爆発!スケ番★ハンターズ/総括殴り込み作戦

爆発!スケ番★ハンターズ/総括殴り込み作戦

5月最後の映画は

「爆発!スケ番★ハンターズ/総括殴り込み作戦」です。

評価:(40/100点) – 血しぶき使えば良いってわけじゃないぞ!


【あらすじ】

かつての仲間・ジュンコの裏切りに会い殺されたヤクザハンター・アサミが地獄から復活した! 彼女はバー猪熊に身を隠すが、ジュンコの執拗な捜索で居所がばれてしまう。やがて猪熊の娘が犠牲になるとアサミの怒りは頂点に達する。そして遂に、関東スケ番連合の生き残りとともに、ジュンコの小龍会への復讐が始まる。


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【感想】

5月最後の映画は「爆発!スケ番★ハンターズ/総括殴り込み作戦」です。シアターNでのレイトショーですが、10人以上はお客さんが居たでしょうか。かなり珍しい入りです。あんまりツッコむ気も起きないくらいとてもニッチな客層向けの映画ですので、さらっと書いてしまいたいと思います。眠いだけなんですけど(笑)。
本作は、オフィシャルに掲げられているとおり、もろに70年代のピンキーバイオレンスのオマージュです。ピンキーバイオレンスのフォーマットである復讐劇をベースにして、いかにラストの血しぶき舞う暴力アクションまで鬱屈を溜められるかが勝負です。その意味では、中盤の溜め方とラストの爽快さはなかなか良く出来ていると思います。亜紗美さんのラストの殺陣も全く文句の無い出来ですので、楽しめるかと言えば楽しめます。
ただ、、、どうしてもニセモノっぽさというか、駄目な意味でのB級感というのがずーっっと付きまといます。それは単にアフレコの声と画が合ってないという作りの部分であったり、「指の詰め合いだよ!!!」で印象的なギャグなのか本気なのかトーンの判別が難しいような描き方の部分であったり、音楽のすごくダサイ使い方だったりします。決してつまらない作品ではないのですが、圧倒的な作りのガタガタっぷりを前にして、とってもお遊戯会っぽい印象だけが残ってしまいました。
もちろん俳優さんたちのキャラの立て方はベタベタながら面白いと思います。小嶺麗奈さんはちゃんと小者っぽさが出てますし、佐藤二朗さんは単に変な声ってだけですが天丼ギャグでクスりとする部分はありました。でもやっぱりこの辺りにも不真面目さが出てしまっています。佐藤さんが全然「ヤクザの親分」に見えないんです。説得力が無いっていうのもそうなんですが、そもそも「ヤクザの親分」に見せようって気が無いような演出です。
そういった部分もふくめてのお遊戯会っぽさ、、、、もっというと出来の悪い舞台演劇っぽさが終始こちらを冷めさせてくれます。
早い話がエクスプロイテーション映画なわけで、話や演出なんてどうでもいいと言われてしまえばそれまでかもしれません。なので、オススメはしませんが好きな方は試しに観るだけ観てみても良いと思います。
これだと残念ながら「戦闘少女」の方が圧倒的に面白かったです。

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記事の評価
エンター・ザ・ボイド

エンター・ザ・ボイド

2本目は

「エンター・ザ・ボイド」です。

評価:(41/100点) – 輪廻転生は分かったから、もっとコンパクトにまとめて。


【あらすじ】

新宿で麻薬の仲介人をしているオスカーは、ある日友人のビクターの裏切りに合い警察に射殺されてしまう。彼の魂は空中を彷徨いはじめ、過去へと流れ着き、やがて転生を迎える。

【三幕構成】

第1幕 -> オスカーのトリップ。
 ※第1ターニングポイント -> オスカーが殺される。
第2幕 -> 過去の回想。
 ※第2ターニングポイント -> 回想が現実に追いつく。
第3幕 -> 転生。


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【感想】

今日の2本目はギャスパー・ノエの新作・エンター・ザ・ボイドです。結構お客さんが入っていましたが、やはり圧倒的に映画オタクっぽい一人で来ている方が多かったです。まぁギャスパー・ノエっていう時点でえげつない映画なのが確定していますので、なかなか普通の人は入らないと思います(苦笑)。一組だけ学生のダブルデートみたいな方がいたのですが、なんといいますか、ご愁傷様です。R18+のアート系映画に紛れ込んだ方が悪い(笑)。

