アイ・アム・ナンバー4

アイ・アム・ナンバー4

やっつけ仕事パート3は

アイ・アム・ナンバー4」です。

評価:(85 /100点) – ジョックス共よ、帰宅部の本気を見せてやる!!!!


【あらすじ】

宇宙の侵略者モガドリアン達によって故郷をまさに破壊されようとしていたロリアン人たちは、最後の希望を9人の子供達に託し守護者と共に地球に避難させることにした。
それから十数年、ナンバー4と呼ばれるロリアンの少年は、偽名を使いながら父親代わりのヘンリーと逃走生活を送っていた。ある日、いつものように転校してきたオハイオのパラダイス高校でジョン・スミス(=アメリカ人の典型的な偽名。山田太郎みたいな感じ。)と名乗った彼は、学校でカメラマンをするサラと出会う。ミステリアスなジョンの雰囲気に魅かれるサラと良い感じの雰囲気になるものの、彼女にはアメフト部のエースで学園を牛耳る元カレのマークが居たのだ! マークはあまりの傲慢さからサラに振られたにも関わらず、まだまだ未練タラタラでちょっかいを出してくる。やがてジョンがロリアン人としての真の力に目覚めるとき、世を忍ぶ帰宅部員vs学園ナンバーワン・ジョクスの究極の恋愛闘争が始まる!! 果たしてジョンはマークを倒せるのか!? サラとの恋の行方は!? そして蚊帳の外におかれたモガドリアン達のロリアン人狩りは成功するのか!? 今、宇宙を揺るがす戦いがオハイオ州パラダイス高校のアメフト場で切って落とされる!!!!!!


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【感想】

さて、やっつけ仕事の3本目は「アイ・アム・ナンバー4」です。本作は一見すると超能力ヒーローものかと思いますが、実際には正当な学園ラブコメとなっています。あきらかにスーパーマン・クラーク=ケントを意識した設定で登場するナンバー4・ジョン=スミスは、転校早々にちょっと問題児っぽい美人カメラマンのサラ(=これがモロにスーパーマンのヒロイン・ロイス)と陰謀論者兼SFオタクでいじめられっ子のサムと出会います。この3人組とサラの元カレにしてジョックス代表のようなイケ好かないマーク&取り巻きとの戦いが作品の大部分を占めます。すなわち、ナードとジョックスが学園有数のプロム・クイーンを奪い合うという典型的なラブコメものです。ここに宇宙からの侵略者・モガドリアンが入り乱れて、非常に大がかりな大スペクタクル・アホ大戦が始まりますw アメフト野郎は終始情けない醜態を晒し続け父親にまで泣きついたあげくにモガドリアンに一蹴さられてしまいますし、ラストには聖地・アメフト場がジョンの本気によって見るも無惨な大爆発を起こしてしまいます。この作品を書いた人は本当にジョックスが嫌いなのねw
一方のナード軍団はパラダイスです。ジョンはきっちりサラをゲットしますし、なんとオタクのサム君にもスレンダーなのに超強いワイルド系美女・ナンバー6・ジャン・ドー(山田花子的な偽名)が割り当てられます。つまりナード軍団完全勝利!小五月蠅い保護者も居なくなって、ジョックス共はボコって改心、完全なるパラダイスが待っています!!
ということで、ヒーローモノかと思ったら実は頭の悪い童貞バンザイ映画だったわけです。つまり、、、、我々の大好物!!!!!
オススメです!!!! 絶対オススメです!!!!!

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記事の評価
マイティ・ソー

マイティ・ソー

土曜は手始めに

マイティ・ソー」をみました。

評価:(60/100点) – アベンジャーズの前振り第2弾!


