第9地区

第9地区

本日はSF映画2本立てです。

1本目は「第9地区」です。

評価:(95/100点) – ヘタレ小役人よ、いまこそ立ち上がれ!!!


【あらすじ】

今から20年前、南アフリカのヨハネスブルグに宇宙船が飛来してきた。そのまま居着いてしまったエイリアンは、その容姿とゴミ漁りの意味を込めて「エビ」と呼ばれ第9地区に隔離されていた。そして現代、軍事組織MNU(マルチ・ナショナル・ユナイテッド=多国籍連合)はエビ達をヨハネスブルグの郊外に移住させる計画を発動する。計画の総指揮は、エイリアン課の真面目な職員・ヴィカスに任された。軍人達の暴走を横目に、ヴィカスは第9地区に向かい移住同意書へのサインを集めるが、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> UFOの出現からこれまでの概要。移住計画の発令。
 ※第1ターニングポイント -> ヴィカスの左腕がエビ化する。
第2幕 -> ヴィカスの逃走と黒い液体の奪還作戦。
 ※第2ターニングポイント -> 司令船が撃墜される。
第3幕 -> 第9地区での最終決戦。


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【感想】

やっと、、、やっと日本公開されました。昨年の夏休み映画にして全米で大ヒットした昨年のSF最高傑作、30億というCG映画にしては安い制作費ながら205億円の興収を叩きだしたモンスター映画、「District9」です。
すでにDVDが出てますので映画ファンならばチェック済みの方も多いと思いますが、ようやく9ヶ月遅れでの公開です。去年の秋頃はDVDスルーすら怪しかった冷遇のされ方でしたが、なんとかかんとか公開されたことに安堵しつつ、やっぱり日本の配給会社の方針に疑問を感じずにはおれません。
本作のストーリーは劇場でご堪能いただくとして、やはりずば抜けているのは観客感情の操り方です。
序盤はエビが完全に卑しい低脳なエイリアンにしか見えないんですが、あるポイントからエビ同士の会話シーンが入るようになります。そしてヴィカスがエビ化するにつれ徐々にエビの事情が見えてきて、観客もエビに親近感が湧くようになります。それと同時に、エビにだってインテリで良い奴がいるということが明らかになります。そして極めつけは地下ラボであるものを発見するシーンです。ここで完全に人間側が悪になります。そして人間どもの非道さが観客に浸透してフラストレーションがピークに達した所で、遂にヘタレのヴィカスが熱血ヒーローモードに入るわけです。それこそ「ガンダム大地に立つ!!」のようなロボットものの第1話よろしく、いままでヘタレだった男が意を決して強大な力を手に入れて己の正義のために立ち上がるわけです。これが嫌いな男の子は一人もいないと断言できます。熱血ってやっぱり万国共通なんですね。
とはいえ、プロットは結構雑だったりします。黒い液体でエビ化する原理が説明無しだったり、司令船から母艦をリモートコントロール出来る原理の制約事項の説明が無かったり(=制約無しなら司令船が飛ぶ必要がない。)、どうしてもチグハグな感じが否めません。しかしそれを差し引いても、キャラクターの追い込み方は本当に見事です。「こうなったら、こうするしかない」という追い込まれ型の行動原理が全編続いていて、物語の推進力は最後まで衰えることがありません。だから、2時間近くがあっという間に過ぎてしまいます。
もちろん、本作はご存じの通り「ケープタウン第6地区」と「居着いちゃった宇宙難民」のアイデアを混ぜたものです。ですから黒人のメタファーとしてエビを見ることは可能ですし、それこそアパルトヘイトに対する怒り(人間/白人共をぶっ殺せ)と捉えることも可能です。
しかし、そういった政治的な目線の好みを脇に置いても、第1級のすばらしいSF作品であることは間違いありません。
本作がコケでもした日には金輪際SFは輸入されないんじゃないかというぐらい危機感があったりしますので、是非是非、気になった方は劇場に足を運んでみて下さい。GAGAに儲けさせるのは癪ですが(苦笑)、映画ファンなら必見の作品です。
いや噂に違わぬ素晴らしい出来でした。

