パブリック・エネミーズ

パブリック・エネミーズ

「パブリック・エネミーズ」を見てきました。
ギャング映画なのかラブストーリーなのか、宣伝方針をハッキリしたほうが、、、。

評価:(65/100点) – ジョニー・デップのアイドル映画なんですが、ちょっとショボイです。

【三幕構成】

第1幕 -> ジョンと仲間と銀行強盗
 ※第1ターニングポイント -> ジョンがビリーと出会う
第2幕 -> ジョンとビリーの関係とジョンの逮捕・脱獄
 ※第2ターニングポイント -> ビリーが逮捕される
第3幕 -> ネルソンとの銀行強盗とジョンの最期


【あらすじ】

ジョン・デリンジャーは銀行強盗である。1930年代、大恐慌後の荒んだアメリカでは数多くのギャングスターが存在していた。そんな中でジョンは「パブリック・エネミー(皆の敵)No.1」として中部を舞台に銀行強盗でその名をとどろかせる義賊であった。ある日シカゴで銀行を襲った打ち上げの席で、彼はビリーという女性に一目惚れする。ビリーを物にした彼は、場所を転々としながら全米各地で銀行強盗を働く。しかしホテルのオーナーからの通報で逮捕され、脱獄したもののギャング仲間から煙たがられてしまう。落ちぶれた彼はネルソンと組み銀行強盗を行うが、その夜ウィスコンシンの隠れ家でFBIの襲撃を受け、側近にして最後の仲間であったハミルトンを失う。
三ヶ月後、彼はシカゴに戻りガールフレンドのポリーと彼女のつとめる売春宿を経営するアンナと3人で映画館へ行く。しかしアンナはFBIと内通していた、、、。


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【感想】

特に近年のジョニー・デップは「頭のおかしい人」役が多かったため、久々に硬派で格好良い役どころとなります。リバティーンで詩人を演じて以来でしょうか。
なんの文句もなく今回のジョニー・デップは格好良いです。ただどうしても伝記物にありがちな地味で興味が続きづらいという欠点があります。
今回は面白い題材として”犯罪者を格好良く描く”事を考えてみたいと思います。

本作におけるジョンとネルヴィンの描き方。

いきなりですが本作の主人公であるジョン・デリンジャーは言わずもがなの極悪人です。人殺しはするは銀行強盗はするは、仲間の脱獄を手引きしたりもします。ごっつい犯罪者です。
一方のネルヴィンは正義感に燃えるFBIの捜査官です。(本当は前身のDOIです。この頃まだFBIはありません。)
しかも優秀な切れ者です。
さて、「正義感に燃える捜査官」と「凶悪なお尋ね者」のどちらが”良い奴”でしょうか?
普通は捜査官ですね。ところが本作の主人公は「凶悪なお尋ね者」です。このために両者の描き方が上手く工夫されています。
それはジョン・デリンジャーの素性や仲間との食事などを多く描く一方で、ネルヴィン捜査官の”私的な時間”を一切描かないことです。ジョンには仲間や恋人が居ますが、ネルヴィンに奥さんや子供がいるかは分かりません。ネルヴィンはいつも渋い顔をしていて、ジョンを捕まえ仕留めるために執念を燃やすシーンしかありません。
ですから観客はデリンジャーを身近に感じる一方で、ネルヴィンをまるで嫌がらせをするストーカーのように感じてしまいます。本当はやってる内容は100%ネルヴィンの方が良いんです。でも、クリスチャン・ベイルの「ちょっとイヤミな感じ」の顔も手伝って(失礼)、まったく正義のヒーローには見えません。
これは非常に上手い演出です。さすがマイケル・マン。男臭さを撮らせれば天下一品です。普通すぎてつまらないという点ではローランド・エメリッヒと一緒ですが、彼のような”やっつけ感”が薄いことがマイケル・マンの何よりの美点です。
良い役者を使ってつまらない内容の話を無難に撮る。まさに職人ですね。

【まとめ】

結構よくできた伝記映画だと思いますが、正直言って、派手さはありません。予告編で映っている部分が派手なシーンの全てです。そしてキャッチコピーにあるようなラブストーリーもそんなに大きなウェイトを占めていません。やはりマイケル・マンの他の作品と同様に、男と男の汗臭い友情と信頼の物語です。
ですから、ジョニー・デップの熱狂的なファン以外の女性には厳しい物があると思います。しかし男性には受けると思います。やっぱり男は銃持ってのし上がってナンボですしね(笑)。
ということで、ジョニー・デップやホモソーシャルが大好きな女性と男性にはお勧めです!
ギャング映画としても結構ヌルいですが、2時間30分が割とあっという間に過ぎると思います。

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