サベイランス

サベイランス

サクサク行きまして、次は

「サベイランス」です。

評価:(40/100点) – 「カルトの帝王」の困った娘。


【あらすじ】

サンタ・フェの田舎町で5人が無残に殺される事件が発生する。FBI捜査官のエリザベスとサムは警察所に居る目撃者3人から事情聴取を行う。3人は「傷だらけの警官」と「怖がる若い女性」と「無口な女の子」。しかし彼らの証言が微妙に食い違う。果たして彼らに何が起きたのか?そして犯人は誰なのか?


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【感想】

私の大好きな「カルトの帝王」デヴィッド・リンチがプロデューサに名を連ね、長女のジャニファー・リンチが監督・脚本を務めるサスペンススリラー作品です。本国ではおととし公開ですが、ようやく日本に上陸しました。ちなみにジェニファーはすでに去年「蛇女」というボリウッド映画を撮っていますので、ある意味周回遅れでの公開です。
ハッキリ断言しますが、ジェニファー・リンチ監督のファンというのは聞いたことがありません。というのも初監督作品の「ボクシング・ヘレナ」が度を超して最低な映画だったからです(笑)。色男が愛する女の手足を切って所有物として愛でるというサイケな恋愛映画(←いやまじでサスペンスじゃないんです)で、ジェニファーは当然のように映画を撮らせてもらえなくなりました。それから15年、ついにあの問題児が帰ってきた(笑)ってなわけで一部の映画ファンには待望の作品です。
やはりデヴィッド・リンチを思い起こさせるのはサイケなキャラクター達です。一人を除いて出てくるキャラクラー全員が頭イカレてます。情緒不安定なのは言わずもがな、いちいち各キャラの妄想混じりの証言を映像化して見せる物ですから、軽い頭痛を引き起こします。でもそれこそがデヴィッド・リンチの特徴でもあるので、娘に着実に受け継がれているのはうれしい限りです。
ところが、、、ラストが超がっかりで台無しなんです。金返せっていうレベルのオチにもならないオチで、もう本当にどうしようもありません。犯人については中盤あたりで気付きましたので当然もう一ひねりしてくるのかと思いきや、、、結局犯人捜しだけなんです。なんとも言い難いです。
一応「幼い子供だけが物事の真実を見ている」という部分にテーマらしき物はありますし、映画としてまったくダメダメというものではありません。単につまらないだけです。この「単につまらない」というのが割と皆さんが同意できるジェニファーの評価だと思います。これがデヴィッドだったら「単につまらない」なんてならずに訳分からない要素を散りばめて「わかんないし気持ち悪いけどなんか引っ掛かる」というぐらいには煙に巻いてくれるんですが、、、ここいらが限界なんでしょうか?
とはいえ「ツイン・ピークス ローラ・パーマ最後の七日間」でジェニファーの書いた脚本は良かったので、決して才能がないわけではないんです。監督はあきらめて脚本家に専念した方が絶対良いですよ。

【まとめ】

本作もバリバリの単館映画ですが、わざわざ足を運ぶ必要は感じません。正直オススメするのは気が引けます。ただデヴィッドのテイストを感じることは出来ますので、父親の大ファンであればとりあえず押さえておきましょう。
それにしてもきつかったです。

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フローズン・リバー

フローズン・リバー

続いての作品は一転して大真面目な

「フローズン・リバー」です

評価:(90/100点) – 「母は強し」は万国共通。


【あらすじ】

舞台はカナダとの国境沿いの田舎町、レイ・エディの夫はクリスマス直前に貯金を持って蒸発してしまう。二人の息子とともに残されたレイは夫を捜しに賭博ビンゴ場を訪ね、そこでまさにインディアンの女性が夫の車を盗む所を目撃する。追いかけたレイは、その犯人・モホーク族のライラと出会う。彼女は姑に奪われた我が子を引き取って暮らすために大金が必要であった。そのためカナダからの密入国者の運び屋をしており運転席からの操作で後ろのトランクを開けられる車を探していたと言う。
車の譲渡を断ったレイに、ライラは密入国の手伝いと報酬山分けを提案する。どうしても金を工面する必要があったレイはこれに同意する。こうしてライラとレイの犯罪家業が始まった。カナダとのルートは冬にしか現れない「凍った川(フローズン・リバー)」。両端には治外法権のインディアン保留地。それは絶対安全な金稼ぎであるはずだった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 夫の蒸発と長男との確執
 ※第1ターニングポイント -> レイがライラと出会う。
第2幕 -> 密入国家業
 ※第2ターニングポイント -> レイが「最後の仕事」を提案する。
第3幕 -> 最後の国境越え。


