キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争

キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争

本日は2本です。1本目は

キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争」です。

評価:(15/100点) – 犬可愛い。猫可愛い。でもそれ以上では、、、。


【あらすじ】

猫の秘密組織「ミャオ」に所属していたキティ・ガロアはミッション中に番犬に襲われて除毛液に落ち全身の毛を失ってしまう。飼い主からも捨てられたガロアは犬への復讐のため、独自の音波を作成、衛星を通じて全世界の犬を狂わせようと計画する。
キティ・ガロアの謀略を阻止するため、今、仇敵であった犬と猫が手を組む、、、。ついでに鳩も、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ディグスの失敗。
 ※第1ターニングポイント -> ディグスが全世界犬司令部に招かれエージェントになる
第2幕 -> シェイマスとガロアの捜索
 ※第2ターニングポイント -> ガロアの居所が分かる。
第3幕 -> 遊園地での決闘。


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【感想】

本日の1本目は「キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争」です。これもお客さんがほとんど入っていませんで、私以外は子連れ親子が2組居ただけでした。
非常に簡単に言いますと、これは動物を使ったスパイ大作戦のパロディです。のみならず、タイトルはスターウォーズのパロディ(原題の副題がThe Revenge of Kitty Galore = SW ep3の「The Revenge of Sith」)だったり、オープニングが「カジノ・ロワイヤル(2006年版)」以降のボンド映画のパロディだったり、除毛液に落ちるところは「バットマン(1989/ティムバートン版)」でジャック・ニコルソンが漂白液に落ちてジョーカーになる所のパロディです。そのほかにも「羊たちの沈黙」のレクター博士もどきの猫だったり、空中戦はちょっとロボコップorアイアンマンっぽさもあります。
ということで、本作の話自体は行き当たりばったりで下らないのですが、犬や猫が有名作品を再現してくれるという動物好きにはたまらない作品です。逆に言えば、映画として見に行くと痛い目を見ますw あくまでも犬猫が名場面を再現するだけの動画集です。
見も蓋もないことを言いますと、これ要は「親指スターウォーズ」とか「最終絶叫計画」とかと同種の映画で、それの物凄く出来が悪いものです。
なので、犬好きにのみオススメいたします。猫はかなり悪く描かれますので、猫好きには耐えきれないかも知れません。

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NECK

NECK

昨日の3本目は

「NECK」です。

評価:(2/100点) – 涼しいどころが寒気を感じるホラーコメディ(?)。


【あらすじ】

真山杉奈は大学院生にして天才科学者である。彼女はおばけを生み出すのは人間の恐怖であるという仮説を元に、頭の上だけ外に出す箱「ネックマシーン」を開発する。杉奈に告白してきたアメフト部の首藤友和を実験台にするが、実験は失敗してしまう。怖さが足りないと考えた杉奈は首藤の知り合いのホラー作家・越前魔太郎を紹介される。しかし魔太郎の正体は杉奈の幼なじみの古里崇史だった。
魔太郎は杉奈を心底から怖がらせるために死んだ人形師の別荘へと向かう。

【三幕構成】

第1幕 -> 幼少期の思い出。。
 ※第1ターニングポイント -> 杉奈と首藤の実験開始。
第2幕 -> 魔太郎と人形師の別荘。
 ※第2ターニングポイント -> NECKマシーンからおばけが出てくる。
第3幕 -> おばけ退治。


