十三人の刺客

十三人の刺客

2本目は

「十三人の刺客」です。

評価:(96/100点) – お帰り、我らの三池崇史! 悪趣味節全開の18番暴力映画。


【あらすじ】

江戸の中期、暴君・松平斉韶によって世は乱れていた。江戸家老・間宮図書の命を掛けた嘆願をも無視する斉韶の暴虐ぶりに、老中・土井利位は暗殺を決意する。暗殺者に選ばれたのは御目付役の島田新左衛門。彼は御徒目付組頭・倉永左平太を参謀に迎え、十人の有志と共に暗殺計画を練っていく、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 斉韶の暴虐ぶり
 ※第1ターニングポイント -> 新左衛門が暗殺を引き受ける
第2幕 -> 仲間集めと暗殺計画。
 ※第2ターニングポイント -> 落合宿に斉韶一行が来る。
第3幕 -> 戦闘。


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【感想】

さてさて、土曜の2本目は大本命「十三人の刺客」です。意外というか当然というか、若めのキャストが出ている割には観客の年齢層はかなり高めでした。
最近はアニメやマンガの実写化ですっかり毒気が抜けて「滑るギャグの人」みたいな扱いになっている三池監督ですが、新作はクローズシリーズ以来のホームグラウンドである暴力映画です。オリジナルは1963年の工藤栄一監督作「十三人の刺客」。13人で50数人と戦う集団戦で有名になった作品です。
宣伝でも「ラスト50分の戦闘」をことさら強調しているように、本作の見所は間違いなくラストの落合宿での決戦です。いうなればそれまでの90分は前振りのようなものです。しかし、決してネタフリだけで終わっているわけではありません。限られた時間の中で13人中5人に絞ってキャラクターを描写していきますし、特に敵役・斉韶についてはこれ以上ない悪として三池印全開の演出を見せてくれます。もっとも、本作は監督が得意とした往年のVシネマでは無いですから、直接的な残酷描写はほとんどありません。その意味では非常にポップな描写になっていますので、心臓の弱い方でもご安心下さいw

本作の難点

今回は絶賛しますので、先に難点だけ片付けてしまいます。とはいえ本作の難点はあんまりありません。140分という長丁場を高いテンションのままで職人的にきっちり見せてくれます。
ただ、前半実質60分程度で刺客のキャラクターを見せなければいけないため、どうしても描写は足りなくなってしまいます。もちろん松方弘樹に説明は不要なんですが(笑)、やはり松方が最初に連れてくる5人がデブの大竹以外最後まで誰が誰やらさっぱり分かりません。なので、最後の豪快に散っていくシーンでもあんまり感慨が浮かびにくくなってしまいます。
もう一つは三池崇史お得意の悪ふざけです。特に最終盤に出てくるある苦笑の展開で、どこまで本気で見ていいか良く分からなくなってしまいます。
最後にCGのショボさです。落合宿での戦闘ではかなりCGが使われているのですが、背中に火の付いた牛だったり、崩れ落ちる家屋だったり、かなり合成感の強い浮いたCGになっています。去年のカムイ外伝よりはマシですが、どうしても気にはなってしまいます。特に本作の場合は実際に大がかりなセットを組み立てて撮影しているわけですから、そこはCGを使わなくても良かったのかなとは思います。とはいえ、この過剰なサービス精神が三池監督のモットーですので、それほど嫌いではありません。ただ作品のトーンからはずれてしまっているように感じます。

