ティンカー・ベルと月の石

ティンカー・ベルと月の石

うってかわって2作目は「ティンカー・ベルと月の石」です。

評価:(80/100点) – 子供向けと侮る無かれ。堂々たる傑作!

【三幕構成】

第1幕 -> ティンカー・ベルが“聖なる杖”を制作する大役を任される。
 ※第1ターニングポイント -> ティンカー・ベルが月の石を割ってしまう。
第2幕 -> インカンタの魔法の鏡を探す冒険
 ※第2ターニングポイント -> 魔法の鏡を手に入れる
第3幕 -> テレンスとの仲直りと秋の祭典


【あらすじ】

「物作りの妖精」ティンカー・ベルはフェアリー・メアリーの推薦で、秋の祭典用の聖なる杖を制作する大役を任される。秋の祭典は、8年に1度昇る「青い月」の光を杖の先の「月の石」に当てることで青い妖精の粉を生みひいては妖精達を生む大事な儀式である。ところがひょんなことからテレンスと大喧嘩したティンカー・ベルは、癇癪を爆発させた際の事故で月の石を割ってしまう。月の石は大変貴重な石で、簡単には手に入らない。そこで彼女は、願いの叶う伝説の「インカンタの魔法の鏡」を使って月の石を直す事を決意する。こうして魔法の鏡を求めるティンカー・ベルの冒険が始まった、、、。


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【感想】

素晴らしい。素晴らしいの一言に尽きます。わずか90分で道徳的でシンプルなテーマを完璧に語りきっています。是非とも文部科学省推薦で小学校低学年の道徳の授業に見せるべきです。お子さんをお持ちの親御さんは是非子連れで見に行ってください。正直に言って期待を大幅に上回る出来です。ディズニーはジョン・ラセターによって本格的に復活したのかも知れません。
あまりの出来の良さにちょっと興奮気味です。
話の構成は至ってシンプルです。「友達と喧嘩した女の子が一人で困難に立ち向かうが失敗し、友達の大切さを知って仲直りをする。二人で協力した結果、困難を乗り越え大成功を収める」。
超が付くほどベタで道徳的な話です。でも説教臭さが全然ないのです。アクションあり笑いあり冒険あり。そして根幹には道徳的なストーリー。「子供向けアニメとはかくあるべし」という鉄則を完璧に超ハイレベルで実践しています。大変よくできた子供向けファミリーエンタメ映画ですので、見終わった後に考えさせられるとか余韻に浸るとかいったことはありません。評価80点としてのはあくまでも映画として見たときにまだ上があるというだけの意味ですので、子供向けファミリー映画として見れば文句なしに100点満点です。脚本も一切無駄がありませんし、人物配置も完璧です。ただただ脱帽します。ディズニー・アニメもやれば出来るじゃない!というかジョン・ラセター凄すぎ。貫禄の安定感です。

【まとめ】

本作を「どうせ子供向けのアニメでしょ」と思って侮ってはいけません。ここまで基本を完璧にこなしている劇映画はそうそうありません。お子さん連れに限らず、カップルでも友達同士でもお一人でも、是非見に行ってください。間違いなく2009年のトップ10に入れるレベルの傑作です。超おすすめです!

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The 4th Kind フォース・カインド

The 4th Kind フォース・カインド

The 4th Kind フォース・カインド」見て参りました。

評価:(5/100点) – 工夫はしているが、、、。


【あらすじ】

アラスカ州ノーム。アビゲイル・タイラー博士は寝室で就寝中に隣で夫を殺害される。その後、子供2人を育てながら不眠症の村人のサイコ・セラピーを続けるうちに、多くの人が共通の体験を持っていることに気がつく。夜中に見えるフクロウとは何なのか?そして彼らが体験したことは?セラピーの結果から徐々にタイラー自身の体験と夫の死の真相が明かされる。


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【感想】

非常に微妙な出来です。予告はそこそこB級っぽい雰囲気を出していますが実際には矢追純一やMMRと何ら変わりありません。しかも矢追純一を見たときに感じる真剣過ぎてくだらないというギャグすら成立していません。本作はよく言えば器用に作りすぎであり、悪く言えばテーマと語り口のトーンがチグハグです。

本作に見られる工夫の跡

厳しいことを書きましたが、本作には一つ大きな工夫があります。それはフェイク・ドキュメンタリーをいかに本物っぽく見せるかという部分です。
例えばブレア・ウィッチ・プロジェクトでは、公開前のネタ振りとしてケーブルテレビで「ブレア・ウィッチの謎」と称した特番を放送しました。また前後にwebを用いて嘘のニュースを流し続け、映画があたかも事実であるかと思わせるために多くの宣伝手段を利用しました。報道と称して映画の宣伝を行うことの倫理的是非はありますが、しかし成功したのは事実です。
一方、本作では特に前振りは行っていません。webを検索していただくと分かるようにタイラー博士のそれっぽい嘘記事もほとんどありませんし、むしろユニバーサルの公式コメント(=あくまでも作り物であるという宣言)ばかりが目につきます。この時点でフェイク・ドキュメンタリーとしては駄目です。
しかし本作では2重の創作をかませるという発明を行っています。嘘のドキュメンタリーを劇中でさらに再現映像化することにより、より嘘ドキュメンタリーの信憑性を高めようという発想です。この手法は本当に発明だと思います。惜しむらくは、ドキュメンタリー部分(=劇中における”実際の映像”)の出来があまり芳しくないことです。話の内容自体はよくあるアブダクトもの(=宇宙人による誘拐話。)ですから、本作の成功はこのドキュメンタリー部分の出来にかかっています。せっかくタイラー博士にぴったりの役者を連れてきているのに、肝心のビデオカムが微妙すぎて何とも言えない雰囲気になってしまいました。残念です。
とはいえちょいと腹が立つ部分もあります。それはラストで完全に監督が投げっぱなしにしていることです。「信じるか信じないかはあなたの自由です」とか言うのは勝手ですが、じゃあ入場料返せと思ってしまいます。アブダクトものの映画ならそれらしく、最後まで「UFOは実在する」で押し切ってもらわないと困ります。だって弱気になる矢追純一なんて誰が見たいですか?弱気になる糸井重里なんて誰が見たいですか?彼らが真剣だからこそ客観的に見てる我々は面白いんです。「なにムキになってんの?バカじゃね(笑)」というのが彼らを見る偽らざる観客心理ですし、だからこそ人気があるわけです。でも本作では監督すら本気でUFOの存在を信じていないわけです。そんなもの見せられても何とも言えません。「はいはい、わかったわかった。で?」というのが私の率直な感想です。だって信じてないならこの映画の存在意義が無いじゃないですか。UFOの存在を啓蒙する気もなくUFOを否定する気もない。いったい誰をターゲットにして何故作った作品なのでしょうか?ハッキリしているのはこれよりも100倍は「奇跡体験!アンビリバボー」の方が作り手の意図が見えて面白いって事です。

