パラダイス・キス

パラダイス・キス

土曜の2本目は

パラダイス・キス」を見てみました。

評価:(30/100点) – 女王様、調子扱いてすみませんでした m(_ _ “)m


【あらすじ】

早坂ゆかりは高校三年生。受験を控えた大事な時期だがどうも勉強に身が入らない。母は大変熱心な教育ママで少しコンプレックスも抱えている。
そんなゆかりは、ある日道端でチャラい男にナンパされたあげく追い回され、貧血で倒れてしまう。目が覚めると目の前にはナンパ男とギャルがいた。話しを聞くと、彼らは矢澤芸術学院の学生で、卒業制作のファッションショーのモデルを探しているという。早々に切り上げようとしたゆかりの前に、これまたスカしたナルシストが現れる。それが、運命の出会いだった、、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ゆかりとパラダイスキスのメンバーとの出会い。
 ※第1ターニングポイント -> ゆかりが家出する。
第2幕 -> ゆかりのバイト生活とジョージ。
 ※第2ターニングポイント -> ファッションショーが始まる
第3幕 -> ファッションショーとその後。


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【感想】

土曜の2本目は「パラダイス・キス」です。ご存じ矢沢あいの大人気コミックスで、私もさすがにZipperは買ってませんでしたが単行本は普通に買ってました。やはり客層は女の子ばっかりで、しかも10代~20代ぐらいの子ばっかりでした。一番前の列だったので周りに人は居ませんでしたが、物凄い肩身が狭かったですw
さて肝心の映画ですが、まず間違いなく原作ファンからは袋叩きに逢うだろうという前提で、私はいまから全力で擁護したいと思います。おそらく叩かれる一番の焦点になるとおぼしきラストについても当然触れざるを得ません。ということで、漫画未読で、まっさらな気持ちで映画を見たい方はご遠慮ください。

原作の肝:現代日本版のプリンセス・ストーリー

本作「パラダイス・キス」は、ストーリーのフォーマットとしてプリンセス・ストーリーの型を使っています。主人公の早坂ゆかりは教育ママの元で進学校に通う”冴えない女の子”です。ポイントは、彼女は漫画ならではのトリックで絵面はすらっとした美形になっていますがストーリー上は決して美人ではないと言う点です。そんな彼女がある日街中でスカウトされます。スカウトといってもファッションデザイン学校の卒業制作のお祭りモデルであって、決してプロではありません。そしてそこで金持ちでナルシストが入った”天才”のジョージに出会うわけです。しかし、ジョージも実際には決して一般的な意味での”天才”ではありません。彼はあくまでも専門学校という井の中の蛙のトップクラスというだけです。ゆかりはそんなジョージと出会うことで、いっときの「夢」を見るわけです。しかしそれはあくまでも「夢」であって、現実はそんなに甘いものではありません。ジョージはゆかりの日常空間に非日常というイリュージョンを生み出したプリンスであり、ゆかりはそのイリュージョンを一瞬垣間見ることで一生の幸せを得るわけです。そしてそれこそが「青春」なわけです。だって青春ってそういうことですから。
ですから、「パラダイス・キス」は間違いなく青春漫画であり、そしてプリンセス・ストーリーなんです。まるでディズニー映画で魔女に出会ってプリンセスに変身する庶民の女の子のように、ゆかりはジョージによってモデルの夢を見るんです。

一方の映画版は、、、

さてさて、一方の映画版はどうかと言いますと、一言で言えば「天才が才能を発掘され調子にのる話し」です。つまり「ハリー・ポッター」「トワイライト」等でお馴染みのいつものアレです。ゆかりは元からモデルの才能があり、家出するなりいきなり雑誌のモデルの仕事を”バイト”としてこなし、しかもプロのモデル達からも一目置かれます。ファッションショーのリハーサルではロクに真っ直ぐ歩けなかったくせに、数時間後の本番ではスタスタと歩いた上にドヤ顔まで披露する余裕を見せます。ゆかりは努力の人ではなく完全に「選ばれし者」です。
このストーリーは才能のあるゆかりがジョージやイザベラという仲間にチヤホヤされてその才能を発揮するまでのストーリーです。当然天才ですから、周りの仲間は簡単に引き離されてしまいます。あれだけ天才扱いされていたジョージもラストでは完全に立場が逆転してしまいます。そうです。この映画版は原作の肝をことごとく潰しています。ゆかりはいっときの夢を見たわけではなく本物の天才モデルです。雑誌の表紙やグラビアを大量に獲得し、CMや街頭ポスターにも出まくりです。一方のジョージはデザインして委託販売したパラダイス・キスの服が一着も売れず、先生からは「彼は感性の人だから商売として服を作るのは無理」と一蹴され、実際にパリに留学しても泣かず飛ばずで結局洋服屋を諦めます。最後はミュージカルの衣装デザイナーに落ち着きます。
この映画版は原作のテーマでもあった「でも現実ってそんなに甘くないぜ。でもそういう調子こけてたことこそが美しき青春じゃん?」というド根本的な部分がバッサリ切り捨てられており「天才が天才としての才能を開花して人生思い通りでバラ色」になって終わります。つまり「現実は甘くない」という視点が無くなって甘やかされて終わるわけです。
ですから私は確信します。本作は間違いなく原作ファンの怒りを買います。当たり前です。だって話しが180度変わってるんですから。原作で儚いからこそ美しかったイリュージョンが、現実にずっと続くようになっちゃってるんですから。北川景子が「王様のブランチ」のインタビューで「原作は消化不良だった」とかふざけた事を言っていましたが、原作は消化不良なのではなく現実的な落としどころを見せることでより青春を美しく見せているんです。夢は覚めるからこそ美しい。醒めない夢の中にいる人はそれが夢だと気付きませんから。
いかんいかん、、、ついつい怒りが出てきてしまいましたw いかん!!! 私は今日は擁護しようと思ってたのに!!!!
ということで次のパートでは力の限り擁護しますw

よ~し。頑張るぞ!!!

