器の情報をリークするべくカーゴパイロットを脱走させた」という情報が届く。しかし肝心のパイロットは独立ゲリラのソウ・ゲレラ一派に拿捕されてしまう。反乱軍はこの情報を奪うべく、友好の使者としてゲレラの元に1人の少女を送り込むことにする。その女性こそ、ゲイレンの1人娘ジンであった、、、。

【三幕構成】

アバンタイトル -> ゲイレン一家が襲撃に遭う
第1幕 -> キャシアンとジン
※第1ターニングポイント -> ジンが使者として惑星ジェダへ向かう
第2幕 -> ジェダの崩壊とゲイレンとの邂逅
※第2ターニングポイント -> ゲイレンより設計図の在り処を聞く
第3幕 -> 潜入!惑星スカリフの決戦


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【感想】

2ヶ月ご無沙汰しております。きゅうべいです。今年は本当に面白い映画が節目節目で公開されて、ブログをサボっている暇もありゃしません(笑)。ということで、本日は当然これ。スター・ウォーズ・シリーズの最新作「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」です。監督は「ゴジラ(2014)」で一躍時代の人となったギャレス・エドワーズ。「スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望」の前日譚として、特殊部隊ローグ・ワンが帝国軍の最終兵器「デス・スター」を破壊するために設計図を入手するまでを描きます、、、、と公開前情報では言われていました(笑)。

ところがですね、これ実際見てみるとそんなチンケな話じゃ無いわけですよ。確かに大筋はローグ・ワンがデス・スターの設計図を盗むまでの話です。スター・ウォーズのファンならば、予告を見ただけで「これはローグ・ワンが頑張ってデス・スターの設計図を盗んでレイア姫に渡すまでのミッションインポッシブルみたいなケイパーものなんだろうな」「ディズニーのことだから、どうせ金儲け狙いで安直に外伝作っただけなんだろうな」と思うわけですよ。それが蓋を開けたらあらびっくり。ローグ・ワンとか全然特殊部隊じゃ無いし、こりゃもう完全にスター・ウォーズ愛に溢れた最高の「ファン・ムービー」なんです。

スター・ウォーズのファン・ムービーといえば、金字塔は「ファンボーイズ(2008)」と「ザ・ピープルVSジョージ・ルーカス(2010)」です。両方とも「ファンとしてスター・ウォーズを愛するがゆえに、商業主義丸出しのルーカスを信じながらも毎回裏切られ続け、それでもやっぱり嫌いになれない」というアンビバレンツな愚かさを笑いに変えています。僕ももちろんそうですし、例えば日本でも富野由悠季監督や押井守監督が好きなアニメファンは頷きまくりだと思うんですね(笑)。しかし、今回の「ローグ・ワン」はそれとは違うアプローチのファンムービーです。

すなわち、スター・ウォーズのオタクたちが日夜一生懸命勝手に撮影していたような「ファンカット・ムービー」の延長としてのスター・ウォーズ外伝です。「ゴジラ(2014)」とやってることが全く同じアプローチでして、本当にギャレス・エドワーズは最高だなと心の底からニンマリしていました(笑)。この人は絶対にエドガー・ライトとかタランティーノとかマシュー・ヴォーンと同類です(笑)。

スター・ウォーズ・サーガ。それは調和の物語。

スター・ウォーズの話を始めたら10,000文字あっても足りないのでどんどん先に進みましょう(笑)。みなさん、当然スター・ウォーズの実写映画は全部見てますよね?EP1〜EP6を見ているのが大前提で、出来ればイウォーク・アドベンチャー1・2と3DCGアニメのクローンウォーズシリーズも押さえておくといいでしょう。余力があったらEP7もついでで(笑)。

スター・ウォーズ・サーガは、ルーカス曰く「フォースが調和を失ってから、それを取り戻すまでのストーリー」です。

EP1〜EP3で、歴代最高の才能をもったジェダイナイト・アナキン・スカイウォーカーは、成長し、恋をし、そして絶望し、暗黒面に堕ち、ダース・ベイダーとなります。ダークサイド・オブ・フォースの化身・暗黒皇帝ダース・シディアスは、アナキンを誘惑し、堕落させ、独裁帝国を作り上げ、恐怖で宇宙全土を支配します。