本作の最高な点

とまぁツッコミはこれぐらいにしてべた褒めにいきましょう。本作で何がすごいかと言えば当然ラストの殺陣のクオリティなわけです。本作ではどちらかというと集団戦というよりは一対多数の殺陣を複数箇所で同時に行うような形になっています。志士達の絡みはそれほどありません。なので、実はこれ時代劇の集団戦というよりは、コーエーのTVゲーム「無双」シリーズのフォーマットなんです。一人で雑魚相手なら何十人でも余裕で倒せる強い名前付きキャラが、バッサバッサとその他大勢をなぎ倒しつつ、ボスと護衛を目指して突き進んでいきます。なので、本来であれば前半のキャラクター描写があればあるほど面白く見えるシーンではあります。
前述のように、本作では13人のキャラクターを全員描く事を最初から捨て、そのかわり主要人物に絞ってエピソードを挟んでいきます。ここはかなり思い切っていまして、松方弘樹と伊原剛志に関しては俳優の佇まいだけで説明無用と割り切り、そこに準主役の新六郎、槍使いの佐原平蔵、野人・木賀小弥太、若手の小倉庄次郎に絞ってエピソードを入れてきます。ですので、実際には13人というよりは7人+おまけで6人といった体裁になっています。
この殺陣につきましては、本当に素晴らしいです。特に松方弘樹。もう名人芸というか職人芸というか、松方さんのシーンは見ている間中テンションが上がりっぱなしでした。とにかく目線や歩き方一つでそのキャラクターの体力や精神の状況が一発で分かるんです。そして貫禄溢れる流れるような太刀捌き。本当に感動いたしました。斉韶を追い詰めるシーンの松方さんでちょっと涙出ましたもの。
そして刀の墓場での伊原剛志の見事な八相の構えからの二刀流。伊原さんと言えばご存じ千葉真一の門下でJACに所属、影の軍団シリーズの後半で二刀鎌の使い手・善九を演じていたわけですが、まさに当時を彷彿とさせるような二刀捌きでした。感涙です。
この”動ける2人”を筆頭に、山田孝之や伊勢谷友介も細かいカメラワークでのごまかしはあるものの、素晴らしいクオリティのアクションを披露してくれました。どれぐらい素晴らしいかと言いますと、主役の役所広司が一番もっさり見えたくらいのクオリティですw もちろん私も「三匹が斬る」は小学生の時から見ている大好きなシリーズなので、役所さんの示現流も大好物なんですが、今回はアクションシーンが少なく、良くも悪くも性格俳優的な立ち位置でした。
冷静に見ているとどう考えても明石藩勢は数百人単位で斬られているんですが(笑)、それもこれも監督のサービス精神と思えば気にもなりません。そりゃ千石と遠山の金さんと善九と芹沢軍団長を相手に200人足らずでは失礼というものですw 無双大いに結構じゃないですか。

薄いストーリーの中の芯

というように本作は殺陣が大変素晴らしいのですが、ではストーリーはと言いますとどうしても薄いと言わざるを得ません。そりゃ暴君を待ち伏せしてぶっ殺すだけの話ですから仕方が無いです。
しかし、本作では薄いながらもきちんと一本の芯が通っています。それは「平和な時代に生まれてしまった武士とはどうあるべきか」という問いです。
斉韶は暴君で頭が逝っちゃってますが、しかし彼は「平和な時代の武士」としてスリルジャンキーになってしまっているだけにも見えます。とにかく人を殺したり暴虐に振る舞うことで、日々の渇望を満たそうとしてどんどんエスカレートしていきます。
そして「武士」として活躍できないことに鬱屈を感じ、死に場所を求める島田新左衛門。彼もまた武士に相応しい死に場所を求めて勝ち目の薄い暗殺計画に積極的に参加していきます。もちろん民百姓のためという題目はあるものの、しかし彼を決定的に動かしているのはその「ヒーロー幻想」であり武士としての誇りです。だからこそ、最後である行動に出て自らの運命を決めるわけです。
一方で敵役として出てくる御用人・鬼頭半兵衛も武士として「主君を守る」事を貫くために、良心を殺して新左衛門に立ちはだかります。この半兵衛も、短い時間の中で「コンプレックスを持った苦労人」として描いてきます。
こうしてみてみると、悪役は斉韶一人だけで、そのほかは皆なにかしら筋の通った考えを持っているわけです。ストーリーを語る上で最小かつ的確なこのキャラ配置こそ、邦画黄金期の時代劇のレベルの高さを如実に表しています。
冒頭では合戦シーンまでを「前振り」と表現しましたが、決してネタフリでは無く、きちんと長編映画として合戦を魅せるための土台をきっちり積み上げる、価値ある濃縮された90分です。

【まとめ】

断言します。今年のシネコン上映の邦画ではダントツで面白いです。今年のベストテンに推す人がいても何ら不思議ではありません。何が良いって、落合宿での決戦の日の朝に志士達が横一列に勢揃いしてカメラに向かってくるシーンがあるんです。それだけで涙腺が刺激されまくりですw
悪い事はいいません。怖い描写が苦手だったり、血が出るのが苦手だったりしても全然問題ありません。とにかく、劇場でやっている今、大スクリーンでやっている今、この作品を見逃して映画ファンとは金輪際呼べません!!! 理屈はいいからとにかく家の近くで、なるべく大きな箱で上映している映画館を探してすぐ行ってください!!! 大プッシュでオススメします!!!