もう欠点は指摘いたしましたので、ここからは全力で擁護するパートに行きたいと思います。制作関係者の皆様、ならびに北川さん・向井さんの熱狂的ファンの方々、お待たせいたしました!!!
まず何がすごいって、本作に出てくるジョージの衣装は完璧です!!! 一目で「うわぁ、、、、こいつセンス無いわ、、、、ダッサ、、、。」と分かるのに、劇中では高校に勝手に入り込んでキャーキャー言われるほどイケメン扱いされるわけです。この描写によって本作の舞台がファンタジックな異空間であり、まさしくイリュージョンの中だと分かるようになっています。つまり、画面に映っているジョージは驚くほどダサいのに、作中の人々の脳内では超絶なイケメンに見えているわけです。これは青春で舞い上がった少年少女達の新しい表現の仕方です。まさしくブラン・ニュー!!!
また、北川景子さんの表現も完璧です。冒頭からお嬢様・勉強できる子とは対極にある茶髪で厚化粧な状態で出てきますので、そりゃあ生活指導で呼び出されるのも当然です。この辺りは実在感が完璧です。います!!! いますよ、進学校でグレちゃって自分探しをはじめちゃう子にこういう雰囲気の子はいます!!! 完璧!!! しかも身長が160cm弱しかないのに道端でモデルとして声を掛けられるほどの圧倒的な存在感とドヤ顔感。これはもう北川景子にしかだせません。特に前半のサディスティックな雰囲気は最高に魅力的でした。鼻の穴にも華があって完璧なドヤ顔です。100点!!!!
恋愛要素という意味でも本作は良く表現できています。ゆかりはジョージを一目見た瞬間に惚れてしまうわけで、これは北川景子さんの「イケメン食い伝説」と相まって物凄い実在感を伴っています。ジョージはジョージで早い話が結局口だけの小者なんですが、しかしその小者がキザなハッタリを言ったばっかりに意志の強いギャルギャルしたイケイケな女に絡め取られていく感じがサイコホラーとして哀愁すら漂わせます。「あぁ、、、こういう半端な男ができちゃった結婚とかで強いチョイ可愛い女性に人生を食われていくんだな、、、。」という現実がしみじみと表現されていました。まさに弱肉強食。身につまされます、、、お大事に。
やっぱり実写で「パラダイス・キス」を表現するのってとんでもなく難しいと思うんです。だって原作は「青春ならではのキラキラとした夢の様なイリュージョン」を見せるものだったわけですから、それを実写にしたら全然イリュージョンじゃなくなっちゃうんです。「パラダイス・キス」を実写化するのであれば、どうしても一般的な恋愛映画にするのが一番簡単ですし、そうすると「実は天才な女の子がフックアップされる話し」「ハンパに才能のある男が慢心した末にイケイケな女に絡め取られて人生を潰す話し」に落とし込んじゃうのが手っ取り早いです。やっつけ仕事としては十分にまとまっていますし、問題無いクオリティだと思います。
そういう意味では、本作のヒーロー・ヒロインのキャスティングは本当に最適だとおもいます。時折清楚に見えるけど基本はガツガツした強いギャル女である北川景子と、遠くから見ると雰囲気がイケメンに見えるけど実はすごい弱気で純朴な丸顔をしている向井理。この2人がそのまんま本作のゆかりとジョージとしての強烈な実在感を支えています。もちろん原作のゆかりとジョージとはほとんど正反対なのが難点ですが、、、。

【まとめ】

ということで、本作のテーマは実は「半端な男の人生転落劇」だったんです。それまでイケイケだったのに自分よりはるかに上手(うわて)な女性と出会ってしまったことで主導権を完璧に奪われて転落していく話し。しかもその転落の瞬間が北川景子の本気で恐いドヤ顔@ファッションショーなんです。ドヤ顔一発で自称天才だった男の自信を粉砕した上に踏み台にして、かつその直後のキスで完全に男の人生を掌握する。あまりの恐ろしさに身震いしてちょっとチビりました。
パラダイス・キスとして見ればこんなゴミフィルムになんの価値もありませんが、恐い女と弱気な男の恋愛話としては大変面白い作品です。ドMな男の子とドSな女の子には全力でおススメします!!!!
YOUもこんな男の子or女の子に出会っちゃいなYO!!!! オススメDEATH!!!!

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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

本日の1本目は

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」です。

評価:(2/100点) – ドラッカーがまったく関係ない (‘A`)


【あらすじ】

川島みなみは親友で野球部のマネージャーの夕紀が入院したのを機に代役として臨時マネージャーに就任する。しかし、みなみは初日でいきなり部員達とぶつかってしまう。学校帰りに駆け込んだ本屋でマネージャーに関する本を探した彼女は、そこでドラッカーの「マネジメント」を購入する。マネージャーはマネージャーでも「管理職」の本を買ってしまったみなみだったが、彼女は「マネジメント」に書いてある教えが野球部にも活かせるのではないかと思い実行に移すことにする、、、。


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【感想】

本日の1本目は「もしドラ」です。初日でしたが、驚いたことに中学生ぐらいの子と親子連れとアイドルオタクっぽい人が入り乱れてそこそこ観客が入っていました。かなり異様な組み合わせの客層ですw

そもそもの話し

本作はいろいろと「曰く付き」な作品ですw 元々この原作の仕掛け人は某アスキーに居た加藤さんという方でして、彼がダイヤモンド社に移ってやったことと言うのが「アスキー的な方法論」をお堅いダイヤモンド社に持ち込むことでした。すなわち「オタク的なもの」と「ビジネス的なもの」のコラボです。原作はそれだけを見るとまったく面白くないラノベですが、それをダイヤモンド社のビジネス書シリーズで売ることで「ドラッカーの入門書」という付加価値をつけることに成功し、見事にドラッカーを読めない(めんどくさがりやな)叔父様達への「HOW TO本」に仕立てたわけです。
ところが、、、ここからが面倒なのですが、、、原作者の岩崎夏海さんはあくまでも「自分の作品がおもしろいから売れたのだ」という自意識が強いかたでして、この加藤さんのやり方にものすごい反発しています。ぶっちゃけた話し、岩崎さんは文庫化するときにはダイヤモンドから版権を引き上げて別の出版社でお堅い装丁にして出すとまでおっしゃってました。なので、実は岩崎さんとしてはNHKでやってるアニメ化にはかなり消極的でして、どちらかというと実写の本作の方に力を入れています。元々、岩崎さん自身は秋元康の事務所で放送作家をやっていたバリバリの秋元チルドレンで初期のAKB48にも関わっていますので、映画で前田敦子が主役をやって主題歌がAKB48なのは当然の流れです。