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【感想】

土曜の3本目はNECKです。公開初日で舞台挨拶直後のブルグ13で見ました。驚くほど人が入っておらず、87席で7人しか見ていませんでした。初日にこれは相当です。
あんまり詳しく書くのもバカらしいぐらいの出来なんで、さらっと流したいと思いますw 本気の怒りはこの後の作品に取っておきますw
すごく端的にいいますと、本作はコメディとしてのホラーを完全にバカにしています。このブログでも「ホラーとコメディは紙一重」という事を散々書いていますが、それは本気で怖がらせようとしたり登場人物達が本気でテンパった時に出てくる変な脳汁みたいなものなんです。要は「ほら、面白いでしょ~?ホラー風のコメディだよぉ~。」ってすっごい舐めきった中途半端な物を出されても、それは笑えないどころか薄ら寒くしかならないってことです。
そもそもからして、この「NECKマシーン」というギミック自体が非常にコント的な小道具でしかないのが最悪です。ここは何でもいいからこじつけみたいな理屈を付けてガジェットとして説得力と胡散臭さを持たさなければ駄目です。それなのに、理屈もグラグラなら勢いも無いため、言うなればコントの小道具を紹介されたようにしか見えないんです。この時点で完全にアウトです。
さらには出演者全員のとてもわざとらしいオーバーリアクションがリアリティラインをグダグダにします。別に杉奈が天才であることを表すのに教授が頭を下げて研究の手伝いを求めてくるというエピソードは良いと思うんです。でもそれが、教授の部下20人ぐらいがそれぞれ定食を貢ぎに来るという光景だけで、「この映画は細身の女性が20人前の定食を平らげるリアリティなんだ」としか見えないんです。この時点でもうお化けが出ようが何が来ようがどうでも良くなってきます。
要は、この作品は「怖さ」に対してとても無頓着で雑で舐めきってるんです。「もとから怖がらせる気はなくてドタバタコメディだからいいんだよ」と言われてしまうかも知れませんが、だったら何故出来損ないの怪談話を30分近くモノローグで語らせるんでしょう? それをやるなら監督も脚本家も稲川淳二のDVDを100万回見直してこい!!! 適当にモノローグで語らせれば怪談になると思ったら大間違いです。
そして後半の心底下らない展開には、本当に開いた口がふさがりませんでした。これが面白いと思っている関係者は二度と映画の企画をやらない方が賢明だと思います。センスがなさ過ぎるし、まったくコメディになっていません。
結局、本作に関してはこの「目的の無さ」がある意味一番の恐怖です。「なんで杉奈さんはお化けを作りたいんですか?」「ん~、なんとなく。」という糞みたいな会話が全てを物語っています。
「どうしてこの映画を作ったんですか?」「ん~、なんとなく。」、、、、
もうね、、、こんなもん拡大公開するなって、、、。
残念ですが、なんの価値もありませんので、100円レンタルでさえ回避するのがオススメです。

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シークレット

シークレット

本日の2本目は韓国映画

シークレット」です。

評価:(30/100点) – サスペンスとしてはどうかと思うほど適当。


【あらすじ】

キム・ソンヨルは刑事である。ある日の朝、ソンヨルの妻ジヨンは何時にもまして正装をして家を出て行く。深夜0時近くになって戻ってきたジヨンは、片耳のイヤリングを無くし、シャツには血痕がついていた。問いただすソンヨルにジヨンはなにも答えない。翌日、マフィアのボスの弟・ドンチョルが刺殺され発見される。現場にはジヨンのなくしたイヤリングとブレザーのボタンが落ち、ワイングラスにはジヨンの付けていた紫の口紅が付いていた。妻が殺したと判断したソンヨルは必死に証拠を隠そうとする。一方その頃、ドンチョルの兄・ジャッカルは怒り心頭で犯人の独自捜査を始めていた、、、。


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【感想】

本日の2本目は韓国映画の「シークレット」です。本日公開ですが、全く話題にもなっておらず映画館もガラガラでした。
本作はある意味「瞬 またたき」と同じフォーマットを持っています。ドンチョルが殺された瞬間が最後の最後まで明かされず、その空白の時間を巡ってソンヨルが右往左往していきます。いわゆる巻き込まれ型のサスペンスなんですが、本作で問題なのは、謎が謎じゃないという部分なんです。というのも、真相はジヨンが知っているわけで、単に喋らないっていうだけなんです。極端な話、重要参考人としてジヨンを警察に呼んで取り調べれば10分ぐらいで映画が終わります。
ですが本作ではそこを根底にして、脅迫者(ピエロ)とジャッカルとソンヨルと同僚チェの4者が独自の思惑で動き始めます。そしてストーリーはどんどん横滑りしていき、気付いたら殺人事件はどこかへいってしまい麻薬バイヤーの話になっていきます。
実は本作を見ていて、すごく伊坂幸太郎映画っぽいと思いました。気が利いてるようで実はグダグダな伏線の張り方だったり、メインストーリーであったはずの所からどんどん関係無い話にずれていく感じがすごく似ています。そして、物語で写る部分以外が雰囲気だけというのも共通しています。ネタバレになってしまいますが、劇中でもう一つ分かりやすい殺人事件があるのにそれが何の捜査もされていないんです。そちらは完全な衝動殺人で、それこそ指紋や目撃者が沢山いるような状況です。でも劇中では完全スルー。いいのかそれで、、、。
結局、本作がやろうとしているのはとても入り組んだ「パズル型サスペンス」なんです。でも全然出来ていない上に、そもそもの話すらとっちらかってしまいます。残念ですが、お世辞にも出来が良いとは言い難い映画でした。
本作で唯一良いところは、韓国の警官は汚職が当たり前という部分です。他の韓国映画でもよく出てくるんですが、こういう自国の汚点を普通に映画に入れてしまえるというのは韓国独特の感覚だと思います。恥だと思ってない感じw
オススメはしませんが、もし時間とお金が余っていて映画館の椅子に座ってのんびりしたい方には良いかも知れません。

