今日は
「スーサイド・スクワッド」を見てきました。
評価:(30/100点) – ヤンキー軍団ヤキ入れるで!
【あらすじ】
政府の諜報員アマンダ・ウォーラーは、来るべきメタヒューマンへの対抗策として、投獄中の凶悪犯達で結成された特殊部隊「タスクフォースX(エックス)」を提案する。その第一号として、考古学者ジューンに憑依した古代の神・エンチャントレスを推薦するが、なんとエンチャントレスはウォーラーを裏切り、人類を滅ぼそうとしてしまう。困ったウォーラーは、改めてベル・レーヴ刑務所選りすぐりの6人と、お目付け役のフラッグ大佐でタスクフォースXを組織する。果たしてタスクフォースXはエンチャントレスを止められるのか?
【三幕構成】
第1幕 -> 人物紹介
※第1ターニングポイント -> エンチャントレスの反乱
第2幕 -> タスクフォースX始動!要人救出作戦
※第2ターニングポイント -> エンチャントレスが心臓を手に入れる
第3幕 -> ミッドウェイシティ駅の決戦
【感想】
本日は「スーサイド・スクワッド」を見てきました。「作りなおせ」というファン署名が全米公開3時間後から開始されたり、ワーナーが勝手に編集してデヴィッド・エアー監督と揉めたり、話題に事欠かない曰くつきの映画です(笑)。
せっかくなので、私、久々に立川のシネマシティに行って爆音上映を見てきました。個人的には、DCエクステンデッド・ユニバース作品としては、前作「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016)」を全面擁護しております。ですので、当然本作も、、、と行きたいのですが、、、、フォーーーーーォーー(発狂)。
以下ネタバレは極力いたしませんが、下品な雑言が飛び交う恐れがありますので、お上品な方はご遠慮ください(笑)。
作品概要
本作は、アベンジャーズ・シリーズのマーベルに対抗したDCコミックスの「DCエクステンデッド・ユニバース(以下DCEU)」シリーズ第3作にあたります。一作目は「マン・オブ・スティール(2013)」。二作目は今年の「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016)」。そして本作です。とは言え、タイトルの通り、本作はストーリーの本流ではなく外伝的な「悪役軍団:スーサイド・スクワッド」の活躍を描いています。(※描けていないという話をこのあとしますw)。
そういった意味では、本作はあまりDCEUの本筋には絡んでこない作品になりまして、関わりありそうなのはバットマン最大の敵ジョーカー&ハーレイ・クインの登場ぐらいでしょうか。ということで、正直無理に見なくてもよかったりはするんですが、一応ファンなら抑えておいて損はないでしょう。
今回のストーリーは、まさにこの「スーサイド・スクワッド(=正式名称タスクフォースX)」の結成と活躍が中心となります。ジョーカーの良き相棒「ハーレイ・クイン」、銃器の天才「デッドショット」、力自慢のワニ男「キラー・クロック」、ブーメラン使いのおじさん「キャプテン・ブーメラン」、炎使いの「エル・ディアブロ」、そしてチュートリアル要員の「スリップノット」です。ここに普通の人間でお目付け役軍人の「リック・フラッグ」が加わって軍団となります。彼らに対するは、タスクフォースX会員番号0番の魔法使い「エンチャントレス」。魔法使いvs凄腕人間&怪人ということであんまり勝ち目がなさそうなんですが、そこはヤンキー魂で乗り切ります。そう、本作のキーワードは「ヤンキー魂」です。
ヤンキー魂炸裂!でもそれ極悪人なのか???
