パラダイス・キス

パラダイス・キス

土曜の2本目は

パラダイス・キス」を見てみました。

評価:(30/100点) – 女王様、調子扱いてすみませんでした m(_ _ “)m


【あらすじ】

早坂ゆかりは高校三年生。受験を控えた大事な時期だがどうも勉強に身が入らない。母は大変熱心な教育ママで少しコンプレックスも抱えている。
そんなゆかりは、ある日道端でチャラい男にナンパされたあげく追い回され、貧血で倒れてしまう。目が覚めると目の前にはナンパ男とギャルがいた。話しを聞くと、彼らは矢澤芸術学院の学生で、卒業制作のファッションショーのモデルを探しているという。早々に切り上げようとしたゆかりの前に、これまたスカしたナルシストが現れる。それが、運命の出会いだった、、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ゆかりとパラダイスキスのメンバーとの出会い。
 ※第1ターニングポイント -> ゆかりが家出する。
第2幕 -> ゆかりのバイト生活とジョージ。
 ※第2ターニングポイント -> ファッションショーが始まる
第3幕 -> ファッションショーとその後。


[スポンサーリンク]

【感想】

土曜の2本目は「パラダイス・キス」です。ご存じ矢沢あいの大人気コミックスで、私もさすがにZipperは買ってませんでしたが単行本は普通に買ってました。やはり客層は女の子ばっかりで、しかも10代~20代ぐらいの子ばっかりでした。一番前の列だったので周りに人は居ませんでしたが、物凄い肩身が狭かったですw
さて肝心の映画ですが、まず間違いなく原作ファンからは袋叩きに逢うだろうという前提で、私はいまから全力で擁護したいと思います。おそらく叩かれる一番の焦点になるとおぼしきラストについても当然触れざるを得ません。ということで、漫画未読で、まっさらな気持ちで映画を見たい方はご遠慮ください。

原作の肝:現代日本版のプリンセス・ストーリー

本作「パラダイス・キス」は、ストーリーのフォーマットとしてプリンセス・ストーリーの型を使っています。主人公の早坂ゆかりは教育ママの元で進学校に通う”冴えない女の子”です。ポイントは、彼女は漫画ならではのトリックで絵面はすらっとした美形になっていますがストーリー上は決して美人ではないと言う点です。そんな彼女がある日街中でスカウトされます。スカウトといってもファッションデザイン学校の卒業制作のお祭りモデルであって、決してプロではありません。そしてそこで金持ちでナルシストが入った”天才”のジョージに出会うわけです。しかし、ジョージも実際には決して一般的な意味での”天才”ではありません。彼はあくまでも専門学校という井の中の蛙のトップクラスというだけです。ゆかりはそんなジョージと出会うことで、いっときの「夢」を見るわけです。しかしそれはあくまでも「夢」であって、現実はそんなに甘いものではありません。ジョージはゆかりの日常空間に非日常というイリュージョンを生み出したプリンスであり、ゆかりはそのイリュージョンを一瞬垣間見ることで一生の幸せを得るわけです。そしてそれこそが「青春」なわけです。だって青春ってそういうことですから。
ですから、「パラダイス・キス」は間違いなく青春漫画であり、そしてプリンセス・ストーリーなんです。まるでディズニー映画で魔女に出会ってプリンセスに変身する庶民の女の子のように、ゆかりはジョージによってモデルの夢を見るんです。