EP4〜EP6では、主役はアナキンの息子ルーク・スカイウォーカーへと移ります。ルークは素性を隠し田舎惑星で百姓の息子として育ちます。そんなルークですが、後見人にしてアナキンの友オビワン・ケノービーや仲間のハン・ソロ、レイア・オーガナと共に帝国反乱軍のエースへと成長して行き、やがて父アナキンに善の心を思い出させます。善の心を取り戻したアナキンは、皇帝を殺し、宇宙に平和と共和制を取り戻します。

そう、EP1〜6までのストーリーは、まさに天才アナキン・スカイウォーカーがグレてから目を覚ますまでの壮大な物語なんです。しかし、このストーリーは必ずしも「ジェダイナイト」という超能力をもった貴族様の話ではありません。EP4〜6では、一貫して帝国軍に対抗するのは一般庶民であり有志の反乱軍です。そして最終的に帝国軍に壊滅的な打撃を与えるのは、田舎惑星に住む未開のもふもふローカル宇宙人のイウォークなんです。冗談でも比喩でもなく、まさに元ネタとなった「隠し砦の三悪人」や「七人の侍」と同じく、ジェダイという侍を先頭にした百姓たちの一揆の物語です。

ローグ・ワン:全てはバトンを繋ぐために

そして本作です。本作には特殊能力をもった人間は全く出てきません。主人公自身を含めて、彼女の周りにいるのは全て「強い意志」をもった普通の人間です。相方のキャシアンだけはずっと命令で動いていましたが、3幕目へと向かう最後の最後で自らの意志でローグ・ワンに参加します。ドニー兄貴扮する盲目の僧兵チアルートも「もしかしてフォースが使えるのかな?」みたいなミスリードがあるものの、実際はフォースを信じる強い意志を持っただけのただの人です。こういった普通の人間たちが、本作のテーマである「人は希望を繋ぐために戦う」というそのままに、命をかけてバトンを繋いでいきます。そしてその果てに「エピソード4 新たなる希望」があるわけで、これはシリーズの外伝として完璧な構成です。本作を通してゲイレンからジンへと渡された希望のバトンは、多くの犠牲をともなってその重みを増し、そしてエピソード4冒頭のレイア、R2-D2、オビワン、ルークへと繋がれていきます。そう、エピソード4も、実はこの「デス・スターの設計図」を反乱軍司令部まで届ける話なんですね。本作は単体での「特攻チームもの」としての面白さもさることながら、この「歴史的名作へシームレスにつながる」という点において、おそらく全世界のスター・ウォーズ・ファンを納得させるでしょう。わかってる!ギャレスはわかってるよ!!!最高!!!!

名作の言い訳としてのファンムービー

さらに本作が良いのは、そもそも「デス・スターがあんなに脆いのはわざとだったのだ!!!」という言い訳を無理なくはめ込んできた点です(笑)。わりと昔から、スター・ウォーズ好きで飲み会をすると定番になるネタは「ヨーダが一番悪い」というのと「デス・スターはヘボすぎる」というもの、あとは「イウォーク宇宙最強説」です。

この中でヨーダ戦犯説についてはもう擁護のしようがありません。アナキンがグレた理由はヨーダの頭が固い嫌がらせですし、弟子デューク伯爵と対決しても勝てず、挙げ句の果てにはラスボスの暗黒皇帝を追い詰めたのに油断した隙に逃したりしてます(笑)。

イウォーク宇宙最強説も、ある意味テーマに合致しています。スターウォーズは百姓一揆の話ですから、百姓の化身であるイウォークが弓矢とロープで帝国軍の最新巨大兵器を倒していくのも仕方ありません。

そうすると残るは「デス・スター弱点さらし過ぎ」という話になるわけです。本作はそこに後付けながら「実は反帝国軍の技術者が弱点を仕込んでいたのだ!」とし、さらにスター・ウォーズの根幹である「親子愛」をそこに絡めてきました。これはね、、、、あざといけど上手い(笑)。だってこれ誰も傷付かない完璧な言い訳ですもん。じゃあもう仕方ないよね、、、っていう説得力があります。めちゃくちゃ愛に溢れています。

【まとめ】

ということで、本作は最高のファンムービーです。期待以上というよりは、スター・ウォーズ・ファンが夢見ていた外伝に対する満額回答といった感じです。マジ完璧。これができるのなら是非ナンバリングタイトルもこのクオリティでひとつ、、、という期待を込めつつ、本気で猛プッシュお勧めします!!!!

