クレイジー・ハート

クレイジー・ハート

ワールドカップの小休止期間にたまった分を一気に書いてしまいますw

クレイジー・ハート」をみました。

評価:(75/100点) – 溢れるジェフ・ブリッジスの人間力


【あらすじ】

カントリー歌手の“バッド”・ブレイクはかつて一世を風靡したが、今はかつての弟子トミー・スウィートに人気を大きく離されドサ回りを続けていた。そんな中、地方新聞の記者をするバツ一子持ちのジーンと出会う。やがてジーンはバッドの心の支えとなっていくが、、、。


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【感想】

まとめ書き4本の最初はクレイジー・ハートです。なんか細かい内容を半分忘れてるんですが(苦笑)、、、楽しかった印象だけはハッキリと残っています。
「かつてのスターがドサ回り」というと、どうしても昨年のミッキー・ローク主演「レスラー」を連想してしまうんですが、同じ負け犬映画でもこちらは最後にポジティブな着地を見せます。プロットも大変よく似てまして、そして題材であるカントリーソングも一聴してかなり良い感じな雰囲気が伝わってくる点でも同じです。もっとも分かりやすさで言えば、間違いなく本作の方が上です。私はプロレスオタクも兼ねてますので「レスラー」はどストライクでしたが、一般的にはどうしても「ドサ回り歌手の作詞家・作曲家への転身」の方がしっくりくると思います。
厳密には負け犬というよりは才能あるダメ人間ですが、それがジェフ・ブリッジスという「未完の帝王」の人間力によって説明がなくてもハッキリと伝わります。もう本作はジェフが全てと言ってしまってもいいかも知れません。彼の憎めない愛らし雰囲気によって、バッドを慕うコリン・ファレルまで気の良い若造に見えてくるんです。マギー・ジレンホールもまだ若いのに人生に疲れたおばちゃんの味わいがとてもよく出ていて、素晴らしかったです。
逆に言えば、役者達の力以上には話が転がらないという不満はあります。予告編で感じる以上の”何か”はありませんでした。でも、このジェフ・ブリッジスはもっと見ていたいですし、どうしようもないけど幸せになって欲しいんです。
そういった意味では文句なしでオススメ出来る作品でした。

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ダブル・ミッション

ダブル・ミッション

今日の1本目は

ジャッキーの米進出30周年記念作品
「ダブル・ミッション」です。

評価:(70/100点) – ジャッキー健在!!! これぞB級アイドル・アクション映画。


【あらすじ】

ボブ・ホーは中国からCIAに出向しているスパイである。彼は隣人のバツ一子持ちのジリアンと恋仲になり、結婚を意識してスパイを引退することにした。
ある日、ジリアンの父が入院することになり、ボブは三人の子供のお守りを買って出る。しかし長男イアンがボブのMACをいじってロシアの極秘データをダウンロードしてしまったことから、一家はロシア当局から狙われてしまう。しかもCIAにはロシアへの裏切り者がいるらしい。果たしてボブは子供達を守りきることが出来るのか、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ボブの最後の仕事。
 ※第1ターニングポイント -> ボブが子守りを買って出る。
第2幕 -> ロシア当局からの逃亡。
 ※第2ターニングポイント -> ジリアンが戻ってくる
第3幕 -> 直接対決。


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【感想】

本日の1本目はアクション・コメディ映画「ダブル・ミッション」です。年配の方を中心に結構お客さんが入っていました。やはりジャッキー・チェンのネームバリューは一定年齢以上には刺さるんでしょうか?かくいう私もカンフー好きなので楽しませてもらいました。
本作は完全にコメディ映画ですから、リアリティ・レベルは相当低いです。ある程度酷い事になってもギャグで済んでしまいますし、そもそもからして奪い合う技術というのが漫画的です。ある意味超絶的なジャッキーの体技(ワイーアクション含む)がコメディと親和性があるという事なんですが、いつまでたってジャッキーの愛嬌と動きは変わりません。香港アクション・スターの系譜ではジャッキーの次にはジェット・リーやドニー・イェンが来るわけですが、コメディ色というと未だにジャッキーはバリバリの第一線です。
最初っから最後までジャッキーの魅力全開のアイドル映画となっていまして、子供達を手名付ける様子も含めて大変愉快な作品です。
全体的に少し類型的すぎて漫画的な表現が多いコメディですので、ストーリーに関しての矛盾はあまり気になりません。ただただ90分間テンション高く見ることができました。
今回はジャッキー得意のシチュエーション・アクションに独創的な部分はありません。大きく分けて、階段・立体アクション、ハシゴ&棒術アクション、自転車アクション、キッチン・リビングアクションです。どれもジャッキーの過去作で見覚えがありますが、かえってそれがアニバーサリー感を強めています。
そういった意味ではジャッキーを見るためだけのお祝い映画ですので、過度な期待は禁物です。ですが間違いなく、愉快な90分を過ごせると思います。間違いなくお勧めです!!!

