バイオハザード:ザ・ファイナル

バイオハザード:ザ・ファイナル

本日の2本目はこちら

「バイオハザード:ザ・ファイナル」です。

評価:(30/100点) – 小じんまり、まとまりました。


【あらすじ】

前作までいろいろあって、アリスはワシントンに居た。ワシントンで彼女はレッドクイーンからのメッセージを受け取る。実はアンブレラ社は「エアボーン・アンチTウィルス」を隠し持っているというのだ!すべてのTウィルス感染体を死に至らしめる強力な薬を手に入れるため、アリスは始まりの地・ラクーンシティの「ハイブ」へと向かう。レッドクイーンの示した人類滅亡へのタイムリミットは48時間。果たしてアリスはアンチTウィルスを手に入れることができるのか?

【三幕構成】

第1幕 -> ワシントンでレッドクイーンと遭う
 ※第1ターニングポイント -> アリスがラクーンシティに着く。
第2幕 -> ゾンビ軍団との対決とハイブへの侵入
 ※第2ターニングポイント -> 最深部に着く
第3幕 -> アリスの正体とアイザックスとの決戦


[スポンサーリンク]

【感想】

さて、本日はスクリーン・ジェムズ作品が連続となりました。2本目はシリーズ6作目の「バイオハザード:ザ・ファイナル」です。なんだかんだで1作目が2002年ですから、もう14年もやってるんですね。1作目は井筒監督がテレ朝の「こちトラ自腹じゃ」でボロクソに叩いていたのをいまでも覚えています(笑)。1作目はたしかにダメダメではありましたが「走るゾンビ」を発明したエポックメイキングな作品でした。この作品で走り始めたゾンビは、ついに本家シリーズの「ドーン・オブ・ザ・デッド(2004/リメイク版)」でも取り入れられ、市民権を得ます。いまや何の違和感もなく、多くの作品でゾンビたちは元気に人間を走って追いかけています(笑)。

そう、そんな歴史的なシリーズの最後ですから、これはもうファンなら行くしか無いわけです!!!っと気合を入れてみてみますと、これね、ファンサービスしてくれてるのはわかるんですが、結構がっかりポイントがてんこ盛りです(笑)。

せっかく登場したドクター・アイザックスとウェスカーはとんでもなく小者になり、シリーズ全部の意義を吹っ飛ばすレベルです(笑)。しかも1作目を全否定するように「実はTウィルスはアンブレラ社の陰謀でわざと撒かれたのだ!」みたいな話まで飛び出します。いやいや、1作目でレッドクイーンが超慌ててハイブを閉鎖しようとしてたじゃん。っていうか、本作で出てくる陰謀が本当だとすると、そもそもハイブにTウィルスを撒く理由がないじゃん。もっと遠くで撒けよ、、、。とまぁいろいろとアレな事になっております(笑)。これですね、ある意味ヤケクソといいますか、さすがポール・駄目な方・アンダーソン監督(※注)。頑張っているのはわかるのにすごいヘンテコなことになっています。ファンサービスがファンサービスにあんまりなっていません(笑)。

※注 ポール・アンダーソン監督は世界に二人おります。本作の監督・ポール・ウィリアム・スコット・アンダーソン監督は駄目映画ばっかりとっており、一方のポール・トーマス・アンダーソン監督はカンヌ・ベルリン・ベネチアを総なめにしております。このため映画オタクの間では俗称として、ポール・駄目な方・アンダーソン、ポール・出来る方・アンダーソンと呼び分けられます(笑)。

そう、本作ではファンサービスしようという意図は伝わってくるんですね。最終作なので舞台は1作目に戻ります。そして「対ゾンビ戦」ではなくて1作目の醍醐味であった「対殺人トラップ」にフォーカスされる。ちゃんと1作目で出てきた有名なレーザートラップも再登場します。とても気を使ってくれているのがわかります。でもですね、その割にメイン級の悪役の扱いが本当に酷いです。なんかもうキャラ崩壊しているレベルで、あれだけ強かったウェスカーがまさかそんな社畜的な意味で負けるなんて、、、という、、、なんでSFアクションホラー映画を見て私たちはサラリーマンの悲哀を感じなければいけないのかと(笑)。

そんなこんなで、せっかくのシリーズ最終作にも関わらず、シリーズが好きであればあるほどがっかりするという残念な事態になってしまいました。もはや誰向けなのかすらよくわかりません、、、。シリーズ初見では意味がわからないと思いますし、シリーズファンだとあまりに雑な展開に悲しくなってきます。ということで、この映画は無かったことにしましょう(笑)。

もとはといえば、4作目で完結するはずだったものを無理やり続けさせたスクリーン・ジェムが悪いんですから、ポールは悪くない!たぶん、、、きっと、、、いや、6割ぐらいはポールのせいかも(笑)。個人的には動いているアリ・ラーターを久しぶりに見れたのでそれだけでも良しとします!ということで、オススメ、、、しと、、、きま、、、、しょう、、、、、か?しときましょう!ポールも言ってるじゃないですか!

「ジャン・リュック・ゴダールも言っているように、女性と銃だけで映画は成り立つ。このコンセプトはクールでセクシーだよね」
出典:日刊ゲンダイweb 監督インタビューより
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/196257

やっぱダメだこの人(笑)。

[スポンサーリンク]
記事の評価
ドント・ブリーズ

ドント・ブリーズ

今日は2本です。1本目は

「ドント・ブリーズ」を見てきました。

評価:(70/100点) – 一発ネタの嵐でサービス満点


【あらすじ】

デトロイトの田舎町。ロッキー、マニー、アレックスの3人は、いつかこのつまらない田舎を抜け出してカリフォルニアへ行くために、強盗をしてお金を貯めていた。
ある時、マニーはギャングから街に30万ドルもの大金をもった爺さんが住んでいるという話を聞く。しかも家はゴーストタウン。周りには全く人が住んでいない。楽勝だと判断した3人は、意気揚々と強盗へ乗り込む。しかし、爺さんは凄腕の退役軍人だった、、、

【三幕構成】

第1幕 -> 爺さんの噂話
※第1ターニングポイント -> マニーが殺される
第2幕 -> 家から脱出せよ!
※第2ターニングポイント -> ロッキーが脱出する
第3幕 -> 最終決戦


