魔法使いの弟子

魔法使いの弟子

遅くなりましたが、先週末は一本、

「魔法使いの弟子」をみました。

評価:(20/100点) – ファンタジアの何所をみるとこうなるのか。


【あらすじ】

デイヴは小学生の時、迷い込んだ怪しげな骨董屋でドラゴンの指輪をもらう。それから10年後、彼の前にかつて骨董屋で出会った魔法使いのホルヴァートが現れる。ホルヴァートは昔デイヴが路地に捨てたマトリョーシカを探していた。そのマトリョーシカの中には魔法使い達が封印されているという、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> デイヴとバルサザール
 ※第1ターニングポイント -> バルサザールが復活する。
第2幕 -> グリムホールドを巡る争い。
 ※第2ターニングポイント -> ホルヴァートがグリムホールドを手に入れる。
第3幕 -> モルガナの復活


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【感想】

遅くなりましてすみません。先週末は1本、魔法使いの弟子を見ました。夏休みって食べられるの?
本作はニコラス・ケイジがプロデューサーで、彼の主演作・ナショナルトレジャーのスタッフを集めて制作されました。それだけで強烈な「俺様映画」なわけですが、なんでこれがディズニーなのか良く分からないほどとてつもなく低いレベルの子供向け映画になっています。
一番初めにツッコまなければいけないのは、キャラクターの命名に見られる強力な中2病センスです。いわずもがなのアーサー王伝説に出てくるマーリンとモルガン、そしてアーサー王の象徴であるドラゴンをあしらった指輪。マーリンの弟子が、バルタザール(東方の三賢者)、マクシモス(証聖者)、ヴェロニカ(ゴルゴタの丘でイエスにタオルを貸した人)。さらに主役がデヴィット(ダビデ/旧約聖書の古代イスラエルの王様)、ヒロインがレベッカ(リベカ/ヤコブの母/全イスラエル人の母)。
全部アメリカなら小学校高学年~中学校ぐらいで習う格好いいキリスト教的有名人です。このすさまじく臆面の無いネーミングセンス、、、凄すぎるw
でまぁ話自体はなんてことはなく、いつも通り少年に「君は伝説の勇者だ!」ってな具合に白羽の矢があたり、別段苦労するでもなく覚醒して「俺ってサイキョー!イェーイ!!!」とはしゃぐだけの下らない話です。今回は一応気休め程度ですが師匠と弟子の特訓シーンが入ります。その意味ではハリー・なんちゃらよりはマシではあるのですが、しかし結局それ自体があんまり役に立たないというか、なぜか突然覚醒してメチャクチャ強くなってしまうため特訓の意味がありません。甘やかし過ぎ。
しかも今回の主人公は完全なナードなためあまり華がありません。このあたりはカツラでフサフサになったプロデューサー様が一番格好良く写るための絶妙なキャストです。しかもプロデューサー様の恋人役が絶世の美女/イタリアの宝石・モニカ・ベルッチで、ヒロインはほぼ無名のテレサ・パルマー。職権乱用しすぎw
とはいえ、元々本作の趣旨はファンタジアの中でミッキー激萌え展開を呼ぶ「魔法使いの弟子」パートを実写にするというものです。なので極端な話この「魔法使いの弟子」パートさえ上手く実写に出来ていればなんの問題もありません、、、、が、、、、出来てな~~~~いw
ファンタジアの「魔法使いの弟子」が素晴らしいのは、ミッキーが手抜きをしようとして魔法で掃除してたら眠っちゃって洪水になっちゃってさぁ大変という「ドジっ子萌え」にあります。そして気付いたミッキーが取り繕うために魔法でモップ達を止めようとした結果、まるで満天の星空のように泡が舞って幻想的な風景が展開されるわけです。
「魔法使いの弟子」パートの肝は、ミッキーの可愛らしい失敗と、それを収めようとした結果に起こる奇跡的に美しい光景にあるんです。
ところが本作ではそこが全く出来ていません。そもそもからして本作で起きる失敗はデイヴの力量不足によるもので、しかも手抜きではなく彼女が来てしまうから早く片付けないといけないという必要に迫られたものです。さらに、デイヴはうっかり寝てしまうのではなく、シャワーに入ってやる気満々で目を離しただけです。全然ドジじゃありません。ただの馬鹿です。しかも止めようとして魔法を追加するのではなく、単にあたふたしてるだけです。こんなので音楽だけ「魔法使いの弟子」を流されても全然乗れません。