ざっくり

あんまり内容の無い作品なのでざっくりと概要を言ってしまいます。映像はたしかに独創的なのですがストーリーは至ってシンプルで、上記の「あらすじ」が全てです。オスカーが死ぬところが真っ先に描かれ、そこから彼がなぜ死に至ったのかの説明があり、そして遺された妹と友人の結末を見届けた後、彼は転生します。

唯一面白いのは、その視点が全てオスカーの主観で描かれることです。冒頭では彼がドラッグでラリっている描写を延々と見せられます。それを主観として描くことで、CGモデルで気持ち悪い万華鏡のような映像が流れます。そしてその直前に本作でもっとも重要な会話、すなわち、「死ぬと空中を漂って空から地上を見ることが出来る」「(オスカーとリンダは)ずっと一緒だよ。」「DMTは死ぬ直前に脳内に出る物質と同等」という内容が示されます。

実は本作は奇抜なルックに似合わず律儀に作られています。冒頭でオスカーのDMTトリップ映像を見せ、それを死ぬ時と同じだとわざわざ説明してくれます。ですから、中盤以降に出てくる変な映像が全て死後の魂の主観だと分かるようになっています。そして、分かりやすく提示されるチベット仏教のリインカーネーション(輪廻転生)の概念。ずっと一緒と誓った妹が死ぬまで、彼は空中から見守り続けます。そして最後には、彼は自分や妹のあまりに無常な人生が実はまったく虚無(=void)であったと気付き、悟りを開くかのように転生を行います。

こう書くと結構面白い作品に思えるのですが私的にはかなり厳しかったです。というのもやはりテーマに対して尺が長すぎるんです。しかも完全にワンパターンな演出が繰り返され続けます。オスカーが空中を漂うシーンが全て垂直カメラの水平移動という乗り物酔い確実な映像で表現されます。正確には分かりませんが、おそらく体感では全体の4割ぐらいはこの映像だったと思います。

そして何の意味があるかよく分からない性描写の数々。いや、最後のオスカーの空想ホテルはおそらく生命の袋小路というか輪廻転生の実現場って感じだとおもうんですが、それ以外がなんとも言えないんですね。別に妹がストリップ小屋で働くのは勝手なんですが、そこの雇い主のマフィアとの件はどうでも良いと思うんですが、、、。終盤に妹の身に起こるあるイベントのための伏線ではあるんですが、それにしては長すぎてどうでも良くなってきてしまいます。
この作品が90分くらいにまとまっていれば、かなり褒めていたと思いますし、結構好きな映像作品だったと思います。でもやっぱり140分もチカチカした刺激的映像を見せられるのはキツいです。恐ろしいことにカンヌ国際映画祭で流したのは160分バージョンらしいんですが、そんなの完全に拷問ですよ。ルドヴィコ療法かっていう(笑)。

【まとめ】

もし興味がある方は、体力のあるときに映画館へ行くとよいでしょう。間違っても仕事帰りとか寝不足の時にはいかないように(苦笑)。ギャグ無しで「てんかん」の発作を起こす危険があります。くれぐれもお気を付け下さい。

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ヒーローショー

ヒーローショー

本日も2本です。1本目は

ヒーローショー」です。

評価:(35/100点) – やりたいことは分かるけど、、、。


【あらすじ】

漫才芸人を志すユウキは、元相方の先輩・剛志からヒーローショーのバイトを紹介される。ある日、剛志の彼女と浮気したことから、ノボルと剛志はステージ上で殴り合いの喧嘩をしてしまう。剛志は旧知のチンピラ・鬼丸にノボルへの復讐を頼む。一方、鬼丸から恐喝を受けたノボルはギガブルー・勉の兄・拓也に泣きつき、自衛隊あがりの石川勇気を使って鬼丸への逆襲を計画する。そして遂に、両者の抗争は殺人事件へと発展する、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 美由紀の浮気
 ※第1ターニングポイント -> ノボルと剛志が殴りあいをする。
第2幕 -> 剛志組とノボル組の抗争。
 ※第2ターニングポイント -> 剛志が殺される。
第3幕 -> ユウキの人質生活と石川勇気。