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ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士

土曜の3本目は

「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」です。

評価:(45/100点) – あれ?ちょっ、、、、、え!?


【あらすじ】

ザラチェンコを襲い瀕死の重傷を負ったリスベットは、強靱な生命力で大学病院へと運ばれ一命を取り留めていた。しかし対するザラチェンコもやはり生き延びてしまい、ニーダーマンに至ってはまんまと逃げ延びて潜伏してしまう。
一方その頃、ザラチェンコが裁判で過去を暴露することを恐れた秘密結社・特別分析班の創設者・エーヴェルト・グルベリは、ザラチェンコとリスベットの口封じを企む。そしてかつての捜査資料を元に国家の暗部へと近づくミカエル。首相からの勅令を受け公安内部の非公式結社の存在を捜査するトーステンとモニカ。特別分析班の息の掛かった検察をも巻き込み、舞台はリスベットの裁判へとなだれ込む、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 特別分析班の登場。
 ※第1ターニングポイント -> フレドリック・クリントンが特別分析班に復帰する。
第2幕 -> ミカエルとリスベットの調査
 ※第2ターニングポイント -> 裁判が始まる。
第3幕 -> 裁判とニーダーマン。


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【感想】

さて、昨日の3本目は「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」です。原題は「Luftslottet som sprangdes」なので「打ち砕かれた空虚な城」って感じなのですが、なんでこんな邦題になったかは良く分かりません。さすがに第2作が公開してすぐの続き物第3作ですので、そんなにお客さんは入っていませんでした。とはいえ、2作目がかなり良いところでぶった切られるので、見たら絶対に続きが気になる作品ではあります。
細かい前提はミレニアム2と同じなので割愛させていただきまして、いきなり本題に行きます。本作ではついに、ザラチェンコの所属していた組織が登場します。前作では思わせぶりで終わっていたんですが、今回でそれが国家ですら把握できていない秘密結社であることが分かります。そして、この”班”の連中達がリスベットをあの手この手で社会的に抹殺しようと企んできます。もちろん最凶ロリコン変態・テレボリアン医師も組織の手先です。そこをリスベットがどう切り抜けていくのか? そしてミカエルはどう援護していくのか? 壮大なリスベットの復讐劇の完結編です。
とか書くと面白そうに聞こえるんですが、、、正直ちょっと拍子抜けというか、、、なんかカタルシス不足を感じてしまいます。というのも、これは仕方が無いことなんですが、実は原作自体が作者の急死により中途半端に終わってしまってるんですね。原作では伏線を張りまくったのに続編が無いという大変微妙な事態が起きていますが、映画ではその伏線部分が綺麗さっぱりカットされています。その分、内容はリスベットと”班”との対決に絞られていてシンプルにはなっているんですが、一方でリスベットという稀代の名ヒロインの復讐劇としてはかなりショボイことになっています。いうなれば「僕らの旅がこれからだ!」エンドでして、ラストで晴れて自由の身となったリスベットがこれからミカエルと組んで大活躍するんだろうな、、、というちょっとした期待で終わってしまいます。本当に静かな終わり方でして、カタルシスはほとんどありません。リスベット物語の第一章で終わってしまったような感じです。もちろん、陰謀仕立ての法廷サスペンスとしては中の上ぐらいの出来ではあります。でも、やはり1作目で「現代のポアロか」ってくらいすばらしい「金持ち一家にまつわる謎を解く」という探偵物を高いレベルで実現し、2作目で「ピンチになったスーパーヒロインの意地と執念の逆襲」を見せてくれたシリーズとしては、ちょっとこの「まぁまぁよくできた法廷劇」では物足りません。
前作以上にミカエルとリスベットの連携が見られますし、よりプレイグ(疫病神)を巻き込んでの「チームもの」としての完成度は上がっています。それだけにもう一押し、せめて班の連中に対する復讐を見せて欲しかったです。いくらなんでも普通に逮捕じゃねぇ、、、。
一応申し訳程度に最後にアクションがあるんですが、それもあまりにショボすぎてむしろ要らないかなという位の感覚です。
惜しいです。

