正式公開から1週間経ってるわけですが、インセプションが「良く分からん」という声が随所から聞こえてきます。そこで、えいやと思い立って超ネタバレなタイムラインを書きましたw
下記の画像が後半というか第3幕の目玉「インセプション作戦」のタイムラインになります。2回見たのでたぶんあってると思うんですが、間違ってたらすみません。
特に3層~4層は本作で一番ツッコミ所が多くかつ混乱する所ですので、人それぞれで解釈が違う可能性があります
※「インセプション」はギミックだけの映画で内容はあまりありません。そしてノーランの演出が下手なためこのような混乱が起きていますw ネタバレは著しく作品の価値を損ないますので、鑑賞後にご覧いただくか、絶対映画館で見る気が無い人だけご覧ください。
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アクション
ソルト
今日は二本です。1本目は新作映画、
「ソルト」を観てきました。
評価:
– まだそこまでの歳でもなかろうに、、、。。【あらすじ】
イヴリン・ソルトはCIAロシア部のエージェントである。彼女の結婚記念日、仕事を上がろうとしたまさにそのとき、CIAにヴァシリ・オルロフと名乗る自称ロシアスパイが投降してくる。
尋問を早々に切り上げたいソルトだったが、オルロフによる「ソルトがロシアからの潜入スパイである」との発言から状況が一転、スパイ容疑を掛けられたソルトはCIAからの脱出を試みる。
【三幕構成】
第1幕 -> 北朝鮮からの帰還とオルロフの投降。
※第1ターニングポイント -> オルロフの告発。
第2幕 -> ロシア大統領暗殺計画。
※第2ターニングポイント -> ソルトがオルロフ一味を殲滅する。
第3幕 -> アメリカ大統領暗殺計画。
【感想】
7月もあっという間に最終日です。本日の1本目は本日公開のソルトです。最近では「コストパフォーマンス・ワースト1位(ギャラと興収のバランスが最低)」に選ばれたり、すっかりB級アクション俳優として評価が落ち着いているアンジェリーナ・ジョリーの最新主演作です。監督は「Catch a fire」以来4年ぶりのフィリップ・ノリスです。今週はあまり大人向けの新作が無いこともあってか、アンジー主演とは思えないほど観客が入っていました。
公開前には「Angelina Jolie’s SALT」というタイトルがアナウンスされていたとおり、本作は完全にアンジェリーナ・ジョリーのための映画です。ほとんどプロモーション映像集と言っても良いでしょう。アンジーがいろんな髪型や服装に変装し、いろいろなシチュエーションでアクションを見せてくれます。このフォーマット自体は「イーオン・フラックス(主演:シャーリーズ・セロン)」や「バイオ・ハザード(主演:ミラ・ジョヴォヴィッチ)」、「アンダー・ワールド(主演:ケイト・ベッキンセイル)」など伝統的によくあります。っていうか、アンジー自身が「トゥーム・レイダー」で有名になったようなものですし、ある意味では得意ジャンルでもあります。
でも、、、本作でなにがまずいかと言いますと、そもそもの話が適当過ぎるという部分以上に、アンジーのアクションが明らかにレベルが低いんです。最後のエンドロールに「Ms Angelina’s Double」というクレジットがありましたが、本作はバリバリ吹き替えを使っています。おそらく車の屋根に飛び乗るシーンや衝突車の中のシーンだと思うんですが、それ以外のアクションシーンもものすごい手持ちのグラグラ・カメラを多用していて全然アクションが見えません。これってアクションが出来なくなったアクションスターが身体性を誤魔化すためによくやる手段なんですが、まさかアンジー、、、、まだ35歳なのに、、、、。
