ナルニア国物語第3章 アスラン王と魔法の島

ナルニア国物語第3章 アスラン王と魔法の島

今日は話題作が多く公開される中であえてこの2本です。1本目は

ナルニア国物語第3章 アスラン王と魔法の島」です。

評価:(35/100点) – もう3Dじゃなくていいんじゃ、、、、。


【あらすじ】

舞台は第2次世界大戦下のイギリス。ペベンシー4兄弟のうち、長男のピーターと長女のスージーはアメリカへ疎開していた。残されたエドマンドとルーシーは従兄弟の家に預けられる。嫌味な従兄弟のユースチスに悶々としながら耐えていた2人は、ある日壁に掛けてあったナルニア風の絵に誘われナルニア国へ戻ることとなる。しかし寄りによってユースチスまで付いてきてしまった。
カスピアン王の「朝びらき丸」に拾われた3人は、王の旅に同行することになる。それはかつてカスピアンの父王の側近だった「七人の偉大な領主」を探す旅だった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ナルニアへの帰還と孤独の島
 ※第1ターニングポイント -> 孤独の島を抜け出す。
第2幕 -> アスランの剣を探す旅。
 ※第2ターニングポイント -> アスランのテーブルに剣を6本置く。
第3幕 -> 暗闇の島での決戦。


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【感想】

今日の1本目は「ナルニア国物語第3章 アスラン王と魔法の島」です。金曜・土曜とテレビで前作をやっていますし、結構一押し感のある大作、、、、のはずですが、正直あんまりお客さんが入っていませんでした。
え~~~~~何を書いていいか正直わからないくらいフツ~~~~につまらない子供向け映画でした(苦笑)。
というのも、物語の大半が「島を渡り歩いて領主を見つけて剣を集める」という内容であり、その「島の設定的な面白さ」で引っ張っているからです。じゃあその島がどれぐらい面白いかというと、、、、、う~~~ん。私は原作未読なのでピンと来てないだけかもしれませんが、なんか「007 ゴールドフィンガー」や「シンドバッド黄金の航海」っぽい島とか、「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」で見たような机とか、あんまり目新しくグッと来るものがありませんでした。非常に淡々と物語りが進むので、あんまり盛り上がることもないままなんとな~く気付いたら映画が終わってしまいますw
本作はすごくキリスト教的な道徳に溢れた作品だと思います。早い話が、本作は「誘惑」という名のサタンのトラップを少年・少女がかいくぐって成長する「試練の話」なわけです。そして全ての試練を乗り越えると、アスランの国(=神の国)が現れてアスラン(=神様)自らが招待してくれます。「一度アスランの国(=神の国)に入ると戻ってこれない」というのも考えれば当たり前の話しです。「ナルニア国物語/第1章 ライオンと魔女」でペベンシー兄弟達は「アダムの息子」「イブの娘」と呼ばれているわけで、この辺りはかなり意図的に作っています。親御さんも安心してお子さんを連れて見に行ける鉄板の内容です。
だからこそ、盛り上がることが無く淡々と説教をされている気分になってきますw twitterでちょろっと書いたように、これはまさに小学校の道徳の授業で「NHK教育テレビ」のドキュメンタリーっぽい放送を見せられて感想文を書かされるときの憂鬱に限りなく近いです。「つまんないけど、つまんないって書くと怒られるからとりあえずお茶を濁すか、、、。」みたいな感じですw
ちなみに3Dになったとはいえ、スペクタクル度は前作と比べて大幅にダウンしています。1作目と2作目でお馴染みだった大群vs大群のモブシーンもありませんし、魔法的な演出もほとんどありません。全く3Dの価値はありませんので、どうしても字幕で見たいという私のような輩いがいは2D吹き替えで十分だと思います。
とはいえ、家族連れで行くのであればという注釈付きではオススメできます、、、、たぶん、、、、いや2の方がまだ面白いです、、、でもそれだと1の方が面白いし、、、とりあえずオススメデス。

