セル

セル

今日は2本見てきました。1本目はこちら、

「セル」です。

評価:(35/100点) – オカルト侵略SFの凡作


【あらすじ】

クレイ・リデルは漫画家である。妻と息子を置いて放蕩の旅に出て1年が経ったが、やっと漫画の契約が取れて自宅へ戻ろうとしていた。そんなとき、空港で突然の暴動に巻き込まれる。どうも電話を使っていた人が凶暴化しているようだ。わけがわからないまま、クレイはやっとのことで空港を抜け出し地下鉄のホームまで辿りつく。地下鉄運転士のトムと共に、クレイは自宅を目指す、、、

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【感想】

今日の1本目はスティーブ・キング原作の映画化「セル」です。監督はパラノーマル・アクティビティ2のトッド・ウィリアムズ。脚本をスティーブン・キング本人が書いています。スティーブン・キングでホラーSFといえばお家芸なわけで、これは否が応でもB級の期待をするしかありません!

そして実際に見てみると、、、これ、B級が過ぎます(笑)。

どこかで見たような話のオンパレードでなんかちょっとパロディっぽさすらあり、あんまり盛り上がりません^^;

今回の一発アイデア風呂敷は、「ある瞬間に電話を使っていた人が急にゾンビみたいに凶暴化して襲ってくる」というものです。これ、すごいつい最近、まさにサミュエル・L・ジャクソンが出てた「キングスマン(2014)」にそのまんまのものがありました^^; もちろん小説の発表は「セル」が2006年で圧倒的に早いので全くパクりではないんですが、目新しさはありません。そして、途中で携帯人間がするある”進化”も、まんま「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!(2013)」でエイリアンがやってたのと同じです。大人の男2人と子供の男女4人の珍道中というのもテンプレ的ですし、「いろんなところに立ち寄りながら絶望的なパターンを体験していく」というのもありがちです。

そんなこんなで、な~んかテンションあがらないな~と思って微妙に目が泳ぎながら見ていますと、急に頭にとある作品が浮かんできました(笑)。

これ、全体的な雰囲気がニコラス・ケイジの「ノウイング(2009)」に似てるんです。シャマラン的といいましょうか、アイデア一発でグワァーーーっと風呂敷を広げまくって、それが急激にしぼむ感じ。オカルトホラーなんだけど、な~んか微妙に小じんまりした感じ。以前「スカイライン-征服-(2010)」の時に「最近の侵略SFは主人公たちの無力さを表現するから楽しいんだ!」みたいなことを書きましたが、本作は主人公たちが縦横無尽の大活躍をして携帯人間共をたぶん数千体単位で退治します(笑)。そんなところも引っくるめて、ジャンル映画としても「なんか微妙」なんです。最後の最後の絵面だけは最高にニヤニヤできるんですが、そのために1時間半はキツいです、、、

ということで、無かったことにしましょう^^;

「アンダー・ザ・ドーム」「骨の袋」「11/22/63」と、最近のスティーブン・キング原作者はドラマで当たりが多かっただけに、久々にアレなのを見た気がします。

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マリアンヌ

マリアンヌ

先週末はロバート・ゼメキスの最新作

「マリアンヌ」を見ました。

評価:(40/100点) – オシャレ。以上!


【あらすじ】

時は1942年、モロッコのカサブランカ。RAF(ロイヤルエアフォース=イギリス王立空軍)のマックスは、ドイツ大使の暗殺任務を負ってスパイとして彼の地へ降りたった。マックスに先行して現地社会に潜り込んだフランス人工作員のマリアンヌとともに、マックスは作戦を遂行する。その過程でマックスはマリアンヌに惹かれていく、、、。

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【感想】

さてさて、先週末はロバート・ゼメキスの「マリアンヌ」を見てきました。

ロバート・ゼメキス監督に脚本がイースタン・プロミスのスティーヴン・ナイト、音楽は毎度コンビのアラン・シルヴェストリ。そして主演でブラッド・ピットとマリオン・コティヤール。ガッチガッチに固めてきているこのスタッフ・キャストリストを見ただけで、「こりゃ絶対オシャレないい映画になるんだろうな」という雰囲気をビンビンに出しています。

しかもタイトルが「ALLIED」ですよ。大戦中の連合軍を意味する「ALLIED」の文字間をちょっと開くことで、「ALL LIED = 全部 嘘だった」と「LIED = ドイツ語で”歌”」を掛けてくるというこのオシャレっぷり。

そして実際に見てみますと、、、お、、、オシャレしかない(笑)。

久々に凄いアレな映画がやってきました。雰囲気7割、音楽2割、内容1割。とてもオシャレでオシャレなオシャレ映画です。

前半後半で話が全然違う

本作は良くも悪くも古風な作りをしています。昔は3時間超えの映画だと真ん中に休憩が入ったじゃないですか。私が劇場で見て覚えているのだと、「サウンド・オブ・ミュージック」とか、「十戒」とか、「2001年宇宙の旅」とか。日本映画で最近だと、「愛のむきだし」とか「沈まぬ太陽」とかですかね。本作も、作りはモロにこの「休憩付き前半後半構成」の映画です。

本作の前半1時間はカナダ出身イギリス軍人のマックスがカサブランカで同じく同志マリアンヌと出会い、偽装夫婦としてドイツ大使を暗殺するというスパイものです。マックスがフランス語の訛りをケベック訛からパリ訛に特訓したり、モロッコの風習をマリアンヌに教わったりと、コッテコテのスパイものです。