ハッキリ言ってストーリーに見るべき所はありません。よくあるダブルスパイものですし、終わり方が少年ジャンプの打ち切りそのものです。続編を作る気満々の半端な終わり方がちょっと引っかかります。今更東西冷戦とか言われても全然ピンと来ませんし、メッカに核を落としてイスラム教徒の敵意をアメリカに向けるって、、、そんな小学生が考えたようなアイデアを20年以上暖めないでしょ、普通。
なんか作品の根底にあるソ連に対しての妄執的な恐れというのが全くピンと来ないんです。ただ、この辺りはアメリカ人の感覚ではまだまだあるのかも知れませんのでなんとも言えません。
【まとめ】
アンジェリーナ・ジョリーのための映画ですが、あまり魅力的な感じではありませんでした。アメコミを新人女優で映画化したような感覚ですが、さすがにアンジーを使っていまさらこのフォーマットは厳しいです。アンジーもせっかく「チェンジリング」で性格俳優に転向できそうだったのに、やっぱり元の鞘に戻ってきてしまいましたw
すでに身体能力の劣化が始まっている上にこの方向性でいくのは厳しいとは思いますが、アクションをやるからにはもうちょい体を作り直して本気で臨んで欲しいものです。
ゾンビランド
2本目は
「ゾンビランド」です。
評価:
– 爆笑必至。童貞と筋肉バカとマセガキ・悪女のハートフル珍道中。【あらすじ】
ゾンビ病によりアメリカ合衆国がもはや「ゾンビランド」と化した世界。童貞元引きこもりのコロンバスは、自身の考えたサバイバル32箇条を忠実に守って生き延びていた。ある日、彼は実家のオハイオに戻る途中でゾンビハンターのタラハシーと出会う。ゾンビを殺すことを生き甲斐とするタラハシーにとって、唯一の休息は大好きなトゥインキーを食べることだった。連れだった2人は途中スーパーマーケットに立ち寄りトゥインキーを探すが、そこで詐欺師の姉妹と出会う。色々あって4人連れとなった一行は、ゾンビが居ないという都市伝説を持つLAパシフィック・プレイランドへと向かう。
【三幕構成】
第1幕 -> タラハシーとの出会い
※第1ターニングポイント -> ウィチタとリトル・ロックと合流する。
第2幕 -> LAへの旅とビル・マーレイ
※第2ターニングポイント -> 姉妹が居なくなる。
第3幕 -> パシフィック・プレイランド
【感想】
週末の2作目は「ゾンビランド」です。こちらもハングオーバー同様に昨年公開の映画でアメリカでは大ヒットいたしました。現時点でも興収100億を超えており、ゾンビ映画史上最も売れています。お客さんもホラーにしてはめずらしくかなり入っていました。とはいっても、本作は厳密にはホラーではありません。ジャンルとしてはホラー風コメディです。一番近い感覚は「死霊のはらわたIII/キャプテン・スーパーマーケット」でしょうか? 一応ゾンビは出てきますし、バリバリのゴア描写もありますが、怖いというよりは「うわぁ~~~~キモっwww」という感じで笑える描写が多くなっています。しかも「スペル」とは違い脅かそうという気もありません。完全にギャグのみで使われています。
なにをおいても本作が素晴らしいのは、引きこもりの童貞少年が女に惚れてありもしない勇気を奮い立たせるというそのフォーマットに他なりません。それだけで満点でも良いくらいですw 登場人物はリトルロック以外が全部ダメ人間なんです。コロンバスも、タラハシーも、ウィチタも、みんな変人ばっかりです。でも、そこに最終的に信頼が生まれるところがグッとくるんです。ビル・マーレイの酷い(←褒め言葉)使い方も含めて、絶賛せざるを得ません。間違いなく今年屈指の良作です。
ある種の保存食として良くネタにされるトゥインキーという小道具の選び方、最終的には33に増える「サヴァイバルの掟」の説得力、パシフィック・プレイランドという架空の遊園地の微妙なショボさ、完璧です。
とりあえず、悪い事はいいませんから、劇場に行ってください。手抜きじゃなくて(苦笑)、ごちゃごちゃ言うのはヤボですw。
アホ万歳!!! ゾンビ万歳!!! そんでもってカウボーイ万歳!!! みんな万歳!!!! オススメです!!!!!!!