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シャッターアイランド

シャッターアイランド

本日はレイトで

シャッターアイランド」を見ました。

評価:(62/100点) – どうしたスコセッシ、、、。


【あらすじ】

連邦保安官のテディは相棒のチャックと孤島「シャッターアイランド」に捜査のためやってきた。犯罪者収容所のなかでも精神病患者に特化したシャッターアイランドで、レイチェルという女性が密室から忽然と姿を消したためである。捜査を続ける二人だったが、やがてテディは亡き妻の仇を探しにシャッターアイランドに入り込むチャンスをうかがっていたと語り始める、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> テディとチャックの出会い
 ※第1ターニングポイント -> シャッターアイランドに着く。
第2幕 -> レイチェルの捜索とレジェスの捜索
 ※第2ターニングポイント -> テディが島からの脱出を決意する。
第3幕 -> チャックの救出と真相


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【感想】

さてさて金曜恒例の新作レイトショーですが、今週はマーティン・スコセッシ監督の「シャッターアイランド」です。言わずと知れたハリウッド映画界・最重要監督の一人であり、なにより「ハスラー2」と「タクシードライバー」という巨魁を打ち立てた教科書に出てくるレベルの大巨星です。
で、その新作なんですが、、、公式サイトを見ていただくと分かるようにひたすら「謎」という名のどんでん返しを猛プッシュして来ていまして、ある意味では宣伝の失敗と言えるかも知れないんですが、、、、酷い。
一応サスペンスなんで多くは書きませんが、このどんでん返しを宣伝しすぎているために本末転倒になっています。どんでん返しっていうのは意表を突かれるから効果があるわけで、最初から「どんでん返しあります!」って言われたら何の意味も無いんです。
ネタバレギリギリをえぐると、要は「シャマラン問題」です。
これは、ご存じ「シックス・センス」以降のM・ナイト・シャマラン監督が、ひたすらラストの立場逆転や世界観どんでん返しにこだわり続けていることに関する議論の総称です。早い話が「ラストでひっくり返すための前振りを続けるって映画としてどうよ?」という論点で、面白ければ良いと思うか映画でやるなと思うかで意見が分かれるわけです。
ただ本作は、第2幕までの描写はそこそこ出来てはいます。だから見ている間はそこまで気になるほど酷いとは思いません。ただ、、、やっぱり10年遅いんです。いまさら「シックス・センス」のど直球なフォロワーを見せられても、アイデアに手垢が付きすぎていてまったく驚けません。
わかったのは、やっぱりデヴィッド・リンチの悪夢描写はずば抜けているという事と、シャマランも意外と映画力あるんだなって事です(笑
スコセッシ監督には、そろそろディカプリオをやめて昔のような男泣き必至の名作をまた作っていただきたいです。興行成績はともかく、作家としての彼のフィルモグラフィー上では間違いなく無かったことになる類の珍作でした。余韻の残し方なんかはこれぞスコセッシって感じの繊細さですから、まだまだ現役で撮っていただいて、もっともっと彼の作品が見たいです。
オススメはしづらいんですが、、、役者のファンならば間違いなく押さえておいた方が良いです。俳優や演出は全く問題無いですから。

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シェルター

シェルター

今日は「シェルター」を見てきました。

評価:(45/100点) – オカルト・サイコ・スリラーとして雑。


【あらすじ】

ある日精神科医のカーラは父親からの紹介でアダムと出会う。彼はデヴィッドという第二人格をもっており、デヴィッドになると歩けなくなったり色覚異常が直ったりしてしまう。解離性同一性障害に懐疑的なカーラは、アダムのペテンを証明しようと彼の素性調査を始める。しかしカーラが見つけたのは、実在したデヴィッドという人物だった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> カーラが父の紹介でアダムと出会う。
 ※第1ターニングポイント -> デヴィッドの母親に会う。
第2幕 -> カーラの調査。
 ※第2ターニングポイント -> カーラが昔のフィルムを見る。
第3幕 -> アダムからの逃亡と結末。