【あらすじ】

全知全能の神にしてアスガルドの王・オーディンの息子として生まれたソーは、その奔放な暴れっぷりから父にいまいち信用されていなかった。そんなソーに王位を譲ろうとするまさにその日、霜の巨人・ヨトゥンがアスガルドに侵入してくる。簡単に撃退したものの、怒りの収まらないソーはオーディンの制止を振り切って、仲間を引き連れてヨトゥンハイムに殴り込みをしてしまう。ついにオーディンの怒りに触れてしまったソーは、罰としてミッドガルド(人間界)へと追放されてしまう。
力を奪われて人間となったソーは天文学者のジェーンに拾われる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ヨトゥンの侵入とソーの殴り込み
 ※第1ターニングポイント -> ソーがミッドガルドに追放される。
第2幕 -> ムジョルニアとS.H.I.E.L.D.とロキの暗躍。
 ※第2ターニングポイント -> ロキがミッドガルドにガーディアンを送り込む。
第3幕 -> ロキの真の目的とソー。


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【感想】

土曜の一本目は「マイティ・ソー」です。「雷神ソー」の名前で有名な古典的アメコミの実写化で、来年のアベンジャーズへの前振り第2弾です。アメコミものとしては劇場が7割ぐらい埋まっていましたので結構入っている方だと思います。
本作は非常に書きにくい作品です。というのも、単体の映画として見た場合、正直なところあんまり出来が良くないんですね。全体的に非常にあっさり話が進んでいきますし、そもそも前提として北欧神話の世界観がある程度分かってないときついです。何の説明も無しに「オーディンの眠り」みたいなネタが普通に登場しますから。
基本的には「やんちゃなマッチョ系神様のソーが地球に下りてきて人間的な心に触れることで思いやりを知る」という成長物語です。なんですが、いまいち盛り上がらないのはその決定的な成長の瞬間がショボイからです。ロキが「親父、死んじゃったよ」って言っただけで改心してしまいますから。それってミッドガルドがあんまり関係ないですし、あまりにも普通すぎてイマイチ成長した感じがありません。そして当たり前なんですが、さすが北欧神話最マッチョの雷神ソーだけあって、最強ハンマー・ムジョルニアを手にするとまったく敵がいません。楽勝で次々と敵を倒していきます。一番盛り上がるはずのソーの復活までに至るカタルシスがちょっと弱くて微妙な雰囲気になります。
一応原作のコミックではソーがミッドガルドに追放された際はドナルド・ブレイクという足の不自由な人間の姿にされるわけですが、本作ではマッチョなまんまで人間界に落とされるため、それはそれで問題無く活躍してしまいます。ここはかなり押しが弱くなっており、ソーがいまいち成長したように見えない原因になっています。
とまぁあんまりな感じなんですが、本作は単体の映画というよりは来年公開の「アベンジャーズ」への前振りなわけで、そう考えると突然面白くなってきます。本作でも相変わらず大ヒーロー本部「S.H,I.E.L.D.」が超常現象に目を付けて調査しに来ます。ここはアベンジャーズ系の前作「アイアンマン2」のエンドロール後にあったシーンから繋がるストーリーです。劇中では「政府系機関」としか語られませんが、アベンジャーズを心待ちにしているアメコミファンからすればS.H,I.E.L.D.の登場は「待ってました!」っていう展開なわけです。
でまぁハッキリといってしまえば、本作での「S.H,I.E.L.D.」の扱いを見れば明らかなように、本作は単体の映画として面白くする気よりはやはり「アベンジャーズ」のための顔見せの色合いが大変強くなっています。なので、多少つまらなかったとしてもそのアベンジャーズへの期待だけで結構ニヤニヤしながら見られてしまいます。ただ、やっぱりその変の事情が飲み込めている前提での映画ですので、アメコミファン以外にはちょっとオススメしづらいです。
もしアベンジャーズが良く分からないと言う方は、とりあえず「アイアンマン」「アイアンマン2」を先にレンタルDVDで見ておくと良いと思います。一応単体でも成立してはいますが、ネタとしてはアイアンマン2からの繋がりになっています。
ちなみに、予告を見る限りだとアベンジャーズ系の次作「キャプテン・アメリカ」は普通に第2次大戦中の話っぽいので、おそらく原作同様に「キャプテン・アメリカ」のラストで主人公スティーブが冷凍催眠に入って時代を超え、ここから一気に現代でトニー・スタークとソーとスティーブと超人ハルク・ブルース・バナーが連合を組む話に繋がっていくはずです。
あくまでも前振りではありますが、アメコミファンはとりあえず押さえておくべき作品だとおもいます。
それにしても、ここまで前振りを大々的にやりまくると「アベンジャーズ」のハードルはガンガン上がっていっていまかなりの所にあります。ジョス・ウェドン監督は大丈夫なんでしょうか? ウェドン監督がマーヴェルに追い込みを掛けられているようにしか見えませんw 「トイ・ストーリー」の脚本家ですので大丈夫だとは思うんですが、、、ちょっと心配になってきます。
ということで、来年のアベンジャーズへの気持ちとハードルを上げるために、とりあえず劇場に駆けつけましょう。オススメです。