ザ・ロード
今日は有楽町で2本見てきました。1本目は
「ザ・ロード」を見てきました。
評価:
– ドラマの薄い単調な終末ロードムービー【あらすじ】
天変地異で文明が崩壊したアメリカで、親子はひたすら南を目指す。
【感想】
本日の1本目は「ザ・ロード」です。公開から結構経っていますが、お客さんはかなり入っていました。とはいえ有楽町シャンテの小さな箱でしたのでせいぜい20~30人と言ったところでしょうか。結構良い評判を耳にしていましたので期待して見てみました。が、、、、確かに好きな人がでそうな雰囲気は分かるのですが、私にはまったく合いませんでした。
本作の基本プロットと引っ掛かる所
本作は、何らかの事情で文明が崩壊してしまったアメリカが舞台となります。母親は気がふれて自殺してしまい、残された父と子は母の遺言である「暖かいところを目指して。」という言葉を守り、ひたすら南へ向かいます。生き延びた人間達は、ギャングのような集団を作って人を襲っては人肉を食べるならず者と、ひたすら彷徨うだけの善良な市民に別れています。親子は時に残虐な連中とニアミスしながらも、ただただ南に向けて歩き続けます。
はっきりと言いますが、本作にドラマはありません。あるのはシチュエーションだけです。上記のような世界で、ひたすら親子が悶えあっているだけです。恐ろしい、、、。
しかも時折挟まれるイベントも2パターンしかありません。1つは、ならず者達に見つかりそうになって逃げるイベント。もう1つは善良そうな不審者にあって、息子が施しを与えようとするのを父が窘めるイベント。以上です。後は何もありません。
私は本作を見ていてほとんど怒りに近い感情をもってしまったんですが、その大きな要因が息子の存在と世界観の適当さです。
本作の世界は、人食い連中がうようよいる危険な環境のはずなんです。ところが、例えば物音がして隠れなきゃいけないシーンですら、明かりや焚き火をつけっぱなしで大声で親子が怒鳴り合うんです。おまえら10秒で見つかって瞬殺だよ!!!しかもナイフがあるのに堂々と銃声を響かせたり、敵のアジトからこっそり抜け出すときに階段をブーツでドタドタ駆け下りたりするんです。どういうリアリティなんでしょう?
それにプラスして、息子がほとんど頭がイカレてるんじゃないかと思うほど危機管理能力がなく、学習もしません。延々と泣き言を言っているだけで、不審者にホイホイついていって勝手に危険になったり、大声で喚きチラしたり、腹減ったとか駄々こねる癖に浮浪者に缶詰をあげて同行させたりします。
フォーマットとしては、「頭の足りない息子をかばいながら南を目指すお父さんの苦労話」としか見えません。それはエンディングまでつづきます。エンディング手前のある重要な事件で成長したのかと思いきや、結局この息子は知らない人にホイホイついていくんです。たまたま良い人だったからいいものの、普通なら即死ですよ、本当。
本作はルックスだけは「ザ・ウォーカー」に似ています。しかし、あちらが西を目指す明確な理由があるのに対して、こちらには何もありません。だから、極端な話、いつまででも話が転がるしいつ終わってもいいんです。画面を持たせるためなのか、時折母親との思い出が回想として差し込まれますが、それすら単なる雰囲気作りにしかなっていません。せめて何かの伏線にでもなっていれば良いんですが、雰囲気以上の何者でもないため、まったく乗りようがありませんでした。
個人的に駄目な映画には「ツッコミをいれてニヤニヤできる映画」と「ただただつまらない興味の続かない映画」と「不愉快な映画」があるんですが、本作は「不愉快な映画」の部類でした。
【まとめ】
本作の評価は、一重に自分に子供がいるかどうかに掛かっているような気がします。自分に子供が居るひとなら、「子供は理屈がとおらない事をするしワガママ放題言うし時折ウザイ」というのを許せると思います。現に、作中の父親は手を焼いてはいるものの、その世話焼きも含めて子供を愛してるのが伝わってきます。
でも、どうしても第3者として客観で見てしまうと、申し訳ないですが「早く死ねば?」としか思えないほど息子がウザくて仕方がありませんでした。特に途中で食料を山ほど見つけて調子に乗るシーンなんぞは、いきなり子供の態度がでかくなってスナック菓子を食い散らかしはじめて物凄い腹立ちますw 「あんだけ食い物で苦労したのに食い物の大事さも学べないのか!!!」と怒り心頭です。
お子様が居る方は、子供を連れずにお一人か夫婦で見に行かれると楽しめるかも知れません。が、それ以外のかたには結構博打な作品だと思います。
エアベンダー
本日に2本目は
「エアベンダー」です。
評価:
– シャマラン、、、、故郷へ帰れ。【あらすじ】