【まとめ】

子供向けのファンタジーというにはあまりにもレベルが低く、ファンタジアのファンが期待していくにはあまりにもファンタジアへのリスペクトが足りません。残念ですが、本作を見に行くのであれば、ファンタジアを借りてきて見た方が100倍面白いです。それにしてもファンタジアの中で唯一ディズニーキャラクターが出ている「魔法使いの弟子」を使ってこれかと思うと悲しくなってきます。いっそのこと「はげ山の一夜」を使って実写のゾンビ映画にしたほうが面白かったかも知れません。

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ベスト・キッド(リメイク)

ベスト・キッド(リメイク)

2本目は

ベスト・キッド(リメイク)」です。

評価:(20/100点) – スミス家のホームビデオ。


【あらすじ】

12歳のドレは母親の転勤で中国・北京へ移住してくる。移住したその日、彼は公園で女の子をナンパするが、その子がガキ大将の意中の子だったことからさぁ大変。その日よりドレはガキ大将一味に目を付けられてしまう。追いかけまわされたドレを救ったのは、アパートの管理人・ミスターハンだった。彼らはガキ大将の道場にケンカを売りに行き、カンフートーナメント大会で決着を付けようと提案する、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ドレの引っ越し。
 ※第1ターニングポイント -> ドレがミスター・ハンに弟子入りする。
第2幕 -> ドレの修行と七夕祭り。
 ※第2ターニングポイント -> トーナメントが始まる。
第3幕 -> 大会の模様。


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【感想】

さて、2作目は先行公開という体の「ベスト・キッド(リメイク版)」です。余談ですが、最近先行公開といいつつ普通に土日に4回も5回も上映する作品が増えているんですが、これどうなんでしょう? もちろん先行公開の客はそのまま初週の動員数にスライドできるという裏ルールがあるため土・日分をチートできるというカラクリなんですが、客からするとあんまり意味がありません。しかも先行公開した作品で初週一位を逃すと超恥ずかしいというデメリットもありますw とはいえ、本作はかなりお客さんも入っていましたので、なんとか一位はとれそうです。

本作の立ち位置。

本作はキャラクターの名前と舞台が変わっているだけで、オリジナルの「ベスト・キッド」をほぼそのままコピーリメイクしています。台詞単位までほとんど同じです。皆さんご存じだとおもいますが、本作はウィル・スミス夫妻が制作で主演が息子のジェイデン・スミスです。要は、ウィル・スミス夫妻が小学校卒業記念に主演映画をプレゼントしたというだけの話です。ミヤギ師匠役(今回はミスター・ハン)にジャッキー・チェンをキャスティングしていることからも、ウィル・スミスの息子に賭ける意気込み(=親馬鹿っぷり)が伺えます。しかし、、、非常に残念ですが、この息子は酷すぎますw

ジェイデン・スミスという”スター”