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【感想】

本日の1本目は局所的な話題作・ヒーローショーです。監督は適当かつ暴論解説でお馴染みの井筒和幸。名物監督の作品ということなのか、かなりお客さんが入っていました。「ガキ帝国」「岸和田少年愚連隊 BOYS BE AMBITIOUS」でのピークを境にみるみる作品の質が失墜している井筒監督ですが、久々の18番・青春バイオレンス映画ということでかなりの期待を持っていきました。ところが、、、、あれっ?っていう作りで、やはり近作の井筒作品と同じく、監督の言動に作品の質がついていっていないような印象を受けました。

バイオレンスの捉え方

一口に”バイオレンス(暴力)”といっても、映画におけるバイオレンスにはいろいろなレベルがあります。例えば、いわゆるアメコミヒーローものにおけるバイオレンスというのは、一種の記号化したアクションです。殴った時に鼻が折れるかどうかや血が出るかどうかというリアリティラインもありますし、どこまで殴れば人が死ぬのかという設定ラインもあります。例えば、昨日見ました「戦闘少女」では血しぶきが出まくりですが、一方で実は主演達の純白の戦闘服にはあまり返り血がついていません。これは血しぶきを一種のコント道具、もっというとギャグの特殊効果/漫画におけるトーン演出として使っているためです。だからあえて主演のアイドル達が血で汚れることはほとんどありません。
また、これは井筒監督が今月号の映画秘宝のインタビューで名指し批判していますが、お笑い芸人の品川祐が撮った「ドロップ」は金属バットでどれだけ殴ろうが人は死にませんし、顔が変形することもありません。
こういったバイオレンスの描き方というのは、そのまま監督の暴力観が表れる部分です。
これも井筒監督本人が語っていることですが、彼は暴力が嫌いだから、暴力を嫌なこととして見せるために本作のリンチシーンを長くしたそうです。この思想は、それこそスピルバーグや北野映画における人殺しのシーンに共通しています。この思想自体はとても映画的であり、そしてとても作家性の表れる部分です。
では本作では実際にどうかといいますと、、、これが驚くほど軽~い暴力の描き方をしています。あのですね、井筒監督、言ってることが出来てないんですけど(苦笑)。
本作で暴力が振るわれるシーンは4カ所あります。ステージ上での殴り合い、食堂での鬼丸のかち込み、山中でのノボル組のリンチ、そして最後のアパートでの襲撃です。この4カ所できっちり暴力が描かれるかというと、これがまた全然描かれません。ステージ上では単に唇が赤くなるだけですし、食堂ではちょっとスネを蹴る位です。一番激しいはずの山中も、鬼丸なんてゴルフクラブで胸を何度も叩かれたあげく助走付のフルスイングで金属バットを2度も頭にたたき込まれて、物凄い量の血反吐を吐いているのに、2日後には松葉杖のみで笑顔でお礼参りを敢行します。そしてラストに至っては結果のみの描写でまったく仮定が描かれません。全っっっ然嫌悪感の湧く暴力描写が出来てないんです。むしろ変な格好付けも相まって、暴力が割と楽しそうに見えます。
さらにもっともどうかと思うのは、この暴力に対しての報いがあまり描かれないという部分です。別に勧善懲悪である必要は全くないのですが、映画で暴力を描く以上は、なにかしらそれの結果も描かれていないと話として成立しません。本作では、暴力の報いを受けるのは勇気だけで、他の人間はやり得です。鬼丸兄弟にいたっては、とっても楽しそうです(苦笑)。でもですね、それじゃダメなんですよ。それこそ「息もできない」のように、復讐した者が新たな復讐の標的にされ、さらにその被害者も暴力を振るうようになって、、、、というスパイラルを描くでも良いですし、「復仇」のように敵も味方も全員死んで虚無だけが残るのでも良いです。でも、なにかしら暴力に対して落とし前だけは付けて下さいよ。それをよりにもよって暴力を振るった方の事情を見せて何か美談的な方向に落とそうとする根性が気に入りません。勇気は人を殺したわけで、それがのうのうとバツ一子持ちの女とくっつこうって発想がそもそも腐ってます。だいいち、途中で勇気は警察に自首するような言動をしておきながら、次のシーンでは死体を焼いて証拠隠滅するように動いてるじゃないですか。それもたかが共犯者が飲酒運転で事故死しただけの理由でですよ。だからコイツは倫理的にも物語的にも死んで当然です。そこに叙情を挟もうとして変な設定を詰め込んでも本質は変わりません。
もしも勇気サイドをきっちり描くのであれば、それはキチンと彼なりの落とし前を見せるしかないんです。でも結局彼はウジウジ40分も尺を使って女々しくしているだけです。まったくのれません。
片や鬼丸サイドですが、これもとても雑です。あんなドチンピラで人を恐喝するようなヤツが、相手の待ち伏せ確実な場所に丸腰でノコノコ行きますかね? 山中で一方的にリンチされますが、実質一人だけで相手の指定場所に突っ込むような素人じゃないでしょう? まぁあれだけ痛めつけられても2日で戻ってくる位ですから、不死身力でもあって丸腰上等なのかも知れません(笑)。こちらサイドは暴力に説得力も痛みもありません。
本作で私がもっとも腹が立ったのは、ラストのしょうもない締めかたです。
結局、夢をあきらめろってことですか?
夢をすてて現実を見ろってことですか?
それとも、親のスネを囓れってことですか?
「おまえに俺の何が分かるんだよ!山梨に一度来てみろよ!」からの帰郷なんですが、そもそも両親は屋台で鯛焼き屋をやってるわけであって、彼が手伝っても売る上げが上がるわけでは無いわけで、食い扶持が増える分生活は厳しくなるんですよ。もし両親を思って帰郷するなら、故郷で就職してくださいよ。それか東京で就職して仕送りしてください。
いかにもハートウォーミングな雰囲気で落としていますが、これこそ井筒監督が随所で批判している「幼稚園のお遊戯会」的な日本映画のよくあるまとめ方ですよ。