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【感想】

今日は「シェルター」です。予告で変な仰け反り方をするジョナサン・リース・マイヤーズがとっても面白そうに見える新作です。ところが、、、まぁなんと言いましょうか、、、類型的すぎてちょっと安心して見られてしまうぐらいのヌル~~~イ作品でした。
というのも、全編を通じて”サイコスリラー的””オカルト・ホラー的”な描写を駆け足で適当に流していくんですね。その結果として別に驚くわけでもなく、「過去作品のダイジェスト映像集」を見ているような気分になってしまいます。
さて、毎回恒例ですが、今回も多数のネタバレを含みます。多分映画館にわざわざ見に行く人も少ないと思いますが(笑)、ジョナサン・リース・マイヤーズのファンで未見の方には「早まらないで!!」という言葉と共に、以下のネタバレをお気をつけ下さるようお願いします。早まらないで!!!。

話の骨格について

話自体は非常にありがちなオカルトです。いきなり全部ネタバレしますが、要は
「信仰を利用した悪徳牧師が、信仰厚いシャーマンのババァに呪いを掛けられ、不信心者の魂を攫うシェルター(魂を隔離する殻/悪魔)になる。」という話です。それって「エクソシ(以下略)
そこだけ取り出すと結構面白い話だとおもうのですが、問題は序盤から中盤に掛けてオカルト要素をあまり描かずにあくまでもサイコパス・スリラーの描き方になっている点です。作品がオカルト方向に完全に振り切れるのは、シャーマンの女がシェルターの実演をするシーンで、時間にしておよそ1時間20分。作品の大半がサイコパス方向です。そのため、お化けの話が唐突に見えてしまいます。カーラが最初から解離性同一性障害に懐疑的だからなんですが、それがカメラにも転移してしまっていて、オカルト的な要素が散りばめられているにも関わらずどこか冷めた演出になってしまっているんです。だって、死んだ人物が乗り移った多重人格者とか、咳き込んだ人が突然死したりとか、すっごい夢(?)がある話じゃないですか。でも、そんなの嘘だと言わんばかりのカーラの態度にカメラも同調した結果、見ている方もなんか微妙な空気になってしまいます。
咳き込むといえば、劇中で背中に十字架模様の「みみず腫れ」が出来て咳き込み始めると死ぬという描写があります。でも、実はこれ、冒頭を見れば分かるようにアダムにもあるんですね。ところが最終盤でフィルムに映されるムーア牧師はジョナサン・リース・マイヤーズが演じています。ということは、アダムはムーア牧師に乗っ取られた人間ではなく、完全にオリジナルのムーア牧師とイコールです。なので背中に十字架があるのは別にアダムのターゲットになったからではありません。ということは、、、いったい何がきっかけなんでしょう?
考え得るのは、信仰を失ったものには天罰として背中に「みみず腫れ」が出来るというものです。でもこれだと咳き込んで土を吐き出す描写が説明できません。口に土が詰まるというのはムーア牧師の特徴だからです。ではやっぱりムーア牧師のマーキングなんでしょうか?でもそれだとアダムにもある理由が説明できないし、、、謎。
この辺りのディティールの甘さがとってももったいないです。せっかく良い設定なのに、適当に投げっぱなしなんです。

テーマの消化について

本作は「信じる物は救われる」っていうバリッバリの宗教映画テイストです。正確には「信じない物は悪魔に襲われる」でしょうか。いずれにせよ「信仰」というキーワードに乗れるかどうかはかなり大事です。
集中力が切れてちゃんと英語を聞いてなかったのですが、字幕で牧師となっていたので松浦美奈さんの訳が正確ならこれはプロテスタントの話です。
なんですが、本作ではきっちりとした結末で消化してくれません。前述したように、クリスチャン・ムーア牧師は「信仰を利用した悪徳牧師」であるが故に呪われました。なので、この作品の結末はムーア牧師が信仰を取り戻す以外にあり得ません。しかも最後にちゃんとカーラがお祈りを聞かせるという決定的な場面があるんです。しかし結末は100%腕力です。っていうかオバちゃんのチョーク・スリーパーを振り切れない男って(以下略)
わざわざネタ振りまでして回収しないあたりが適当です(苦笑)。
あとこれは根本的な問題なんですが、どうしても宗教観に頼る作品ではあるので、私のような無宗教の人間にはイマイチ怖くありません。

