ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>

ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>

今日は新作の

「ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>」です。

評価:(30/100点) – バカさ炸裂お祭り映画


【あらすじ】

前作「ミュータント・タートルズ (2014)」で逮捕されたシュレッダーの移送が予定される中、シュレッダー配下のフット軍団達は移送中の救出作戦を準備していた。計画を知ったタートルズとエイプリルは、阻止するためにゴミ収集車を改造した「タルタルーガ号」を現場に急行させる!

【三幕構成】

第1幕 -> バクスター博士とフット軍団のシュレッダー救出作戦
 ※第1ターニングポイント -> シュレッダーがクランゲ皇帝と出逢う
第2幕 -> フット軍団のアイテム集め
 ※第2ターニングポイント -> 3つのアイテムが揃う
第3幕 -> クランゲ皇帝vsタートルズ


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【感想】

今日はTMNTのリブート版第2作、「ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>」を見てきました。こちらもゴーストバスターズに引き続きバリバリ80’sコンテンツでして、私が小学生の時にテレビ東京でアニメをやっていました。同級生の間で「サ・ワ・キ・ちゃ~ん!」というクランゲのモノマネがかなり流行っており(笑)、しょっちゅう言ってたのを覚えています(笑)。90年代に映画が3本作られており、その後2014年にリブートされました。本作はそのリブートされた「ミュータント・タートルズ」の続編にあたります。
そういった経緯からなのか、今日も客席は埋まってはいましたがほぼ30代~40代ぐらいの男性or夫婦ばかりでした。客席に凄い同年代感を感じてしまいました(笑)。

今回はネタバレを極力さけますので、安心して以下お読みください。映画の内容と同じく、今日は雑な文章です(笑)。

良い所:謎のマイケル・ベイ・オマージュ

本作は、前作「ミュータント・タートルズ」と同じくマイケル・ベイがプロデューサーをしています。しかし、監督はジョナサン・リーベスマンからデイヴ・グリーンに変わっています。これ面白いんですが、何故か前作も今作も、「マイケル・ベイが監督した」かと見間違うほど、カメラワークがとても「マイケル・ベイっぽい」です(笑)。
マイケル・ベイの一番の特徴は、「単純な動きをする被写体の周りをカメラがグワングワンと動きまくる」点にあります。要は「勢いはすごいあるけど、実際に何が起きてるかはわかりづらい」んです。ストーリーテリング上はあまりよろしくない演出・カメラワークなのですが、勢いだけは凄まじいので「なんかよくわからないけどテンションがあがる」という効果があります(笑)。
本作でもこの「マイケル・ベイ演出」がほぼすべてのアクションシーンに見られます。下水管の中でもグワングワン。カーチェイスでもグワングワン。飛行機空中アクションでもグワングワン。川に流されてもグワングワン。ドン引きするぐらいカメラがグワングワンに動きまくり、もはや細かい動きがまったく把握できません。っていうか酔います(笑)。あまりにドラッギーなので、だんだん変なツボに入ってすごい楽しくなってくるんですね(笑)。これが本作の一番よいところです。監督が違うのになぜかマイケル・ベイ色が濃い。プロデューサー様への接待なのか、プロデューサー様が口を出し過ぎなのかは定かではありませんが(笑)、ビッグバジェット・バカ映画の勢いを存分に発揮しています。

さらに、本作には往年の人気キャラが多数登場しています。ロックステディとビーバップの脳筋コンビ、仮面のヒーロー ケイシー・ジョーンズ、そしてクランゲ皇帝。ここに前作から引き続きシュレッダーとエイプリルが登場するわけで、否が応でも期待は高まり、ハードルもグイっと上がります。

悪い所:話がガタガタ

では悪い方に行きましょう。本作には、大きく2つの欠点があります。これが結構致命的なレベルでして、せっかく映像であがったテンションをガッツリ削ってくれます。

1つ目の欠点はストーリーラインに対するタートルズの関わり方です。私が上の方に書いた「三幕構成」の所をちょっと見ていただくと、「タートルズ」の文字が出てくるのが三幕目だけなのに気づかれるかと思います。そう、本作はタートルズが話しの本筋に全然絡んできません(笑)。本作のメインストーリーは「クランゲがかつて地球に落とした3つのアイテムが揃うと、”どこでもドア”的なものを作ることができる。シュレッダーがそれを出現させて、クランゲ宇宙艦/テクノドロームを地球に堕ろし、世界征服をしようと企む」というものなんですね。当然タートルズは正義のヒーローとしてこれを阻止しないといけないわけですが、なんと、この「3つのアイテムがそろうと~」というのをタートルズが知るのが、すでに2個集められてしまった”ミッドターニングポイント”なんです。つまり映画の前半半分の話はタートルズがあんま関係ない(笑)。しかも3つ目もサクっと取られちゃって、あっさり最終決戦に突入します。これによって、そもそもの本筋がすごい軽~く見えちゃいます。