後半ではうって変わってその18ヶ月後にすっ飛び、マリアンヌがマックスと結婚・引退してロンドン郊外で家庭をもつ話になります。そしてそこで、マリアンヌのダブルスパイ疑惑が浮上し、マックスが真相を探るために奔走します。

そう、この映画は、完全に前半と後半で話が分断されているんです。しかも肝心の中心人物であるマリアンヌが結構な形でキャラ変します(笑)。前半部分では「戦う女」だったマリアンヌは、後半は「子供と家庭の庇護者」としてマックスに守られる”か弱い”存在になります。そしてマックスも、家族を守る男と軍人との間で走り回ります。前半はとっても愉快なんですが、一方の後半は、とっても甘ったるい家族愛ものに変わります。サスペンス・探偵要素も特にありません。

そうなると、当然これはもうストーリーとかほったらかしでベテラン実力俳優の掛け合いを楽しむだけの映画になるわけで、「オシャレだね~」という感想しか出てこないのです(笑)。

とにかくオシャレなんだよ!

舞台となったカサブランカ/ロンドンの背景といい、ジャズ中心の音楽といい、そしてブラピとマリオン・コティヤールの衣装といい、本作にはオシャレ要素がテンコもりです。とにかく画面上の全てがオシャレ。そんななかで火曜サスペンス劇場もびっくりのやっすいサスペンスが展開されたとしても、果たしてそれに文句をいっていいのかというそんな気さえします。言うて見れば荻上ワールドみたいなもんです。だからストーリーを期待してはいけません。とにかくオシャレ。雰囲気命。そして疑いようもなく、オシャレ作りは成功しています。

まとめ

私自身が、何を隠そうオシャレとは正反対の人生を送っていますので、こういう映画の感想を書くのにどうしても語彙が貧弱になってしまいます(笑)。

だってマリオン・コティヤールがセクシーでオシャレじゃん。ブラピだって渋くて軍服が似合っててオシャレじゃん。2人の子供が来てるニットのベビー服だってすごいオシャレじゃん。だからもう映画自体がオシャレじゃん。

ということで、オシャレな方たちのオシャレな昼下がりを彩るのに最適なオシャレ映画です。オシャレにオシャレな時間を過ごしたいオシャレ男子・女子のみなさんにオシャレにおすすめします!

これを見れば、今日から君もオシャレ(ウー)メンだ!

※余談ですが、こういうのを見ると女子高生が「カワイイ!」という単語だけで会話が成り立つという都市伝説がすごい納得できます(笑)。たぶんこの映画をカッポーとかで見て感想を言い合うと、マジで「オシャレ」しか出てこないと思います。

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ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

週末は1本、

「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」を見ました。

評価:(65/100点) – やる気復活のティム・バートン節


【あらすじ】

ジェイクは、いつもお爺ちゃんから不思議な話を聞かされて育った。空を飛ぶ女の子。奇妙な双子。力持ちの兄弟に、透明な男の子。そしてそんな奇妙な子どもたちの世話をするミス・ペレグリン。お爺ちゃんの話に空想を膨らませ、彼は学校でもちょっと浮いた存在になっていた。
ある日、ジェイクはお爺ちゃんから電話を受ける。心配になったジェイクがお爺ちゃんの家に駆けつけると、そこには家を荒らされ、そして裏の林で両目をくり抜かれたお爺ちゃんがいた。

「島へいけ。1943年9月3日のループへ。鳥が全てを教えてくれる」。

息を引き取ったお爺ちゃんの言葉を頼りに、ジェイクは父親と共にお爺ちゃんの昔話に出てきたケインホルム島へ向かう。

【三幕構成】

第1幕 -> お爺ちゃんが襲われ、ケインホルムへ行く。
 ※第1ターニングポイント -> ジェイクがループへ入る。
第2幕 -> ミス・ペレグリンの屋敷での交流。
 ※第2ターニングポイント -> ペレグリンがバロンに捕まる
第3幕 -> ペレグリン救出大作戦。


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【感想】

さてさて、週末はティム・バートンの最新作「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」を見てきました。

最近--特に「 スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 (2007)」以降のティム・バートンはちょっと中途ハンパというか、「オレに求められてるのはフリークスが出てくるサブカル受けするコメディだろ?」みたいな感じが凄いでていました。 「アリス・イン・ワンダーランド(2010)」しかり、 「ダーク・シャドウ (2012)」しかり、なんというか、思いっきり滑ってるうえにあんまり監督自身も楽しそうじゃない感じが伝わってきて、ちょいといたたまれない感じです。もうやる気なくなっちゃったのかな、、、という寂しさこみで。

本作は、その迷いが晴れたように、ものすごく全力で「ティム・バートン」をしています(笑)。

ちょいとグロテスクだけどキュートな「奇妙な子どもたち」のキャラクター造形。正統派ゴシック・ホラー調の舞台・背景。「こまけぇことはいいんだよ!」っていう言葉が聞こえてきそうなほど雑だけど勢いのある脚本と、そしてたぶんハリーハウゼンのオマージュであるカクカクしたCGドクロ兵士やモンスターたち。同じくハリーハウゼン・リスペクトのギレルモ・デル・トロとちょっとモンスター造形が似ちゃってるというところも含めて、とっても画面全体から楽しんでる様子が伝わってきます。