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特攻野郎Aチーム THE MOVIE

特攻野郎Aチーム THE MOVIE

本日は3本です。1本目は

特攻野郎Aチーム THE MOVIE」を観てみました。

評価:(75/100点) – 脚本?辻褄? こまけぇこたぁいいんだよ!!!


【あらすじ】

ハンニバル大佐率いる特殊部隊Aチームは、モリソン将軍の命令を受けイラクのゲリラが持つ偽ドル札の原版の奪取作戦を行う。見事作戦は成功したが、原版受け渡しのまさにそのとき、モリソン将軍のバンが爆破され傭兵のパイクに原版を奪われてしまう。罪を押しつけられたAチームは懲役刑を負ってしまうが、半年後にCIAのリンチ捜査官の手引きで脱獄。名誉を回復するために、パイクと原版を追う。

【三幕構成】

第1幕 -> Aチームの結成と偽ドル原版奪取作戦。
 ※第1ターニングポイント -> Aチームが懲役刑を受ける。
第2幕 -> 脱獄とパイクの追跡
 ※第2ターニングポイント -> Aチームが再び裏切りに会う。
第3幕 -> 港での決戦。


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【感想】

本日の1本目は「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」です。ご存じテレ朝での超人気シリーズ「特攻野郎Aチーム」の前日譚的な内容です。
非常に多くのお客さんが入っていたのですが、意外にも若い人が多かったように思います。オリジナル版は私も結構リアルタイムギリギリでして、途中からは覚えていますが最初の方は後からDVDで見たように思います。
本作は非常に評価しづらい部分があります。というのも、単体の映画として見た場合は話が相当雑なんです。編集的に変な所もありますし、それ以上に作戦の進め方というのが唐突だったり余計だったりという部分が多々あります。
ジェシカ・ピール演じるソーサが何がしたいかさっぱり分からなかったり、そもそも軍事法廷に掛けられるための証拠がまるでないため全然ハメられたことになってなかったり、微妙は微妙です。
とはいえ、オリジナル版にあった水戸黄門的なお約束はバッチリ入っています。銃も車も昔のままで登場しますし、コングへの睡眠薬投与やクレイジーモンキーの脱獄など愉快なシーンをきっちり踏襲してくれます。そして。男4人がお互いに助け合って悪党を懲らしめていくという「男子チームもの」としては大変よくはしゃげていると思います。
このワイワイキャッキャした感じが曲者軍団Aチームの一番の魅力であるのは間違いありません。
ただ、、、ただですね、、、今回のAチームはバリバリに敵を殺します。どうしてもハリウッドの大作アクション映画としては仕方が無いのかも知れませんが、オリジナルでは人を殺さずに「懲らしめる」というのがAチームの痛快さだったはずです。もちろん今回はテレビ版より悪党もスケールアップしていますから、なかなか懲らしめるだけで終わらせるのは難しいかも知れません。それでも、もう少し配慮が欲しかったかなとは思います。あくまでも「ならず者」ではなく「ちょっとおどけたプロ集団」というところがAチームのAチームたる所以なんですから。

