ダブル・ミッション

ダブル・ミッション

今日の1本目は

ジャッキーの米進出30周年記念作品
「ダブル・ミッション」です。

評価:(70/100点) – ジャッキー健在!!! これぞB級アイドル・アクション映画。


【あらすじ】

ボブ・ホーは中国からCIAに出向しているスパイである。彼は隣人のバツ一子持ちのジリアンと恋仲になり、結婚を意識してスパイを引退することにした。
ある日、ジリアンの父が入院することになり、ボブは三人の子供のお守りを買って出る。しかし長男イアンがボブのMACをいじってロシアの極秘データをダウンロードしてしまったことから、一家はロシア当局から狙われてしまう。しかもCIAにはロシアへの裏切り者がいるらしい。果たしてボブは子供達を守りきることが出来るのか、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ボブの最後の仕事。
 ※第1ターニングポイント -> ボブが子守りを買って出る。
第2幕 -> ロシア当局からの逃亡。
 ※第2ターニングポイント -> ジリアンが戻ってくる
第3幕 -> 直接対決。


[スポンサーリンク]

【感想】

本日の1本目はアクション・コメディ映画「ダブル・ミッション」です。年配の方を中心に結構お客さんが入っていました。やはりジャッキー・チェンのネームバリューは一定年齢以上には刺さるんでしょうか?かくいう私もカンフー好きなので楽しませてもらいました。
本作は完全にコメディ映画ですから、リアリティ・レベルは相当低いです。ある程度酷い事になってもギャグで済んでしまいますし、そもそもからして奪い合う技術というのが漫画的です。ある意味超絶的なジャッキーの体技(ワイーアクション含む)がコメディと親和性があるという事なんですが、いつまでたってジャッキーの愛嬌と動きは変わりません。香港アクション・スターの系譜ではジャッキーの次にはジェット・リーやドニー・イェンが来るわけですが、コメディ色というと未だにジャッキーはバリバリの第一線です。
最初っから最後までジャッキーの魅力全開のアイドル映画となっていまして、子供達を手名付ける様子も含めて大変愉快な作品です。
全体的に少し類型的すぎて漫画的な表現が多いコメディですので、ストーリーに関しての矛盾はあまり気になりません。ただただ90分間テンション高く見ることができました。
今回はジャッキー得意のシチュエーション・アクションに独創的な部分はありません。大きく分けて、階段・立体アクション、ハシゴ&棒術アクション、自転車アクション、キッチン・リビングアクションです。どれもジャッキーの過去作で見覚えがありますが、かえってそれがアニバーサリー感を強めています。
そういった意味ではジャッキーを見るためだけのお祝い映画ですので、過度な期待は禁物です。ですが間違いなく、愉快な90分を過ごせると思います。間違いなくお勧めです!!!

[スポンサーリンク]
記事の評価
戦闘少女 血の鉄仮面伝説

戦闘少女 血の鉄仮面伝説

本日はようやっと

戦闘少女 血の鉄仮面伝説」を見てきました。

評価:(90/100点) – 僕、こういうの好き。勧めないですけどw。


【あらすじ】

いじめられっ子の高校性・渚凜は右腕の痛みに悩まされていた。16歳の誕生日に特殊部隊の襲撃で両親を惨殺された凜はヒルコとして覚醒、そのまま襲い来る人間達をなぎ倒していく。街で出会った如月と玲に従って訪れたヒルコ部隊で、彼女はヒルコの仲間と共に戦士として修行することになるが、、、。


[スポンサーリンク]