一方の映画版は、、、

さてさて、一方の映画版はどうかと言いますと、一言で言えば「天才が才能を発掘され調子にのる話し」です。つまり「ハリー・ポッター」「トワイライト」等でお馴染みのいつものアレです。ゆかりは元からモデルの才能があり、家出するなりいきなり雑誌のモデルの仕事を”バイト”としてこなし、しかもプロのモデル達からも一目置かれます。ファッションショーのリハーサルではロクに真っ直ぐ歩けなかったくせに、数時間後の本番ではスタスタと歩いた上にドヤ顔まで披露する余裕を見せます。ゆかりは努力の人ではなく完全に「選ばれし者」です。
このストーリーは才能のあるゆかりがジョージやイザベラという仲間にチヤホヤされてその才能を発揮するまでのストーリーです。当然天才ですから、周りの仲間は簡単に引き離されてしまいます。あれだけ天才扱いされていたジョージもラストでは完全に立場が逆転してしまいます。そうです。この映画版は原作の肝をことごとく潰しています。ゆかりはいっときの夢を見たわけではなく本物の天才モデルです。雑誌の表紙やグラビアを大量に獲得し、CMや街頭ポスターにも出まくりです。一方のジョージはデザインして委託販売したパラダイス・キスの服が一着も売れず、先生からは「彼は感性の人だから商売として服を作るのは無理」と一蹴され、実際にパリに留学しても泣かず飛ばずで結局洋服屋を諦めます。最後はミュージカルの衣装デザイナーに落ち着きます。
この映画版は原作のテーマでもあった「でも現実ってそんなに甘くないぜ。でもそういう調子こけてたことこそが美しき青春じゃん?」というド根本的な部分がバッサリ切り捨てられており「天才が天才としての才能を開花して人生思い通りでバラ色」になって終わります。つまり「現実は甘くない」という視点が無くなって甘やかされて終わるわけです。
ですから私は確信します。本作は間違いなく原作ファンの怒りを買います。当たり前です。だって話しが180度変わってるんですから。原作で儚いからこそ美しかったイリュージョンが、現実にずっと続くようになっちゃってるんですから。北川景子が「王様のブランチ」のインタビューで「原作は消化不良だった」とかふざけた事を言っていましたが、原作は消化不良なのではなく現実的な落としどころを見せることでより青春を美しく見せているんです。夢は覚めるからこそ美しい。醒めない夢の中にいる人はそれが夢だと気付きませんから。
いかんいかん、、、ついつい怒りが出てきてしまいましたw いかん!!! 私は今日は擁護しようと思ってたのに!!!!
ということで次のパートでは力の限り擁護しますw

よ~し。頑張るぞ!!!

もう欠点は指摘いたしましたので、ここからは全力で擁護するパートに行きたいと思います。制作関係者の皆様、ならびに北川さん・向井さんの熱狂的ファンの方々、お待たせいたしました!!!
まず何がすごいって、本作に出てくるジョージの衣装は完璧です!!! 一目で「うわぁ、、、、こいつセンス無いわ、、、、ダッサ、、、。」と分かるのに、劇中では高校に勝手に入り込んでキャーキャー言われるほどイケメン扱いされるわけです。この描写によって本作の舞台がファンタジックな異空間であり、まさしくイリュージョンの中だと分かるようになっています。つまり、画面に映っているジョージは驚くほどダサいのに、作中の人々の脳内では超絶なイケメンに見えているわけです。これは青春で舞い上がった少年少女達の新しい表現の仕方です。まさしくブラン・ニュー!!!
また、北川景子さんの表現も完璧です。冒頭からお嬢様・勉強できる子とは対極にある茶髪で厚化粧な状態で出てきますので、そりゃあ生活指導で呼び出されるのも当然です。この辺りは実在感が完璧です。います!!! いますよ、進学校でグレちゃって自分探しをはじめちゃう子にこういう雰囲気の子はいます!!! 完璧!!! しかも身長が160cm弱しかないのに道端でモデルとして声を掛けられるほどの圧倒的な存在感とドヤ顔感。これはもう北川景子にしかだせません。特に前半のサディスティックな雰囲気は最高に魅力的でした。鼻の穴にも華があって完璧なドヤ顔です。100点!!!!
恋愛要素という意味でも本作は良く表現できています。ゆかりはジョージを一目見た瞬間に惚れてしまうわけで、これは北川景子さんの「イケメン食い伝説」と相まって物凄い実在感を伴っています。ジョージはジョージで早い話が結局口だけの小者なんですが、しかしその小者がキザなハッタリを言ったばっかりに意志の強いギャルギャルしたイケイケな女に絡め取られていく感じがサイコホラーとして哀愁すら漂わせます。「あぁ、、、こういう半端な男ができちゃった結婚とかで強いチョイ可愛い女性に人生を食われていくんだな、、、。」という現実がしみじみと表現されていました。まさに弱肉強食。身につまされます、、、お大事に。
やっぱり実写で「パラダイス・キス」を表現するのってとんでもなく難しいと思うんです。だって原作は「青春ならではのキラキラとした夢の様なイリュージョン」を見せるものだったわけですから、それを実写にしたら全然イリュージョンじゃなくなっちゃうんです。「パラダイス・キス」を実写化するのであれば、どうしても一般的な恋愛映画にするのが一番簡単ですし、そうすると「実は天才な女の子がフックアップされる話し」「ハンパに才能のある男が慢心した末にイケイケな女に絡め取られて人生を潰す話し」に落とし込んじゃうのが手っ取り早いです。やっつけ仕事としては十分にまとまっていますし、問題無いクオリティだと思います。
そういう意味では、本作のヒーロー・ヒロインのキャスティングは本当に最適だとおもいます。時折清楚に見えるけど基本はガツガツした強いギャル女である北川景子と、遠くから見ると雰囲気がイケメンに見えるけど実はすごい弱気で純朴な丸顔をしている向井理。この2人がそのまんま本作のゆかりとジョージとしての強烈な実在感を支えています。もちろん原作のゆかりとジョージとはほとんど正反対なのが難点ですが、、、。