【まとめ】

もちろんシリーズ1作2作を観た方は絶対に行くべきですし、行かないと悶々として過ごすことになりますw また、完全に前作の続きですから、前作を見ずに本作だけ見るというのは限りなく無意味です。
リスベットは相変わらず良い味だしていますし、ミカエルの「船越英一郎化」も着々と進行しています。欲を言えば思い切ってオリジナルストーリーでテレビドラマにしちゃえばいいのにと思わないこともないのですが、これはこれで「ミレニアム3部作」としては無難な着地なのかなとも思います。
なんにせよ1作目と2作目は傑作ですので、観ていない方は1作目をDVD、2作目を劇場で見て、惰性で本作もご鑑賞いただくと良いかと思います。にしても見たのになんか煮え切らないというか悶々とするというか、、、スティーグ・ラーソン生き返って続編書いてくれないかな、、、。

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ミレニアム2 火と戯れる女

ミレニアム2 火と戯れる女

2本目は

「ミレニアム2 火と戯れる女」を観てみました。

評価:(75/100点) – テレビドラマのクオリティでは無い。


【あらすじ】

前作にて逮捕されたミカエルが出所してから暫く経ち、「ミレニアム」には新たなネタの売り込みが来ていた。中でもダグが持ち込んだのは、政府高官達の売春に関わるスキャンダルネタ。2ヶ月の臨時雇用を得たダグだったが、まさに最終稿をあげるそのときになって、恋人と共に射殺体となって発見されてしまう。時を同じくして、リスベットの後見人・ビュルマンも寝室で射殺体で発見される。銃から指紋が発見され3名の殺人容疑で指名手配されたリスベットは、独自の捜査で犯人を捜索する。そこには彼女が長年追い続けた「ザラ」の関与の証拠があった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ダグの持ち込みと取材。
 ※第1ターニングポイント -> ダグが殺される。
第2幕 -> リスベットの逃亡とミカエルの捜査。
 ※第2ターニングポイント -> ミカエルがパルムグレンと接触する。
第3幕 -> リスベットとザラの対決。


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【感想】

今日の2本目は「ミレニアム2 火と戯れる女」です。1作目から1年も経たずに早くも続編の登場です。本日から渋谷のシネマライズではオールナイトイベントで「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」まで一挙上映していますが、とりあえず2作目だけ見てきました。前作の評判が良かったからか、そこまで宣伝していない非ハリウッド作品としてはかなりお客さんが入っていました。

立ち位置の確認

本作はスウェーデンの雑誌編集者・スティーグ・ラーソンの死後に発表されたミレニアム3部作の2作目の映像化です。元々テレビの二時間ドラマとして制作されていましたが、1作目の映画があまりに大ヒットしたため、急遽編集をしなおして映画として公開されました。そのため本作には35mmフィルム版が無く、日本でもブルーレイで上映されています。
ちょっと先日も「怪談新耳袋 怪奇」で書きましたが、ブルーレイ上映ですとどうしても色深度がフィルムより浅かったり、字幕の「シャギ」がすごく目立ったりします。ただ本作はそこまで画像的な破綻はなく、どちらかというとそのままセルBDにする気が満々なために入る「人物紹介テロップ」にゲンナリします。さすがに「リスベット(天才ハッカー)」と出たときは笑いを堪えるのに必死でしたw
特に前半は非常にテレビドラマ的な固定カメラワークが多く、たしかに映像はチープになったように感じます。しかし、それにもまして圧倒的に面白いサスペンス展開にグイグイ引き込まれるため、中盤以降はまったく気になりません。とにかく無類に面白いシリーズです。

シリーズの肝

本作は、1作目よりも謎解き/サスペンス要素はかなり減っています。というよりも、まさに三部作の二部目といった感じでキャラクターを掘り下げるためのストーリーとなっています。当然掘り下げる対象は暴走少女・リスベットなわけで、本作はリスベットの過去にグイッと入り込むことに重点が置かれています。
ですので、例えば犯人は誰かとか、犯行手法はどうとうか、そういった要素はほとんどありません。実行犯はかなり早めに分かりますし、黒幕もパルムグレンに会いに行くだけで分かります。
本作は1作目にあった「リスベットとミカエルの信頼/愛情関係」をすれ違わせ続けて物語の推進力にしています。「果たしてミカエルはリスベットと会えるのか!?」だけで二時間持たせるわけです。なのでどうしても「キャラもの」として見ざるを得ない部分があります。もっとも、リスベットのキャラが濃すぎてまったく問題は無いんですが、ファン限定の作品ということにはなってしまうかと思います。