【感想】

本日はようやく「戦闘少女」を見て参りました。先週末は某フェスで踊り狂っていて渋谷に行けなかったので、念願の鑑賞です。やはり人気監督&アイドル映画ということなのか、お客さんはかなり入っていました。
本作の監督は井口昇・西村喜廣・坂口拓という悪趣味映画の第一線で活躍するトリオです。本作は、3幕構成に従ってきっちり章立てされており、各章毎にそれぞれの監督が仕切っています。しかし仲が良いのかあまりに趣味が似通っているのか、まったくチグハグした感じが無く、一人のディレクションで撮っているといわれても何の違和感も無いほど良く出来ています。
とはいえ、他の井口作品・西村作品と同じく、決して一般受けするような作品ではありません(笑)。なにせ基本は「外国人が見た誤解や偏見が入りまくった日本観」の誇張に乗っけて70年代の東映・女性アクション映画を好き放題やっている作品です。そこにはグロい肉体破損を徹底的にギャグとして描く悪趣味センスがあったり、人間では無いヒロインが苦悩しながらも人間との調和を目指すというデビルマン的な異形愛があります。中盤で玲がフリークス・ショーで見世物にされていたという過去エピソードが入りますが、これこそまさに典型的な一昔前のアメリカンモンスター/スラッシャームービーの設定そのものです。
そういった意味でも、やはり本作では主役級3人の魅力というものに大きな比重がかかってきます。結果としては、3人ともとても魅力的に見えますのでアイドル映画としても大成功だと思います。血みどろのアイドル映画ってのも変な話ですが(笑)、それこそ梶芽衣子とかかつてのグラインドハウスっぽいB級ならではの(雑な)熱量を物凄く感じます。特に自ら「コスプレナースの佳恵です!」と意味が分からない自己紹介をする森田涼花さんは主役を食うほどの存在観を見せてくれます。なんというか、笑いながら人を惨殺するシーンがこれほど似合う人は居ません。(←一応褒め言葉w) ファンの方には申し訳ないのですが、ちょっと腹黒い感じが漏れてしまっているような「無垢な笑顔」がとんでもなく可笑しくもあり怖くもあります。
杉本有美さんもきちんと回し蹴りが頭まで届いていますし、ちょっとギコチないなからも身体能力の高さが良く分かるアクションを見せてくれています。残念ながら私はあんまり特撮ヒーローものを見てないのでゴーオンジャーでの活躍を見てないのですが、これなら将来アクション路線に行っても通用するかもと思わせてくれる内容でした。
また、敵役ながらやはり竹中直人はいろんな意味で群を抜いています(笑)。下らないっちゃあ下らないんですが、天丼のくだりは完全に爆笑でした。反則というか場をぶちこわして全部持ってくというか、感服です。そして忘れていけないのがやはり亜紗美の存在感です。完全にB級映画のアクション女優として板についた彼女ですが、かなり驚くレベルの殺陣を見せてくれます。
ストーリーとしてはよくあるタイプではあります。異形の者が覚醒して、同種の仲間達に合流して、でも結局は人類との調和を目指し敵対者と戦う。ダレン・シャンもそういう話ですし、パーシー・ジャクソンもそうです。そこにとにかく悪趣味なものを詰め込みまくると本作になります。それが竹中式ギャグであったり、井口式のゴア・ギャグであったりするわけです。

【まとめ】

個人的にはかなり好きな作品ですが、他人には決して勧めません(苦笑)。あまりにも内容が偏り過ぎていてとてもじゃないですが映画としての完成度は低いです。でもそんなことはまったく問題ありません。決して日本ではメインストリームに行けないタイプの作品ですが、作り手達が本当に楽しんで作っていて、そしてファンサービスをしようとしているのがとても伝わってくるので、変な連帯感というか共犯感がついて回ります。
好きな人だけがこそこそ見に行って、好きな人同士で「面白かったね」って盛り上がる。そういうニッチでカルトよりな良作だと思います。

[スポンサーリンク]
記事の評価
処刑人II

処刑人II

昨日は

処刑人Ⅱ」をみました。

評価:(70/100点) – 処刑人ファン必見のファンムービー


【あらすじ】

ジョー・ヤカヴェッタに正義の鉄槌を下したセインツことマクナマス兄弟は、父とともにアイルランドに隠居して農場暮らしをしていた。しかしそんなある日、ボストンの教会で一人の神父が殺害される。セインツを模した殺害方法を「挑戦状」と受け取った二人は、再びボストンへと戻る決意をする。一方、ジョー・ヤカヴェッタの息子コンセシオ・ヤカヴェッタは、父の仇討ちに燃えていた、、、。・

【三幕構成】

第1幕 -> セインツの今。そして神父殺害事件。
 ※第1ターニングポイント -> セインツがボストンに着く
第2幕 -> セインツの捜査。
 ※第2ターニングポイント -> ヤカヴェッタ・ファミリーを皆殺しにする。
第3幕 -> 黒幕との対決。


[スポンサーリンク]