ほぼ丸々コピーリメイクである本作は、オリジナルと大きく変わっている箇所が3つあります。1つは見ての通り、競技が「空手」から「カンフー」に変わっている点です。とはいえ、実はこれはあんまり大したことはありません。というのもオリジナルだってダニエルは最後に「鶴の構え」を使うわけで、全然空手じゃないからですw なんの問題もありません。
2つ目はこれも見ての通り、師匠がノリユキ・パット・モリタからジャッキ-・チェンに変わっている点です。これは良くも悪くもですが、パット・モリタが実際には空手が出来ないのに対して、ジャッキーは素で武術の達人です。なので、パット・モリタの持つ「胡散臭さ」が大幅に減り、代わりに訓練シーンやチンピラから主役を救うシーンが豪華になっています。
3つめはこれも見ての通り、主役が青年から子供に変わっています。これははっきりいって全面的にマイナスです。単に説得力の問題もあるんですが、それ以上にジェイデン・スミスが酷すぎます。
で、やっとこさジェイデン・スミスの話なんですが、このクソガキがまったく可愛くないんです。態度が悪いというか、すでに父親のもつ「俺様チンピラオーラ」がビンビン出ていますw どれくらい「俺様」かというと、全ての場面でジェイデンのアゴが上がっていて物理的に他人を見下す目線になっていますw それはジャッキーに対しても明らかです。私たちのアイドル・ジャッキーすら馬鹿にしてるのかと思うと、思わずぶっ飛ばしたくなりますw
実はこのジェイデンへの変更でストーリー上のニュアンスが大分変わってしまっています。というのも、例えば本作のそもそもの発端であるチンピラとのケンカは、どう見てもドレが悪いように見えますw そしてその後の水掛け復讐場面も、どう見てもやり過ぎです。オリジナルでは水道水をホースでかけただけなのに、本作ではあきらかに健康に悪い汚水をかけます。そんなことしたらリンチされて当然です。
これは非常に重要な問題で、要はオリジナルのダニエルはヘタレだけど真面目だったのに、本作のドレはクソ生意気でケンカっ早いチンピラなんです。これじゃ、そもそもの師匠の教え(「空手/カンフーは防御の技だ」)に反してるんです。全然共感できないw 恐ろしいのは、セリフをほとんど変えていないのに、ジェイデンという悪い意味でスター性のある人間のオーラだけでこの感じ悪さが付加されている点ですw ジェイデン、、、恐ろしい子、、、。
もう一方のスター、ミスターハンも「ジャッキーである」以上の背景がありません。キャラとしてミヤギさんよりも明らかに薄っぺらいんです。でもそこはジャッキーなんで大丈夫ですw だって誰がどう見ても達人にしか見えませんからw
そう考えると、ジャッキーをキャスティングしたのは大正解です。

【まとめ】

本作は、エンドロールに作品の全てが詰まっています。ジャッキーのカンフー映画ではお馴染みのNGシーン集の代わりに、本作ではメイキング的な撮影風景の写真が流れます。が、、、が、、、、ウィル・スミス写りすぎwww
写真の半分ぐらいが映画と関係無いウィルとジェイデンの親子写真なんです。つまり「スミス家の中国旅行写真」w
結局、本作はあくまでもウィル・スミス夫妻が息子に贈ったプレゼント以上のものではありません。映画としては明らかにオリジナルの方が数段上ですし、ジェイデンのプロモとしても相当厳しいです。特にラストのカンフートーナメントで明らかなCGを使っているのがアクション志望としてはダメダメです。
残念ですが、ウィル・スミスに思い入れのある方、または生意気なクソガキが大好きな方にのみオススメです!!!

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ヒックとドラゴン

ヒックとドラゴン

本日は二本です。
1本目は

ヒックとドラゴン」を見ました。

評価:(95/100点) – ちょっと説教臭い傑作ファンタジー。


【あらすじ】

襲い来るドラゴン達と戦うバイキングの村で、村一番のドラゴンハンターの息子・ヒックはヘタレと思われていた。ある日、彼は自分の能力を証明するため自動投げ縄機を開発する。実践で初めて使った日、彼は誰も見たことのない伝説のドラゴン、ナイト・フューリーを打ち落とす。後日ドラゴンの落下地点へと出向いたヒックだったが、どうしてもトドメを差すことが出来ずに縄をほどいて解放してしまう。自分のせいで尾びれをケガしたドラゴンを放っておくことが出来ないヒックは、やがてドラゴンの世話をし、交流を深めていくことになる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 村がドラゴンに襲われる。
 ※第1ターニングポイント -> ヒックがトゥースレスに魚をあげる。
第2幕 -> ヒックとトゥースレスの交流。
 ※第2ターニングポイント -> ストイックがドラゴンの巣へと向かう。
第3幕 -> レッドデスとの戦い。