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【感想】

本作は二年前のサンダンス映画祭のグランプリ作品です。サンダンスといえば言わずと知れた世界最高クラスのインディ映画祭りです。やはりグランプリ作品は伊達ではなく、本作も主要登場人物がわずかに4人のミニマムな構成でありながら、これ以上無いほどの情緒と圧力を観客に叩き込んできます。
日本では二年前に配給会社がつかずDVDスルーも怪しかった所をアステアが拾ったようですが、素晴らしいことをしてくれました。大正解です。
こんな良作を公開しないとかありえないですよ、本当。

本作の肝

この映画は「田舎で女性が不幸になる話」の極北です。本作の肝は「母は強し」につきます。全部で三組の母子が出てきますが、三組とも全て子供のために必死です。特にレイとライラはほとんど絶望的な状況下から、必死でがむしゃらに家庭を立て直そうとします。
そして母に不満を持ちながらも、やはり自分なりに家庭を支えようとする長男。その家族のもがきの全てが最高潮に盛り上がったクリスマスに事件が起きます。悲惨で救いが無いように見えながらも、本作の最後の瞬間・最後のカットに写るちょっとした希望が、得も言われぬ感情を呼び起こさせます。これぞまさしく「映画的な感動」です。
メリッサ・レオの疲れた顔の中で唯一ギラギラ光る目が印象的で、本当にすばらしい演技をしています。ミスティ・アップハムは、、、この人は何やっても”デブキャラ”で終わっちゃうので何とも言えません。でもメリッサに引っ張られたのか中々の演技を見せます。
ちょっと苦言を呈する部分が見つからないような最高レベルのフィルムです。完全に単館映画ですが、渋谷まで足を運べる方は必見の作品です。是非、映画館で引き込まれてください。
余談ですが、渋谷のシネマライズは床が特徴的で、一番後ろから前5列目ぐらいまで急に下ったあと、前の方は逆傾斜でちょっと昇ります。なので一番前で見てもイス自体が上を向いてるので首が痛くなりません。シネマライズは土地柄なのか何時行っても煎餅食ったり携帯いじってるマナー悪い人が多いので、是非一番前で見るのをオススメします!!!

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バレンタインデー

バレンタインデー

「涼宮ハルヒの消失」以後に見た映画をまとめて書いていきたいと思います。
面倒なのでイマイチだった映画はサラッと流す方向で(笑


まずは「バレンタインデー」です。

評価:(45/100点) – バレンタインデー特化型デートムービー


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【感想】

これは公開初日に見ました。なんと言いますか、、、決してダメダメではないんですが、詰め込みすぎててすっちゃかめっちゃかになっています。これならオムニバス形式で各エピソード間をすっぱり断絶しても良かったのかなという印象です。15分x8本でスッキリ。
メインとなる花屋を中心として「友達の友達」的な関係の連鎖でキャラが次々と登場してカップル話を繰り広げるのですが、もはや最後の方はギャグかネタ切れかと思うほど強引な関係になっていきます。下手につながっている分おかしな所が目立ってしまってノイズになっています。
とはいえ、本作はタイトルどおり「バレンタインデーに恋人と見に行く」ことだけに特化していると考えれば、決して失敗はしていません。実際、なんとなくセンスのヨサゲに感じる(※実際には一昔前のポップスでちょっとダサいんですが)音楽と、延々と繰り返される痴話げんか・ノロけ合いは雰囲気作りに一役買っています。デートで行った映画が面白くって見入ってしまうようではデートにならないので(笑)、適度につまらないのに雰囲気だけは作ってくれる本作はデートムービーに最適です。DVDの発売後なら、目的なく家で恋人と見るにはベストチョイスでしょう。
でもそれだけ。キャストはとんでもなく豪華なんですが、別に好演している訳でもないですし皆さん適度に力が抜けています。私の大好きなアン・ハサウェイとアシュトン・カッチャーが気が抜けた演技をしているのは日本ではなかなか見られません(笑)。きちんと幅広い恋人達に対応するためにゲイカップルまで出てきますので、その筋の方にも十分にオススメできます。
ということで、カップルでいくなら文句なくオススメ、一人で行くなら俳優ファン限定でオススメです!