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ラスト・ソング

ラスト・ソング

本日は二本です。
一本目は

マイリー・サイラスの「ラスト・ソング」を見てきました。

評価:(50/100点) – 良くも悪くも普通のアイドル映画


【あらすじ】

ロニーは弟と共に夏休みを利用して離婚した父に会いにやってきた。多感な反抗期を迎えるロニーはすぐに地元のヤンキー娘と親しくなり、ほとんど家には戻らない。やがてロニーは知り合ったウィルと恋仲になっていくが、彼は父の起こした教会火事に関与していた、、、。


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【感想】

本日の1本目は「ラスト・ソング」です。主演は「ハンナ・モンタナ」でお馴染みのマイリー・サイラス、、、なんですが、なんといいましょうか、、、、栄養満点というか、、、成長したというか、、、太ったふくよかになりました。
話としてはなんてことはありませんで、要は「一夏の思い出に、金持ちでナイーブだけど押しの強い理想のイケメンに言い寄られちゃってどうしよう」という身も蓋もない言い方をすればマイリーを可愛く撮るためだけの薄~~~いアイドル映画です(笑)。劇中のイベントというのも本当にくだらないどうでもいいことばかりなので、別に貶す気も起きません。水族館でデートとか、彼氏の親にちょっと変な子って思われたけど彼がフォローしてくれて超ハッピーとか、まるで「女子向けギャルゲー(?)」のように直接繋がらない単発イベントの連続なので、成長とかそういうストーリーも特にありません。
原作は未読なんですが、公式HPを見る限りだと原作も主演マイリーを想定して書いたライトノベルみたいです。ですから、はっきり言えばマイリー・サイラスさえ可愛く撮れていればそれで目的達成というか十分なんです。
ところがですね、、、、肝心のマイリーが、、、、いや、仕草は可愛いんだけど、、、太った栄養とりすぎというかむくんでるはち切れんばかりの若さというか、、、、まぁ微妙なんですわ、正直(苦笑)。
余談ですが、あまりにもゴシップネタが多すぎて、あんまりマイリーを清純派女優で売るのは無理なんじゃないかと思います。
やっぱり白人の子役って劣化が凄いなと改めて思いました。そういった意味でも、ダコタ・ファニングは半端じゃないです。

【まとめ】

劇場にもほとんど人が入っていませんでしたので改めて言わんでも大丈夫だと思いますが、本作はマイリー・サイラスを見るためだけの映画です。もちろん、イケメンの王子様を見に若い女性が、、、という「花より男子」的な見方も可能でしょうが、もしそれを期待して見に行くと、マイリーの自己主張が強すぎて相当反感を抱くと思います。
完全にマイリーのためだけのアイドル映画ですので、マイリーのファンに限って大プッシュいたします!!!
ちょっと7月11日から始まる「ハンナ・モンタナ シーズン4」が不安になってきました(笑)。

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マイ・ブラザー

マイ・ブラザー

今日は

「マイ・ブラザー」です。

評価:(45/100点) – 劇場予告で全部言ってるやんけ~~~~!!!!。


【あらすじ】

サムは海兵隊員。二人の娘と妻を残し、アフガニスタンへの派兵が決まった。一方、サムの弟トミーは銀行強盗の服役からようやく出所したばかり。父からは出来損ない扱いされ、常に優秀な兄と比較されてきた。サムがアフガンに出兵したのち、トミーは自身がサムの代わりとなってサムの家族の面倒を見るようになる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> サムと家族。またはトミーの出所。
 ※第1ターニングポイント -> サムがアフガニスタンへ行く。
第2幕 -> サムのアフガニスタンでの出来事。トミーとサム一家との交流。。
 ※第2ターニングポイント -> サムが戻ってくる。
第3幕 -> サムの奇行。