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ヒア アフター

ヒア アフター

二本目は

ヒア アフター」です。

評価:(85/100点) – すごい混ぜ方のオカルト・ヒューマンドラマ。


【あらすじ】

ジョージは子供の頃に病気で生死を彷徨ってから、死者と対話できる能力を身につけた。しかし医者からは精神病患者と見られ、他人からは気味悪がれてしまいまともな生活を送れない。ジョージは霊能力者として生計を立てていたが、その能力を隠して普通の人間として生活することを決める。
一方、フランスの人気ニュースキャスター・マリーはプロデューサーの恋人との旅行中に大津波に遭って生死の縁を彷徨う。彼女はその時あの世を一瞬垣間見たように思い、それが気になって仕事に身が入らなくなってしまう。
時を同じくして、イギリスでは双子の兄を事故で亡くしたマーカス少年が、もう一度兄と対話をするため霊能力者を捜していた、、、。


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【感想】

本日の二本目は「ヒア アフター」です。本国では昨年の10月公開作品で、4ヶ月遅れで日本上陸です。老いてますます盛んなクリント・イーストウッドの最新作です。とはいえ、正直そこまでお客さんは入っていませんでした。予告でおもいっきりオカルトな面を見せているので、そこが敬遠されてしまったのでしょうか?
いきなりですが、本作はアメリカではあまり評判が良くないようです。ざっとrotten tomatoを見た感じですと、「死についてちゃんと書いていない」とか「意外な事がないから眠い」とか結構散々ですw ですが私は結構好きです。雰囲気映画は雰囲気映画ですし、前述の批判はもっともだとは思いますけどねw
本作は3つの話がまったく別々に展開していきます。一つは本物の霊能力者でありながらそれを呪いだと思って普通の生活に戻りたがる男の物語。これは永遠のとっちゃん坊やマット・デイモンが得意とするタレ目の困り顔で好演しています。霊能者としての苦悩については、正直私達一般人にはどうでも良い話題なので(苦笑)、そこについてどうこうはありません。ただ、本作ではその「霊能力者としての苦悩」を「他人の事がわかりすぎてしまう男」「社会の中で疎外感を感じている男」という一般論に落としてきます。そこがとても素晴らしいです。特に中盤でてくるメラニーとのロマンス未満の理不尽な感じは「あるあるネタ」として私のようなダメ人間にはど真ん中に来ます。
「映画好きなんでしょ?」「いや好きだけど、変なのばっかり好きなのよね」「何が一番好き?」「あー。ショーシャンクの空にとかかな(←好きでもないのに無難な線を言う)」「じゃあこんど家のDVD見せてよ。」<家に来てゾンビ映画やらカンフー映画やらB級輸入DVDの棚を見られる>「あ、、、(絶句andドン引き)こういうの好きなの?」「まぁ嫌いじゃないかな、、、。」<そしてこの後映画の話題に触れられなくなる。>
Noooooo!!!!!!!!!!!!! あるある。超あるある。人生で3回くらいあるw そう、コレが霊能力に変われば本作のマット・デイモンパートのできあがりです。さすがイーストウッド!!!!
2つ目は不倫中のニュース・キャスターの話です。彼女はあの世を一瞬見た事でその光景に取り付かれてしまいどんどん惹かれていきます。こちらはやはりオカルト的な話についての世間の冷たい目を表現している、、、ように見えますが、こちらも一般論としての「私の言うことをちゃんと聞いてくれない彼」の話に落とし込めますw 「スペル(2009)」では主人公のクリスティンが何度「呪われた」と訴えても取り合ってくれなかった彼氏・クレイが「最後はちょっとだけ話を聞いてくれて、でも理解はしてくれない」という線に落とすわけですが、本作では全然理解してくれません。それどころか本作の彼氏は「なんだこいつ?イカれた?」みたいな感じで新しい女を作って捨てやがります。そこに「自分と同じ体験をした(=趣味を持つ)男」が現れて理解してくれるわけです。言うなれば「オタク結婚のススメ」。やっぱそうだよね。うんうん。それしかない。ゾンビ映画やカンフー映画が好きで、筋肉少女帯のアルバムを全部聞いてて、家に「かってに改蔵」が全巻そろってる女性じゃなきゃだめだよね。うんうん。わかるよ。わかる。さすがイーストウッド!!!!
3つ目は不慮の事故で双子の兄を亡くした少年の話です。少年は「もう一人の自分」とも言える兄を失ったショックから立ち直れず、兄の遺品を常に身につけて霊能力者達を訪ね歩きます。言うなれば「失われてしまった古き良き青春を追い求め続ける」話です。そう、私達は「昔の映画ってよかったよね。」「アメリカ映画はやっぱ1940年代までだよね」とかつい懐古主義に走ってしまいがちですが、70年代にはロッキーだってあるし、80年代にはダイ・ハードだってあるし、90年代にはマトリックスがあるし、00年代には少林サッカーがあるんじゃないかと。過去に囚われたってしょうがないってことです。過去の名作は一旦置いておいて、今は前向きに「イップマン」や「KG カラテガール」を見ろって事です。わかる。わかるよ。さすがイーストウッド!!!