私はしばらくレイトショーで通い詰めます(笑)。このクオリティなら本気で二桁回数見れます。まぁEP7もなんだかんだで二週間毎日見たのでアテになりませんが(笑)

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記事の評価
何者

何者

今日は一本

「何者」を見てきました。

評価:(80/100点) – ペルソナ論を青春映画へアレンジ


【あらすじ】

大学生の二宮拓人は、友人で同居人の光太郎のバンド引退ライブで片思いの相手・瑞月と出逢う。お互い就活生の身でリクルートスーツに身を包みながら、ライブハウスで友人のサークル引退を見届けた2人。バンドを引退した光太郎は髪を黒く染め短髪にし、心機一転就活を開始する。偶然拓人のマンションの真上に住んでいた小早川理香が瑞月の友人だったことから、この4人の愛憎渦巻く就活が始まった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 光太郎のバンド引退
※第1ターニングポイント -> 就活対策本部設置
第2幕 -> それぞれの就活
※第2ターニングポイント -> 瑞月が内定をもらう
第3幕 -> 蜜月の終わりと決意


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【感想】

今日は「桐島、部活やめるってよ」でお馴染みの朝井リョウ原作「何者」を見てきました。平日夜だからか、メインターゲットと思しき学生はあまりおらず、サラリーマンが目立ちました。それでもパラパラといった客入りで、公開初週にしてはちょっと寂しい感じです。

監督は三浦大輔。まったくノーマークで見に行ったのですが、見終わった後に「ボーイズ・オン・ザ・ラン(2010)」の監督と知って妙に合点がいきました。「ボーイズ・オン・ザ・ラン」もオタク自己憐憫全開の映画でしたが、本作も負けず劣らず自己憐憫全開の話であり、バッチリ監督の資質に合っていると思います。

さて、本作はあくまでも文芸系の作品なのであんまりネタバレがあってもどうこうなる類ではないのですが、一応どんでん返しっぽい雰囲気になっていますので、未見の方は以降お気をつけください。とはいえ、全然どんでん返しじゃないんですけどね^^;。

概要:「青春が終わる、人生が始まる」のまんま

本作は就職活動を舞台にして、5人+旧友1人のそれぞれを通じて「大人になるとはなんぞや」というのを描いていきます。そういった意味で、予告のキャッチコピーであった「青春が終わる、人生が始まる」というまさにそのまんまの内容です。というかこれが全て(笑)。青春が終わって人生が始まるのがクライマックスで、「いよいよ人生が始まるぞ」と扉を開けたところでエンドロールに入ります(笑)。シャンテ系じゃないんだから全部ネタバレかYO!!というツッコミは脇に置いときまして、肝心なのはあくまでもその過程、「大人になるとはなんぞや」の部分です。

本作では、冒頭からずっと「あなたを1分でアピ―ルしてください。方法は問いません。」という就活の面接でありがちな問いかけによって、これが語られていきます。明らかに嘘くさいテンプレ回答を繰り返す就活生たちのモンタージュ。それに対して、その就活を風刺する旧友・銀次の劇団員たちの心からの叫び。そして、一連のドラマを通じて、内定がまったくもらえず泥沼にハマる主人公・拓人がどう意識を変えていくのかが本作の肝です。

ペルソナ論で青春の終わりを描く

本作は「ペルソナ論」という心理学者・ユングさんの有名な話を青春劇へと落とし込んでいます。ちょいとペルソナ論の話をしますので「知ってるわい!」という方はすっ飛ばしちゃってください。

