土曜に見たのは
「バーレスク」です。
評価:
– クリスティーナ・アギレラのPVそのもの【あらすじ】
アリは田舎の鬱屈に耐えかねアイオワからロスへの片道切符を買った。彼女は歌手の仕事を探していろいろなバーを訪れる。ある日、偶然入ったクラブ・バーレスクで彼女はセクシーな女性達が往年の名曲に合わせてダンスパフォーマンスを行う光景に釘付けになる。なんとかバーレスクで働こうとする彼女は経営者のテスにあしらわれながらも何とかウェイトレスとして潜り込むことに成功した、、、。
【三幕構成】
第1幕 -> アリがウェイトレスとしてバーレスクで働く。
※第1ターニングポイント -> アリがニッキーの代役でステージに立つ
第2幕 -> アリの大躍進とマーカス。
※第2ターニングポイント -> アリがジャックの家を出る。
第3幕 -> 結末
【感想】
昨日は1本、バーレスクを見て来ました。クリスティーナ・アギレラの初主演作という触れ込みですが、意外と客席は中年女性ばかりでした。とはいえそこまで混んではおらず、お客さんを他作品に取られているようです。
非常に簡単にいってしまえば、本作はクリスティーナ・アギレラというアイドルのPV以上のものではありません。とはいえ、アギレラはきちんと実力のある歌手ですので少なくとも日本に入ってきている情報だけ見ればあまりアイドルっぽい感じではありません。よく1歳違いのブリトニー・スピアーズと比べて優等生扱いされることの多いアギレラですが、本作でもアイオワ出身の垢抜けない隙だらけな感じを存分に出しています。それだけで「アイドル映画としては満点!」と言いたくはなります。
ただ映画としてはとても雑です。まずはBECKでもある「歌っただけでみんな感動」というまたもや生まれつき天才パターンです。とはいえ、きちんと歌唱力に説得力はありますから、そこまで目くじらを立てるほどではありません。あくまでも話としてどうかというぐらいのレベルです。
話の筋自体は大きく2つ、「ジャックとの恋愛話」と「バーレスクの身売り話」です。しかしどちらも大変唐突に決着がつきます。伏線らしい伏線もほとんど無く思いつきとひらめきで解決してしまうためまったくワクワクがありません。
そして肝心の音楽シーンも基本的には劇中で本当に舞台で歌っているシーンですので、いわゆるミュージカルの演出ではありません。つまり音楽シーンの度にストーリーが完全に止まります。ですので、ストーリー部分だけならこの映画はおそらく20分くらいにまとめられるはずですw そしてこの音楽シーン達は「クリスティーナ・アギレラ7変化」という類のまさにPVそのものです。音楽シーンに限っては、「アイオワから出てきた田舎者のアリ」では無く、完全に「世界的ポップスター・クリスティーナ・アギレラ」です。まったく役作り等はしていません。
ですのでミュージカル映画を期待して見に行くと大変がっかりすることになると思います。下手をすれば「NINE」以上にがっかり感が強いかも知れません。しかし、クリスティーナ・アギレラのファンであれば、これはもう絶対に見に行くべきです。約1時間程度の彼女のディナーショーを大音響の映画館でたっぷり見ることが出来ます。本末転倒な気がしないでもないですが(苦笑)、映画初主演という触れ込みに嘘偽りなく、これは彼女のファンのためだけに作られた映画です。
個人的にはオススメしたいのですが、あくまでもアギレラのファン限定という部分と、映画としては退屈という部分だけは念頭に置いておいた方が良いと思いますw
また、最近は「女主人の良き相方」としてのキャラが定着してきたスタンリー・トゥッチが本作でもとても良い味をだしていますので、コチラもオススメポイントです。
わたしは舞台の(かなり重度の)ミュージカルファンですが、「バーレスク」はミュージカル映画としては非常にオーソドックスな演出だと思います。
「キャバレー」「シカゴ」といったショウビジネス自体を舞台にした作品は他にもありますが、枠組みはほとんど「バーレスク」と同じです。
「バーレスク」は先行作品を参考にして非常に手堅くまとめているミュージカル映画だと思います。
振り付けはボブ=フォッシ-をベースにしているようです。
ストーリーも、歌のパフォーマンスでは中断しておらず、ミュージカルシーンの間も進行しています。
ここら辺の演出は奇を衒わず、非常にオーソドックスです。