【まとめ】

サスペンスものは毎回物凄い書きづらいんですが(苦笑)、本作は間違いなくイかした良作です。アクション要素あり、連続殺人あり、そしてお色気あり、娯楽作としては相当に良い線に行っていると思います。
1作目の「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」はDVDも出てますしレンタルにもありますので、是非前作を見てから、ダッシュで映画館に駆け込んで下さい! 3作目がすぐに公開されてしまうため、2作目の公開期間はあらかじめどこも短く予定されています。最近は数が減っているサスペンスでは間違いなく良作ですので、是非是非劇場で見て下さい。大プッシュでオススメです。

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特攻野郎Aチーム THE MOVIE

特攻野郎Aチーム THE MOVIE

本日は3本です。1本目は

特攻野郎Aチーム THE MOVIE」を観てみました。

評価:(75/100点) – 脚本?辻褄? こまけぇこたぁいいんだよ!!!


【あらすじ】

ハンニバル大佐率いる特殊部隊Aチームは、モリソン将軍の命令を受けイラクのゲリラが持つ偽ドル札の原版の奪取作戦を行う。見事作戦は成功したが、原版受け渡しのまさにそのとき、モリソン将軍のバンが爆破され傭兵のパイクに原版を奪われてしまう。罪を押しつけられたAチームは懲役刑を負ってしまうが、半年後にCIAのリンチ捜査官の手引きで脱獄。名誉を回復するために、パイクと原版を追う。

【三幕構成】

第1幕 -> Aチームの結成と偽ドル原版奪取作戦。
 ※第1ターニングポイント -> Aチームが懲役刑を受ける。
第2幕 -> 脱獄とパイクの追跡
 ※第2ターニングポイント -> Aチームが再び裏切りに会う。
第3幕 -> 港での決戦。


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【感想】

本日の1本目は「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」です。ご存じテレ朝での超人気シリーズ「特攻野郎Aチーム」の前日譚的な内容です。
非常に多くのお客さんが入っていたのですが、意外にも若い人が多かったように思います。オリジナル版は私も結構リアルタイムギリギリでして、途中からは覚えていますが最初の方は後からDVDで見たように思います。
本作は非常に評価しづらい部分があります。というのも、単体の映画として見た場合は話が相当雑なんです。編集的に変な所もありますし、それ以上に作戦の進め方というのが唐突だったり余計だったりという部分が多々あります。
ジェシカ・ピール演じるソーサが何がしたいかさっぱり分からなかったり、そもそも軍事法廷に掛けられるための証拠がまるでないため全然ハメられたことになってなかったり、微妙は微妙です。
とはいえ、オリジナル版にあった水戸黄門的なお約束はバッチリ入っています。銃も車も昔のままで登場しますし、コングへの睡眠薬投与やクレイジーモンキーの脱獄など愉快なシーンをきっちり踏襲してくれます。そして。男4人がお互いに助け合って悪党を懲らしめていくという「男子チームもの」としては大変よくはしゃげていると思います。
このワイワイキャッキャした感じが曲者軍団Aチームの一番の魅力であるのは間違いありません。
ただ、、、ただですね、、、今回のAチームはバリバリに敵を殺します。どうしてもハリウッドの大作アクション映画としては仕方が無いのかも知れませんが、オリジナルでは人を殺さずに「懲らしめる」というのがAチームの痛快さだったはずです。もちろん今回はテレビ版より悪党もスケールアップしていますから、なかなか懲らしめるだけで終わらせるのは難しいかも知れません。それでも、もう少し配慮が欲しかったかなとは思います。あくまでも「ならず者」ではなく「ちょっとおどけたプロ集団」というところがAチームのAチームたる所以なんですから。

【まとめ】

決して単独で出来の良い映画ではありませんが、テレビシリーズのファンであれば間違いなく一見の価値があります。ラストで例のナレーション(俺たちは、道理の通らぬ(中略)助けを借りたい時は、いつでも言ってくれ!)が流れれば嫌でもテンションが上がります。そしてエンドロールの最後の最後で流れるAチームのテーマで、もはや心は80年代にタイムスリップです。
バカが好きな方、映画は火薬の量で決まると思う方、そしてホモソーシャルが好きな方にはオススメです。