そう、たぶん昔からのティム・バートンのファンならばファンなほど、本作はとってもニヤニヤしながら楽しめるはずです。ジョニー・デップ/ヘレム・ボナム=カーター
の呪縛から解き放たれた無邪気なティム・バートンを楽しめる、とても愉快な作品です。

とてもストレートなジュブナイル活劇

本作はとっても古風なジュブナイルものです。私は原作の小説を読んでいないのですが、この本が2011年発表というのを聞いてちょっとびっくりしました。本作は、それこそ70~80年台に流行った一連の「少年冒険映画」そのものです。「お爺ちゃんから”宝の地図”をもらった少年が、悪党たちに追われながらも旅の仲間と共に宝を探しだす」という超王道ストーリー。このド直球な話に、ティム・バートンの為にあるんじゃないかってくらいちょいグロ・悪趣味なモンスターや異能者たちの要素を載っけていきます。ただ、この映画はたぶん昨年のスピルバーグ監督作「BFG」のように現役の子供に向けて作ったものではなく、「昔こどもだったティム・バートンファンへ作ったセルフパロディ」的な要素が強いです。それこそ目玉をくり抜いたり、小学生が見るにはちょっときつめなショッキング描写が所々に散りばめられており、あきらかに楽しんでワザとやってる感じがビンビン伝わってきます。良くも悪くもポリコレとかなんも気にしてないです(笑)。

これ、作戦としてはとても良く機能しています。いうなれば作品全体として「ダブル・スタンダード」を観客にすんなりと押し付けてきてるんですね。ストーリーが雑な部分は「だって子供向けだし」で押し切ってきて、一方悪趣味描写な部分については「だってこういうの見に来たんでしょ?」と急に大人向けになるという(笑)。でもこれこそが、ティム・バートンであり、そしてヘンリー・セリックと組んだ一連の傑作(ナイトメアー・ビフォア・クリスマス (1993)、コララインとボタンの魔女(2009))の一番の肝だったと思います。キモかわいい的な意味でのグロテスク・ファンタジーとして成立している本作は、もうそれだけでファンならば大満足できるはずです。

逆に言うと、ティム・バートンがあんまり好きじゃないっていう人は、この映画はただのトンデモ作品に見えてしまうかと思います。話や設定が結構穴だらけですし、敵のバロンはおちゃめすぎて脇ががら空きですしね^^; 一番気になるのはループとよその世界との繋がりですよね。ループの中の「奇妙な子どもたち以外の人」はどうなってるんだろうとか、時空の穴/特異点みたいな扱いなのに意外とすんなり未来と繋がっちゃってるなとか、変に平行世界ものみたいになってる部分はうまい具合にボヤかして適当に流してたりしてます(笑)。

【まとめ】

ということで、ティム・バートンのファンの方は当然見に行ったほうがいいですし、見たらもう大満足すること請け合いです。久々に「ちゃんとティム・バートンしてる作品」が見られます(笑)。一方、もし彼にあんまりピンと来ないという方は、まずは 「チャーリーとチョコレート工場(2005)」あたりで予習したほうが良いかもしれません。個人的にはティム・バートンは「PLANET OF THE APES/猿の惑星(リメイク版/2001)」より前が最高に好きです。本作は、なんか昔の彼がちょっと戻ってきた気がしてとても楽しめました。是非是非、劇場でお楽しみください。

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ラスト・ウィッチ・ハンター

ラスト・ウィッチ・ハンター

今日の2本目は

「ラスト・ウィッチ・ハンター」です。

評価:(25/100点) – ヴィン・ディーゼルのコスプレシリーズ


【あらすじ】

クイーン・ウィッチを退治して早800年、ウィッチ・ハンターのコルダーは呪われた「永遠の命」と共に魔女狩りを続けていた。そんな中、コルダーの所属する「アックス&クロス」の執事・36代目ドーランが何者かに殺害されてしまう。コルダーは仇討ちのため、犯人捜査に乗り出す、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 36代目ドーランの引退と殺人事件
※第1ターニングポイント -> ドーランの部屋で魔法の痕跡を見つける
第2幕 -> コルダーの捜査と過去の秘密
※第2ターニングポイント -> クイーン・ウィッチが復活する
第3幕 -> 最終決戦


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【感想】

今日の2本目は「ラスト・ウィッチ・ハンター」です。ご存知ヴィン・ディーゼル主演最新作で、かついつものヴィン・ディーゼルです(笑)。こちらも「高慢と偏見とゾンビ」と一緒で、ほぼ満員でした。予告を見た時に「デビルクエスト(2011)」と同じノリかと思っていたのですが、意外と現代描写の方が多く、あんまりヒゲモジャで中世風なヴィン・ディーゼルアクションはありませんでした、、、ちょっと残念です。

テンションが上がらんのです、、、

本作は「オカルト探偵もの」です。主人公はウィッチ・ハンターのコルダー。魔女狩り一筋800年の、年季の入った不老不死おじさんです。ある日、信頼していた助手の36代目ドーランが殺されたことから、その仇討ちに乗り出します。捜査の過程で、この事件が800年前に倒した宿敵・クイーン・ウィッチを復活させようとした陰謀だと発覚し、そこから怒涛のオカルトクライマックスへと向かいます。