2つ目の欠点は、タートルズ側のストーリー、すなわち「もし人間になれるなら、亀を辞めて人間になりたいか?」というアイデンティティの問題です。このテーマ設定自体はとてもいいんですが、肝心の解決にドラマがなんにも無いんです。ちょっと前まで「人間になりたい!」って言ってたのに、理由も何もなしに急に「俺たちは亀だ!」とか言い出しちゃうんで、そもそもいつアイデンティティを持ち直したんだかよくわかりません。これに限らず、「俺たちはもうチームじゃねぇよ」とかSMAP級の解散宣言をした5分後くらいに「俺たちタートルズ!兄弟!カワバンガ!」みたいな円陣を組んでたりもして、結局おまえら何なんだ感がハンパじゃないです。これは邪推なんですが、もしかすると編集をミスって大事な所をカットしちゃったんじゃないかと思います(笑)。DVDが出るときにディレクターズカットかなんかでちゃんと補完されてるような気がしてなりません。あまりにも唐突に主張が変わるので、大混乱でした。

この他にも、シュレッダーがなんぼなんでも扱い酷くないかとか、せっかくの青い薬を粗末にするなとか、ブラジルからどうやっていつの間に帰ってきたんだとか、細かいツッコミどころは結構あります。でもそういうのがスルーできるぐらい、大筋がちょっと酷いです。

【まとめ】

良くも悪くもマイケル・ベイっぽいバカさが炸裂したお祭り映画でした。シン・ゴジラの庵野総監督も樋口監督を差し置いて目立ちまくっていましたが、なんか世界的な流行なんでしょうか(笑)? ノイズが多すぎて引っかかるところが多いのが玉に傷ですが、勢いだけはある映画です。「テレビでやるから流し見しようかな~」ぐらいの姿勢が一番正しい気がします(笑)。積極的なおすすめはしませんが、フラッと入るにはそこまで悪くない作品だと思います。フォローになってるでしょうか(苦笑)。

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ゴーストバスターズ(2016)

ゴーストバスターズ(2016)

今日は2本です。1本目は

「ゴーストバスターズ(2016)」です。

評価:(8/100点) – イケイケおばちゃんのコスプレ・コント


【あらすじ】

女教授のエリンは、コロンビア大学で終身雇用を獲得しようとしていた。しかしある日、ゴーストが出たので助けて欲しいという謎の紳士の訪問で、かつて自分が友人と共同で書いた「GHOSTS FROM OUR PAST」というオカルト幽霊本がまだ売られていることに気付く。オカルト本を書いていたことがバレると自分の地位が危なくなると思ったエリンは、共同著者のかつての親友アビーの元を訪れる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> GHOSTS FROM OUR PASTと幽霊屋敷
 ※第1ターニングポイント -> 最初の幽霊にあい、大学をクビになる
第2幕 -> ゴーストバスターズの結成
 ※第2ターニングポイント -> ローワンの死
第3幕 -> ニューヨークを救え!


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【感想】

今日の一本目はゴーストバスターズです。私の世代にはまさにど真ん中、ハリウッド80’sを代表する大傑作「ゴーストバスターズ(1984)」のリブート版です。私も一時期携帯電話の待ち受け画面がロゴだったことがある大好きなシリーズです(笑)。マジで冗談で無く、テレビ放送を録画したVHSを擦り切れるまで見ました。公開二日目の最初の土曜ですので、完全に客席が埋まってました。私の隣は小学生ぐらいの子供3人が子供だけで見に来ていて、とても嬉しくなりました。是非これをきっかけにオリジナル版も見てくれないかなと願ってやみません。そういう意味では、オリジナル版への興味を若い子達に持たせるという意味だけで、この映画の存在価値はあると思います。
ここから私はいつものようにガンガングチりますが(笑)、そんなことは気にせず、是非見に行ってください。

