ヒックとドラゴン

ヒックとドラゴン

本日は二本です。
1本目は

ヒックとドラゴン」を見ました。

評価:(95/100点) – ちょっと説教臭い傑作ファンタジー。


【あらすじ】

襲い来るドラゴン達と戦うバイキングの村で、村一番のドラゴンハンターの息子・ヒックはヘタレと思われていた。ある日、彼は自分の能力を証明するため自動投げ縄機を開発する。実践で初めて使った日、彼は誰も見たことのない伝説のドラゴン、ナイト・フューリーを打ち落とす。後日ドラゴンの落下地点へと出向いたヒックだったが、どうしてもトドメを差すことが出来ずに縄をほどいて解放してしまう。自分のせいで尾びれをケガしたドラゴンを放っておくことが出来ないヒックは、やがてドラゴンの世話をし、交流を深めていくことになる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 村がドラゴンに襲われる。
 ※第1ターニングポイント -> ヒックがトゥースレスに魚をあげる。
第2幕 -> ヒックとトゥースレスの交流。
 ※第2ターニングポイント -> ストイックがドラゴンの巣へと向かう。
第3幕 -> レッドデスとの戦い。


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【感想】

本日の1本目は「ヒックとドラゴン」です。全米では大ヒットなんですが、あんまりお客さんは入っていませんでした。年齢層もかなり低く、子供達が大騒ぎして全然映画に集中出来ませんでした。
とはいえ、本作は本当にすばらしいです。ストーリーも、キャラクターも、演出も、文句の付けようがありません。強いて言えば一部のキャラが類型的過ぎるんですが、それも「3DCGアニメ」という類型的でも許される絶妙なリアリティラインに後押しされてそこまで気になりません。
本作は非常に良くあるタイプのファンタジーです。対立する種族間での交流とそれを巡る周囲との軋轢、そして最終的には両種族で共通の敵を倒すという所に着地します。この基本系に仲間との交流や父親との不器用な関係がプラスされるわけです。
ただの成長物語と言えばそれまでなのですが、この「どうしようもないヘタレが世界の価値観を変えてしまう。」ということ自体で、もう十分ガッツポーズが出るような内容なんです。それをとても丁寧にエピソードを積み重ねて描いていきます。
原作からはかなり大きく変更を加えられていますが、特に一番大きいのはヒックがドラゴン語をしゃべれないという部分です。個人的には、これは変えて正解だったと思います。単純に「猛獣使い」として言葉をしゃべれるという設定よりも、言葉が通じないからこそ仕草や態度で心の交流をしていく本作の方が、より異種間交流の本質に近いと思います。
最終的には文字通り2人で1つになるヒックとトゥースレスの描写も、日本ではなかなか出来ないくらい重たい描写になっています。
なにより忘れてはいけないのは本作のキャラクター造形のすばらしさです。もちろん人間達の造形も良いんですが、それにもましてドラゴン達が完璧すぎます。ぬいぐるみ欲しいですものw ナイト・フューリーの犬っぽさや、ダブルジップの怖さと愛嬌の絶妙なバランス、最高です。

【まとめ】

貶すところが見当たらないくらいの完璧な作品ですが、一点だけどうしても許せないところがあります。それがナイト・フューリーの名前です。英語ではトゥースレスとなっていますし、原作の翻訳本でもトゥースレスです。しかし本作の吹き替え版では、「トゥース」となっています。これは本作の宣伝をお笑い芸人のオードリーにさせるため彼らの一発ギャグ「トゥース!」と掛けたという死ぬほど下らない理由から来ています。宣伝のためにキャラクターの名前を変えるというのは、ちょっと聞いたことがありません。というか、100%作品に対するリスペクトがありません。このアイデアを考えた人間はどういう職業倫理を持っているんでしょうか? これは完全に作品への侮辱です。特に本作にはトゥースレスと呼ばれるきっかけになるエピソードまできっちり描かれています。別に適当に名前を付けてるわけではないんですよ。ある意味吹き替え問題なんかよりもよっぽど深刻です。あいにく地元では吹き替え版しか上映していないのですが、こんな侮蔑的な事をされたあげく選択肢もないというはどういう事なんでしょうか。
間違いなくオススメではありますし今年屈指の良作ですが、上記のような客を舐めた配給の方針が理由であんまり大々的にはオススメしたくありません。それにしても、こんな横暴な宣伝をするってこと自体、文化レベルが低すぎます。