【まとめ】

ということで、本作は見ている間中は涙が止まらない傑作です!!! そりゃ雰囲気だけかも知れませんし、そもそも「霊能力ってそういう事なのか?」とか言う気もチラっと頭をよぎります。「死後ってさぁ」とか「オカルトってさぁ」とか考え始めると、確かに安っぽいヒューマンドラマに見えてしまうかも知れません。しかしですね、この霊能力を一度「自分が持ってる変わった趣味」と言う風に置き換えられると、もう涙が止まりません。
一風変わった趣味を持っている方には自信を持ってオススメできる作品です。劇場で泣いてらっしゃい!!!! オススメです!!!

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パラノーマル・アクティビティ2

パラノーマル・アクティビティ2

土曜の2本目は懲りずに

パラノーマル・アクティビティ2」を観てみました。

評価:(4/100点) – 前作より悪化しとるやないか!!!


【あらすじ】

ダン・レイの再婚した妻・クリスティは息子・ハンターを授かった。最初の妻との娘・アリとの四人家族で暮らすダンは幸福な子育てをしていく。ハンターが育ってきたある日、ダンの家では奇っ怪な現象が起こり始める、、、、。


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【感想】

土曜の2本目は「パラノーマル・アクティビティ2」です。「パラノーマル・アクティビティ」シリーズはこの一年で3本目ですが、若い学生中心で大変入っていました。いかにも普段映画を見ていないというような客層でしたので、アトラクション的な目当てのお客さんでしょうか。予告が始まっても携帯電話で話してる奴とか、本編始まってもずっ~と雑談している奴とか、最近はなかなか見ないくらいのモラルの低さですw まぁ配給会社からすれば本作のメインターゲットは間違いなく彼らでしょうから、そういう意味ではど真ん中にきちんと届いているのではないでしょうか?
駄目な点は「パラノーマル・アクティビティ」「パラノーマル・アクティビティ第二章/TOKYO NIGHT」と一緒ですからそちらを見ていただくとして、本作ではさらにそこから悪化していますw
前作からの決定的な違いは、ついにカメラが複数の防犯カメラになった点です。もはやフェイクドキュメンタリーとしてハンディカムを持つという体裁が崩壊していますw 複数の固定カメラで庭やら居間やら寝室やら玄関やらを撮った結果、明確に制作者の意図がでてしまっています。冷静に考えてみて下さい。ある家があってその各部屋に固定カメラがあるという状況は、これそのまんま撮影所のセットとカメラの関係そのものですw
なのでカメラが切り替わればそれは普通の映画の編集と同じ事なので、なにかあるに決まってます。コレに合わせて相変わらず「ブーーーーン」という重低音で「いくよ、いくよ、いくよ、いくよ、、、、、、ガシャーン!!! キャーーーー!!!!」という馬鹿の一つ覚えを続けてきますので、どんどんどうでも良くなっていきます。無駄に前作との関係を持たせようとしていますが、ファンサービスにすらなっていないような適当な設定なので気にしない方が良いです。しかも、本作で前作でケイティが呪われている理由を提示してしまった結果、このシリーズが「特殊な姉妹の特殊な話」になってしまいました。Jホラーでは状況を限りなく一般化することで、観客の身にも起こるかも知れないという恐怖を見せます。ところが、本作によってこのシリーズは「特殊な人の話」になってしまいましたから、全然怖くありません。前作も怖くは無かったですが、それに重ねて本作は前作のかろうじてあった設定すらぶちこわしています。
本作で唯一の救いは前作では顔が残念だった被写体に若い女の子(=アリ)が追加されたことです。逆に言うと、それ以外はどこも進歩がありません。見た方が悪いので、無かったことにしましょう。