【まとめ】

まぁいいんじゃないですか(←適当)。少なくともジョナサン・リース・マイヤーズのファンであれば、彼の赤ちゃんプレイが見れる貴重な作品です(笑)。しかし、、、ちょっとジャンルムービーの中でもレベル低いです。とはいえ、「フォース・カインド」よりは面白いので、興味を持った方は是非直感に従って劇場でお楽しみ下さい。
しかしここのところジュリアン・ムーアの地雷率はハンパじゃないです。
・フリーダムランド Freedomland (2006)
・トゥモロー・ワールド Children of Men (2006)
・NEXT -ネクスト- Next (2007)
・美しすぎる母 Savage Grace (2007)
・ブラインドネス Blindness (2008)
・シェルター Shelter (2009)
・50歳の恋愛白書 The Private Lives of Pippa Lee (2009)
・シングルマン A Single Man (2009)
勝率12.5%。面白いの「シングルマン」だけですね(苦笑)。今秋公開が決まったみたいなので是非お楽しみに。

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アイガー北壁

アイガー北壁

二本目は

アイガー北壁」です。

評価:(95/100点) – 物語の因果律を粉砕する大自然の驚異。


【あらすじ】

時は1936年。ベルリンオリンピックを二週間後に控えたドイツでは、アルプス山脈にある前人未踏のアイガー北壁が話題となっていた。アイガー北壁を初登攀した登山家は五輪会場で表彰を受けるという栄誉が与えられるのである。多くの登山家がアイガー北壁にチャレンジしようと麓に集まるが、その中に二人の若者がいた。トニー・クルツとアンディ・ヒンターシュトイサーである。これは2人のドイツ人が前人未踏の断崖に命がけで挑んだ、壮絶な死闘の記録である。

【三幕構成】

第1幕 -> ルイーゼの取材。
 ※第1ターニングポイント -> トニーとアンディがアイガー北壁挑戦を決め麓へ向かう。
第2幕 -> アイガー北壁登攀。
 ※第2ターニングポイント -> ヴィリーが重傷を負い、登攀を断念する。
第3幕 -> 引き返し道。


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【感想】

二本目は「アイガー北壁」です。私は不勉強にして知らなかったのですが、50歳以上の登山家の方々にはかなり有名な事件の映画化です。公開館が少ないこともあるのでしょうがかなり観客が入っていました。
2人の友情厚い男が命を賭けた挑戦。そして麓で帰りを待つ愛する女性。荒ぶる自然とストイックなまでにヒリヒリとした緊張感ある画面構成。文句無しの傑作です。
本作では劇中何度も、お約束のように伏線めいたものが張り巡らされます。そして事あるごとにその「劇映画的な予定調和・因果律」があっさりと大自然に捻り潰されます。しかしそこにあるのは思い通りにいかないフラストレーションや悔しさではありません。その圧倒的なまでのパワーにただただ圧倒されそして為す術もない人間達が映し出されます。手に汗握る緊張感とどうしようもない無力感。かすかに見える希望とそれが閉ざされる絶望感。本作にはあらゆるサスペンス要素が完璧なまでに詰め込まれています。あっという間の120分の後で、畏怖や感動を与えてくれる映画です。
観客はルイーゼと一緒にペンションで待つしかありません。ルイーゼは暖かい暖炉の前で、我々は手の出しようがないスクリーンの前で、凍える北壁に挑戦する男達を見守るわけです。そこに映し出されるのは感情を剥き出しにして命を削る男達の戦いです。
とまぁ絶賛モードなんですが、一点だけ微妙にひっかかる部分があります。それはオーストリア人の描き方です。登山史に明るくないためもしかしたら史実なのかも知れませんが、本作においてエディとヴィリーのオーストリア隊は最低な奴らとして描かれます。トニーが独自のアイデアで引いた登攀ルートの後を尾いてきて盗みますし、アンディが歴史的なトラヴァース(横渡り)で作った渡り綱を勝手に利用したりします。そして雪崩で負傷して勝手にドイツ組に合流したあげく、足手まといになり続け終いにはドイツ組の夢を壊します。全部おまえらが悪いと言わんばかりの展開でして、ちょっとどうかと思いました。またペンションにもオーストリア人と思われる夫婦が泊まっているんですが、男の方が登山にまったく無関心で、結構嫌な奴に描かれます。政治的な意図は無いのでしょうが、ちょっと気になりました。

【まとめ】

山岳映画といえば、昨年日本でも「剱岳」がありました。「剱岳」は登山描写に関しては根性一発で風景映像のみ楽しむようなところがありましたが、本作ではその心理状況からロジックの部分までとても丁寧に描かれています。ヒューマンドラマとしてみても、スポーツドラマとしてみても、文句無しの大傑作です。おそらく山岳映画としては10年・20年経っても語り継がれる類のマスターピースになるでしょう。
全映画ファン必見の作品です。オススメです!!!