【まとめ】

え~本作は春先にバルト9で見たアルマズ・プロジェクトとタメをはれるレベルのがっかり映画です。個人的な意見ですが、フェイク・ドキュメンタリーの面白さはやっぱり出落ちであり、そしていかに制作側が真剣に「捏造しようとしているか」だと思っています。本作のような酷い作品を見ると、改めて「ブレア・ウイッチ~」の偉大さが良く分かります。予算は関係ありませんし役者も関係ありません。いかに知恵と情熱を傾けられるかが勝負のジャンルです。
本作からは真剣さが一つも伝わりませんでした。もっとまじめにやっていればコメディとして成立していたのに、なんとも残念な話です。
劇中の村人よろしく、我々もこの映画の存在を忘れましょう。それが一番幸せです。
最後になりましたが大事なことを一つだけ書かせてください。昨年「曲がれ!スプーン」を見て良い話だと思った人は本作を見る責任があります(笑)。だって、UFOを信じるのが純真で素晴らしいことなんでしょ?だったら本作を見て是非とも信じてください。本作をつまらないといった人は本広克行にぶん殴られますよ(笑)。

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釣りバカ日誌20 ファイナル

釣りバカ日誌20 ファイナル

さて2010年最初の映画はもちろんこれ。
釣りバカ日誌20 ファイナル」です。

評価:(60/100点) – ヌルい。だが、それが良い!


【あらすじ】

鈴木建設のハマちゃんこと浜崎伝助は釣りが大好きな駄目営業マンである。ところが持ち前の人望によって200億の案件を受注し、会長賞を獲得してしまう。会長はもちろんスーさんこと鈴木一之助。鈴木建設創業者にしてハマちゃんの釣り仲間だ。
祝いに訪れたスーさん馴染みの料亭「沢むら」で、ハマちゃんはスーさんが娘のように大事に面倒を見ている沢村葉子とその娘・沢村裕美を紹介される。亡くなった葉子の両親はスーさんの大親友であった。自身の老い先が短いと悟ったスーさんは、最後に葉子の父の墓参りに北海道を訪ねたいと申し出る。北海道と言えば渓流釣りの名所が目白押し。こうしてハマちゃんとスーさんの北海道旅行が始まった、、、。


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【感想】

あけましておめでとうございます。
2010年のお正月、10年代の始まりにふさわしい映画と言えば、もうこれしかないでしょう。日本最後のプログラムピクチャーにしてお正月映画・お盆映画の代名詞「釣りバカ日誌」であります。
とにかく全編を通してヌルいヌルい。微妙なギャグと古くさい演出のオンパレードで、客観的に見れば映画としてかなり如何な物かと思う出来です。
本作のメインストーリーは劇場予告にもあるとおり、沢村葉子がスーさんの隠し子ではとの疑惑と、裕美の同棲騒動から発展する沢村親子の話です。しかし正直に言って北海道および沢村親子の件は別にどうとも発展しません。極端な話、全部カットしても話は通じます。この適当な感じの脚本とヌル~い掛け合いが全編で続きます。
ここまで書くと酷い駄目映画に思えますが、でも本作はそれで良いと思いますし、それ”が”良いのです。理由は後述します。
役者の方々は全員素晴らしいです。三國さんや西田さんは言わずもがな、益岡徹さんや笹野高史さん、若手では吹石一恵さんも含めて、どなたも皆本当に素晴らしい仕事を見せてくれます。若干一名、塚本高史さんだけが浮いてますが別に出番もセリフも少ないのであんまり気になりません。そもそも演技には期待しない若い女性を劇場に呼ぶための撒き餌ですから(笑)。またカーテンコールで、本作初期のレギュラーメンバーのある方の顔が見えます。最近では健康上の理由で表舞台から離れていますので、本当にうれしいサプライズです。三國さんの本当にうれしそうな笑顔と相まって、私なんぞはこのカーテンコールだけで1000円分の価値はあると思ってしまいます。