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インセプション(超ネタバレ)

インセプション(超ネタバレ)

式公開から1週間経ってるわけですが、インセプションが「良く分からん」という声が随所から聞こえてきます。そこで、えいやと思い立って超ネタバレなタイムラインを書きましたw
下記の画像が後半というか第3幕の目玉「インセプション作戦」のタイムラインになります。2回見たのでたぶんあってると思うんですが、間違ってたらすみません。
特に3層~4層は本作で一番ツッコミ所が多くかつ混乱する所ですので、人それぞれで解釈が違う可能性があります
※「インセプション」はギミックだけの映画で内容はあまりありません。そしてノーランの演出が下手なためこのような混乱が起きていますw ネタバレは著しく作品の価値を損ないますので、鑑賞後にご覧いただくか、絶対映画館で見る気が無い人だけご覧ください。
クリックすると拡大します。
inception_timeline

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ジェニファーズ・ボディ

ジェニファーズ・ボディ

今月の映画の日は一本、

「ジェニファーズ・ボディ」を見ました。

評価:(35/100点) – ホラーなのかアイドルPVなのか中途半端。


【あらすじ】

幼なじみのニーディとジェニファーはある夜、郊外のバーで行われるインディロックバンド・ローショルダーのライブに行く。しかしライブ中に火の手が上がりバーは全焼。ニーディは助かるものの多くの死傷者を出し、さらにジェニファーはローショルダーの面々に拉致されてしまう。その夜、ニーディの家に血まみれのジェニファーが訪ねてくる。その日以来ジェニファーは性格が激変し、町では殺人事件が起きるようになる。。

【三幕構成】

第1幕 -> ニーディとジェニファーとチップ
 ※第1ターニングポイント -> バーの全焼事件
第2幕 -> 連続殺人とジェニファー
 ※第2ターニングポイント -> ジェニファーが悪魔であると気付く。
第3幕 -> 春のダンスパーティ


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【感想】

本日は「ジェニファーズ・ボディ」を有楽町みゆき座で見てきました。映画の日ということもあって併設スカラ座の「借りぐらしのアリエッティ」がとんでもない混み方でして、その煽りなのか想像以上に多くのお客さんが入っていました。予告もポスターも完全にミーガン・フォックスを見るためだけの映画なのは一目瞭然ですが(苦笑)、それにしては若い女性の友達連れが多かったのは意外でした。さぞレズのミーガンも喜んでいるでしょうw

概要

本作の基本プロットは予告を見たそのまんまです。バートリ・エルジェーベトよろしく人肉を食って美を保つ悪魔のジェニファーが親友のボーイフレンドを狙っちゃって、、、というオカルトホラーなんですが、全体的に非常に半端かつ適当ですw
実際、劇中で起こる事件というのはまったく大したことがありません。単にジェニファーをニーディが止められるかどうかというだけで、捻りも無ければ伏線もありません。第一、本作は犯罪者用精神病棟に入ったニーディの回想から始まります。もうこの時点で、この話が2ヶ月間の出来事であること、ニーディの身にも性格が変わるような何かが起きること、そしてボーイフレンドは結局死ぬこと、ニーディはジェニファーと対決して生き残る事が分かります。つまり全部分かるw じゃあどうするかというと、回想でそのことの詳細が語られるだけです。しかも全部想像を超えることのない無難なことばかり。これで面白くなるわけが無い。残念ですが構成が無茶すぎます。インセプションみたいにアクロバティックな時系列シャッフルをするならともかく、これは何の意味もありません。フックアップにすらなってないです。
というわけで話の部分はかなりボロボロです。では肝心のミーガンのPVとしてはどうかというと、これもまた大変微妙です。なぜかというと、「男を誘う悪女」というキャラしか見せてくれないからです。全編通じてミーガンは誰かとキスばっかりしてるんですが、逆に言うとそれしかしてないんです。もっといろんな幅を見せてくれないと全然魅力的に見えません。確かに顔もスタイルも良いと思いますが、ただそれだけでフィルムを持たせるのはいくらなんでも無理です。あまりにフィルム上のキャラが立たなすぎて、むしろ顔が若干微妙かつ斜視なアマンダ・サイフリッドの方が魅力的に見えてきます。企画上の問題かもしれませんが、せめてジェニファーが獲物をおびき出すときにいろんなパターンを見せてくれないとどうにもなりません。しかも暴力シーンをカメラで写さないため、ホラー・クイーンにもなれていないんです。なんかもう、、、、ね、、、、どうすっぺこれ(苦笑)

