本日は一本、
「完全なる報復」を見てきました。
評価:
– ジェラルド・バトラーは最高だけど、、、。【あらすじ】
妻と娘と暮らすクライドは、ある日二人組の強盗・ダービーとエイムスに自宅を襲われ妻子を殺されてしまう。クライドの目の前で殺されたにも関わらず、物証の少なさから担当検事のニックは主犯のダービーと司法取引をしてエイムスのみを極刑にする作戦を立てる。第三級殺人罪で数年の禁固刑のみで逃れたダービーを前に、クライドは自らの手で復讐することを誓う。
それから10年後、、、ついにクライドが動き始める、、、。
【三幕構成】
第1幕 -> 強盗殺人事件と司法取引。
※第1ターニングポイント -> 10年後。
第2幕 -> クライドの復讐劇。
※第2ターニングポイント -> 検察仲間が皆殺しに会う。
第3幕 -> クライドの隠れ家とナパーム。
【感想】
今日は「完全なる報復」を見て来ました。本当は別の映画を見るつもりだったんですが、ちょっと時間が合わずにこっちにしてみました。監督はヒップホップ系のPV監督で知られるゲイリー・グレイ。映画監督としては久々です。客席は2~3割ぐらいの入りでお世辞にも盛況とは言い難い感じでした。
本作は「妻子を殺された男の復讐劇」です。本作の場合、その復讐対象は殺人犯だけでなく、犯人に極刑を与えられなかった検事・司法制度にまで及びます。いうなればジェラルド・バトラー無双。ある意味では「300」のインテリ版ですw
この作品はジェラルド・バトラーの魅力が全てと言っても過言ではありません。アカデミー俳優ながらいまいちパッとしないジェイミー・フォックスを完全にぶっちぎり、一人で作品の全てをかっさらっていきます。インテリな激情家にこれほど似合うマッチョも他にいません。なにせグラスゴー大学主席卒業の肉達磨ですから。なんかそう書くとドルフ・ラングレンみたいで哀愁が漂ってしまいますけどw
もうバトラーの演技を見ているだけでも十分幸せになれる作品なのですが、どうしても中途半端というかガッカリ感が否めません。それは一重に、クライマックスで作品の視点がぶれてしまうからです。
本作はクライドの家族が殺されるシーンから始まります。そして担当検事のニックは「自分の成績(担当案件の有罪率96%!)だけを気にする打算的な男」として描かれます。ですので、当然観客としてはクライド側をヒーロー視します。クライドは殺人鬼ではありますが「妻子の復讐」というまっとうな正義を掲げるダークヒーローなんです。
しかも劇中において、クライドとニックは同じ家族構成をしています。これはどうみても二人を正反対に描くか、または同じ信念をもった「コインの裏表」とするかを意図した人物配置です。だから、例えば「クライドがニックの妻子も殺してしまうが、それでもニックは現行司法制度に縛られて法廷で戦えない」という皮肉な状況にするとか、または「クライドがニックの妻子も殺してしまい、ニックは信念を曲げて私的な復讐をしてしまう。」という「理由(1995年)」のようなアイデンティティ・クライシスの話にするとか、そういった方向で「クライドの(=家族愛の)勝利」を期待するわけです。
ところが蓋を開けてみると、、、、、ああぁあぁぁあぁぁぁっぁあっぁあ orz。
【まとめ】
せっかく面白い設定でテンションが上がっていたのに、後半20分くらいで急激に失速してしまいます。ちょっとびっくりするぐらいの失速具合でして、それまでのストーリーは何だったのかと思いたくなります。非常にもったいなく、非常に残念な作品です。ラストが微妙に美談っぽい感じで終わるんですが、「ニックも家族の大切さを知った」だけだとちょっと弱いというか、話として横滑りしています。
ただ、ジェラルド・バトラーは間違いなく格好良いですので、彼のファンに限りオススメします。
※余談ですが、ヘレン・ケラーをギャグにするのだけは絶対ダメです。論外。しかもそれを被差別層だった黒人に言わせるなって。そこだけはものっすごい引っかかりました。
はじめまして。
DVD派で、本日レンタルで観ました。
途中まですごく引き込まれて観ていたのにラストがちょっと…と
思ってネットをふらふらしていて、まさに思っていた事を代弁して
頂いているかのような感想、勝手ながらスッキリしました。
「クライドがニックの妻子も殺してしまう」版のラストだったら
もっともっと傑作だったのに…。
ところで、「ヘレン・ケラーをギャグに」という箇所が思い出せず…
よかったらどのシーンの事か教えて頂けませんでしょうか(>人<)
はじめまして。
今、この映画を観て来たところです。。。
ラストに納得できずにもやもやしながらネットしていたところ、たどり着きました。
クライドが最後まで司法の「抜け穴」を利用して復讐を成し遂げ、
そして大手を振って刑務所から出て行くというような展開を期待していただけに、
あの終盤は残念でなりません。
ぜひ、DVDにはきゅうべい様の例示したようなもう一つのエンディングをつけて
発売してほしいものです。
こちらのブログを読んだら、少し気が晴れました。
ありがとうございました。
はじめまして。
いつも映画選びの参考にさせてもらっています。
私もこの作品見てきました。本当に最後の失速っぷりが残念でした。
それとJ・バトラーが独房に移った理由というか、犯行のトリックというか、とにかく“共犯”の正体が壮大すぎて爆笑モノでした。
それでも、警察を全裸待機するJ・バトラーを観られただけでよしとしますw