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【感想】

本日は一本、「マイ・ブラザー」を見てきました、お客さんは3~4割くらい入っていました。この手の作品にしては入っている方だと思います。ナタリー・ポートマンとキャリー・マリガンという当代と次代のスターの共演作でもあり、デンマーク映画「ある愛の風景」のリメイクでもあります。
本作なんですがなんとも言えない感じでした。というのも終始2つの物語がグッチャグッチャに混ざり合っており、ぜ~んぜん収束しないからです。
2つのストーリーとは当然、「帰還兵の精神障害の問題」と「自信を亡くした負け犬が他人と交流を持つことで社会復帰していく話」です。要は兄の話と弟の話なんですが、これが交互に語られてしまうため、何が何やらさっぱりな感じになってしまいます。特にマズイのがサムが捕虜となっている姿を描写してしまうことです。スクリーン上はグレースが旦那が死んだと思って嘆いているのに観客は彼が生きてることを知っているという変な状況になってしまい、とんでもなく冷めてしまいます。
しかも、このグチャグチャの2つのストーリーに落とし所がありません。良くも悪くもヨーロッパ映画っぽい宙ぶらりんさなのですが、中途半端で切られてしまうためにとても不誠実な描き方に見えてしまいます。
またこの構造的な難点以外にも、特にアフガニスタンの描き方についてどうかと思う描写が多くなっています。「お父さんが殺すのは悪い奴だけだよ。」「悪い奴って誰?」「あごひげがある人。」という恐ろしいギャグを皮切りに、アフガン人が蛮族以上の描かれ方をしません。別にアメリカ映画の戦争描写に文句を言っても仕方がないんですが、それにしても酷すぎます。だから後半のPTSD気味になったサムの様子もあんまり感慨を持って見られないんです。なんだかなというか、、、、ハッキリ言いまして別にリメイクしなくて良かったんじゃないでしょうか。拍子抜けというよりは私の嫌いなタイプのハリウッド映画でした。
もちろん俳優達は本当に頑張ってると思います。ちょっとキャリー・マリガンの使い方がもったいないですが、気の強い役が多いナタリー・ポートマンもいつもより繊細そう見えますし、トビー・マグワイアはきちんとイっちゃってる人の目になってます。ジェイク・ギレンホールだって、中盤以降は優しいおじちゃんに見えてます。それだけに、、、ストーリーのとっちらかりっぷりがただただもったいない限りです。
すくなくとも、アメリカ国外に輸出するような映画では無かったと思います。アメリカ人がアメリカ国内で消費していればいいような問題設定と描き方ですから。
またこれは完全に余談ですが、またしてもGAGAのオリジナル邦題はアウトです。この話は弟と兄の2つの話が語られるから「Brothers(兄弟)」なんです。「マイ・ブラザー」だと「僕の兄さん(or弟)」となってしまい、どちらか一方が主役になります。それだと話が変わってしまいますので、これは素直に「ブラザーズ」と直訳するべきだったと思います。

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エンター・ザ・ボイド

エンター・ザ・ボイド

2本目は

「エンター・ザ・ボイド」です。

評価:(41/100点) – 輪廻転生は分かったから、もっとコンパクトにまとめて。


【あらすじ】

新宿で麻薬の仲介人をしているオスカーは、ある日友人のビクターの裏切りに合い警察に射殺されてしまう。彼の魂は空中を彷徨いはじめ、過去へと流れ着き、やがて転生を迎える。

【三幕構成】

第1幕 -> オスカーのトリップ。
 ※第1ターニングポイント -> オスカーが殺される。
第2幕 -> 過去の回想。
 ※第2ターニングポイント -> 回想が現実に追いつく。
第3幕 -> 転生。


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【感想】

今日の2本目はギャスパー・ノエの新作・エンター・ザ・ボイドです。結構お客さんが入っていましたが、やはり圧倒的に映画オタクっぽい一人で来ている方が多かったです。まぁギャスパー・ノエっていう時点でえげつない映画なのが確定していますので、なかなか普通の人は入らないと思います(苦笑)。一組だけ学生のダブルデートみたいな方がいたのですが、なんといいますか、ご愁傷様です。R18+のアート系映画に紛れ込んだ方が悪い(笑)。

ざっくり

あんまり内容の無い作品なのでざっくりと概要を言ってしまいます。映像はたしかに独創的なのですがストーリーは至ってシンプルで、上記の「あらすじ」が全てです。オスカーが死ぬところが真っ先に描かれ、そこから彼がなぜ死に至ったのかの説明があり、そして遺された妹と友人の結末を見届けた後、彼は転生します。