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X-MEN: ファースト・ジェネレーション

X-MEN: ファースト・ジェネレーション

火曜の2本目は

「X-MEN: ファースト・ジェネレーション(原題: X-Men: First Class)」です。

評価:(85/100点) – グイっと、ロック・オン!!!!


【あらすじ】

時は1962年。オックスフォード大学で新任教授となった遺伝子学の異端児チャールズ・エグゼビアの元に一人のCIAエージェントが協力を要請しに来る。エージェントの名はモイラ。彼女は対ソ連強硬派のヘンドリー大佐を調査中にヘルファイア・クラブで超能力者達を目撃したのだった。テレパシー能力を持つチャールズは、ヘルファイア・クラブによる第3次世界大戦を阻止するためCIAに協力することにする。
一方、かつてユダヤ人収容所でヘルファイアクラブのリーダー・ショウに母親を殺されたエリック・レーンシャーは、復讐を果たすため独自にショウを追っていた、、、。


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【感想】

昨日の2本目は「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」です。ご存じアメコミの人気シリーズ「X-MEN」の前日譚で、2006年から2009年までに刊行されたグラフィックノベル「X-MEN: First Class」の映画化です。公開4日目でしたがかなりお客さんが入っていました。監督はマシュー・ヴォーン。キック・アスに次ぐ監督4作目です。

はじめに

本作は映画化もされたオリジナルの「X-MEN」の前日譚にあたる内容です。X-MENのリーダー・プロフェッサーXは何故政府非公認でミュータントの自警団を指揮しているのか。かつてプロフェッサーXと友人だったマグニートはいかにして過激なミュータント原理主義者となったのか? そういったものが前日譚として語られます。当然本作を見る上ではX-MENの最低限の知識は必要になります。
映画はシリーズ1作目と同様に1944年ポーランドのユダヤ人収容所から始まります。ちゃんと前シリーズのファンにも目配せできるマシューは出来る男ですw
なんと言っても本作が素晴らしいのは、実在のキューバ危機に実はヘルファイア・クラブ(※マーベルユニバースにおける悪役商会。金持ちとかキザな奴の集団)が関わっていたというウソ歴史路線の上でチャールズとエリックの友情と葛藤をストレートに描いていることです。

ご存じのように、X-MENに出てくるミュータント達は等しく何かしらのコンプレックスを抱えています。ミュータントたちは「自分たちは普通じゃない」という点で被差別意識を強く持っています。チャールズは理想主義者としてミュータントと人類の共存を目指します。一方のエリックはミュータント達だけで世界を作る事を臨みます。新人類は旧人類を駆逐して楽園を作れるのだという思想です。
本作の前半は政治的なやりとりや状況の説明が多くつまっていますが、中盤から後半にかけては完全に超能力チームの結成→挫折→修行→活躍と繋がっていきますので、大変愉快なエンタメアクション熱血映画になっています。