そう、本作ですね、せっかく楽しいオカルト要素てんこ盛りなのに、完全にいつものヴィン・ディーゼルなんです(笑)。「ワイルド・スピード」シリーズもそうですし、「トリプルX」もしかり、「リディック」もしかり。基本的にちょい半笑いでもごっとした声を出すいつものヴィン・ディーゼルが、いつものように犯人を探すために突き進み、いつものように危なげなく勝利します。「じゃあセガール映画としていいじゃん!」って話なんですが、肝心の敵やアクションが微妙なんです、、、。そこが本作の一番の不満点です。

せっかくヴィン・ディーゼル主演なのに、基本的に魔女たちが精神攻撃ばっかりであんまり肉体アクションに発展しないんですね。そうするとディーゼルの大根っぷりだけが際立ってしまい、しょぼい敵と相まって物凄い退屈になります。
しかも肝心の敵が対して強くもなく、脅威かどうかもよくわからないので、爽快感もありません。まさに誰得映画。で、誰が得かというと、そりゃもちろん主演でプロデューサー兼任のヴィン・ディーゼル本人なわけで、これ単にいつもの「オレ様映画」です(笑)。

【まとめ】

ということで、超テンションが低く、あんまり書くことがありません(笑)。不満はいっぱいあるんですが、どっちかっていうとゲンナリ度の方が高くてもういいかなっていう、、、そのぐらいの温度感です。自慢じゃないですが、私はたぶんヴィン・ディーゼルが出てる映画を全部見てると思うんです。しかもわりと好きな俳優です。それでこのテンションっていうのが、、、お察しください。ファンの私ですらちょっと頭がクラっときたので、おそらくヴィン・ディーゼルのファン以外にはヤバいぐらいつまらないと思います。ということで、良い子の皆はレンタルDVDにしときましょう。ちょっと来年の「xXx: The Return of Xander Cage」が心配です(笑)。

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アバター(2011/邦画)

アバター(2011/邦画)

4月最後の映画は同名のハリウッド映画とは全く無関係な

「アバター」です。

評価:(65/100点) – 無茶苦茶すぎて一周して面白い。


【あらすじ】

阿武隈川道子(あぶくまがわ みちこ)は高見女子高校に通う二年生。しかしクラスは女王様・阿波野妙子が牛耳っており、教師の面前で平然とイジメが行われるほど荒れていた。
道子は17歳の誕生日祝いで母親から携帯電話をプレゼントされた。喜んで学校にもっていった道子だったが、それを阿波野に見つかり、強制的にアバQなるSNSに招待されてしまう。この学校ではアバQの人気こそが絶対で、そのゲーム内でレアアイテムを持っていることが阿波野の権力の源だったのだ!
しかし道子が期間限定スロット企画でレアアイテムを手に入れてしまったことから状況は一転する、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 道子とアバQの出会い。
 ※第1ターニングポイント -> 道子と西園寺の結託。
第2幕 -> アバターサークル結成と道子の復讐。
 ※第2ターニングポイント -> 道子が阿波野に復讐する
第3幕 -> 阿波野の逆襲


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【感想】

土曜の2本目は「アバター」です。とはいっても某ジェームズ・キャメロンの3D大作では無く、「リアル鬼ごっこ」「Xゲーム」でお馴染みの山田悠介原作の方です。たぶん製作費用はキャメロンの800分の1ぐらいですw 初日で昼の回は舞台挨拶をやっていましたが、あまり混んでるのが苦手なので敢えてレイトショーで見てみました。そして予想的中。初日に行くような人は当然舞台挨拶が見られるなら見たいわけで、夜の回はガラガラでした。現在渋谷のシアターNと名古屋のシネマスコーレだけで上映していまして、画質が荒かったのでたぶんBD上映だと思います。
いきなり結論を言ってしまいます。本作は突っ込み所だらけで出来もヘッたくれもありませんが、テンションだけは無駄に高く、面白さはかなりのものです。なので全然OKです。問題なし。オススメです!!!!!
真面目な話し、面白さだけで言えば間違いなくジェームズ・キャメロンのアバターを越えてます。いまからダメな所を書きますが、でもだから最低ということではなく、そういう適当な所も含めて本作はアイドル映画として十分成立しています。
ここでいつものお約束です。これ以後書くことは本作の直接的なネタバレを含みます。まっさらな気持ちで鑑賞したい方はご遠慮下さい。重ねて言いますが、オススメですよ!!!!