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ザ・タウン

ザ・タウン

2本目は

ザ・タウン」です。

評価:(80/100点) – ベン・アフレックすげぇ。変形の「田舎で女性が不幸になる話」。


【あらすじ】

強盗が多発するチャールズタウンで、ダグは「家業」として銀行や輸送車の強盗を行っていた。ある日彼と仲間が襲った銀行で、仲間の一人ジェムが支店長の女・クレアを人質に取る。
後日、顔を見られたかどうかを確認しにいったダグはコインランドリーで怯えるクレアを目撃する。クレアの相談に乗ったことで知り合った二人は、やがて惹かれ合っていく、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ダグと仲間の強盗。
 ※第1ターニングポイント -> コインランドリーでダグとクレアが出会う。
第2幕 -> ダグとクレアの付き合いと、ダグの足洗い。
 ※第2ターニングポイント -> ダグが最後の仕事を受ける。
第3幕 -> フェンウェイ・パークの襲撃。


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【感想】

本日の2本目はザ・タウンです。昨年の東京国際映画祭のクロージング作品です。小さな劇場でしたが結構お客さんは入っていました。監督・脚本・主演はベン・アフレック。とはいえ、決して「俺様映画」になることなく、悲惨で鬱屈した街で生きる男を悲哀たっぷりに描いた普遍的で素敵な作品になっています。
結論は、オススメです!!で終わってしまっても良いくらい素敵な作品なので、とりあえず見に行って下さいw
本作は変形の「田舎で女性が不幸になる話」です。チャールズタウンは全然田舎じゃないですが、作品内ではとても鬱屈した街として描かれています。アイルランド人が多く治安の悪い街です。
ダグの父親は強盗で懲役30年(=ほとんど終身刑)を食らっていますし、母親は幼い時に失踪してしまっています。そしてダグ自身はアイスホッケーの選手としてドラフトにまで掛かったものの、結局怪我で挫折しチャールズタウンで強盗に身をやつしています。彼はいつかは街をでて都会へ出ようと考えていますが、なかなか踏ん切りが付かず強盗業を続けています。そんな彼がカタギのクレアと出会うことで足を洗って「人並みに幸せになろう」と決意するようになるわけです。
本作は強盗の元締め・ファーギーとクレアの間で揺れ動くダグと、彼ら強盗団を追うFBI捜査官、そして強盗の被害者でありながら相手が犯人と知らずに恋に落ちたクレアの4者の思惑が交錯して物語が進んで行きます。作中ではこの雁字搦めにされて身動きが取れない感じと、人生に絶望してしまっている鬱屈した感じ、そこからクレアと知り合うことで生まれる希望に溢れる夢が短いスパンでコロコロ入れ替わります。
カテゴリとしでは「ヒューマンドラマ」になってしまいますが、この鬱屈感がまさしく私が大好物な「田舎で女性が不幸になる話」そのものでして、その男性版として大変よくできています。俳優はどなたも素晴らしいですし、ストーリーの組み立て方もまったく飽きが来ないほど良く出来ています。中盤前にはFBIは強盗団4人を早くも特定しますので、そこからのサスペンス展開や真相を知ったクレアとの関係にはグイグイ引っ張られます。
ベン・アフレックのしゃくれ割れアゴと困り顔も相まって、マッチョながらも根が弱気なダグがとても魅力的です。

【まとめ】

すばらしい作品です。愉快な娯楽作ではありませんが、ここまで丁寧に悲哀を描かれると二時間ぐらいあっという間に過ぎてしまいます。大規模公開作品ですので、是非映画館で見てみて下さい。かなりオススメです。

