パリより愛をこめて

パリより愛をこめて

今日は一本です。

ピエール・モレルの「パリより愛をこめて」を観てみました。

評価:(75/100点) – ストーリー? 何ですか、それ?(笑)


【あらすじ】

ジェームズ・リースはCIAの見習いとしての顔を持つ、優秀な在仏アメリカ大使補佐官である。ある日、彼はCIAから麻薬捜査で送り込まれた来たパートナーのワックスと出会う。ワックスはそのはちゃめちゃで強引な捜査方法でリースを振り回していくが、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> リースの仕事風景
 ※第1ターニングポイント -> リースがワックスと出会う。
第2幕 -> 対麻薬組織の捜査
 ※第2ターニングポイント -> ワックスがアジトを壊滅させ、資料を提出する。
第3幕 -> 結末。


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【感想】

本日は1本。ヨーロッパ・コープ期待のピエール・モレル監督の「パリより愛をこめて」です。昨年の「96時間」がかなり分かりやすい勢い重視のアホ・アクション映画だったため、本作もかなりの期待を持っていました。昼の回でしたが観客も5割ぐらい入っていまして、アクション映画にしてはそこそこ盛況でした。
本作を一言で言ってしまうと、「いつものヨーロッパ・コープの大味アクション映画」です。しかしやはりそこはピエール・モレル。とても早いテンポでサクサク進むため、いわゆる間延びとか飽きるといったことはありません。爽快感という意味ではかなりのものがあります。その時点で細かい事を気にしなければ全く問題ありません(笑)。ドッカーン!! チュドーン!!! エンドロール。
なので、勢いに乗ったもん勝ちです。
ところが、やはりそこはリュック・ベッソン。まったく期待を裏切らない超B級で超適当な脚本が全開です(笑)。
ヨーロッパ・コープのお約束としてマフィアはみんな中国・中東系ですし、敵は目的不明のテロリストです。たぶん映画を見終わった方が真っ先にひっかかると思うんですが、そもそも敵の新興宗教っぽい奴らが何をしたいかさっぱり分からないんです。っていうか構成員が二人しか出て来ないので、団体自体がよく分かりません(笑)。まさか教祖と唯一の信者って事は無いと思うのですが、にしても雑過ぎます。早い話が、ストーリーなんてどうでもいいんです。本作でやりたいのは、格好良い超人・ジョン=トラボルタとへたれなジョナサン・リース・マイヤーズのホモ・ソーシャル的なバディ感だけです。だから脚本はものっすごい適当です(笑)。
実際に、肝心のジョン・トラボルタはメチャクチャ格好良いです。まぁ「サイエントロジー信者のトラボルタを使って敵が新興宗教ってマズくないかい?」とかちょっと思うんですがOK、OK。
一応指摘をしておけば、本作の「From Paris with Love」というタイトルは100%間違いなく007映画の二作目、「From Russia with Love」を意識しています。「ロシアより愛をこめて」は、冷戦下のロシアにおいてジェームズ・ボンドにスパイとして送り込まれたタチアナが、本気でボンドに恋をしてしまい愛国心と恋との間で揺れ動くというアクション・ラブストーリーです。未だに私は007シリーズの中で一番好きだったりしますし、ボンドガールではダニエラ・ビアンキが一番好きです。では本作はどうかと言いますと、プロット自体は違うものの、やはり恋と忠誠心で揺れ動く女性と言う意味では「ロシアより愛をこめて」を意識したテーマ設定になっています。ところが、、、やっぱり「ヨーロッパ・コープが作るとこうなる!」っていうぐらい大味であっさりとしています(笑)。全然いいんじゃないでしょうか? 本作ではどうしても恋愛部分よりもバディ・ムービーとしての要素が強く出ているため、正直な所あんまりラストはどうでもいいような気がします。あくまでも「男向けの爽快アクション映画なんで美女も出しときました」って感じの適当さでサクサクと進んで行きます(笑)。
ちなみにやはりリュック・ベッソンなので、ボンクラギャグも忘れていません。リースがスタートレック好きと分かったときのやりとり、「おまえスポックが好きなのか?」「いやウフーラだよ。」というジョン・トラボルタのゲイ疑惑を利用したメタ・ギャグは声出すギリギリで笑いました(笑)。こういう無駄なギャグを入れてくるのが、ベッソンのB級作家としての目配せです。やっぱ駄目だこの人(笑)。
余談ですが、横浜ブルグ13でワーナーブラザーズの方が鑑賞後アンケートを採っていました。アンケートの質問内容がすっごい適当で心配だったんですが、私はハッキリと断言します。ヨーロッパ・コープのアクション映画で大ヒットを狙うなら、きちんとB級であることを受け入れた上で「話は適当ですよ。でも楽しさは無類です!」という流れで宣伝するべきだと思います。だって良作のハリウッド大作だと思って変にハードル上がってたら、たぶんがっかりします(苦笑)。そうじゃない!!! 特に本作は重低音と銃声で100分間テンションを上げまくってくれる栄養ドリンクみたいな映画です。鑑賞後には爽快感以外は何にも残りません(笑)。でもそれをこそ見に行くんだから、おしゃれ押しなんて要らないと思うんです。