本作の話しの流れ

本作は行き当たりばったりで滅茶苦茶な話しなので整理しないとワケが分かりませんw なのでまずは設定とストーリーを整理しましょう。
本作における学校ではアバター(=ネット上の似顔絵キャラ)を着せ替える「アバQ」というサイトが物凄く流行っています。「アバQ」は広告収入で成り立っており、アバQ公式サイト内のアフィリエイト広告をクリックするとポイントが溜まり、そのポイントと着せ替えグッズを交換してアバターを着飾っていきます。
ポイントを獲得するにはアフィリエイト以外にも、他人を招待したり直接的にwebマネーで買う方法やイベントゲームで獲得する方法もあります。また着せ替えグッズには星1~星5までのレア度が設定されており、レア度の高い物はイベントゲームでしか手に入りません。
学校内では阿波野妙子が絶対的な女王様として君臨しています。彼女は手下をつかって弱い者達からレアアイテムをカツアゲしており、そのレアアイテムを見せびらかすことで生徒達から指示を得ています。レアアイテムの譲渡を拒んだ西園寺真琴(さいおんじ まこと)は猛烈なイジメにあっています。
そんな状況下でたまたま道子が全国で50個しかないレアアイテムを手に入れたことから状況が一変します。西園寺と道子は美人局をしながら金を巻き上げレアアイテムを次々と購入、学園内でのし上がっていきます。
その道子の強烈な野心の背景として、かつて妙子によって父親を間接的に殺されたことと、そして自身の顔に対するコンプレックスが描かれます。次第に道子は権力におぼれ、狂気に走るようになります。
この作品はいろいろなエピソードがぐちゃぐちゃに混ざっていますが、柱になるのはこの道子のコンプレックスの話しであり、コンプレックスがやがて強迫観念に変わり、そして遂には決定的な狂気になって周りも巻き込んでいくというサイコホラーになっています。
本作の一番の見所はこの「道子がどんどん狂っていく」部分です。ただの内気な少女が、自己表現としてのゲームにのめりこんで行き、しまいには完全にそこに取り込まれます。このディティールは素晴らしく良く出来ています。それこそお金と時間を掛けて脚本を書き直せば、普通にファンタスティック系の賞レースに絡めるぐらいのプロットです。

本作のツッコミ所。又は、ほつれ具合

本作のツッコミの全ては「大仰」「嘘くさい」「そんなアホな!」。この3パターンが全てです。そしてその全てが脇がガラ空き過ぎてそもそもガードする気が無いくらい途方もなくほつれており、そこが逆に魅力になっています。
一番ひどいのは道子が整形手術するくだりでしょう。整形前と整形後でかわったのはアイシャドーとファンデーションが濃くなって髪がシャギ掛かっただけ。つまりただの高校デビューです。それは整形じゃないw しかもこの前後で橋本愛がものすごい無理をして話し方を変えようとするものですから、その滑舌の悪さと相まって悶えるレベルの恥ずかしさになっています。この瞬間、私はこの映画がアイドル映画として完璧に成功していると確信しましたw
これ以外にもツボは山ほどあります。たとえば何故かサークルの皆が付けるガスマスクです。ガスマスクには「金のガスマスク(道子専用)」と「銀のガスマスク(西園寺専用)」と「銅のガスマスク(幹部用)」と「黒のガスマスク(雑魚用)」があるんです。何故ガスマスクかもわかりませんし、ガスマスクを特注している意味もわかりませんw 東急ハンズとかで頼めるのでしょうか? 意外と部活グッズで流行るかも知れません。 しかもこのガスマスクはチェーンソーを跳ね返すほどの強度をもってます。是非一家に一個!!!
あとはなにせ阿波野です。昨年の実写版マリみてで令ちゃんを演じた坂田梨香子がいかしたテンションで怪演しています。男に振られた腹いせにチーズ味のカールを泣きながらヤケ食いしたり、キレてチェーンソーを持ち出してきたり、いちいち小ネタを仕込んできます。阿波野最高。
アバター程度でなんでそこまで人を操れるのかとか、この世界の警察は無能すぎるとか、夜中に学校に侵入している割に声が大きすぎとか、プロジェクターがどんだけでかいんだとか、高校性がwebマネーを何百万も使ったら不審だろうとか、そういう現実とつなげたリアリティは全くありません。ですが逆に言うと本作のリアリティ水準は冒頭からその程度ですので、特に引っ掛かる部分もなく見ることが出来ます。
本作は最初から最後まで設定が無茶苦茶なため、ある意味ではツッコミ所だけで出来ているとも言えます。ただその無茶苦茶さこそがハイテンションさにつながり、そしてアイドル映画としての魅力にもなっています。だから昨年の「私の優しくない先輩」と似たような雰囲気になります。純粋に映画としてみれば酷い出来ですが、アイドル映画としては十分ですし、結果として面白さはかなりのものです。

【まとめ】

ということで、本作は好事家専用の良作と言って良いと思います。とにかく面白いですが絶対に一般受けはしませんし、なによりアイドル映画視点を持っていないと結構つらいと思います。演技力は全員お察し下さいレベルですし、話しも無茶苦茶です。でもあまりに弾けすぎていてむしろ物凄く熱気・スクリーン圧力のある作品になっています。DVDが出るかもわからない作品ですので、お近くの方は是非映画館で見てみて下さい。オススメです!!!

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鬼神伝

鬼神伝

GW初日の今日は2本です。
1本目は

鬼神伝」を見て来ました。

評価:(18/100点) – 良くある微妙なエコロジー志向ファンタジー。


【あらすじ】

中学生の天童純はひょんな事から迷い込んだ寺でタイムスリップをして平安京へ連れて行かれてしまう。そこでは鬼と人間とが戦っていた。純は僧正・源雲より自身の能力を聞かされる。源雲によると純は伝説のヤマタノオロチを操ることが出来る選ばれた”救いの御子”なのだ。鬼達に襲われる純と純の護衛につく頼光。果たして純はオロチを目覚めさせることができるのか? そして鬼とは何者なのか? 鬼の素顔を見たとき、純は選択を迫られる、、、。