最後のプログラム・ピクチャーということ

本作は現存する日本最後のプログラム・ピクチャーのシリーズです。プログラム・ピクチャーとは昔の劇場で二本立ての繋ぎで流れる、時間穴埋め用に適当に作られたB級映画です。ただ一概に適当=駄作とも言えませんで、もともと看板映画ではないので観客の存在を気にしないことから実験場という側面が強くありました。そして毎回独立した作品を撮り下ろすのは面倒ですから、必然的にシリーズ物が多くなります。一聴するとつまらなそうに聞こえますが、とはいえ東映のトラック野郎や不良番長シリーズはいまでも人気がありよく浅草とか神保町の単館でリバイバル上映しています。
プログラム・ピクチャーの低予算シリーズものは、「早撮り低予算」という必然から連続TVドラマのような雰囲気になっていきます。火曜サスペンスのシリーズ物をちょっとまじめに撮ったヤツと思ってもらえれば、当たらずとも遠からずです。
90年代からシネコンが日本でも爆発的に増えました。私は映画ファンとしてこのシネコン大増殖には大賛成ですし大変感謝しています。画一的な上映環境を提供してくれるシネコンのおかげで、都会だろうが田舎だろうが系列シネコンではほとんど同じフィルムが上映されます。ですので、田舎でもある程度ビッグバジェットの映画は見ることが出来ます。もちろん角川やハピネットが配給するB級ホラーや東宝の実験作は東京・大阪でしか見られませんが、それでも映画文化を考えれば田舎の映画上映機会を増やした功績は大きいと思います。一方で、経営的な面で単館に厳しくなっているのは間違いありません。私の近所の単館映画館も10年ぐらい前に2館が閉鎖してしまいました。子供の頃にドラえもんや東映まんがまつりを見に行った思い出の映画館が無くなるのは本当に寂しい物です。でもジャック&ベティや有楽町スバル座のように、大資本の後ろ盾が無いながらも差別化で頑張っている良質な映画館はまだまだあります。
ちょいと脱線してしまいました。シネコンが増えたことによる煽りは映画館だけにあるわけでは無く当然作品側にもあります。その一つが上映形態です。シネコンでは回転率をあげるために「全席指定入れ替え制」が当たり前です。一方でリバイバル上映や2番館(初回ロードショーの半年後ぐらいに余所で使ったフィルムのお下がりで上映するムーブオーバーが主流の映画館)では二本立て三本立ての自由席が主流です。朝チケットを買って入れば、いつまででも座っていられる形式です。前述のプログラム・ピクチャーはあくまでも後者の映画館でメイン作品とサブ作品の間に上映される「トイレ休憩用」の作品です。なのでシネコンでは必要ありません。このシネコン全盛の時代には、プログラム・ピクチャーが流れる環境自体が無くなってしまっています。釣りバカ日誌シリーズの終了も、三國さんのお年の問題とは別にやはりこの上映環境の問題が大きいと思います。日本最後のプログラム・ピクチャー・シリーズの終了が意味するのは、この複数本立てで新作を上映するという文化の終焉を意味します。かつてはメイン作品の看板スターで客を呼び、サブ作品で若手のスター候補を売り出すというのが常識でした。70年代の大映倒産で映画制作所とスター俳優の専属プロダクト制が終焉し、そして00年代のシネコン全盛で二本立て文化が終焉します。

【まとめ】

以上のことから、本作はある意味では日本映画文化の遺産であり、そしてプログラム・ピクチャーを象徴する作品でもあります。
適当な脚本も古くさい演出も、それ自体が一つの「型」として成立しているように思えるのです。本作はいわゆる「お正月映画」としてよりも、「最後のプログラム・ピクチャー」としての文脈を背負ってしまっています。だからこそ、ラストのカーテンコールでちょっと泣いちゃうわけです。別に良い話でも無いですし、泣くほど面白い作品ではありません。でも、こういうしょうもない作品を上映する環境が日本には存在していたんだということと、そしてそれが終わってしまったということ、それ自体が本作の価値だと思います。カーテンコールで三國さんが手を振る姿はまさに日活スターが手を振る姿であり、ひいては日本映画黄金期が手を振っているように見えてしまいます。
非常に残念な事に劇場は客入り4割ぐらいで、ほとんどが中年夫婦と老夫婦の家族連れでした。こういう作品だからこそ、是非20代・30代の人たちにも見て欲しいですし見るべきだと思います。私たちの世代は、こういう文化があったんだと言うことを子供達に話す義務があります。点数は60点としましたが全世代必見の歴史的作品です。全力でオススメします!!!
合体!!!

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ファッションが教えてくれること

ファッションが教えてくれること

今年最後の映画は「ファッションが教えてくれること」です。

評価:(60/100点) – 事実は小説より奇なり


【あらすじ】

アナ・ウィンターは米国版ヴォーグの編集長である。そしてヴォーグで働く元モデルにしてクリエイティブ・ディレクターのグレイスは、アナとかれこれ40年のつきあいである。この物語はファッション界のカリスマにしてファッション・ムードを作り続けるアナと、その理不尽な感性に振り回されながらも仕事に魅せられるグレイスの物語である。


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【感想】

大変面白いドキュメンタリーです。原題「The September Issue(9月号)」の名のとおり、ヴォーグの年間最大の見せ場「ヴォーグ・9月号」の制作過程を通じて「仕事って何?」という根幹が浮かびあがってきます。
アナが「氷の女(Ice Woman)」と呼ばれて冷静にグレイスの特集ページを削っていく過程も、ただただ雑誌の完成度を上げることに一直線に進む彼女なりの「プロの仕事」です。そして文句を言いながらも常に最高の仕事を返すグレイスもまた「プロの仕事」を行います。
本作に出てくる女性たちは本当にプロ意識の高い、そして自身の能力と仕事に絶対の自信を持った超一流の人々です。
一方で、シエナ・ミラーのイタリアロケを敢行するカリスマ・マリオ=テスティーノのなんとも酷い描かれ方。ビジョンを求めるアナに対して、ただただ自分を売り込むかのようなセールストークを繰り返しあきれられます。さらにイタリアロケで具体的なシチュエーションを指定されたにもかかわらず、自己判断で勝手にコッロッセオでの撮影をキャンセルするばかりか、成果物のほぼ全部がアナに却下されます。それと対比するように、穴埋めの突貫撮影を最高の結果でフォローするグレイスの能力。
この圧倒的なまでのグレイスの魅力とそれを信頼しきっているが故に厳しいことを言い続けるアナ。友情にも似た奇妙な信頼関係が、しかし確実に「完璧な仕事を目指す」という一点にのみ集約するカタルシス。最後に訪れるちょっとしたサプライズ。
事実は小説より奇なりとは良く言ったもので、「プラダを着た悪魔」でフォローし切れなかった「それでも仕事をする意味」「なぜヴォーグが最高であるのか」という部分が大変明確に表現されています。
是非とも「プラダを着た悪魔」とセットで見てほしいすばらしいドキュメンタリーです。
上映館数はすくないですが必見です。