【まとめ】

とっても困った映画でしたw コンセプトだけはありがちとは言えボンクラ男子が大喝采するようなものですが、あまりにも残念な出来すぎます。突き抜け方が足りません。ホラー寄りでやるならばそれこそ井口昇作品並にゴアでやっちゃえば良いですし、PV寄りでやるなら「永遠に美しく・・・」のようなお茶目なコメディ方向に振ることもできたはずです。でもどちらも全然出来ていません。作品のトーンはやけにシリアスですし、かと思いきやダサいロック調の歌謡曲が突然流れたりして青春映画っぽいノリもあります。なんか制作した人間が真面目すぎて退屈になっちゃってる印象があります。もっとふざけたり突き抜けたりしないとこの手の作品は面白くはなりません。
ということで、決して一口にダメだと切り捨てるほどでは無いですが、全体的に赤点というか、全項目が合格点の2段階ぐらい下というなんとも言えない失敗作だと思います。どこが悪いっていうか全部悪いw
強いて言えば、エンドロールでの対位法を使ったローショルダーへの制裁だけは面白かったです。面白かったというか可笑しかったw なんでそのトーンで全編通じて出来なかったのかと不思議でなりません。 決してオススメはできませんが、ミーガンの大ファンならばとりあえず押さえておいても良いかも知れません。

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小さな命が呼ぶとき

小さな命が呼ぶとき

2本目は

小さな命が呼ぶとき」です。

評価:(25/100点) – 淡々として温度の低いプロジェクトX


【あらすじ】

製薬会社に勤めるジョン・クラウリーには子供が3人居る。しかし内2人がポンペ病に罹っており、長女のメーガンは余命1年程度と目されていた。ある日、ジョンは筋ジストロフィー研究の権威・ストーンヒル博士を訪ねる。大学からの冷遇に不満を抱えていたストーンヒル博士は製薬のベンチャー企業設立をジョンに持ちかける、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> メーガンが呼吸困難を起こす。
 ※第1ターニングポイント -> 製薬会社を起こす。
第2幕 -> 薬の開発競争と買収。
 ※第2ターニングポイント -> 4チームのコンペが始まる。
第3幕 -> 子供達が臨床試験を受けられるかどうか。


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【感想】

本日の2本目は「小さな命が呼ぶとき」です。あまり大々的に宣伝している作品ではありませんが、中高年を中心にそこそこ観客が入っていました。予告やポスターを見ると完全に「難病もの」のジャンル映画かと思うのですが、ところがどっこい。本作はドキュメンタリーものです。エンドロールで監修としてジョン・クラウリー本人がクレジットされていましたように、本作は実話を元に脚色した「子供が難病に罹った父親が、薬を手に入れるまで」のストーリーです。
いきなり結論を書きますと、本作はジョン・クラウリーの暴走をどこまで許せるかが評価の分かれ目です。演出はあくまでもドキュメンタリータッチで、劇的に盛り上がる場面が1カ所もない退屈なものです。ストーリー自体もまったく盛り上がらず非常に淡々とただただイベントを消化していきます。ですので、ジョンに乗れなければ単なる退屈な映画です。極端な話、「世界丸見えテレビ特捜部」とか「奇跡体験アンビリーバボー」の30分枠の再現ドキュメンタリーと大差ありません。
その肝心のジョン・クラウリーですが、早い話が結構嫌なヤツなんですw
ストーンヒル博士を利用するだけしておいて裏切ったり、ベンチャーを売って60万ドルほど手に入ったら調子に乗って湖畔の豪華な一件家を買ってみたり、かといって娘の容体がちょっと悪化したらテンパって会社の重役にケンカ売ってみたり、人間としては限りなく最低な男です。ところが、これらは全てアメリカ映画にありがちな「家族愛」によって正当化されます。劇中でストーンヒル博士が「私が君の立場だったら、子供のために私など虫けらのように踏みつぶしていくだろう」とお墨付きめいたものを受け取るんですが、全然解決になってないというか、単に監修に入っているジョン本人に気を使っているようにしか見えません。
結局、今作は「家族愛に溢れた男が科学者達の尻を猛烈に叩いて薬を作らせる話」です。恐ろしいのが、肝心のジョンが努力している様子がまったく描写されないことです。序盤の資金集めの部分はともかく、買収されて以降の後半は単に研究者達をかき回しているだけです。あげく最後の最後には、他の病気の子供達を出し抜いて、見事自分の子供達を臨床テストの対象にするんです。自分の子供さえよければなんでもいいの? ストーンヒル博士のために支援してくれた「ポンペ病の子供達のための基金(※すみません。うろ覚えです。)」のメンバー達は無視? なんぼなんでも酷すぎるでしょう。これって美談なのか!?しかも結局ストーンヒル博士と関係ないチームの薬を採用してるし。