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50歳の恋愛白書

50歳の恋愛白書

今日は「50歳の恋愛白書」を観てきました。

評価:(65/100点) – まぁ良いとは思うんですが、邦題が、、。


【あらすじ】

ピッパ・リーと夫のハーブはコネチカットの老人村に引っ越してきた。ここは老人達が余生を静かに過ごす街。しかし年上の夫とは違い、ピッパはまだ若い。彼女はもてあました時間で陶芸教室に通い始めるが、不安から夢遊病を発症する、、、。


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【感想】

本作は昨年の夏映画でしたが、ようやく日本に来ました。相変わらずのギャガ・クオリティで意味が良く分からない邦題がつけられてしまっています。原題は「The Private Lives of Pippa Lee」。そのまんま「ピッパ・リーのプライベートな日々」で良いと思うんですが、、、「60歳のラブレター」に掛けたんでしょうか?
話の内容は原題のとおり、ピッパ・リーの不安や不満と彼女の来歴を通した自己救済の話です。
彼女が嫌っていたはずの母親にどんどん似てきてしまう無常感と、あるトラウマによって自己抑圧の日々を自分に科す贖罪と義務の日々。そして唐突に訪れる贖罪からの解放。本来悲劇的であるはずにもかかわらず同時に救済であるというアンビバレンツな状況に対し、子供達の口あんぐりな感じを放って置いて青春に戻るピッパの笑顔。かなり悲惨でドロドロな話ではあるんですが、キアヌ・リーブスのちょっと間抜けっぽい雰囲気とロビン・ライト・ペンの年齢を感じさせないイケイケ感が上手く混ざり合って、なんかハッピーな気持ちにさせてくれます。
そこそこの規模で上映して居ますので、機会がありましたら見てみると如何でしょうか?
感情移入してどうこうというのは無かったですが、”強い女性好き”にはジャストフィットな作品だと思います。

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インビクタス‐負けざる者たち‐

インビクタス‐負けざる者たち‐

本日も二本立てです。一本目は「インビクタス‐負けざる者たち‐」。

評価:(65/100点) – 人間ドラマはなかなか。 試合はちょっと、、、。


【あらすじ】

ネルソン・マンデラはロペン島の刑務所から釈放されANC議長につく。その勢いのまま大統領に就任したマンデラだが、黒人と白人の対立構造は変わらなかった。ANCが政権を執ったとはいえ経済力や学力は白人の方が圧倒的に上である以上、国家の分裂は南アフリカの黒人にとっても得策ではない。そこでマンデラは白人達のスポーツであったラグビーを通じて、黒人達の愛国心を喚起しようとする。


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【感想】

昨年は「チェンジリング」と「グラン・トリノ」で未だ衰えない構成力を披露してくれたクリント・イーストウッド監督の最新作、「インビクタス」です。何はともあれイーストウッドの新作が出たら映画館に駆けつけるのは映画ファンの義務です。ということで、私もいそいそと出かけましたが、、、観客が入ってない!
300名のキャパで100名も居なかったでしょうか。マット・デイモンなのに、、、。スポーツ物なのに、、、。

ストーリー部分

本作はマンデラ役のモーガン・フリーマンのほぼ一人舞台です。その台詞もほとんどがアジテーションのようで、タクシー内での秘書との駄話しですらどんどん演説調になっていきます。これが結構くどくてどうかなと思ってしまいます。
もちろん話の根幹になるマンデラの考えはかなりのものですし、マンデラ自身には大いに頭が下がります。政治犯として27年も刑務所に入れられた上で、それでもなお白人と黒人の共生というところに向かう達観には恐怖すら覚えます。実際のマンデラの人柄に詳しい訳ではないので何とも言えませんが、本作では極度の絶望の果てに解脱してしまった聖人のように見えます。それでいて自身の家族については急に人間臭い面を見せるなど、大変魅力的に描かれます。
一方、本作のダブル主演といっても過言ではないマット・デイモン演ずるピナールについては正直なところだいぶ陰が薄いです。マンデラの信奉者として以外にはキャプテンとしての能力やチームでの立ち位置はあまり描かれません。あくまでも観客の感情移入先として、「マンデラを仰ぎ見る好青年」としての役割を果たします。実際に本作が微妙な印象になる原因は、多分にラグビーの描き方です。
スプリングボクスはアパルトヘイトの関係で国際試合に出られなかっただけで、90年代前半の時点でも十分に強豪でした。しかし本作の序盤であたかも弱小チームであるように描かれます。「評論家の予想では良くて準決勝どまりです」みたいなセリフ回しがあったりして「そうか、弱いのか」と一瞬思ってしまうんですが、でも当時は優勝候補だったんです。あまりにも無理に「弱小国が連帯感を持ってついに優勝!」という物語に当てはめようとしたために、むしろ何で強くなったかが良く分からないという弊害が生まれてしまいました。これでスプリングボクスの成長物語りも併せられればものすごい傑作だったと思うのですが、ラグビーの使い方が少し中途半端になってしまった印象を受けます。