このペルソナ論というのは超簡単に言いますと「人格とは色々空気を読んだ結果だ」みたいな話です。

例えば、ここにある男・太郎さんがいるとします。この太郎さんは会社にいったら新人サラリーマンで、出身大学のサークルに顔を出したら伝説のOBで、家に帰ったら男3人兄弟の次男だとしましょう。太郎なのに次男なのは気にしないでください(笑)。そうするとこの太郎さんは、その各々の場面でキャラを無意識に使い分けないといけません。会社の飲み会では末席に座って上司や先輩に気を使いながら次に何を飲むかを聞いてまわらないといけませんが、サークルの飲み会ではウザい先輩としてデーンと構えて偉そうにしてればいいわけです(笑)。でも家に帰ったら次男で、お兄ちゃんと喧嘩しつつ、弟のテスト勉強を見てやったりする出来た息子になります。ところがそんな生活にストレス全開で、自分の部屋では夜な夜なツイッターの裏アカウントで毒づきまくってたりします(笑)。

では「本当の太郎さん」はどれでしょうか?

ペルソナ論というのはまさにこの「本当の私はなんだ!?」という自分探しへの一つの解答です。上記の太郎さんのケースだと、もしかしたら読者の皆さんは「自分の部屋で一人で毒づいてるときが本当の太郎さんだ」と思われるかもしれません。しかし、ペルソナ論では、「本当の自分」などという絶対的な正解は存在しません。「私」というのは何者でもなく、周囲の環境に合わせて「ペルソナ=演劇用の仮面=役割」を身につけることでその役割に合わせた振る舞いをするようになり、そのいろんな役割の集合体こそが「私」であるという考えです。つまり「私」というのは全て他者や環境に影響されて外部から作られた概念なんだっていうことですね。会社の飲み会でペコペコしてるのも、大学でウザい先輩やってるのも、兄弟とどつきあったり勉強教えたりしてるのも、ぜ~んぶひっくるめて「本当の太郎さん」なんです。部屋に籠もってtwitterで愚痴りまくってたって、結局はtwitterを他者から見られているのには変わりないですから。完全な「個/孤」とか言い出すと、座禅の世界が始まります^^;

逆に言うと、自分の脳内で「本当の私はXXXXなんだ!」とか思ってても意味ないってことです。それを表に出して、他者からその役割を与えられて、初めてそういう人間になれるんです。

本作「何者」では、このペルソナ論を受け入れることが「大人になること」として描かれます。つまり、「私は本当は演劇マンなんだ!サラリーマンなんかじゃない!」という青春特有の夢というか可能性に対して、それを追い続けるにしても諦めてサラリーマンになるにしても「”他者との折り合い”を上手くつけて責任感を持つのが大人なんだ」っていうことですね。決して「夢なんか追ってないで現実を見ろ」っていう内容では無くて、あくまでも「他者との折り合いをつける=他者からきちんと求められる/承認される=社会的な責任を受け入れる」っていうのが大人の条件だと本作では言ってます。

そして、就活の舞台はこの「サラリーマンとしてのペルソナを与えられる」承認プロセスの一つとして描かれます。あくまでも正解ではなくてプロセスの一つです。だから、演劇の道を突き進んで必死に居場所を作ろうとしている銀次の名前が、「拓人がもし演劇を選んでいたら」というifの存在として事あるごとに先輩の口からでます。銀次は就活はしてないですが、毎月公演をしたりSNSで発信するというプロセスで役者のペルソナを獲得しようとしています。

拓人は他者に心を開かず、常に一歩引いて冷静さを装うことでこの「周囲から求められる役割」を拒否しています。そして、自分が思うがままに振る舞う「自分が考える”本当の自分”」というのをTwitterの裏アカウントに叩きつけるわけです。でも、そのアカウントに鍵を付けることもなく、承認欲求だけが行き場を失っています。本作では最終盤で、拓人が瑞月に承認される(=「君の演劇が好きだったよ」という”許し”)ことでまさにこの「社会的な責任」を受け入れて、他者に心を開く方向へ意識が変化します。そして見事にハッピーエンドになるわけです。ちなみに同じく「青春の終わり」を描いた映画は、当ブログでは「マイレージ、マイライフ(2009)」と「SOMEWHERE(2011)」を猛プッシュしております。本作が気に入った方は是非こちらも御覧ください。

