小さな命が呼ぶとき

小さな命が呼ぶとき

2本目は

小さな命が呼ぶとき」です。

評価:(25/100点) – 淡々として温度の低いプロジェクトX


【あらすじ】

製薬会社に勤めるジョン・クラウリーには子供が3人居る。しかし内2人がポンペ病に罹っており、長女のメーガンは余命1年程度と目されていた。ある日、ジョンは筋ジストロフィー研究の権威・ストーンヒル博士を訪ねる。大学からの冷遇に不満を抱えていたストーンヒル博士は製薬のベンチャー企業設立をジョンに持ちかける、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> メーガンが呼吸困難を起こす。
 ※第1ターニングポイント -> 製薬会社を起こす。
第2幕 -> 薬の開発競争と買収。
 ※第2ターニングポイント -> 4チームのコンペが始まる。
第3幕 -> 子供達が臨床試験を受けられるかどうか。


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【感想】

本日の2本目は「小さな命が呼ぶとき」です。あまり大々的に宣伝している作品ではありませんが、中高年を中心にそこそこ観客が入っていました。予告やポスターを見ると完全に「難病もの」のジャンル映画かと思うのですが、ところがどっこい。本作はドキュメンタリーものです。エンドロールで監修としてジョン・クラウリー本人がクレジットされていましたように、本作は実話を元に脚色した「子供が難病に罹った父親が、薬を手に入れるまで」のストーリーです。
いきなり結論を書きますと、本作はジョン・クラウリーの暴走をどこまで許せるかが評価の分かれ目です。演出はあくまでもドキュメンタリータッチで、劇的に盛り上がる場面が1カ所もない退屈なものです。ストーリー自体もまったく盛り上がらず非常に淡々とただただイベントを消化していきます。ですので、ジョンに乗れなければ単なる退屈な映画です。極端な話、「世界丸見えテレビ特捜部」とか「奇跡体験アンビリーバボー」の30分枠の再現ドキュメンタリーと大差ありません。
その肝心のジョン・クラウリーですが、早い話が結構嫌なヤツなんですw
ストーンヒル博士を利用するだけしておいて裏切ったり、ベンチャーを売って60万ドルほど手に入ったら調子に乗って湖畔の豪華な一件家を買ってみたり、かといって娘の容体がちょっと悪化したらテンパって会社の重役にケンカ売ってみたり、人間としては限りなく最低な男です。ところが、これらは全てアメリカ映画にありがちな「家族愛」によって正当化されます。劇中でストーンヒル博士が「私が君の立場だったら、子供のために私など虫けらのように踏みつぶしていくだろう」とお墨付きめいたものを受け取るんですが、全然解決になってないというか、単に監修に入っているジョン本人に気を使っているようにしか見えません。
結局、今作は「家族愛に溢れた男が科学者達の尻を猛烈に叩いて薬を作らせる話」です。恐ろしいのが、肝心のジョンが努力している様子がまったく描写されないことです。序盤の資金集めの部分はともかく、買収されて以降の後半は単に研究者達をかき回しているだけです。あげく最後の最後には、他の病気の子供達を出し抜いて、見事自分の子供達を臨床テストの対象にするんです。自分の子供さえよければなんでもいいの? ストーンヒル博士のために支援してくれた「ポンペ病の子供達のための基金(※すみません。うろ覚えです。)」のメンバー達は無視? なんぼなんでも酷すぎるでしょう。これって美談なのか!?しかも結局ストーンヒル博士と関係ないチームの薬を採用してるし。

【まとめ】

話としては全く駄目な上、倫理的にもちょっとどうかと思いました。先日の「ザ・ロード」とも被るのですが、この倫理面は自分に子供が居るかに賭かっているように思えます。キャストだけは豪華ですので、あまり期待せずにテレビの再現映像をみる感じでフラっと入る分にはオススメできるかも知れません。

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