ドラッカーが関係無い。

という背景の元での本作の話しに行きます。確かに原作には忠実なのですが、それを映画にすることでより直接的に問題点が浮かび上がってしまっています。
一番の問題はーーそしてこれは根本的な問題ですがーー本作の内容はドラッカーのマネジメントと全く関係がありません。本作は「高校野球のマネージャーがドラッカーのマネジメントを読んで、経営の方法論を高校野球部に持ち込んで成功する」というストーリーだと勘違いされがちですが、実際にはただ単に「天才の集まりなのに団結力と精神力に問題がある高校野球部員が悶え合った末に仲間の死で一致団結して力を発揮する」という大変安っぽい話しです。
本作には技術論や効率的な方法論はまったく出てきません。基本的には「みんな頑張るぞ!!!!」という根性論でなんとかなってしまいます。唯一マネジメントっぽいのはチーム分けをして内部競争を起こすという部分ですが、それも野球部であればどこでもやっていることなので別にマネジメントがどうこうではありません。

まったく野球を描いていない

ですので、本作はROOKIESと同じくただただ仲間がイチャイチャしているだけのどうしようもない作品です。敵校が誰かも良く分かりませんし、そもそも味方も主要人物以外は良く分かりません。ピッチャーとキャッチャーとショートと代走ぐらいしかまともに名前も出てきません。なんとなく雰囲気だけで野球っぽい体裁を整え、なんとなく野球っぽいことをやっているだけです。そもそも応援団がピッチャー交代でもないのにピッチャーのテーマ曲を演奏するなんぞ聞いたことがありません。守備側のブラバン応援は高野連の禁止要項です。この映画の監督はそんな常識も知らないのか!!! 相手チームに失礼だろ!!!!
本作で映し出されているのは野球ではなく、ただの悶えあいごっこです。大振りして相手を油断させて次でホームランを打つというのも、結局は相手を舐めているだけで作戦でもなんでもありません。2塁ランナーがいるのに1塁ランナーが8歩もリードするのはリスクこそあれメリットはありません。無茶苦茶です。劇中ではイノベーションとか言ってますが、ノーバント・ノーボール戦法もまったく新しくありません(※往年の権藤監督の横浜ベイスターズ1998年~2000年はまさにノーバント・ノーボール戦法でした)。ちなみにこの権藤監督の方針と酷似した戦法をマネジメントの観点から実戦したのがオークランド・アスレチックスのGM:ビリー・ビーンで、2003年に「マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男」として彼の考えが本にまとめられ日本でも知られるようになります。
ぶっちゃけていうと、そもそもからして原作は明らかにこの「マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男」に影響を受けています。ただ岩崎さんが野球に詳しくなかったのか、「マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男」の肝心なところをパクリ損なっているのがなんとも微妙です。

役者も野球の動きがまったくなっていない

そもそもロクに場面もないくせに野球の動きがおかしいです。
特に一番酷いのがピッチャーの慶一郎こと瀬戸康史の動きで、どん引きするぐらい「手投げ」です。左足がまったくあがらない上に腰が回っていないので、砲丸投げみたいなフォームになっていますw しかも運動音痴で足腰が弱いのか、投げた直後にちょっと可哀想になるぐらい体が一塁側に流れます。ストライクが入らないのは精神論ではなく明らかにフォームの問題と筋力不足です。つまり練習不足。せっかく良い役をもらったんだからせめてキャッチボールぐらいは練習しようよ、、、、別にいいですけど。
また、バッティングも悲しいぐらいヘッドが寝ています。バットの動きとボールのはじき方が不自然なので打球はCGだと思うんですが、それにしてもちょっと野球映画としては、、、、無理でしょう。
ちなみに名前が分かりませんが、レフト(サード?)の子がショートのエラーをカバーしたときだけはちゃんとした動きでした。もしかしてメイン所以外はそこそこ出来る人をつかったんでしょうか?

【まとめ】

とまぁ書いてきたように大変残念な作品となっています。ほとんどが原作の不出来による問題ですので映画の制作側に言っても仕方がないのですが、、、所詮は人気作品を人気アイドルで実写化するというだけの企画だって言うことです。唯一良かったのは、前田敦子や峯岸みなみよりも川口春奈が遙かに可愛くて遙かに魅力的だったというのが分かったことです。前田さんも頑張ってはいたんですが、、、どうもね、、、。彼女に演技させるなら、「マジすか学園」1期みたいになるべく喋らない役の方が良いと思います。しゃべると途端にボロがでてしまいますので。
オススメはなかなか難しいですが、野球のことやビジネスのことをまったく知らないのであれば意外と楽しめるかも知れません。川口春奈を見に行く目的ならギリギリありではないでしょうか。
また、どうでも良い部分ですが、前半30分ぐらいのホンジャマカ石塚と青木さやかのセンテンスは思わず劇場から逃げ出したくなるほど恥ずかしいです。しかもストーリー上はまったく意味がありませんので、本当になんでいれたんでしょう?
大変残念な作品でした。

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処刑剣 14BLADES

処刑剣 14BLADES

先週の日曜日は1本、2010年の香港お正月映画

処刑剣 14BLADES(原題:錦衣衛)」を見てきました。

評価:(90/100点) – 圧巻のドニー兄貴。グリーン・デスティニー風の剣劇武侠映画


【あらすじ】

時は明朝末期。洪武帝の作った秘密組織・錦衣衛は暗君の元で暗殺集団として恐れられていた。錦衣衛のリーダーは代々「青龍(チンロン)」の名を名乗り、敵を討つ14振りの剣を収めた箱を渡される。
ある日、当代のチンロンは宦官の賈(ジア)より大臣の趙(ジャオ)の謀反を止めるよう命令を受ける。いつものようにジャオの屋敷に忍び込み謀反の証したる箱を手に入れようとしたチンロンだったが、なんと箱には伝国璽が入っていた。ジャオの謀反は真っ赤なウソで、ジアが伝国璽を手に入れるための策略だったのだ!
企みに気付いたチンロンはジアに嵌められ謀反人として仲間の錦衣衛たちに命を狙われてしまう。チンロンは正義護送屋に逃げ込み、自身を嵌めたジアの真意を探り皇帝を守るため首都・京城(北京)へと向かう、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> チンロンのジャオ邸襲撃。
 ※第1ターニングポイント -> チンロンが正義護送屋に逃げ込む。
第2幕 -> チンロンとチャオ・ホアの逃走と砂漠。
 ※第2ターニングポイント -> 脱脱(トゥオトゥオ)に玉爾を奪われる。
第3幕 -> 雁門関での死闘