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【感想】

本日の1本目は「ヒックとドラゴン」です。全米では大ヒットなんですが、あんまりお客さんは入っていませんでした。年齢層もかなり低く、子供達が大騒ぎして全然映画に集中出来ませんでした。
とはいえ、本作は本当にすばらしいです。ストーリーも、キャラクターも、演出も、文句の付けようがありません。強いて言えば一部のキャラが類型的過ぎるんですが、それも「3DCGアニメ」という類型的でも許される絶妙なリアリティラインに後押しされてそこまで気になりません。
本作は非常に良くあるタイプのファンタジーです。対立する種族間での交流とそれを巡る周囲との軋轢、そして最終的には両種族で共通の敵を倒すという所に着地します。この基本系に仲間との交流や父親との不器用な関係がプラスされるわけです。
ただの成長物語と言えばそれまでなのですが、この「どうしようもないヘタレが世界の価値観を変えてしまう。」ということ自体で、もう十分ガッツポーズが出るような内容なんです。それをとても丁寧にエピソードを積み重ねて描いていきます。
原作からはかなり大きく変更を加えられていますが、特に一番大きいのはヒックがドラゴン語をしゃべれないという部分です。個人的には、これは変えて正解だったと思います。単純に「猛獣使い」として言葉をしゃべれるという設定よりも、言葉が通じないからこそ仕草や態度で心の交流をしていく本作の方が、より異種間交流の本質に近いと思います。
最終的には文字通り2人で1つになるヒックとトゥースレスの描写も、日本ではなかなか出来ないくらい重たい描写になっています。
なにより忘れてはいけないのは本作のキャラクター造形のすばらしさです。もちろん人間達の造形も良いんですが、それにもましてドラゴン達が完璧すぎます。ぬいぐるみ欲しいですものw ナイト・フューリーの犬っぽさや、ダブルジップの怖さと愛嬌の絶妙なバランス、最高です。

【まとめ】

貶すところが見当たらないくらいの完璧な作品ですが、一点だけどうしても許せないところがあります。それがナイト・フューリーの名前です。英語ではトゥースレスとなっていますし、原作の翻訳本でもトゥースレスです。しかし本作の吹き替え版では、「トゥース」となっています。これは本作の宣伝をお笑い芸人のオードリーにさせるため彼らの一発ギャグ「トゥース!」と掛けたという死ぬほど下らない理由から来ています。宣伝のためにキャラクターの名前を変えるというのは、ちょっと聞いたことがありません。というか、100%作品に対するリスペクトがありません。このアイデアを考えた人間はどういう職業倫理を持っているんでしょうか? これは完全に作品への侮辱です。特に本作にはトゥースレスと呼ばれるきっかけになるエピソードまできっちり描かれています。別に適当に名前を付けてるわけではないんですよ。ある意味吹き替え問題なんかよりもよっぽど深刻です。あいにく地元では吹き替え版しか上映していないのですが、こんな侮蔑的な事をされたあげく選択肢もないというはどういう事なんでしょうか。
間違いなくオススメではありますし今年屈指の良作ですが、上記のような客を舐めた配給の方針が理由であんまり大々的にはオススメしたくありません。それにしても、こんな横暴な宣伝をするってこと自体、文化レベルが低すぎます。

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借りぐらしのアリエッティ

借りぐらしのアリエッティ

今日の最後は

ジブリ最新作「借りぐらしのアリエッティ」です。

評価:(55/100点) – 演出は良し。でもストーリーが、、、、。


【あらすじ】

小人のアリエッティは両親とともに人間の家の床下で暮らしていた。ある日、家に養生に来た少年に、アリエッティは姿を見られてしまう。姿を見られたものは引っ越さなければいけないという小人たちのルールを尻目に、アリエッティは少年と交流していく、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 翔が養生に来る。
 ※第1ターニングポイント -> アリエッティが”借り”で角砂糖を落としてしまう。
第2幕 -> アリエッティと翔
 ※第2ターニングポイント -> アリエッティの母が誘拐される。
第3幕 -> 母の救出と引っ越し。