本作は突っ込みどころの宝庫です。正直アホらしすぎて細かい矛盾はあんま覚えてないくらいボロボロです。世界の危機なのにバットマンは何やってるんだとか、そもそも悪人達に頼るほど切羽詰まってないとか、ジョーカーが自由すぎかつハーレイに執着しすぎとか、そういう細部に目をつぶったとしても、残るのはやはりど根本的なストーリー部分の不満です。
私達(とあえて言いますが)が見たかった「スーサイド・スクワッド」ってたぶん「毒をもって毒を制す」だと思います。要は、ヴィラン達があくまでもヴィランとして身勝手に行動し、だけどそれがたまたま世界を救っちゃうという話です。スーサイド・スクワッドってこれが肝なんですよ。
でも、本作では、スーサイド・スクワッドのメンバーは全員が「ヤンキー魂」をもった「アツイ男/女達」です。情に厚く、多少優先順位がおかしいながら倫理観があり、そしてきちんと団結してチームワークで敵を倒そうとする。それって、全然凶悪じゃないです。映画秘宝の監督インタビューにも載ってますが、本作は「BAD vs EVIL(悪vs邪悪)」がテーマなんですね。で、問題はこのBADが、本当にただの「ワル」であって、それ以上に魅力的なものではないという所です。情に厚いヤンキー達が、酒場でアルコールを引っ掛けながら身の上話で団結し、自己犠牲を伴いながら世界を救う。それってただのつまらないヒーローものじゃないですか。全然悪役の意味が無いです。そうすると、物語中に出てくる「来るべきメタヒューマンに対抗するために超極悪人だけを集めた特殊部隊を作る」っていうのになんの説得力もありません。いやいや、そんなのいらないし、できてないじゃんっていう。
そんなこんなで、本作は根底のコンセプトがそもそも駄目すぎます。
じゃあ開き直ってヒーローものとしてはどうよ?
では、もう悪役の特殊部隊というのを全部忘れて、ヒーローものとしてはどうでしょう? そうすると今度問題になるのは、キャラクターが立ってない上に活かす気ないだろ!っていう部分です。
例えばデッドショット。彼はどんな銃火器も使いこなし、離れた敵でも正確にスナイピングできる凄腕の暗殺者なんです。実際、冒頭のキャラ紹介では”跳弾スナイピング”という神業をやってのけます。本作ではデッドショットを俺様ヒーロー=ウィル・スミス様が演じており、出番も立ち位置も完全に主役です。そうすると、当然最後はデッドショットの神業スナイピングが勝敗を分けると思うじゃないですか? そしたらビックリ、なんとデッドショットは全然スナイピングしません(笑)。嘘でしょ、、、。
デッドショット以外でも、いわゆる”特技”を活かして活躍するのはディアブロだけなんです。彼だけは火を操って状況を劇的に打開してくれるんですが、それ以外はみんな汎用モブキャラ状態です。アメリカでもハーレイ・クインだけは「かわいい」「エロい」と大好評ですが、でもそのハーレイ・クインだって野球バットを持って格闘してるだけで、「ハーレイ・クインでなければいけない理由/ハーレイ・クインにしかできない事」が無いんですね。
これってチーム結成キャラものとしては結構致命的です。だってチームでまとまってお互いに助け合う要素が無いんですから。例えばハーレイ・クインが得意の頭脳戦でエンチャントレスを罠に嵌めて、そこをデッドショットが跳弾スナイピングするとか、なんかこう協力合体技を見せて欲しいんです。そういうのが全然ないので、結局は小物が徒党を組んでるだけに見えます。
じゃあどこを見ればいいんだよ!
とまぁコンセプトボロボロ、ストーリー滅茶苦茶、という本作において、じゃあ見せ場はどこだって話になります。そうすっとですね、やっぱり「ハーレイ・クインちゃんエロカワ!」とか「エンチャントレス(覚醒前)可愛くね?」とかっていう下品なアイドル要素に落ち着くわけです(笑)。だって、本当にもうここに逃げるしかないんですから。上にも書きましたが、ハーレイ・クインはハーレイ・クインで、ストーリー上の扱いはムチャクチャ酷いんですよ。ジョーカーといちゃついてるだけのただのバカップルですし。でも、それ以外に頼るところがないぐらい、本作は見ててシンドいです。
【まとめ】
ということで、本作で得をしたのはたぶんハーレイ・クイン役のマーゴット・ロビーとエンチャントレス役のカーラ・デルヴィーニュだけです。後はみんな損。俳優のシャイア・ラブーフによると、デッドショットにウィルス・スミスが起用されたことでストーリーを大幅に改変してデッドショットを主役級にしてジョーカーの出番減、結果としてそれを嫌がったフラッグ大佐役のトム・ハーディが降板したそうです。
参照:Movie Pilot:シャイア・ラブーフはほとんど”スーサイド・スクワッド”だった--文句(または感謝)があるならウィル・スミスに言え!