【まとめ】

決して単独で出来の良い映画ではありませんが、テレビシリーズのファンであれば間違いなく一見の価値があります。ラストで例のナレーション(俺たちは、道理の通らぬ(中略)助けを借りたい時は、いつでも言ってくれ!)が流れれば嫌でもテンションが上がります。そしてエンドロールの最後の最後で流れるAチームのテーマで、もはや心は80年代にタイムスリップです。
バカが好きな方、映画は火薬の量で決まると思う方、そしてホモソーシャルが好きな方にはオススメです。

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瞳の奥の秘密

瞳の奥の秘密

木曜は久々のレイトショーで

瞳の奥の秘密」を見てきました。

評価:(90/100点) – 傑作ロマン・サスペンス


【あらすじ】

検察官として活躍したベンハミン・エスポシトは定年を迎え、小説を書いて老後を過ごすことにした。彼が真っ先に書こうと思いついた題材は25年前に担当した婦女暴行殺人事件であった。彼はかつての上司にして才女イレーネ・メネンデス・ヘイスティングスを訪ね、書き連ねた文章を見せていく。それは愛と正義と政治の渦巻く悲しい物語だった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 婦女暴行殺人
 ※第1ターニングポイント -> エスポシトがリリアナ・コロトの写真アルバムを見る。
第2幕 -> イシドロ・ゴメスの捜索と結末
 ※第2ターニングポイント -> エシポストが事件を再捜査する。
第3幕 -> 解決編。


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【感想】

さて、8月はここまで全然映画が見られていないんですが、久々にレイトショーに行ってきました。タイトルはアルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」。本年度のアカデミー賞外国語映画賞受賞作品です。完全な単館映画ということもあってか、かなりの観客が入っていました。

作品の概要

本作はミステリー仕立てのロマン映画です。定年を迎えたエスポシトが、自分の人生を振り返るようにかつて担当して完全解決に至らなかった殺人事件を回想していきます。そして事件は意外な方向に転がっていき、アルゼンチンの政治情勢とも絡んで大きな流れへと発展していきます。
一応本作を見る上で必要となるアルゼンチンの歴史をざっと復習しておきましょう。
本作の回想シーンの舞台となる1970年代後半のアルゼンチンは1976年のビデラ将軍の軍事クーデターに端を発する超極右的軍事政権のもとで極端な左翼狩りが行われていました。本作で登場するある男は、この左翼狩り要員として雇われることによって特赦を受けます。そしてこの時代のアルゼンチンは決定的に官の腐敗が進行しており、ほとんど何でもありの無法状態となっています。
本作の主人公であるエスポシトとイリーナは、そんな状況下でも職分を越えて正義を貫こうとします。彼らは無茶な捜査で犯罪まがいの事も行いますが、徹底的に善人として描かれます。そしてここに「身分違いの恋」による甘酸っぱい思い出がプラスされるわけです。エスポシトは正義感や道徳心が強く、特に女性に対してはかなりの奥手です。劇中でなんどもイリーナがサインを送りますが、このヘタレはまったく踏み込みません。その純情さが、やがて遺族の夫・モラレスの狂信的なまでの妻への愛に重なっていきます。そしてエスポシトとモラレスとの共感関係が、互いの人生を変えていきます。
本作はすべての要素が「愛憎」によって巻き起こります。さすが情熱のラテン系w 特にタイトルにもなっている瞳が本作では「外からでも心が見えてしまう場所」として大変重要な要素になっています。エスポシトは写真の中の視線でもって物証も無しに犯人のあたりを付けますし、イリーナはイシドロが取調中に自分の胸を凝視しているのを見て犯人だと確信します。そして判事は保身とプライドのために犯人と司法取引を行います。
その全てが、あるタイミングで一時停止し、そして人生の終わる直前に一斉に再始動します。全体的にはB級サスペンスな作りをしているんですが、その悲哀というかロマンスの部分が本作をとても素敵な作品に押し上げています。