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【感想】

日曜日は昨年の香港のお正月映画「処刑剣 14BLADES」を見てきました。香港ではかなりのヒット作ですが、日本では一年遅れな上に小規模公開の寂しい扱いになっています。とはいえお客さんは結構入っていました。今年はドニー兄貴の過去作が続々公開されて嬉しい限りです。まさか上半期だけで4本も見れるとはw
いきなりですが本作はバリバリのB級アクション映画です。ストーリーはある程度世界観が分かっている前提で進んで行きますので、ちょっと説明不足で流れが分かりづらいかも知れません。
本作は明朝の末期を舞台にしています。皇帝の叔父・チン親王(サモハン・キンポー!!!)はかつて皇帝に謀反を起こし、それを罰せられて両足首から先を切られました。しかしまだ帝位を諦めてはおらず、娘のトゥオトゥオに暗殺術を仕込んで機会を狙っています。一方の皇帝はと言うと、宦官のジアに接待漬けにされて完全に骨抜きになってしまっています。皇帝の良き臣下であるジャオはこの事態を重く見て、皇帝の証しである伝国璽(=三国志等でお馴染みの皇帝のハンコ)を隠して保護しています。ここまでの説明が冒頭のモノローグで2分ぐらいで一気に語られますw 香港映画に馴れていないと、このテンポは結構厳しいです。
ここからジアが伝国璽を奪おうとする展開になり、そこでチンロンが嵌められ追われる身になります。ジアはチン親王と繋がっており私腹を肥やすために売国をしようとします。皇帝直属の暗殺集団としての誇りをもったチンロンは、自身のプライドを賭けて皇帝を守り、裏切り者のジアを倒すために奮闘します。
本作は追われる身となった孤高の天才暗殺者・チンロンと道中連れだった少女チャオ・ホアとのロマンスを混ぜながら、漢(おとこ)の尊厳を取り戻す戦いを熱く描きます。つまり私達の大好物です!!!! よし、全部OK。オススメです!!!!!



で終わってもいいんですが、なんなのでちょっとだけ書きますw 本作ではドニー兄貴の得意な剣劇アクションがメインになっています。アクションは生身のものよりはワイヤーを使ったものが目立ち、さながらグリーン・デスティニーのような雰囲気になっています。そもそもからしてチンロンの持っている箱が「スパイ7つ道具」っぽい面白いギミックがテンコ盛りの漫画チックなものですので、あんまりゴリゴリした肉体アクションではありません。敵のトゥオトゥオも幻影を使って鋼鉄の鞭を振り回しますし、”砂漠の判事”はくっつけるとブーメランになる日月彎刀(にちげつわんとう)をつかいます。全体をとおして非常にファンタジックなアクションが多く、肉体的な説得力よりは格好良さを重視しています。
本作はアクションがすごいというよりは、そのアクションに至るプロセスの見せ方が大変愉快な映画です。ホアが役所に殴り込みをかける所なんかは緊張感がありつつも完全にコントになっています。熱血な展開の合間合間に息抜きを入れてくるバランスはとてもすばらしく、110分があっという間です。かなりオススメです!!!

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アジャストメント

アジャストメント

土曜の2本目はみんな大好きSFラブロマンス、

アジャストメント」です。

評価:(60/100点) – レトロSF感満載の小品の良作。


【あらすじ】

2006年、下院議員のデヴィッドは上院議員選挙に出馬するも酔ってスキャンダルを起こしてしまい敗戦してしまう。敗北宣言の練習をしていたトイレの中で、彼は偶然エリースという女性と会う。彼女はホテルに知人の結婚式をぶちこわしに来て、警備員から隠れているのだという。2人は一目でお互い惚れてしまい、デヴィッドは彼女に感化されて敗北宣言をアドリブで行う。
その後暫くして、デヴィッドは偶然にも通勤バスの中でエリースと再会する。運命を感じる2人だったが、、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> デヴィッドとエリースの出会い。
 ※第1ターニングポイント -> デヴィッドがオフィスで襲われる。
第2幕 -> 三年後、調整局とデヴィッドの駆け引き。
 ※第2ターニングポイント -> デヴィッドとエリースが別れる。
第3幕 -> 11ヶ月後、エリース奪還作戦。