【まとめ】

話としては全く駄目な上、倫理的にもちょっとどうかと思いました。先日の「ザ・ロード」とも被るのですが、この倫理面は自分に子供が居るかに賭かっているように思えます。キャストだけは豪華ですので、あまり期待せずにテレビの再現映像をみる感じでフラっと入る分にはオススメできるかも知れません。

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ソルト

ソルト

今日は二本です。1本目は新作映画、

ソルト」を観てきました。

評価:(35/100点) – まだそこまでの歳でもなかろうに、、、。。


【あらすじ】

イヴリン・ソルトはCIAロシア部のエージェントである。彼女の結婚記念日、仕事を上がろうとしたまさにそのとき、CIAにヴァシリ・オルロフと名乗る自称ロシアスパイが投降してくる。
尋問を早々に切り上げたいソルトだったが、オルロフによる「ソルトがロシアからの潜入スパイである」との発言から状況が一転、スパイ容疑を掛けられたソルトはCIAからの脱出を試みる。

【三幕構成】

第1幕 -> 北朝鮮からの帰還とオルロフの投降。
 ※第1ターニングポイント -> オルロフの告発。
第2幕 -> ロシア大統領暗殺計画。
 ※第2ターニングポイント -> ソルトがオルロフ一味を殲滅する。
第3幕 -> アメリカ大統領暗殺計画。


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【感想】

7月もあっという間に最終日です。本日の1本目は本日公開のソルトです。最近では「コストパフォーマンス・ワースト1位(ギャラと興収のバランスが最低)」に選ばれたり、すっかりB級アクション俳優として評価が落ち着いているアンジェリーナ・ジョリーの最新主演作です。監督は「Catch a fire」以来4年ぶりのフィリップ・ノリスです。今週はあまり大人向けの新作が無いこともあってか、アンジー主演とは思えないほど観客が入っていました。
公開前には「Angelina Jolie’s SALT」というタイトルがアナウンスされていたとおり、本作は完全にアンジェリーナ・ジョリーのための映画です。ほとんどプロモーション映像集と言っても良いでしょう。アンジーがいろんな髪型や服装に変装し、いろいろなシチュエーションでアクションを見せてくれます。このフォーマット自体は「イーオン・フラックス(主演:シャーリーズ・セロン)」や「バイオ・ハザード(主演:ミラ・ジョヴォヴィッチ)」、「アンダー・ワールド(主演:ケイト・ベッキンセイル)」など伝統的によくあります。っていうか、アンジー自身が「トゥーム・レイダー」で有名になったようなものですし、ある意味では得意ジャンルでもあります。
でも、、、本作でなにがまずいかと言いますと、そもそもの話が適当過ぎるという部分以上に、アンジーのアクションが明らかにレベルが低いんです。最後のエンドロールに「Ms Angelina’s Double」というクレジットがありましたが、本作はバリバリ吹き替えを使っています。おそらく車の屋根に飛び乗るシーンや衝突車の中のシーンだと思うんですが、それ以外のアクションシーンもものすごい手持ちのグラグラ・カメラを多用していて全然アクションが見えません。これってアクションが出来なくなったアクションスターが身体性を誤魔化すためによくやる手段なんですが、まさかアンジー、、、、まだ35歳なのに、、、、。
ハッキリ言ってストーリーに見るべき所はありません。よくあるダブルスパイものですし、終わり方が少年ジャンプの打ち切りそのものです。続編を作る気満々の半端な終わり方がちょっと引っかかります。今更東西冷戦とか言われても全然ピンと来ませんし、メッカに核を落としてイスラム教徒の敵意をアメリカに向けるって、、、そんな小学生が考えたようなアイデアを20年以上暖めないでしょ、普通。
なんか作品の根底にあるソ連に対しての妄執的な恐れというのが全くピンと来ないんです。ただ、この辺りはアメリカ人の感覚ではまだまだあるのかも知れませんのでなんとも言えません。