【まとめ】

本作は、頭をカラッポにしてみる勢い重視のバカ・アクション映画です(笑)。おそらく会社帰りでちょっと疲れていて軽くお酒が入っていれば超楽しめると思います。わりとポスターがおしゃれ系でまとめていますが、騙されてはいけません(笑)!!!
いつものヨーロッパ・コープが好きな方なら間違いなくど真ん中で楽しめますので、是非是非劇場でご覧下さい。
あ、鑑賞時にはポップ・コーンをお忘れなく(笑)。

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第9地区

第9地区

本日はSF映画2本立てです。

1本目は「第9地区」です。

評価:(95/100点) – ヘタレ小役人よ、いまこそ立ち上がれ!!!


【あらすじ】

今から20年前、南アフリカのヨハネスブルグに宇宙船が飛来してきた。そのまま居着いてしまったエイリアンは、その容姿とゴミ漁りの意味を込めて「エビ」と呼ばれ第9地区に隔離されていた。そして現代、軍事組織MNU(マルチ・ナショナル・ユナイテッド=多国籍連合)はエビ達をヨハネスブルグの郊外に移住させる計画を発動する。計画の総指揮は、エイリアン課の真面目な職員・ヴィカスに任された。軍人達の暴走を横目に、ヴィカスは第9地区に向かい移住同意書へのサインを集めるが、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> UFOの出現からこれまでの概要。移住計画の発令。
 ※第1ターニングポイント -> ヴィカスの左腕がエビ化する。
第2幕 -> ヴィカスの逃走と黒い液体の奪還作戦。
 ※第2ターニングポイント -> 司令船が撃墜される。
第3幕 -> 第9地区での最終決戦。