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【感想】

土曜の2本目はフィリップ・K・ディックがオービット・サイエンス・フィクション誌の1954年9月号に書き下ろした短編「調整班(アジャストメント・チーム)」の世界観だけを持ってきてオリジナルストーリーに膨らませた作品です。ですので、映画化というよりは「”調整班”からアイデアを得たオリジナル作品」という感じです。
マット・デイモンがスーツ姿で走るポスターというそのまんまジェイソン・ボーンシリーズのポスターで話題になっていまして、結構お客さんが入っていました。こういうオールドスクールなSFでちゃんと観客が入っているのはめずらしいです。
本作は典型的な「近未来ディストピアSF」の体裁をとっています。劇中での時間軸こそ2006年~2010年ですが、プロット上では「何者かに実は支配されている近未来」という雰囲気になっています。この「何者かにこっそり支配された世界」「人間に紛れた異物」という世界観はまさしくフィリップ・K・ディックのお家芸であり、例えばマイノリティ・リポートのプリコグやブレード・ランナーのレプリカントなんかがそうです。このあたりのテーマは実際にはディック自身の宗教観がものすごく大きく反映されている部分です。
本作も世界観はディックが作ったモノですから、非常にレトロ感があふれるディストピアSFになっています。本作の中盤で調整員は天使であるとはっきりと台詞で説明されます。この辺りは原作から何も変えていません。この作品の世界では神様が「運命の書」というシナリオブックを書いていて、これを遂行するために天使達がいろいろと弄くっているわけです。コーヒーをこぼしたりコケさせたりw、やってることは大変ショボいですw
ですがそこに追加したのが「神様は人間が自身の予想を超えた意志を獲得するのを期待している」という新しめのキリスト教的価値観なのがなんとも言えません。
原作の場合はこの世界観をドタバタコメディに落としてくるわけで「意外と世界ってこんな間抜けな感じじゃない?」となるわけですが、本作の場合は大真面目に大上段から「神様は人間が予測を超えた動きをするのを喜んでいるのじゃ!!!」みたいな宗教的価値観に振り切れるわけです。
まぁこれが良いかどうかというのはデリケートな問題なんですが、どうしてもこういう「宗教的価値観に基づいた教訓話し」にされると無宗教な私としてはちょっと微妙な気分になってしまいます。
もちろんエンタメとしてさらっと見れば普通に良く出来たSFラブロマンスなんですが、なんか引っ掛かる部分がある惜しい作品でした。いくら運命とはいえデヴィッドがストーカー過ぎますし、なんぼなんでもエリースが「都合の良い女」過ぎますしね。普通2回も裏切られたのに、それでもその男の事を信じますかね? 運命だからってちょっと可哀想すぎです。そんなマッチョイズムも含めて愉快なバカ映画ですw どこでもドアを使った追い駆けっこは夢が一杯ですから。 仕事帰りにレイトショーなんかでフラっと寄るのがちょうどいいのではないでしょうか? わりとオススメです!

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プリンセス・トヨトミ

プリンセス・トヨトミ

今日の一本目は大阪よ立ち上がれ!!!

「プリンセス・トヨトミ」でファイナルアンサー!!!!。

(4/100点) – 中学校のドアの件どうなった? 知らねヽ(´▽`)ノ


【あらすじ】

会計検査院の松平は部下2名を従えて大阪に会計監査に訪れた。特に何事もなく監査は進んだが、社団法人OJOの監査で不思議な事が起こる。監査後に忘れた携帯電話を取りに戻った松平が見たのは、つい1時間前までいた職員達が忽然と消え、電話も不通、机の中ももぬけの殻になった姿だったのだ。不信に思いながらも決定的な証拠を得られなかった松平だったが、空堀中学校で不思議な扉を見たことと研究者の漆原の言葉から、OJOに抜け道があることに気付く、、、。


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【感想】

本日の1本目は「プリンセス・トヨトミ」です。まるで2chのコピペでお馴染みの「大阪民国」を絵に描いたような映画ですが、結構客席は若い人もいて、埋まっていました。監督はフジテレビの鈴木雅之。フジテレビと東宝の協賛映画です。
ここでお約束のお断りです。本作にはロクにドラマがありませんがそれでも「話しが無い」という説明をするために結末付近までネタバレ有りで書きます。特に支障は無いと思いますが、未見の方はお気を付け下さい。

話しの地滑りっぷり

いきなりですが、本作はかなり話しが地滑りします。というか、そもそも話しが始まるまでに1時間以上かかります。
本作の前半は会計検査院の鬼の松平・ミラクル鳥居・旭の監査行脚を軸に物語が進みます。OJOで不思議な事があった後も監査は普通に進められます。物語が動き始めるのは開始約1時間目。松平がOJOの扉を開けさせるところです。ここまでがとにかく退屈です。いわゆる謎らしい謎もないまま(=話しが無いまま)ひたすら監査が続くものですから、とてつもなく退屈で睡魔との戦いになります。そして通路が開くと同時に、大阪国についての話しがすべて中井貴一の口から語られます。ここは完全に説明口調で、ナレーションで良いレベルで一気に情報が伝えられます。実は本作はある意味ではここで終わっているとも言えますw ここまでが言うなれば「前置き」にあたります。そして「木曜日」のインタールードの後、「金曜日」としてようやくドラマが始まります。最近の邦画にありがちなのですが、前置きでたっぷり状況やキャラクターの説明をして、映画上の第三幕だけで独立したドラマを語る構成になっています。これが私が良く使う「全○話のテレビドラマ」というやつです。
金曜日になると、ストーリーは監査から離れて一転、「豊臣国松の末裔が誘拐された」という話しになります。しかも「誘拐された」裏側も並行して見せながらの展開です。当然それまでにそんな誘拐の話しはありませんから、本当にここだけ全体から独立した話しになっています。そして、映画は最終的には「父と息子の関係性」「会話が途絶えがちな父と息子の幸せな一子相伝の話し」に着地します。前半の展開からは思いも寄らない所へのすごいすっ飛び方ですw 普通の映画は尺を最大限に使ってあるテーマ(=ゴール)を語るためにエピソードを逆算で構築するのですが、本作の場合はどうしても行き当たりばったりな感じがしてしまいます。だってこのテーマなら前半は丸々要らないですからw
ということで、本作にはかなり置いてきぼりにされた印象があります。「あれ、そこ曲がるの?」「あれ、その道は違くない?」って言ってる間に気がついたら知らない土地で迷ってる感じですw