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【感想】

本日3本目はジブリ最新作「借りぐらしのアリエッティ」です。宮崎駿が引退したくても後継者がいない苦悩が続くジブリですが、本作ではまたしても新人監督を起用しています。といっても米林監督は本職が原画家ですので、演出という面ではほとんど素人同然です。やはりジブリのネームバリューは絶大で、本当にお客さんがよく入っていました。それも全年代勢揃いという感じで、まだまだブランド力は健在です。
このブランド力がある内に早いところ新監督を発掘しないといけないわけですが、ジブリの苦悩はもしかしたら米林監督出現でなんとかなるかも知れません。本作もゲド戦記や猫の恩返し同様にダメはダメなんですが、しかし演出は悪くありません。むしろ宮崎駿自らの書いた脚本があきらかに失敗しています。
この失敗は「キャラ立て不足」に尽きると思います。なにせ翔とハルが決定的に不審者以外の何者でもないんです。ハルがなんであそこまで「こびと」を捕まえようとするかが分かりませんし、翔に至ってはいきなり「君達は絶滅する種族なんだ」とかわけ分からんこと言ったと思ったら「君は僕の心臓の一部だ」とか言い出す狂人です。心臓病も全然活かされていませんし、翔の両親は一切出てきません。まったく意味不明です。
しかし一方のアリエッティ家はきちんとキャラが立っています。開始30分程度で”借り”に出かけるシーンまでは、傑作の予感すらするほど良く出来ていました。それだけに後半の失速が半端じゃなく、特に人間側があまりに酷すぎて、結局逃げた小人達が正解にしか見えません。
本作はとってもシンプルで内容の薄い作品です。アリエッティが人間に見られて引っ越すだけです。なのに、そこに誘拐話や翔との交流が入ってくるとどうしようもなく酷いことになってしまいます。
ガジェット的にも気になる部分があります。「9~9番目の奇妙な人形~」と同様に本作では「人間の使うもの」を小人が利用しています。だから切手が額縁に入っていたり、壁にボタンを飾っているのはすごくワクワクするんです。その一方で、明らかに小人用に作られたと思われる食器や家具が物凄く浮いて見えます。彼らの技術力がブレブレなんです。しかもせっかくマチ針を剣にしてるのに、戦闘がありません。1カ所ぐらいネズミと戦うシーンでも入れれば良かったのに、、、。
結局、日本語が通じちゃったり、小人の声が人間にも鮮明に大きく聞こえちゃったりする時点でリアリティ・ラインはボロボロなんです。しかも彼らは体調10cm以上あるんですよ。普通に隠れられる大きさじゃないです。

【まとめ】

設定だけを見るとトトロを連想するんですが、足下にも及びません。しかし、単なる駄作として切り捨ててしまうにはもったいないと思います。あまり期待しないで見に行く分には意外と満足出来るかも知れません。オススメです。

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エアベンダー

エアベンダー

本日に2本目は

エアベンダー」です。

評価:(4/100点) – シャマラン、、、、故郷へ帰れ。


【あらすじ】

「火」「水」「土」「気」の4つのエレメントを司る4つの国で分断された世界で、ある日火の国が反乱をおこした。4つのエレメントを自在に操り精霊と会話ができる「アバター」を妬んだ火の国が、アバターの生まれる「気の国」のベンダー達を皆殺しにしたのだ。
そんな中、南の水の国に住むカタラは、氷の下から少年を発見する、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> カタラがアンを発見する
 ※第1ターニングポイント -> アンが修行を決意する。
第2幕 -> 北の水の国へ向かう旅
 ※第2ターニングポイント -> 水の国に着く
第3幕 -> 火の国との戦い


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【感想】

さて、本日の2本目はM・ナイト・シャマランの最新作「エアベンダー」です。原作はTVアニメ「Avatar: The Last Airbender」でエミー賞とアニー賞を獲った傑作です。初日なのに観客が一桁しかいませんで、ちょっと意外でちょっと納得という感じでした。
実際、私もかなりの「シャマラー」を自負してはおるんですが、本作は本っ当に厳しいものがあります。「レディ・イン・ザ・ウォーター」を全面的に擁護している私をもってしても(苦笑)、本作は最低ランクの映画ですw。すみません。限界ですw
なんといいましても、話は面白いんです。いわゆる「勇者様ご一行もの」のストーリーで、未熟な勇者様が修行をしつつ独裁帝国を倒すというとても類型的でありきたりな作品です。でも、すくなくとも原作ではこのお約束をきちんとキャラを立てた上で語っており、まったく問題ありません。
で、映画版なんですが、これがまた演出がビックリするほど下手くそです。とにかく大事なことはモノローグと一人言でクリアし、それ以外のどうでも良い部分だけが丁寧に描かれます。会話がぎこちないのもそうですし、なにせアクションが本当にどうかという程ひどいです。そもそもエレメントを呼び出すときに太極拳みたいな動きをするんですが、これが長すぎかつショボイため、まったく盛り上がりません。
本作は110分ですが、上手くまとめれば40分ぐらいで終わります。とにかく長い演出のすべてが無意味で、描かないといけない所を省いてしまっており、もうどうしようもありません。
おそらくオリエンタル感をだすためなのか、俳優陣はとてもアジアっぽい顔が揃っています。シンガポールやインド系がメインで、白人・欧州人が全然出てきません。このあたりの世界観の作りが良いだけにその演出の酷さが余計際立ってしまいます。
なんか書いててゲンナリしてきたんですが(苦笑)、シャマランはこれで5連続駄作がほぼ決定しましたので、そろそろハリウッドで干されるかも知れません。シャマラーとしては大変残念なんですが、今回分かったのは、やはりシャマランは色物監督としてしか生きる道がないってことです。普通の映画を撮ろうとすると、普通につまらない映画になりますw。
次回作に期待しつつ、でもお客さんが入ってないのですでに一般にもシャマランの底の浅さがばれているという事を残念に思いつつ、微妙にオススメいたします。
念のためですが、3Dで見る必要はまったくありませんので、レンタルDVDを待つのが一番ですw。

