2本目は「ウルフマン」です。
評価:
– 古典的名作をいじるのは良いけど、、、。【あらすじ】
ある日、ローレンス・タルボットの元に兄の婚約者・グエンから手紙が届く。グエンの要請に応えて実家に戻ったローレンスは、父より兄の痛々しい遺体が発見されたことを聞き、殺人犯を見つける捜査を始める。熊の仕業ではとの噂を聞きジプシーのキャンプに乗り込んだローレンスは、そこで禍々しい獣の襲撃に遭遇してしまう、、、。
【三幕構成】
第1幕 -> ローレンスの帰郷と兄の死。
※第1ターニングポイント -> ローレンスが狼男に変身する。
第2幕 -> 狼男としてのローレンスの苦悩
※第2ターニングポイント -> ローレンスが実家に再び戻る。
第3幕 -> ローレンスとジョンとグエン。
【感想】
本日の二本目は「ウルフマン」です。原題が同じ古典的名作「狼男の殺人」のリメイクです。ベニチオ・デル・トロが狼男を好演していますし、アンソニー・ホプキンスも嫌らしい父親が大変似合っています。
しかし、ウルフマンになるローレンスの二面性を持った苦悩がイマイチ描き切れていないように見えます。ローレンスというキャラクターは、シェイクスピア俳優というインテリ芸術家の側面と理性のない凶暴な怪物という2つの面の間で苦悩する悲劇的な人物です。凶暴な部分はグロい描写も混ぜつつ上手く表現出来ていると思いますが、一方で人間臭い部分の描写が足りません。
もっとも、ベニチオ・デル・トロをキャスティングしている時点で人間的な魅力は十分という制作側の算段もあるとは思いますし、それは十分に成功しています。ですから気にはなりますがそこまでの欠点だとは思いません。
それよりは、本作が旧作から変更している物語の根本部分の方が気になります。本作では物語のテーマに直結する設定を二カ所、旧作から変更しています。
一点目は当然、ローレンスを狼男にしてしまう、彼を噛む狼男です。旧作ではジプシーですが、本作では父親に変更されています。これにより本作に「親と子の因果」「父親越え」というテーマが追加されます。こちらはポジティブな変更です。
一方、ネガティブな二点目の変更点はグエンの設定です。旧作では通りすがりにナンパした美女でしたが、本作では兄の婚約者になっています。そのためロマンス要素に変な障害風味が追加され、非常にクドい印象を受けてしまいます。死んだ兄の婚約者をたらし込もうとしてるという点だけで、あんまりローレンスが真面目なインテリに見えません(苦笑)。いまいちロマンスに乗りづらいため、ラストでもあんまり感情移入できませんでした。
とはいえ、レトロ怪奇映画のテイストは十分にでていますし、なにせリック・ベイカーのモンスター造形はすばらしいです。グロいのが苦手な方にはオススメしづらいですが、ホラーが好きな方には鉄板でオススメです。そして劇場で見たあとにでも、是非レンタルでオリジナルも見ていただくと、本作がより面白く見られると思います。