【まとめ】

アンジェリーナ・ジョリーのための映画ですが、あまり魅力的な感じではありませんでした。アメコミを新人女優で映画化したような感覚ですが、さすがにアンジーを使っていまさらこのフォーマットは厳しいです。アンジーもせっかく「チェンジリング」で性格俳優に転向できそうだったのに、やっぱり元の鞘に戻ってきてしまいましたw
すでに身体能力の劣化が始まっている上にこの方向性でいくのは厳しいとは思いますが、アクションをやるからにはもうちょい体を作り直して本気で臨んで欲しいものです。

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ゾンビランド

ゾンビランド

2本目は

ゾンビランド」です。

評価:(95/100点) – 爆笑必至。童貞と筋肉バカとマセガキ・悪女のハートフル珍道中。


【あらすじ】

ゾンビ病によりアメリカ合衆国がもはや「ゾンビランド」と化した世界。童貞元引きこもりのコロンバスは、自身の考えたサバイバル32箇条を忠実に守って生き延びていた。ある日、彼は実家のオハイオに戻る途中でゾンビハンターのタラハシーと出会う。ゾンビを殺すことを生き甲斐とするタラハシーにとって、唯一の休息は大好きなトゥインキーを食べることだった。連れだった2人は途中スーパーマーケットに立ち寄りトゥインキーを探すが、そこで詐欺師の姉妹と出会う。色々あって4人連れとなった一行は、ゾンビが居ないという都市伝説を持つLAパシフィック・プレイランドへと向かう。

【三幕構成】

第1幕 -> タラハシーとの出会い
 ※第1ターニングポイント -> ウィチタとリトル・ロックと合流する。
第2幕 -> LAへの旅とビル・マーレイ
 ※第2ターニングポイント -> 姉妹が居なくなる。
第3幕 -> パシフィック・プレイランド


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【感想】

週末の2作目は「ゾンビランド」です。こちらもハングオーバー同様に昨年公開の映画でアメリカでは大ヒットいたしました。現時点でも興収100億を超えており、ゾンビ映画史上最も売れています。お客さんもホラーにしてはめずらしくかなり入っていました。とはいっても、本作は厳密にはホラーではありません。ジャンルとしてはホラー風コメディです。一番近い感覚は「死霊のはらわたIII/キャプテン・スーパーマーケット」でしょうか? 一応ゾンビは出てきますし、バリバリのゴア描写もありますが、怖いというよりは「うわぁ~~~~キモっwww」という感じで笑える描写が多くなっています。しかも「スペル」とは違い脅かそうという気もありません。完全にギャグのみで使われています。
なにをおいても本作が素晴らしいのは、引きこもりの童貞少年が女に惚れてありもしない勇気を奮い立たせるというそのフォーマットに他なりません。それだけで満点でも良いくらいですw 登場人物はリトルロック以外が全部ダメ人間なんです。コロンバスも、タラハシーも、ウィチタも、みんな変人ばっかりです。でも、そこに最終的に信頼が生まれるところがグッとくるんです。ビル・マーレイの酷い(←褒め言葉)使い方も含めて、絶賛せざるを得ません。間違いなく今年屈指の良作です。
ある種の保存食として良くネタにされるトゥインキーという小道具の選び方、最終的には33に増える「サヴァイバルの掟」の説得力、パシフィック・プレイランドという架空の遊園地の微妙なショボさ、完璧です。
とりあえず、悪い事はいいませんから、劇場に行ってください。手抜きじゃなくて(苦笑)、ごちゃごちゃ言うのはヤボですw。
アホ万歳!!! ゾンビ万歳!!! そんでもってカウボーイ万歳!!! みんな万歳!!!! オススメです!!!!!!!