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【感想】

やっと、、、やっと日本公開されました。昨年の夏休み映画にして全米で大ヒットした昨年のSF最高傑作、30億というCG映画にしては安い制作費ながら205億円の興収を叩きだしたモンスター映画、「District9」です。
すでにDVDが出てますので映画ファンならばチェック済みの方も多いと思いますが、ようやく9ヶ月遅れでの公開です。去年の秋頃はDVDスルーすら怪しかった冷遇のされ方でしたが、なんとかかんとか公開されたことに安堵しつつ、やっぱり日本の配給会社の方針に疑問を感じずにはおれません。
本作のストーリーは劇場でご堪能いただくとして、やはりずば抜けているのは観客感情の操り方です。
序盤はエビが完全に卑しい低脳なエイリアンにしか見えないんですが、あるポイントからエビ同士の会話シーンが入るようになります。そしてヴィカスがエビ化するにつれ徐々にエビの事情が見えてきて、観客もエビに親近感が湧くようになります。それと同時に、エビにだってインテリで良い奴がいるということが明らかになります。そして極めつけは地下ラボであるものを発見するシーンです。ここで完全に人間側が悪になります。そして人間どもの非道さが観客に浸透してフラストレーションがピークに達した所で、遂にヘタレのヴィカスが熱血ヒーローモードに入るわけです。それこそ「ガンダム大地に立つ!!」のようなロボットものの第1話よろしく、いままでヘタレだった男が意を決して強大な力を手に入れて己の正義のために立ち上がるわけです。これが嫌いな男の子は一人もいないと断言できます。熱血ってやっぱり万国共通なんですね。
とはいえ、プロットは結構雑だったりします。黒い液体でエビ化する原理が説明無しだったり、司令船から母艦をリモートコントロール出来る原理の制約事項の説明が無かったり(=制約無しなら司令船が飛ぶ必要がない。)、どうしてもチグハグな感じが否めません。しかしそれを差し引いても、キャラクターの追い込み方は本当に見事です。「こうなったら、こうするしかない」という追い込まれ型の行動原理が全編続いていて、物語の推進力は最後まで衰えることがありません。だから、2時間近くがあっという間に過ぎてしまいます。
もちろん、本作はご存じの通り「ケープタウン第6地区」と「居着いちゃった宇宙難民」のアイデアを混ぜたものです。ですから黒人のメタファーとしてエビを見ることは可能ですし、それこそアパルトヘイトに対する怒り(人間/白人共をぶっ殺せ)と捉えることも可能です。
しかし、そういった政治的な目線の好みを脇に置いても、第1級のすばらしいSF作品であることは間違いありません。
本作がコケでもした日には金輪際SFは輸入されないんじゃないかというぐらい危機感があったりしますので、是非是非、気になった方は劇場に足を運んでみて下さい。GAGAに儲けさせるのは癪ですが(苦笑)、映画ファンなら必見の作品です。
いや噂に違わぬ素晴らしい出来でした。

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シャーロック・ホームズ(2009)

シャーロック・ホームズ(2009)

さてさて、雪降ったり暑かったりで体調崩してるんですが、金曜と言えば当然新作のレイトショー。

今日は「シャーロック・ホームズ」を観てきました。

評価:(65/100点) – 同人にしては良くできてる、、、、でも「天使と悪魔」。


【あらすじ】

ロンドンで5人の若い女性が殺される。捜査に乗り出したホームズとワトソンはブラックウッド卿を突き止め、6人目の犠牲者を危ないところで救出しブラックウッドを逮捕する。そしてブラックウッドは死刑を執行される。ところが彼が地獄から復活したという噂が流れ始める。実際にブラックウッドの棺桶を調べた警察とホームズは、その中に見たことのないミゼット(=こびと)を発見する。果てしてブラックウッドは生き返ったのだろうか? 獄中の彼が遺した「あと3件の殺人が起きる」という予言が徐々に真実味を帯びてくる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ブラックウッド卿の逮捕と死刑執行。
 ※第1ターニングポイント -> アイリーン・アドラーがホームズを訪ねてくる。
第2幕 -> 3件の殺人事件。
 ※第2ターニングポイント -> ブラックウッド卿の連続殺人事件の共通点にホームズが気付く。
第3幕 -> ブラックウッド卿の野望を阻止できるかどうか。


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【感想】

さてさて、本日はガイ・リッチーの最新作「シャーロック・ホームズ」です。マドンナと離婚した今となっては完全に「一発屋」扱いのガイ・リッチー監督ですが、久々にビックバジェット・エンタメ大作です。主演はアイアンマンで薬物中毒から一転ヒーロー路線へ復活を果たしたロバート・ダウニーJrです。
やはりホームズのネームバリューなのか、レイトショーでは珍しく6~7割ほどは座席が埋まっていたでしょうか?かなり混んでいました。
本作は説明不要の「シャーロック・ホームズ シリーズ」のキャラクターを使ったオマージュ作品です。予告でも分かるように、ホームズもワトソンもかなりの武闘派になっておりまして、かなりアップテンポな場面が目に付きます。
でもいまいち盛り上がらないというか、エンタメ映画の割にカタルシスがあんまりないんです。もちろんCGは結構豪華ですし目に見えた破綻があるわけではありません。この原因について考えてみます。