唯一面白いのは、その視点が全てオスカーの主観で描かれることです。冒頭では彼がドラッグでラリっている描写を延々と見せられます。それを主観として描くことで、CGモデルで気持ち悪い万華鏡のような映像が流れます。そしてその直前に本作でもっとも重要な会話、すなわち、「死ぬと空中を漂って空から地上を見ることが出来る」「(オスカーとリンダは)ずっと一緒だよ。」「DMTは死ぬ直前に脳内に出る物質と同等」という内容が示されます。

実は本作は奇抜なルックに似合わず律儀に作られています。冒頭でオスカーのDMTトリップ映像を見せ、それを死ぬ時と同じだとわざわざ説明してくれます。ですから、中盤以降に出てくる変な映像が全て死後の魂の主観だと分かるようになっています。そして、分かりやすく提示されるチベット仏教のリインカーネーション(輪廻転生)の概念。ずっと一緒と誓った妹が死ぬまで、彼は空中から見守り続けます。そして最後には、彼は自分や妹のあまりに無常な人生が実はまったく虚無(=void)であったと気付き、悟りを開くかのように転生を行います。

こう書くと結構面白い作品に思えるのですが私的にはかなり厳しかったです。というのもやはりテーマに対して尺が長すぎるんです。しかも完全にワンパターンな演出が繰り返され続けます。オスカーが空中を漂うシーンが全て垂直カメラの水平移動という乗り物酔い確実な映像で表現されます。正確には分かりませんが、おそらく体感では全体の4割ぐらいはこの映像だったと思います。

そして何の意味があるかよく分からない性描写の数々。いや、最後のオスカーの空想ホテルはおそらく生命の袋小路というか輪廻転生の実現場って感じだとおもうんですが、それ以外がなんとも言えないんですね。別に妹がストリップ小屋で働くのは勝手なんですが、そこの雇い主のマフィアとの件はどうでも良いと思うんですが、、、。終盤に妹の身に起こるあるイベントのための伏線ではあるんですが、それにしては長すぎてどうでも良くなってきてしまいます。
この作品が90分くらいにまとまっていれば、かなり褒めていたと思いますし、結構好きな映像作品だったと思います。でもやっぱり140分もチカチカした刺激的映像を見せられるのはキツいです。恐ろしいことにカンヌ国際映画祭で流したのは160分バージョンらしいんですが、そんなの完全に拷問ですよ。ルドヴィコ療法かっていう(笑)。

【まとめ】

もし興味がある方は、体力のあるときに映画館へ行くとよいでしょう。間違っても仕事帰りとか寝不足の時にはいかないように(苦笑)。ギャグ無しで「てんかん」の発作を起こす危険があります。くれぐれもお気を付け下さい。

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プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂

プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂

本日はレイトショーで

「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」を観てきました。

評価:(75/100点) – 予定調和の爽快感と安心感と平凡感


【あらすじ】

貧民街で孤児として育ったダスタンは、ペルシャ王の目に留まり養子に迎えられた。それから15年、ダスタンは二人の兄とともに聖なる都・アラムートを攻め落とす。そこには美しいダガーと美しいタミーナ王女が居た。しかしその勝利の宴の席で、ダスタンが贈ったローブを纏った父王が毒で死んでしまう。暗殺容疑を掛けられたダスタンは命からがらタミーナ王女とともにアラムートを脱出した。ダガーに拘るタミーナと、暗殺を長兄・タスの王位簒奪と疑うダスタン。2人は、父王の葬儀に潜り込むため、再びアラムートを訪れる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> アラムート攻城戦。
 ※第1ターニングポイント -> 父王が暗殺される。
第2幕 -> 暗殺容疑を晴らすための冒険。
 ※第2ターニングポイント -> ハッサンシンにより寺院が襲撃される。
第3幕 -> ダガーを砂の時計に戻すための冒険


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【感想】

本日の新作レイトショーは「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」です。ディズニーとジェリー・ブラッカイマー・フィルムのコンビが贈るパイレーツ・オブ・カリビアン路線の実写娯楽アクション映画です。今週末公開の中では一番の大作と言うこともあってか、結構お客さんが居ました。