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レポゼッション・メン

レポゼッション・メン

2本目は

「レポゼッション・メン」です。

評価:(65/100点) – フィリップ・K・ディック風の未来世紀ブラジル


【あらすじ】

2025年、人々はユニオン社の人工臓器によって、もはや臓器移植の順番待ちをする必要がなくなっていた。その一方で、ユニオン社は高額な人工臓器をローンで購入させ、返済を滞納した者から、回収人(レポ・メン)を使って人工臓器の没収をしていた。
ユニオンに務めるやり手回収人のレミーは、ある日回収の途中で除細動器が暴発し心臓を焼き切られてしまう。目覚めたレミーにはユニオン社の人工心臓を移植する以外生きる道が残されていなかった。人工臓器を使う側になって初めて、レミーは回収人の仕事が人殺しであると気付き、足を洗おうとする。しかし、人工心臓のローンが払えずに回収人に負われる立場となってしまう、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> レミーの回収
 ※第1ターニングポイント -> レミーが人工心臓を移植する。
第2幕 -> 追われるレミー
 ※第2ターニングポイント -> レミーがジェイクに襲撃される。
第3幕 -> ユニオン社本部への潜入


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【感想】

今日の2本目は「レポゼッション・メン」です。近未来を舞台に、ある企業のプロフェッショナルが自ら企業と対立する立場になって結局は、、、というそのまんまフィリップ・K・ディックが書きそうなディストピアSFの小品です。
この手のプロフェッショナルがアイデンティティクライシスを起こす話は、SFでは定番中の定番です。そんでもってミステリアスな美女と出会って協力関係になるのもお約束です。余談ですが、この美女・ベス役のアリシー・ブラガは先週見たザ・プレデターズでもヒロインを好演しており、アクションSFでは今後大いに活躍が期待される女優さんです。是非名前を覚えておきましょう。
なんかあんまり詳しく書くとネタバレになりそうなんですが、要は「未来世紀ブラジル」のオリジナル版と話は一緒です。主要登場人物はわずかに4人だけですし、別に凝った話でもありません。ただ、いまさら感よりは「未来世紀ブラジル」をポップに焼き直した佳作という印象です。決して手放しで褒められる作品ではないですしオリジナリティもありませんが、ジャンルムービーとしてはかなり上手く纏まっていると思います。あとはジュード・ロウvsサラリーマン軍団という爆笑必至の名アクションシーンを楽しむだけの映画ですw
特に後半は話が適当過ぎてアラが目立つんですが、それもわざとで済ませられる都合の良いオチが待っていますので、腑に落ちないものの諦めがつきます。
決して一般受けするような作品ではありませんが、SF好きならとりあえず押さえておいて損はない作品でした。でもレンタルDVDで十分な気もしますw

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プレデターズ

プレデターズ

2本目は

プレデターズ」を観てみました。

評価:(20/100点) – プレデターの意味が無いジャングル・サバイバルもの。


【あらすじ】

ロイスは突如見知らぬ惑星に落とされた同じ状況の7人の男女と合流する。ジャングルを彷徨いあるく彼らだったが、突如動物たちに襲われそして一人が死亡してしまう。そうこうしているとエイリアンとおぼしき異星人のキャンプを発見する。イサベルはこのエイリアンがかつて南米のジャングルに出現したプレデターではないかと推測する、、、。


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【感想】

今日の2本目はプレデターズです。有名シリーズということなのか、観客は物凄く入っていまして、家族連れの方もかなり目立ちました。あんまり小学生には見せない方が良いと思うんですが、まぁその辺はご両親の考えなんでなんとも、、、。
あんまり書くことも無い作品なんですが、どうしても「プレデター」映画としては微妙な感じです。まずですね、これは構造上仕方が無いんですが、話が異様にこぢんまりしています。なにせジャングルで当てもなく彷徨うだけなんです。たとえば同様のシチュエーションということでは昨年「サバイバルフィールド」という映画がありました。「サバイバルフィールド」では明確にゲームのルールと目的が最初に提示されていました。もちろんその目的があとからすり替わっていくわけですが、しかしそれが物語の推進力になっているのは疑いようがありません。ところが、本作ではそもそもからして目的がありません。突然見知らぬジャングルに落とされた8人は、「生き残る事」以外の目的がなく彷徨い歩いて行きます。これでは観客は置いていかれてしまい感情移入できません。ストーリーが完全に止まっています。
結局物語に推進力が生まれるのは、終盤も終盤、プレデターズが宇宙船を持っていると知ってからです。そこまでの1時間くらいはただただ逃げる彼らを見ているだけです。さらに、今回の「スーパープレデター」は従来のプレデターとまったく同じ攻撃パターンのためまったく新鮮さがありません。ものすっごいデジャブに襲われます。
なんか、、、、どこを褒めたら良いかちょっと思い浮かびません(苦笑)
ですが、強いて挙げるとすれば、クライマックスで旧プレデターの男気・任侠が炸裂するシーンです。ここだけは唯一本作でグッと来ました。また、一応小ネタとして「敵の敵は味方」という「エイリアンvsプレデター」にあったセリフが入っていたりはしますが、でもだからどうしたってレベルで、なんかスルーしてしまいます。