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スパイアニマル・Gフォース

スパイアニマル・Gフォース

本日も二本観てきました。一本目は

新作3D映画「スパイアニマル・Gフォース」です。

評価:(10/100点) – 「可愛いだけじゃダメかしら?」「はい。ダメです。」


【あらすじ】

FBIのベンは独自に動物をスパイ要員として育てるプロジェクトを立ち上げていた。しかし、FBI本部は研究費の削減を理由にプロジェクトの廃止を決定する。なんとか実績を上げてプロジェクト存続を狙うベンは、かねてよりFBIが目をつけていたセーバリング・テクノロジーのCEO・レオナルド=セーバー邸への潜入ミッションを計画する。実戦部隊は三匹のモルモットと一匹のモグラとハエ。こうしてGフォースの初ミッションが始まった。

【三幕構成】

第1幕 -> Gフォースの初ミッション。
 ※第1ターニングポイント -> Gフォースが研究室を追われる。
第2幕 -> ペットショップからの脱出。
 ※第2ターニングポイント -> ベンの元に合流する。
第3幕 -> セーバー邸への再突入。


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【感想】

本日の一本目は「スパイアニマル・Gフォース」です。本当はワーナー・マイカルMMのRealDで見るつもりだったのですが寝過ごしてしまいまして、ブルク13のXpanDで見ました。観客は圧倒的に子供連れが多く、入りは6割といったところでしょうか? そういえば、そろそろ春休みが始まってるんでしょうかね。子供が多かった割には本編上映中はおとなしかったので、子供達はきっと集中して楽しんでいたと思います。
しかしですね、、、本作を子供連れで見に行くのは正直どうなんでしょうか? その理由を述べたいと思います。

本作の立ち位置と難点

本作は人間の言葉が話せるモルモットが活躍する戦隊ヒーローものです。「モンスターズ・インク」と「ボルト」で完全に確立された「動物の毛並みの表現」をフルに使用したモルモットは本当に可愛いです。ラブリーです。そして敵は家電業界のトップ。世界滅亡を企むテロリストとしてFBIが数年来マークしていたそうで、そこにGフォースが突入します。話の構図の単純さやルックスを見るにつけ、完全に子供連れファミリーをターゲットにしています。子供向けの勢い重視の作品で脚本の穴を指摘するのはヤボだと思いますが、しかし本作を私は子供騙しの酷い駄作だと思います。
まず、話に一切驚きや興奮がありません。スパイの大味ヒーローものというと真っ先に「ミッション・インポッシブル」が浮かびますが、あの作品で描かれていたようなハラハラドキドキのシチュエーションが一切ありません。「ミッション・インポッシブル」も決して褒められた作品では無いですが、それでも一時的なサスペンス・シチュエーションだけは作っていました。そういったハラハラが無いので、そもそもGフォースの活躍が良く分からないという事態になっています。