作品の概要

本作は2004年発売の同名アクションゲームの映画化です。とはいえ話はかなり変わっています。ダガー・オブ・タイム(時の短剣)を巡って、暗殺容疑を晴らしたいダスタン王子と、ダガーの守護者たるタミーナ王女、そしてダガーで昔に戻って兄を出し抜きたいニザムの3者が奪い合いを行います。お宝の奪い合いという分かりやすいフォーマットにアクションとロマンス要素を詰め込んだ作品ですから、老若男女問わずリラックスして適当に見るには最適な作品です(笑)。私も相当に楽しませていただきました。
なにせ本作は歴史的ゲームシリーズの映画化ですから、いかにその飛んだり跳ねたりするゲーム要素を見せるかが鍵になってきます。これはそのままパルクール・アクションに置き換えることで見事に成功しています。少し空撮の旋回映像が多すぎる気もしますが、いかにも中東っぽい町並みをガンガン飛び越えて行く様子はかなり爽快です。シャムシールを使った剣術アクションも、カット割りが早すぎてよく分からないと言う不満を除けば、ジェイク・ギレンホールの肉体性が良くでていて大変面白いです。このあたりのアクションに関してはとても良く出来ていると思います。ところが、、、
やはり不満はストーリー部分に集中してしまいます。というのも、物語上不要な行ったり来たりが多すぎて、かなり無駄でまわりくどいエピソードが多くなっています。せっかくイケメン王子と美女の逃避行なのに、きちんと落ち合って目的が一致するまでに1時間以上かかってしまうのは結構痛いです。また、「ダガーの時間戻しは1分までしかできない」という設定が割と途中から崩れ始めます(苦笑)。時間戻しに制限がある状況ではおかしい計画や作戦がいくつか見受けられます。
そしてなんと言ってもクライマックス以降の大団円に向かう部分です。「おまえ、それ口で言うだけかい!」みたいなストーリー上それでいいのかと思うほど適当な説得でみんなが納得してしまったり、そもそも面識が無く無愛想な王女が突如結婚を承諾したり、時間戻しの設定が全然生かし切れていません。本作における時間戻しは「ダガーのスイッチを入れた者だけが記憶を保持して時間を遡れる」のですから、最後は元のサヤに戻らないとおかしいんです。そしてもう一つ、時の砂だけはたとえ時間をもどっても消耗品として失われてしまいます。だから、例えば最後のシーンは「王女がダガーの柄を見て、ダスタンが時間を逆行してきたのに気付いた」みたいな描写を入れないとさっぱり通じなくなってしまいます。タミーナ王女は無愛想なのが魅力なのに、この終わり方ではなんかナンパされたギャルみたいでイマイチです。

【まとめ】

クライマックス以降に不満はありますが、とても良く出来たエンターテイメント作品だと思います。ジェリー・ブラッカイマー・フィルムの面目躍如です。ディズニーなので当然えげつない描写は出てきませし、安心して見られる良作です。
惜しむらくは、もうちょっとタイムトラベルならではの面白さを入れて欲しかったです。

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処刑人II

処刑人II

昨日は

処刑人Ⅱ」をみました。

評価:(70/100点) – 処刑人ファン必見のファンムービー


【あらすじ】

ジョー・ヤカヴェッタに正義の鉄槌を下したセインツことマクナマス兄弟は、父とともにアイルランドに隠居して農場暮らしをしていた。しかしそんなある日、ボストンの教会で一人の神父が殺害される。セインツを模した殺害方法を「挑戦状」と受け取った二人は、再びボストンへと戻る決意をする。一方、ジョー・ヤカヴェッタの息子コンセシオ・ヤカヴェッタは、父の仇討ちに燃えていた、、、。・

【三幕構成】

第1幕 -> セインツの今。そして神父殺害事件。
 ※第1ターニングポイント -> セインツがボストンに着く
第2幕 -> セインツの捜査。
 ※第2ターニングポイント -> ヤカヴェッタ・ファミリーを皆殺しにする。
第3幕 -> 黒幕との対決。