http://moviepilot.com/p/shia-labeouf-almost-had-scott-eastwoods-role-in-suicide-squad/4082099
これ、公開版を見る限りだと、最初はあくまでもジョーカーがハーレイ・クインを取り返しにくる話がメインで、エンチャントレスの件はハーレイが刑務所の外にでるためのアリバイ用のサイドストーリーだったんじゃないかと邪推してしまいました。真相は分かりませんが、一本の映画として、設定もストーリーも編集も混乱しまくっているのは間違いありません。こんな「踊る大捜査線」級にキテるハリウッド映画ってあんまり見られませんので、話の種に是非映画館で体験してみて欲しいです。私も、もしかしたら劇場の手違いで間違ったバージョンが流れていたり10分くらい間が飛んでいたかも知れないので、週内にもう一回見に行きます(笑)。
さて、私の熱量が高い時に登場するオマケ集のお時間です。今回は、上記文章にねじ込めなかった細々した部分について、個別にグチりたいと思います(笑)。
■ グチ1:悲報!エンチャントレスとアポカリプスがもろかぶり事件
これですね、本作で一番の悲劇的事件です。トラジティです。なんと、本作のエンチャントレスと先日の「X-MEN:アポカリプス(2016)」のヌール様はまさかのキャラかぶりをしています。
エンチャントレスが人類を破滅させようとする動機は「昔は私のことを神様扱いしてたのに、今じゃコンピュータのことを神様呼ばわりして私のことはかまってくれないんだもん。もう、私に冷たい人類なんて嫌い!死んじゃえ!」というものです。ヌール様とドンかぶり(笑)。しかもその破滅のさせ方が、なんか地面から岩みたいなのを大量に巻き上げる絵面なわけです。エンチャントレスは破壊兵器を作っていて、ヌール様(というかヌール様に同調したマグニート)は砂鉄を巻き上げて文明を破壊。やり方は違いますが、絵面はまったく一緒です。そうすると、片や広大な大地で巻き上げているヌール様と、片や地下鉄の駅で巻き上げているエンチャントレスではスケールがアホみたいに違うわけで、、、エンチャントレスが相対的にショボく見えてしまいます。まじ悲劇。エンチャントレスが悪いんじゃない!スケ―ルがでかすぎるヌール様が悪い!
制作も配給も違う会社の作品なので仕方ないんですが、この公開スパンかつ同じアメコミもので、しかもマーベルとDCでネタがかぶるという、、、本作には運もないのか(笑)。
■ グチ2:エンチャントレス出現から3日間も何やってたんだ問題
本作は、エンチャントレスがミッドウェイシティ駅を占領してからスーサイド・スクワッドが出動するまで3日間もあります。たぶん上記本文で文句をいった「バットマンは何やってるんだ」とかの問題点の多くは、このタイム感に起因します。実際、ウォーラーおばちゃんはエンチャントレスが暴れてから慌ててスーサイド・スクワッドを結成するわけで(※予め目星はつけていましたが、本人に告げるのはエンチャントレス暴走後です。)、おまえ本当に緊急事態のエキスパートなのかと小一時間問い詰めたいレベルでのんびりしています。結果として、チームの結束も唐突なら、そもそも本当にチームが必要なのかもよくわからないというアレなことになっています。「最初からスーサイド・スクワッド自体は緊急事態用に結成してあって、たまたまメンバーのエンチャントレスが今回裏切った」という筋なら全然問題なかったんですが、、、こういうのがプロット構成の難しいところです。
■ グチ3:キャラの特性を生かしてるっぽい風の場面
2回目を見ていて、キャラを立たせるのに苦労している様はうかがえました。スーサイド・スクワッドの面々が特技を活かして輝くシーンを列挙してみますと、、、
- キラー・クロック
- 最後に水の中に潜っていって人間兵のボディガードをした。でも爆弾の設置は代わってくれない。
- キャプテン・ブーメラン
- ブーメランにカメラを積んでスマホで見る。ただし目立ちすぎてバレバレ&即撃墜。役には立たない。
- ハーレイ・クイン
- 最後にエンチャントレスにお茶目なフェイクを仕掛ける。エンチャントレスがいい人過ぎて上手くいく。
- デッドショット
- 持ち前のキャプテンシーを発揮してみんなをまとめ上げる。射程距離4kmのスナイピングは特にしない。
- エル・ディアブロ
- 火炎で変身!見事エンチャントレス弟を食い止める。火に強いのに爆弾で死亡
- カタナ
- ソウルテイカーを落っことすファインプレー!