私のグチを聞いてけれ。

今回のゴーストバスターズですが、リメイク/リブートというよりは、往年のゴーストバスターズを元ネタに使った別個の同人コメディ映画になっています。海外ではゴーストバスターズのメンバーを全員女性にしたことで色々盛り上がってるみたいですが、私の感想としてはそこ以上に全体的にあんま愛が感じられないというか、あんまり制作側の熱量を感じませんでした。

1つ目の残念なポイントは、そもそもこの映画にドラマが何もないことです。チーム結成ものにもかかわらず、チームの結束が強くなったり、コンビネーションで合体技が出たりということがありません。そもそもみんな登場した段階で結構いい大人なので、成長要素がないんですね。天才発明家・ホルツマンが都合のいい道具を何でもすぐに発明しまして、それをメンバーがバンバン使います。そこにカタルシスやドラマは全くありません。みんな道具を労せず使いこなすし、ピンチらしいピンチもろくにありません。これですね、ゴーストが強くない&ゴーストバスターズのメンバーが苦労もせず強すぎるということで、単なるオリジナル版のコスプレをしてそれっぽいことやってるだけのノリノリおばちゃんを見る映画なんですね。これはキツい。これが素人が作ったファンムービーなら笑って済ませられるのですが、仮にもプロの仕事としてちょっとコレはないだろうと思います。

2つ目はゴーストの扱いです。本作のゴーストは全て敵役の人間・ローワンが1人で召喚します。すなわち、ローワンがゴーストのテッペンにいて、オバケたちはその下でいいように利用されているんですね。言うこと聞いてたり聞いてなかったりなんですが、それってなんかオバケものとしてはショボすぎませんか?ハッタリでいいからローワンが魔王の生まれ変わりとか、実はズールのしもべだとか、はたまた何かに乗り移られているとか、なんかこう彼の上に一体オバケを置いて欲しいんです。結局ラスボスが人間ってどうよ、、、っていうね。結局はお化けよりも冴えない人間の男の方が怖いのだ、、、ってそれないでしょう。仮にも「ゴーストバスターズ(お化け退治屋)」なんだから。

こういったことがありまして、私は単独映画としての本作を一切評価しません。CGがちょっと豪華なだけで、映画の中身には価値がないと思います。

少なくとも男はターゲットじゃない

一応海外でのフェミニズム的な話に触れておきます。本作は完全に女性向けです。というか男性差別が強烈です。クリス・ヘムズワース扮するケヴィンは「身体がいいだけで頭空っぽ&電話もロクに出られないバカ」として登場し、劇中では堂々と「彼は顔と身体だけあればいい」とセクハラされ三昧です。そしてもう一人の男「ブラッドリー市長」も完全に無能な狂言回しとして登場します。そして犯人はデブで冴えない根暗男子。べつに私はフェミニストじゃないのでこれについて怒るつもりはまったくないんですが、ここまであからさまに「オバちゃん目線」で描かれると、なんか別にこの映画自体がどうでもいいかな~と思えてきます。男は視聴のターゲットではないんでしょう。

一つ言いたいのは、この映画を見て「この映画のどこが男性蔑視だ!」と言ってる人たちは、私が好きな「チャーリーズ・エンジェル(2003)」や「トランスフォーマー(2007)」や「アナコンダvs殺人クロコダイル(2015)」に絶対に文句言うなよってことです(笑)。だって本作って男女ひっくり返せば、「冴えない男4人チームが頭の悪いブロンズ・スレンダーをアシスタントにしてセクハラしまくってブヒブヒ言ってる」って構図ですから。まぁそれって私の大好物な気がしますが(笑)。なので、怒りはしませんが、興味もありません。

【まとめ】

一応、オリジナル版のキャストやゴースト/アジトの消防署などが出てきますので、ファンサービスはできてます。できていますが、そもそものストーリー自体に愛が感じられないので、「これ出しときゃいいんでしょ!」みたいに見えて個人的にはあんまり喜べませんでした。オリジナル版のほうが100万倍面白いので、本作を映画館で見た後でオリジナルを見て、やっぱ良く出来てるな~と再認識して貰えると良いと思います。
本作の価値はそこだけです。