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【感想】

昨日見てきたのは、「処刑人Ⅱ(The Boondock Saints II: All Saints Day)」です。1999年に限定公開された「処刑人」の続編です。前作もそこまで名前の売れている作品ではありませんが、劇場にはかなりのお客さんが入っていました。
本作は端的にいって「ファン専用の続編」です。前作であった重たいトーンを完全に廃して、ギャグやホモソーシャル的な部活感だけを超拡大したものです。なので、いわゆる「キャラもの」です。前作が好きなファンからすれば「またあの”兄弟&お笑い担当外人”トリオが帰ってきた!」って感じでかなり好意的に受け取られると思います。私もその口です。しかし話はかなりアバウトですし、なにせ前作を見ていることが大前提で物語が進んで行きます。「1でウケた要素を拡大して2を作る」というのはよくある手法です。まさにそのものというか、何の捻りもない「ファン専用の続編」です。ですから、実は本作についてあんまり書くことがありません(苦笑)。
敵は前作のボスの息子ですし、前作で死んだイタリア人相棒・ロッコの代わりにはメキシコ系の新キャラ・ロメオが登場します。敵も一緒、配置も一緒、オチはことごとく前作のキャラネタ。120%純粋なファンムービーです。
映画単体としてはかなりB級で頭の悪いアクション・エクスプロイテーション映画です(笑)。でも、前作のファンとしては全然問題ありません。頭からっぽにして、セインツのイチャイチャした感じにテンション・ガン上がりです。
前作のファンだったら何を置いても行くべきですし、前作を見たことが無い人はまずは「処刑人」を見て下さい。変に他映画のパロディを多用していたりもしますので、コメディ/バディ・ムービーとして十分に楽しめると思います。

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ザ・エッグ~ロマノフの秘宝を狙え~

ザ・エッグ~ロマノフの秘宝を狙え~

本日は

ザ・エッグ~ロマノフの秘宝を狙え~」を見てきました。

評価:(15/100点) – も、盛り上がらない、、、。


【あらすじ】

ベテラン泥棒キース・リプリーは、殺された相方のビクター・コロレンコの代わりに若いガブリエルをスカウトする。二人はロマノフ王朝最後の秘宝にして4000万ドルの価値がある二対の装飾卵を盗み出す計画を立てる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ガブリエルがスカウトされる。
 ※第1ターニングポイント -> 警官慰労パーティーに紛れ込む。
第2幕 -> 卵の略奪計画。
 ※第2ターニングポイント -> 卵を手に入れる。
第3幕 -> 終幕。どんでん返しいっぱい。


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【感想】

本日は「ザ・エッグ~ロマノフの秘宝を狙え~」です。レイトショーでしたが、お客さんが10人ぐらいは入っていました。全然宣伝していない作品としては結構盛況です。
本作品は、アメリカとイギリスで昨年発売されたビデオ映画です。昔のVシネマみたいなやつです。低予算なので、1.5流ぐらいのギャラの有名スターを看板にして、お話で勝負するようなタイプの作品です。監督は久々に聞くミミ・レダー。ディープ・インパクトで有名ですが、2000年のペイ・フォワード以降はテレビドラマの脚本をずっとやっていました。本作も制作されたのは2007年ですが、二年間お蔵入りしていました。お蔵入りの理由は見るとよく分かります(笑)。駄目だこりゃ。

本作のディティール

え~本作のデティールは超適当です。それも「パリより愛をこめて」のような「頭悪っ(笑)」って感じの適当さではなく、下手に真面目にやろうとしている分だけ救いようが無い感じです。二幕の終わりまでは、二人のデコボコ・コンビが強盗するだけの話でそれなりにお色気もあったりして何とか耐えられるのですが、三幕に移りますと怒濤の後出しジャンケン祭りが始まります。「実はこの人はこうだったのだ!」みたいなのが山ほど出てくるんですが、完全に後出しジャンケンで、話が矛盾しまくって収拾がつかなくなってしまいます(苦笑)。
おそらくコレに一番近い感覚は「ワイルド・シングス」です。あの過剰な後出しの連続で、もうどうでもよくなっていく感覚(笑)。伏線も何も無いのに、どんでん返しっぽい演出を重ねて無理矢理勢いをつけようとする感じがまさしく「ビデオ映画」のテイストですっごいテンションが下がります(笑)。
面白いとか面白くないとか以前に、盛り上がりません(苦笑)。いや、つまんないんですけどね。

【まとめ】

なんといいましょうか、、、モーガン・フリーマンの無駄使いです。アントニオ・バンデラスもアルモドバル時代の繊細さがゼロで「イメージとしてのヒスパニック系色男」以上のキャラではありません。これは何というか、、、蔵に突っ込んで見なかったことにした方が良かった気がします(苦笑)。
褒めるところがあるとすれば、唯一、ラデ・シェルベッジアの存在感だけが良かったです。今年公開のハリーポッター最終作にも出ますので期待大です。
ということで、ちょっとオススメしづらいかな、、、という微妙な作品でした。あとコレは本当に腰を抜かしたのですが、2010年にもなって劇場の大音響でt.A.T.uは無理(笑)。いまでも残っているのなら、t.A.T.uファンには超オススメです!!!

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