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アバター(2009)

アバター(2009)

今年最後の超大作「アバター」です。やっとこさありつけました。

評価:(60/100点) – 目が痛い。

【三幕構成】

第1幕 -> ジェイク・サリーがパンドラでアバター・プログラムに参加する
 ※第1ターニングポイント -> ジェイクのアバターがネイティリに出会う
第2幕 -> ジェイクとナヴィとの交流・そしてRDA陣営が実力行使に出る
 ※第2ターニングポイント -> ジェイクがナヴィ側につく決意をする。
第3幕 -> ジェイクがトルーク・マクトとなりナヴィ族をまとめてRDAと全面戦争を行う


【あらすじ】

交通事故で急死した兄の代わりに、ジェイクは惑星パンドラでのアバター・プログラムに参加をする。惑星パンドラの生命の樹の下には高価な飛行石が眠っており、RDA社はその鉱物採取のために原住民・ナヴィ族を立ち退かせることを画策する。アバターはナヴィ族を説得するための策であった。もう一つの肉体を手に入れたジェイクは、ひょんな事からナヴィ族に潜入することに成功し、彼らの信頼を得ていく。しかしナヴィの説得が困難と判断したRDAは実力行使を決断する。こうして人間vsナヴィ族の全面戦争がはじまった。


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【感想】

はじめに

非常にコメントに困る映画でした(笑。映像は良いけど話はね、、、。
とにかくベタでありがちで王道的な話です。ナヴィ族は青いだけでトライバル模様とか単なるインディアンですし、RDA社は絵に描いたような「侵略者としての白人」です。「優しい原住民vs傲慢な白人」とその中で白人でありながら寝返る主人公。いままで何十作もこんな映画を見たことがあります。言ってしまえば本作にとって話はどうでも良くて、あくまでも「3D映画」であることの技術的な実験作だと思って間違いないと思います。
ちなみに私は今回XpanD・字幕で見ました。本当はIMAXで見たかったんですが、めっちゃ混んでて全然チケット取れませんでした。やっぱり観客も目が肥えてきたのでしょうか?当ブログでIMAXを激押しした手前もあるのでこれで面白ければもう一回IMAXで見るんですが、正直これをもう一度見る気力はちょっと無いです。申し訳ない、、、。

目がぁ、、、目があぁぁぁぁぁ!!!(本作の元ネタより引用)

話については触れる程の出来ではないため脇に置きまして(笑)、やっぱり本作は3Dについてしか無いでしょう。
ということで、XpanDなんですが、、、目が痛いっす。まじキツいっす。とにかく上映時間が長いんですよ。2時間40分もちょい寄り目を続けてたらそりゃ目もやられますよ。
実は私、開始1時間30分ぐらいでちょっと酔い始めまして(笑)、ラスト30分くらいは心の底からさっさと終わって欲しかったです。
やっぱり3D映画はクリスマス・キャロルやファイナル・デスティネーションのように90分くらいがベストだと思います。
部屋の通路が奥に広がっているカットが多かったり、窓ガラス越しに人が何かやってるカットが多かったり、とにかく3Dを意識したカット割が続きます。そしてこれはほぼ成功しているといって良いと思います。こちらに向かってくる「飛び出す3D」はせいぜい矢が何本か来る程度で、基本的には奥行きを表現するための「舞台演劇の書き割り」として使用しています。この書き割り感が大変しつこく出てくるため「現在の3D技術のカタログ」という印象を強く持ちます。正直な所そこまですばらしい映像では無いと思いますし、造形だけを見ればはっきり言ってファイナル・ファンタジー13の方が良くできています。でも3Dとして見たときに、少なくとも2009年を代表する一本であるのは間違いありません。ここまで明確な「3D専門映画」というのはおそらく「戦慄迷宮3D」以来だと思います。「戦慄迷宮3D」が映像的にも物語的にも非常にがっかりな出来だったため、事実上は本作が最初の「一般的な3D専門映画」と言えるでしょう。3D映画のデモ・ムービーみたいなものですから、どうせならもうちょっと話を短くまとめて90分くらいにして欲しかったです。

【まとめ】

映像は一見の価値はありますが、でもそれだけの作品です。ですので2D上映で見たりDVDで見てもまったく面白くないと思います。ちなみに劇場で私の右隣がヤンキー・カップルで左隣が中年夫婦だったのですが、両脇からイビキが聞こえました(笑)。やっぱり話題先行で見に来た人やタイタニックに食いついて見に来る方には厳しいと思います。
博覧会の展示ブースに入ったつもりでストイックに3D技術を拝見しましょう。話はつまんないですし、なにせ訳者が某大物女史ですんで(笑)
「I like this Guy!」は「こいつ気に入った!」で良いじゃん別に(笑)。
いろいろ投げやりに書きましたが、こういう技術革新の最前線の作品はリアルタイムで見ることに意味があります。ジュラシック・パークしかり、ブレア・ウィッチ・プロジェクトしかり。残念ですが後からDVDで見ても単なる駄作にしか見えないと思います。年末年始に余力がある方は是非劇場で見てください!
余談ですが、先々週、Blu-Rayの3D用規格がBDアソシエーションからリリースされました。おそらく来年の夏頃には第1作目がリリースされると思います。タイミング的にはおそらくアバターかアリスインワンダーランドが家庭用3Dソフトの一作目になりそうです。

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レイトン教授と永遠の歌姫

レイトン教授と永遠の歌姫

久々の映画は「レイトン教授と永遠の歌姫」です。

評価:(20/100点) – 子供騙しなのに劇場に子供がいないっていう、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> レイトン教授とルーク少年の日常、またはジェニスから手紙が届く。
 ※第1ターニングポイント -> クラウン・ペトーネ劇場でゲームが始まる
第2幕 -> 永遠の命を巡るゲーム大会
 ※第2ターニングポイント -> レイトン教授が別行動を取る
第3幕 -> デスコールとの対決とアンブロシア王国の復活