追記:2016年08月22日

この映画には「仲たがいしていた親友同士が友情を取り戻す」というドラマがちゃんとあるじゃないか!という感想を見かけたのでちょいと私なりの意見を書きたいと思います。
たしかにエリンとアビーは昔決別してます。アビーはずっーとゴーストの研究を続けていて、でも一方のエリンは「ゴーストがいるなんていったらキ○ガイに思われる」ってそれを否定して、二人は別々の道を行ったと。ところが本作の1幕目で、エリンは予告にも出てくる女幽霊と遭遇して、「Ghosts are real!!!(お化けは本当にいるんだ!!!)」って大興奮して、昔の価値観に戻ります。もうここで過去のわだかまりは全部溶けちゃってるんですね。友情を取り戻す事自体にドラマ性はなんにも無く、冒頭でサラっと描かれちゃってます。最後のほうでエリンが「もうアビーのことは見捨てないわ」みたいなこと言うんですが、そんなん映画始まってすぐから見捨ててないじゃん、、、ていうどっちらけっぷりでした。それを描くなら、映画の中盤以降のどこかで「いままで見たゴーストは全部夢だったんだ」みたいなことをエリンに言わせて、もう一回ゴーストの存在を否定させないといけないんです。それをやってないので、「仲たがいしていた親友同士が友情を取り戻す」という流れは、本作のドラマにはなっていません。

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インデペンデンス・デイ: リサージェンス

インデペンデンス・デイ: リサージェンス

今日はいまさらですが

「インデペンデンス・デイ: リサージェンス」をみました。

評価:(62/100点) – いつまでも変わらない味。エメリッヒの味。


【あらすじ】

エイリアンの侵略から20年。人類はエイリアンの残した残骸からテクノロジーを研究し、再襲撃に備えていた。ちょうど20周年を迎えるアメリカ独立記念日を控え、月にエイリアンの宇宙船が現れる。一方、地上でも不可解な現象が起き始める。コンゴで壊れた宇宙船が突如再起動し、エイリアンにゆかりのある人々は共通するナゾの模様を夢に見ていた、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 月でのできごとと、アフリカのエイリアン船。
 ※第1ターニングポイント -> 巨大エイリアン船が攻めてくる
第2幕 -> 宇宙船破壊作戦と白い球
 ※第2ターニングポイント -> ジェイク達が宇宙船を脱出する。
第3幕 -> クイーンエイリアン破壊作戦


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【感想】

本日はいまさらではありますが「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」を見てきました。もうぼちぼち公開が終りそうになっており、今日も劇場はガラガラでした。1996年の「インデペンデンス・デイ」の続編で、監督もエメリッヒ、脚本もディーン・デヴリンと、まったく同じ布陣です。キャラクターも引き続き登場が多く、前作キャラの娘・息子も登場するなど完全にファンムービーに仕上がっています。

そういった意味では、劇中にもあるように、これは「インディペンデンス・デイ20周年記念」以上のものではありません。前作を見ていない場合には、まずそちらをチェックすることをおすすめします。

ファンムービーとしての続編:ほぼリメイク

「スカイライン -征服-(2010)」の時もちょろっと書きましたが、もともと前作「インディペンデンス・デイ」はいわゆる侵略SFというジャンル・ムービーです。そしてアメリカの9.11テロ前夜の、このジャンルが一番”調子に乗っていた”時期の代表作です。なんかよくわからんエイリアン達を大統領を筆頭にした”大正義アメリカ軍”が無邪気にぶち殺しまくり、退役軍人の”パイセン達”も青春を取り戻すように張り切り、ほんとうにお祭りとしての侵略SFです。これが9.11を境にジャンル自体が一気に暗く・重くなっていくわけです。「インディペンデンス・デイ」の続編を今あえて作ると聞いた時、もしやこんなのまで暗くなってしまうのではないかと一抹の不安がありました。

結果ですが、これ全然暗くないです。っていうか前作のテイストと全く一緒。キャラ達みんな楽しそう(笑)。「もう15年も経ったしそろそろ良くね?」みたいな開き直りに見えて、ちょっと安心しました。
ストーリーはほぼ前作と一緒です。なんかわからんエイリアンが急に来て、あぶないから米軍でぶちのめしちゃおうかなっていう、、、まぁいつものアレです。前作からの違いはとにかく宇宙船がデカいこと。ほぼ地球の1/4ぐらいを覆うほど大きく、単船でロンドンのビッグベンからシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズまでを覆い尽くします。そして今回もバリアを張ってきますのでお約束で単騎特攻もあります。前作のキャラ一人一人にちゃんと見せ場が用意され、ギャラの関係で死んだことになったウィル・スミス以外はほぼ勢揃いです(笑)。そういう意味で、本作はリメイクみたいなものであり、20周年記念続編ファンムービーとしては文句の無い構成です。