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ウォールストリート マネー・ネバー・スリープス

ウォールストリート マネー・ネバー・スリープス

今日は三本です。1本目は

「ウォールストリート マネー・ネバー・スリープス」を見ました。

評価:(50/100点) – 期待を裏切らないファン・ムービーだが、、、、。


【あらすじ】

ジェイクは若くしてKZI(ケラー・ゼイベル投資会社)で働くトレーダーである。未来のクリーンエネルギーを専門にし、投資によって社会を良くすることを夢見ている。ある日KZIは信用不審の噂を流されてしまい株価が急落、倒産の危機に瀕してしまう。社長のルイスは政府へ公的資金の投入を求めるがこれを拒否されついには自殺、会社もライバルのチャーチル・スチュワート(C&S)に買収されてしまう。
職を失ったジェイクは母校の公演で、婚約者の父親にして伝説のトレーダー・ゴードン=ゲッコーに出会う。彼はゴードンよりKZIの噂の出所は買収したC&Sの社長ブレトンその人だと聞かされる。復讐を誓うジェイクは自身も噂によってブレトンをハメることを計画する、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ジェイクのボーナスとKZIの信用不審。
 ※第1ターニングポイント -> ジェイクがゴードンに出会う。
第2幕 -> ジェイクとゴードンの取引。
 ※第2ターニングポイント -> ゴードンが金を持ち逃げする。
第3幕 -> 仲直り。


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【感想】

今日の1本目は「ウォールストリート マネー・ネバー・スリープス」です。ご存じオリバー・ストーンの不朽の名作「ウォール街」の続編です。何故今続編なのかとかいろいろありますが、年配の方を中心にお客さんは結構入っていました。オリジナル世代でしょうか。
今作は「新キャラクター・ジェイクを主役とした復讐劇」と「前作の主役ゴードンと娘・ウィニーの確執と仲直り」の二本の柱を軸に物語が進んで行きます。予告を見る限りだと前者の配分が多いのかなという雰囲気だったのですが、実際には前者は1時間程度で終わってしまい、話の大半は後者が中心となります。その意味では正しい意味での「キャラ物・ファンムービー」です。ゴードン・ゲッコーの鬼畜っぷりを存分に楽しみつつ、ウィニーの可愛さにほのぼのするという最高のファンサービスでして、それだけで幸せな気分でニヤニヤしてしまいます。ですがキャラ物の宿命で、どうしてもキャラクター描写が多すぎるため話が弱く、全然先に進みません。この「先に進まなさ」はかなりのもので、やってること自体はほとんど内容がありません。
ジェイクが段々とゴードンに似ていく部分であったり、文句をいいながらも父に似たジェイクに惹かれてしまうウィニーであったり、人間描写についてはさすがのオリバー・ストーンです。ですので、内容が無いからと言って決してつまらないわけではありません。面白さは十分です。
可もなく不可も無く、平均的なハリウッド娯楽映画ということで、正にど真ん中の「50点」という感じですw 前作を見ていなくても十分に楽しめるとは思いますので、もし何を見るか迷っていて「ソーシャル・ネットワーク」や「イップマン」等の良作を見終わった方は選択肢に入れてみても良いかもしれません。フラットなテンションでオススメします。
余談ですが、レバレッジを「テコ入れ」と訳すなど、相変わらず戸田奈津子女史は経済用語(=専門用語)をまったく理解せずに誤訳しまくっていますw 訳を追うとものすごく混乱しますので、極力英語を聞いた方が良いと思います。いい加減こういう専門用語が多い作品で使うの止めた方がいいですよ、本当に。

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デュー・デート ~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~

デュー・デート ~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~

2月の映画の日は

デュー・デート ~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~」です。

評価:(40/100点) – ドタバタ・ロードムービーだけど、、、。


【あらすじ】

ピーターは出張先のアトランタで妻の出産が近いことを知る。急いでロサンゼルスまで戻ろうとしたピーターだったが、空港でぶつかった男と荷物が入れ替わってしまい麻薬所持の疑いを掛けられ、さらには機内でテロリストと間違えられ搭乗拒否のブラックリストに載ってしまう。果たしてピーターは5日間で無事アメリカを横断して妻の元へとたどり着けるだろうか?