有村架純という優しいかぁちゃん

この映画では有村架純演じる瑞月がミューズとしてドラマのど真ん中にデンと座っています。この瑞月がすばらしい役どころでして完璧に場を支配してくれます。彼女は両親の離婚(別居?)という外的要因によって、否が応でも「母親を支える一人娘」というペルソナを押し付けられます。そしてその責任を真っ当するために仲間内でイの一番に大人へと成長します。だから彼女が最初に内定が決まりますし就活仲間たちを大人として客観視できるようになります。その上で瑞月は仲間たちへちょっと厳しい効果的なアドバイスまでしてくれます。まさにミュ―ズ。まさに女神。そして母親。もうね、彼女完璧です。有村架純さんって見た目がちょっとふっくらしてて包容力があるように見えるので、こういう母親役にバッチリあってます。

一方の光太郎はコミュ力満点でやっぱり内定を取るんですが、彼は模範的就活生というペルソナを駆使して内定を取ったことに逡巡を抱えます。こんなの本当の自分じゃない。たまたま自分は就活生を演じるのが上手かっただけだって。でも彼はしっかりしてますから社会人になったらきちんと大人になるでしょう。大多数の社会人はこういう経験があると思います。ちなみに、これをこじらせると3年ぐらいで会社を辞めて自分探しの旅にでたり大学に入り直したりしてアダルトチルドレンへの道を爆進することになります(笑)。

残念トリオは拓人と理香とタカヨシです。拓人は前述のとおりスノビズムに陥っており他者との間に壁を作っています。理香は周りの目だけを気にして演技・装飾が過剰になっちゃったタイプです。こういう子はOLよりも芸能人のが合ってます。個人的にはあんまり関わりたくないっす(笑)。

タカヨシは典型的な「意識高い系」の人で中身スッカラカンです。彼は表現だけはするんですが、承認されるプロセス、つまり他者と折り合いをつけるプロセスが欠落しています。さらにこのタカヨシには対比として銀次が登場します。銀次が学校を辞めて自ら退路をたって責任を持って夢に邁進しているのに対して、タカヨシは休学をして適当に本を読んだり講演会にいったりして虚無な人脈ごっこをしているだけです。ばっちり肝っ玉母さんに看破されて心を入れ替えるので根は素直ないい子。中二病をこじらせただけだと思います(笑)。

こういった面白キャラクター達を通じて「大人になるとはなんぞや」というこそばゆい青春劇を見せてくれるわけで、これがつまらないはずがありません。

【まとめ】

たしかに、「拓人の心の闇が~」みたいな部分や、終盤に出てくる超恥ずかしい演劇メタファー(※これは「他者から見られることで初めて自分になるのだ」というペルソナ論をそのまんま舞台役者と観客の関係に例えています。)に引っ張られるとダサく/つまらなく見えるかも知れません。しかし、本作は「青春の終わり」を描く群像劇として大変良くできています。結局理香だけが大人になれないんですが、それでもみんな青臭くもがいて大人になろうとします。もう大人になっちゃった方はもちろんのこと、これから大人にならないといけない学生のみんなにも十分楽しめる内容だと思います。学生のみんなも「大人って嫌なもんだぞ」みたいな脅しはないので安心して見に行ってください(笑)。ということでおすすめします!