【感想】

昨日見てきたのは、「処刑人Ⅱ(The Boondock Saints II: All Saints Day)」です。1999年に限定公開された「処刑人」の続編です。前作もそこまで名前の売れている作品ではありませんが、劇場にはかなりのお客さんが入っていました。
本作は端的にいって「ファン専用の続編」です。前作であった重たいトーンを完全に廃して、ギャグやホモソーシャル的な部活感だけを超拡大したものです。なので、いわゆる「キャラもの」です。前作が好きなファンからすれば「またあの”兄弟&お笑い担当外人”トリオが帰ってきた!」って感じでかなり好意的に受け取られると思います。私もその口です。しかし話はかなりアバウトですし、なにせ前作を見ていることが大前提で物語が進んで行きます。「1でウケた要素を拡大して2を作る」というのはよくある手法です。まさにそのものというか、何の捻りもない「ファン専用の続編」です。ですから、実は本作についてあんまり書くことがありません(苦笑)。
敵は前作のボスの息子ですし、前作で死んだイタリア人相棒・ロッコの代わりにはメキシコ系の新キャラ・ロメオが登場します。敵も一緒、配置も一緒、オチはことごとく前作のキャラネタ。120%純粋なファンムービーです。
映画単体としてはかなりB級で頭の悪いアクション・エクスプロイテーション映画です(笑)。でも、前作のファンとしては全然問題ありません。頭からっぽにして、セインツのイチャイチャした感じにテンション・ガン上がりです。
前作のファンだったら何を置いても行くべきですし、前作を見たことが無い人はまずは「処刑人」を見て下さい。変に他映画のパロディを多用していたりもしますので、コメディ/バディ・ムービーとして十分に楽しめると思います。

[スポンサーリンク]
記事の評価
パリより愛をこめて

パリより愛をこめて

今日は一本です。

ピエール・モレルの「パリより愛をこめて」を観てみました。

評価:(75/100点) – ストーリー? 何ですか、それ?(笑)


【あらすじ】

ジェームズ・リースはCIAの見習いとしての顔を持つ、優秀な在仏アメリカ大使補佐官である。ある日、彼はCIAから麻薬捜査で送り込まれた来たパートナーのワックスと出会う。ワックスはそのはちゃめちゃで強引な捜査方法でリースを振り回していくが、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> リースの仕事風景
 ※第1ターニングポイント -> リースがワックスと出会う。
第2幕 -> 対麻薬組織の捜査
 ※第2ターニングポイント -> ワックスがアジトを壊滅させ、資料を提出する。
第3幕 -> 結末。


[スポンサーリンク]

【感想】

本日は1本。ヨーロッパ・コープ期待のピエール・モレル監督の「パリより愛をこめて」です。昨年の「96時間」がかなり分かりやすい勢い重視のアホ・アクション映画だったため、本作もかなりの期待を持っていました。昼の回でしたが観客も5割ぐらい入っていまして、アクション映画にしてはそこそこ盛況でした。
本作を一言で言ってしまうと、「いつものヨーロッパ・コープの大味アクション映画」です。しかしやはりそこはピエール・モレル。とても早いテンポでサクサク進むため、いわゆる間延びとか飽きるといったことはありません。爽快感という意味ではかなりのものがあります。その時点で細かい事を気にしなければ全く問題ありません(笑)。ドッカーン!! チュドーン!!! エンドロール。
なので、勢いに乗ったもん勝ちです。
ところが、やはりそこはリュック・ベッソン。まったく期待を裏切らない超B級で超適当な脚本が全開です(笑)。
ヨーロッパ・コープのお約束としてマフィアはみんな中国・中東系ですし、敵は目的不明のテロリストです。たぶん映画を見終わった方が真っ先にひっかかると思うんですが、そもそも敵の新興宗教っぽい奴らが何をしたいかさっぱり分からないんです。っていうか構成員が二人しか出て来ないので、団体自体がよく分かりません(笑)。まさか教祖と唯一の信者って事は無いと思うのですが、にしても雑過ぎます。早い話が、ストーリーなんてどうでもいいんです。本作でやりたいのは、格好良い超人・ジョン=トラボルタとへたれなジョナサン・リース・マイヤーズのホモ・ソーシャル的なバディ感だけです。だから脚本はものっすごい適当です(笑)。
実際に、肝心のジョン・トラボルタはメチャクチャ格好良いです。まぁ「サイエントロジー信者のトラボルタを使って敵が新興宗教ってマズくないかい?」とかちょっと思うんですがOK、OK。
一応指摘をしておけば、本作の「From Paris with Love」というタイトルは100%間違いなく007映画の二作目、「From Russia with Love」を意識しています。「ロシアより愛をこめて」は、冷戦下のロシアにおいてジェームズ・ボンドにスパイとして送り込まれたタチアナが、本気でボンドに恋をしてしまい愛国心と恋との間で揺れ動くというアクション・ラブストーリーです。未だに私は007シリーズの中で一番好きだったりしますし、ボンドガールではダニエラ・ビアンキが一番好きです。では本作はどうかと言いますと、プロット自体は違うものの、やはり恋と忠誠心で揺れ動く女性と言う意味では「ロシアより愛をこめて」を意識したテーマ設定になっています。ところが、、、やっぱり「ヨーロッパ・コープが作るとこうなる!」っていうぐらい大味であっさりとしています(笑)。全然いいんじゃないでしょうか? 本作ではどうしても恋愛部分よりもバディ・ムービーとしての要素が強く出ているため、正直な所あんまりラストはどうでもいいような気がします。あくまでも「男向けの爽快アクション映画なんで美女も出しときました」って感じの適当さでサクサクと進んで行きます(笑)。
ちなみにやはりリュック・ベッソンなので、ボンクラギャグも忘れていません。リースがスタートレック好きと分かったときのやりとり、「おまえスポックが好きなのか?」「いやウフーラだよ。」というジョン・トラボルタのゲイ疑惑を利用したメタ・ギャグは声出すギリギリで笑いました(笑)。こういう無駄なギャグを入れてくるのが、ベッソンのB級作家としての目配せです。やっぱ駄目だこの人(笑)。
余談ですが、横浜ブルグ13でワーナーブラザーズの方が鑑賞後アンケートを採っていました。アンケートの質問内容がすっごい適当で心配だったんですが、私はハッキリと断言します。ヨーロッパ・コープのアクション映画で大ヒットを狙うなら、きちんとB級であることを受け入れた上で「話は適当ですよ。でも楽しさは無類です!」という流れで宣伝するべきだと思います。だって良作のハリウッド大作だと思って変にハードル上がってたら、たぶんがっかりします(苦笑)。そうじゃない!!! 特に本作は重低音と銃声で100分間テンションを上げまくってくれる栄養ドリンクみたいな映画です。鑑賞後には爽快感以外は何にも残りません(笑)。でもそれをこそ見に行くんだから、おしゃれ押しなんて要らないと思うんです。