【まとめ】

プレデターシリーズとしてみても相当微妙な作品です。せっかく途中でローレンス・フィッシュバーンがプレデター・スーツで光学迷彩を動かして登場するのに、ロイス達はそれを使いません。せっかくなんだから人間達が光学迷彩をつけてプレデターを逆に追い詰めるぐらいのシチュエーションは欲しかったです。
モンスター映画としてもアクション映画としても微妙なので、本当に”誰得”な感じでした。非常にオススメしづらい作品ですが、AVP2を見ているような生粋のプレデター好きなら見ておいて損はないとおもいます。
にしても、、、、プレデター本筋としては20年ぶりの新作なのにこのクオリティはちょっと、、、無いと思います。
完全に余談ですが、1カ所誤訳で気になるところがありました。ロイスが「走ったら死ぬぞ。戦うしかない。」と言うシーンがあるんですが、この「run」って「走る」じゃなくて「逃げる」でしょ? 要は「逃げたってどうせ逃げ切れない。だったら戦ってプレデターを殺すしかない。」って事だと思います。

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プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂

プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂

本日はレイトショーで

「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」を観てきました。

評価:(75/100点) – 予定調和の爽快感と安心感と平凡感


【あらすじ】

貧民街で孤児として育ったダスタンは、ペルシャ王の目に留まり養子に迎えられた。それから15年、ダスタンは二人の兄とともに聖なる都・アラムートを攻め落とす。そこには美しいダガーと美しいタミーナ王女が居た。しかしその勝利の宴の席で、ダスタンが贈ったローブを纏った父王が毒で死んでしまう。暗殺容疑を掛けられたダスタンは命からがらタミーナ王女とともにアラムートを脱出した。ダガーに拘るタミーナと、暗殺を長兄・タスの王位簒奪と疑うダスタン。2人は、父王の葬儀に潜り込むため、再びアラムートを訪れる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> アラムート攻城戦。
 ※第1ターニングポイント -> 父王が暗殺される。
第2幕 -> 暗殺容疑を晴らすための冒険。
 ※第2ターニングポイント -> ハッサンシンにより寺院が襲撃される。
第3幕 -> ダガーを砂の時計に戻すための冒険


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【感想】

本日の新作レイトショーは「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」です。ディズニーとジェリー・ブラッカイマー・フィルムのコンビが贈るパイレーツ・オブ・カリビアン路線の実写娯楽アクション映画です。今週末公開の中では一番の大作と言うこともあってか、結構お客さんが居ました。

作品の概要

本作は2004年発売の同名アクションゲームの映画化です。とはいえ話はかなり変わっています。ダガー・オブ・タイム(時の短剣)を巡って、暗殺容疑を晴らしたいダスタン王子と、ダガーの守護者たるタミーナ王女、そしてダガーで昔に戻って兄を出し抜きたいニザムの3者が奪い合いを行います。お宝の奪い合いという分かりやすいフォーマットにアクションとロマンス要素を詰め込んだ作品ですから、老若男女問わずリラックスして適当に見るには最適な作品です(笑)。私も相当に楽しませていただきました。
なにせ本作は歴史的ゲームシリーズの映画化ですから、いかにその飛んだり跳ねたりするゲーム要素を見せるかが鍵になってきます。これはそのままパルクール・アクションに置き換えることで見事に成功しています。少し空撮の旋回映像が多すぎる気もしますが、いかにも中東っぽい町並みをガンガン飛び越えて行く様子はかなり爽快です。シャムシールを使った剣術アクションも、カット割りが早すぎてよく分からないと言う不満を除けば、ジェイク・ギレンホールの肉体性が良くでていて大変面白いです。このあたりのアクションに関してはとても良く出来ていると思います。ところが、、、
やはり不満はストーリー部分に集中してしまいます。というのも、物語上不要な行ったり来たりが多すぎて、かなり無駄でまわりくどいエピソードが多くなっています。せっかくイケメン王子と美女の逃避行なのに、きちんと落ち合って目的が一致するまでに1時間以上かかってしまうのは結構痛いです。また、「ダガーの時間戻しは1分までしかできない」という設定が割と途中から崩れ始めます(苦笑)。時間戻しに制限がある状況ではおかしい計画や作戦がいくつか見受けられます。
そしてなんと言ってもクライマックス以降の大団円に向かう部分です。「おまえ、それ口で言うだけかい!」みたいなストーリー上それでいいのかと思うほど適当な説得でみんなが納得してしまったり、そもそも面識が無く無愛想な王女が突如結婚を承諾したり、時間戻しの設定が全然生かし切れていません。本作における時間戻しは「ダガーのスイッチを入れた者だけが記憶を保持して時間を遡れる」のですから、最後は元のサヤに戻らないとおかしいんです。そしてもう一つ、時の砂だけはたとえ時間をもどっても消耗品として失われてしまいます。だから、例えば最後のシーンは「王女がダガーの柄を見て、ダスタンが時間を逆行してきたのに気付いた」みたいな描写を入れないとさっぱり通じなくなってしまいます。タミーナ王女は無愛想なのが魅力なのに、この終わり方ではなんかナンパされたギャルみたいでイマイチです。