細かい所が行き当たりばったりすぎる

当然話し全体の流れがずさんであれば、細部を見ればボロボロですw 例えばそもそものきっかけになった「OJOの職員が入り口から出ていないのに忽然と姿を消した件」は最後まで意味が分かりません。話しの流れ上は「OJOの建物に隠し扉があったのだ!!!!」ってことで解決しているような雰囲気になっていますが、この隠し扉の先は部屋が一つあるだけで行き止まりですw そもそもこの隠し扉の通路は「人生で2度しか歩かない」「父と子が語り合うための神聖な場所」なわけで、断じて昼休みに通るための通用口ではありませんw よしんばカメラが映していない所でこの行き止まりの部屋からさらに別の通路があったとしても、OJOの職員がそんな所を通って別箇所に行く理由がありません。OJOのオフィスで大阪国の業務をすればいいだけですからw
隠し通路といえば、やはりこちらも話しのきっかけになる中学校にあった不思議な扉があからさますぎる上にその後は一切登場しません。江守徹扮する漆原教授曰く「大坂城には最低でも三カ所の隠し通路がある」はずですが、これと中学校/OJOの扉との因果関係もまったくありません。けっきょくなんだったんでしょうか? もしかして中学校の扉とOJOの扉が中で繋がってたんでしょうか? じゃあOJOの職員って本業は学校の用務員とかっていう設定? なんかよく分かりません。
分からないと言えば、やっぱりそもそもこの「秘密結社 大阪国」という設定がさっぱりです。そもそも年間5億円の資金のためにものすごい苦労しているわけですが、有志団体で推定会員266万人(=大阪の人口)いるんだから、全員から年会費200円取った方が秘密が守れるんじゃないの? 「他へ引っ越した人はどうなるの?」とか、「そもそも大阪城が赤くなったら観光客にはバレバレじゃね?」とか「大阪城の前で数万人単位で集まって数で脅しといて秘密も何も無いだろ!」とか、「結局鉄砲もってるんだから危険分子じゃん!!」とか「御神体=教祖が匿名の”ミスX”じゃあ求心力無いでしょ。」とかツッコミ所は山ほどあります。
そもそもからしてメインのはずの「プリンセス・トヨトミ」がなんにもしませんから。ドロップキックを一回やったくらいですw
着地も結局「鬼の松平」が拳銃にびびって逃げ帰ったようにしか見えません。情にほだされたとも見えなくはないですが、それも単に拳銃で撃たれて気が弱ってただけにも見えます。っていうか検査員なんだから仕事しろ。ちゃんと報告挙げろ。おまえの独断で揉み消して良い規模の裏金じゃない。

でも良いところもあるよ!!!

文句ばっかりになってしまったので、良い所も挙げておきましょう。なんといっても一番良いところは沢木ルカの存在感です。この子がまだ13歳だというのでかなりビックリしてるんですが、かなり良いです。ちょっと古風な感じのボーイッシュさと相まって、往年の角川映画のヒロインっぽさを凄い感じます。東宝映画ですけどw
その他の存在感ではやはり玉木宏です。大阪城公園の屋台のお兄ちゃんというズルい役でシークエンスのすべてを掻っ攫っていきますw いきますが、残念ながら話しの本筋とは一切関係ない出オチです。本作で非常に困るのは、柱になる話しが無いためメインの役所のキャラクター達が総じて薄っぺらいことです。結果、沢木ルカや玉木宏や甲本雅裕のような直接ドラマに絡まない俳優の「地力」が目立ってしまっています。

【まとめ】

色々書きましたが、沢木ルカを見るためだけでお釣りがくるぐらい彼女は素晴らしいです。なのでオススメしておきたいのですが、、、ちょっと内容が内容だけに難しいです。幸い映画の日が近いですから、1日に1000円で見に行くぐらいでちょうど良いのではないでしょうか?
真面目に見るとやってられないくらいの出来ですから、あくまでも半笑いでビール片手に見るぐらいの態度でOKですw

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ファースター 怒りの銃弾

ファースター 怒りの銃弾

土曜は

ザ・ロックの新作「ファースター 怒りの銃弾」を見てきました。

評価:(55/100点) – 遂にロック様がセガール化!!!


【あらすじ】

ドライバーは10年の服役を経てシャバに戻ってきた。彼はその足ですぐにオフィスに入り込み男を1人殺す。彼は10年前に男達にハメられて兄を殺されたのだ。情報屋から手に入れた復讐対象のリストは5人。彼はリストの人間達の皆殺しを狙う、、、。


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【感想】

土曜日は一本、ドゥエイン”ザ・ロック”ジョンソンの最新作「ファースター 怒りの銃弾」です。初日でしたがあんまりお客さんが入っていませんでした。まったく納得出来ません、、、だってピープルズ・チャンピオンの新作を見に行かないって、、、おかしいでしょ!?

レッスルマニア前のWWE RAWにロック様が登場したとき、あまりのパンプっぷりに「ついにロック様がプロレス復帰か!!!!」と大興奮だったのですが、蓋を開けたらただ単にこの映画のために体を作っただけだったという、、、大変残念な結果になっていますorz

※余談ですがロック様は来年のレッスルマニアでジョン・シナに引導を渡しに復帰するそうなので、こちらは超期待が持てます。WWEの歴史とロック様とジョン・シナについて書き始めると2万字あっても足りないのでそれは別の機会にとっておきますw

俳優としてのロック様

さて、本題に行きましょう。俳優としてのドゥエイン・ジョンソンのもっとも大きな特徴は「優しくてユーモア溢れる力持ち」という大ベビーフェイスなキャラクターにあります。プロレスラーとの二足の草鞋を履いていた初期こそ肉体系アクション俳優として使われていましたが、「ポリス・バカデミー(2007)」以降は典型的な「良いお兄ちゃん」のキャラクターが板に付いていました。プロレスラー時代からユーモアあふれる下ネタ・スラングをふんだんに使用したスキットが大人気でしたが、それが俳優としても生かせるようになって、本当に希有なファミリー映画の力持ちなパパ役に抜擢されてきました。

そんな俳優ドゥエイン・ジョンソンが本作では一度も笑顔を見せずに、現役時代も真っ青の筋肉をまとってしかめっ面で怒りにまかせてひたすら仇を追う復讐鬼を演じているわけです。そして一度もピンチを迎えない圧倒的な戦闘力と肉体的説得力を持っています。そんなわけで見ている間中ずっとセガールの影がちらつくわけですw そう、本作のロック様は限りなくセガールっぽいんです。敵に会いさえすれば圧倒的な力でいとも簡単にねじ伏せる。そして圧倒的なドライビング能力で仇のもとにあっという間に着きますw 100分の映画ですが、まるで30分に感じられるほど淡々とあっさりとスピーディーに敵を粉砕していきますw

ストーリーについて

本作には一応3つのストーリーがあります。1つは主人公”ドライバー”の復讐劇。1つは幼いころ足が不自由だったコンプレックスで超ハイレベルな完璧主義者になった”キラー”が”ドライバー”にコンプレックスを刺激されアイデンティティ・クライシスになる話し。最後に麻薬中毒で定年間近の”コップ”と家族の物語。この3つが最後の最後でクロスする、、、とこれではまるで昨年の「クロッシング(2010)」っぽいプロットなんですが、テイストはまったく違います。本作の主人公以外の2つの物語はあくまでも添え物的なもので、あんまり意味も内容もありませんw なんとなく「ザ・ロックが仇をぶっ殺しまくる」というだけだと企画が通らないので取って付けたような雰囲気がありますw

【まとめ】

とまぁ話しはあってないようなものなので、後はロック様の筋肉と時折見せるジェントルメンな部分でニヤニヤするだけの純然たるアイドル映画ですw なんの問題もありません。とりあえずテンションは上がりますので、ポップコーンを食べながらドクター・ペッパーをぐいっと飲むには最適な映画です。もちろん、本作を見ればロック様の肉体美にあなたもメロメロ間違いなし!!! オススメです!!!!!