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記事の評価
少女

少女

今日は

「少女」を見てきました。

評価:(45/100点) – 雰囲気アイドル映画


【あらすじ】

高校生のユキは、親友のアツコをモデルにして小説「ヨルの綱渡り」を書き上げる。しかし小説家崩れの国語教師・小倉によって原稿を盗まれうえに雑誌へ投稿、小倉は新人賞まで獲得してしまう。怒り狂ったユキは小倉へ復讐しようとする。それが、すべての悲劇の始まりだった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ユキの執筆とアツコ
※第1ターニングポイント -> シオリが転校してくる
第2幕 -> アツコの罪と夏休み
※第2ターニングポイント -> ユキが「ヨルの綱渡り」を読む
第3幕 -> アツコとユキの仲直り


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【感想】

さて、今日は湊かなえ原作の最新作「少女」を見てきました。観客はほとんどおらず、私以外はみんな学生さんでした。「白ゆき姫殺人事件(2014)」は中年夫婦がいっぱいだったのでちょっとびっくりしました。まぁでも湊かなえさんの映像化したものって題材が高校生が多い印象があるので、ターゲットとしてはちょうどいいのかも知れません。
監督は三島有紀子さん。すごいテレビっぽい(というか堤幸彦っぽい)演出が多いのでテレビ系の人かなとは思いましたがまさかのNHK出身でした。不勉強ながらこの監督の作品を見るのは初めてです。

ここでいつものお約束です。本作は多少サスペンスっぽい要素がありますのでネタバレは驚きを減じてしまう恐れがあります。未見の方はご注意ください。

サスペンスじゃないよ!青春ユリユリ映画だよ!

本作は予告でがっつりサスペンスっぽい雰囲気ーーというかモロに「告白」を意識した雰囲気を出していたので、てっきり本田翼がサイコパスっぽい感じで山本美月を殺しちゃったりするのかなと思いきや、まさかの完全青春友情モノでした。

一応映画的な意味でのメインテーマは「因果応報」の話です。自尊心肥大気味な落伍者・小倉がユキの原稿を盗んだことを発端に、ユキの復讐→オグラ/セイラが自殺→セイラの親友シオリが転校→シオリがユキとアツコを焚き付ける→・・・といった形で次々にイベントが連鎖していきます。そして印象的なセリフとしてユキのおばあちゃんの「因果応報、地獄に落ちろ!」があります。その言葉通り、本作には連鎖するイベントによって「報い」が次々と描かれていきます。一部「それを因果応報って言って良いのか!?」っていう倫理的に引っかかる部分はあるんですが、大枠はこんな感じです。物凄い少ない登場人物達がウソでしょってくらい強烈に絡み合いまくっており、ご都合主義というよりはすごく”戯曲的/寓話的な”抽象性を伴っています。そんなところも含めて、たぶん監督がわざとやってるんですが、全体的に物凄い嘘くさい演出になっています。

そういった”文学的な”要素を背景にして、本作は本田翼と山本美月のダブルヒロインのユリユリした熱い友情が展開されます。ちょっと女子高生役には年齢が厳しいですが、見た目はまったく問題なくちょいとマセた高校生を演じられています。そんな”少女”が青春特有の中2病的な悩みを爆発させて悶々としているわけで、これはもう100%純アイドル映画です。ですので、この2人さえ可愛ければあとは大丈夫です!なんの問題もございません!

しかしだね、、、

しかしですね、、、、本作はあまりにも演出面が古臭いというか、ダサいというか、、、”雰囲気作り”によりすぎています。映画の冒頭と終盤を心象風景みたいな劇場のモノローグ(=寓話性の演出)にしたり、文化祭(体育祭?)の踊りを「運命の糸が絡まり始める」みたいな表現として使ったり、しかもその踊りが完全に観客不在で超無機質だったり、作品自体が中2病的な雰囲気演出のオンパレードです。これですね、最初のイントロだけなら100歩譲ってまぁまぁまぁまぁ、、、、って感じだったんですが、現実の教室シーンまでが同じ方針だったので本気でゲンナリしました。だって、学校だっていってるのに他にクラスがあるのかすらわからなくて猛烈に抽象化されてるんです。