- エンチャントレス
- クネクネ踊りで謎の破壊兵器を作る。瞬間移動できるならそんなのいらないんじゃないか問題はスルー。
ということで、マジでアイドル(笑)。いくらでも合体技できそうなんですけどね、、、ブーメラン乱射してその間を跳弾スナイピングして死角を攻めるとか、炎とバットで”燃えるケツバット”とか、エンチャントレス弟をクロックが力で押さえてカタナのソウルテイカーで魂抜いちゃうとか、いくらでもね、、、、
さて、私の熱量が超高い時に登場するオマケのオマケのお時間です(笑)。今回は、slashfilm.com で見つけた、カットシーン集についてです。戸田奈津子ばりのやっつけ超訳なのはご勘弁ください。
出典はこちら:‘Suicide Squad’ Deleted Scenes: What Was Cut and Why (http://www.slashfilm.com/suicide-squad-deleted-scenes/)
※2016年9月15日追記:
本作、「スーサイド・スクワッド」には2種類のバージョンがあると言われています。一つはもともと監督デヴィッド・エアーが考えて撮影・編集していた「オリジナル版」。もう一つは、ワーナー・ブラザーズの指示で予告業者が再編集・構成した「予告業者バージョン」です。
もともとはシリアス・テイストの作品構想がありました。まずここで、ウィル・スミスがキャスティングされたことでデッドショットの出番が大幅に増えます。これが上のまとめでのシャイア・ラブーフのタレコミです。
参照:Movie Pilot:シャイア・ラブーフはほぼ”スーサイド・スクワッド”だった-文句(または感謝)があるならウィル・スミスに言え!
http://moviepilot.com/p/shia-labeouf-almost-had-scott-eastwoods-role-in-suicide-squad/4082099
その後、2015年7月11日(土)にサンディエゴの「コミコン2015( ※アメリカ最大のオタクイベント )」で予告映像が発表されました。この予告がマジで超ナイスな感じでして、大絶賛されて「さっさと本編見せろ!」の大合唱だったんですね。悲劇だったのは、この予告が完全にコミカル・悪ふざけテイストだったことです。ワーナーの幹部がこの大絶賛に気を良くして、「スーサイド・スクワッドをコミカルよりに作りなおそう!」ということを始めます。そして、よりによって、監督のデヴィッド・エアーではなく予告映像を作った業者に編集を依頼しちゃうんですね。こうして「予告業者バージョン」が完成します。
最終的に、監督自身が編集を完了させた「オリジナル版」と「予告業者バージョン」でラッシュコンペになりまして、ワーナーとしては「予告業者バージョン」を元にして一部追加撮影をし、公開することに決めました。そして「予告業者バージョン」がはれて「劇場公開版」になります。以下のカットシーン集は「オリジナル版」でウィル・スミスの出番が増えたために監督自身がボツにした部分と、「劇場公開版」に再編集された際に業者に(勝手に)改変された部分が混ざっています。
参照:ハリウッドレポーター:スーサイド・スクワッド秘話:試写、編集合戦、こみ上げる不安
http://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/suicide-squads-secret-drama-rushed-916693
ちなみに「予告業者バージョン」を「劇場公開版」にする際の最終調整には監督自身も関わっていて、この映画に関することは自分が責任をとると言ってます。
参照:shashfilm:デビット・エアー監督は責任をとる男「(公開された)スーサイド・スクワッドは僕の作品だ」
http://www.slashfilm.com/suicide-squad-david-ayer-cut/
カット1
“In early cuts, the movie’s opening detailed June Moon’s possession by Enchantress in a real tome. Reshoots reshuffled the scene to be later in the movie in flashback form in favor of a new opening centered on Deadshot.”