【まとめ】

本作は、頭をカラッポにしてみる勢い重視のバカ・アクション映画です(笑)。おそらく会社帰りでちょっと疲れていて軽くお酒が入っていれば超楽しめると思います。わりとポスターがおしゃれ系でまとめていますが、騙されてはいけません(笑)!!!
いつものヨーロッパ・コープが好きな方なら間違いなくど真ん中で楽しめますので、是非是非劇場でご覧下さい。
あ、鑑賞時にはポップ・コーンをお忘れなく(笑)。

[スポンサーリンク]
記事の評価
書道ガールズ!!わたしたちの甲子園

書道ガールズ!!わたしたちの甲子園

例によって土曜は二本です。一本目は

書道ガールズ!!わたしたちの甲子園」です。

評価:(55/100点) – ベタベタな青春映画。


【あらすじ】

愛媛県は四国中央市。紙産業が盛んな街だったが、商店街は寂れ相次ぐ閉店・倒産に見舞われていた。そんな中、三島高校に臨時教師として赴任してきた池澤先生は、書道部の顧問として書道パフォーマンスでの勧誘を行ってみせる。音楽を掛けながら大きな筆で大きな半紙に書くスタイルに、部長の里子は戸惑いを隠せないが、一方で清美はその姿に惚れ込んでしまう。清美は父の好永文具店の閉店記念に、部員みんなでの書道パフォーマンスを企画するが、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 書道部の日常と池澤先生の赴任。
 ※第1ターニングポイント -> 池澤先生が書道パフォーマンスを披露する
第2幕 -> 書道パフォーマンスの練習。そして清美の転校。
 ※第2ターニングポイント -> 美央が書道部に復帰する
第3幕 -> 書道パフォーマンス甲子園


[スポンサーリンク]