【まとめ】

猟奇殺人が出ると点数が甘めになってしまうんですが(笑)、本作は大変よくできた”文芸作品”だと思います。話の内容がそこまであるわけではないですし、謎解きがどうこうという事でもありません。ただただエスポシトとイリーナにうっとりしながら、パブロで笑って、モラレスで涙する。そういう類の”良質な文芸作品”です。
で、なんでカッコつきで「文芸」というかと言いますと、正直面白い事は面白いんですが、すごくもったいない気もするんです。というのも、本作はやろうと思えばそれこそデヴィッド・フィンチャーの「ゾディアック(2007)」みたいな「傑作捜査チームもの」にも出来たはずなんです。でもそこはやはりラテン系なのか、どうしてもロマンスの方にどんどん寄っていってしまいます。だから、犯罪捜査物としてはあんまり出来が良くないんです。あくまでも文芸作品、もっといえば「毒にも薬にもならないけどなんとなくおしゃれな雰囲気にはなれる映画」としての良作です。
ですので、デートにはぴったりですし、夫婦で休日に見に行くにもぴったりです。
あくまでもアルゼンチンの政治闘争等を深く考えずに、さらっと良い雰囲気を楽しむのがオススメです。

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魔法使いの弟子

魔法使いの弟子

遅くなりましたが、先週末は一本、

「魔法使いの弟子」をみました。

評価:(20/100点) – ファンタジアの何所をみるとこうなるのか。


【あらすじ】

デイヴは小学生の時、迷い込んだ怪しげな骨董屋でドラゴンの指輪をもらう。それから10年後、彼の前にかつて骨董屋で出会った魔法使いのホルヴァートが現れる。ホルヴァートは昔デイヴが路地に捨てたマトリョーシカを探していた。そのマトリョーシカの中には魔法使い達が封印されているという、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> デイヴとバルサザール
 ※第1ターニングポイント -> バルサザールが復活する。
第2幕 -> グリムホールドを巡る争い。
 ※第2ターニングポイント -> ホルヴァートがグリムホールドを手に入れる。
第3幕 -> モルガナの復活


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【感想】

遅くなりましてすみません。先週末は1本、魔法使いの弟子を見ました。夏休みって食べられるの?
本作はニコラス・ケイジがプロデューサーで、彼の主演作・ナショナルトレジャーのスタッフを集めて制作されました。それだけで強烈な「俺様映画」なわけですが、なんでこれがディズニーなのか良く分からないほどとてつもなく低いレベルの子供向け映画になっています。
一番初めにツッコまなければいけないのは、キャラクターの命名に見られる強力な中2病センスです。いわずもがなのアーサー王伝説に出てくるマーリンとモルガン、そしてアーサー王の象徴であるドラゴンをあしらった指輪。マーリンの弟子が、バルタザール(東方の三賢者)、マクシモス(証聖者)、ヴェロニカ(ゴルゴタの丘でイエスにタオルを貸した人)。さらに主役がデヴィット(ダビデ/旧約聖書の古代イスラエルの王様)、ヒロインがレベッカ(リベカ/ヤコブの母/全イスラエル人の母)。
全部アメリカなら小学校高学年~中学校ぐらいで習う格好いいキリスト教的有名人です。このすさまじく臆面の無いネーミングセンス、、、凄すぎるw
でまぁ話自体はなんてことはなく、いつも通り少年に「君は伝説の勇者だ!」ってな具合に白羽の矢があたり、別段苦労するでもなく覚醒して「俺ってサイキョー!イェーイ!!!」とはしゃぐだけの下らない話です。今回は一応気休め程度ですが師匠と弟子の特訓シーンが入ります。その意味ではハリー・なんちゃらよりはマシではあるのですが、しかし結局それ自体があんまり役に立たないというか、なぜか突然覚醒してメチャクチャ強くなってしまうため特訓の意味がありません。甘やかし過ぎ。
しかも今回の主人公は完全なナードなためあまり華がありません。このあたりはカツラでフサフサになったプロデューサー様が一番格好良く写るための絶妙なキャストです。しかもプロデューサー様の恋人役が絶世の美女/イタリアの宝石・モニカ・ベルッチで、ヒロインはほぼ無名のテレサ・パルマー。職権乱用しすぎw
とはいえ、元々本作の趣旨はファンタジアの中でミッキー激萌え展開を呼ぶ「魔法使いの弟子」パートを実写にするというものです。なので極端な話この「魔法使いの弟子」パートさえ上手く実写に出来ていればなんの問題もありません、、、、が、、、、出来てな~~~~いw
ファンタジアの「魔法使いの弟子」が素晴らしいのは、ミッキーが手抜きをしようとして魔法で掃除してたら眠っちゃって洪水になっちゃってさぁ大変という「ドジっ子萌え」にあります。そして気付いたミッキーが取り繕うために魔法でモップ達を止めようとした結果、まるで満天の星空のように泡が舞って幻想的な風景が展開されるわけです。
「魔法使いの弟子」パートの肝は、ミッキーの可愛らしい失敗と、それを収めようとした結果に起こる奇跡的に美しい光景にあるんです。
ところが本作ではそこが全く出来ていません。そもそもからして本作で起きる失敗はデイヴの力量不足によるもので、しかも手抜きではなく彼女が来てしまうから早く片付けないといけないという必要に迫られたものです。さらに、デイヴはうっかり寝てしまうのではなく、シャワーに入ってやる気満々で目を離しただけです。全然ドジじゃありません。ただの馬鹿です。しかも止めようとして魔法を追加するのではなく、単にあたふたしてるだけです。こんなので音楽だけ「魔法使いの弟子」を流されても全然乗れません。