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【感想】

連休初日の今日の1本目は新作アニメ「鬼神伝」です。監督はアニメーターの川博嗣。監督をやってたのを知らなかったので調べましたら「劇場版 NARUTO -ナルト-」の2作目(2005)以来とのことです。アニメーターとしては結構有名な人ですが、確かに本作を見るとあんまり監督は向いてないかなという気もします。
劇場では連休に当てていろいろな子供向け映画をやっているんですが、本作も客席は子供連れの家族でかなり埋まっていました。ぶっちゃけた話し予告を見るだにあんまり子供向けではありません。もしかしたら「ドラえもん」や「クレしん」や「コナン」から流れてきているだけかも知れません。
正直なところあんまり気が向かないので触りだけさらっと書きます(苦笑)。
本作の世界観はかなりファンタジーレベルが高くなっています。たとえば、冒頭ではいきなり人間と鬼との戦いに祝詞(※ほとんど魔法)が出てきますし、かなり前半からみんなガンガン空を飛びます。話しが転がるきっかけになる現代で始めて純が鬼に追われるシーンなんぞは、いきなり空から黒い煙が振ってきて野良犬に乗り移って鬼になるのに、純は「バ、バケモノ???」とか不思議な事をつぶやいて冷静に逃げます。普通目の前で犬が鬼に変身したら「バ、バケモノ???」どころでは済みません。もうリアリティラインがワケ分からないことになっています。
そしてお約束のように平安時代にタイムスリップしてからは「都市vs田舎」「貴族vs土人」「文明志向vsエコロジー志向」というよくあるパターンが展開します。この点ではそれこそ「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」に代表される宮崎駿的なエコロジー信仰の匂いを感じます。ただ、本作の場合はそこまで突き詰めていないというか、たぶん監督・脚本家も宮崎駿ほどは本気でエコロジーを信じていない感じがします。というのもものっすごいペラいんです。本作では「大自然&土人バンザイ!!!」みたいな方向に行くかと思いきや、結局最後は可愛い女の子に熱を上げてるだけというしょうもない所に落ち着きます。
こういった「異次元(異世界)に迷い込んでファンタジーを経験したあと成長して現実に戻ってくる」という物語は、星の数ほどあります。クラシックで言えば歴史的名作「オズの魔法使い」「ネバーエンディング・ストーリー」、最近だと「千と千尋の神隠し」や「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ 戦国大合戦」なんかもそうです。これらで大事なのは、「現代パートではあくまでもリアリティを重視して私達が生活している現実に近くすること」と「ファンタジーの世界では創意工夫や常識・知識のずれを利用して乗り越えること」です。これが無いと何が何やらさっぱりでおかしな事になってしまいます。
本作でマズいのは、第一に純を「生まれながらの選ばれし者」にしてしまったことです。しかも冒頭でいきなり純は切り札のオロチを手に入れてしまいます。さんざん「オロチは八個の頭の八個のしっぽがある」と言っておきながら登場するとドラゴンボールのシェンロンのような普通の龍であるため、これはもう最後に純の覚醒と同時に真・ヤマタノオロチに変身するのが見え見えです。しかもその姿に誰一人突っ込みを入れません。「頭が八つないじゃん」と誰かに言わせるだけでも救われるのですが、誰も疑問に思わず完全スルーです。あまりにもあんまりです。これによって「いつ純が本気を出すか?」という心底どうでもいいガキのご機嫌取りが物語りの中心になってしまいます。せめてオロチを手に入れるまでの冒険譚にした方がまだ見られたと思います。
そして第二が肝心のエコロジーメッセージです。これもすごい中途半端です。本作の鬼たちは半神半人のような描かれ方をしており、妖怪と言うよりは「自然の化身」「八百万神(やおろずのかみ)」という趣です。神道をモチーフにしている以上は当然です。それこそ「トイレの神様」じゃないですが(苦笑)、「どこにでも神様がいる」というかなり極端な思想はエコロジーとは大変相性が良いです。「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」はそれを上手く設定に取り込んで見せていました。本作では肝心のエコロジーメッセージはちょっとセリフと雰囲気であるぐらいで、ほとんど入りません。たとえば鬼達は自然に囲まれた鞍馬山でくらしていて、最後は琵琶湖の化身が大活躍します。しかし「だから大切に」とかそういう方向ではなく、物語はあくまでも権力志向のある極悪支配者を倒すことが目的になってきます。勧善懲悪というシンプルな子供向けのメッセージをファンタジー・エコロジーにぶち込んだ結果、薄い「もののけ姫っぽさ」「千と千尋っぽさ」だけが残っています。
というような感じでして、全体としてはあんまりテンションが上がらない作品でした。「つまらない」というよりは「どうでもいい」部類です。ちなみに本作で一番語りがいがあるのは間違いなく頼光です。彼は鬼と人間との間で揺れ、アイデンティティクライシスを見せてくれます。特に後半は完全に頼光と水葉のエピソードが主役・純を食ってしまいます。
そのくせちょっと怒っただけで純君は覚醒してしまうものですから本当に拍子抜けで、「そんな簡単に覚醒するなら最初から本気出せ(怒」としか思えませんw
なので、連休中にヒマをもてあましてしまった方にのみオススメいたします。変に鬼が気味悪いデザインなので親子連れで見る映画を探している方はやめておいた方が良いと思います。