【感想】

本日の1本目は「書道ガールズ!!わたしたちの甲子園」です。TV局映画だからか観客はかなり入っていました。客層もお年寄り夫婦からカップルから子連れまで幅広く、週末の興業ランクでは上位にくるかも知れません。
話の内容はこれ以上ないほどシンプルです。「真面目でぶっきらぼうな努力家」「陽気なムードメイカー」「変わりもの」「おとなしいミステリアスな美少女」「訳ありで部を離れた天才」と超類型的なキャラクター達による青春スポ根映画です(笑)。書道はスポーツじゃないと思ったそこのアナタ! 甘いですよ(苦笑)。本作では書道は完全にスポーツとして扱われます。大事なのは仲間とのチームワーク、そして強靱な足腰。特訓は走り込みと千本ノック的な反復練習。完全にスポ根です。
でまぁ結論を言ってしまうとですね、青春映画としては平均的な出来ですが、肝心の書道があんまり関係無いんです(笑)。せっかく里子の父親が厳しい書道家で「書道パフォーマンス」なる遊びに否定的なのに、里子自身に全然葛藤がないんです。多分この映画を見て「書道パフォーマンス」に興味がでた方はいるかも知れませんが、「書道ならではの楽しさ」が分かった人はあんまり居ないと思います。実際には「書き手の心が字に表れる」所が面白いわけですが、その喜びなり楽しさは表現されていません。だからせっかく本物を連れてきて書道パフォーマンス甲子園の本番を描いたのに、どこが優勝したかを言わないという酷い事になっています。本来なら「一番思いを込めて書いたチームが一番素晴らしい字を書いた」という所に着地しないといけないんですが、、、これもやはり実在の参加校への配慮でしょうか? この部分については、同じ成海璃子さん主演の武士道シックスティーンの方がきちんと描けていました。
とはいえ、 山下リオ、桜庭ななみ、小島藤子というアイドル・テンコ盛りの映画として見ることは十分にできますし、あまりにベタ過ぎてダサイっていう以外はそこそこ楽しめる作品ではあります。ぶっちゃけ病院のシーンで泣いちゃいましたし。
顔に墨汁が飛んで変な顔になるというギャグをしつこく重ねてくるのには正直辟易しましたが、この際桜庭ななみに免じて大丈夫です(苦笑)。
でもせっかくなのだから、エピローグとして「書道パフォーマンスの結果、商店街が活気づいた」ぐらいの描写は見せて欲しかったです。この作品では町興しのために書道パフォーマンス甲子園を開いて頑張ったわけですから、その結果が「池澤先生が書道の楽しさを思い出す」「池澤先生と部員達の信頼関係」っていうのはちょっと違うかなと思い引っかかりました。美央の件にしても、商店街の不況のことにしても、本作では全然解決していないんです。な~んかヨサ気な感じで流れてっちゃった印象ですが、本当に良いんでしょうか? 結構重たい話だと思うんですけど、、、。

【まとめ】

青春映画の佳作として、どなたでも安心してポップコーンを食べながら見れます(笑)。そこまで絶賛するほど出来は良くないですが、なんか今月は変な映画ばっかりだったので感覚的には大当たりです(笑)。
シネコンでの公開ですので、もしお暇な方はフラっと入って見ると良いかも知れません。意外と拾いものでした。

[スポンサーリンク]
記事の評価
スナイパー:

スナイパー:

本日は渋谷で二本+短編一本を見てきました。

一本目は「スナイパー:(神鎗手)」です。

評価:(85/100点) – 燃える漢の狙撃戦!


【あらすじ】

腕を見込まれて香港警察狙撃部隊に引き抜かれたOJはフォン隊長の下で一人前の狙撃手になるための訓練を受けていた。彼の部隊にはかつて狙撃大会で四連覇を達成し唯一500mのピンショットを可能にした天才リン・ジンが居たが、彼は過失致死で服役中であった。そんな天才リン・ジンは四年の刑期を満了した後、マフィアに手を貸して警察達を次々と射殺していく。果たして四年前に何があったのか?そしてリン・ジンの目的は?
四年前の真相が明らかになったとき、フォン隊長、リン・ジン、OJの三人の天才達が激突する。

【三幕構成】

第1幕 -> OJの特訓。
 ※第1ターニングポイント -> タオの脱走。
第2幕 -> リン・ジンとOJとフォン隊長
 ※第2ターニングポイント -> タオの銀行強盗開始。
第3幕 -> リン・ジンの復讐


[スポンサーリンク]

【感想】

本日の一本目は香港映画の「スナイパー:」です。アクション映画といいますか香港ノワールといいますか、男臭~い熱血映画です。関東ではシネマ・アンジェリカでしか上映していませんが、その割にはあまりお客さんが入っていませんでした。正直もったいないです。めちゃくちゃ面白いですよ。
また、例によって以下はネタバレを多く含みますので、未見の方はご注意下さい。