【まとめ】

クライマックス以降に不満はありますが、とても良く出来たエンターテイメント作品だと思います。ジェリー・ブラッカイマー・フィルムの面目躍如です。ディズニーなので当然えげつない描写は出てきませし、安心して見られる良作です。
惜しむらくは、もうちょっとタイムトラベルならではの面白さを入れて欲しかったです。

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記事の評価
処刑人II

処刑人II

昨日は

処刑人Ⅱ」をみました。

評価:(70/100点) – 処刑人ファン必見のファンムービー


【あらすじ】

ジョー・ヤカヴェッタに正義の鉄槌を下したセインツことマクナマス兄弟は、父とともにアイルランドに隠居して農場暮らしをしていた。しかしそんなある日、ボストンの教会で一人の神父が殺害される。セインツを模した殺害方法を「挑戦状」と受け取った二人は、再びボストンへと戻る決意をする。一方、ジョー・ヤカヴェッタの息子コンセシオ・ヤカヴェッタは、父の仇討ちに燃えていた、、、。・

【三幕構成】

第1幕 -> セインツの今。そして神父殺害事件。
 ※第1ターニングポイント -> セインツがボストンに着く
第2幕 -> セインツの捜査。
 ※第2ターニングポイント -> ヤカヴェッタ・ファミリーを皆殺しにする。
第3幕 -> 黒幕との対決。


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【感想】

昨日見てきたのは、「処刑人Ⅱ(The Boondock Saints II: All Saints Day)」です。1999年に限定公開された「処刑人」の続編です。前作もそこまで名前の売れている作品ではありませんが、劇場にはかなりのお客さんが入っていました。
本作は端的にいって「ファン専用の続編」です。前作であった重たいトーンを完全に廃して、ギャグやホモソーシャル的な部活感だけを超拡大したものです。なので、いわゆる「キャラもの」です。前作が好きなファンからすれば「またあの”兄弟&お笑い担当外人”トリオが帰ってきた!」って感じでかなり好意的に受け取られると思います。私もその口です。しかし話はかなりアバウトですし、なにせ前作を見ていることが大前提で物語が進んで行きます。「1でウケた要素を拡大して2を作る」というのはよくある手法です。まさにそのものというか、何の捻りもない「ファン専用の続編」です。ですから、実は本作についてあんまり書くことがありません(苦笑)。
敵は前作のボスの息子ですし、前作で死んだイタリア人相棒・ロッコの代わりにはメキシコ系の新キャラ・ロメオが登場します。敵も一緒、配置も一緒、オチはことごとく前作のキャラネタ。120%純粋なファンムービーです。
映画単体としてはかなりB級で頭の悪いアクション・エクスプロイテーション映画です(笑)。でも、前作のファンとしては全然問題ありません。頭からっぽにして、セインツのイチャイチャした感じにテンション・ガン上がりです。
前作のファンだったら何を置いても行くべきですし、前作を見たことが無い人はまずは「処刑人」を見て下さい。変に他映画のパロディを多用していたりもしますので、コメディ/バディ・ムービーとして十分に楽しめると思います。

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