【あらすじ】

ある日大学教授のレイトンはかつての教え子にしてオペラ歌手のジェニスから一通の手紙を受け取る。その手紙は一年前に死んだ友人のミリーナが子供の姿でよみがえったという相談であった。レイトンと助手のルーク少年はジェニスに会うためにクラウン・ペトーネ劇場のオペラへと出かけていった。しかしオペラ終了後、劇場では「勝者は永遠の命を手に入れ、敗者は命を奪われる」というゼロサムゲームが始まってしまった、、、。


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【感想】

はじめに

まず言い訳からはじめさせてくださいw
というのも正直な話、別にこの映画見る気が無かったんです。たまたまアバターまで時間が空いちゃいまして、せっかくだからとスケジュール見てたらたまたま都合の良い時間だったと、、、それだけのことです。このシリーズのゲームはやったことがありませんし、事前知識は劇場のパンフレットが全てです。ファンの方には大変申し訳ありませんが、あくまでも門外漢がパッと見たらイマイチだったと、、、その程度に捉えてください。

大枠について

冒頭でいきなり手厳しいことを書きますが、要はよくある子供騙しの冬休み映画です。なのに大きなお友達しかいないていう、、、マーケティング的には大丈夫なんでしょうか?
「英国紳士」が口癖で謎解きが大好き、シルクハットにスーツで助手を連れていてちょいニヒルというキャラターは、そのまんまシャーロック・ホームズで良いと思います。子供の助手を連れているという意味では、それこそ大正・昭和初期の少年探偵団とか明智小五郎シリーズに通じる子供向け探偵物のお約束です。そしておとぎ話に出てくる「不老不死の薬をもった伝説の国」を巡るアドベンチャーと”どうかと思うほど適当な”ナゾナゾの数々。ライバルとして出てくるデスコールの仮面舞踏会的な格好(=セーラームーンのタキシード仮面に通じるセンス)。レイトンの助手一号のレミ女史が格闘が出来るという、コナンの毛利蘭以来のお約束。かように画面内の全ての要素がどこかで見たことがあるお約束で占められています。別にパクリとかパロディとか言うつもりはありませんで、要は大人が企画会議を繰り返して出てくる「子供が喜ぶ要素の集合知」ということです。そういった意味ではよくぞここまで突っ込んだという「強引なコラージュ感」が結構面白かったりします。
ただですね、、、劇場に子供がいないんですよ。日曜の昼間でしかも冬休みなんて一番子供連れが入りそうじゃないですか?どっか連れてくのも面倒になったお父さんが近場の映画館で子供と見るにはなかなかの作品だと思います。もしかして皆さん「カールじいさん~」や「ウルトラ~」に行っちゃってるんでしょうか?
実際にこの手の映画を見る場合は子供が劇場内に居るのってかなり重要なんです。子供が驚いたり喜んだりするのを見てこちらも納得したり、そういうポイントが分かるのって子供向け映画を劇場で見る醍醐味だったりします。でも居ない、、、本当に大きなお友達ばっかりなんです。ばっかりっていっても150人のキャパで観客10人ぐらいでしたので、もうみんな見ちゃったのかも知れません。そんな中ですと、ただただショボくて飽きてきてしまってポップコーンを食べる手が倍速になってしまいますw
たぶんアイデアは悪く無いと思います。少なくともゼロサムゲームをきっちり描いてくれれば、それこそ「KR-13」的なソリッド・シチュエーション・スリラーとしてカルトな人気が出たかも知れません。でも、やっぱり子供向けなので、人は死にませんし、別にどうと言うことはありません。特に、チェルミー警部がサメだらけの海の中を泳いで逃げるシーンのコミカルさを考えると、たぶんこの世界では車にひかれても「ペチャンコになってヘナヘナヘナ」みたいな描写で終わったり、大爆発に巻き込まれても「頭がアフロになって顔がすすける」程度のレベルで済んでしまうと思います。それが冒頭で分かってしまうので、後半に小型ヘリでレイトンが巨大ロボットに立ち向かうシーンも別にハラハラドキドキ出来ません。「どうせ墜落したって死なないでしょ」って思ってしまうんです。その辺の「世間スレした感性(笑)」を持っている人はたぶんこの映画には向いていません。あくまでも子供が見たときに「格好良い~」「イェ~イ!!!」みたいなテンションになるように画面・物語が設計されていますから。

「子供向け」と「子供騙し」

非常にデリケートな話題なのですが、「子供向け」と「子供騙し」には明らかに乖離があります。「子供向け」というのはあくまでも子供の感性や子供の知識力の中でエンターテインメイントを成立させているものへの呼称で、「子供騙し」は明らかに子供を侮って手を抜いている場合の呼称です。そういった意味で本作は残念ですが子供騙しになってしまっています。
子供が好きな要素を詰め込むのは良いのですが、それが非常に恣意的なせいでちょっと舐められてる感じがしてしまいます。作り手側が子供の目線まで降りておらず、すっごい上の方の大人目線で「こんなもんでしょ」って放り出されているような感覚です。その一番の理由は序盤の謎解きゲームに対する不誠実さです。
序盤の謎解きゲームは観客も一緒に頭を使って考えられないと意味が無いのですが、観客への情報提供が不十分なために成立していません。本来ならこちら(子供の観客)が考えてギリギリ分からないナゾナゾを解いてこそ「レイトン教授は分かるんだスゴ~い!」となるわけです。ところがナゾナゾを解くための材料が提示されないために、画面内で後出しじゃんけんをしているようにしか見えずに他人事になってしまいます。これだとレイトンの凄さが伝わりませんので、必然的にルークへの感情移入も出来ません。
物語の根幹は非常にハードコアなサイコ・スリラーなのに、あまりにも子供騙し要素を詰め込みすぎて、ただショボくなってしまっています。大変もったいないです。