[スポンサーリンク]

【感想】

さて、今日は今一番の話題作と言っても良い「ドント・ブリーズ」を見てきました。有楽町のみゆき座に行ってきましたが、完全なフルハウス。実は先週も見ようとして満員で諦めました。公開感が少ないからかものすごい混み方です。

この作品はアメリカの夏休み映画で、かなりわ話題になっていました。制作費10億円で興収は150億円オーバーですから大したもんです。監督はフェデ・アルバレス。残念な出来だったリメイク版「死霊のはらわた(2013)」で大抜擢された監督です。本作も引き続きサム・ライミがプロデューサーを務め、ジャンルものである「小屋に閉じ込められちゃったホラー」をやっています。

さて、ここでお約束です。本作は完全なるジャンルムービーであり、そして感心するほどのジェットコースターシチュエーションムービーです。ですから、ネタバレは作品価値を著しく損なう恐れがあります。私はこの後極力ネタバレ無しで書いていきますが、どうしても少々勘づいてしまうかもしれません。未見の方はお気をつけください。

これはシリアス版ホームアローンだ!

強盗が家主にひどい目にあわされて撃退されるというと、やはり筆頭は「ホームアローン」でしょう。今回は強盗側が主役ではありますが、やっていることは同じです。舐めてかかった盲目の爺さんは、実は近接戦闘最強の屈強のファイターです。とてもじゃないけど近づいたら勝ち目はありません。そしてそんな爺さんが拳銃まで持っています。こんな絶体絶命の状況の中で、ヘタレだけど献身的なアレックスは、惚れた女・ロッキーを守りつつ脱出の糸口を探していきます。

そう、これですね、主人公側は間違いなく強盗犯でありクズの集まりです。どう考えても盲目の爺さんは被害者なので、序盤は「爺さんやっちまえ!」と応援したくもなるのですが、これがとある展開で急に爺さんもアレだというのが発覚しまして、そこから先はもう感情移入もへったくれもない「アレな若者vsアレな爺さん」のグズだらけの異種格闘技戦が展開されます(笑)。

ですから、なんというか全体的にはあんまり応援とかどっちの立場でとかそういう映画じゃないんですね。完全にシチュエーションホラーであり、「なんとなく不穏な事」「すごい嫌な描写」を叩き込みまくってくる映画です。後味最悪。そしてどういう顔をして見ていいかわからない。でもなんか楽しい、という(笑)。これ、いうてみればバトルものだと思うんです。「貞子vs伽倻子」とか、「エイリアンvsプレデター」とか、なんかこう「悪役同士のバトルで両方アレだけど楽しい」というプロレスです。

そういった意味では、本作はとてもサービス精神が旺盛です。ほぼ全ての細かい描写がきっちり伏線になってます。例えば序盤で出てくるバールなんかはしょっちゅうほっぽられながらもちゃんと全編通して万能アイテムとして再登場し、その都度工夫をもって使われます。こういう小技は見事です。制作側がすごく気を使ってプロットを練っているのが伝わってきます。そして、カギやバールや拳銃や犬や、全ての「アイテム」「仕掛け」が絡みあってきます。だからこれ、すごくアクションアドベンチャーゲームっぽいんですね。こっちでこのアイテムを手に入れて、それをあっちで使うとこうなって、でも同じアイテムを後から別の用途に使う、みたいな。すごく練り込んだプロットが災いして、「シナリオちっく」でありちょっと事務的なところがやけに目につきます。多分監督がジャンル映画を撮るには真面目すぎるんだと思います(笑)。

【まとめ】

面白いかどうかで言えば間違いなく面白いですし、もう1回見たいかといえばもう1回と言わず2回はみたいです。でもあんまり「諸手を挙げて大ガッツポーズ!」って感じではないです。単に後味が悪いからなのか、それともメリハリがないからなのか。80分少々のタイトな映画ですが、畳み掛けてくる情報量は多く、結構疲れます(笑)。

クリスマスのデートムービーとしてはちょっとどうかと思いますが、見ておいて損はない良作です。

[スポンサーリンク]
記事の評価
アイアムアヒーロー

アイアムアヒーロー

本日は

「アイアムアヒーロー」をレイトで見ました。

評価:(86/100点) – 亡きシアターNへ捧ぐ


【あらすじ】

ヒデオは漫画アシスタントである。15年前に新人賞をとって華々しく業界入りしたものの、いまやそれも過去の栄光。ヒモ同然の生活を送っている。
ある日、同棲中の彼女と喧嘩したヒデオが仲直りをしようと家へ戻ると、そこには変わり果てた彼女の姿があった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ヒデオの鬱屈とした日常
 ※第1ターニングポイント -> パンデミックが起きる
第2幕 -> 富士山への旅とアウトレットモール
 ※第2ターニングポイント -> ヒデオがロッカーから飛び出す
第3幕 -> ゾンビvsヒデオ


[スポンサーリンク]

【感想】

公開からちょっと経ってしまいましたが、本日はアイアムアヒーローを見てきました。私は漫画を完全に未見でして、前知識も「ゾンビ映画である」ことしか知りませんでした。ただ結構評判がいいというのは聞いてましたので、結構ハードルは上がっていました。そんな中で実際見てみまして、、、これね、凄い良いです。めちゃくちゃ良く出来てます。「100%完璧!手放しで大絶賛!」とまではいかないんですが、でも見終わっての率直な気持ちは、日本だって「ゾンビランド」に近いレベルの作品が作れるんじゃん!という素直な喜びです。
今日はですね、もうさんざん言われてるのかもしれませんが、このアイアムアヒーローをガッツリ褒めます。いや本当に良かった!

ここで一応のお約束です。本作はアクション・スプラッター・ホラー映画です。決してお上品な作品ではないですし、予告を見ればある程度の話はわかってしまいます。今回も褒めるにあたり物語の最後の方まで書きますので、未見の方はご注意ください。

これは素晴らしき「終末負け犬映画」である!