お話しの部分について

本作は構成が非常にしっかりしています。ブラックウッドが死刑になるまでが約25分、ホームズが謎を解くのが100分ごろ、そこからは約30分で国会→ロンドン橋でのアクションシーンです。話の構成自体には何の問題もありません。
おそらく本作に欠けているのは、「観客視点の受け皿」と「物語の推進力」です。
まず前者ですが、原作では「語り手」「常識人」としてのワトソンが読者の受け皿でした。読者はワトソンの視点からホームズの奇想天外な推理を感心出来るわけです。ところが、本作にいわゆる「一般人」は出てきません。強いて言えばレストレード警部とメアリーぐらいが平凡なキャラで、ホームズもワトソンもアイリーンもアクが強く曲者です。濃いキャラだらけにしてしまった結果、観客が完全に客観的な視点からホームズを観察してしまうんです。そうすると、次の「物語の推進力不足」問題がより加速します。
先日の「ライアーゲーム~」や「コラライン~」でもちょっと書きましたが、物語には推進力が必要です。それはほとんどの場合、キャラクターが追い詰められて何かしないといけなくなることです。本作の場合は、「レオダンの家探し」→「殺人事件の謎解き」→「テロの阻止」と目的が変わるのですが、どれも中途半端というか他人事っぽい描き方になっています。例えば、レオダンの家は割とあっさり見つかってしまいますし、その後はアクション・シーンです。殺人事件にいたっては最初の一件だけが彼が直前に会っている「見知った人」で、後の2件はあんまり関係ないためやはり他人事です。
これだと、いくら構成が良くても全然面白くはなりません。きちんとホームズを事件に絡めさせて追い詰めないといけないのですが、本作ではそこまで事件捜査をすることもなくクライマックスの100%アクションシーンに行ってしまいます。また、ブラックウッド卿が獄中で宣言する「期日」もタイムリミットの役目を果たしていません。ですので、全体を通してあまり緊迫感が無いままに漫然と物語りが進んでしまいます。
後半は推理もかなり無茶になっていきますので、推進力はどんどん低下していってしまいます。

キャラクターについて

このキャラクターについてが本作の一番の肝です。おそらくシャーロック・ホームズとワトソン博士のコンビを知らない方はほとんどいないと思います。それほどまでに古典中の古典であるシャーロック・ホームズは、名前だけでも十分なキャラクター意匠になります。なので、本作ではキャラの描き方がかなり雑です。説明しなくてもどうせみんな知ってるという前提です。その上で原作にもあったホームズとワトソンのホモソーシャル的(=男子校的)な関係を拡大し、全キャラに格闘アクション要素を足しています。終盤にホームズの「腕ひしぎ逆十字固め」とワトソンの「胴締めスリーパー」の競演がありますが、場内爆笑でした。そりゃガイ・リッチー監督は柔道黒帯ですけど、、、。
この原作の要素をグッと拡大する感じがとっても漫画っぽいんですね。なので、キャラクターについては映画単体としてはかなり残念です。原作を読んでいるのが大前提で、その上で原作とのギャップを楽しむ感覚です。このあたりが原因で見終わった後にパロディ作品っぽい印象を持ってしまいます。