「火」「水」「土」「気」の4つのエレメントを司る4つの国で分断された世界で、ある日火の国が反乱をおこした。4つのエレメントを自在に操り精霊と会話ができる「アバター」を妬んだ火の国が、アバターの生まれる「気の国」のベンダー達を皆殺しにしたのだ。
そんな中、南の水の国に住むカタラは、氷の下から少年を発見する、、、。
【三幕構成】
第1幕 -> カタラがアンを発見する
※第1ターニングポイント -> アンが修行を決意する。
第2幕 -> 北の水の国へ向かう旅
※第2ターニングポイント -> 水の国に着く
第3幕 -> 火の国との戦い
【感想】
さて、本日の2本目はM・ナイト・シャマランの最新作「エアベンダー」です。原作はTVアニメ「Avatar: The Last Airbender」でエミー賞とアニー賞を獲った傑作です。初日なのに観客が一桁しかいませんで、ちょっと意外でちょっと納得という感じでした。
実際、私もかなりの「シャマラー」を自負してはおるんですが、本作は本っ当に厳しいものがあります。「レディ・イン・ザ・ウォーター」を全面的に擁護している私をもってしても(苦笑)、本作は最低ランクの映画ですw。すみません。限界ですw
なんといいましても、話は面白いんです。いわゆる「勇者様ご一行もの」のストーリーで、未熟な勇者様が修行をしつつ独裁帝国を倒すというとても類型的でありきたりな作品です。でも、すくなくとも原作ではこのお約束をきちんとキャラを立てた上で語っており、まったく問題ありません。
で、映画版なんですが、これがまた演出がビックリするほど下手くそです。とにかく大事なことはモノローグと一人言でクリアし、それ以外のどうでも良い部分だけが丁寧に描かれます。会話がぎこちないのもそうですし、なにせアクションが本当にどうかという程ひどいです。そもそもエレメントを呼び出すときに太極拳みたいな動きをするんですが、これが長すぎかつショボイため、まったく盛り上がりません。
本作は110分ですが、上手くまとめれば40分ぐらいで終わります。とにかく長い演出のすべてが無意味で、描かないといけない所を省いてしまっており、もうどうしようもありません。
おそらくオリエンタル感をだすためなのか、俳優陣はとてもアジアっぽい顔が揃っています。シンガポールやインド系がメインで、白人・欧州人が全然出てきません。このあたりの世界観の作りが良いだけにその演出の酷さが余計際立ってしまいます。
なんか書いててゲンナリしてきたんですが(苦笑)、シャマランはこれで5連続駄作がほぼ決定しましたので、そろそろハリウッドで干されるかも知れません。シャマラーとしては大変残念なんですが、今回分かったのは、やはりシャマランは色物監督としてしか生きる道がないってことです。普通の映画を撮ろうとすると、普通につまらない映画になりますw。
次回作に期待しつつ、でもお客さんが入ってないのですでに一般にもシャマランの底の浅さがばれているという事を残念に思いつつ、微妙にオススメいたします。
念のためですが、3Dで見る必要はまったくありませんので、レンタルDVDを待つのが一番ですw。
インセプション
本日は三本です。最初は先行公開の
「インセプション」です。
評価:
– 使い古された題材をスタイリッシュなB級に再生産【あらすじ】
コブはターゲットの夢に侵入し秘密を覗き見る産業スパイである。ある時、ターゲットのサイトーの夢でスパイに失敗したコブは、逆にサイトーから仕事を依頼される。それはサイトーのライバル会社の会長・モーリスが死ぬのを受けて跡取りの息子に会社を解体させることだった。普段行っている情報泥棒とは逆の「情報植え付け(インセプション)」に難色を示すコブだったが、自身の犯罪歴を消してやるという条件につられ、仲間を集めて決行することにする、、、。
【三幕構成】
第1幕 -> サイトーの夢への侵入
※第1ターニングポイント -> サイトーからの提案を受ける
第2幕 -> 仲間集め
※第2ターニングポイント -> ロバートの夢に侵入する
第3幕 -> インセプション作戦
【感想】
3連休の初日は久々に三本の映画を見ました。1本目は先行公開の「インセプション」です。ダークナイトで”不必要に上がりすぎた”ネームバリューからか(苦笑)、観客はほぼ満員の入りでした。感慨深いと言いましょうか「こんなにメジャーになっちゃって、、、」という感じのクリストファー・ノーラン監督ですが、本作ではきっちり自身の資質である「ギミックB級サスペンス監督」という部分が前面にでた良い映画でした。
話の内容はまさしく「どこかで見たような気がする設定」のオンパレードです。そもそも「他人の夢の中に入り込む」というのが定番ですし、それをスパイ大作戦風の「チームもの」として表現するのもありきたりです。ですが、そんなありきたりな内容だからこそ、きっちりとルールを説明してくれる律儀な作りが非常に好感が持てます。