本作は、「第9地区」や「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」、それこそ直接的には「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ゾンビランド」と同じ、「終末負け犬映画」です。
「終末負け犬映画」とは、冴えなかったりなにか致命的な欠点(※アル中とか)のあるダメ人間の主人公が、終末を迎えて完全実力主義のサバイバル世界になることで、その才能を活かしてダメ人間からスーパーヒーローに成り上がるというフォーマットです。つまり、これこそ世間に対して若干負い目のある我々(と断言しますがw)非リア充の妄想であり、「未知との遭遇」のように「いつか宇宙人がこないかな~」とか思ってることそのままの具現化なわけです。
さて、本作の主人公「ヒデオ」は完全無欠の負け犬キャラです。漫画家アシスタントで事実上のヒモ状態。過去の栄光にすがりお先真っ暗な上に彼女ともルーズな関係。趣味はクレー射撃。人はいいがしょっちゅう現実逃避をしている。こんな状況の中で、ある日急にゾンビ病のパンデミックが起こるわけです。こうなればヒデオの「クレー射撃」の趣味は最強の武器になります。ところが人がいいヒデオは悪人はおろかゾンビでさえも撃てない(笑)。うじうじうじうじ悩み続けるヒデオが遂に勇気を振り絞るきっかけとなるのは、自分の危機ではなく自分を救ってくれた女子高生・ヒロミのピンチなわけです。やっぱね、漢なら妄想の中で一度や二度は可愛い女の子を助けたことがあるわけですよ(笑)。それを恥ずかしげもなくきっちりと、最高に熱血な展開でスクリーンで見せてくれるわけです。これはもう大喝采を送るしかないです。

しかもですね、最後のシーンで長澤まさみ扮するヤブとヒデオがゾンビの返り血を顔に浴びまくっているのをゆっくり見せる描写まで入れてきます。これはつまり二人がゾンビに感染してしまう可能性を示唆しているわけで、決してハッピーエンドではないんですね。ゾンビはまだまだいっぱいいて、安全という富士山頂も本当に安全かなんてわからない。しかも自分たちはゾンビに罹った可能性すらある。それでもヒーローなんだから女子供は守るんだっていう完全なるルサンチマンでありマッチョイズムであり、でもそれって絶対に漢ならだれでも持ってるヒーロー幻想です。単純に「覚醒したから無敵」という甘えたところに落とすわけではなく、あくまでも負け犬のルサンチマンに帰ってくるこのラストこそ、本作を良作にしている決定打です。
田嶋陽子あたりに見せたら口から泡吹いて卒倒しそうですが(笑)。

ちゃんとゴア描写にも意味がある

本作がさらに素晴らしいのは、きちんと物語のテンションに合わせてゴア描写がエスカレートしていくところです。最初はまったく大したことが無いですし危ない所ではカメラが外れるのですが、だんだんと直接的にゾンビを殺すところが映るようになっていき、最終的にはクライマックスでヒデオのゾンビ大虐殺をきっちり見せます。こういう映画のゴア描写って結構サービスショットな側面が強く、ただグロいだけで緩急がついてないことが良くあります。典型的なのは「SAW3」とかですね。グロいけどそのグロさにあんまり意味が無いという。本作では、ちゃんと意味があります。ボスとして出てくる高飛び学生のゾンビなんかが典型で、高飛びをするから頭が凹みまくっており、そして頭が凹みまくってるから急所が隠れてなかなか頭の完全破壊ができないという、ちゃんとロジックが通ってます。こういうのってきちんと脚本を練らないといけないので面倒くさいんですよね。でも本作ではきちんとやっていて、とても好感がもてます。

惜しかった所:女性陣の非有効活用

今回、唯一おしいと思ったのが有村架純扮するヒロミの使い方です。ヒロミはいうなれば人間とゾンビのハイブリッドであり共生体なわけですね。それだったら当然、ワンダーウーマンよろしく覚醒して戦闘したり、またはヒロミの血からゾンビの特効薬ができたりとかいろいろ活用できるはずです。でも本作のヒロミは完全にマスコットなんですね。有村架純のちょっと丸っこい整った顔立ちって、すごいお人形さんっぽいんです。菜々緒のバービーっぽい感じじゃなくて、どっちかというと雛人形的な和風な感じ。これがヒロミの独特のマスコット感ととてもマッチしていて凄い魅力的です。「この子のためならヘタレが勇気を振り絞って立ち上がっても不思議じゃないな」という存在感・説得力があります。この立ち振舞は完璧なので、もっと活用して欲しかったです。

一方の長澤まさみはですね、こっちは看護師なので当然有村架純をつかってゾンビ病の究明をするのかな、、、、と思っているとまさかの肉弾アクション担当w 意外性はあっていいんですが、だったらせめてもうちょいサービスしてくれないかな、、、とちょっと拍子抜けな面がありました(笑)

総じてこのメイン級女優の使い方はちょっともったいないです。

【まとめ】

本作は、本当によく出来たジャンルムービーです。嬉しいのは、こういう作品がTOHOシネマやイオンシネマなんかの大手シネコンで掛かっているっていうこの状況なんですね。昔だったらこの手の映画は銀座シネパトスかシアターNでレイトショー限定が当たり前でした。それがほぼ全国どこでも見られるというのはとても素晴らしいことです。これはもう駆けつけるしかありません。CGバリバリとはいえグロいっちゃあグロいですから、そこだけは注意してください。あと、デートやファミリーは辞めたほうがいいです(笑)。私はGW終わりぐらいにもう一回見に行こうとおもいます。今度はポップコーンと生ビールを抱えて(笑)。とてもいいお祭り映画でした。

[スポンサーリンク]
記事の評価
レヴェナント:蘇えりし者

レヴェナント:蘇えりし者

本日はアカデミー賞3部門制覇の

「レヴェナント:蘇えりし者」を見てきました。

評価:(78/100点) – 世界一暗いアイドルムービー


【あらすじ】

西部開拓時代、ミズーリ川の上流で毛皮狩りをしていた一行は、インディアン・アリカラ族に襲撃され、命からがらベースキャンプへと撤退するはめになってしまう。しかしその撤退の途中、一行の道案内をしていたグラスが熊に襲われてしまう。なんとか熊を殺したものの、彼は瀕死の重傷を追ってしまう。グラスが足手まといと判断した隊長のヘンリーは、グラスの息子のホーク、一行で最年少のブリッジャー、そして罠師のフィッツジェラルドの三人を見届人としてグラスの最期を看取るよう託し、一行を引き連れて先にベースキャンプへ向かってしまう。一行に早く追いつきたいフィッツジェラルドは、グラスに止めをさそうとする、、、