訳:初期バージョンでは、映画のオープニングはジューン博士がエンチャントレスが載っている学術本を持った所からスタートしていた。公開バージョンでは、映画のオープニングはデッドショット(ウィル・スミス)を中心に作り変えられ、もともとあったジューン博士のシーンはその中のワンカットとしてちらっと映る程度になった。
さて、いきなりのウィル・スミス接待です(笑)。元のバージョンだと、あくまでも敵の予兆→オープニングへという、わりとよく見る感じの構成だったんですね。それがウィル・スミスメインになったことで、スクワッド側のキャラ紹介を優先したようです。いきなり幸先が不安です(笑)。
カット2
“Deadshot in the prison cell, watching the rain fall and thinking about his daughter.”
訳:独房の中でデッドショットが、雨が降るのを見ながら娘を思うシーンがカットされた。
お!?まさかのウィル・スミスシーン削除!甘ったるすぎるからでしょうか?
カット3
“El Diablo observing the flame of a lit match, before putting it out due to his vow to no longer use his powers.”
訳:エル・ディアブロが、マッチの火をボーッと見ながら「もう俺、炎の能力使わねぇわ」と心に誓うシーンがカット。
これ、、、あった方が良くないですか? 公開版でもなんとなく「なんかやらかして能力を使いたくないんだろうな」とは薄々気づきますが、このシーンがあればもっと実際に使った時のカタルシスがあったと思います。
カット4
“El Diablo being escorted to a training center by being placed in a tube that fills with water to quell his flames, and then unceremoniously dropped onto the ground.”
訳:エル・ディアブロが、満タンの水が入ったチューブでトレーニングセンターに護送され、ぶっきらぼうに床にぶちまけられるシーンがカット
こちらは公開版だといつもの独房の場所でドラム缶をひっくり返されてましたね。この感じだと、デッドショット以外にも「おまえの能力を見せてみろ!」みたいなパートがあったようです。これもウィル・スミスのしわ寄せでしょうか(笑)。
カット5
“Early interviews showed Captain Boomerang’s racism and sexism, but the movie is light on examples of such behaviour, which have apparently been deleted. Most of them were reportedly directed at Katana, to whom Boomerang is attracted to.”
訳:初期版では、キャプテン・ブーメランが人種的/性的な差別発言をしていたが、公開版ではカット。カットシーンの多くは、彼がいかにカタナに魅了されているかを語るシーン。
公開版でも最後の方ではブーメランがカタナを好きっぽい雰囲気が出てましたが、実際にはもっと明確に下品発言を連発してナンパしていたようです。これもブーメランのキャラ立てには大事ですよね、、、。
カット6
“Early reports indicated more backstory for Killer Croc, revealing that he entire life as a social outcast due to his physical appearance and has convinced himself that he is beautiful in his own way. Croc crossed paths with Batman while working as muscle-for-hire for numerous Gotham’s crime bosses, while secretly planning to take over one day. There were also scenes displaying his affinity for making sculptures out of discarded materials. Aside from jokes about Croc viewing himself as ‘beautiful,’ one of these were retained in the final cut.”
訳:初期版では、キラー・クロックが自分のことを本当に美しいと思っていること、そして外見によっていかに社会からのけ者にされてきたかを明らかにするバックストーリーがあった。彼はいろんな犯罪組織に筋肉担当で参加し、バットマンとも遭遇している。彼が廃材で彫刻を作るシーンもある。彼が自分のことを「美しいだろ」というシーンが一部公開版にも残っている。
ブーメランに続いて、キラー・クロックの出番も大幅カットです。っていうかこれほとんどオリジン(誕生秘話)じゃん。やっぱ初期版はちゃんとキャラを立たせようとしてたんですね。これもウィル・スミスのしわ(以下略)。
カット7
“Also deleted was a scene where he becomes sick at the helicopter escort to Midway City, throws up half-digested pieces of goat, and then eats them again, disgusting the nearby Navy Seals.”
訳:ミッドウェイシティに連れてこられるとき、キラー・クロックがヘリコプター酔いをして、食べたヤギ肉を口から出してしまい、すぐ食べ戻す。それを見た近くの海兵隊員が「うわっ」て引くシーンがカット。
キラー・クロックのカットシーン2はギャグパートです。まぁ確かにこれはいらないかな(笑)。全体的に暗いトーンだったと言われる初期版だといい感じのハズしだったのかもしれません。
カット8
“Early cuts reportedly included a passing reference to Slipknot being serial-rapist, likely to further paint him as unsympathetic to the audience ahead of his own death.”