【まとめ】

監督のやりたいことは多くのインタビューを通して伝わってくるんですが、それが作品に全く反映されていません。非常に困った作品となっています。演者に関しては、所詮は吉本芸人のお遊戯会なんであんまり文句を言う気も起きないんですが、監督にはそうじゃないっていう気概だけはあるようで、少々困惑しています(苦笑)。
おそらく井筒監督が言ってることの半分でもできていれば、現状の邦画では半分より上に行けると思います。なんにせよ名物監督の突っ込みどころ満載・ニヤニヤ映画なのは間違いありませんので、井筒監督のキャラが好きなかたは是非とも足をお運び下さい。前半のリンチまではさすがと思わせる内容だっただけに、リンチ以降の投げやりな迷走が残念でなりません。

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戦闘少女 血の鉄仮面伝説

戦闘少女 血の鉄仮面伝説

本日はようやっと

戦闘少女 血の鉄仮面伝説」を見てきました。

評価:(90/100点) – 僕、こういうの好き。勧めないですけどw。


【あらすじ】

いじめられっ子の高校性・渚凜は右腕の痛みに悩まされていた。16歳の誕生日に特殊部隊の襲撃で両親を惨殺された凜はヒルコとして覚醒、そのまま襲い来る人間達をなぎ倒していく。街で出会った如月と玲に従って訪れたヒルコ部隊で、彼女はヒルコの仲間と共に戦士として修行することになるが、、、。