心と心の交流映画として

とまぁ表面上の話はこれぐらいにしまして(笑)本題に行きます。つまりX-MENはゲイ映画だっていう例の話ですw

映画版のX-MENはシリーズの一作目から一貫してゲイをモチーフにした映画として作られています。X-MENにおけるミュータントはマイノリティであり、それは性的マイノリティ、、、、つまりゲイの表現になっています。
これはシリーズ1~2作目の監督であり本作のプロデューサーのブライアン・シンガーがゲイであることとも関係しています。
例えば、一作目の冒頭ではローグが男の子(デヴィッド)にファーストキスをすると相手が倒れてしまいます。ローグはミュータントであり、異性と普通の恋愛は出来ないんです。同じく本作で言えば、ここまで多くの男女が出てくるにも関わらず直接的に関係が描写されるのはエリックとレイヴンだけです。チャールズとレイヴンに至っては子供の頃からずっと一つ屋根の下で暮らしているのにまったく恋愛に発展しません。それはエマとショウにも言えます。エマがいつも胸の谷間をチラつかせているにも関わらず、ショウはエマに手を出しません。テンペストも同様です。彼は踊り子として売春をやっていますが、それを「男はみんなバカだから」と言います。男を恋愛の対象とは見ていません。それは何故か? 答えは簡単です。みんなゲイだから。

このシリーズにおけるマイノリティとはゲイであり、そしてブライアン・シンガー自身がゲイであるからこそ、素晴らしく実在感のある描写が出来るんです。
本作のメインテーマは「マイノリティの生き方とは?」です。

チャールズはマジョリティと共存することこそが平和への道だと語ります。つまり、ゲイであることを隠して生きろと言うんです。ビーストは自分の足が大きくて猿のように手として使えることにコンプレックスを抱えています。そして「本質は変わらなくても見た目だけでも普通になりたい」とレイヴンに語り薬をつくります。一方、レイヴンもチャールズの教えに従って普段は普通の女の子の姿に変身しています。そして酒場でちょっと目の色を変えただけで、チャールズから怒られてしまいます。テンペストは羽根を入れ墨のように肌にくっつけて普段は見せないようにしていますし、バンシーやハヴォックはもとより普通の見た目をしています。

一方のショウは能力を隠すことはしません。自分たちがマイノリティであることを一切隠さず、革命を起こしてマジョリティに取って代わろうとします。つまり彼らはゲイであることを100%受け入れた上で、それを当たり前にしてしまおうと言うんです。

さて、この両者の間を揺れ動くのが本シリーズのもう一人の主役・マグニートとなるエリックです。エリックは最初はショウと同様の考えを持っています。自分の能力を理解した上でそれを復讐につかうことしか考えていません。しかしチャールズに出会うことで、彼の考え方に共感し、彼に協力することにします。多くの腐女子アイを持っている方が気付かれていると思いますが(笑)、チャールズはエリックを文字通り「口説き落とし」ます。「君の事は全部なんでも知ってるよ。」と何度も何度も繰り返し耳元でささやき続けるというキモい方法で(笑)、チャールズはエリックを自分のものにします。しかもエリックを(ゲイとして)目覚めさせるために、彼の幼少時の思い出を盗み見たりします。ゲイとか云々を脇に置いても完全に変態です。そしてまさにクライマックスでエリックはチャールズの自己中心的でメンヘラな姿勢に愛想が尽きて例のヘルメットを被るわけです。心で泣きながら。好きなのに別れざるを得ないから。
その後チャールズは非ミュータントのモイラと良い感じの仲になりますが、しかしキスをするのと同時に彼女の記憶を消して追い出します。何故でしょうか? それは彼女が非ミュータントでありストレートだから。チャールズは「ゲイであることを隠して生きろ」と言っていたにも関わらず、自分はストレートの女とは恋仲になれなかったんです。だから彼は森の中に引きこもって「恵まれし子らの学園」を作るんです。ゲイを隠して生きられないなら、ゲイだけの楽園を人里離れた場所に作っちゃえってことなんです。