本作の倫理的な問題点

次に、本作の抱える倫理的な問題です。私が見る限り、許し難い問題点が3点あります。
1点目は途中でダーウィンが自信を無くすシーンです。彼は自分が遺伝子操作をされておらず、普通のモルモットだということにショックを受けます。そして、そこから立ち直る理由が「僕はエリートだから」なんですね。はぁ!!!???? 挙げ句の果てには「僕はペットショップのモルモットとは違う。訓練を積んだスペシャルなモルモットだ!!」とか言い出すわけです。これって素直に「僕は努力をしたから出来るはずだ」って言わせれば済むことなんです。なんでそんな差別的な表現をするんでしょうか? しかも肝心の努力をするシーンが全然映らないものですから、まったくのお笑い草です。
2点目は、ハムスターとフェレットの合いの子を「合いの子だから(純血じゃないから)」という理由で主人公・ダーウィンがいじめる描写です。しかも謝らない。それどころか、その合いの子が実は嫌な奴だというエクスキューズまで後からつけるんです。合いの子をいじめるのはOKなの? 合いの子って根性ひねくれるものなの? それってナチスに通じる純血主義そのものですよ。他民族国家アメリカでは一番センシティブな話題のはずです。もしやアメリカでは、父親が黒人で母親が白人だといじめてOKみたいな裏ルールでもあるんでしょうか?
3点目は、勧善懲悪のフォーマットがボロボロだという点です。今回の黒幕は「両親を人間に殺された」恨みをはらすために人間を皆殺しにする計画を立てます。そして実際に実行に移すのですが、ダーウィンの説得にあっさり応じて計画を緊急停止します。そして罰として自分の作った兵器の後片付けを命じられます。
まず、この緊急停止までにかなり時間があるため、作品内の描写の威力であれば間違いなく何(百)人かは死んでます。人が死んでいるのに後片付け程度で済んで良いのかというのが引っかかります。さらに、そもそも根本的な問題である「黒幕の両親が人間に殺された件」が完全にスルーされています。それは落とし前つけないとダメじゃないですか? 殺した人間が謝るでも良いし、今後殺さないようなルールや工夫ができるでもいいし、何かしら回収するべきです。ものっすごい人命軽視です。

【まとめ】

本作は話が単調でつまらないという以上に、倫理的に問題がありすぎます。可愛ければ/格好良ければなんでもOKという酷いスタンスです。もしあなたが子供連れの親御さんだとして、子供にこういう思想を持って欲しいですか? 「いじめ上等。」「人間は見た目が全て。」「人を殺してもせいぜい数年刑務所に入るだけならいいじゃん。」等々。もしこれがOKということであれば、いますぐお子さんを連れて劇場に行きましょう!! オススメです!!!
本作のプロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーの親はナチスから逃げてアメリカに来たユダヤ移民なんですが、本当にこれでいいんですかね? 「ブラックホーク・ダウン」でもソマリアの黒人をゾンビのように描いていましたし、ちょっとブラッカイマーはファミリー映画をやらせるには思想に問題がありすぎるように思えるんですが、、、。

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マイレージ、マイライフ

マイレージ、マイライフ

2本目は、ゴールデングローブの脚本賞を獲りました、

マイレージ、マイライフ」です。

評価:(90/100点) – 大人になるって、悲しいことなのかもね、、、。


【あらすじ】

ライアン・ビンガムはやり手の解雇通告人である。彼は依頼の来た会社に出向き人事担当に変わってリストラを穏便に通告していく。仕事で毎日のようにアメリカ中を横断する彼にとって、飛行機こそが「我が家」であった。ある日、新入社員のナタリーはビデオチャットで解雇を告げるシステムを会社に提案し、出張経費の削減を図ろうとする。これに反対したビンガムに、会社は彼女を実地研修のため出張に同行させるよう命じる。こうして、ビンガムとナタリーの解雇通告の長期出張が始まった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ビンガムの仕事風景とアレックスとの出会い。
 ※第1ターニングポイント -> ナタリーが出張に同行するようになる。
第2幕 -> ビンガムとナタリーの仕事。そしてビンガムとアレックスの恋愛。
 ※第2ターニングポイント -> ビンガムの妹の結婚式が終わる。
第3幕 -> 結末。


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【感想】

さて、残念ながらアカデミーは無冠に終わりましたが、ゴールデングローブ脚本賞を獲りましたマイレージ・マイライフです。監督は「ジュノ」のジェイソン・ライトマン。「ゴースト・バスターズ」で有名なアイヴァン・ライトマンの息子です。主演は大根役者ながら人の良さがにじみ出ているジョージ・クルーニー。ちなみに私はジョージ・クルーニーが大好きです。夜の早い回で見ましたが、かなり観客が入っていました。それでも大箱では無いのが残念です。
本作の原題は「Up In the Air」で、直訳しますと「空中を漂う」となります。ダブルミーニングになっていまして、「飛行機」そのものと「地に足が付いて無い男」の両方を表しています。すばらしいタイトルですので「マイレージ、マイライフ」よりも、これを意訳したタイトルをつけて欲しかったです。
また、以下の文章は例によって若干のネタバレを含みます。結末を知って見方が変わるたぐいのエンタメではありませんが、まっさらな状態で観たい方はご遠慮下さい。