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【感想】

本日はようやく「戦闘少女」を見て参りました。先週末は某フェスで踊り狂っていて渋谷に行けなかったので、念願の鑑賞です。やはり人気監督&アイドル映画ということなのか、お客さんはかなり入っていました。
本作の監督は井口昇・西村喜廣・坂口拓という悪趣味映画の第一線で活躍するトリオです。本作は、3幕構成に従ってきっちり章立てされており、各章毎にそれぞれの監督が仕切っています。しかし仲が良いのかあまりに趣味が似通っているのか、まったくチグハグした感じが無く、一人のディレクションで撮っているといわれても何の違和感も無いほど良く出来ています。
とはいえ、他の井口作品・西村作品と同じく、決して一般受けするような作品ではありません(笑)。なにせ基本は「外国人が見た誤解や偏見が入りまくった日本観」の誇張に乗っけて70年代の東映・女性アクション映画を好き放題やっている作品です。そこにはグロい肉体破損を徹底的にギャグとして描く悪趣味センスがあったり、人間では無いヒロインが苦悩しながらも人間との調和を目指すというデビルマン的な異形愛があります。中盤で玲がフリークス・ショーで見世物にされていたという過去エピソードが入りますが、これこそまさに典型的な一昔前のアメリカンモンスター/スラッシャームービーの設定そのものです。
そういった意味でも、やはり本作では主役級3人の魅力というものに大きな比重がかかってきます。結果としては、3人ともとても魅力的に見えますのでアイドル映画としても大成功だと思います。血みどろのアイドル映画ってのも変な話ですが(笑)、それこそ梶芽衣子とかかつてのグラインドハウスっぽいB級ならではの(雑な)熱量を物凄く感じます。特に自ら「コスプレナースの佳恵です!」と意味が分からない自己紹介をする森田涼花さんは主役を食うほどの存在観を見せてくれます。なんというか、笑いながら人を惨殺するシーンがこれほど似合う人は居ません。(←一応褒め言葉w) ファンの方には申し訳ないのですが、ちょっと腹黒い感じが漏れてしまっているような「無垢な笑顔」がとんでもなく可笑しくもあり怖くもあります。
杉本有美さんもきちんと回し蹴りが頭まで届いていますし、ちょっとギコチないなからも身体能力の高さが良く分かるアクションを見せてくれています。残念ながら私はあんまり特撮ヒーローものを見てないのでゴーオンジャーでの活躍を見てないのですが、これなら将来アクション路線に行っても通用するかもと思わせてくれる内容でした。
また、敵役ながらやはり竹中直人はいろんな意味で群を抜いています(笑)。下らないっちゃあ下らないんですが、天丼のくだりは完全に爆笑でした。反則というか場をぶちこわして全部持ってくというか、感服です。そして忘れていけないのがやはり亜紗美の存在感です。完全にB級映画のアクション女優として板についた彼女ですが、かなり驚くレベルの殺陣を見せてくれます。
ストーリーとしてはよくあるタイプではあります。異形の者が覚醒して、同種の仲間達に合流して、でも結局は人類との調和を目指し敵対者と戦う。ダレン・シャンもそういう話ですし、パーシー・ジャクソンもそうです。そこにとにかく悪趣味なものを詰め込みまくると本作になります。それが竹中式ギャグであったり、井口式のゴア・ギャグであったりするわけです。

【まとめ】

個人的にはかなり好きな作品ですが、他人には決して勧めません(苦笑)。あまりにも内容が偏り過ぎていてとてもじゃないですが映画としての完成度は低いです。でもそんなことはまったく問題ありません。決して日本ではメインストリームに行けないタイプの作品ですが、作り手達が本当に楽しんで作っていて、そしてファンサービスをしようとしているのがとても伝わってくるので、変な連帯感というか共犯感がついて回ります。
好きな人だけがこそこそ見に行って、好きな人同士で「面白かったね」って盛り上がる。そういうニッチでカルトよりな良作だと思います。

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プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂

プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂

本日はレイトショーで

「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」を観てきました。

評価:(75/100点) – 予定調和の爽快感と安心感と平凡感


【あらすじ】

貧民街で孤児として育ったダスタンは、ペルシャ王の目に留まり養子に迎えられた。それから15年、ダスタンは二人の兄とともに聖なる都・アラムートを攻め落とす。そこには美しいダガーと美しいタミーナ王女が居た。しかしその勝利の宴の席で、ダスタンが贈ったローブを纏った父王が毒で死んでしまう。暗殺容疑を掛けられたダスタンは命からがらタミーナ王女とともにアラムートを脱出した。ダガーに拘るタミーナと、暗殺を長兄・タスの王位簒奪と疑うダスタン。2人は、父王の葬儀に潜り込むため、再びアラムートを訪れる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> アラムート攻城戦。
 ※第1ターニングポイント -> 父王が暗殺される。
第2幕 -> 暗殺容疑を晴らすための冒険。
 ※第2ターニングポイント -> ハッサンシンにより寺院が襲撃される。
第3幕 -> ダガーを砂の時計に戻すための冒険


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【感想】

本日の新作レイトショーは「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」です。ディズニーとジェリー・ブラッカイマー・フィルムのコンビが贈るパイレーツ・オブ・カリビアン路線の実写娯楽アクション映画です。今週末公開の中では一番の大作と言うこともあってか、結構お客さんが居ました。