もともとノーランはこういった「面白ギミック」を使ってストーリーを転がすのが得意な監督です。どちらかというと演出は下手な部類に入ると思います。実際、本作でも単調な音(ブーンという例の重低音)の使い方や無意味なスローモーションの数々など、時折「イラッ」とする部分がないわけではありません。でもそれを補ってあまりある「メジャー感」がドーンと芯にあります。
本作でのルールは明確です。
(1) 夢の中で死ぬと目が覚めるが、痛みは本当に感じる。
(2) 夢の中でも夢を見られる。
(3) 現実より夢の中の方が時間の流れが遅い。
(4) 夢の中では潜在意識が他者を排除しようとする。
このシンプルなルールを序盤にチュートリアル形式で説明し、それがすべて応用編たる3幕目に登場します。言ってみれば、1幕から2幕に続く「サイトーの夢」と「仲間集め」はすべてこのルールを説明するためにあるようなものです。ですから実は二時間半ある上映時間はもっと削れるはずです。確かにこの説明が長すぎて眠くはなってくるんですが、でもこれがあるおかげでインセプション作戦の超絶に入り組んだ夢の階層構造が理解しやすくなっているのも事実です。
見ているときにはどうしても「この夢は何階層目の夢か?」という部分を理解するので手一杯になってしまいがちです。しかし、少し冷静に見てみると、夢の中の出来事が、1つ上の階層の現象を上手く反映しているのに気付くはずです。この辺りの設定/設計は本当によくできています。惜しむらくはノーランの演出力によってイマイチ分かりづらくなってしまっている点です。もしかするとノーランを脚本に専念させて、職人監督に演出を任せた方がよかったんじゃないかとさえ思ってしまいました。
【まとめ】
余韻の残し方がシャッターアイランドに似ているのはディカプリオの顔が監督にそうさせているのでしょうかw 決して易しい内容の作品ではありませんが、最後の落とし方をポップにすることで「なんとなく分かったような気にさせる」のはノーラン監督の成長の跡だと思います。夏休み大作映画の第一弾としては間違いなくお勧め出来ます。
プレデターズ
2本目は
「プレデターズ」を観てみました。
評価:
– プレデターの意味が無いジャングル・サバイバルもの。【あらすじ】
ロイスは突如見知らぬ惑星に落とされた同じ状況の7人の男女と合流する。ジャングルを彷徨いあるく彼らだったが、突如動物たちに襲われそして一人が死亡してしまう。そうこうしているとエイリアンとおぼしき異星人のキャンプを発見する。イサベルはこのエイリアンがかつて南米のジャングルに出現したプレデターではないかと推測する、、、。
【感想】
今日の2本目はプレデターズです。有名シリーズということなのか、観客は物凄く入っていまして、家族連れの方もかなり目立ちました。あんまり小学生には見せない方が良いと思うんですが、まぁその辺はご両親の考えなんでなんとも、、、。
あんまり書くことも無い作品なんですが、どうしても「プレデター」映画としては微妙な感じです。まずですね、これは構造上仕方が無いんですが、話が異様にこぢんまりしています。なにせジャングルで当てもなく彷徨うだけなんです。たとえば同様のシチュエーションということでは昨年「サバイバルフィールド」という映画がありました。「サバイバルフィールド」では明確にゲームのルールと目的が最初に提示されていました。もちろんその目的があとからすり替わっていくわけですが、しかしそれが物語の推進力になっているのは疑いようがありません。ところが、本作ではそもそもからして目的がありません。突然見知らぬジャングルに落とされた8人は、「生き残る事」以外の目的がなく彷徨い歩いて行きます。これでは観客は置いていかれてしまい感情移入できません。ストーリーが完全に止まっています。
結局物語に推進力が生まれるのは、終盤も終盤、プレデターズが宇宙船を持っていると知ってからです。そこまでの1時間くらいはただただ逃げる彼らを見ているだけです。さらに、今回の「スーパープレデター」は従来のプレデターとまったく同じ攻撃パターンのためまったく新鮮さがありません。ものすっごいデジャブに襲われます。
なんか、、、、どこを褒めたら良いかちょっと思い浮かびません(苦笑)
ですが、強いて挙げるとすれば、クライマックスで旧プレデターの男気・任侠が炸裂するシーンです。ここだけは唯一本作でグッと来ました。また、一応小ネタとして「敵の敵は味方」という「エイリアンvsプレデター」にあったセリフが入っていたりはしますが、でもだからどうしたってレベルで、なんかスルーしてしまいます。
【まとめ】
