本日は2本です。最初は
「バイオハザードⅣ アフターライフ」です。
評価:
– 鉄壁のB級ゾンビアクション。【あらすじ】
Tウィルスとの共生を果たしたアリスは、残るアンブレラ社の殲滅を目指して渋谷の地下基地に侵入する。しかしウェスカーに血清を打たれてしまいアリスはTウィルスを失ってしまう。人間に戻ったアリスはふとしたきっかけでクレア・レッドフォードと合流し、人類最後の砦・空母アルカディアを目指す。
【三幕構成】
第1幕 -> アンブレラ基地の襲撃
※第1ターニングポイント -> アリスがクレアと合流する。
第2幕 -> ロス刑務所での共闘。
※第2ターニングポイント -> アルカディアに着く
第3幕 -> ウェスカーとの対決
【感想】
今日の1本目は「バイオハザードⅣ アフターライフ」です。きちんと3Dカメラで撮影された3D映画は久しぶりです。ただゾンビ映画でしかもシリーズ4作目ということか、そこまでお客さんが多く入っていたわけではありませんでした。例によってもう一本の方をがっつり書きたいのでこちらはさらっと書きますw
本作は良くも悪くもこの「バイオハザード・シリーズの3D化」以上のものではありません。いつも通り建物の中でアリスが仲間とともに脱出を目指すというフォーマットそのままを今回も繰り返します。そういった意味では安心の内容といいますか、お約束を完璧に、忠実に、そしてベタにこなしてくれます。なので、目新しいアクションはありませんし、特別なにか凝った作りをしているわけでもありません。あくまでもこれまでシリーズを見続けてきたファンに対して3D版をプレゼントするといった趣です。
シリーズをざっとおさらいしておきましょう。1作目は地下のアンブレラ社でおきたバイオハザードの謎をとくため特殊部隊と記憶喪失のアリスが共闘します。ゲームのアドヴェンチャー要素を上手く映像化していて、ゾンビだけに頼らずに謎解きとアクションを強く打ち出した大傑作でした。2作目は1作目の直後から始まり、アンブレラ社から漏れ出したTウィルスに席巻されたラクーンシティを舞台に、警察官のジルとアリスが建物からの生存者救出を目指して奮闘します。この2作目はアドヴェンチャー要素が薄れ、より普通のゾンビ・アクション映画になりました。ちょうどこの辺りが「斬撃 -ZANGEKI-」や「ザ・ホード 死霊の大群」とリンクしていきます。そして3作目。遂に全世界へと広がったTウィルスによって、もはやこれがバイオハザード・シリーズなのかどうかも分からなくなるほど、普通のロードムービー・ゾンビ映画になってしまいました。もはや謎解き要素は皆無です。
正直に言いまして、見たところ映画のバイオハザードシリーズは3作目で限界を迎えたように思えました。というのも、バイオハザードの本質である「ゾンビあふれる建物を舞台に、謎を解きながら脱出を目指す。」というフォーマットがもはや難しくなってしまったからです。それはゾンビが全世界に広がったことで脱出がハッピーエンドにならなくなってしまったからです。脱出できてもなにも解決しませんから。余談ですが、これと同じ問題を「REC/レック」シリーズも抱えています。ある建物や街が舞台だったゾンビ映画は、続編が進むにつれて感染が拡大せざるを得なくなってしまうからです。実際「REC/レック」も制作中の3作目ではついにゾンビが建物を出てしまいます。
ところが、バイオハザードシリーズは3D化と同時に「建物から脱出する」というフォーマットに見事戻してきました。1作目にはほど遠い出来ではありますが、しかし間違いなくバイオハザードシリーズをきちんと踏襲した出来になっています。
そして何より、もはやブームの去りつつある「3D映画」に対して、もっとも向いているジャンルを突きつけたという点において素晴らしいと思います。3Dは世界観を表現する「書き割り」だという事を当ブログでも何回か書いたかとおもいます。まさにその書き割りは、こういったファンタジーだったりホラーだったりというジャンルがぴったり合うんです。本作では「飛び出す3D」と「奥行き表現」をかなり自覚的に使って観客を脅かしてきます。こういった「ビクッとさせる」演出には3Dは本当に上手くマッチしています。そして何より、3Dにおいてどうしても発生してしまう「風景の破綻」が「荒廃した世界」の表現に合っています。いくつか見た3D作品の中では、アバター級に世界観の構成に上手く3D表現を利用していると思います。
決して万人にお勧め出来るわけでもありませんし、何よりバイオハザードを3作目まで見ていないと意味がまったく分からないと思います。あくまでもシリーズのファンに向けて3D版をプレゼンしてきたのだという割り切りでもって見に行く分には、十分に満足できる佳作でした。ファンに限りオススメです。