2本目は
「ザ・タウン」です。
評価:
– ベン・アフレックすげぇ。変形の「田舎で女性が不幸になる話」。【あらすじ】
強盗が多発するチャールズタウンで、ダグは「家業」として銀行や輸送車の強盗を行っていた。ある日彼と仲間が襲った銀行で、仲間の一人ジェムが支店長の女・クレアを人質に取る。
後日、顔を見られたかどうかを確認しにいったダグはコインランドリーで怯えるクレアを目撃する。クレアの相談に乗ったことで知り合った二人は、やがて惹かれ合っていく、、、。
【三幕構成】
第1幕 -> ダグと仲間の強盗。
※第1ターニングポイント -> コインランドリーでダグとクレアが出会う。
第2幕 -> ダグとクレアの付き合いと、ダグの足洗い。
※第2ターニングポイント -> ダグが最後の仕事を受ける。
第3幕 -> フェンウェイ・パークの襲撃。
【感想】
本日の2本目はザ・タウンです。昨年の東京国際映画祭のクロージング作品です。小さな劇場でしたが結構お客さんは入っていました。監督・脚本・主演はベン・アフレック。とはいえ、決して「俺様映画」になることなく、悲惨で鬱屈した街で生きる男を悲哀たっぷりに描いた普遍的で素敵な作品になっています。
結論は、オススメです!!で終わってしまっても良いくらい素敵な作品なので、とりあえず見に行って下さいw
本作は変形の「田舎で女性が不幸になる話」です。チャールズタウンは全然田舎じゃないですが、作品内ではとても鬱屈した街として描かれています。アイルランド人が多く治安の悪い街です。
ダグの父親は強盗で懲役30年(=ほとんど終身刑)を食らっていますし、母親は幼い時に失踪してしまっています。そしてダグ自身はアイスホッケーの選手としてドラフトにまで掛かったものの、結局怪我で挫折しチャールズタウンで強盗に身をやつしています。彼はいつかは街をでて都会へ出ようと考えていますが、なかなか踏ん切りが付かず強盗業を続けています。そんな彼がカタギのクレアと出会うことで足を洗って「人並みに幸せになろう」と決意するようになるわけです。
本作は強盗の元締め・ファーギーとクレアの間で揺れ動くダグと、彼ら強盗団を追うFBI捜査官、そして強盗の被害者でありながら相手が犯人と知らずに恋に落ちたクレアの4者の思惑が交錯して物語が進んで行きます。作中ではこの雁字搦めにされて身動きが取れない感じと、人生に絶望してしまっている鬱屈した感じ、そこからクレアと知り合うことで生まれる希望に溢れる夢が短いスパンでコロコロ入れ替わります。
カテゴリとしでは「ヒューマンドラマ」になってしまいますが、この鬱屈感がまさしく私が大好物な「田舎で女性が不幸になる話」そのものでして、その男性版として大変よくできています。俳優はどなたも素晴らしいですし、ストーリーの組み立て方もまったく飽きが来ないほど良く出来ています。中盤前にはFBIは強盗団4人を早くも特定しますので、そこからのサスペンス展開や真相を知ったクレアとの関係にはグイグイ引っ張られます。
ベン・アフレックのしゃくれ割れアゴと困り顔も相まって、マッチョながらも根が弱気なダグがとても魅力的です。
【まとめ】
すばらしい作品です。愉快な娯楽作ではありませんが、ここまで丁寧に悲哀を描かれると二時間ぐらいあっという間に過ぎてしまいます。大規模公開作品ですので、是非映画館で見てみて下さい。かなりオススメです。