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記事の評価
パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉

パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉

久々の金曜のレイトショーはThat’s ハリウッド大作、

「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉」です。

評価:(35/100点) – パート4だからキャラのファンさえ喜べばOK。


【あらすじ】

バルボッサにブラック・パール号を奪われたジャックは、自分の名を騙って船員を集めているものが居るという酒場を目指してロンドンに戻ってきた。彼はそこでかつての恋人・アンジェリカと出会う。なんとか警察の追っ手を振り切ったジャックは、しかしアンジェリカに嵌められて史上最恐の海賊・ブラックビアード(黒ひげ)の船に乗せられてしまう。なんとアンジェリカはブラックビアードの船・クイーン・アンズ・リベンジ号の一等航海士だったのだ。そしてブラックビアードの死期が間近に迫ったという預言を信じ、ジャックが地図を持っている「若さの泉」を探していた。
こうして、「若さの泉」と泉での儀式に必要な「人魚の涙」と「ポンセ・デ・レオンの二つの杯」を探す冒険が始まった、、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ギブスの救出とアンジェリカとの再会
 ※第1ターニングポイント -> ジャックがクイーン・アンズ・リベンジ号に乗る
第2幕 -> 「若さの泉」を目指す冒険
 ※第2ターニングポイント -> ジャックが杯を持ってブラックビアードの元に戻る
第3幕 -> 若さの泉


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【感想】

金曜は久々に新作レイトショーで「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉」を見てきました。初日のレイトショーですが、金曜にしては6~7割ぐらい人が入っていたので結構多い方です。
本作はお馴染み「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの4作目です。1作目の「呪われた海賊たち」は本当に良く出来た冒険活劇でしたが、「デッドマンズ・チェスト」と「ワールズ・エンド」の連作がかなり微妙な出来で、新作のハードルは下がっています。4作目は前3作の根幹にあった「エリザベスとウィルの身分違いの恋物語」が一段落し、仕切り直しとなっています。
極端な話しをすれば、4作目ですのでシリーズのファンさえ喜べればなんの問題もありません。そういった意味では本作は3作目でベビーターンしたバルボッサが大活躍しますし、ジャックはいつもの軽いふざけたノリ全開で来ますので、十分に楽しめると思います。思いますが、、、ちょっと全体的にはすごいことになっています。
一番ずっこけるのは、本作には迷ったり謎を解いたりという「冒険要素」が一つも無いことです。ジャックは最初から「若さの泉」への地図を持っていますし(というか前作の最後で手に入れてましたし)、人魚は最初からホワイトキャップ湾にいるのが分かっています。「ポンセ・デ・レオンの二つの杯」も何故かホワイトキャップ湾のある島にあります。ということで、本作はお宝に向かって最短距離で進みますw
結局アンジェリカがなんなのかは良く分かりませんし、ブラックビアードも「最恐の海賊」というのが納得出来ないほど全然活躍しません。スペイン軍も最後の最後まで目的がわかりませんし、それすらもなんとなくの宗教観・原理主義っぽさで動いています。ブラックビアードのクルーのゾンビも良く分かりません。全体的にすべてがとても記号的です。
本作はそういった薄いストーリーの上で記号的なキャラ達がワイワイキャキャとやるだけなので、これは作り手側がもう完全なファンムービーとして割り切っています。言い方を変えれば、本作を見て喜んでくれるファンが少しでもいれば全く問題ありません。私自身もちょいちょいズッコけながらも全体としては楽しく見られました。ジェフリー・ラッシュは「英国王のスピーチ」の先生役も良かったですがやっぱりバルボッサ役が一番イキイキと輝いています。
ということで、シリーズのファン限定でとりあえずオススメします!
ちなみに、本作では3Dはたいして意味がありませんのでどうでもいいです。暗すぎて全然3Dに見えませんし、最初から3Dカメラで撮ったわりにはあんまり有効に使われていません。私が言うのもなんですが、3Dブーム自体がもう終焉ですのでとりあえず記念に見ておくのは手だと思います。

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記事の評価
少女たちの羅針盤

少女たちの羅針盤

土曜の2本目は

「少女たちの羅針盤」を見ました。

評価:(8/100点) – 内容もドラマも無い「アイドル青春まったり映画」。


【あらすじ】

ネット映画の撮影で福山を訪れた女優のマリアは、地元では名の通った存在だった。ミステリー仕立ての映画で、監督より台本が最終稿でガラッと変わったと告げられる。
どうにか撮影を続けるマリアだったが、控え室でメイクをしていた彼女の元に脅迫文が届く。かつて仲間だったインディ劇団・羅針盤のメンバーを殺したというマリア。脅迫者はその事実を知って脅してきているのだ。それは、4年前の出来事だった、、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> マリアの撮影と脅迫。
 ※第1ターニングポイント -> 羅針盤結成。
第2幕 -> 羅針盤のストリート・デビューと市のイベント。
 ※第2ターニングポイント -> 仲間が自殺する。
第3幕 -> 現代での復讐。


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【感想】

昨日の二本目は「少女たちの羅針盤」でした。「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」の優秀作の映画化ということですが、原作は未見です。言われてみれば福山駅前のロータリーで古墳が出たとかいって工事してる時に島田荘司のでっかい看板が立ってた気がしますw
監督は長崎俊一。すみませんがこの人の映画はみんな大好き栗山千明のデビュー作「死国」以外見たことがありません。本当にすみません。
公開初日でしたが結構ガラガラでした。せっかく成海璃子と忽那汐里に加えて美少女クラブ21の森田彩華とおまけで草刈正雄の娘まででてるのに、酷い話しです。
さて、ここで毎度毎度のお約束です。結末ずばりは書きませんが、以降を読めばたぶん犯人やそのほか諸々は感づいてしまうと思います。未見の方で見る予定がある方はお気を付け下さい。つまんない映画ですが、主演の羅針盤の4人組はなかなかナイスなので顔を見ているだけでなんとかやり過ごせますよ。