変わらない味。エメリッヒの味

さて、ここからが本題です。ローランド・エメリッヒという監督さん、みなさんはどんなイメージがあるでしょうか?一番多いのは「ディザスター・ムービーでいつも地球を壊してる人」っていうイメージでしょうか。個人的には「ユニバーサル・ソルジャー(1992)」と「スターゲイト(1994)」は小学生の時に見てかなり好きでした。
このエメリッヒという人はもう60歳なんですが、本当にいつ見ても、どの作品を見ても、おもいっきり作家性のある人です。というか滲み出てくる”味”があるんですね。その話をしたいと思います。

エメリッヒ作品を一言で表すと「大味バカ映画」です。

この人は毎回必ずとてつもないスペクタクル感を出してきます。すっごいでかい何かが出てきたり、ものすごい大げさなギミックがあったり、とにかく「ハッタリという名のサービス精神」が溢れすぎてるんです。今回は超巨大宇宙船にプラスして、そんなエイリアン達に対抗するための「全宇宙エイリアン対抗組合」みたいな存在まで出てきます。もうね、スケールがでかすぎます(笑)。ただの町内会じゃなくて「全宇宙エイリアン対抗組合」ですよ。聞いただけでも男心が疼きます(笑)。そして宇宙船は地球のコアに向かってレーザー削岩するんですね。格好いい!っていうかスケールでかっ!!!

ところが、こういった超大きなハッタリに対して実際に起きる事件というのは、「バスに乗り遅れたワンちゃんがエイリアンに踏まれちゃう!助けなきゃ!!」とか、「やばーい!出口がしまっちゃう!でなきゃ!!!」とか「エイリアンが来たぞ!水に潜って隠れろ!!!」とか「やばい、、、車がガス欠だ、、、」とか、とにかくショボい(笑)。そう、このギャップがエメリッヒなんですね。すごい風呂敷広げまくるくせに、やってることはドン引きするぐらい小さい事っていう。「地球の命運がかかってるんだから犬一匹ぐらいほっとけよ!」って思っても、ちゃーんと助けに行くんです。それも重大ハラハライベントとして(笑)。

さらに凄いのは、エメリッヒさん、細かい設定には全く興味がないんです(笑)。「地球に穴開けていったらマントル吹き出ちゃわね?」「宇宙船に無防備な出入り口がありすぎじゃね?」とかそういうのは全く興味ない(笑)。エメリッヒ映画はよく「ご都合主義がひどい」と言われることがあるんですが、ヘタすると本人は「ご都合主義」だと思ってない可能性があります(笑)。「2時間で収めなきゃいけないんだから細かいこと言うなよ~」「ほら、突撃!入った入った。おけーい」ぐらいの相当軽いノリで作ってます。

こういった「大味」な部分を微笑ましく見られるか本気で怒るかで、エメリッヒの評価はガラっと変わります。個人的には結構好きなんですが、さすがに今回はちょっとバカすぎるかな、、、と思うこともしばしば(笑)。

本作「インデペンデンス・デイ: リサージェンス」は、いつものエメリッヒに輪をかけて展開が雑で行き当たりばったりです。白い玉があんまり役に立たないとか、ラスボスのはずのクイーンエイリアンが急に特攻してきたりとか、そうこうしてたら捕まえたエイリアンが逃げちゃったりとか、イベントが急に来て急に解決するんですね(笑)。たぶんキャラをみんな活躍させようと思って詰め込みすぎちゃったんだと思いますが、詰め込んだ割には本筋の内容は全然無いな~とか本末転倒です。

【まとめ】

本作はあんまり評判がよろしくないようですが、私はむしろエメリッヒ節が全開すぎて微笑ましく見られました。よく言う「お酒を飲みながら盛り上がれるクソ映画」ってやつです。突っ込みどころしか無いので、知人と見に行って、終わった後にあれやこれやツッコミいれまくると楽しめるのではないでしょうか? 個人的にはかなり好きな作品です。

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ファインディング・ドリー

ファインディング・ドリー

昨日は夏休み映画の4本目

「ファインディング・ドリー」を見てきました。

評価:(51/100点) – 書きづらいけど微妙


【あらすじ】

前作「ファインディング・ニモ」からしばらく立ったある日、ドリーは突然両親のことを思い出した。断片的に思い出した両親のことが気になって仕方がないドリーは、ニモとマーリンと共に「カリフォルニアの宝石」というキーワードを唯一の手がかりに、西海岸へと向かう、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ドリーの決意と西海岸への旅
 ※第1ターニングポイント -> 海洋生物研究所へ到着
第2幕 -> ドリーの両親の捜索
 ※第2ターニングポイント -> ドリーが両親を見つける
第3幕 -> ニモとマーリン救出作戦