本作の主題「マイノリティの生き方とは?」に対して、劇中では以上3通りの思想が語られます。「マイノリティであることを隠して生きろ。」「マイノリティであることを誇りにもって革命を起こせ」「マイノリティだけのコミュニティを作って引きこもろう」。この3つの思想を巡ってキャラクターが組んずほぐれつするわけですw

【まとめ】

男の友情にかこつけたアレすぎる描写も含めて、大変愉快な作品です。きちんと所々ギャグでテンポを抜いてきますし、必要な場所ではこれ以上ないほど熱血な展開がまっています。そして対アザゼル戦のワープ・アクション。それに加えてあからさまな心と心の交流を描くシーンもあります。だってチャールズがエリックを完全に落とすシーンは、それまでストレートよりだったエリックが巨大パラボナアンテナ(※丸いものの中央に先が尖った棒が立っているw)を能力で自分の方向にグイっと向けるんですよw そしてゲイに目覚めるw つまりナニがエリックにロック・オン!!!みたいなw 爆笑出来ます。
ゲイネタが嫌いな方も普通にエンタメ映画として楽しめますので是非見に行って下さい。オススメです。
グイっとね。ロック・オン!!!

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スコット・ピルグリム vs. 邪悪な元カレ軍団

スコット・ピルグリム vs. 邪悪な元カレ軍団

連休2日目は渋谷で単館系を2本です。1本目は

スコット・ピルグリム vs. 邪悪な元カレ軍団」です。

評価:(90/100点) – やっと来た! ファミコン世代感涙のアホ・コメディ・アクション・恋愛映画!


【あらすじ】

スコット・ピルグリムは無職でロックバンド「セックス・ボブ・オム」のベーシストのダメ人間である。最近17歳で中国系の彼女ができて浮かれている。そんな彼はある日、白昼夢を見てしまう。そして白昼夢で見かけたピンク髪の女性に一目惚れをしてしまう。ところがなんと、17歳の彼女ナイブス・チャウと図書館でデート中に夢の女性を見かける。どうしても彼女の事が知りたい彼はその日の夜パーティで聞き込みを行い、ついにピンク髪の女性ラモーナを発見する。なんだかんだで付き合う事になるスコットとラモーナだったが、なんとラモーナには元カレ達で組織された「エクシズ」というグループが付いていた! スコットの前に立ちはだかるエクシズの面々。はたしてスコットはエクシズを乗り越えてラモーナとの幸せを掴むことが出来るのか?

【三幕構成】

第1幕 -> スコットとチャウとの付き合いと白昼夢
 ※第1ターニングポイント -> ラモーナと付き合うことになる
第2幕 -> エクシズとの戦い。
 ※第2ターニングポイント -> ラモーナがギデオンについて行く
第3幕 -> ギデオンとの決闘。