【まとめ】

キャラクターの名前を借りてきてオリジナルな事をやるという点ではいわゆる同人作品っぽさがあります。ところが見た目や名前がどんなにホームズでも、映画のプロットはそのまんま「天使と悪魔(2009)」です。
もちろんエンターテインメントとして標準のクオリティは十分に保っていますので、小難しいことを考えずに楽しめる良作だと思います。
最後に一点だけ。本作の冒頭でタイトルが出た直後のシーンは、完全に「グラナダ版(=ジェレミー・ブレット版)シャーロックホームズ」のオープニングそのままです。全体のテイストも「ヤング・シャーロック ピラミッドの謎(1985)」っぽい雰囲気ですので、確実に過去作へのオマージュ感覚は入っていると思います。
もしシャーロック・ホームズが好きならば、確実に「グラナダ版TVドラマシリーズ」をレンタルしてきた方が良いです。でももしハリウッドのエンタメ・アクション映画が見たいのであれば、本作はまさしく適任です。是非、映画館へ足を運んでください。オススメです!!!
今週末ですと、「ハート・ロッカー」を見ていたたまれなくなった方のお口直しにぴったりです。

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きょーれつ もーれつ 古代少女ドグちゃんまつり スペシャル・ムービー・エディション

きょーれつ もーれつ 古代少女ドグちゃんまつり スペシャル・ムービー・エディション

は昨日はシネマート新宿で「きょーれつ もーれつ 古代少女ドグちゃんまつり スペシャル・ムービー・エディション」を見てきました。本編も見たかったんですが、それ以上に目当てだったのは井口昇監督と江口寿史さんと主演の谷澤恵里香さんのトークショーです。
江口さん言うところの「すらっとしたモデル体型の美人ではないが、クラスのみんなが”あの子が良い”って美人に群がる中で僕だけが”後ろに座ってる谷澤さんの方が好き”ってなるような良い存在の女の子」と表する谷澤さんの魅力。男としてはすっごい良く分かるんですが、当の谷澤さんはイマイチ褒められた気がしないようでちょっとむくれていました。谷澤さんはけっしてスタイル抜群ではないですが(←失礼)、自然な美人というか、あきらかに健康を害するほどの無理をしてない範囲での「普通にかわいい魅力的な娘」って感じで、この作品のイメージにぴったりなんです。井口監督も、「オーディションで入ってきた瞬間に”この娘だ!”って思うほどハマリ役だった。」と絶賛するその存在感。本作の大成功を元に、是非とも飛躍して欲しいです。
井口監督は相変わらず「ドグちゃんTシャツを初日(2/20)から一度も脱いでない。多分公開終了まで脱がない。(=二週間着っぱなし)」とキモオタぶりを遺憾なく発揮していました(笑)。いやぁ、世界的にもトップクラスに人気のある監督なんですが、やっぱ変態だなぁと(←褒め言葉ですよ。念のため)。
トークショーの締めで生「ドキドキ・ウェーブ」を見れたので私としては大大満足です。これぞアイドル映画の醍醐味です。


っかくなのでこの「古代少女ドグちゃん」についてちょっと書きたいと思います。いまいち知られていないようですが、この特撮ドラマは超ハイレベルで全映画ファン必見の作品です。
引きこもりで母親に先立たれた高校生・杉原誠は、考古学者の父親に無理矢理付き合わされた発掘作業で古代土器を発掘してしまいます。しかしこの土器こそが一万年前に妖怪退治で名を馳せた「土器の神様」ドグちゃんだったのです。現代に蘇ったドグちゃんは誠を下僕にして、相棒の土偶・ドキゴローと共に妖怪退治を行います。こうして普段はドジッコのドグちゃんは杉原家に居候することになりました、、、、。
というストーリーのラブコメ特撮ヒロインものです。
で、これだとどっから見てもありがちな変身ヒロインものなんですが、何せスタッフが超豪華なんです。監督で名を連ねるのは井口昇(「片腕マシンガール」「ロボゲイシャ」)、豊島圭介(「怪奇大家族」「怪談新耳袋」)、清水崇(「呪怨」)、三宅隆太(「ほんとにあった怖い話」「呪怨 白い老女」)。とにかく、日本のインディ・カルト映画シーンで活躍するトップクラスのクリエイター達が惜しげもなく才能を使って悪ふざけをしています。
さらにゲスト俳優もハンパ無く豪華です。ソニン、藤村俊二、田口浩正、斉木しげる、安達祐実、竹中直人、美保純、そして斉藤由貴。
このドラマシリーズを一言で表すならば、「バカじゃないの(笑)、素晴らしい。」です。特撮を見慣れていない方でも、存分に楽しめるだけの強固で正当派な脚本になっていますのでご安心ください。井口昇監督の近作で多用されるグロ描写はまったく無く(TVドラマなんで当然ですけど)、彼の監督としての基礎能力の高さが良く分かる傑作です。関東では放送がありませんが、すでにDVDも出ていますので是非ともチェックしてみてください。
日本にだって世界トップクラスのエンターテインメントを作れるクリエイターが居るという心強い発見があるはずです。
ちなみに井口昇監督の次回作は「戦闘少女」です。シアターNで上映するようなので必ず行きます。こんなに多作なのに傑作をバンバン作る監督も最近では珍しいですよ。