作品の概要

本作は2004年発売の同名アクションゲームの映画化です。とはいえ話はかなり変わっています。ダガー・オブ・タイム(時の短剣)を巡って、暗殺容疑を晴らしたいダスタン王子と、ダガーの守護者たるタミーナ王女、そしてダガーで昔に戻って兄を出し抜きたいニザムの3者が奪い合いを行います。お宝の奪い合いという分かりやすいフォーマットにアクションとロマンス要素を詰め込んだ作品ですから、老若男女問わずリラックスして適当に見るには最適な作品です(笑)。私も相当に楽しませていただきました。
なにせ本作は歴史的ゲームシリーズの映画化ですから、いかにその飛んだり跳ねたりするゲーム要素を見せるかが鍵になってきます。これはそのままパルクール・アクションに置き換えることで見事に成功しています。少し空撮の旋回映像が多すぎる気もしますが、いかにも中東っぽい町並みをガンガン飛び越えて行く様子はかなり爽快です。シャムシールを使った剣術アクションも、カット割りが早すぎてよく分からないと言う不満を除けば、ジェイク・ギレンホールの肉体性が良くでていて大変面白いです。このあたりのアクションに関してはとても良く出来ていると思います。ところが、、、
やはり不満はストーリー部分に集中してしまいます。というのも、物語上不要な行ったり来たりが多すぎて、かなり無駄でまわりくどいエピソードが多くなっています。せっかくイケメン王子と美女の逃避行なのに、きちんと落ち合って目的が一致するまでに1時間以上かかってしまうのは結構痛いです。また、「ダガーの時間戻しは1分までしかできない」という設定が割と途中から崩れ始めます(苦笑)。時間戻しに制限がある状況ではおかしい計画や作戦がいくつか見受けられます。
そしてなんと言ってもクライマックス以降の大団円に向かう部分です。「おまえ、それ口で言うだけかい!」みたいなストーリー上それでいいのかと思うほど適当な説得でみんなが納得してしまったり、そもそも面識が無く無愛想な王女が突如結婚を承諾したり、時間戻しの設定が全然生かし切れていません。本作における時間戻しは「ダガーのスイッチを入れた者だけが記憶を保持して時間を遡れる」のですから、最後は元のサヤに戻らないとおかしいんです。そしてもう一つ、時の砂だけはたとえ時間をもどっても消耗品として失われてしまいます。だから、例えば最後のシーンは「王女がダガーの柄を見て、ダスタンが時間を逆行してきたのに気付いた」みたいな描写を入れないとさっぱり通じなくなってしまいます。タミーナ王女は無愛想なのが魅力なのに、この終わり方ではなんかナンパされたギャルみたいでイマイチです。

【まとめ】

クライマックス以降に不満はありますが、とても良く出来たエンターテイメント作品だと思います。ジェリー・ブラッカイマー・フィルムの面目躍如です。ディズニーなので当然えげつない描写は出てきませし、安心して見られる良作です。
惜しむらくは、もうちょっとタイムトラベルならではの面白さを入れて欲しかったです。

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処刑人II

処刑人II

昨日は

処刑人Ⅱ」をみました。

評価:(70/100点) – 処刑人ファン必見のファンムービー


【あらすじ】

ジョー・ヤカヴェッタに正義の鉄槌を下したセインツことマクナマス兄弟は、父とともにアイルランドに隠居して農場暮らしをしていた。しかしそんなある日、ボストンの教会で一人の神父が殺害される。セインツを模した殺害方法を「挑戦状」と受け取った二人は、再びボストンへと戻る決意をする。一方、ジョー・ヤカヴェッタの息子コンセシオ・ヤカヴェッタは、父の仇討ちに燃えていた、、、。・

【三幕構成】

第1幕 -> セインツの今。そして神父殺害事件。
 ※第1ターニングポイント -> セインツがボストンに着く
第2幕 -> セインツの捜査。
 ※第2ターニングポイント -> ヤカヴェッタ・ファミリーを皆殺しにする。
第3幕 -> 黒幕との対決。