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ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い

ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い

週末は三本見ました。1本目は

ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」を今更見ました。

評価:(80/100点) – 下品w だけど作りはしっかり。


【あらすじ】

結婚式を2日後に控え、新郎のダグは悪友2人と花嫁の弟とともにラスベガスでバチェラーパーティーを決行する。ラスベガスのスィートルームを借りてテンションMAXな4人は、屋上に上がって酒を飲む。
目覚めると、部屋は荒れ放題、トイレにはなぜか虎、そしてクローゼットからは赤ん坊の泣き声がする。そして何より、新郎のダグがいない、、、。
残された3人は、無事新郎を見つけ出し結婚式へと送り届けられるのか!?

【三幕構成】

第1幕 -> ラスベガス旅行。
 ※第1ターニングポイント -> 目を覚ます。
第2幕 -> ダグを探す3人。
 ※第2ターニングポイント -> レスリーに身代金を要求される。
第3幕 -> 結末。


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【感想】

週末は映画三本見ました。といっても一本はインセプションの2回目なので、新作は2本です。
完全に積み残しになっていた「ハングオーバー」ですが、公開からかなり時間が経っているのにほとんど満席でした。やはり口コミで評判が広がっているのでしょうか? 一時はDVDスルーが決定していただけに、安心したというか、ワーナー広報の見る目を疑うというか、、、。
本作はなんにとも言いようがないほど良くできたコメディ映画です。伏線の張り方も絶妙ですし、キャラ立ちも完璧。なによりエンドロールで流れる記憶喪失中のデジカメ写真が本っっっっっ当に頭悪くて最高です。なので、それはそれで置いておいて、今回はちょっぴり関係無いことを書こうかと思います。
仕事柄外国資本の映画会社と良く付き合うんですが、彼らの売り上げ管理に関するメソッドは明快です。
通常、宣伝部とか販売部という部署が予算管理を行います。その際、買い付けにかかる費用に対して宣伝費・広告費、アフターサポート費(お客様窓口の運営費)や権利費(本国に払う費用)を計算し、これを600円で割ると動員目標になります。
皆さんもたまに「あれっ?」と思うかもしれませんが、例えば去年の「パブリック・エネミーズ」や「イングロリアス・バスターズ」は本国ではユニバーサルピクチャーズの作品なのに日本では東宝東和商事が買い付けています。この2作品は東宝東和がジェネオン・ユニバーサルを出し抜いて本国に直接営業を掛けた作品です。ですが、同じルートの「レポゼッション・メン」は、本国で転けたためジェネオン・ユニバーサルがDVDスルーしようとしたところを東宝東和が拾って劇場公開した作品です。なので、「ユニバーサルピクチャーズの作品なのに日本支社のジェネオン・ユニバーサルが配給しない」という面白い現象が起きたりします。
世界同時公開の作品(=ビッグバジェット大作)以外は、必ず「劇場公開するかどうか」の判断が入ります。その際の基準になるのは過去のデータだけなんです。私、一応大手所の販売部の方はある程度知っていますが、あまり映画フリークは居ません。完全にビジネスとして割り切ってやっています。なので試写をして面白いかどうかを決めるよりは、キャストや制作陣で有名な人が居るかどうか、メジャーな映画賞を獲ったかどうか、そして過去に類似の作品がヒットしたかどうかでデータを予測しようとします。彼らはこれをマーケティングといってはばかりません。
結果、スターが出てるだけでゴミみたいな内容の作品がシネコンで大規模公開されやすくなります。一方、本作の様に、「コメディ」「スター不在」というと、どれだけ評価が高くても即DVDスルーが決まってしまいます。ちなみに今日本の外資系配給が即DVDスルーにするジャンルは「コメディ」「ホラー」「アクション」「SF」「ラブコメ」です。これらは日本では売れないという絶対の自信を各配給会社が持っています。
余談ですが、ハリウッドでもこれと似た現象が起きています。ハリウッドは高騰し続ける制作費を払うことがもはや困難であるため、最近は銀行と提携して作品に「保険」を掛けています。この保険というのは、「興収がある一定額に届かなかった場合、そこまでの差額を銀行が穴埋めする」というものです。もちろん「一定額以上に届いた場合」は保険の掛け金が丸々銀行に入ります。で、この掛金(=掛け率)を決めるのが、実は制作者とキャストのネームバリューなんです。「有名な○○が監督だから掛け率このぐらい」という計算が平気でまかり通っています。すると、とりあえずちょい役で有名な人をブッキングしとこうとか、名前の通った作曲家にスコア書かせようとかいう、作品価値とは関係無い判断が入るようになっていきます。近作だと、「運命のボタン」のキャメロン・ディアスとか、「エアベンダー」のシャマラン監督なんかが典型です。「エアベンダー」なんて普通のファンタジーなんだから作品の事を考えたらシャマランは必要ないんです。でも彼は今かなりの掛け率を持っている脚本家&監督なので、転けた時の安全装置としては機能するんです。日本の制作委員会でも良くありますが、酷い話です。
話を戻しますと、本作が劇場公開されるきっかけになったのは、第67回ゴールデングローブ賞を獲ったからです。その前から2009年度全米興収6位というモンスターヒットした実績があったのですが、「どんなにアメリカでヒットしようとコメディは日本では売れない」という判断でDVDスルーが決定していました。「第9地区」もゴールデングローブにノミネートされる前はDVDスルーが決まっていましたし、「シングルマン」に至ってはノミネート前にはDVDすら怪しかったほどです。
ビジネスである以上は、過去の数字を使って裏付けっぽいことをしないといけないのは分かります。これは極端なことを言えば、担当者が責任を回避するための制度なんです。つまり「過去のデータに従って判断したから仕方が無い」というエクスキューズを得るための方法です。でも一方で、もはや名物買い付け人みたいな人がどうこうできる時代でもありません。現に独立系の配給会社はここ数年でほとんど死滅しています。映画ファンにとっては寒い時代なのは間違いありませんが、せめて、アカデミーや三大映画祭、ゴールデングローブやサンダンスにノミネート・出品される作品ぐらいは劇場公開して欲しいものです。

