2本目は
「ベスト・キッド(リメイク)」です。
評価:
– スミス家のホームビデオ。【あらすじ】
12歳のドレは母親の転勤で中国・北京へ移住してくる。移住したその日、彼は公園で女の子をナンパするが、その子がガキ大将の意中の子だったことからさぁ大変。その日よりドレはガキ大将一味に目を付けられてしまう。追いかけまわされたドレを救ったのは、アパートの管理人・ミスターハンだった。彼らはガキ大将の道場にケンカを売りに行き、カンフートーナメント大会で決着を付けようと提案する、、、。
【三幕構成】
第1幕 -> ドレの引っ越し。
※第1ターニングポイント -> ドレがミスター・ハンに弟子入りする。
第2幕 -> ドレの修行と七夕祭り。
※第2ターニングポイント -> トーナメントが始まる。
第3幕 -> 大会の模様。
【感想】
さて、2作目は先行公開という体の「ベスト・キッド(リメイク版)」です。余談ですが、最近先行公開といいつつ普通に土日に4回も5回も上映する作品が増えているんですが、これどうなんでしょう? もちろん先行公開の客はそのまま初週の動員数にスライドできるという裏ルールがあるため土・日分をチートできるというカラクリなんですが、客からするとあんまり意味がありません。しかも先行公開した作品で初週一位を逃すと超恥ずかしいというデメリットもありますw とはいえ、本作はかなりお客さんも入っていましたので、なんとか一位はとれそうです。
本作の立ち位置。
本作はキャラクターの名前と舞台が変わっているだけで、オリジナルの「ベスト・キッド」をほぼそのままコピーリメイクしています。台詞単位までほとんど同じです。皆さんご存じだとおもいますが、本作はウィル・スミス夫妻が制作で主演が息子のジェイデン・スミスです。要は、ウィル・スミス夫妻が小学校卒業記念に主演映画をプレゼントしたというだけの話です。ミヤギ師匠役(今回はミスター・ハン)にジャッキー・チェンをキャスティングしていることからも、ウィル・スミスの息子に賭ける意気込み(=親馬鹿っぷり)が伺えます。しかし、、、非常に残念ですが、この息子は酷すぎますw
ジェイデン・スミスという”スター”
ほぼ丸々コピーリメイクである本作は、オリジナルと大きく変わっている箇所が3つあります。1つは見ての通り、競技が「空手」から「カンフー」に変わっている点です。とはいえ、実はこれはあんまり大したことはありません。というのもオリジナルだってダニエルは最後に「鶴の構え」を使うわけで、全然空手じゃないからですw なんの問題もありません。
2つ目はこれも見ての通り、師匠がノリユキ・パット・モリタからジャッキ-・チェンに変わっている点です。これは良くも悪くもですが、パット・モリタが実際には空手が出来ないのに対して、ジャッキーは素で武術の達人です。なので、パット・モリタの持つ「胡散臭さ」が大幅に減り、代わりに訓練シーンやチンピラから主役を救うシーンが豪華になっています。
3つめはこれも見ての通り、主役が青年から子供に変わっています。これははっきりいって全面的にマイナスです。単に説得力の問題もあるんですが、それ以上にジェイデン・スミスが酷すぎます。
で、やっとこさジェイデン・スミスの話なんですが、このクソガキがまったく可愛くないんです。態度が悪いというか、すでに父親のもつ「俺様チンピラオーラ」がビンビン出ていますw どれくらい「俺様」かというと、全ての場面でジェイデンのアゴが上がっていて物理的に他人を見下す目線になっていますw それはジャッキーに対しても明らかです。私たちのアイドル・ジャッキーすら馬鹿にしてるのかと思うと、思わずぶっ飛ばしたくなりますw
実はこのジェイデンへの変更でストーリー上のニュアンスが大分変わってしまっています。というのも、例えば本作のそもそもの発端であるチンピラとのケンカは、どう見てもドレが悪いように見えますw そしてその後の水掛け復讐場面も、どう見てもやり過ぎです。オリジナルでは水道水をホースでかけただけなのに、本作ではあきらかに健康に悪い汚水をかけます。そんなことしたらリンチされて当然です。
これは非常に重要な問題で、要はオリジナルのダニエルはヘタレだけど真面目だったのに、本作のドレはクソ生意気でケンカっ早いチンピラなんです。これじゃ、そもそもの師匠の教え(「空手/カンフーは防御の技だ」)に反してるんです。全然共感できないw 恐ろしいのは、セリフをほとんど変えていないのに、ジェイデンという悪い意味でスター性のある人間のオーラだけでこの感じ悪さが付加されている点ですw ジェイデン、、、恐ろしい子、、、。
もう一方のスター、ミスターハンも「ジャッキーである」以上の背景がありません。キャラとしてミヤギさんよりも明らかに薄っぺらいんです。でもそこはジャッキーなんで大丈夫ですw だって誰がどう見ても達人にしか見えませんからw
そう考えると、ジャッキーをキャスティングしたのは大正解です。
【まとめ】
本作は、エンドロールに作品の全てが詰まっています。ジャッキーのカンフー映画ではお馴染みのNGシーン集の代わりに、本作ではメイキング的な撮影風景の写真が流れます。が、、、が、、、、ウィル・スミス写りすぎwww
写真の半分ぐらいが映画と関係無いウィルとジェイデンの親子写真なんです。つまり「スミス家の中国旅行写真」w
結局、本作はあくまでもウィル・スミス夫妻が息子に贈ったプレゼント以上のものではありません。映画としては明らかにオリジナルの方が数段上ですし、ジェイデンのプロモとしても相当厳しいです。特にラストのカンフートーナメントで明らかなCGを使っているのがアクション志望としてはダメダメです。
残念ですが、ウィル・スミスに思い入れのある方、または生意気なクソガキが大好きな方にのみオススメです!!!