【三幕構成】

第1幕 -> アリカラ族の襲撃とベースキャンプへの敗走
 ※第1ターニングポイント -> グラスが熊に襲われる
第2幕 -> グラスが必死にベースキャンプへと戻る
 ※第2ターニングポイント -> グラスがベースキャンプへと帰還する
第3幕 -> グラスの復讐


[スポンサーリンク]

【感想】

それでは久々の完全新作映画、本日は公開ホヤホヤの「レヴェナント:蘇りし者」です。
レオナルド・ディカプリオのアカデミー賞主演男優賞初受賞がなにかと話題になりがちですが、撮影賞と監督賞もきっちりとっています。年明け早々ぐらいから劇場予告が流れていましたから、それだけは何十回と見ていました。なんとなく、「息子を殺されたディカプリオがトム・ハーディの一味をぶっ殺していくセガール的な復讐アクション劇なのかな?」と思っていたら、開けてびっくり完全な「大自然サバイバルもの」でした(笑。

ここでいつものお約束です。次パートからはガッツリとネタバレを含みます。本作は予告で流れていることが、ほぼ全てです。映画予告では禁じ手である「2幕目以降を見せる」というのも平気でやっており、あまつさえ密かにしれっと3幕目のシーンまで予告に入ってます(笑)。なのでネタバレもあってないようなものなのですが、念のためご注意下さい。

本作のとてもよいところ

本作には「もうこれだけで十分お腹いっぱい」という良い所が3つほどあります。

まずは、序盤というか映画の冒頭です。まるで一人称視点(POV)のようにグネングネン動くカメラの長回しワンショットで、アリカラ族の襲撃が描かれます。ここはもう臨場感満点で本当に怖いです。本気でよこから矢が飛んでこないかな~とかなりドキドキします。ここは100点満点。

そしてその次が今作最大の目玉であるクマちゃん襲撃シーンです。このクマがですね、本当に可愛くて、かつ本当に怖い(笑)。臭いを嗅ぐ仕草とか、ちょっとディカプリオをいじって転がす仕草とか、めちゃくちゃ本物っぽい(っていうかネコっぽい)リアルさがあります。これも満点。

最後にこれは全編を通してですが、やはりこの「スペクタクル感」ですね。これは「スペクタクル映画」の代名詞であるリドリー・スコットとはまた別の意味で、ものすごい威圧感のある「大自然」をきっちりと撮れています。見渡すかぎりの雪山と終わりの見えないミズーリ川。そしていつどこから襲われるかもよくわからないような木々。このスケールは本当にすばらしいです。おそらくこの映画を見て、これがアカデミー賞撮影賞を取ったことに疑問を持つ人は一人もいないのではないでしょうか?この画作りだけで、この映画のスペクタクル感は満点です。もうね、この景色を見るだけにでも映画館の大画面を使う価値があります。小学校の卒業旅行で釧路湿原を見たときの神々しさを、何故か突然思い出しました(笑)。

それで肝心のストーリーなんですがね、、、、

画作りが完璧となれば、当然次はストーリーテリングに行くわけです。でですね、これがですね、なんというかですね、、、、、、、、ひどい(笑)。

本作のテーマ「信仰心の回復」について。

プロット自体は大変シンプルで、瀕死のグラスことディカプリオが呻きながらひたすらベースキャンプを目指すという話が2時間ぐらい続くわけです。はっきりとはわかりませんが、劇中時間で1ヶ月弱ってところでしょうか? グラスは驚異的な回復力を発揮しながら、ひたすらベースキャンプを目指します。いろいろご都合主義的な展開が重なりまして、ついにベースキャンプの捜索隊が彼を見つけて2幕目が終わるわけです。

いまシレっとご都合主義と書きましたが、もちろんイニャリトゥ監督のことですから単純なご都合主義なんて、いけしゃあしゃあとはできません。劇中でこのご都合主義がなぜなのか、きちんと説明してくれます。それでもって肝心の理由ってのがですね、、、「神の祝福を受けていたから」。



そこかっていう、、、、ね(笑)。

本作では、史実というか伝説に基づいたグラスの奇跡の帰還にプラスして、明確に「信仰心」という根拠が示されます。グラスは瀕死の中で幾度と無く、亡き妻の幻と邂逅します。そして彼女の幻は、息子の復讐を求めず、ただグラスが生きる残ることのみに集中させようとちょっとしたサバイバル・トリビアを披露してくれます(笑)。しかしグラスは息子の敵討ちを生きがいとして、信仰心を抑えてあくまでも「人間の力」でサバイブしていくわけです。この悲しいスレ違いがず~っと続きます。しかし、ガーディアン・エンジェルとなった妻のおかげで、グラスは神様から祝福を受け続けます。そして最後の最後で、彼は復讐よりも信仰を選びます。それによって「超ご都合主義」ともとれる奇跡的な巡り合わせを引き寄せ、彼はアリカラ族の敵ではなくなります。そして、ラストシーンで彼は祝福を受け、幻の妻の姿を見るわけです。

このグラスの対比というほどではないのですが、劇中ではあと2名、「信仰」によって運命が変わる者がいます。一人はブリッジャー。ブリッジャーは逮捕される直前に神に許しの祈りを捧げ、そしてその祈りがとどきます。結果としてグラスの証言により無罪(減刑かも?)となります。

もう一人はフィッツジェラルドです。彼は自分勝手な糞野郎ですが、一方で彼の行動は非常に現実的かつ合理的です。信仰が非合理・非利益重視な行動であるとするなら、彼はまさにその対局の現実主義者かつ合理主義者なんです。彼は最終盤、グラスに対して復讐の無意味さを説きます。「復讐したからって息子は生き返らない。」「なんの意味があるのか? 」「命のリスクを犯すだけ無駄である」と。これは明らかに人情ではなく合理主義からくるセリフです。そしてこれによって、図らずもグラスは復讐の無意味さに気づいて信仰を取り戻すわけです。そして信仰を持たないフィッツジェラルドは、アリカラ族と偶然居合わせるという「天罰」に遭遇するわけです。彼は物語の中盤でリスの寓話をもちだして信仰の無意味さと馬鹿らしさを語りますが、結果として「信仰不足」によって地獄に落ちるのです(笑)。