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【感想】

本日の一本目は「スコット・ピルグリム vs. 邪悪な元カレ軍団」です。邦題について言いたいことはありますが、まずは公開されただけで良かったです。署名活動に携わった方々、本当にお疲れ様でした。
が、、、が、、、、、観客が少ない!!!!!!
渋谷のシネマライズで見ましたが、お客さんの入りは6~7割ぐらいでした。たしかにポスターを見るだにオタク向けですしアメリカでは盛大に転けていますが、あまりにもあんまりです。とりあえずこういう面白い映画に人が入らなくて公開されなくなるのは嫌なので、拡大ロードショーになる5月半ばにはもう一回見に行きます。
本作はテレビゲームやアニメへのオマージュがとてつもない事になっていて物凄い情報量を畳みかけてきますので、詳しく知りたい方は今月号の映画秘宝を読んで下さいw 主要所は全部載ってます。また下記のサイトがアメリカのオタク達がみんなで元ネタを持ち寄ったwikiです。
http://scottpilgrim.wikia.com/wiki/Scott_Pilgrim_Wiki
こいったオタクマインド全開なアホ映画ですので、好きな人には本当に心に刺さります。いきなり冒頭のユニバーサルロゴがドット絵かつ音も8ビット音楽だったり、「ファイナルファンタジー2だ!!!」とか言ってFF2のバトルBGMをベースで弾き始めたり、ストリートファイターの声が入ったり、スーパーマンリターンズでクラークケントを演じたブランドン・ラウスが胸に「3」のマークをつけて野菜好きのサイヤ人になってギターヒーロー対決したり、挙げればキリが無いくらい頭の悪いアホネタの宝庫になっています。
もし難点があるとすれば、スコットがナイブスと付き合ってるのに当然のようにラモーナと二股を掛けたり、ラモーナも元カレ軍団になんにも言わなかったり、ちょっと自分勝手過ぎる点です。結構ナイブスが健気で可哀想ですし、セックス・ボブ・オムのドラマー・キムもかなりツンデレで可哀想な人になっています。
ただ、軽く引くぐらい物凄いテンションで押し切っていますので、笑っていると2時間があっという間に経ってしまいます。圧倒的に頭の悪い戦いの数々と、そして頭の悪いゲイネタの数々。とにかく、20代~40代前半までの人ならど真ん中で突き刺さるはずですので、見に行ってみて下さい。
内容はありませんので(笑)、ただただとっても愉快な2時間が過ごせます。「高校デビュー」のような芸人の一発ネタを出してくる邦画と何が違うのかと言われてしまうかも知れませんが、本作はエドガー・ライトがきちんとしたテクニックでかなり上手く演出しています。だから所々は頭が悪くても、全体としては普通に良く出来た映画です。ファミコン世代は確実に見ておくべき青春映画です。超おすすめ大プッシュです。

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RED/レッド

RED/レッド

土曜の二本目は

RED/レッド」です。

評価:(65/100点) – 元気な叔父様達の貫禄コメディ。


【あらすじ】

フランク・モーゼズは退役したCIAのエージェントである。手持ちぶさたな彼は年金係のサラとの電話を唯一の楽しみにしていた。
ある日いつものようにサラと電話をした晩、フランクは何者かに襲われ自宅を蜂の巣にされてしまう。なんとか難を逃れたフランクはサラの元へと向かい、危機一髪彼女を助けだす。敵をCIAだと判断したフランクは、引退したかつての仲間達の元を訪ね逆襲を計画する、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> フランク邸が襲われる。
 ※第1ターニングポイント -> サラの救出
第2幕 -> サラとの逃走と仲間集め
 ※第2ターニングポイント -> サラが攫われる
第3幕 -> サラの奪還作戦


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【感想】

土曜の2本目は「RED/レッド」です。かなりお客さんが入っていまして、小さめな劇場ながらほぼ満席でした。前評判では「年寄り達のエクスペンダブルズ」なんて言われていましたが、どちらかというと「オールスター感」よりは「年寄りの冷や水感」といいますか、コメディ的な要素が先に立っています。
というのも、エクスペンダブルズのような「劇中でもバリバリの一線で活躍する傭兵」としてのヒーロー達ではなく「劇中ではすでに引退しているかつての凄腕」という体裁だからです。とはいえ、もちろんブルース・ウィリスやヘレン・ミレンはほとんど無敵の活躍を見せてくれます。それだけで爽快感は満点なのでもう十分なのですが、一方で生身のアクションの凄さはありません。せっかくのブルースとカール・アーバンの格闘戦もカメラがグラグラでまったくアクション的な見栄えはしません。
そうするとどうしても「型」を楽しむような見方になってしまいますので、これはもうファンムービーになってしまいます。
とはいえとても幸せな映画なのは間違いありません。ここまで活き活きとコメディを楽しむマルコビッチは久しぶりな気がしますし、ここまで嬉々としたヘレン・ミレンも久しぶりな気がします。何より話の内容が全然無い感じが、いかにもバカ・アクション・コメディという風格すら出ていますw スーパー爺さん達が危なげなく若造どもを手玉にとってくれますので、安心して110分間ポップコーンを頬張れます。
決して高尚な映画ではありませんし、よくできた映画でもありません。しかし爽快感とほほえましさではずば抜けたものがあります。デートの邪魔にもならないくらいのバッチリな温度ですので、是非是非オススメです!