本作の構造

さて、本作には三人の魅力的な男が登場します。香港映画界の宝にして近年では「ダークナイト」にも出ていた、そしてハメ撮り流出で休んでいたエディソン・チャン。ちなみに本作はお休みする前の最後の作品です。それに台湾の90年代を代表するアイドル歌手リッチー・レン。最後に中国の近年最高のアイドル・ホアン=シャオミン。このイケイケな3人が、ある意味歪んだ三人の男達を熱演します。でまぁ演技もさることながら、この三人のキャラの立て方が抜群に上手いです。
フォン隊長は、リン・ジンに射撃の腕が叶わず、出世レースでもリン・ジンに先を越されさらには妻がうつ病で自殺未遂までしてしまい自分の能力・境遇に強烈なコンプレックスを持っています。そのため、リン・ジンをハメてまで掴んだ狙撃隊長の座を唯一「自分がトップを張れる場所」として自己実現の場にしており、自分の言うことをあまり聞かないOJに対して激烈な反応を示します。
OJは父親がケチな雀荘の店番(=小者)だということに猛烈な不満を持っています。そしてその父親への反抗心から強烈なエリート意識があり、自分の能力に絶対的な自身を持っています。時には過信や傲慢とも取れる態度で独断専行も辞しません。
リン・ジンは孤高の天才肌で、人付き合いがよくないものの、その絶対的な射撃能力でいち早く出世していきます。しかし新婚早々に起きた銀行強盗事件でフォンの偽証により懲役刑を食らい、さらには八つ当たりをしてしまった妻は謝罪する間もなく事故死してしまいます。それ故にフォン隊長に対して恨みを募らせており、マフィアに手を貸してフォン隊長をおびき出し復讐を行います。
この三人をパッと見れば分かるように、明らかに悪であるリン・ジンが一番まともです。ともすればヒーローに描かれても可笑しく無いキャラクターなんです。っていうかセガールがやっても可笑しく無い(笑)。しかし本作ではあくまでも狙撃隊の新人・OJをメインとし、先輩二人の確執からくる決闘を描いていきます。パッと見ると善悪の二項対立みたいに見えかねないんですが、構造的にはOJのメンター(=師匠)はフォンでもありリン・ジンでもあるわけです。OJは、フォンから射撃の基本と心得を習い、リン・ジンからは独特の呼吸法とロングショットのコツを習います。だからこそ、本作のラストショットの意味が出てくるんです。新人のOJは、フォンとリン・ジン、それぞれの教えを受けて成長するんです。この描き方が抜群です。まるで熱血スポ根映画のようです。

【まとめ】

本作はもの凄く面白いんですが、でも実はあんまり書くことがありません(笑)。というのも、上記の三人のキャラクターを立てた時点でもうこの作品は”勝ってる”んです。しかもそこを取り巻く描写もアクションもほとんど完璧です。決して上品な作品ではありませんが、しかし男の子が大好きな要素は全てきっちり詰まっています。自宅が渋谷まで電車で一時間ぐらいの距離でしたら、十分に行って元は取れます。超オススメです。
強いて言えばちょっと画質が良くなかったんですが(というかデジタルノイズが乗ってました)、もしかしてDVDかBDでの上映だったんでしょうか? 何にせよ、ミニシアターとはいえこういう面白い作品をきっちり上映してもらえるのはありがたいことです。渋谷はミニシアターがいっぱいあって、本当に面白い街です。行くのはいつも裏通りばっかですけど(笑)。

[スポンサーリンク]
記事の評価
武士道シックスティーン

武士道シックスティーン

本日は2本です。

1本目は「武士道シックスティーン」です。

評価:(65/100点) – 邦画の中では文句なく良作。若干剣道描写が、、、アレか?


【あらすじ】

剣道の中学チャンピオンの磯山香織は、中学時代に唯一敗れた西荻早苗を追って東松高校に入学する。しかし高校で再会した西荻はへっぴり腰で気迫のない情けない少女であった。そこで磯山は西荻の潜在能力を発揮させるために特訓を企画する。剣道一筋の人生だった磯山は、西荻との交流で徐々に心を開いていく。しかしそれは磯山の強さを奪うことでもあった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 早苗と香織の出会い。
 ※第1ターニングポイント -> 香織が放課後に早苗を自宅に誘う。
第2幕 -> 地区大会と香織の苦悩。
 ※第2ターニングポイント -> 早苗が父と再会する。
第3幕 -> 早苗と香織の決闘。


[スポンサーリンク]