本作のストーリー

本作の主人公ライアン・ビンガムは、独身で親戚や近所付き合いもほとんど無く、ほぼ一年中出張しています。夢は史上7人目の1000万マイレージを貯めて機長と会話をすること。時には「What’s In Your Backpack? (あなたは何を背負ってる?)」というテーマで「悠々自適な人生」の講演会まで引き受けたりします。彼にとっては家族は重荷であり、女性とも「カジュアルな関係」以上には踏み込みません。非常に合理的というか実利的に生きています。彼にとっては空港と飛行機がくつろげる唯一の場所であり、アテンダントの笑顔が癒しです。
ところが、彼が仕事として解雇通告をする際は非常に人間的で親身な対応をモットーとします。マニュアルに沿って事務的に解雇通告するのではなく、きちんと相手に納得させた上で生きる希望をもたせます。
そんな中で、彼は自分とは180℃考えの違うナタリーの面倒を見ることになります。プレイベートでの彼女は若くしての結婚を望み、高学歴ながら彼氏を追ってオマハまで来て解雇人のような泥臭い仕事に就きます。しかし仕事となると彼女は徹底した合理主義者になります。経費削減のためのビデオチャットを提案し、解雇通告もフローチャートでマニュアル化して誰でも出来るようにしようとします。
そんな全く別の存在・ナタリーがいる一方で、ビンガムは自分と同じく出張好きのアレックスに出会います。彼女との恋愛はあくまでも「カジュアルな関係」であり、お互いにショートメールをしたり落ち合って一晩だけ過ごしたりするだけの関係です。
この「似たもの同士」「正反対」という2人の女性を通じて、ビンガムは自身の価値観を徐々に変えていきます。

ビンガムの価値観

彼にとって家族は重荷です。女性とも真剣に付き合いません。そして飛行機が大好きです。要は「子供」なんです。たしかに仕事中にはとてつもない包容力を見せますが、プライベートは決定的に「子供」です。
彼は終盤、2人の女性を通じて真面目に恋愛しようと決意するに至ります。要は大人になろうという決意を固めたわけですね。まさにそのとき二つの悲劇が起こります。そしてこの悲劇によって彼は否応なく大人に”させられて”しまいます。彼は他人との関係をきちんと考えるようになります。それが如実に表れるのが最後に出てくる「ある手紙」です。
しかしその一方で、彼は夢が叶っても素直に喜べず、いままで好きだったはずの物を前にしてただ呆然としてしまいます。大人になったことで世界から喜びが消えてしまったんです。ビンガムは間違いなく「正しい大人」になったんですが、幸せそうには見えません。
本作における大人への成長は、責任の獲得であり、無邪気さの消失であり、そして夢に向かう情熱の喪失です。
本作が上手いのは、この流れが序盤でビンガムが解雇通告する際の話に通じるところです。ビンガムは自身を「ウェイクアップ・コール(目覚まし電話・価値観の転換を促す存在)」だとし、リストラ対象者に子供のころの夢をあきらめるなと言うんですね。ところが、いざ自分がウェイクアップコールを受けたら夢が消えちゃったんです。
だから、発着陸掲示板を前にしたビンガムの姿を見て、ちょっと泣いちゃうわけです。

【まとめ】

本作はかなりアクロバティックな変形の「少年の成長物語」です。たぶん社会人ならば、そして特に夢をあきらめざるを得なかったサラリーマンやOLなら、誰しも身につまされて心を揺さぶられるでしょう。ただのエンタメではありません。ある種のロマンでありファンタジーがこの作品には詰まっています。
大規模公開ではないですが見ておくべき良作です。間違いなくオススメします!!! 劇場で泣いてしまえ!!!