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キック・アス

キック・アス

本日は満を持して

キック・アス」を見ました。

評価:(100/100点) – 男は思い立ち、調子に乗り、挫折し、決意を胸に真の英雄になる!!!


【あらすじ】

コミックオタクで冴えないデイヴ・リズースキーは思い立ち、ebayで買ったコスチュームと靴を身につけヒーロー・キックアスになった。彼はパトロール中に偶然遭遇した車上荒らし達を止めようとするが、返り討ちに会ったあげく、朦朧としたところを車に撥ねられて全身を骨折してしまう。しかしそんなことで彼のヒーロー熱は冷めなかった。神経麻痺により痛みを感じなくなった彼は、生まれ変わったヒーロー・キックアスver2としてギャング達に襲われた男を助け、一躍スターになる。
そんな彼はある日意中の彼女・ケイティからヤク中の男に付きまとわれていると相談を受ける。キックアスの衣装に身を包み、意気揚々と男のアジトへと向かうデイヴだったが、、、、。。

【三幕構成】

第1幕 -> キック・アスの誕生と挫折。
 ※第1ターニングポイント -> キック・アスが人気者になる。
第2幕 -> ビッグダディとヒットガール。
 ※第2ターニングポイント -> ビッグダディが殺される。
第3幕 -> 復讐。


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【感想】

本日のレイトショーは満を持して「キック・アス」です。マーヴェルのアイコン・レーベルから発売されたコミックスが原作ですが、連載当初から映画化を前提に作られていたため、どちらが原作というよりは同時制作のような形になっています。アメリカでの評判や9月の「第3回したまちコメディ映画祭in台東」での先行上映の大評判ぶりからか、連日TOHOシネマズ川崎ではソールドアウト状態でまったくチケットがとれなくなっています。今日もレイトショーだというのに一列目以外は完全に満席でした。

話の概略

本作は一応カテゴリとして「コメディ」となっていますが、笑える要素が多いというだけで内容自体はいたってシリアスかつ王道なヒーローものに仕上がっています。作中では何度もバットマンやスパイダーマンを意識した台詞が登場します。つまり、この作品内では現実の私たちと同じように「ヒーローもの」の映画やコミックがあって、そういった内容を前提とした上で「ヘタレなオタクが真のヒーローになるまで」を重たいテンションと残酷な描写と、そして時折混じる笑いによって手際よく描いて見せます。
本作の主人公・デイヴはごく平凡で冴えない学生です。彼は毎日オタク友達と漫画カフェに入り浸り、女友達もいなく、バカ話をして過ごしています。そんな彼がガッツだけでスーパーヒーローになっていくわけです。そこには当然血も流れますし、苦悩も経験します。悪者達を華麗で無邪気に殺すヒットガールを目の前にして、彼は恐怖し一度はヒーローになることを捨てようとします。しかし暴力の連鎖は止まらず、マフィアとビッグダディ達との抗争に嫌でも巻き込まれてしまい、ついには逃げられない状態にまで追い込まれます。当初気軽にヒーローを目指していた彼は、スパイダーマン・ピーター・パーカーの台詞である「力には責任が伴う」と言う言葉を引用し、「力が無くても責任はあるんだ」と考えるに至ります。そして平凡な彼は、精一杯の正義感と勇気でもって、ついには真の意味でスーパーヒロイン・ヒットガールの相棒になります。
この物語は、私たちと同じ平凡な人間が「ヒーローになりたい」という無邪気な夢から調子に乗ってしまったことで本物の復讐劇に巻き込まれ、やがては挫折や痛みを知って真のヒーローに生まれ変わるまでを軽やかで残虐で誠実に描きます。本作は英雄譚であり、そこにはマッチョもスーパーマンも超人も居ない、平凡な人間達のあがきと苦悩とそして最後に訪れる真のヒーローへのカタルシスが詰まった大傑作です。