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【感想】

昨日見てきたのは、「処刑人Ⅱ(The Boondock Saints II: All Saints Day)」です。1999年に限定公開された「処刑人」の続編です。前作もそこまで名前の売れている作品ではありませんが、劇場にはかなりのお客さんが入っていました。
本作は端的にいって「ファン専用の続編」です。前作であった重たいトーンを完全に廃して、ギャグやホモソーシャル的な部活感だけを超拡大したものです。なので、いわゆる「キャラもの」です。前作が好きなファンからすれば「またあの”兄弟&お笑い担当外人”トリオが帰ってきた!」って感じでかなり好意的に受け取られると思います。私もその口です。しかし話はかなりアバウトですし、なにせ前作を見ていることが大前提で物語が進んで行きます。「1でウケた要素を拡大して2を作る」というのはよくある手法です。まさにそのものというか、何の捻りもない「ファン専用の続編」です。ですから、実は本作についてあんまり書くことがありません(苦笑)。
敵は前作のボスの息子ですし、前作で死んだイタリア人相棒・ロッコの代わりにはメキシコ系の新キャラ・ロメオが登場します。敵も一緒、配置も一緒、オチはことごとく前作のキャラネタ。120%純粋なファンムービーです。
映画単体としてはかなりB級で頭の悪いアクション・エクスプロイテーション映画です(笑)。でも、前作のファンとしては全然問題ありません。頭からっぽにして、セインツのイチャイチャした感じにテンション・ガン上がりです。
前作のファンだったら何を置いても行くべきですし、前作を見たことが無い人はまずは「処刑人」を見て下さい。変に他映画のパロディを多用していたりもしますので、コメディ/バディ・ムービーとして十分に楽しめると思います。

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パーマネント野ばら

パーマネント野ばら

昨日見ましたのは

「パーマネント野ばら」です

評価:(80/100点) – クライマックスが不満だが、上質な雰囲気映画。


【あらすじ】

なおこはバツ一子持ちで故郷の宿毛に戻ってきた。母の「パーマネント野ばら」を手伝いながら、恋人のカシマや親友のみっちゃん・ともちゃん達と日々を過ごしていく、、、。


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【感想】

さて、昨日見てきましたのは、「パーマネント野ばら」です。観客は6名、雨の日のレイトショーにしては入っている方だと思います。気になって数えたら、本作が今年100本目の映画でした。節目の100本目が面白い映画でちょっとホっとしています(笑)。
本作は、一言でいってしまえば「閉じた田舎の社会で悲惨ながらも逞しく生きる女性達」を描いた映画です。本作には数えるほどしか男性が映りません。それも各キャラの父親と旦那ばかりで、なおこの恋人・カシマ以外は揃いも揃ってダメ人間です(笑)。そういった意味では、昨年映画化されました「女の子ものがたり」とほとんど同じ内容です。しかし、吉田大八という「アクの強さ」によって、本作は特殊な多幸感に包まれています。

今作に出てくるメインの三人、菅野美穂・小池栄子・池脇千鶴は揃ってすばらしい演技を見せてくれます。そしてみっちゃん・ともちゃんの超悲惨な現実をポジティブに見せてくれます。本作はある意味では吉田大八の大きな特徴--キ○ガイを特別視せずに描くことで歪んでるのに幸せな世界を描くという資質に適しています。フィルム内の世界そのものが躁状態と言いましょうか、何があってもオールOKな感じがとてもドラッギーで私は大好きです(笑)。

冷静に考えると、話として変だったり適当だったりする箇所は多々あります。例えば、みっちゃん・ともちゃんは悲惨な人生を逞しく生きているにも関わらず、実は主役のなおこは言うほど悲惨ではありません。途中で別れた旦那が出てきますが、子供も懐いていますし、フィルム上は礼儀正しい男性に見えます。っていうかフィルムを見る限りだと離婚の原因がなおこにあるんじゃないかと思えてなりません。少なくとも、離婚のショックでおかしくなったようには見えません。そしてラストの描写でどうも彼女がイかれたのはかなり昔だということが分かります。

実は原作未読で映画を見たんですが、どうもこの辺りって原作から設定を変えているようなんですね。映画の描き方ですと、ストーリーがなおこの独りよがりに思えてきてしまいます。なので、思い切って、ラストの出オチはあえて見せなくても良かったのではと思います。あそこを具体的に描写してしまうと、単に過去を引きずっているように見えてしまうんです。話の趣旨としては「別に本人が幸せならなんだっていいんじゃないの?」っていう方向なのですから、やはりその点はあくまでも具体的なエピソードではなくボカして欲しかったです。

