シルビアのいる街で

シルビアのいる街で

本日も2本です。1本目は

シルビアのいる街で」です。

評価:(60/100点) – ザ・単館なおしゃれ雰囲気映画。


【あらすじ】

男はカフェで女性客をスケッチ中にシルビアに似た女性を見つけ尾行する、、、。


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【感想】

本日の1本目は「シルビアのいる街で」です。2007年のヴェネチア映画祭のコンペ作品であり、2008年の東京国際映画祭でもワールドシネマ枠で上映されました。あいにく東京国際で見逃してしまっていたので、2年越しの初見です。話題の作品という事もあり、かなりお客さんが入っていました。とはいえ、渋谷のイメージフォーラムでは併映の「ザ・コーヴ」の方が入っていたようです。
実は本作は非常に感想が書きづらい作品です。というのも、いわゆるアート系の作品でして、話の内容自体がほとんど無いからです。それどころか台詞もほとんどありません。
話の骨格は、画家っぽいイケメンの青年が昼間からビールを飲んでオープンテラスで女性を物色中に、思い出のシルビアに似た女性を見つけストーキングするだけです。イベントとしては本当にそれだけ。一応3幕構成をしてはいるんですが、限りなく物語性が排除され想像に委ねるようになっています。映画として面白いのは、本作の過剰なまでの間(ま)の取り方です。極端な話、本作をまとめようと思えば5分の短編にすることも出来ます。しかしその稀薄な物語に対してほとんど無駄とも思えるほどの間を取ることで、観客は嫌でもスクリーンに引き込まれ想像を膨らませてしまいます。
そこで写されるのはカフェの様々な会話の断片であり、雑踏における生活の断片です。この物語はすべてが断片で出来ています。主人公の男の生活も、シルビアを捜す理由も、そして追いかけられる女性も、全て断片しか見せません。だからこそ観客は嫌でもそこに自分の思いを投影してしまいます。ですから、本作は夢見るおしゃれ志向の人であればあるほどすばらしい傑作に見えると思います。いうなれば「物語を語る映画」ではなく「物語を観客に作らせる映画」です。
なので、もしあなたが「片思い」「思い出の人」「おしゃれな街並み」「孤独なイケメン」といったキーワードにビビっと来るようであれば、本作はあなたの心を映して大傑作になってくれるはずです。まさしく正しい意味でのアート系映画であり90年代に流行った「ザ・単館映画」だと思います。
※余談ですが、もしよければ本作について書いている評論家さんや個人ブログを漁ると面白いかも知れません。上記のように本作を語ることは自分の内面・嗜好を晒すのとイコールです。書き手の性格がにじみ出てしまうはずですw 稀にある「書いたら負け」な映画ですw

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シルビアのいる街で」への1件のフィードバック

  1. この映画大好きで、こちらでご感想をお見かけしまして、お邪魔しました(^_-)
    >本作を語ることは自分の内面・嗜好を晒すのとイコールです。書き手の性格がにじみ出てしまうはずですw 稀にある「書いたら負け」な映画ですw
    全く同意です。この映画について語ろうとすれば、映画に対する自分自身をさらけ出すことになりますね。怖い映画です(笑)
    あと、Aチームの感想も読ませて頂いたのですが、楽しかったです。ホントに錯綜してる映画でしたね。その混乱ぶり(笑)がAチームの漫画的な行動と何だか逆に合ってた気がして、好きになってしまった映画でした(笑)
    またお邪魔させて頂きます(^^)

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