さんかく

さんかく

三本目は

さんかく」です。

評価:(95/100点) – ん~~~~ナイス。


【あらすじ】

釣具店で働くダメ人間の百瀬は、恋人の佳代と同棲している。ある日、佳代の妹が夏休みを利用して遊びに来ることになった。いつもは面倒そうに付き合っていた百瀬だったが、わがままで愛くるしい桃の姿に、やがて心を奪われていく、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 桃がやってくる。
 ※第1ターニングポイント -> 桃が実家に帰る。
第2幕 -> 百瀬と佳代の破局
 ※第2ターニングポイント -> 佳代が実家に帰る。
第3幕 -> 百瀬の落とし前?


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【感想】

さて、先週末に見ましたのは、吉田恵輔監督の「さんかく」です。初日の舞台挨拶は混んでいたみたいですが、時間をはずしたのでそこまでの混雑ではありませんでした。とはいえ、6~7割ぐらいは入っていたでしょうか。上映館が少ないので、このぐらいの混雑は平均的だと思います。
吉田監督の大きな資質というのが、「中年のダメ男」が「無垢な(に見える)少女」に魅かれるという駄目なファンタジーを描く点にあります。それだけなら単なる平凡な監督なんですが、吉田監督の凄い点は、そのファンタジー自体に客観的なツッコミを入れられる点にあります。「そんな上手いこと行くわけないだろ!」という当たり前の視点が入ることで、そこに悲哀というか情緒というか、そういった微妙な「おとこ心」を重ねてくるわけです。
本作ではその視点はより一層強化されています。作品を重ねる毎にどんどんファム・ファタール (=妖婦/主人公を誘惑する女性) が低年齢化していっていますが、今回は遂に中学生(中の人は16歳)です。ご存じAKB48の小野さんなわけですが、日本人にありがちな「いい年なのに顔が子供っぽい」という童顔に加えて、ちょっと肉付きが良いところがファム・ファタールにばっちりです。仲里依紗的というか、「こいつ素は黒いんだろうな」と思える感じの雰囲気が大変素晴らしいです。その桃に勝手に振り回される百瀬役の高岡蒼甫さんも実在感ばっちりの「ウザイ不良あがり」感が大変すばらしいです。まぁ宮崎あおいがらみでドス黒い背景ばっかり浮かび上がる高岡さんですが、こういった小者の役には本当にばっちりです。
本作の大変良いところは、はっきりとバカな百瀬と中盤に変貌を遂げる佳代との「似たもの同士」な二人が、どうしようもなく阿呆な衝動でお互い猛烈な勢いですれ違いつつ、でも結局最後はお互いしかいないという閉じた世界のラブストーリーをブラックコメディタッチで描いてくる点です。他の人には相手にされない人間達が、失敗しまくりながらも結局すれ違ったりくっついたりする感じが大変愛くるしいです。
高岡さんも小野さんも決して演技が上手いわけではないんです。でも、なんか強烈な現実感を持っているんです。「こういうの居る居る」っていう感覚。それが急にエスカレートしていきつつ、、、というところが本作の肝であり最高の盛り上がりを見せていきます。
上映館は少ないですが、必見の作品だと思います。絶対に損はしません。
余談ですが、AKB48云々という部分は単なると宣伝材料であって、作品自体はアイドル映画でもなんでもありませんので、その辺に抵抗を感じる方もご安心下さい。
面白いラブコメ映画として最高クラスの出来だと思います。

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