スノープリンス 禁じられた恋のメロディ

スノープリンス 禁じられた恋のメロディ

今月に入って仕事の関係で全然映画が見られていないので「スノープリンス 禁じられた恋のメロディ」で癒されてみようかと思ってみました。

評価:(5/100点) – 岸恵子の無駄使い

【三幕構成】

第1幕 -> 早代ばあさんの元に封書が送られてくる。
 ※第1ターニングポイント -> 草太が秋田犬を拾い「チビ」と名付ける
第2幕 -> 草太とチビと早代とキタサーカス
 ※第2ターニングポイント -> じいちゃんが倒れる
第3幕 -> じいちゃんの死と草太の最期


【あらすじ】

ある日、一人暮らしの早代の元に封書が届く。そこには早代が子供の頃に好きだった草太との日々が綴られた原稿が入っていた。後日訪ねてきた老人から、原稿は草太の父が書いた物であり老人は草太の異母兄弟だと明かされる。老人は途中で終わっている文章が気になり、登場人物である早代に結末を聞きに来たのだ。
早代の孫娘も催促する中、彼女は草太の最期を語り始める、、、。


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【感想】

K・U・S・O・E・I・G・Aです。いろいろツッコミどころがありますが、まずは個別論に行く前に本作の概要から考えてみましょう。

「スノープリンス」の狙い

本作は、早い話がジャニーズのJr期待の星・森本慎太郎君をいかに売り出すかの一点のみに心血をそそいだアイドル映画です。アイドルにとって銀幕の初主演作というのは大変な意味を持ちます。ウケればアイドルのおかげ、コケればアイドルのせいです。
森本君の相方には「ちりとてちん」で活躍した劇団子役の桑島真里乃ちゃんが起用されています。
話の内容は典型的なお涙頂戴もので、別に「フランダースの犬をモチーフにしました」なんて言わなくても健気で純朴な少年を愛でるだけのよくある話です。ディテールとしては全く悪くはありません。ものすごく人の良い貧乏な少年が犬を拾って育てつつ悲劇に逢う。結構じゃないですか。ついこないだ「なくもんか」で「貧乏、動物、子供は泣けるドラマの三大要素」という苦笑ものの酷いセリフがありましたが、もろにそのまんまです。
逆に言えば、制作者の志もその程度の映画ってことです。

本題のツッコミ所

さて本題に入ります。観ていて一番に気になるのは語り口の混乱です。このロジックは「ゼロの焦点」の時に触れましたのでそちらを見ていただくとして、要は「今スクリーンに映っている映像はなんなのか?」がさっぱり分からないんです。原稿を読んでいるシーンであれば、それは草太の父が書いた物の筈です。だったらサーカス団がくる前の話が書いてあるのは明らかにおかしいです。さらに父の登場しないシーンが山程出てきます。
さらに最終盤で原稿が終わった後は早代の回想になるわけですが、ここでも早代の知るはずが無いことが次々にスクリーン上に展開されます。
これを普通に(=常識的に)解釈すると、序盤~中盤にかけての「父が登場しないシーン」は草太から聞いた話の断片からふくらませた話です。さらに終盤のシーンは早代が美化して都合良くアレンジした思い出話です。
追加するなら、本作に登場する草太の心情表現はすべて父ないし早代というフィルタがかかったものです。
そんなわけで、見ているとどんどん早代が嫌な奴に見えてしまうんです。だって「あの子は貧乏だったけど心は清かった」「貧乏なあの子が好きだったからビスケットをあげた」「あの子はおじいさんが死んだ後は私に絵を渡すことに必死だった」etc。
書いてて腹立ってきたんでこの辺にしますが、草太が純真無垢な素晴らしい少年に描かれれば描かれるほど、それが現実離れしていけばしていくほど、この父or早代のフィルタが露骨に見えてしまいます。残念な話です。
ちなみに森本君と桑島ちゃんはそれほど悪い演技では無いです。すくなくともTAJOMARUに出てた子役3人よりは何倍かマシです。将来楽しみかはともかく、ジャニーズの巨大パワーを遺憾なく発揮していただいて是非次代のスターになっていただければと思います。
あと当たり前ですが岸恵子もすばらしいです。出番は少ないですが、彼女の柔らかく品のある佇まいのおかげで早代への反感は確実に減少しています。
最後に、これは改めて再確認したことですが、私は香川照之さんと浅野忠信さんの演技プランが嫌いです(苦笑)。この2人が出ていた映画で良かったと思った作品が皆無です。「SOUL RED 松田優作」の時に何となく感づいてはいたのですが生理的に無理。両名のファンの皆さんすみません。たぶんこの2人の印象で、個人的な作品の全体評価が相当下がってると思います。

【まとめ】

本作は、ショタコンやロリコンのみならず岸恵子萌えまでカバーするという、あらゆる意味で生粋のアイドル映画です。
はっきり言ってすっごいつまらないですが、でも森本君がこの後も事務所猛プッシュを受けられれば、たぶん10年後に話のネタぐらいにはなると思います。ですので見に行って損はありません。万馬券を買うような気持ちで1800円をどぶに捨てられれば、オススメです!
ちなみに観客は女性ばっかりなのかと思っていたのですが、予想以上に「いかにもオタク」な男性2人組が目立ちました。ロリコン業界には疎いんですが、もしかして桑島ちゃんって結構メジャーなんでしょうか?
いまいち「森本ー桑島 間」のパワーバランスが分かりませんで、、、。
ひょっとするとメジャー・桑島ちゃんが新人・森本君を引き上げている構図だったりして、、、。それだとちょっと話が変わってくるんですよね。完全に森本君に場を持ってかれてるので。


追記(2009/12/16)

なんか興行的にかなり塩っぱいことになっているようです。もしかしたら森本君も見納めでしょうか。ご愁傷様です。
でも大丈夫。ジャニーズに代わりはいくらでもいるもの、、、芸能界は残酷ですね。

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