大自然、神への信仰、とくれば「おまえテレンス・マリックか!?」とツッコミが入るわけで(笑)、これは例のごとく宗教の勧誘ではないかという、、、、ね。

ちなみにですが、本作の中でグラスは、ネイティブ・アメリカンと結婚した欧米人という扱いのため、一口に「宗教」といっても自然信仰とキリスト教が混ざってしまいます。この作品では、「欧米人にやられたバッファローの頭蓋骨の山」「荒廃した基督教会」が何度も登場しますので、おそらく土着の自然信仰の話かと思います。自然信仰ならば、当然雪山とか川にいる妖精さん(=この場合スピリッツでしょうか。タバコの銘柄じゃないですよ^^;)への信仰ですから、極寒サバイバルにはご利益がありそうです。

純粋なサバイバルものとしては結構頑張ってるよ!

とまぁここまで全体的なことを書いてきたわけですが、さて細部に目を向けてみると、、、これ結構よく出来ています。たとえば喉の傷を焼いて塞ぐのに火薬を喉にちょっとつけて自爆したり、たとえば背中が壊死して膿んできたのを枯れ草をつかって乾かしたり、ほかにも人工サウナで一気に全身消毒したりとかですね、「サバイバルあるある」としてのネタはふんだんに取り入れられています。極めつけは、馬の例のアレですね。マーユ(馬の油)って火傷や切り傷なんかの皮膚外傷にめちゃめちゃ効果的な「天然の軟膏」なんですね。しかも一番よく取れるのは馬の腹部です(笑)。ですから、「一晩中馬のぬくもりを全身に感じると一気に回復する」っていうあのシーンはよく出来てます(笑)。
細かいディティールは本当に凄いんです。ここまでイヤ~なリアリティを描いたサバイバルものってあんまり記憶にありません。個人的には、見ている間中「THE GREY 凍える太陽(2012)」を思い出してました。

ただですね、やっぱ長いんですわ、この映画(笑)。なんせ3時間近くあるわけで、しかもそのうち2時間くらいがディカプリオが逃げてるか呻いてるんです。たしかに「観客に、グラスのいつ終わるともしれないサバイバルの苦痛と閉塞感を擬似体験させるため」という理由はあるんですが、やっぱ圧倒的な大自然映像を2時間以上見せ続けられるってのはきついです。絵的には代わり映えしないですからね。そうすると、体感時間はどんどん伸びてっちゃうわけです。

難しいところなんですが、この映画ってたぶん「エンタメ映画」を目指してないと思うんですよね。映画って企画時点で結構明確に「賞レース用」「お金儲け用」って分けるんですが、これは明らかに前者のアート寄りな映画です。なので「ちょっと退屈」ぐらいの温度感を意図的に狙ってるような気がします(笑)。

【まとめ】

いいシーンもいっぱいあったんですが、でもやっぱり「長くて代わり映えしないな~」というのが強く出てしまいました。2回目を見たいかって言われるとあんま、、、。正直なところ、これが「監督賞」を取ったというのはあんまりしっくりきません。あえていうなら「よくディカプリオをここまで追い込んだ。ナイス演出!」ってところぐらいなので、実質的に監督賞のトロフィーもディカプリオにあげていい気がします(笑)。

これですね、大変下世話にいってしまえば「ディカプリオがこんなに頑張ってる!」というアイドル映画ど真ん中の「アイドル応援ムービー」なんですよね(笑)。でもアイドル映画としてはちょっと記憶にないくらい「暗い」し「傷だらけ」です(笑)。そういう意味では、大金をかけて強烈にスペクタクル度をあげた「私の優しくない先輩」だと思って見に行っていただけるといいと思います。
”イケメンアイドル・レオ様”からの脱却をテーマにして頑張ってきたディカプリオが、初めてアカデミー主演男優賞を取ったのがアイドル映画だった」っていうのはなんかトンチが効いてていいですね(笑)。要チェック作品なのは間違いありません。ぜひぜひ劇場で御覧ください。

【おまけ】小ネタについて

■ ネタ1:砦のバーでの隊長とフィッツジェラルドの会話

物語の終盤で、ヘンリー隊長がフィッツジェラルドに「300ドルは必要経費(=おまえが余分な物資を買ったこと)になってる」と告げるシーンが有ります。直後フィッツジェラルドが外に出て立ち小便をしようとするもヨレヨレフラフラで、、、というシーン。ここがわかりづらいようなので私なりの解釈を。
そもそもこのご一行はクマとか鹿なんかの毛皮を半年~一年とかのスパンで採るための狩り集団です。会計上、300ドル(=当時としては田舎に農場が買えるくらい大金)を無理やり捻出しようとすると、「消耗品をいっぱい買った/使った」とするしかないわけです。隊長は上記のセリフでこの消耗品ってのを「フィッツジェラルドが罠の材料をいっぱい買った」としました。公式記録上は、ですね。
そうするとですね、実はこれは「フィッツジェラルドの罠師としてのキャリアがほぼ終了した」っていう死刑宣告なんですね。だってそんな大金を無駄な罠に使いまくるってことは、罠師としては無能極まりないですから。そんな人はだれも雇いません。しかも隊長はあくまでも隊長ですから、オーナー(=スポンサー/隊長の雇い主)が別にいるわけで、そちらから無駄に使った分の損害賠償/補填を求められる可能性もあるわけです。
これを受けてフィッツジェラルドは、完全に自分がこの一行にもういられないことを悟って、しこたまお酒を飲んで泥酔するわけです。立ちションもできないくらい。これが直接的に逃亡に繋がるんですね。つまり、フィッツジェラルドは完全に追い込まれており、逃亡は成り行き上仕方ないんです。

