2本目は
評価:(40 /100点) – 惰性で見るには申し分ないが、新しいファンを獲得するのは無理。
【あらすじ】
セブルスの裏切りにあった魔法界はヴォルデモート一派に席巻されていた。魔法省の大臣は殺され、ホグワーツにはセブルスが校長として就任する。
ハリー、ロン、ハーマイオニーはヴォルデモートを殺すため、ダンブルドアからの遺品を元に分霊箱を破壊する旅に出る、、、。
【三幕構成】
第1幕 -> 逃走と結婚式。
※第1ターニングポイント -> ハリー、ロン、ハーマイオニーが旅に出る。
第2幕 -> ロケットの奪取と破壊方法を探す旅。
※第2ターニングポイント -> 分霊箱を破壊する。。
第3幕 -> ヴォルデモートの屋敷からの脱出。
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【感想】
土曜の二本目は「ハリーポッターと死の秘宝 Part1」です。初日の割にはお客さんは6割~7割ぐらいの入りでした。「ハリー・ポッター」シリーズの七作目であり、原作最終刊の前編です。予告では「遂に完結」とあおってはいますが、あくまでも原作が最終刊というだけで3作目から6作目までと同様に普通に前振りだけして終わります。まったく完結ではありません。
おさらい
「ハリー・ポッター」シリーズは当初シリーズ化をにらんではいたものの、前提になっているわけではありませんでした。具体的には「賢者の石」「秘密の部屋」「アズガバンの囚人」「炎のゴブレット」は一応作品単体として成立しています。ホグワーツにある不思議な事件が起きて、その謎解きをする課程で魔法のガジェットが登場します。さらにそのガジェットに何かしらヴォルデモートに通じるエピソードが入ってきます。物語の最初は必ず学年末休み空けで、乗り物にのってホグワーツに登校、学年が上がるところから始まります。そしてその学年で色々あってハリー達が成長し、最後はその学年末に「またね!」で家に帰るところで終わります。いうなれば完全に定型化されたフォーマットであり、昔からよくある「ちびっ子学園探偵物」です。何故かホグワーツ魔法魔術学校は卒業資格が明記されていませんので、極端な話、ハリーが10年生になっても続けられるようにはなっていますw
このフォーマットが崩れるのが4作目「炎のゴブレット」です。「炎のゴブレット」の最終盤、ヴォルデモートが遂に復活します。これにより、「ハリーvsヴォルデモート」という対立構造がより明確化され、それがストーリーの全てになります。ですので、非常にざっくばらんにいってしまえば、シリーズ未見の人は「秘密の部屋」「アズガバンの囚人」「炎のゴブレット」は見なくても大丈夫ですw 一話完結で同じような話しかしていませんからw ガジェットだけは本作でも出てきますが、大した意味はありません。
言い換えれば、「炎のゴブレット」以降の作品、「不死鳥の騎士団」「混血のプリンス(謎のプリンス)」「死の秘宝」の3作は全て続き物の作品です。意地悪な言い方をすると、いまさら「死の秘宝 Part1」とか銘打たなくても、すでにこの三作が「ハリーポッターと闇の魔法使い Part1」「Part2」「Part3」なわけで、、、そういう意味では「遂に完結」というラベルですでに失笑が生まれてしまったりはします。
本作の魅力と欠点
作品を重ねる毎にどんどんオッサンになっていくラドクリフ君ですが、本作では笑顔要素ゼロでず~っとしかめっ面をしています。そう、本作は初期の和気藹々な学園探偵物のテイストは完全に消え失せ、一種のディストピアSFになっています。悪に支配された世界で、数少ない正義のレジスタンスが一発逆転のために駆けずり回ります。これ自体は非常に愉快で熱血な展開です。作品としてアクション要素はありませんが、しかし襲い来る敵をかいくぐりつつ戦うという要素はかなり良い感じです。
しかし、まず単純にハリー御一行の三人がほぼ完成されてしまっている(=修行・成長しない)点と、ものがたりの着地が示唆されない(=宛が無いまま駆けずり回る)点にかなりつらい物があります。見ていてワクワク出来ないというか、何がしたいかわからない状態が暫く続いてしまうため、興味が続きません。早い話が飽きます。
そして何より、ハーマイオニーやトビーが強すぎるため、あまりピンチらしいピンチが訪れません。極端な話、真っ正面から戦っても余裕でヴォルデモート派に勝てそうに見えてしまうんです。
3Dについて
本作には特に前半に多くの「3D演出」が登場します。例えば冒頭、セブルスがヴォルデモートの屋敷に入っていくシーンでは、奥行きのある長い庭を真っ正面から捉え手前では門が閉まる演出がされます。 さらにその直後、不死鳥の騎士団サイドの面々がハリーに変身するシーンでは、意図的に全員がカメラから見て別々のレイヤーに立ちます。つまり本来であれば”違った飛び出し方”で何人ものハリーが見られるという「マルコビッチの穴」的なギャグだったわけです。魔法省に忍び込むシーンではエレベーターを真っ正面から捉え、奥に急に引っ込んだり、手前に急に出てきたり、かなり意識して奥行きを使っています。
本作は事前のアナウンスでは普通のフィルム(コダックのVision3)で撮影した後、夜中にHDDにテレシネ(キャプチャー)して、その後で3D変換するはずでした。ところが、10月12日に3D版のお蔵入りが発表されます。公式発表では「最高の3D品質基準で観客の皆さまにお届けすることができないと判断した」となっています。
残念ながら3D変換が間に合わなかったという話は聞いていませんが、10月の頭に本国のワーナーブラザーズが各国の支社に12月払いで上納金の御触れを出したという話は聞いています。ちなみに、Part2も含めて、「ハリーポッターと死の秘宝」は2010年6月12日にクランクアップしています。ですので、そこからラッシュにしてファーストプレビューするのはおそらく7月中旬です。ちなみに2Dから3Dへの変換は2時間もので通常3ヶ月掛かります。(余談ですが「海猿」はその4分の1の超短納期やっつけ仕事でしたので質が低いのも当然ですw) 逆に言えば、通常なら多分9月下旬には3D版「死の秘宝」が出来ているはずなんです。
少なくとも、上期で不調だったワーナー・エンターテイメント・ジャパンとしてはどう考えても3Dによる入場料金アップは欲しかったはずなので、本国はともかく日本法人として3Dを中止にする理由はありません。なので、これは確かに間に合わなかったかプロデューサーOKが出なかったぐらいしか考えられません。穿った見方をすれば、もしかすると春先の「タイタンの戦い」がアメリカでそこまでヒットしなかったため、「ハリー・ポッター」という不動人気のシリーズを使って3D映画の将来性をテストしているのかなとも思います。
真相はともかく、本作を見た限りは3Dで公開する必然性はそこまで感じませんので、観客サイドとしてはどうでもいいかなとは思いますw
【まとめ】
「ハリー・ポッター」シリーズのファンであれば間違いなく行くべきですし、行かないと気になってかなり気持ち悪いと思いますw ですが、そこまで熱狂的なファンで無ければ、Part2の公開時にDVDでチェックするのも手だと思います。なにせあくまでも前編ですので、本作でなにかが起こるわけではありません。ひたすら風呂敷を広げるだけで終わります。決して手放しではオススメしませんが、エマ・ワトソンの成長っぷりを微笑ましく見ているだけでもやり過ごせますので、テンション低めでオススメします!
※ちなみに私はシリーズを全部DVDとBDで揃えています。なので一応はファンですw あしからず。
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