【まとめ】

子供向けのファンタジーというにはあまりにもレベルが低く、ファンタジアのファンが期待していくにはあまりにもファンタジアへのリスペクトが足りません。残念ですが、本作を見に行くのであれば、ファンタジアを借りてきて見た方が100倍面白いです。それにしてもファンタジアの中で唯一ディズニーキャラクターが出ている「魔法使いの弟子」を使ってこれかと思うと悲しくなってきます。いっそのこと「はげ山の一夜」を使って実写のゾンビ映画にしたほうが面白かったかも知れません。

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ザ・ホード 死霊の大群

ザ・ホード 死霊の大群

2本目はアート系映画の鬱憤晴らしw

「ザ・ホード 死霊の大群」を観てきました。

評価:(35/100点) – よくある脱出系ゾンビ映画の凡作。


【あらすじ】

とあるフランスの郊外、警官の一人がナイジェリア人ギャングの兄弟に殺されてしまう。彼の仕事仲間や不倫相手の一行4人は復讐のためギャングのアジトを襲撃する。しかしギャングに囚われてしまい、リーダー格のジメネスは射殺されてしまう。しかしその時、別の死体が急に暴れ始める。外には咆哮が響き、一行はゾンビの大群に襲われることになる。果たして彼らはアパートから脱出することができるのか?

【三幕構成】

第1幕 -> アジトの襲撃
 ※第1ターニングポイント -> 便所の死体が急に襲ってくる。
第2幕 -> ゾンビからの逃走と脱出手段の模索。
 ※第2ターニングポイント -> レネと出会う。
第3幕 -> 地下からの脱出。


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【感想】

さて、アート系映画で眠くなった頭を戻すべく、2本目は「ザ・ホード 死霊の大群」です。近年流行っている「動きの速いゾンビ」の最新型で、おしゃれとスプラッタの国・フランスからやってきました。ジャンル映画な上に公開からも結構時間が経っていますので、さすがのシアターNでもガラガラでした。
いきなりですが、本作はいわゆる「脱出型モンスター映画」のフォーマットに非常に忠実です。というかとても基本的で捻りが無く平凡です。近作ですと「斬撃 -ZANGEKI-」が一番近いでしょうか。なんらの理由でゾンビが増えてしまった世界で建物から脱出することを目的にサバイバルしていきます。ジャンル映画ですので、なんでゾンビが一杯居るのかとか、脱出した後どうするのかとか無粋なツッコミは無しですw きちんとお約束として戦闘力の高い助っ人も登場しますし、生き残るのが一番生き残りそうに無い奴というのもお約束です。
問題点があるとすれば、それはキャラの立ち不足と脱出プロセスのアイデア不足です。
せっかくサスペンス並に入り組んだ人間模様を設定しているのに、それが物語に全く活かされません。本作には対立する警官とギャングが対ゾンビで協力するという面白い設定があります。しかしこれですらロクに使われません。結局変な口喧嘩が頻繁に挟まるだけで、行動自体は普通の仲間です。
そして脱出プロセスについてもどうかと思います。というのも、ただただ曲がり角でゾンビを殺しつつ階段を下りていくだけなんです。裏道があるわけでもないですし、道無き道をアクションを駆使して進むこともありません。本当にただ階段を下りるだけ。これでどうしろというのでしょう、、、、。
とまぁここまでボロクソに書いているわけですが、決して完全な駄作というわけでもないと思います。というのも1カ所だけ褒めるべき所があるんです。それはゾンビのタフさに任せて過剰なまでに「ボコボコにする」描写です。とにかく本作に出てくる人間達は強く、当たり前のように素手でゾンビと渡り合ってしまいます。その時点でホラーとしては怖くないわけですが(苦笑)、一方でコントとして見ればこれが結構成立しています。以前「スペル」の時に書いた「お化けがぼけて人間がツッコむ」という関係性です。とくにオロールとグレコは相手が一人だろうが二人だろうが素手やナイフでゾンビをぶち殺していきます。2人で正面突破出来るんじゃないかと思うほど屈強に描かれています。この辺りはとても好感がもてる描き方です。
とはいえ、やはり物語の部分で残念なところがありすぎます。「俺がここを食い止めるからおまえら逃げろ!!!」という熱い展開を3回もやってしまったり、物語の1/3ぐらいが無意味な泣き言&口喧嘩であったり、どうにも作りが不細工です。決してつまらない作品ではないのですが、どうしてもジャンル映画としての「お約束」を理解していてそれが好きであることが前提となってしまいます。ですので、万人にはとてもオススメ出来ません。
今年はゾンビ映画豊作の年でうれしい限りなんですが、そういった文脈でのみオススメ出来るかと思います。そういえば散々前半で時間を使った不倫や妊娠の件はどこにいったんでしょうw その辺の適当さもジャンル映画ならではです。