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ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女

2本目は「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」です。

評価:(75/100点) – 変テコな映画だが面白い!


【あらすじ】

「ミレニアム」の発行責任者のミカエル・ブルムクヴィストは実業家ヴェンネルストレムへの名誉毀損の罪で3ヶ月の禁固刑の判決を受けてしまう。
一方、ヴァンゲル・コンチェルンのヘンリック・ヴァンゲルはミカエルの身辺調査を行う。調査結果に満足したヘンリックは、刑執行まで6ヶ月の猶予があるミカエルを個人的な調査員として雇い入れる。調査内容はヘンリックの兄の孫娘で失踪中のハリエットについてである。ヴァンゲルは調査を進めるうちに、失踪が連続殺人事件に関連することを突き止める、、、。


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【感想】

この作品を見るのは2度目です。初回は東京国際映画祭でした。原作はスウェーデンの大ベストセラーです。
日本での配給元であるGAGAの宣伝方針なのかやたらとダヴィンチコードを連想させる宣伝を打ちまくっておりますが、はっきりいってまったく関係ありません。
どちらかというと羊たちの沈黙のようなシリアルキラーvs女性捜査官のサスペンス映画です。
サスペンスものなのでネタばれ無しで行こうと思ったらあまり書くことがありませんでした(汗。。
本作の面白さの大半はリスベットが担っています。リスベット役のノオミ・ラパスは苦労人で、長くアルバイトをしながら俳優活動を続けていましたが一向に芽が出ませんでした。ところが本作の大ヒットで一気にスターになっています。確かに眠らせるには惜しい逸材です。リスベットは物語の大半で独特なパンク・ファッションを身にまとっていますが、後半でビジネス・ウーマン風の格好をするシーンがあります。そのギャップたるや凄まじく、ノオミ・ラパスの俳優としての潜在能力が遺憾なく発揮されています。
ツンデレというと安っぽいですが、「難しい精神状態とつらい過去を持ったサディスティックなクールビューティ」というとんでもなく難しい役をこなしたラパスはもっと評価されても良いと思います。
また、話の語り口もかなり巧みです。2時間40分と非常に長い上映時間でありながら、見ている最中はそこまで長く感じませんでした。2012とは大違いです。ただし、容疑者候補となるヴァンゲル一家の紹介が序盤に駆け足で行われてしまうため、なかなか人物関係が頭に入らないと思います。実際、初めて見たときは家族構成がわけ分かりませんでした。
ということで、下記に家系図を載せときます。是非これを何となくでも覚えてから本作を見てみてください。家系図さえ頭に入っていれば相当面白いです。

【まとめ】

映画的な大傑作というたぐいの物ではありませんが、サスペンスとしてはかなり良くできています。一部性的虐待等のシーンがありますので、どなたかと一緒に行く際にはお気をつけ下さい。とはいえ見て全く損は無い映画です。是非見てみて下さい。原作3作全てを映画化するようですので、残り2作を楽しみにしています。
ヴァンゲル家・家系図

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