は、、、、話しが無い、、、、。

さて、いきなりですが本作の公式キャッチコピーを見てみましょう。「ねえ、殺すって どんな気持だった」。いきなり看板に偽り有りです。本作は駆け出しっぽい女優(アイドル?)のマリアが撮影現場に入るところから始まります。で、彼女の独白形式で彼女がかつて人を殺したことが分かるんですが、、、、「じゃあこのキャッチコピーって誰の台詞?」ってなるわけで、作品を見てお分かりのとおり”アイツ”なワケです。っていうか主演の成海璃子がイケイケで友人を巻き込んでいく話しなんで最初っから分かりきってるんですけどね。
本作は、現代のマリアの撮影現場での会話と脅迫をフックにして物語が進んで行きます。つまり、劇中内監督の「マリアちゃん羅針盤にいたんでしょ?この辺じゃ有名だよ。」と、「私は人を殺しました。」の2つです。ここから4年前に舞台が移ります。
こういう流れですので当然観客が期待するのは「伝説的な羅針盤とはそもそもどういうグループで、どうして地元で有名なのか」と「羅針盤にどういういざこざがあって殺人事件にまで至ったのか」です。私はいますごく当たり前のことしか書いていません。だってこの2つがフックで過去の話にいくんですから。

フックがフックになって無いんですけど、、、、、。

ところが、、、、、これがびっくりするんですが、両方ともショボいというか見当外れなんですね、、、。まずそもそも「伝説的な羅針盤」というところが微妙です。映画のほぼ7割ぐらいはこの羅針盤が結成されてからストリートで人気が出てステージバトル・フェスティバルに出場し話題になるという過程です。要は「部活/サークルの活動シーン」なわけですが、伝説にまでなる意味がわからないんです。だって特別に何かの賞をとったわけでもないですし、テレビに出たわけでもありません。あくまでも商店街のストリートパフォーマンスで口コミで広がり、そして大勢の観客の前で披露してスタンディングオベーションを貰うわけです。
で、、、たぶん椅子の形からしてステージバトル・フェスティバルの会場は福山市の神辺文化会館の大ホールだと思うんですが、ここって公称で800人ぐらいしか入らないんですね。つまり、多く見積もってもストリート入れて1000人前後しか見てないワケです。これって映画監督が演技を評価するほどの伝説にはほど遠いので、、、なんなんでしょう???

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※椅子・手すりの形・配置が一緒です。
左:公式ポスター
右:神辺文化会館の大ホール
(こちらのサイトからお借りしました。 http://www.cheriver.com/blog/?m=201012 )

ちなみに、本作を最後まで見ると分かるんですが、この劇中の映画監督も人間違いをしているので、実は伝説でもなんでもなくて監督が知ったかぶっただけっていうオチがたぶん正解ですw
っていうか劇中の描き方だと、マリアの方が羅針盤のメンバーなんかよりよっぽど昔から地元の有名人なんじゃないの? しかも普通だったらアリキリの石井扮するマネージャーも事件の事は知ってるでしょ。それって藤谷文子さんのマネージャーがセガールの事を知らないのと同じ様なものでしょ。または後藤真希のマネージャーがEE JUMPの事を知らないようなものでしょ。まぁいいですけど。
またどうしても突っ込まざるを得ないのは、ラストで告発者として出てくる羅針盤メンバーです。彼女たちを同じ女優さんが回想シーンのまんまで演じているわけですが、高校から大学への4年って顔や体格や服装は結構変わりまっせ、、、、これも別にいいですけど。
もう一つのフック、つまり「どういういざこざがあって殺人事件にまで至ったのか」ですが、これがもっと驚くことになってます。この「メンバーの死」は殺人事件では無く飛び降り自殺として不審点も無いまま普通に警察処理されているんです。つまり、そもそもフックになってないw ミステリーで殺人事件が題材になる以上は、「あの子が自殺するわけがない!!!!」みたいな感情論だけではなく、明らかに不可思議な点が無いといけません。じゃないとそもそも謎解きが始まりません。本作の場合、実際に始まらないんですけどね、、、、、、これってミステリーか???
本作の中ではなんとまぁ恐ろしい事に、事件をメンバーが独自に捜査するというあってしかるべきな描写が何一つありません。飛び降り自殺が起きると、すぐに過去の話から現在の話しに舞台が移って解決編が始まります。なのでさっぱり意味がわからないんです。そもそも事件そのものに「謎」が無いのに、捜査も無いままにいきなり「犯人はオマエだ!!!」みたいな話しになるので、まったくついて行けません。支離滅裂。
そんなわけで、本作には話しもドラマもないんです。そもそも語られるべきものが何も無い。そうすると、そういった支離滅裂とした要素を省いた残りはなんなのか??? これはもう「旬のアイドル/女優4人がいちゃつく様子をみるだけ」というピュアな、、、本当にピュアな意味でのアイドル要素しか残らないんです。
唯一の救いはアイドル要素としての「美少女4人のいちゃつきあい」としては何とか格好だけは付いているという点です。だからギリギリ、本当にギリギリの所でなんとか頑張れば2時間耐えることが出来ます。「耐える」という表現が全てを物語っています、、、。

【まとめ】

いろいろ書いてきましたが、本作はまったくミステリーではありません。ですから公式の予告やサイトで期待して見にいくのは大変危険です。あくまでも成海璃子の男気に胸を熱くし、忽那汐里の透明感に惚れ惚れし、草刈麻有の幸薄い感じを心配しつつ、森田彩華を懐かしく愛でる、、、、そういう一部の特殊な人向けの作品です。
個人的には全く問題ありませんが、、、、ちょっと映画として人様にオススメするのははばかられます。でもやっぱりせっかくの成海璃子の新作なので、超オススメです!!!!

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