訳:初期版では連続強姦者のスリップノットの過去を描くシーンもあったが、観衆が彼に嫌悪感を抱いて「死んで当然」みたいに思わないように、カットされた。
このカットも仕方ないかなと思います。スリップノットは完全にチュートリアル要員ってことですね。
カット9
“More scenes of Rick Flag and June Moon’s romantic relationship, including him, reading the files of the Suicide Squad recruits after Waller delivers them to him.”
訳:フラッグとジューン博士が、スーサイド・スクワッドのメンバーの履歴書を見たりするなど、ロマンティックなシーンがもっとあったが、カット。
これはいる気がします。要はフラッグがジューン博士(エンチャントレス)のことを心配していちゃついてる描写ですね。「こんな奴らと同じ部隊ってヤバいだろ、、、」っていう。
カット10
“Another scene where Flag and Moon are out on a date.”
訳:フラッグとジューン博士のデートシーンもある
これはいらないかな(笑)。確かに公開版のフラッグとジューン博士の関係性の描写はさらっとしてる気がしますが、言うなればただの設定ですしね。ただ、最後に書きますが、コレ結構「デヴィッド・エアー版スーサイド・スクワッド」を推測する上では鍵になるシーンです。
カット11
“Extended scene of Joker interrogating Captain Griggs, including the line, “I can’t wait to show you my toys,” which was in every trailer, but was removed from the movie.”
訳:ジョーカーがキャプテン・グリッグス(※牢屋番の人。カジノで裏に連れて行かれるシーンです。)に質問するシーンがカット。全てのトレイラーで使われていた「俺の玩具を見せるのが待ちきれないぜ」というセリフの一連のシーン。
これもいらないかも。ストーリーどうこうよりも、ジョーカーファンへのサービスカットですね。
カット12(回想パート)
“Joker and his men escaping after shooting up a restaurant. Harley, who is already affiliated with the Joker, follows them on a motorcycle and intercepts their car. Joker bangs his head against the glass in frustration.”
訳:ジョーカー一味がレストランで銃を乱射したあと脱出する。ジョーカー達が車で先に逃げるが、ハーレイが後ろからオートバイで追いかけ、ジョーカーの車の前に割って入る。ジョーカーはイライラして窓ガラスに頭を打ち付ける
ここからはジョーカーとハーレイの絡みが中心になります。まずはこれ。ジョーカーが本気でハーレイにイライラしてます。ジョーカー様の前に出るとは良い根性です(笑)。
カット13(回想パート)
“Joker and Harley then get into a fight, which ends with Harley pointing a gun at Joker’s face. Joker sweet-talks Harley into lowering the gun, charming her, then backhands her across the face. Afterwards, he sweet-talks her again, and they kiss.”
訳:その後、ジョーカーとハーレイが喧嘩になる。最終的にジョーカーの頭にハーレイが銃をつきつけるが、ジョーカーは甘い言葉をかけて銃を降ろさせる。しかし直後にジョーカーが裏拳でハーレイを殴る。その後、彼は再び甘い言葉をかけ、互いに幸せなキスをする。
完全にDVカップルですね。殴る→優しくなるのコンボです。
カット14(回想パート)
“Extended Ace Chemicals scene where Harley jumps into the chemicals. More bits of dialogue from Joker.”
訳:エースケミカルズでハーレイが薬剤タンクにダイビングジャンプするシーン(※白くなるシーン)で、もっとジョーカーの細切れセリフ(=一言セリフ)があった。
肝心のジョーカーのダイアログがわからないのですが、たぶんサブリミナル的な感じで変なセリフがカットインしまくるような演出だと思います。ハーレイがジョーカーに心酔して遂に見た目もジョーカーと同化する大事な場面なので、キャラ付けには重要です。
カット15(回想パート)
“Extended Batmobile chase scene with more interaction between Joker and Harley. One of the examples, presented in all the trailers, is the Joker punching the roof of his car.”