【まとめ】

ただただ惜しいです。下手なファンタジー要素や子供狙いを詰め込まずに、「マッドサイエンティストvs大学教授のアドベンチャー」にテーマを絞ればとっても面白かったはずです。だって話のプロット自体は「インディ・ジョーンズの新作ですw」って言われても何の違和感もないほど良いんです。しかもどうせ子供が見に来てないんですから(←失礼)これは本当にもったいない話です。是非、デスコール関連をばっさりカットして実写リメイクして欲しいですね。船の中だけで完結すれば良いんですよ。
一週間の船旅でゼロサムゲームをやって勝者には永遠の命を授ける。最初は派閥に分かれる参加者だったが、裏切り者が仲間を罠にはめたことで疑心暗鬼になっていく。極限状態の中でついには殺人事件が起きてしまう。レイトン教授と助手のルークは一癖も二癖もある参加者たちから犯人を捜すことは出来るのか?そもそも不老不死の秘薬は存在するのか?そして主催者の意図は?なぜ死んだはずのミリーナがよみがえったのか?、、、、レイトン教授は生き残ることが出来るのか?
これで良いと思うんですけど、、、。
実写化のあかつきには、是非、井口昇監督でお願いします!!!そしたら間違いなく初日に見に行きますよ。シアターNかシネパトスの単館上映でしょうけどw

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3D映画の方式について

3D映画の方式について

※このポストの内容は2009年冬時点のものであり、かなり古いです。ご注意ください。

~も。休日出勤でアバターに行けて無い、きゅうべいです。
とはいえ暇なんで、、、仕事サボってこんな駄文を書いてみます(笑
個人的にはそんなのはどうでもいいんでアバター観たいw
ふと先月の当ブログのgoogle検索を見ていたら、3D映画の方式を検索して訪問いただいている方が多いようでちょっと驚きました。
ということで、ニーズに応えるのがブログの本懐。3D方式について、ざっとまとめてみたいと思います。
ちょっとだけ技術的な話が絡みますので、技術はいいから選び方だけ知りたいという方は下部の「★ 3Dシアター選びのオススメ」に飛んでください。
ちなみに私は、今から説明する某方式にちょっとだけ絡んでいます。でもご安心ください。これから説明するのは完全に一個人としての意見です。まったく営業的なことは書いていません。

※ なお以下の文では、物理的な映画館(シネコン)を「映画館」、シネコン内の各部屋を「シアター」と呼称してます。

★ XpanDとRealDとDolby3D

現在、3D映画の主流方式は「XpanD」「Real D」「Dolby 3D」の3種類です。これプラス、東急109シネマズ全国3館のみあるIMAXシアターで「IMAX 3D」が見られます。
ちょっと「IMAX 3D」は特殊なケースですので、まずは前3方式について考えてみましょう。

XpanDとRealDとDolby3D

皆さんお手元のパソコンでご近所のシネコンの上映スケジュールを見てみてください。そうするとXpanDとRealDが多いことに気づくと思います。主に109シネマズ系列およびTOHOシネマズでXpanD、ワーナーマイカルシネマズ系列でRealD、ティ・ジョイ系列でDolby3Dが採用されています。ティ・ジョイ系列は関西に多いので関東の人には「新宿バルト9」といった方が良いかも知れません。余談ですが、バルト9は日本で屈指の良い映画館です。
シネコンのネームバリューで察しが付くかも知れませんが、普及率で言えばXpanDが圧倒的で、対抗馬がRealD、遠く離れてDolby3Dが追っています。ただしハッキリ言ってDolby3Dはシェアが遠すぎますので、実質的にはXpanDとRealDが一騎討ちをしている状況です。
さてこの方式の違いですが、皆さんの興味は「どうやって立体的に見せているか」、そしてその影響で「観客・映画館にとってどっちが良いか?」に絞られると思います。
技術的な細かい所は省略しますが、ざっくりと説明すると以下のような特徴があります。

●XpanD方式

この方式のメガネは大きくて重いのが特徴です。実際メガネには電池が内蔵されていまして、ちょうど鼻パッドの上に四角く黒い窓が付いています。テレビのリモコンと同じ原理を使っていまして、スクリーン側に設置された発信器より超高速でタイミング信号が発信されています。これを受けたメガネがやはり超高速で右目と左目を交互に、黒くしています。イメージ的には片目閉じを高速でやってる状態です。「右目→左目→右目→左目→、、、」と続けることで右目と左目に別角度の映像を見せて立体視させます。
この方式の利点は、比較的色合いが良く見えるのと、シアター内の席の角度に影響を受けにくいことです。一方でメガネが大きく重いため、普段から近視・遠視でメガネを使っている人には少々キツイものがあります。
また、これはおまけ的ですが映画館側にも負担がかかります。それはメガネと同期する「リモコン用のプロジェクタ」設備を新たに導入する必要があるためです。
ただし、プロジェクタを動かすことはできるため、シネコンに一台あれば、シアター間を移動させることはできます。

●RealD方式

この方式のメガネはちゃちで使い捨てです。ワーナーマイカルシネマズですとお客さんに配っていますので、家に持って帰れます。この方式は円偏光という光の屈折を利用していまして、メガネは単純に偏光板が付いているだけの激安品です。このメガネで右目用と左目用に別の偏光板を使っているために、違う映像が見えて立体視が出来ます。
この方式の利点はなんと言ってもメガネのコストが安いことです。またXpanDのような特殊なプロジェクタ設備が必要ありません。ただし、スクリーンだけは「シルバースクリーン」という反射率の高い綺麗なスクリーンを設置する必要があります。このため、RealDを採用する場合、シネコン内の特定のシアターが「3D用」になります。別に2D映画でもシルバースクリーンに映りますが、3D映画はそこだけでしか上映出来なくなります。
一方で観客側にはあんまり利点はありません。画面は比較的暗めですし、なんと言っても色調がだいぶ落ちてしまいます。なので色あせたグレーっぽい映像になってしまいます。さらに、光の屈折を使う関係上、シアターの端っこの席で見た場合、上手に3D映像になってくれません。壊れたテレビのように二重に見えてしまいます。
利点を挙げるとするならば、比較的大きなスクリーンを使えることと、ちゃちなメガネが功を奏して普段からメガネを使用している人でも「重ね掛け」が容易なことです。あとはメガネが軽いので小さいお子さんに向いてるというぐらいでしょうか?
いずれにせよ、本方式で観賞する際は出来るだけシアターの真ん中の席で、しかも真ん中・前よりで見るのがオススメです。逆に言うと一番後ろの端っこで見てしまうと、下手すれば映像が上手く見えない可能性もあります。