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ザ・ライト -エクソシストの真実-

ザ・ライト -エクソシストの真実-

今日は一本、

ザ・ライト -エクソシストの真実-」を観てみました。

評価:(25/100点) – クライマックスの手前で終わるエクソシスト。


【あらすじ】

マイケルは家業が嫌で全寮制の神学校への進学を決める。それから4年、卒業を間近に控えたマイケルは信仰の少なさから司祭になることを辞退しようとする。そんな矢先、先生であるマシュー神父からバチカンへの短期留学を勧められる。それはエクソシストを養成するための特別講座だった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> マイケルの留学。
 ※第1ターニングポイント -> マイケルとルーカス神父との出会い。
第2幕 -> エクソシズム。
 ※第2ターニングポイント -> ルーカス神父が取り憑かれる。
第3幕 -> マイケルと信仰。


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【感想】

今日は公開が延び延びになっていた「ザ・ライト -エクソシストの真実-」を見て来ました。アンソニー・ホプキンスが物知りでちょっとマッドなメンター役という企画の時点ですでに面白いに決まっているワケですが、、、オカルトっていうよりは青年の成長物語でした。
所々のテイストは「エクソシスト(1973)」ですし、劇中でも「頭が回ったり黄色い反吐を出さなくて拍子抜けか?」という明らかに「エクソシスト」を意識したセリフが出てきます。主人公は「エクソシスト」と同じく悪魔を信じない(見習い)神父で、その彼がベテランのエクソシストと共に悪魔と戦うことで信仰と決意を深めます。
ということで、基本的なプロットはエクソシストとほぼ同じです。
両作品の決定的な違いは話しの趣旨です。「エクソシスト」は悪魔憑きに否定的だったカラス神父がいろいろあって悪魔払いを決意し、そして悪魔の長年のライバル・メリン神父とともに戦います。しかし、、、というのがエクソシストがカルト的な人気を誇る理由です。対して本作「ザ・ライト」は神父見習いのマイケルがいろいろあって信仰を取り戻し悪魔と戦って終わってしまいます。本作のメインはマイケルという不信心者が信仰を取り戻す話しであって、悪魔払いはその手段でしかありません。明らかに「エクソシスト」の一歩手前で話しが終わっています。約40年前の映画に影響を受けながらそれより温くなるってのは本末転倒です。
少なくとも劇中ではいきなり最初の悪魔払いでクライアントが口から釘を4つも出しているので、マイケルがそれを見ながらもなお悪魔の存在に懐疑的であるというのが説得力に欠けます。「証拠を目の前で見せられてもなお信じたくない」ほどの理由があればまだしもなんですが、本作で示されるのはそこまでの理由ではありません。彼が信仰を失ったのはある事件によって「神様は無力だ」「こんなことが起きるなんて神様は居ないのか」と思ったからです。
しかも、よりによって、本作でマイケルが信仰を取り戻すのは、信仰を失うきっかけになった出来事を乗り越えたからではないんです。もうどうしようもなく悪魔の存在を認めざるをえなくなって、彼は信仰を取り戻します。これはさすがに無いです。信仰を失ってから取り戻すまでの話しなのに、その2つが対応していないんです。そうすると「成長した」というよりも「観念した」という風に見えてしまいます。これによってマイケルがただの甘えたお坊ちゃんに見えます。結構台無しです。
本作ではこの「信じること」「信じないこと」をキーワードに話しが組み立てられています。不気味で胡散臭いルーカス神父を信じることができるかどうか。不可思議な事が目の前で起きているとき、それが超常現象ではないと断言出来るかどうか。つまりは、本作ではオカルト的な要素は直接話しとは関係なく、あくまでも「信仰」がメインなんです。これは劇中でもさらっとセリフで説明されます。ルーカス神父の「不信心者はすぐに科学的な証拠を求める。」「信仰とは胸の内にあるものだ。」というものです。はからずも全体を通して宗教の持つ危険性(=盲目的な信仰の詐欺性)が見えちゃってるわけですが、たぶん制作者の意図ではありません。
さらに、オカルト的な面でも悪魔払いの描写が結構微妙です。本作の悪魔は腕力に頼りすぎです。エクソシズムというのはエクソシストが悪魔を「言葉で追い払う」んですね。ですので、悪魔側も暴力に頼っちゃいけないんです。基本的には悪魔はエクソシストに対して「信仰を揺るがす言葉」をつかって「罪を行うように誘惑」し、それに対してエクソシストは「揺るぎない信仰」でもって対抗するんです。でも本作ではすごい勢いで悪魔が暴力を振るってきます。これだとアクション映画になってしまいます。これが相当がっかりです。

【まとめ】

決してつまらない作品ではないんですが、ちょいちょいテンションが落ちる箇所が出てきます。結果としては今一歩な感じが否めません。もちろんアンソニー・ホプキンスはいつもどおり最高にマッドですし、コリン・オドナヒューもちょっと何を考えているか分からない不思議なイケメンが雰囲気を盛り上げています。オカルト・ホラー好きにはちょっと微妙ですが、描写がかなりソフトなハリウッドエンタテイメントですのでとりあえずそこそこ楽しめるとは思います。