【まとめ】

クライマックスに不満が一杯なんですが全体としてはとても良く出来た面白い作品だと思います。悲惨なのにどこかホンワカするというか、とっても満腹感のある作品でした。何にせよ、もっとお客さんが入ってもいいと思える良作ですので、是非お近くに上映館がある方は劇場へ足をお運びください。
だいぶ飛び道具な作品ではありますが、こういうのはツボです。原作も読んでみようかと思います。
余談ですが、吉田大八で言えば、去年の「クヒオ大佐」は全然ダメでしたが、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」は大好きでいまでもちょくちょく見返しています。もしよろしければ、レンタルDVDででもご覧になってみてください。変な作品ばっかり撮る監督です(笑)。

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記事の評価
レギオン

レギオン

昨日は

「レギオン」を観て来ました。

評価:(45/100点) – 神様が怒ったぞ!!! 酒場を守れ!!!、、、???


【あらすじ】

ある日、神様は人間に失望し天使軍団を地上に仕わせ人類掃討作戦を開始する。黙示録的なカオスに包まれる世界で、ただ一人、大天使ミカエルだけは神に背き人間に味方する。彼の目的はクリスマスに生まれる赤ん坊を救うこと。それが神の心を変えると信じて、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 砂漠の日常
 ※第1ターニングポイント -> ミカエルが合流する
第2幕 -> バーでの籠城戦。
 ※第2ターニングポイント -> 赤ん坊が生まれる。
第3幕 -> ミカエル対ガブリエル


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【感想】

昨日のレイトショーは「レギオン」です。「天使軍団が攻めてくる!!!」というロマン溢れるファンタジーかと思いきや、、、むっさいオッサン達が襲い来るゾンビを相手に酒場で籠城するというびっくりするほど狭い舞台のこぢんまりした作品でした。観客は私を入れて4人。完全に転けています。
いきなりですが、本作は内容がありません。舞台設定は大変大仰なんですが、やってることは鉄砲でゾンビを撃ってるだけです。肝心の天使軍団もまさにゾンビで武器さえロクにもたずに噛みつき攻撃だけで数の勝負をしかけてきます(苦笑)。なので、ものすごくショボイです。肝心のミカエルも細身のオッサンですし、天使的な力で戦うのではなくサブマシンガンとロケット砲がメイン武器です(笑)。
話も至って適当です。クリスマスに生まれる子供なんて全世界で何千・何万人といると思うんですが、何故かニューメキシコの砂漠のど真ん中にミカエルが降臨します。っていうか、赤ん坊が完全にマクガフィンとして扱われています。ものすごい人命軽視(笑)。
ただですね、あまりのショボさに逆に面白くなってくるのも事実でして、特に後半ガブリエルが来てからは激熱なB級コスプレ・アクション映画と化します。限りなく「デビル・メイ・クライ」的な戦闘シーンは一周して超格好良いですし、車に向かってくるシーンは「アンダーワールド: エボリューション」の冒頭を彷彿とさせます。棍棒を持って襲ってくる天使のコンボをくぐって銃を撃つなんてそれこそアクションゲームの世界です。
個人的にはこのシーンだけで十分です。他の超ショボイCGや、手抜きのキャラ設定なんぞ吹き飛んでしまうくらい激熱です。
これは余談ですが、途中にでてくる子供が「死霊のはらわた」で有名な例の子守歌を歌うシーンは爆笑です。これは「死霊のはらわた」以降、何かに取り憑かれたことを表現するやりかたとしてオマージュ自体が手法になってしまった演出なんですが、バカ正直に使ってくる所を見ると監督はホラーオタクです(笑)。
監督のスコット・スチュワートはCGアーティストとしてハリーポッターやマーズアタック、アイアンマンに参加していますので、この世界観を作りたかっただけでストーリーには興味が無いのかもしれません。

【まとめ】

決して褒められた出来ではないですが、ニヤニヤできるという意味ではちょうど良い湯加減の作品だと思います。ただ面白いかどうかと聞かれると困りますし、オススメ出来るかと言われると困ります(笑)。
あくまでもB級コスプレ・アクション映画だと分かっていくならば良いですが、もしダークファンタジーみたいなものを期待するのであれば止めたほうが懸命です。とはいえ、なかなか楽しめる作品ではあります。あくまでも「逆に」ですけどね(苦笑)。

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