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【感想】

2月1日は「デュー・デート ~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~」を見て来ました。公開から一週間経っていましたので1000円ですがほとんどお客さんは入っていませんでした。昨年公開の快作「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」の監督トッド・フィリップスの最新作です。春には「ハングオーバー! パート2」の公開を控え乗りに乗っている監督です。
本作と「ハングオーバー!」で大きく違うのは、やはりキャストが格段に豪華になっているという部分です。主役をロバート・ダウニー・Jrが演じ、相方のイーサンをザック・ガリフィアナキスが演じます。「ハングオーバー!」の頃はそこまで名の知れていなかったザックも、いまや完全にコメディスターです。
ただ、、、この豪華さというのがプラスに働いているかどうかは微妙なところです。というのも、「ハングオーバー!」では役者達はアドリブ全開で「おもしろ素人」感を出しつつハチャメチャなハイテンションを叩き込んでいましたが、今作では良くも悪くもキャラクターが固まった2人がそのキャラを逸脱しない範囲で「あの○○さんならやりそうw」というラインを狙っているからです。ですからロバート・ダウニー・Jrはトニー・スタークやホームズのままの「真面目だけどちょっと抜けてて愛嬌のあるキャラクター」ですし、ザックは「下品で無神経だけど実は繊細なダメ人間」のままです。そこに意外性やリミッターを突き抜けた感じはありません。予想通りのレベルで予想通りのギャグを予想通りのタイミングで行います。
また、本作ではコメディ・パートとシリアス・パートが目まぐるしく入れ替わります。この配分はほぼイーブンで大変考えられているとは思いますが、どうしても笑いが続かないため面白さが減じてしまいます。
これはかなり難しい問題です。実際、本作で私が一番笑ったのはジェイミー・フォックスの家でのコーヒーのやりとりでした。この場面は典型的な天丼ギャグで、「ハングオーバー!」では何度もやっていた演出です。それが本作では1カ所しかありません。本作を見ていて一番の不満はこの「くだらなさ不足」です。前作のヒットを前提に人気のある俳優を使った結果、どうしてもより安全な方向の企画に逃げてしまったような印象を受けます。あのマイク・タイソンや虎を惜しげもなく使う馬鹿馬鹿しさは本作にはありません。

【まとめ】

相変わらず前半の伏線をクライマックスで一気に回収するなどの「映画的な巧さ」はありますが、いまいちコメディとしての破壊力は足りません。もちろん決してつまらないわけではありませんから、気軽に見に行くには十分な出来だとは思います。下ネタも多いのであんまり大声でオススメはしづらいですが、もし時間に余裕があれば見に行くのもいいのではないでしょうか?
もし「ハングオーバー!」が未見であれば、そちらを圧倒的にオススメします。

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RED/レッド

RED/レッド

土曜の二本目は

RED/レッド」です。

評価:(65/100点) – 元気な叔父様達の貫禄コメディ。


【あらすじ】

フランク・モーゼズは退役したCIAのエージェントである。手持ちぶさたな彼は年金係のサラとの電話を唯一の楽しみにしていた。
ある日いつものようにサラと電話をした晩、フランクは何者かに襲われ自宅を蜂の巣にされてしまう。なんとか難を逃れたフランクはサラの元へと向かい、危機一髪彼女を助けだす。敵をCIAだと判断したフランクは、引退したかつての仲間達の元を訪ね逆襲を計画する、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> フランク邸が襲われる。
 ※第1ターニングポイント -> サラの救出
第2幕 -> サラとの逃走と仲間集め
 ※第2ターニングポイント -> サラが攫われる
第3幕 -> サラの奪還作戦


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【感想】

土曜の2本目は「RED/レッド」です。かなりお客さんが入っていまして、小さめな劇場ながらほぼ満席でした。前評判では「年寄り達のエクスペンダブルズ」なんて言われていましたが、どちらかというと「オールスター感」よりは「年寄りの冷や水感」といいますか、コメディ的な要素が先に立っています。
というのも、エクスペンダブルズのような「劇中でもバリバリの一線で活躍する傭兵」としてのヒーロー達ではなく「劇中ではすでに引退しているかつての凄腕」という体裁だからです。とはいえ、もちろんブルース・ウィリスやヘレン・ミレンはほとんど無敵の活躍を見せてくれます。それだけで爽快感は満点なのでもう十分なのですが、一方で生身のアクションの凄さはありません。せっかくのブルースとカール・アーバンの格闘戦もカメラがグラグラでまったくアクション的な見栄えはしません。
そうするとどうしても「型」を楽しむような見方になってしまいますので、これはもうファンムービーになってしまいます。
とはいえとても幸せな映画なのは間違いありません。ここまで活き活きとコメディを楽しむマルコビッチは久しぶりな気がしますし、ここまで嬉々としたヘレン・ミレンも久しぶりな気がします。何より話の内容が全然無い感じが、いかにもバカ・アクション・コメディという風格すら出ていますw スーパー爺さん達が危なげなく若造どもを手玉にとってくれますので、安心して110分間ポップコーンを頬張れます。
決して高尚な映画ではありませんし、よくできた映画でもありません。しかし爽快感とほほえましさではずば抜けたものがあります。デートの邪魔にもならないくらいのバッチリな温度ですので、是非是非オススメです!