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記事の評価
ヒア アフター

ヒア アフター

二本目は

ヒア アフター」です。

評価:(85/100点) – すごい混ぜ方のオカルト・ヒューマンドラマ。


【あらすじ】

ジョージは子供の頃に病気で生死を彷徨ってから、死者と対話できる能力を身につけた。しかし医者からは精神病患者と見られ、他人からは気味悪がれてしまいまともな生活を送れない。ジョージは霊能力者として生計を立てていたが、その能力を隠して普通の人間として生活することを決める。
一方、フランスの人気ニュースキャスター・マリーはプロデューサーの恋人との旅行中に大津波に遭って生死の縁を彷徨う。彼女はその時あの世を一瞬垣間見たように思い、それが気になって仕事に身が入らなくなってしまう。
時を同じくして、イギリスでは双子の兄を事故で亡くしたマーカス少年が、もう一度兄と対話をするため霊能力者を捜していた、、、。


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【感想】

本日の二本目は「ヒア アフター」です。本国では昨年の10月公開作品で、4ヶ月遅れで日本上陸です。老いてますます盛んなクリント・イーストウッドの最新作です。とはいえ、正直そこまでお客さんは入っていませんでした。予告でおもいっきりオカルトな面を見せているので、そこが敬遠されてしまったのでしょうか?
いきなりですが、本作はアメリカではあまり評判が良くないようです。ざっとrotten tomatoを見た感じですと、「死についてちゃんと書いていない」とか「意外な事がないから眠い」とか結構散々ですw ですが私は結構好きです。雰囲気映画は雰囲気映画ですし、前述の批判はもっともだとは思いますけどねw
本作は3つの話がまったく別々に展開していきます。一つは本物の霊能力者でありながらそれを呪いだと思って普通の生活に戻りたがる男の物語。これは永遠のとっちゃん坊やマット・デイモンが得意とするタレ目の困り顔で好演しています。霊能者としての苦悩については、正直私達一般人にはどうでも良い話題なので(苦笑)、そこについてどうこうはありません。ただ、本作ではその「霊能力者としての苦悩」を「他人の事がわかりすぎてしまう男」「社会の中で疎外感を感じている男」という一般論に落としてきます。そこがとても素晴らしいです。特に中盤でてくるメラニーとのロマンス未満の理不尽な感じは「あるあるネタ」として私のようなダメ人間にはど真ん中に来ます。
「映画好きなんでしょ?」「いや好きだけど、変なのばっかり好きなのよね」「何が一番好き?」「あー。ショーシャンクの空にとかかな(←好きでもないのに無難な線を言う)」「じゃあこんど家のDVD見せてよ。」<家に来てゾンビ映画やらカンフー映画やらB級輸入DVDの棚を見られる>「あ、、、(絶句andドン引き)こういうの好きなの?」「まぁ嫌いじゃないかな、、、。」<そしてこの後映画の話題に触れられなくなる。>
Noooooo!!!!!!!!!!!!! あるある。超あるある。人生で3回くらいあるw そう、コレが霊能力に変われば本作のマット・デイモンパートのできあがりです。さすがイーストウッド!!!!
2つ目は不倫中のニュース・キャスターの話です。彼女はあの世を一瞬見た事でその光景に取り付かれてしまいどんどん惹かれていきます。こちらはやはりオカルト的な話についての世間の冷たい目を表現している、、、ように見えますが、こちらも一般論としての「私の言うことをちゃんと聞いてくれない彼」の話に落とし込めますw 「スペル(2009)」では主人公のクリスティンが何度「呪われた」と訴えても取り合ってくれなかった彼氏・クレイが「最後はちょっとだけ話を聞いてくれて、でも理解はしてくれない」という線に落とすわけですが、本作では全然理解してくれません。それどころか本作の彼氏は「なんだこいつ?イカれた?」みたいな感じで新しい女を作って捨てやがります。そこに「自分と同じ体験をした(=趣味を持つ)男」が現れて理解してくれるわけです。言うなれば「オタク結婚のススメ」。やっぱそうだよね。うんうん。それしかない。ゾンビ映画やカンフー映画が好きで、筋肉少女帯のアルバムを全部聞いてて、家に「かってに改蔵」が全巻そろってる女性じゃなきゃだめだよね。うんうん。わかるよ。わかる。さすがイーストウッド!!!!
3つ目は不慮の事故で双子の兄を亡くした少年の話です。少年は「もう一人の自分」とも言える兄を失ったショックから立ち直れず、兄の遺品を常に身につけて霊能力者達を訪ね歩きます。言うなれば「失われてしまった古き良き青春を追い求め続ける」話です。そう、私達は「昔の映画ってよかったよね。」「アメリカ映画はやっぱ1940年代までだよね」とかつい懐古主義に走ってしまいがちですが、70年代にはロッキーだってあるし、80年代にはダイ・ハードだってあるし、90年代にはマトリックスがあるし、00年代には少林サッカーがあるんじゃないかと。過去に囚われたってしょうがないってことです。過去の名作は一旦置いておいて、今は前向きに「イップマン」や「KG カラテガール」を見ろって事です。わかる。わかるよ。さすがイーストウッド!!!

【まとめ】

ということで、本作は見ている間中は涙が止まらない傑作です!!! そりゃ雰囲気だけかも知れませんし、そもそも「霊能力ってそういう事なのか?」とか言う気もチラっと頭をよぎります。「死後ってさぁ」とか「オカルトってさぁ」とか考え始めると、確かに安っぽいヒューマンドラマに見えてしまうかも知れません。しかしですね、この霊能力を一度「自分が持ってる変わった趣味」と言う風に置き換えられると、もう涙が止まりません。
一風変わった趣味を持っている方には自信を持ってオススメできる作品です。劇場で泣いてらっしゃい!!!! オススメです!!!

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