●Dolby3D方式

最後にDolby3D方式ですが、この方式はXpanDにかなり近い方式をとっています。色調が高速で切り替わる映像を使って、デジタルプロジェクタで映します。メガネには電池が入っていて、XpanDと同様にリモコンの要領で高速切り替えをします(←2010/01/07訂正:誤りです。切り替えではなく左右違う色調フィルタを使った画像の分離を行っています)。特徴もXpanDと同じなのですが、違いは色調の損失が少ないことと大きなスクリーンにも映せることです。ただし、映画館に設備投資で負担が掛かりますので、いまいち日本では普及していません。

IMAX 3D

さて、方式の紹介の最後に、IMAX 3Dを入れておきましょう。IMAXはいわずもがなの「IMAX社」の専用シアターでのみかけることの出来るものです。こちらの概要はRealDとほぼ同じです。ただし、IMAXという設備自体に大きな特徴がありまして、音響が良く大音量で、映像明度が高く(明るい)、IMAX専用のフィルム(いわゆるディレクターズカット版)を使用します。よって3Dの方式としては向かうところ敵なし、すくなくとも現状では観客視点ではベストチョイスです。しかし難点もありまして、単純に映画館がIMAX社と結ぶライセンス料が高すぎることと、そのせいで一般入場料も高いことです。昔はいくつか大きなIMAXシアターがあったんですが、ライセンスの問題で皆が撤退してしまいまして、気付いたら109シネマズしかありません。
ですが、先ほどの「IMAX専用フィルム」というところが決め手で、私はよく109シネマズ川崎のIMAXシアターに通っています。要はIMAXでしか流れないシーンがあったりするので、いかざるを得ないわけです。また、メガネがゴーグルのような形をしているため、近眼メガネとの重ね掛けが容易です。近眼の私にはうれしい仕様です。

★ 3Dシアター選びのオススメ

さて、いよいよ肝心の選び方です。ここからは「方式とか言われても良くわかんな~い♥」という方に質問形式でオススメします。

Q1: 3D映画を出来るだけ安く見たい

もしあなたがレイトショーでも構わなければ、TOHOシネマズのXpanDに行きましょう。3D映画はレイトショー割引がないところが多いですが、TOHOシネマズはレイト割引が適用されるため他の映画館よりも安く見ることが出来ます。

Q2: とにかく良い環境で見たい!

あくまでも個人的な意見ですが、映像の美しさor見やすさでいえば

  1. IMAX
  2. 大スクリーンのXpanDでかつ真ん中の席
  3. 大スクリーンのRealDでかつ真ん中の席
  4. 大スクリーンのXpanDでかつ端っこの席
  5. 小スクリーンのXpanD(場所問わず)
  6. 小スクリーンのRealDでかつ真ん中の席
  7. 小スクリーンのRealDで端っこの席
  8. 大スクリーンのRealDで端っこの席

といった状況です。
ただし、メガネをかけている方は注意を!!! Q3を参考にしてください!!!

Q3: 普段からメガネを使ってるんですが、3Dメガネってかけられますか?

あなたがお使いのメガネが「鼻パッドの低いセルメガネ」であれば、どの方式でも問題なくかけることが出来ます。ただし、金属フレームのメガネや、大きめの縁のベッコウ・メガネみたいな物をかけている場合、まず「Real D」と「IMAX 3D」以外のメガネは掛けられないと思ってください。行ったことが無い方には想像しづらいほど、XpanDやDolby 3Dのメガネは分厚くて大きいです。どうしてもXpanDを体験したい方は、コンタクトレンズかセルメガネを用意しましょう。
私は普段はチタンフレームを掛けていますがXpanDの時だけセルメガネを掛けています。

Q4: 子供を連れて見に行きたいんですが、どれが良いでしょう?

これは非常に難しい問題です。RealDには子供用の小さいメガネが存在していますが、日本ではほとんど採用されていません。(2010/01/07追記:ワーナーマイカル系列では子供用メガネの貸出を行っている施設があるようです)またXpanDやDolby3Dの場合、おそらく頭の大きさが合わずにずり落ちてきてしまいます。最悪の場合、ずっと手でメガネを押さえている必要があります。これは痩せている大人の女性にも言えることです。頭の大きさばっかりはどうしようもありません。強いて言えばメガネが軽くてずり落ちにくいRealDでしょうか?
また、特にお子さんがメガネを掛けている場合、ハッキリ言って快適に見られる環境はありません。この場合はXpanD方式でシアターの前寄りに座りましょう。少し見上げる位置ならば、メガネの重さも手伝ってずり落ちにくくなります。
苦肉の策として、スポーツ用品店で売っているテニスなんかでよく見るヘアバンドを使う方法があります。映画を見てる時だけならば見た目もあんまり気になりませんから、是非検討してみてください。

Q5: 日本語吹き替えと字幕

これは個人の趣味ですが、、、私は字幕の方が好きです。ただしRealD方式で字幕だった場合、チラつきで船酔いしてしまうケースがあります。3Dで字幕映画を見る場合は極力IMAXか大きめのXpanDで見ることをオススメします。

★ まとめ

どの方式も一長一短があってなかなか断言はしづらいのですが、やはりシェア通りXpanDの方がRealDよりも優位点が多いと思います。
いずれにせよ、3D映画は今のところ映画館だけの貴重な体験ですから、是非見て体感してください。
そのうち家庭のテレビでも3D映画が見られるようになって欲しいですね。頑張ります(笑。