【まとめ】

さすがはイーストウッドという感じで、凄くデリケートな題材を上手く軟着陸させています。もちろんいくらでも深読みは出来ます。イーストウッド自身も共和党員ですし、「なんでもかんでもチェンジすることが良いわけではない」と意味深なことを言いますし(笑)。
傑作というほどではありませんが、良作なのは間違いありません。
オススメはオススメなんですが、できればyoutubeで95年のワールドカップ決勝の映像を見ておいた方が良いかもしれません。再現性の高さに驚くこと請け合いです。

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パラノーマル・アクティビティ

パラノーマル・アクティビティ

本日の2本目は。

最怖ホラーと宣伝中の「パラノーマル・アクティビティ」です。

評価:(1/100点) – 怖さがカケラもない心霊ホラー映画。


【あらすじ】

ミカは夜中におこる心霊現象の原因を探ろうと高性能なカメラを購入し寝室に仕掛けることにする。そこには怪現象が映っていた、、、。

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【感想】

さて、アメリカで話題沸騰、ロッテントマトでの評価も高いインディ・ホラー映画「パラノーマル・アクティビティ」です。2007年制作の作品ですが、アメリカでもロードショーに乗ったのは昨年秋です。ホームビデオで撮影されたという体のフェイク・ドキュメンタリー形式で、アメリカでは割とめずらしい心霊現象が題材と言うことでかなり期待して観に行きました。ところが、、、本当につまらない、、、というよりホラーなのに怖くない(笑)。
ラストの20秒ぐらいで音に驚く場面はあったのですが、しかし決定的に怖くありません。

フェイク・ドキュメンタリーの体裁について

本作は冒頭に、警察とケイティとミカに謝辞が送られます。ということはこの映画を作ったのは発見者でも撮影者(登場人物)でも無い第三者ということになります。この時点で結構微妙なのに、さらには途中に明らかな編集点と早送りが入ります。そして日時表示が出たり出なかったりします。
ですので、本作はフェイクドキュメンタリーという形式なのに、劇中の映像そのものではなく編集されてしまっていることになります。これでは怖くはなりません。「現実に映っちゃってる」のが怖いのであって、編集していいならそれこそCGでいくらでも出来てしまいます。あくまでもオリジナムービー(=劇中でミカが撮影していたテープ)をそのまま流すから意味があるのに、、、微妙すぎます。

お化けの動きについて

おそらく観た方が最初に思うのが「お化けの茶目っ気について」だと思います。なにせサービス精神が旺盛なお化けでして、律儀に毎回毎回「階段を上がって開いてるドアを通る」コースを辿ります。そして任意の固定カメラ撮影にもかかわらず、キーイベントは必ずカメラの前で行ってくれるエンターテイナーぶり(笑)。寝室のシーンはいつ横や下からお化けがフレームインしてくるのか楽しみにしていたのですが、結局最後までドアを通って来てくれました。
起こる現象といってもドアが閉まるのと怪音ばっかりで、ひたすら前振りが1時間以上続きます。やっとアタックが来たかと思いきや良くあるタイプの微妙なオチで、最後の方はちょっと笑いすら起きるレベルの酷さでした。とにかく怖くありません。

ミカとかいう頭の足りないバカ男について

私の中で本作の評価が完全に紙屑になった一番の原因は「ミカ」とかいう最低な男です(笑)。話を聞かない、独断専行、約束を破る、思い込みで動くくせに結果が伴わない。要は大口たたくだけで何の役にも立たないのですが、後半は常に怒鳴ってヒステリーを起こしています。よくここまでクソ野郎に作り込んだと関心するほどで、本気で舌打ちが止まらずイライラしっぱなしでした(笑)。これが監督の狙いだとしたら私は完全にストライクです。なのでラストに関しては完全にお化けに感情移入しています(笑)。GJ。

【まとめ】

まったく怖くないのでホラー映画嫌いな人でもなんの問題もありません。しかし決定的につまらないのでちょっとオススメしづらいです。とはいえ、この手の心霊ホラーは大勢と一緒に見た方が面白さが増すので、どうせみるならDVDよりは映画館の方が良いと思います。
まぁアメリカでの流行は本当ですので、確認の意味で映画館へ足を運んでみては如何でしょうか?