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ブルーノ

ブルーノ

日も二本です。
一本目でブルーノを見てきたんですが、ちゃんと書くのが難しいので駄文で逃げたいと思います(笑)。

評価:(80/100点) – 正気とは思えない、受け止めるのが大変な芸人魂。


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【感想】

この作品は言わずと知れたイギリスの体当たりコメディアン、サシャ・バロン・コーエンの持ちキャラクター「ブルーノ」を映画にしたものです。今回はゲイキャラということで、とにかく「アナル」と「ち○こ」ネタが大量動員されていまして、画面上がモザイクだらけです。相変わらずの有名人ネタも多く、特にメル・ギブソンを「反ユダヤ人の親分・総統」呼ばわりしたり、アイドルにして人権派のポーラ・アブドゥルに男体盛りを出したり、かなり危ないギャグで弄くります。
不謹慎コメディとしてはかなり度を超している凄いレベルなんですが、どうしてもアメリカのドメスティックな笑いになってしまうため、日本人には分かりにくい部分があります。アーカンソーは保守的なのでゲイがやばいとか、ユダヤ教でゲイはやばいとか、アラバマの荒くれ狩人にゲイはやばいとか(笑)。
まぁとにかくゲイがやばい所ばっかに行くわけで、よく生きて帰ってきたなと。
本作が物凄い所は、そういった「たけしの元気が出るテレビ」的というか「ジャッカス」的な不謹慎なことをやりまくっていながら、きちんと劇映画としての「ブルーノの成り上がりストーリー」にまとまっているところです。不謹慎ネタの連続なのにストーリーとしてきちんと成立しているんです。だから子供が伏線になってたりして劇映画としても楽しめるんです。
こう言ってはなんですが日本でお笑い芸人が映画を撮ると、出来もしないのに「一流劇映画」を目指してしまい、結果煮ても焼いても食えない産廃が生まれます。でもお笑い芸人なんだから映画で堂々とお笑いをやれば良いんですよ。本作のサシャ・バロン・コーエンはきちんとシングル・コメディアンでも超面白い映画を作れるということを完璧に証明しています。「映画監督」の肩書きが欲しいだけの糞三流吉本芸人とは違う、本物の一流コメディアンの映画がここにあります。是非映画館でご鑑賞を!!!
ただし下品なエロ・ゲイネタのオンパレードですので、そこいらに耐性がある人限定です(苦笑)。
エア・ゲイ・セックスとか杉作J太郎さん以来の革命です(笑)。

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噂のモーガン夫妻

噂のモーガン夫妻

今日は会社帰りに

「噂のモーガン夫妻」をレイトで見てきました。。

評価:(45/100点) – 潔い割り切り。ラブコメして何が悪い!


【あらすじ】

メリー・モーガンとポール・モーガンは、ポールの浮気が原因で別居していた。ある日仲直りしたいポールはメリーをディナーに誘う。その帰り道で両名はたまたま殺人現場を目撃し、犯人に狙われてしまう。二人は証人保護プログラムを適用されワイオミングのド田舎町・レイで一週間を一緒に過ごすことになる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> モーガン夫妻の別居状態
 ※第1ターニングポイント -> モーガン夫妻がワイオミングに着く
第2幕 -> ワイオミングでの日々
 ※第2ターニングポイント -> 夫婦の仲直り
第3幕 -> 殺人事件の結末


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【感想】

本日は「噂のモーガン夫妻」です。カップルが数組入っていたぐらいですので、標準的な入りではないでしょうか。
本作については正直あまり書くことがありません。というのも物語がスッカスカだからです。冒頭で起きる殺人事件も結局は「夫婦がいやいやでも一緒に居ないといけなくなる」という効果のみを狙ったものですし、それ以外は別になんにも起きません喧嘩していた筈の夫婦が、田舎の自然に触れて癒されていくうちに素直になって仲直りするっていうだけです。殺人事件だってツッコむ気もおきないくらい適当な設定で、ラブコメの小道具以上の事には使われていませんから。
ヒュー・グラントは相変わらずダメ人間が超似合いますし、サラ・ジェシカ・パーカーも年の割には青春まっただ中に見えます。でも本当にそれだけです。結局、2人の痴話げんかを延々と80分近く見るだけです。俳優力が素晴らしいので見ている間は全然問題無く見られるんですが、面白いってほど面白くもないし、けなすほどつまらないラブコメでもないので、まぁ時間つぶしにカップルで入るならいいのかなってぐらいの感覚です。
私の中では完全に「どうでもいい映画」枠でした。
予告はもっと面白そうだったんですけどね、、、。
ちなみに同じ「浮気と夫婦」を描くにしても「スイートリトルライズ」よりも数段上の綺麗な回収を見せてくれますので、何の問題もない標準的なラブコメなのでは無いでしょうか?
別に見なくて良かったかも、、、。

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