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スノープリンス 禁じられた恋のメロディ

スノープリンス 禁じられた恋のメロディ

今月に入って仕事の関係で全然映画が見られていないので「スノープリンス 禁じられた恋のメロディ」で癒されてみようかと思ってみました。

評価:(5/100点) – 岸恵子の無駄使い

【三幕構成】

第1幕 -> 早代ばあさんの元に封書が送られてくる。
 ※第1ターニングポイント -> 草太が秋田犬を拾い「チビ」と名付ける
第2幕 -> 草太とチビと早代とキタサーカス
 ※第2ターニングポイント -> じいちゃんが倒れる
第3幕 -> じいちゃんの死と草太の最期


【あらすじ】

ある日、一人暮らしの早代の元に封書が届く。そこには早代が子供の頃に好きだった草太との日々が綴られた原稿が入っていた。後日訪ねてきた老人から、原稿は草太の父が書いた物であり老人は草太の異母兄弟だと明かされる。老人は途中で終わっている文章が気になり、登場人物である早代に結末を聞きに来たのだ。
早代の孫娘も催促する中、彼女は草太の最期を語り始める、、、。


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【感想】

K・U・S・O・E・I・G・Aです。いろいろツッコミどころがありますが、まずは個別論に行く前に本作の概要から考えてみましょう。

「スノープリンス」の狙い

本作は、早い話がジャニーズのJr期待の星・森本慎太郎君をいかに売り出すかの一点のみに心血をそそいだアイドル映画です。アイドルにとって銀幕の初主演作というのは大変な意味を持ちます。ウケればアイドルのおかげ、コケればアイドルのせいです。
森本君の相方には「ちりとてちん」で活躍した劇団子役の桑島真里乃ちゃんが起用されています。
話の内容は典型的なお涙頂戴もので、別に「フランダースの犬をモチーフにしました」なんて言わなくても健気で純朴な少年を愛でるだけのよくある話です。ディテールとしては全く悪くはありません。ものすごく人の良い貧乏な少年が犬を拾って育てつつ悲劇に逢う。結構じゃないですか。ついこないだ「なくもんか」で「貧乏、動物、子供は泣けるドラマの三大要素」という苦笑ものの酷いセリフがありましたが、もろにそのまんまです。
逆に言えば、制作者の志もその程度の映画ってことです。

本題のツッコミ所

さて本題に入ります。観ていて一番に気になるのは語り口の混乱です。このロジックは「ゼロの焦点」の時に触れましたのでそちらを見ていただくとして、要は「今スクリーンに映っている映像はなんなのか?」がさっぱり分からないんです。原稿を読んでいるシーンであれば、それは草太の父が書いた物の筈です。だったらサーカス団がくる前の話が書いてあるのは明らかにおかしいです。さらに父の登場しないシーンが山程出てきます。
さらに最終盤で原稿が終わった後は早代の回想になるわけですが、ここでも早代の知るはずが無いことが次々にスクリーン上に展開されます。
これを普通に(=常識的に)解釈すると、序盤~中盤にかけての「父が登場しないシーン」は草太から聞いた話の断片からふくらませた話です。さらに終盤のシーンは早代が美化して都合良くアレンジした思い出話です。
追加するなら、本作に登場する草太の心情表現はすべて父ないし早代というフィルタがかかったものです。
そんなわけで、見ているとどんどん早代が嫌な奴に見えてしまうんです。だって「あの子は貧乏だったけど心は清かった」「貧乏なあの子が好きだったからビスケットをあげた」「あの子はおじいさんが死んだ後は私に絵を渡すことに必死だった」etc。
書いてて腹立ってきたんでこの辺にしますが、草太が純真無垢な素晴らしい少年に描かれれば描かれるほど、それが現実離れしていけばしていくほど、この父or早代のフィルタが露骨に見えてしまいます。残念な話です。
ちなみに森本君と桑島ちゃんはそれほど悪い演技では無いです。すくなくともTAJOMARUに出てた子役3人よりは何倍かマシです。将来楽しみかはともかく、ジャニーズの巨大パワーを遺憾なく発揮していただいて是非次代のスターになっていただければと思います。
あと当たり前ですが岸恵子もすばらしいです。出番は少ないですが、彼女の柔らかく品のある佇まいのおかげで早代への反感は確実に減少しています。
最後に、これは改めて再確認したことですが、私は香川照之さんと浅野忠信さんの演技プランが嫌いです(苦笑)。この2人が出ていた映画で良かったと思った作品が皆無です。「SOUL RED 松田優作」の時に何となく感づいてはいたのですが生理的に無理。両名のファンの皆さんすみません。たぶんこの2人の印象で、個人的な作品の全体評価が相当下がってると思います。

【まとめ】

本作は、ショタコンやロリコンのみならず岸恵子萌えまでカバーするという、あらゆる意味で生粋のアイドル映画です。
はっきり言ってすっごいつまらないですが、でも森本君がこの後も事務所猛プッシュを受けられれば、たぶん10年後に話のネタぐらいにはなると思います。ですので見に行って損はありません。万馬券を買うような気持ちで1800円をどぶに捨てられれば、オススメです!
ちなみに観客は女性ばっかりなのかと思っていたのですが、予想以上に「いかにもオタク」な男性2人組が目立ちました。ロリコン業界には疎いんですが、もしかして桑島ちゃんって結構メジャーなんでしょうか?
いまいち「森本ー桑島 間」のパワーバランスが分かりませんで、、、。
ひょっとするとメジャー・桑島ちゃんが新人・森本君を引き上げている構図だったりして、、、。それだとちょっと話が変わってくるんですよね。完全に森本君に場を持ってかれてるので。


追記(2009/12/16)

なんか興行的にかなり塩っぱいことになっているようです。もしかしたら森本君も見納めでしょうか。ご愁傷様です。
でも大丈夫。ジャニーズに代わりはいくらでもいるもの、、、芸能界は残酷ですね。

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