本日も3本です。1本目は
「雷桜」です。
評価:
– TAJOMARU級のコスプレ現代劇。【あらすじ】
将軍の息子、清水斉道は癇癪持ちの問題児である。扱いに困りかねた側用人の榎戸角之進は斉道に瀬田村での静養を勧める。斉道はそこで山中に暮らすライという少女と出会う。彼女は側付・瀬田助次郎の行方不明になった妹だった、、、。
【三幕構成】
第1幕 -> 斉道の奇行。
※第1ターニングポイント -> 山中でライと出会う。
第2幕 -> 遊の帰郷と斉道との交流。
※第2ターニングポイント -> 斉道が再び瀬田村へ行く。
第3幕 -> 結末
【感想】
本日の1本目は「雷桜」です。若い女性が多いのかなと思っていたら、老夫婦ばっかりでしかもガラガラというちょっと不思議な客層でした。監督は廣木隆一。ピンク映画出身で、5年に一本ぐらいちゃんとした映画を撮る以外は適当に仕事をさばく職人タイプの監督です。
正直酷評する必要も無いくらい誰の目から見ても失敗してますので、さらっと流したいと思いますw
私は本作が始まって3分くらいで心が折れたんですが(苦笑)、その理由は簡単です。登場人物の格好だけは時代劇っぽい感じにはなっているんですが、言葉遣いが完全にその辺にいるアンちゃんなんですw しかも中途半端に歴史物っぽい単語をつかったアンちゃんです。なのでものすっごい違和感があり、ハッキリ言ってふざけているようにしか見えません。これは全編通してです。恐ろしい事に、柄本明や坂東三津五郎といった普段ちゃんとした時代劇に出ている俳優さんも同じです。あきらかに脚本・監督の指定なんですが、これがリアリティラインを大幅に下げています。きっと時代劇を期待していたであろう年配のお客さんもズッコケたことと思います。
とはいえ、もし本筋のラブロマンスがまともであったならまだまだ良かったと思います。問題はこの部分でして、簡単に言えば雰囲気だけで勝手に惚れて勝手に暴走します。この恋愛周りの描写はお粗末の一言に尽きます。とにかく脈絡も常識も無く、ただ悶え合っているだけです。そもそも江戸時代に個人主義のような概念はありませんし、斉道は非嫡子とはいえ仮にも将軍の子なわけで、それが単独行動で山の中をうろつけている時点で変です。
本作では時代劇という部分がただの雰囲気でしか使われていません。殺陣のシーンでも岡田将生が片手で振り回している(←どんだけマッチョなんでしょうw)刀がすごい勢いで”たわんで”いたり、描写が学芸会レベルです。ロクに血しぶきも出ませんし、なんと終盤には介錯しないのに簡単に死ぬ切腹シーンまで出てきます。「13人の刺客」の間宮図書の切腹を見習って欲しいです。介錯なしの切腹はあまりにも苦しく惨いからこそ、それだけ必死さが伝わるんです。
このように、残念ながらいつものあんまり深く考えない人向けのラブストーリー以上のものではありません。ただ、TBS、電通、東宝、角川、IMJエンタ、というお馴染みの制作委員会の豪華メンツもメインターゲットであるはずの若い女性を集客するには至らなかったようです。残念!
まったくオススメはしませんが、岡田将生か蒼井優の大ファンであれば楽しめると思います。