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トイ・ストーリー3

トイ・ストーリー3

今週の金曜レイトショーは

「トイ・ストーリー3」です。

評価:(95/100点) – お帰りなさい、極上のストーリー。


【あらすじ】

17歳になったアンディは大学入学を控え部屋の掃除をしていた。母から引っ越し先へもっていくものを選別するよう言われたアンディはお気に入りのカウボーイ人形・ウッディだけを残し他のおもちゃ達を屋根裏部屋にしまおうとするが、母親の手違いでゴミに出されてしまう。絶望したバズ達はアンディを捨て近所の保育園・サニーサイドのやっかいになることになる。しかしそこは、「捨てられたおもちゃの墓場」であった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> アンディの引っ越し
 ※第1ターニングポイント -> バズ達がサニーサイドに入る。
第2幕 -> おもちゃの墓場
 ※第2ターニングポイント -> ウッディが救出に戻る。
第3幕 -> サニーサイド脱出作戦。


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【感想】

さて、今週は金曜の新作が無かったので取っておいたトイ・ストーリー3を見てきました。というのも、私はここ何作か連続でピクサーに泣かされているため、土日以外の空いてるタイミングを狙ってたんですw 平日夜中のレイトショーでしかも3D字幕でしたので、ほとんど観客は入っていませんでした。環境バッチリw
結論から言いますと、今度のピクサーも凄い事になっています。とにかくシンプルな話を演出だけで持っていっていまして、まさに「映画力」満点といった貫禄の趣です。
一応おさらいしておきますと、「トイ・ストーリー」はディズニーアニメが停滞していた時期にジョン・ラセターとピクサーの名を一躍世にしらしめた歴史的な作品です。「おもちゃと持ち主」というある種絶対的な主従関係(=所有関係)にあって、それでも「おもちゃ」の幸せって、、、、という部分がテーマになっています。
ところが、「トイ・ストーリー2」では1での「おもちゃの幸せ」がごっそり抜け落ちてしまい、「おもちゃにとっては主人の言うことを聞くのが一番」という「どこの独裁国家だ!」って酷さになってしまって、お怒りの方も多数かと思います。っていうか言ってることが1作目と真逆w
そういった背景があって、「トイ・ストーリー」のファンは10年以上もやもやしていたわけです。で、今作ですが、、、、すっげぇ。まさに1作目の時のクオリティが戻ってきました。素晴らしいです。1作目から関わっているだけあって、リー・アンクリッチはきちんと本作の肝を理解して演出をしていますし、脚本のマイケル・アーントも完璧です。
本作ではきちんと「おもちゃにとっての幸せ」に一定の結論を出しています。そこは是非劇場で確かめていただくとして、、、、やはり本作で一番凄いところは、真の意味で悪人がいないっていう部分です。悪には悪になる理由があって、ある程度は情状酌量の余地があります。根っからの悪人は出てきません。みんなちょっとしたすれ違いで道をはずしたりすれ違ったりしていくんです。
ですが、本作ではウッディ達の「友情パワー」によって窮地をくぐり抜けていきます。今作における「善人」と「悪人」の差はそこだけなんです。友達がいるかいないか。ロッツィは友達がいないからグレていって、バズやジェシーは友達が居たから戻れたんです。「友達って大事」という教訓をここまで明確に出せるのは凄いです。しかも「ジェダイの復讐」のオマージュまでやってきます。
また、冒頭のシーンから顕著ですが、この監督は「マクロな視点で見るとショボイことをミクロに寄って迫力を出す」という事に特化した抜群の演出力があります。すんごいショボイことをやっているだけなのに、画面上では一大スペクタクルなシーンにきちんとなってますし説得力もばっちりです。
私は恥ずかしながら2箇所で号泣してしまいました。1カ所はもちろん冒頭のビデオカメラシーンです。本当に幸せそうなんだ、これが。手ぶれグラグラのヘンテコなショットなんか使わずに、誰がどう見ても手持ちカメラだっていうのが一発で分かって、しかもそのローテクな感じとノスタルジーを混ぜてくるあたりは完璧です。
そしてもう1カ所は終盤の手をつなぐシーンです。無理。マジ無理。完全に涙腺決壊。絶望の淵で、ご主人様を呼ぶでも泣き叫ぶでもなく、ただ仲間達で手を繋ぐんですよ。ここが本作が一番「分かってる」所だと思うんです。
結局、本作ではアンディとウッディを「主従関係」ではなく「友情関係」として描ききるわけです。「ご主人様の言いたいことも分かるけどそれでも仲間が大事」というウッディの思いがアンディに通じたとき、本作を1から見てきた人たちへのご褒美のような極上なエンディングが待っています。最後にウッディがつぶやく一言で、もう無理なんです、私。涙が止まらんのですよ(苦笑)。