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シルビアのいる街で

シルビアのいる街で

本日も2本です。1本目は

シルビアのいる街で」です。

評価:(60/100点) – ザ・単館なおしゃれ雰囲気映画。


【あらすじ】

男はカフェで女性客をスケッチ中にシルビアに似た女性を見つけ尾行する、、、。


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【感想】

本日の1本目は「シルビアのいる街で」です。2007年のヴェネチア映画祭のコンペ作品であり、2008年の東京国際映画祭でもワールドシネマ枠で上映されました。あいにく東京国際で見逃してしまっていたので、2年越しの初見です。話題の作品という事もあり、かなりお客さんが入っていました。とはいえ、渋谷のイメージフォーラムでは併映の「ザ・コーヴ」の方が入っていたようです。
実は本作は非常に感想が書きづらい作品です。というのも、いわゆるアート系の作品でして、話の内容自体がほとんど無いからです。それどころか台詞もほとんどありません。
話の骨格は、画家っぽいイケメンの青年が昼間からビールを飲んでオープンテラスで女性を物色中に、思い出のシルビアに似た女性を見つけストーキングするだけです。イベントとしては本当にそれだけ。一応3幕構成をしてはいるんですが、限りなく物語性が排除され想像に委ねるようになっています。映画として面白いのは、本作の過剰なまでの間(ま)の取り方です。極端な話、本作をまとめようと思えば5分の短編にすることも出来ます。しかしその稀薄な物語に対してほとんど無駄とも思えるほどの間を取ることで、観客は嫌でもスクリーンに引き込まれ想像を膨らませてしまいます。
そこで写されるのはカフェの様々な会話の断片であり、雑踏における生活の断片です。この物語はすべてが断片で出来ています。主人公の男の生活も、シルビアを捜す理由も、そして追いかけられる女性も、全て断片しか見せません。だからこそ観客は嫌でもそこに自分の思いを投影してしまいます。ですから、本作は夢見るおしゃれ志向の人であればあるほどすばらしい傑作に見えると思います。いうなれば「物語を語る映画」ではなく「物語を観客に作らせる映画」です。
なので、もしあなたが「片思い」「思い出の人」「おしゃれな街並み」「孤独なイケメン」といったキーワードにビビっと来るようであれば、本作はあなたの心を映して大傑作になってくれるはずです。まさしく正しい意味でのアート系映画であり90年代に流行った「ザ・単館映画」だと思います。
※余談ですが、もしよければ本作について書いている評論家さんや個人ブログを漁ると面白いかも知れません。上記のように本作を語ることは自分の内面・嗜好を晒すのとイコールです。書き手の性格がにじみ出てしまうはずですw 稀にある「書いたら負け」な映画ですw

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