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ラブリーボーン

ラブリーボーン

本日は二本観てきました。まず一本目は

ラブリーボーン」です。

評価:(45/100点) – サスペンスというよりはスイーツ・ラブストーリー。


【あらすじ】

スージー・サーモンは両親と妹と弟の5人で幸せに暮らしていた。しかしある日中学校からの帰り道で向かいに住むジョージに殺害されてしまう。死後の世界へと旅だったスージーだったが、家族のことが心配でこの世とあの世の”狭間”に留まることにする。しばらく発って、スージーの家族はストレスから崩壊、ジョージは新たにスージーの妹・リンジーを狙い始めた。

【三幕構成】

第1幕 -> スージーと家族の日常とレイとの恋。
 ※第1ターニングポイント -> スージーが殺される
第2幕 -> 父の捜査と家族崩壊。
 ※第2ターニングポイント -> スージーが自身の死を受け入れる。
第3幕 -> リンジーの捜査とスージーの成仏。

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【感想】

とてもかっちりした構成の作品です。第一ターニングポイントはきっちり開始30分で来ますし、第2ターニングポイントはわざわざ暗転してシーンが変わります。非常にオーソドックスというか普段映画をあまり観ない人にも親切な作り方です。
実際、多少冗長に思う部分はあるものの終盤までは非常にスムーズに展開が進んでいきます。そしてスージー役のシアーシャ・ローナンも15歳とは思えないほど素晴らしい演技を見せてくれます。
と、ここまでは絶賛モードなんですが、いまいち微妙な雰囲気になるのはひとえに終盤の展開によるものです。
せっかく「犯人が妹を連れ去って、父親の捜索に手を貸す幽霊」的なベタなストーリーで盛り上げられるにもかかわらず、終盤のサスペンスシーンは「木の床板をそっと戻す」というこれ以上なくショボい展開のみで終わってしまいます。さらにはとってつけたような因果応報・悪が滅びるストーリーや急に道徳的になるスージー等、それまでの話を全て台無しにしてしまう程の超展開で観客全てを置き去りにして斜め上に突っ走ります。
正直な所、最後の30分までは80点~90点つけても良いほどの出来でした。せっかく前振りをして物語を積み上げていったにも関わらず、最後は家族をほっといて色ボケに走るバカ女のせいでメチャクチャです(笑)。
また、演出面もあまりいただけません。CGはさすがの出来ですし特にあの世の描写は本当に綺麗ですが、一方でスローモ-ションにコーラス曲を合わせる演出がしつこく繰り返されてちょっとイライラします。でも、前半のジョージの顔を隠す演出はなかなか上手いです。ピンボケやフレーム見切れを上手く利用して、何を考えているか分からない不審者としての犯人を表現しています。その割に顔がきちんと映るのが早すぎるんですが、まぁ引っ張っても「木の床板サスペンス」では面白くならないので、これで良いのではないでしょうか。面白くなる要素がそろっているだけに、つくづくラストが心残りです。

【まとめ】

良くも悪くもピーター・ジャクソン監督が仕事と割り切って適当に作るときの傾向が出ています(笑)。
きっと「ディストリクト9」のプロデュースが忙しくて片手間になったのかなとか思いつつ、時間が空いている方にはオススメ出来ます!
でもたぶん後悔するので、半年後にDVDで観た方がダメージは少ないかも知れません。一番おもしろかったのは開始前に流れた「第9地区」と「ブルーノ」の予告編でした(笑)。

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パーフェクト・ゲッタウェイ

パーフェクト・ゲッタウェイ

先週観て書き逃してました。

「パーフェクト・ゲッタウェイ」です。

評価:(60/100点) – スゴい変な映画だけど、テンションが上がる!


【あらすじ】

クリフとシドニーはハワイでの新婚旅行中に、ホノルルで別の新婚夫婦が殺された事件を耳にする。そして犯人は2人組のカップルらしい。不安に思う二人の前に2組の不振なカップルが現れる。果たして彼らのどちらかが犯人なのだろうか?不安に思いつつも、二人は離れ海岸へのハイキングを行う、、、。


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【感想】

とても変テコな映画です。サスペンスなのであまり詳しく書けないのですが、あきらかに「第一幕&第二幕」と「第三幕」で内容が違います。第2ターニングポイントである「離れ海岸への到着」を機に、物語の構造自体が変わってしまい、第三幕はテンションのみで無理矢理押し切ります。非常に安易な例えをするならば、「火曜サスペンスで大物が出てたら犯人」というお約束です。まぁ本作もポスター見た瞬間にネームバリューで犯人が分かるんですが(笑)
アイデア一発の出落ちレンタルビデオでも十分ではあります。しかしラスト30分はバカ映画としてかなり良い水準にあります。
オススメです!

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