訳:バットモービルにジョーカーとハーレイが追われるシーンで、もっと多くのやり取りがあった。(ジョーカーが車の天井を殴ったり。)
これは確かにカットしていいかも。どっちかっていうとバットマンのサービスシーンですね。
カット16
“Harley using her baseball bat as a mock gun to play shoot at invisible foes.”
訳:ハーレイが見えない敵に向かって、バットを鉄砲(ライフル銃)のようにして遊ぶシーンがカット。
これはちょっとだけ公開版でもやってましたね。ハーレイの可愛さを描くシーンなので、これもカットで良いと思います。
カット17
“Extended scene of Joker breaking into the nano-bomb manufacture facility to arrange for Harley’s neck-bomb to be disabled.”
訳:ジョーカーが、ハーレイの首の爆弾を解除するために製造工場に潜入するシーンで、もっと多くのシーンがあった。
ここは公開版だとわかりにくすぎです。急に工場に潜入して、なんかタブレットで人質を見せて、おっちゃんを降参させる(ドアを開けさせる)シーンです。正直、一回目を見た時はよくわかりませんでした。これはあったほうがいいです。
カット18
“More interactions between Harley and Boomerang. Early cuts apparently included her really disliking him despite growing affectionate to all the other members of the squad.”
訳:ハーレイとブーメランの絡みがもっとあった。初期版では、ハーレイが他のメンバーと仲良くなっていくのに、ブーメランに対してだけは嫌悪感バリバリの描写があった。
これはヤンキーの慣れ合い描写です。ブーメランも意外と狂言回しとしての出番があったのね、、、。公開版だとただのムサいおっちゃんですからね、、、。
カット19
“Extended bar scene with Harley taking everyone’s orders. Deadshot calls for a shot, Katana wants whiskey, Croc and Boomerang settle for beer, Harley asks Diablo wants, and he prefers water which she jokes, “is a good idea.” The scene was featured in the trailers, but in the movie it cuts directly to Deadshot’s speech about them all almost pulling the mission off.”
訳:終盤のバーで、予告にもあったハーレイが各自の注文を取るシーンがカットされた。デッドショットはショット(※少しのウォッカを一気飲みするやつ)、カタナがウィスキー、クロックとブーメランがビールで我慢するなか、ディアブロだけは水を頼む。「(アルコールは引火しちゃうから)いいアイデアね!」とハーレイがジョークを言う。公開版ではこのシーンがカットされ、ダイレクトにデッドショットが説教するシーンへ繋がる。
久々に出ました、ウィル・スミスのしわ寄せシリーズ。確かにこれ予告にありました。この後のシークエンスでハーレイがディアブロに説教をする布石ですね。これをカットするならウィル・スミスをカッ(以下自粛
カット20
“Removed several scenes with the Joker to repaint his relationship with Harley as more loving rather than abusive.”
訳:ジョーカーとハーレイの関係性で、ジョーカーがハーレイを口汚く罵った後で愛を囁くシーンが複数回あったが、カットされた。
再びジョーカーとハーレイシリーズ。もっとしつこくDV彼氏とドM女子の描写があったようです。
カット21
“Joker and Harley get into an argument after he rescues her in the hijacked helicopter. In early cuts he reportedly pushes her out to kill her, then the helicopter gets shot down. This was apparently reworked into the helicopter getting shot down first and Joker pushing her out to save her.”
訳:ヘリコプターでジョーカーがハーレイを救い出すシーンで、旧版では、ジョーカーがハーレイを(何かの理由で)殺すためにヘリから突き落として、その後、被弾して墜落するというストーリーだった。公開版では「ヘリが被弾する瞬間にジョーカーがハーレイを突き飛ばして彼女だけは助ける」という描写に変わった。
この改変をした人は島流しの刑です(笑)。だって、本作で一番不自然な「ジョーカーが死んだくせに、ちょっと泣いてすぐスクワッドに戻るハーレイ」という描写の意味が全然違うものになるからです。初期版なら、「ジョーカーに意地悪されてちょっと拗ねてたけど、スクワッドを見つけておどけてみせるハーレイ」になるんです。こっちなら全く違和感ないです。だって、ハーレイってジョーカーに全てを捧げるメンヘラなんだから、ジョーカーが死んだら後追いぐらいするわけですよ。
これはホントなんで変えるかね、、、。
カット22
“Joker returns during the final battle in the subway station, face half-burnt from the helicopter crash, which apparently leads to a brief altercation with the Squad. He calls for Harley to escape with him but she refuses for once in order to help her friends, and the Joker escapes after throwing a live grenade at the group to cover his own escape.”