本作はかなり文芸作品を意識しており、あんまり情報量自体は多くありません。だからこそ画作りの合う合わないが結構大事なんです。前述の通り、アイドル2人が可愛くて、全力で走ってて、思いっきり笑顔で泣き笑いしてればそれだけで十分っていう志の映画なんですが、ちょっとあまりにもあんまりかなと思います。ユキの「人が死ぬとこを見てみたい」発言とか、それで実際に難病専門の子供病院に行っちゃうところとか、そういう中2病的な痛々しさをがっつり見せながら、最終的にはそういうのを全部ほっぽり出して「だって青春だし」で片を付けてしまうあたりがとってもアレです。一応最後にこの2人の青春は「了」しないというカットで因果応報を暗喩するわけですが、それも「深くていい話だね」っていう記号としてしか役立っておらず、実際にはホラー映画で最後にオマケが付くのと一緒です(笑)。「高慢と偏見とゾンビ」のラストカットと一緒。本作のは監督の自意識が目立ちまくっており、まだ「高慢と偏見とゾンビ」の方がサービス精神でやってるだけいいかな、とも思ったりします。

ちなみに、本作はいわゆる「いろんな伏線が最後に絡まる!」みたいなものではまったくありません。細かいイベントは連鎖しているもののキャラの関係性には必然がひとつもないので、それこそ「寓話的に少人数を無理やり配置している」という類のものです。

また、ストーリーで言うとどうしてもアツコの「ストーリー上の欲求」が弱いのが気になります。彼女は流されまくっているだけで全然主体性がないんですね。だから彼女のシーンは純粋に「山本美月鑑賞タイム」以外の何物でもありません。アツコには「剣道入学なのに剣道ができない」っていう負い目と、「それによりイジメられたとしても適当に謝ってりゃいいだけだから楽は楽」という葛藤があります。葛藤はありますが、そこから欲求が生まれません。じゃあどうしたいの?っていう部分が無いんです。たまたま流れで痴漢詐欺に加担して、たまたま学校の体育の補習で老人ホームへ行って、たまたま流れでバァちゃん助けて、、、みたいに全部たまたま。唯一アツコが自分から動くのが「ヨルの綱渡りを読みたい!」とタカオに頼むシーンなのですが、ここではじめて「アツコはユキと仲直りしたかった(※というかアツコが勝手に誤解してただけ)」という意思が見てとれます。ところがこれもう2幕目の終わりなんですね。今かよ、、、ていう(笑)。これならアツコの主観シーンを丸々全部カットしちゃって、ユキをメインにして構成したほうがよかったんじゃないかなと思います。ユキには「オグラが自殺したことで人の死を目の前で見たくなる」という欲求があり、ストーリーがちゃんと転がってますから。「人の死」どころか目の前で人が刺されただけでビビって逃げ出しちゃうレベルの「中2病的格好つけ」ですけど(笑)。

でも、やっぱ可愛ければいいじゃん!!

とまぁストーリーや演出部分には不満タラタラなわけですが、一方で俳優さん達をみるとこれ本当にいい感じです。ダブルヒロインのモデルコンビは本当に現実感がないくらい見た目が整っていまして、しかも両名とも物凄い棒読み演技。こういうと悪口みたいですが、この映画の浮世離れした寓話的雰囲気にとてもマッチしています。ストーリーのわざとらしさと演技のわざとらしさが奇跡的にいい感じに合っているので、とっても魅力的です。この時点でアイドルPV映画としては十分じゃないでしょうか?真剣佑や稲垣吾郎もいつもの棒演技ですが、まったく違和感がありません。俳優陣的にラッキーなのか怪しいですが(笑)、テイストの統一はきちんと出来てます。

【まとめ】

たぶん本作に何を期待するかでバッくり評価が別れると思います。もし学園サスペンスや重々しい文芸作品を期待するなら、本作はペラッペラでとてもじゃないですが厳しいです。ただ、もし話に一切期待しないで山本美月や本田翼のファンとして見に行くなら、これはもう絶対見に行ったほうがいいです。むちゃくちゃ魅力的に撮れています。本田翼がちょくちょく菊地凛子に見えますが、それもたぶん棒読み・オカッパ・ちょい吊り目だからでしょう。なんか近作の「SCOOP!」といいこのパターンが多いですが(笑)、「なかなか俳優の魅力を引き出しつつ話も面白い!」っていうのは難しいなというのが率直な感想です。ということで、両ヒロインのファンの方は必見ですよ!両ヒロインに興味が無い映画ファンの方は、そっと記憶から消しときましょう(笑)。

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