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【感想】

さてさて、ディズニー映画が続きます。昨日はピクサー最新作「ファイティング・ドリー」を見てきました。東京ディズニーシーの”タートル・トーク”でもおなじみの「ファイティング・ニモ(2003)」の続編です。監督は引き続きアンドリュー・スタントン。なんで今続編なのかはあんまりよくわかりませんが(笑)、あいも変わらず鉄壁の布陣です。私は有楽町のTOHO日劇で字幕版を見ました。公開からしばらく経っているからか、お子さんは外国人の家族連れ1組のみで、後はほぼ社会人カップルでした。
コレ以降、本作に関してネタバレが多数登場します。というか上記の三幕構成でおもいっきりネタバレしており申しわけございません。未見の方はご注意ください。
また、以降、私はドリーのことを「短期記憶障害」と表現しますが、実際はただの「記憶障害」かもしれませんし認知症かもしれません。

ざっくり概要と続編としての真面目さ

まずですね、簡単に「ファインディング・ニモ」についておさらいしておきましょう。前作の「ファインディング・ニモ」は「親の子離れ」がテーマでした。ひょんなことから人間にさらわれてしまった子クマノミのニモを取り戻すために、父親のマーリンがクセのある仲間と交流しながらすったもんだします。片親でありかつニモが障害児(※片ヒレが極端に小さく不自由)であるが故に過保護気味なマーリンを尻目に、ニモはさらわれた先で仲間たちを作り自力で脱出します。そしてマーリンは、我が子が十分に一人でもやっていけることを理解し、寂しいながらも少しだけ子離れを決意します。前作は、まさに親の視点から見た「子供の成長と”親離れ”」の話であり、それを送り出さなければいけない寂しさと嬉しさを同居させた素晴らしい作品でした。

そして今回のファインディング・ドリーです。前作が「親が子供を探す話」だったのに対して、今度は「子供が親を探す話」になります。立場をひっくり返して同じ話を繰り返すというのは、とても正しい続編の作り方です。これだけでも企画の真面目さがヒシヒシと伝わってきて好感が持てます。持てるんですが、じゃあなんで私がこの点数を付けるのかというと、本作の語り口にあんまり乗っかれないからなんですね、、、。それを以降とくとくとグチりたいと思います(笑)。

いいところ:前作と同じく成長と親離れを描けている

まず先に褒めておきましょう。ドリーのご両親って「一年前に子供が突然行方不明になっちゃった」状況なわけで、これってモロに拉致被害者と同じなんですね。本来は子離れしろってのが無理なんです。ご両親はいつかドリーが帰ってくると信じて、ドリーへ手がかりというか信号を送り続けます。来る日も来る日も。そしてドリーは本当にひょっこり帰ってくるわけです。普通に考えたら「もうずっと一緒だよ!」みたいになっても不思議じゃありません。でも「一人で生きていけるかな」と超心配だった子供には友達がいて、しかもその友達を救うために一肌脱ぐって言ってるわけです。要はちゃーんと生き抜いて大人になってたわけですね。これですごい安心して、子離れするんです。これ、フォーマットは完全に前作「ファインディング・ニモ」と同じです。大変よく出来ています。

乗れないところ:「ドリー」というキャラの肯定の仕方が無理やりすぎる

あんまり大きな声で書きづらいんですが、私がこの「ファインディング・ドリー」を見ている最中に一番感じたのは「すごい24時間テレビっぽい」っていう所なんです。ドリーはですね、子供の成長課題としての「障害」がニモより重いんです。ニモは片足がちょっと不自由というレベルなので、まっすぐ泳ぐ練習さえできればそこまで厳しいハンデはありません。だから、「親が超過保護になるための設定上の味付け」で済んでました。ところが、ドリーの場合は短期記憶障害です。直前に言われたことを忘れちゃう病気。これは結構重い話です。もともと前作では、マーリンが「超慎重派」である描写と対比させるために、ドリーが登場しました。ドリーはすぐに物事を忘れてしまうので、結果的にその場の直感と勢いで物事を判断します。これが超慎重派のマーリンとの対比となり、デコボコ・コンビの珍道中としてうまく機能していました。