訳:ミッドウェイシティ駅の最終決戦の最中、ヘリコプター事故で顔が半分焼けただれたジョーカーが戻ってきて、スクワッドの面々と対峙し、罵り合う。ジョーカーはハーレイに「一緒に逃げるぞ!」と言うが、ハーレイは友達を助けなきゃいけないといって断る。ジョーカーは手榴弾を投げこみ、爆風に紛れて逃げる。
これをカットはいただけない!公開版だとヘリ撃墜でフェイドアウトですが、実はジョーカーはちゃんとお話全編に関わってたんですね。これカットはダメでしょう。しかも顔が半焼けという旧作ファンへのサービス付きで!(※旧作サービスってより次回作でNEW52!版ジョーカーのデザインになる伏線ですかね。顔にデスマスクを着けるバージョンの。)
とまぁザーッと見てきたわけですが、総合しますと、「デヴィッド・エアー版オリジナル・スーサイド・スクワッド」は以下のような感じです。
- 各キャラの描写はちゃんとやってた
- ジョーカーとハーレイのDVカップル描写濃厚
- フラッグとジューンの恋愛要素も強調
- ジョーカーがハーレイを取り返しに来る話と、フラッグがジューンを取り返しに行く話が連動していた
ということは、話のメインテーマはおそらく2組のカップル、フラッグ/ジューンとジョーカー/ハーレイの対比というか、”愛の形”の物語だったわけですね。フラッグもジョーカーも「彼女を救いに行く男」であるのに、片や世界を救うために一度は諦める、片や己の所有物として固執し続ける。ここにスクワッドの団結を乗っけてくると。ハーレイは自分を助けに来てくれるジョーカーとジューンを救いに行くフラッグの姿を重ねて、協力してくれるわけです。そして、世界を救うために諦めたフラッグと、顔が半焼になってでも諦めずにしつこく追ってきたジョーカーということで、相対的にジョーカーのキャラが立つ(=狂気性が浮き彫りになる)ようなストーリーになってます。DCEUの次回作以降で、ジョーカーが出てくる布石ですね。
だけどこれが、公開版ではウィル・スミスが来たことで「親子愛」が追加・強調され、そのしわ寄せで各キャラの描写が薄まり、さらに予告業者がテイストを変えて、結果としてコミカル/軽いヤンキーノリが中心になったということです。
どう考えたってデヴィッド・エアー版オリジナルのが面白そう!!!!っていうかこっちを見せてくれ!!!!
・
・
・
というグチでした(笑)。
※ちなみに、劇場公開版は2時間03分、デヴィッド・エアー版オリジナルは2時間45分だそうです。「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」が2時間32分なので、オリジナル版でも十分劇場公開できそうですね、、、。
※2016年10月06日追記:
なんやかんやありまして、北米で11月15日開始の配信サービスと12月13日発売のBlu-rayに、未公開映像を追加するのが決まったそうです!ジョーカー絡みが中心とのことなので、スクワッドメンバーの過去話関連はカットしたままでストーリーを微修正するような感じでしょうか? 何にせよ、ジョーカー/ハーレイの描写とフラッグ/ジューンの絡みを戻すだけでもストーリーの軌道修正できそうなので、これは期待大です!
日本だと年明け早々の発売だと思いますので、要チェックです!
参照:shashfilm:‘Suicide Squad’ エクステンデッド・カットがご家庭に来るぞ!
http://www.slashfilm.com/suicide-squad-extended-cut/
日本でも発売が決まりました。要チェック!
スーサイド・スクワッド/悪党集団、戦う。| 映画感想 * FRAGILE |
http://fragile.mdma.boo.jp/?eid=1065848
『スーサイド・スクワッド』この作風でよかったの?(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)| カゲヒナタのレビュー |http://kagehinata64.blog71.fc2.com/blog-entry-1202.html
[スポンサーリンク]