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レポゼッション・メン

レポゼッション・メン

2本目は

「レポゼッション・メン」です。

評価:(65/100点) – フィリップ・K・ディック風の未来世紀ブラジル


【あらすじ】

2025年、人々はユニオン社の人工臓器によって、もはや臓器移植の順番待ちをする必要がなくなっていた。その一方で、ユニオン社は高額な人工臓器をローンで購入させ、返済を滞納した者から、回収人(レポ・メン)を使って人工臓器の没収をしていた。
ユニオンに務めるやり手回収人のレミーは、ある日回収の途中で除細動器が暴発し心臓を焼き切られてしまう。目覚めたレミーにはユニオン社の人工心臓を移植する以外生きる道が残されていなかった。人工臓器を使う側になって初めて、レミーは回収人の仕事が人殺しであると気付き、足を洗おうとする。しかし、人工心臓のローンが払えずに回収人に負われる立場となってしまう、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> レミーの回収
 ※第1ターニングポイント -> レミーが人工心臓を移植する。
第2幕 -> 追われるレミー
 ※第2ターニングポイント -> レミーがジェイクに襲撃される。
第3幕 -> ユニオン社本部への潜入


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【感想】

今日の2本目は「レポゼッション・メン」です。近未来を舞台に、ある企業のプロフェッショナルが自ら企業と対立する立場になって結局は、、、というそのまんまフィリップ・K・ディックが書きそうなディストピアSFの小品です。
この手のプロフェッショナルがアイデンティティクライシスを起こす話は、SFでは定番中の定番です。そんでもってミステリアスな美女と出会って協力関係になるのもお約束です。余談ですが、この美女・ベス役のアリシー・ブラガは先週見たザ・プレデターズでもヒロインを好演しており、アクションSFでは今後大いに活躍が期待される女優さんです。是非名前を覚えておきましょう。
なんかあんまり詳しく書くとネタバレになりそうなんですが、要は「未来世紀ブラジル」のオリジナル版と話は一緒です。主要登場人物はわずかに4人だけですし、別に凝った話でもありません。ただ、いまさら感よりは「未来世紀ブラジル」をポップに焼き直した佳作という印象です。決して手放しで褒められる作品ではないですしオリジナリティもありませんが、ジャンルムービーとしてはかなり上手く纏まっていると思います。あとはジュード・ロウvsサラリーマン軍団という爆笑必至の名アクションシーンを楽しむだけの映画ですw
特に後半は話が適当過ぎてアラが目立つんですが、それもわざとで済ませられる都合の良いオチが待っていますので、腑に落ちないものの諦めがつきます。
決して一般受けするような作品ではありませんが、SF好きならとりあえず押さえておいて損はない作品でした。でもレンタルDVDで十分な気もしますw

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