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完全なる報復

完全なる報復

本日は一本、

「完全なる報復」を見てきました。

評価:(35/100点) – ジェラルド・バトラーは最高だけど、、、。


【あらすじ】

妻と娘と暮らすクライドは、ある日二人組の強盗・ダービーとエイムスに自宅を襲われ妻子を殺されてしまう。クライドの目の前で殺されたにも関わらず、物証の少なさから担当検事のニックは主犯のダービーと司法取引をしてエイムスのみを極刑にする作戦を立てる。第三級殺人罪で数年の禁固刑のみで逃れたダービーを前に、クライドは自らの手で復讐することを誓う。
それから10年後、、、ついにクライドが動き始める、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 強盗殺人事件と司法取引。
 ※第1ターニングポイント -> 10年後。
第2幕 -> クライドの復讐劇。
 ※第2ターニングポイント -> 検察仲間が皆殺しに会う。
第3幕 -> クライドの隠れ家とナパーム。


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【感想】

今日は「完全なる報復」を見て来ました。本当は別の映画を見るつもりだったんですが、ちょっと時間が合わずにこっちにしてみました。監督はヒップホップ系のPV監督で知られるゲイリー・グレイ。映画監督としては久々です。客席は2~3割ぐらいの入りでお世辞にも盛況とは言い難い感じでした。
本作は「妻子を殺された男の復讐劇」です。本作の場合、その復讐対象は殺人犯だけでなく、犯人に極刑を与えられなかった検事・司法制度にまで及びます。いうなればジェラルド・バトラー無双。ある意味では「300」のインテリ版ですw
この作品はジェラルド・バトラーの魅力が全てと言っても過言ではありません。アカデミー俳優ながらいまいちパッとしないジェイミー・フォックスを完全にぶっちぎり、一人で作品の全てをかっさらっていきます。インテリな激情家にこれほど似合うマッチョも他にいません。なにせグラスゴー大学主席卒業の肉達磨ですから。なんかそう書くとドルフ・ラングレンみたいで哀愁が漂ってしまいますけどw
もうバトラーの演技を見ているだけでも十分幸せになれる作品なのですが、どうしても中途半端というかガッカリ感が否めません。それは一重に、クライマックスで作品の視点がぶれてしまうからです。
本作はクライドの家族が殺されるシーンから始まります。そして担当検事のニックは「自分の成績(担当案件の有罪率96%!)だけを気にする打算的な男」として描かれます。ですので、当然観客としてはクライド側をヒーロー視します。クライドは殺人鬼ではありますが「妻子の復讐」というまっとうな正義を掲げるダークヒーローなんです。
しかも劇中において、クライドとニックは同じ家族構成をしています。これはどうみても二人を正反対に描くか、または同じ信念をもった「コインの裏表」とするかを意図した人物配置です。だから、例えば「クライドがニックの妻子も殺してしまうが、それでもニックは現行司法制度に縛られて法廷で戦えない」という皮肉な状況にするとか、または「クライドがニックの妻子も殺してしまい、ニックは信念を曲げて私的な復讐をしてしまう。」という「理由(1995年)」のようなアイデンティティ・クライシスの話にするとか、そういった方向で「クライドの(=家族愛の)勝利」を期待するわけです。
ところが蓋を開けてみると、、、、、ああぁあぁぁあぁぁぁっぁあっぁあ orz。

【まとめ】

せっかく面白い設定でテンションが上がっていたのに、後半20分くらいで急激に失速してしまいます。ちょっとびっくりするぐらいの失速具合でして、それまでのストーリーは何だったのかと思いたくなります。非常にもったいなく、非常に残念な作品です。ラストが微妙に美談っぽい感じで終わるんですが、「ニックも家族の大切さを知った」だけだとちょっと弱いというか、話として横滑りしています。
ただ、ジェラルド・バトラーは間違いなく格好良いですので、彼のファンに限りオススメします。
※余談ですが、ヘレン・ケラーをギャグにするのだけは絶対ダメです。論外。しかもそれを被差別層だった黒人に言わせるなって。そこだけはものっすごい引っかかりました。

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