原作グラフィックノベルについて

原作グラフィックノベルは小学館集英社プロダクションから邦訳版が出ています。2008年2月から2010年2月まで全8冊の小冊子で刊行されたコミックスをまとめたものです。実際にグラフィックノベルと映画を比較すると、プロットはほぼ一緒でもまったく内容・印象が異なる作りになっています。
グラフィックノベル版と映画版の決定的な違いは、デイヴの性格設定とビッグダディ達の動機付けの部分です。
グラフィックノベル版ではデイヴはギーク特有の嫌味で根暗な部分が前面に出てきます。グラフィックノベルにおけるデイヴは、正義のために立ち上がるというよりはむしろ名声や優越感のためにヒーローになりたがります。彼が明確に「正義」を意識して行動を起こす場面は、火事に遭遇する第5話の1カ所のみです。このため、全体を通して自虐的で選民的な、感じの悪いオタク少年の自己憐憫が中心になります。
そしてビッグダディの部分です。こちらは映画版とはまったく異なります。ビッグダディはただのコミックオタクであり、自身がヒーローになるために勝手にストーリーを妄想してギャングに突っかかっていきます。そしてその自分の夢に娘を巻き込みます。こちらの設定は本当に救いやカタルシスがありません。ビッグダディはダメ人間のままで死にますし、デイヴも流されるだけ流されて手ひどい目に遭います。ただ、唯一ヒットガールにとっては、「親の敵討ち」という父の妄想が現実になるわけで、そこでまさに漫画的なヒロインに”一瞬だけ”なります。しかしヒットガールは何を得るでもなく鬱屈した日常へと戻っていきます。
グラフィックノベル版におけるテーマを考えるとすれば、それは「ヒーローなんて居るはずがない」という現実と絶望であり、しかしその一方で時折奇跡的に「ヒーローになってしまう瞬間がある」という幻です。
一方、映画版においては作りがぐっとシンプルかつエンターテイメント寄りになっています。ビッグダディ達とフランク・ダミコ・ファミリーの抗争や因縁は本物ですし、その中でキックアスが右往左往して巻き込まれながらも真のヒーローへと成長するのも本当です。そしてヒーローもののお約束であるヒロインとのラブロマンスもあります。これは「整理した」というよりは「エンターテイメントとして再構成した」と言った方が近いかも知れません。原作ファンには「原作の鬱屈した感じが無い」と言われてしまうかも知れませんが、私は映画版のストーリーの方が好きです。

【まとめ】

全男子必見のヒーロー・ムービーです。冒頭のモノローグで「一度は考えたろう?スーパーヒーローになりたいって。」というデイヴのセリフがあります。そう、私たちは子供の頃には誰もがウルトラマンになりたかったし仮面ライダーになりたかったはずです。でも当然現実にはなれるわけもないですし、実際に悪党(※例えばヤクザ)を敵に回したらとんでもないことになるんです。本作の主人公は、ヒーローになるためにひたすら根性で歯を食いしばります。ヒーローが実在した場合に起こりうる「悪党を惨殺する」という恐怖に駆られ、そしてその責任の重さを実感し、しかし彼はそれでも正義を信じて立ち上がります。これは「もし現実にヒーローが存在したら」という私たちが一度は夢見たことのあるファンタジーに現実を突きつけた上で、それでももしかしたら居るかも知れないという希望を残す堂々たる「英雄誕生譚」です。
是非劇場の大きなスクリーンでご鑑賞下さい。タイツを着たヒーローが苦手な人でも絶対に見て損はありません。近年稀に見る少年の成長物語の大傑作です。オススメです!

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