では、本作ではどうでしょう。本作でドリーがコンビを組むのは、ステルス機能があって手足を自在に操れるタコのハンク、声がよく通り離れても意思疎通ができるサメのデスティニー、そして遠くからナビゲーションができるイルカのベイリー。どれも最強クラスの超能力をもっており、100%万全のサポート体制です。この世界最強クラスのサポーター達が、ドリーを全力で盛り立てます。そして「ドリーがその場の直感と勢いで判断する」ことを全力で肯定してくれます。これね、、、どうなんでしょう。甘やかしてるだけっちゃあ甘やかしてるだけなんですが、そもそも「短期記憶障害をもってても立派にやっていけるから大丈夫だよ!」って話なのにここまでガッチリサポートしちゃうと、「それむしろやっていけてないんじゃないか」という気がしてきます。もちろんドリーの友達を作る能力=人間力(?)の賜物ですから別に良いんですが、あまりに過剰すぎてちょっと褒め殺しではないのかとすら思えてきて全然乗れません。この感じがすごい24時間テレビっぽくて嫌です。「ほら、こ~んな重い障害を持った子が芸能人のサポートと応援で立派に成し遂げたよ!エライでしょ!泣いて!」みたいな同調圧力を感じてすごい嫌。あまつさえ、映画の最後の方は、開き直って完全超能力ヒーローモノになるわけで、なんかちょっと雑だなという印象があります。

また、これは考え過ぎなのかもしれませんが、途中ギャグキャラとしてアシカ達が出てきます。このアシカ達は、2匹の兄貴分と1匹のガチャ目のとっぽい子=ちょっと障害者っぽい子で構成されるんですが、どうみても2匹がガチャ目の子をいじめてるんですよね。なんていうか「このテーマの作品でそれをギャグでいれるか!?」っていうのがアメリカンジョーク過ぎてよくわかりません。

【まとめ】

たぶんこの映画に乗れないのは私の心が濁っているからだと思います(笑)。ですので、心が清らかで、ピュアで、人間的によく出来た方達にはたぶん大好評ロングランなんじゃないでしょうか?単純に「さかなたち可愛いじゃん」っていうのは全面的に同意するんですが、ちょっとこういうテーマでこういうストーリーにされると素直に乗りたくないです。
真面目な話、ファインディング・ドリーを見るくらいなら、その入場料分をちゃんとした団体に寄付すりゃいいんじゃないでしょうか? 24時間テレビだと汐留と乃木坂のお城に吸われて最終的には某さんのハワイ旅行とかになっちゃいますんで(笑)。
個人的にはこの作品はレンタル100円でいいんじゃないかと思います。

ちなみに、リアル社会の飲み会で「ファインディング・ドリーどうだった?」と聞かれたら、とりあえず私は褒めときます(笑)。これが同調圧力と世渡りってやつです(笑)。

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ジャングル・ブック

ジャングル・ブック

夏休み映画3本目はレイトショーでディズニーの実写映画、

「ジャングル・ブック」を見てきました。

評価:(82/100点) – 最高のアイドル映画


【あらすじ】

人間の子・モーグリはジャングルで育てられた。黒豹のバギーラを師に、狼のラクシャを母親代わりに、狼の群れの中でモーグリは”ジャングルの子”として成長していく。
乾季のある日、ジャングルに平和の岩とオアシスが出現した。ジャングルの掟に従って肉食・草食問わずに仲良く水を飲む平和の泉に、ベンガルドラのシア・カーンも現れる。彼は人間のニオイを察知すると、狼の群れに警告を発する。「人間は必ず殺す。人間を匿うなら狼は多大な犠牲を払うことになるぞ」。狼の群れでの会議の末、モーグリは群れを離れ人間の村へと向かうこととなる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 平和の泉とシア・カーンの脅し
 ※第1ターニングポイント -> モーグリが人間の村へと向かう
第2幕 -> 人間の村への旅と熊のバルーとの出会い
 ※第2ターニングポイント -> モーグリが狼の群れの現状を知る
第3幕 -> シア・カーンとの対決


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【感想】

さてさて、夏休み映画シリーズの3本目はディズニーの実写、「ジャングル・ブック」です。丸の内ピカデリーのレイト・ショーで見てきました。500キャパぐらいの大箱ですが観客はせいぜい数十人規模で、しかもほとんどが女性の”お一人様”でした。そりゃ男の子はみんなX-MENかな、、、と思いつつ、やっぱり「癒やし」「ほんわか」みたいな雰囲気が出てるからでしょうか(笑)?そして実際見てみるとですね、その雰囲気は当たってます。大正解。本物かと勘違いするほど可愛い動物達が、所狭しと大活躍してとにかく終始ニヤニヤしっぱなしです。めちゃくちゃ楽しい2時間でした。

ディズニーがついに本気だした!