【感想】

さて本日は2本見てきました。一本目は武士道シックスティーンです。原作本の人気もあってか、結構混んでました。映画を見てる間中ずっ~と気持ち悪い笑い声を上げてるキテるアイドルオタク風の人が居る一方で、親子連れや年配の男性一人で来てる人など、観客層もさまざまでした。
でまぁ結論から先に言いますと、これがなかなか良い出来の青春スポーツものでした。本作のような内容はおそらく日本でしか成立しづらいものです。そういった意味で十分に邦画として見る価値のある佳作だと思います。

ストーリーについて

本作のストーリーは早苗と香織という2人の似たもの同士が互いに距離を測りながら友情を深めていく青春映画です。先日見た「海の金魚」とほぼ同じフォーマットです。
早苗の父親は、人が良すぎるために企業秘密を漏洩してしまい大借金を背負って蒸発してします。それを見た早苗は「負けること」に強烈な抵抗を示すようになり、逃げ回ってでも「絶対に負けない」事を信念に気迫のない腰の引けた剣道スタイルになっていきます。
一方の香織は母を亡くし、不器用な剣道家の父親に幼い頃から「勝つ剣道」を叩き込まれ続けます。「勝つこと」だけが生き甲斐で、趣味も剣道の鍛錬と剣道関連書の読書など、完全に剣道のみの人生を歩んできています。
このお互い「父親に理解して欲しい」という欲求を心の底にもったーーしかし表面への出方が180度違う2人が出会うことで相互に支え合うようになっていきます。
主演の成海璃子と北乃きいは結構な好演を見せてくれますし、剣道シーンは一部を除いてなかなか良く出来ています。剣道を囓った身としては、ここまで剣道シーンを描写してくれればもう十分及第点です。
しかしですね、実はこの剣道描写でちょいちょいガックリさせられるんです。
まずは北乃きいが勝つ2つのシーンです。両方とも相手が完全に棒立ちなのも酷いんですが、北乃きいが背中を反っちゃってるのがダメダメです。面を打つときは一足一刀から踏み込んで手を伸ばしつつ絞りますので、背中は絶対に反りません。胸は張りますが、背中が反り返ってるのは変です。
次に最後の決闘シーンです。ここは心底がっかりです。ここでは両者が制服姿で剣道をするんですが、2人とも下手なんです(苦笑)。しかもスゴい下手。もしかして他の剣道シーンはスタントマンの吹き替えなのかもと思ってしまって急に冷めてしまいました。

スポーツにおける「道」の問題。

あまり意識されることが少ないかも知れませんが、日本のスポーツや文化には「道」と言う文字が最後に付くものがあります。ちょっと思いつくだけでも、柔道、剣道、茶道、華道なんかがあります。この「道」という文字はそのまま「生き方」を表しています。要は柔道や剣道や茶道や華道は、単なる技術論や勝負論ではなく、そこから「人生とは?」というところまで拡張された価値観・精神を修行するものなんです。
本作で描いている「剣道」もまさにその典型です。「剣道」は相手の3部位を竹刀の先端から中結いまでの37~38センチで打つスポーツです(プラスで突きもあります)。ルールは超単純です。しかし単純過ぎるがゆえに、そこには技術論以上に精神論が大きくなっていきます。本作で描かれる早苗のように細かい横ステップを多用すると、普通はぶっ飛ばされます(笑)。っていうか本作の剣道シーンでは一足一刀の間合いに入っても動かなすぎです。
本作の早苗と香織は剣道を通じて人生について考えさせられます。剣道を続ける意味を互いに悩んだとき、そこには「父と自分の関係」であったり自分の人生観を見つめ直す事になります。
こういったスポーツと人生観を重ねるというのは非常に日本的な発想です。

【まとめ】

本作は剣道を通じて友情を深め合う2人のまっすぐな少女の成長物語です。役者陣はみなさん良いですし、ストーリーもちょっと類型的な嫌いはあるものの十分に及第点です。
必見というほどでもありませんが、もしお時間があれば映画館で見てみるのも良いかもしれません。随所に小笑いが起きるようなギャグも挟んできますので、剣道を知らない方でも全然問題ありません。万人におすすめできる佳作です。