【まとめ】

とにかく、1作目・2作目を見てない人はいますぐレンタル店に駆け込んで1・2を見て、続けて劇場へ走り込んで下さい。断言します。このクオリティの作品をシネコンで全国公開しているのに見に行かない人は大バカモノです。人生の何分の一かは損をしています。悪い事は言いませんので、劇場で、3Dで、トイ・ストーリー3、是非見て下さい。
大プッシュです。

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クレイジー・ハート

クレイジー・ハート

ワールドカップの小休止期間にたまった分を一気に書いてしまいますw

クレイジー・ハート」をみました。

評価:(75/100点) – 溢れるジェフ・ブリッジスの人間力


【あらすじ】

カントリー歌手の“バッド”・ブレイクはかつて一世を風靡したが、今はかつての弟子トミー・スウィートに人気を大きく離されドサ回りを続けていた。そんな中、地方新聞の記者をするバツ一子持ちのジーンと出会う。やがてジーンはバッドの心の支えとなっていくが、、、。


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【感想】

まとめ書き4本の最初はクレイジー・ハートです。なんか細かい内容を半分忘れてるんですが(苦笑)、、、楽しかった印象だけはハッキリと残っています。
「かつてのスターがドサ回り」というと、どうしても昨年のミッキー・ローク主演「レスラー」を連想してしまうんですが、同じ負け犬映画でもこちらは最後にポジティブな着地を見せます。プロットも大変よく似てまして、そして題材であるカントリーソングも一聴してかなり良い感じな雰囲気が伝わってくる点でも同じです。もっとも分かりやすさで言えば、間違いなく本作の方が上です。私はプロレスオタクも兼ねてますので「レスラー」はどストライクでしたが、一般的にはどうしても「ドサ回り歌手の作詞家・作曲家への転身」の方がしっくりくると思います。
厳密には負け犬というよりは才能あるダメ人間ですが、それがジェフ・ブリッジスという「未完の帝王」の人間力によって説明がなくてもハッキリと伝わります。もう本作はジェフが全てと言ってしまってもいいかも知れません。彼の憎めない愛らし雰囲気によって、バッドを慕うコリン・ファレルまで気の良い若造に見えてくるんです。マギー・ジレンホールもまだ若いのに人生に疲れたおばちゃんの味わいがとてもよく出ていて、素晴らしかったです。
逆に言えば、役者達の力以上には話が転がらないという不満はあります。予告編で感じる以上の”何か”はありませんでした。でも、このジェフ・ブリッジスはもっと見ていたいですし、どうしようもないけど幸せになって欲しいんです。
そういった意味では文句なしでオススメ出来る作品でした。

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プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂

プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂

本日はレイトショーで

「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」を観てきました。

評価:(75/100点) – 予定調和の爽快感と安心感と平凡感


【あらすじ】

貧民街で孤児として育ったダスタンは、ペルシャ王の目に留まり養子に迎えられた。それから15年、ダスタンは二人の兄とともに聖なる都・アラムートを攻め落とす。そこには美しいダガーと美しいタミーナ王女が居た。しかしその勝利の宴の席で、ダスタンが贈ったローブを纏った父王が毒で死んでしまう。暗殺容疑を掛けられたダスタンは命からがらタミーナ王女とともにアラムートを脱出した。ダガーに拘るタミーナと、暗殺を長兄・タスの王位簒奪と疑うダスタン。2人は、父王の葬儀に潜り込むため、再びアラムートを訪れる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> アラムート攻城戦。
 ※第1ターニングポイント -> 父王が暗殺される。
第2幕 -> 暗殺容疑を晴らすための冒険。
 ※第2ターニングポイント -> ハッサンシンにより寺院が襲撃される。
第3幕 -> ダガーを砂の時計に戻すための冒険


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【感想】

本日の新作レイトショーは「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」です。ディズニーとジェリー・ブラッカイマー・フィルムのコンビが贈るパイレーツ・オブ・カリビアン路線の実写娯楽アクション映画です。今週末公開の中では一番の大作と言うこともあってか、結構お客さんが居ました。

作品の概要

本作は2004年発売の同名アクションゲームの映画化です。とはいえ話はかなり変わっています。ダガー・オブ・タイム(時の短剣)を巡って、暗殺容疑を晴らしたいダスタン王子と、ダガーの守護者たるタミーナ王女、そしてダガーで昔に戻って兄を出し抜きたいニザムの3者が奪い合いを行います。お宝の奪い合いという分かりやすいフォーマットにアクションとロマンス要素を詰め込んだ作品ですから、老若男女問わずリラックスして適当に見るには最適な作品です(笑)。私も相当に楽しませていただきました。
なにせ本作は歴史的ゲームシリーズの映画化ですから、いかにその飛んだり跳ねたりするゲーム要素を見せるかが鍵になってきます。これはそのままパルクール・アクションに置き換えることで見事に成功しています。少し空撮の旋回映像が多すぎる気もしますが、いかにも中東っぽい町並みをガンガン飛び越えて行く様子はかなり爽快です。シャムシールを使った剣術アクションも、カット割りが早すぎてよく分からないと言う不満を除けば、ジェイク・ギレンホールの肉体性が良くでていて大変面白いです。このあたりのアクションに関してはとても良く出来ていると思います。ところが、、、
やはり不満はストーリー部分に集中してしまいます。というのも、物語上不要な行ったり来たりが多すぎて、かなり無駄でまわりくどいエピソードが多くなっています。せっかくイケメン王子と美女の逃避行なのに、きちんと落ち合って目的が一致するまでに1時間以上かかってしまうのは結構痛いです。また、「ダガーの時間戻しは1分までしかできない」という設定が割と途中から崩れ始めます(苦笑)。時間戻しに制限がある状況ではおかしい計画や作戦がいくつか見受けられます。
そしてなんと言ってもクライマックス以降の大団円に向かう部分です。「おまえ、それ口で言うだけかい!」みたいなストーリー上それでいいのかと思うほど適当な説得でみんなが納得してしまったり、そもそも面識が無く無愛想な王女が突如結婚を承諾したり、時間戻しの設定が全然生かし切れていません。本作における時間戻しは「ダガーのスイッチを入れた者だけが記憶を保持して時間を遡れる」のですから、最後は元のサヤに戻らないとおかしいんです。そしてもう一つ、時の砂だけはたとえ時間をもどっても消耗品として失われてしまいます。だから、例えば最後のシーンは「王女がダガーの柄を見て、ダスタンが時間を逆行してきたのに気付いた」みたいな描写を入れないとさっぱり通じなくなってしまいます。タミーナ王女は無愛想なのが魅力なのに、この終わり方ではなんかナンパされたギャルみたいでイマイチです。

【まとめ】

クライマックス以降に不満はありますが、とても良く出来たエンターテイメント作品だと思います。ジェリー・ブラッカイマー・フィルムの面目躍如です。ディズニーなので当然えげつない描写は出てきませし、安心して見られる良作です。
惜しむらくは、もうちょっとタイムトラベルならではの面白さを入れて欲しかったです。

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