【まとめ】

ということで、本作のテーマは実は「半端な男の人生転落劇」だったんです。それまでイケイケだったのに自分よりはるかに上手(うわて)な女性と出会ってしまったことで主導権を完璧に奪われて転落していく話し。しかもその転落の瞬間が北川景子の本気で恐いドヤ顔@ファッションショーなんです。ドヤ顔一発で自称天才だった男の自信を粉砕した上に踏み台にして、かつその直後のキスで完全に男の人生を掌握する。あまりの恐ろしさに身震いしてちょっとチビりました。
パラダイス・キスとして見ればこんなゴミフィルムになんの価値もありませんが、恐い女と弱気な男の恋愛話としては大変面白い作品です。ドMな男の子とドSな女の子には全力でおススメします!!!!
YOUもこんな男の子or女の子に出会っちゃいなYO!!!! オススメDEATH!!!!

[スポンサーリンク]

記事の評価

トラックバック用URL:

https://qbei-cinefun.com/paradise-kiss/trackback/

パラダイス・キス」への4件のフィードバック

  1. 映画レビュー38 パラダイス・キス

    映画感想駄文:にわか映画ファンの駄目な日常 パラダイス・キス
    【通常版】 パラダイス・キス [Blu-ray](2011/10/26)北川景子、向井 理 他商品詳細を見る
    よかった!評価☆☆☆☆★
    向井

  2. 原作は途中までしか実は読んで無いので、紫とジョージがどうなったのかしらないまま映画を見ました。
    が、見終わった後のこのモヤっと感orzどうにも消化できずレビューを探していたらこんなにもスッキリさせてくれるレビューに出会えました(^○^)
    全力擁護素晴らしかったですこんな切り口があったなんて目から鱗といわずもう金魚が飛び出しちゃいました
    感動しました。

  3. レビューおもしろかったです! こういう書き方もあるのかと感銘を受けました。
    ジョージ……自業自得なんですかね。

  4. はじめてまして。
    あまりにも晴れ晴れとした低評価レビューを、
    爆笑と共に読ませていただきました。
    私は映画は未観賞ですが、原作を知るだけに、
    きゅうべい様の感想にうなずきまくりです。
    アーカイブも拝見させていただきます。
    これからのレビューも楽しみにしております。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です