[スポンサーリンク]
記事の評価
タイタンの戦い

タイタンの戦い

本日のレイトショーは

タイタンの戦い」です。

評価:(55/100点) – 名作のリメイクとしては無難な出来。でもちょっと3Dが、、、。


【あらすじ】

漁師の夫婦はある日、海で女性と赤ん坊の入った棺を発見する。幸運にも生存していた赤ん坊はペルセウスと名付けられ漁師として育てられた。それから十数年後、成人となったペルセウスと家族がアルゴス沖で漁をしていると、たまたまアルゴス兵達が巨大ゼウス像を倒す所に遭遇してしまう。そして冥王ハーデスの逆襲に巻き込まれ、ペルセウス一家は彼を除いて全滅してしまう。
さらに、ハーデスはアルゴス王に対し次の日蝕に怪獣クラーケンを解き放つ事を宣言し、止めたければ娘のアンドロメディアを生け贄として差し出すよう要求するのだった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ペルセウスの生い立ちと一家の死。
 ※第1ターニングポイント -> ハーデスがアルゴス王に要求を突きつける。
第2幕 -> クラーケンを倒す方法を探る冒険。
 ※第2ターニングポイント -> 日蝕がはじまる。
第3幕 -> クラーケン襲来。


[スポンサーリンク]

【感想】

さて今週の新作レイトショーは「タイタンの戦い」です。ご存じストップモーションアニメの巨匠レイ・ハリーハウゼンの作品として知られる「タイタンの戦い」のCG実写版リメイクです。
主演は去年のターミネーター4から急に主役級で見かけるようになった期待のサム・ワーシントン、脇には往年のいぶし銀名優が勢揃いという映画ファンならエンドロールだけで御飯2杯はいける作品です。

ストーリーについて

作品の内容としては、まさにそのまんまオリジナルの「タイタンの戦い」です。かつてストップモーションアニメで撮っていた部分をフルCGで作り、そして3D用の演出に書き換えたようなものです。さすがは「アンドロメダ型」とまで言われるほどの「お姫様を救う勇者の冒険譚」の物語原型でして、非常にオーソドックスな骨組みにはなっています。実はそういった意味では限りなく「アリス・イン・ワンダーランド」と同じ話と言えます。
ただ、かなり駆け足な印象はありまして、明らかに描写が足りない部分も多々見受けられました。特に、本作の第2幕(=冒険パート)では大きく4つの有名イベントがあるのですが、その間の移動描写が極端に少なかったり、次のイベントに行くきっかけがかなり省かれたりしています。もし旧作を見たことが無ければ、おそらく最初に森やら砂漠やらをうろついている意味が分からないと思います。グライアイ三姉妹の件も人物関係を説明してくれませんから、ギリシャ神話自体を知らなければ何が何やら分かりません。
そしてこういった駆け足が何故行われているかというと、、、私はこれは3Dのせいだと思います。

3D表現について

本作は2D映画として撮影された映像をあとから3D変換しています。そして(ここが肝だと思いますが)、あらかじめ3Dを前提として撮影していないため、3D用にあとから追加した描写と元からあった物語本編の描写のトーンがあきらかにズレてしまっています。ここが3D変換を前提に2Dで撮影された「アリス~」との決定的な違いです。
3D用の描写は本作では大きく2パターンしかありません。1つはデジタルのコピぺを使った無限遠風景の表現です。要は地平線まで繋がる砂漠や波の表現でまさに奥行き表現そのものです。もう1つはある対象物の周りをぐるっと回る空撮っぽい描写です。これはオープニングの星座やゼウス像、巨大サソリに乗った一行や、冥界の渡し船など、繰り返し多用されます。
一方、作品の本道では、アクションシーンが多いせいか比較的アップで速いパンを連続させる描写を多用します。
そうするとですね、、、3D用のシーンは非常に間延びして冗長に見え、本道のシーンは動きが速すぎて3Dが破綻するという、かなり残念な状態になってしまいます。実際問題、本作はもしかしたら2Dの方が楽しめるかも知れません。あまりに不自然すぎて、3Dが逆にマイナス要素になってしまっています。
そもそも3Dはいわゆる「見せびらかす描写」になりがちです。「ほ~ら、凄いだろ、3D」って感じの長回しがどうしても多くなるので、その分本編に使える時間が少なくなってしまい、結果としてストーリーが駆け足になるという本末転倒な自体が起こってしまっています。

【まとめ】

個人的には、この作品に3Dは要らないと思います。なんでもかんでも3Dにすれば話題になるのかも知れませんが、それにしてもやはり作品によっては3Dの向き不向きはありますし、何より3Dが必ずしもプラス要素とは限りません。
本作をこれから観ようという方には、申し訳ございませんが2D上映をオススメいたします。これを機に、もう少し制作サイドが3D映画にすることによる影響範囲や作品価値の上げ方を考えていただければと思います。
でも面白かったんで、是非是非。ちょっと怖いシーンもありますが、お子さん連れでも十分楽しめると思います。

[スポンサーリンク]
記事の評価