■ ネタ2:フィッツジェラルドのヘンリー隊長頭皮剥について

上記の会話にプラスしてグラスが生き残っていたことがわかった時点(水筒を見た時点)で、フィッツジェラルドは逃亡します。逃亡中にフィッツジェラルドがヘンリー隊長の死体の頭皮をハンニバル・レクター並に剥いでる点について「フィッツジェラルドが野蛮である」という指摘がありましたので補足をします。
このシチュエーション時には、フィッツジェラルドは追っ手が何人いるか分かっていません。当然自分の痕跡は消したいです。銃声までしちゃってるので、別の追手がいたら駆けつけるのは間違いないですから。なので、彼はアリカラ族の仕業に見せるために頭皮を剥ぐわけです。幸い、アリカラ族はフランス人から鉄砲を買ってますから、頭さえ剥いじゃえばそんなに不審な点もありません。

これが本映画のラストシーンにつながります。

■ ネタ3:フィッツジェラルドの死が切腹である点

これは大変細かいネタなのですが、フィッツジェラルドの死は「切腹」を連想させるようになってます。本作の映画音楽では、担当する坂本龍一のオリジナル・スコア以外に、同じく坂本自身が担当した「一命(※三池崇史&海老蔵のやつです)」のメインテーマがそのまま流用されています。他の映画からテーマソングをまるまる持ってくるっていうのは、つまりオマージュだったりテーマを借りてきているわけです。タランティーノと一緒(笑)。
本作でどこが一命=Hara-Kiri: Death of a Samurai かというと、これはフィッツジェラルドです。彼は自分で握ったナイフをグラスに掴まれて、腹を刺され、そこから横一文字に切られます。まんま切腹です。そしてその後、アリカラ族に頭皮を剥がれ(=頭をとられ)絶命・介錯されます。
映画上はこれはグラスによる死刑ではなくて、神の手に委ねた結果だと描かれています。絵的にはちょっと無理がありますが(笑)。
それでですね、じゃあ切腹とはなんぞやという話なんですが、外国人からみた場合これは「自分の行為の責任を潔く取ること」なんですね。つまり、フィッツジェラルドを切腹させたということは、「これは他者から悪として成敗されたのではなくて、自ら招いた責任を取らされたんだよ」という表現なわけです。ここでも繰り返し「フィッツジェラルドは悪ではなく、ただの合理主義者である」ということが強調される良いシーンとなっています。分かりにくいですが(笑)。

もっと言ってしまえば、「息子の敵討ちに行く」っていう時点で、まぁ「一命」ですよね(笑)

途中のデルス・ウザーラのパロディとかを見るにつけ、本作は結構な割合で日本映画/サムライムービーを意識してくれています。

[スポンサーリンク]
記事の評価
ヘイトフル・エイト

ヘイトフル・エイト

復活2回めはこちら

ヘイトフル・エイト」です。

評価:(82/100点) – 超強化型ショ○ンKの感動作


【あらすじ】

舞台は冬のワイオミング、賞金稼ぎのウォーレンは吹雪に追われるなか、馬が倒れて立ち往生してしまう。そんな時、1台の馬車が通りかかる。乗っていたのは同じ賞金稼ぎの「首吊り人」ジョン・ルース。彼は1万ドルの賞金首である女殺人鬼・デイジーを連行中であった。道中、新任保安官として街に向かうクリスも同行し、4人と御者の珍道中が始まる。
しかし、猛吹雪に追いつかれてしまった一行は、道中の”道の駅”ミニーの店で足止めを余儀なくされる。あいにくミニーは留守中であったが、そこには4人の先客がいた、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ウォーレンとクリスが馬車に乗り込む
 ※第1ターニングポイント -> ミニーの家に到着する
第2幕 -> ミニーの家での一夜と事件発生
 ※第2ターニングポイント -> ウォーレンが撃たれる
第3幕 -> 解決編


[スポンサーリンク]

【感想】

こんにちは。きゅうべいです。もうすでに2番館上映になってしまっていますがご容赦ください。本日はタランティーノ・最新作にしてアメカジファン垂涎のヘイトフル・エイトです。なんでアメカジファン垂涎かと申しますと、実はこの映画、ほぼ全編の衣装があの「RRL(ダブルアールエル)」なんですね。ご存知「ラルフローレン」のカントリー・トラディショナル・ラインでして、元も子もない言い方をすれば、西部劇のコスプレ服みたいなのを高く売ってるブランドです(笑)。その「コスプレ服」が本当の西部劇に使われて、しかもそれがボロ布のようにバンバン血糊やら酒やらで汚れていくという、、、とっても贅沢なひとときを楽しめますw

いきなり「楽しめます」と書いちゃいましたが、本作は無類に面白い「雪山サスペンス」です。正確にはサスペンスってほど謎のある事件ではないんですが、いうなれば超よく出来た最上級の「古畑任三郎」って感じです(笑)。タランティーノ作品を見たことがある方はピンと来てもらえると思います。タランティーノ監督を紹介する際には、よく「過去の名作」や「B級キワモノ映画」のマッシュアップ部分が取り挙げられますが、それ以上に彼の特徴というのは「ダラダラと続く登場人物のひとりがたり & 無駄話」にあります。武勇伝であったり、脅しであったり、はたまたガールズトークであったり、いろいろパターンはあるんですが、劇中でかならず「ダラダラとした無駄話」がはいります。これって、すごく雪山サスペンスと相性がいいと思いませんか? だって、雪山サスペンスってことは基本的には舞台や登場人物が狭いわけで、必然的にみんなでしゃべりまくるしか無いわけです。
ということで、本作は「タランティーノ meets ソリッドシチュエーション」ってだけでもう勝利が約束されたようなものなんです(笑)。

ということで、お約束です。
本作は、第2ターニングポイントをきっかけに、ストーリーがガラッと代わります。ネタバレは極力しないように書きますが、しかしこの「展開」については少々書きたいと思います。もし未見の方は是非劇場にいっていただいてご覧になってからにしてください。最近は劇場公開が終わってからDVDになるまでも3ヶ月ぐらいと早いですから、もしお近くに公開館がない場合でも、是非「これはは見るべし」リストに加えていただいて、是非ご鑑賞ください。いやね、マジで面白いですよ。