プレデターシリーズとしてみても相当微妙な作品です。せっかく途中でローレンス・フィッシュバーンがプレデター・スーツで光学迷彩を動かして登場するのに、ロイス達はそれを使いません。せっかくなんだから人間達が光学迷彩をつけてプレデターを逆に追い詰めるぐらいのシチュエーションは欲しかったです。
モンスター映画としてもアクション映画としても微妙なので、本当に”誰得”な感じでした。非常にオススメしづらい作品ですが、AVP2を見ているような生粋のプレデター好きなら見ておいて損はないとおもいます。
にしても、、、、プレデター本筋としては20年ぶりの新作なのにこのクオリティはちょっと、、、無いと思います。
完全に余談ですが、1カ所誤訳で気になるところがありました。ロイスが「走ったら死ぬぞ。戦うしかない。」と言うシーンがあるんですが、この「run」って「走る」じゃなくて「逃げる」でしょ? 要は「逃げたってどうせ逃げ切れない。だったら戦ってプレデターを殺すしかない。」って事だと思います。
ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション
二本目は土曜に見ました、
「ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション」です。
評価:
– ヴァンダムは頑張ってるけど、、、、誰得?【あらすじ】
「ユニバーサルソルジャー/ザ・リターン」から11年後の世界、チェチェン独立過激派にロシア大統領の子供達が誘拐されてしまう。テロリストのリーダー・トポフは、72時間以内に自分たちの独立を認めない場合、チェルノブイリ原発跡を爆破すると予告してくる。誘拐の状況を検討したロシア政府は、誘拐者の中に強化兵士・ユニソルが紛れていることを確認し、アメリカに助けを求める。アメリカの元ユニソル研究者達は、残存する5人の内4人のユニソルをロシアへ派遣するが、敵の新型ユニソルにあっさりと蹴散らされてしまう。残るユニソルは、心理セラピーを受けて社会復帰を目指すリュックだけであった、、、。
【三幕構成】
第1幕 -> 誘拐事件。
※第1ターニングポイント -> ユニソル4名を使った救出作戦が失敗する。
第2幕 -> リュックの復帰。
※第2ターニングポイント -> チェルノブイリにリュックが単身突撃する。
第3幕 -> チェルノブイリでの決戦。
【感想】
さて、二本目は「ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション」です。「ユニバーサル・ソルジャー」シリーズの5作目にあたる作品ですが、話は2作目の続きです。お馴染みジャン・クロード・ヴァンダムが主演で、敵役に前作で死んだドルフ・ラングレンがクローンで復活、さらに敵のラスボス・NGU(ニュー・ジェネレーション・ユニソル)にはUFCチャンプのアンドレイ・ザ・ピットブルと肉弾派が勢揃い、、、、、かと思いきや、、、、超残念なことになっています。
本作はある意味では2作目の焼き直しと言えなくもないです。テロリストを鎮圧するヴァンダムの活躍を楽しむわけですが、、、まず第一にヴァンダムがアクションするまでがすっごい長いんです。序盤に酒場でちょっと喧嘩した後は、延々と検査ベッドの上で横たわるヴァンダムが流れます。アクションスターなんだから、アクション見せろってw
さらに、終盤まで引っ張ってやっと登場するドルフ・ラングレンも前作ファン(←いるのかw?)にすれば噴飯ものです。なにせ弱いですし、ラスボスはピットブルであってラングレンは完全に前座なんです。それだったらピットブルvsヴァンダムを先に持ってきて、片が付いたと思った後に、ボーナスステージとしてラングレンが隠しボスで出て来ないと盛り上がりません。だって、ファンの大半はピットブルよりドルフ・ラングレンを見に行ってるんですから。お祭りがそんなあっさり片が付いてもらっちゃ困るんです。
さらにいうと、ヴァンダムが勝つ根拠がないのも気になります。二倍濃度で投薬しただけで強化できたっけ? っていうかドーピングで強くなっても応援できませんけど、、、。
【まとめ】
なんというか、、、シリーズ・ファンもイマイチ喜べず、かといってシリーズ初見だとリュックの覚醒に燃えないという、、、、どうしたらいいんでしょう(苦笑)?
あとこれはユニソル・シリーズの弱点でもあるんですが、銃で決着がつきすぎているため、いまいち肉体アクションで良いシーンがありませんでした。もうヴァンダムにバリバリ動けというのは厳しいかもしれませんが、もうちょっと何かあったとは思います。
決して面白い作品ではありませんが、「ユニバーサル・ソルジャー」シーリーズファンは必見です。スカっと爽快アクションというわけではありませんけれどw。