話の概要

本作のタイトル「ヘイトフル・エイト」はもちろん「ちょ~イヤ~な8人」を指しています。そしてタイトルどおり、本作に登場する人物は、御者の「O.B.(オービー)」を除いて、ものすごいクセモノがそろっています。南軍・北軍の対立あり、超差別主義者のオラオラ系あり、そして明らかに口だけがうまい曲者有り。役者の豪華さもさることながら、「こんだけ揃ってて殴り合いにならないほうがおかしいわ」というレベルで強烈なメンバーがそろっています。そしてお得意の「無駄話」の数々。映画自体は約3時間と強烈に長いのですが、その長さが「早く外に出たいな~」というまさに登場人物たちが吹雪の小屋で思っていることそのまんまの共感につながり、そして三幕目の血みどろのカタルシスに繋がるわけです。

事件という事件は「コーヒーポットに毒が入れられた件」という一点のみなのですが、これを巡った心理戦の数々に、かなりぐっと引き込まれます。

この映画では、本当に「語り」だけしか出てきません。なので、登場人物みんなが喋っていることに裏付けがまったく無いんですね。もしかしたら全部本当かもしれないし、全部ホラかもしれない。ただ挑発するだけの作り話かもしれないし、照れてて真実を喋っていないだけなのかもしれない。そんな疑心暗鬼が最高潮に達するのが、まさにラストなわけで、これはもうハッタリなのかマジなのか誰にもわかりません。

でも、そんな中で、ラストシーンに出てくるある「ウソ」が、それでも人を感動させ、奮い立たせてくれるわけです。ウソを利用してのし上がってきた彼は、しかしその「のし上がった過程」は真実なわけで、、、とか書くと某ショー○K氏になってしまいますが(笑)、図らずもこの映画はそれを拠り所にした意地を見せてくれます。この映画風にいうならば、例えばショ○ンKが日本代表としてTPP議論に乗り込んでいってアメリカとか東南アジアを丸め込んできてしまったら、やっぱり英雄になれるわけですよ。たとえその基盤がウソまみれの無茶苦茶だったとしてもです。まぁシ○ーンKにはさすがに荷が重いですけどね(笑)。

それでもって、これって、よく考えるとタランティーノそのものなんですね。タランティーノって「自らが好きな過去の作品」を切り貼りして作品を作るわけで、それって作家/クリエーターとしていうなれば「ウソの作品」なわけですよ。超高次元でサノってるというかね(笑)。それでも彼の作品は観客の心を打ちます。実際にキル・ビルやイングロリアス・バスターズはもう完全にオリジナルの感動もまるごと再現してしまったわけです。そう考えると、ラストシーンのとある手紙のシーンというのは、これまさにタランティーノの独白といっていもいいかと思います。そしてタランティーノの映画で感動するのとまったく同じ構図で、やはりその手紙にも感動してしまいます。
これだけでも十分に凄いのですが、タランティーノの真骨頂はここからさらに「でもそれ偽物じゃん」という自己ツッコミまでして、まったく嫌味なく自虐ネタにしてみせる点にあります。自分の立ち位置を完璧に把握して、その上でハイクオリティな作品を量産してみせる。これをやられては他は太刀打ちできません。しかもアイデアというか元ネタは映画史そのものであってほぼ無限ですから(笑。

【まとめ】

おそらく話の筋だけであれば90分ぐらいに収まってしまいます。それはそれで面白そうではありますが、しかしこの170分という長~い時間を通じると、意外とクリスやウォーレンが愛おしく思えてくるのです。衣装やギターなどの小物までひっくるめて徹底される「古き良き西部劇サスペンスのレプリカ」は、必見の出来です。猛プッシュいたします。

[スポンサーリンク]
記事の評価
冷たい熱帯魚

冷たい熱帯魚

今日は新宿で3本です。一本目は今更ですが

冷たい熱帯魚」を見ました。

評価:(75/100点) – でんでんは最高 !


【あらすじ】

社本信行は富士郊外で熱帯魚店を経営している。最初の妻を亡くし、一人娘・美津子はグレ、後妻の妙子ともあまり上手くいっていない。
ある日、夜御飯の途中で飛び出していった美津子が万引きをしたとの連絡が信行の元へ来る。急いで妙子と共にスーパーマーケットへ向かった信行は、店長へこっぴどく叱られる。すると、そこに近くで熱帯魚店を経営しているという村田幸雄が現れその場を丸く収めてくれた。そのまま成り行きで村田の熱帯魚店を見学した社本一家は、どんどん村田のペースへと巻き込まれ、やがてにっちもさっちも行かなくなってしまう、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 社本一家と美津子の万引き。
 ※第1ターニングポイント -> 吉田の死。
第2幕 -> 村田のビジネス。
 ※第2ターニングポイント -> 村田の死。
第3幕 -> 社本の逆襲。


[スポンサーリンク]

【感想】

今日は3本見て来ました。1本目は冷たい熱帯魚です。今月頭にちょくちょくレイトショー狙いで新宿テアトルに通っていたのですが、ずっと立ち見ばっかりで見逃していました。公開から1ヶ月経って拡大ロードショーが始まったからか、そこまで混んではいませんでした。
随所でかなり感想が出そろった感がありますので、細かい所を抜かして要点だけさらっと書いてしまいます。
個人的には本作は「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」以上、「愛のむきだし」未満って感じです。キャラクターはどなたも最高に切れてますし、役者はどなたも最高にすばらしいです。特に誰しも言うことですが、でんでん演ずる村田幸雄はいろんな意味でちょっと他では見られないくらい切れてます。激情的に捲し立てたかと思うと突然優しげになったり、本当に嫌な意味での「あるあるオヤジ」の村田は存在感抜群です。このキャラクターを作っただけで勝ちかなという気はします。
ただ逆に言うとこのキャラだけかなという印象もあります。もちろんそんなことは無いですし、社本の成長(?)物語にも見えます。ヘタレな社本が村田という暴力的な男性に感化されて”男らしさ”を獲得するも結局そんなことではどうしようも無いという、、、そういう風にも見えます。でもそういう全部を吹き飛ばすぐらい村田が濃すぎるため、どうしても村田が退場した後のがっかり感というか失速を感じてしまいました。
2時間半の長い映画ですが、すくなくとも途中で飽きることはありません。かなり高いテンションで見ることができます。ですがそこまで万人にお勧め出来るかというとちょっと微妙だと思います。そこまで言うほどでもないですがグロい事はグロいです。とはいえ、でんでんさんには是非賞を獲って欲しいので小声でオススメします。

[スポンサーリンク]
記事の評価
完全なる報復

完全なる報復

本日は一本、

「完全なる報復」を見てきました。

評価:(35/100点) – ジェラルド・バトラーは最高だけど、、、。


【あらすじ】

妻と娘と暮らすクライドは、ある日二人組の強盗・ダービーとエイムスに自宅を襲われ妻子を殺されてしまう。クライドの目の前で殺されたにも関わらず、物証の少なさから担当検事のニックは主犯のダービーと司法取引をしてエイムスのみを極刑にする作戦を立てる。第三級殺人罪で数年の禁固刑のみで逃れたダービーを前に、クライドは自らの手で復讐することを誓う。
それから10年後、、、ついにクライドが動き始める、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 強盗殺人事件と司法取引。
 ※第1ターニングポイント -> 10年後。
第2幕 -> クライドの復讐劇。
 ※第2ターニングポイント -> 検察仲間が皆殺しに会う。
第3幕 -> クライドの隠れ家とナパーム。


[スポンサーリンク]

【感想】

今日は「完全なる報復」を見て来ました。本当は別の映画を見るつもりだったんですが、ちょっと時間が合わずにこっちにしてみました。監督はヒップホップ系のPV監督で知られるゲイリー・グレイ。映画監督としては久々です。客席は2~3割ぐらいの入りでお世辞にも盛況とは言い難い感じでした。
本作は「妻子を殺された男の復讐劇」です。本作の場合、その復讐対象は殺人犯だけでなく、犯人に極刑を与えられなかった検事・司法制度にまで及びます。いうなればジェラルド・バトラー無双。ある意味では「300」のインテリ版ですw
この作品はジェラルド・バトラーの魅力が全てと言っても過言ではありません。アカデミー俳優ながらいまいちパッとしないジェイミー・フォックスを完全にぶっちぎり、一人で作品の全てをかっさらっていきます。インテリな激情家にこれほど似合うマッチョも他にいません。なにせグラスゴー大学主席卒業の肉達磨ですから。なんかそう書くとドルフ・ラングレンみたいで哀愁が漂ってしまいますけどw
もうバトラーの演技を見ているだけでも十分幸せになれる作品なのですが、どうしても中途半端というかガッカリ感が否めません。それは一重に、クライマックスで作品の視点がぶれてしまうからです。
本作はクライドの家族が殺されるシーンから始まります。そして担当検事のニックは「自分の成績(担当案件の有罪率96%!)だけを気にする打算的な男」として描かれます。ですので、当然観客としてはクライド側をヒーロー視します。クライドは殺人鬼ではありますが「妻子の復讐」というまっとうな正義を掲げるダークヒーローなんです。
しかも劇中において、クライドとニックは同じ家族構成をしています。これはどうみても二人を正反対に描くか、または同じ信念をもった「コインの裏表」とするかを意図した人物配置です。だから、例えば「クライドがニックの妻子も殺してしまうが、それでもニックは現行司法制度に縛られて法廷で戦えない」という皮肉な状況にするとか、または「クライドがニックの妻子も殺してしまい、ニックは信念を曲げて私的な復讐をしてしまう。」という「理由(1995年)」のようなアイデンティティ・クライシスの話にするとか、そういった方向で「クライドの(=家族愛の)勝利」を期待するわけです。
ところが蓋を開けてみると、、、、、ああぁあぁぁあぁぁぁっぁあっぁあ orz。

【まとめ】

せっかく面白い設定でテンションが上がっていたのに、後半20分くらいで急激に失速してしまいます。ちょっとびっくりするぐらいの失速具合でして、それまでのストーリーは何だったのかと思いたくなります。非常にもったいなく、非常に残念な作品です。ラストが微妙に美談っぽい感じで終わるんですが、「ニックも家族の大切さを知った」だけだとちょっと弱いというか、話として横滑りしています。
ただ、ジェラルド・バトラーは間違いなく格好良いですので、彼のファンに限りオススメします。
※余談ですが、ヘレン・ケラーをギャグにするのだけは絶対ダメです。論外。しかもそれを被差別層だった黒人に言わせるなって。そこだけはものっすごい引っかかりました。

[スポンサーリンク]
記事の評価
ストーン

ストーン

本日は2本です。1本目は

「ストーン」です。

評価:(30/100点) – 宗教観の入る話は日本ではちょっと、、、。


【あらすじ】

刑務所で仮釈放の審査官をするジャックは定年を控え放火犯のストーンを受け持つ。しかしストーンは手強く、一向に面接が進まない。そうこうするうち、ストーンは妻のルセッタをけしかけ、ジャックを誘惑しようとする、、、。


[スポンサーリンク]

【感想】

今日の1本目は「ストーン」です。銀座のシネパトスで見ましたが、そこそこお客さんがはいっていました。個人的には予告のウェズリー・スナイプスとセガールでテンションMAXになってしまい(苦笑)、本作自体はあんまり盛り上がれませんでした。
本作は典型的な誘惑話です。「創世記」や「失楽園」ででてくるアダムとイブと蛇の話ですね。本作でオリジナルな要素があるとすれば、ジャックには冒頭から影があるという部分と、そしてストーンが途中で人の死を目の当たりにすることで宗教的な悟りを経験するという部分です。
位置関係としては、ルセッタが最初から最後まで無邪気に倫理観を破壊する「サタン(ルシフェル)」であり、ストーンは新興宗教(=邪教)にのめり込む異端者、ジャックがキリスト教的正義の執行者から堕落した人間、ジャックの妻・マデリンのみが最初から最後まで祈って耐え続ける良き信者です。
そうなんです。本作は劇映画的な面白さはほとんどありません。誘惑っていっても大した描写はありませんし、話が進むのはほとんどが面接部屋です。さもありなん。本作は舞台用の企画です。
確かに舞台で見れば面白いかなと思う部分はあったのですが、しかしいかんせん、下手に有名な俳優が出ている分Vシネマ臭いというか、非常に「手抜き」「退屈」な印象が前に出てしまいました。
正直DVDでも良い作品だと思います。演出自体はそこまで下手ではないため、映画化するには脚本自体に無理があったかなという印象でした。

[スポンサーリンク]
記事の評価