あんまりハッキリ言うのもなんですが(笑)、ディズニーの一連の「クラシックアニメのリメイク/スピンアウト路線」は作品的にはあまり成功しているとは言えません。「アリス・イン・ワンダーランド(2010)」「オズ(2013)」「ウォルト・ディズニーの約束(2013)」「マレフィセント(2014)」「シンデレラ(2015)」「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅(2016)」。素晴らしかったのは「メリー・ポピンズ(1964)」制作の裏側を劇化した「ウォルト・ディズニーの約束」ぐらいで、かろうじてまともなのは「シンデレラ」。後は本当に何考えてるんだっていうレベルの出来でした。

近年の長編アニメが名作揃いなのに対して、ディズニーの実写セクションはほぼアベンジャーズ・シリーズに全面依存しているのが現状で、それ以外のファミリー路線はちょっと残念なことになっていました。そんな状況の中、「アイアンマン」シリーズで全幅の信頼を得たジョン・ファブローが満を持してファミリー路線へ投入されたわけで、これは期待しないわけにはいきません。

ジョン・ファブローは”置きにきた”

そんなプレッシャーがかかる場面ですから、ファブローはこれをどう料理するのかと思いきや、、、完全に安全策にでました(笑)。昔のアニメ映画「ジャングル・ブック(1967)」から人種/性差別的に難癖を付けられていた部分を全て修正し、ポリティカル・コレクトネス的にも文句をつけようがない形にまとめて、エンタメ要素を全面に出しています。具体的には、母親代わりのメス狼・ラクシャの登場であったり、モーグリを群れから追い出す描写の緩和、最終的にはジャングルの子として受け入れる描写。私が鈍感すぎるのかもしれませんが、「そこまでやるの!?」ていうくらい猛烈に気を使っています。そうやって話の筋を「人間社会への復帰」から「ジャングルの子として生きる」方向へと変えた結果、そこに残ったのはピュアな意味での”ジャングルの魅力”であり、「動物ちゃんたち最高~~~~!!!」というモフモフ・キュンキュン・キャワワワ要素です(笑)。これはですね、ド鉄板です。動物の可愛さに国境はないですし、もっというとそこに文句のつけようがないですから。相当卑怯なやり方です(笑)。ずるいぞ、ジョン!

ワンちゃんクマちゃんがこの世で一番可愛い説

とにかくですね、何が可愛いって狼とクマちゃんのワンちゃんぽさですよ。肉食動物としてのエグさは一切見せず、この2種は完全に”ファンタジーなアイドル”として画面に登場します。クマのバルーがはちみつを食べる描写はあるのに、いわゆる”肉”は一切食べません。狼たちも狩りをする描写はなく、終始追いかけっこをしています。まるで「わたしアイドルだからウ○コしませ~ん♡」みたいなノリで、動物たちの可愛さだけが抽出され、描かれます。もうね、そんなの二時間も見せられたら無理(笑)。30過ぎたオッサンが映画館でずーっとニヤニヤしながら見ている絵面はさぞハタからみたら危なかったでしょう(笑)。マジでレイト・ショーでよかった、、、。

ストーリーはひたすら無難

細かいストーリーはですね、正直どうでもいいです(笑)。前述のようにポリティカル・コレクトネスを重視した結果、ストーリー自体はわりとありきたりで普通な感じに仕上がってます。平均偏差値50そのもの。褒めるほど上手くもなく、けなすほどアラもなく、動物たちの可愛さを邪魔しない程度の(笑)添え物です。でも、良いんじゃないでしょうか? だって可愛いは正義ですから。

【まとめ】

動物が好きなひとは絶対見たほうがいいです。特に犬が好きな人。これは義務です。ぜひ映画館で可愛さに悶ましょう(笑)。ただし一点だけ注意があります。大人が一人で見に行くなら、絶対レイト・ショーです。断言しますが、ツボにハマって終始ニヤニヤしている大人は完全に不審者です(笑)。昼の回は避け、是非、空いてそうな夜の劇場でニヤつきましょう。超オススメです!

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記事の評価
X-MEN: アポカリプス

X-MEN: アポカリプス

さてさて夏休み映画2本目は

「X-MEN: アポカリプス」です。

評価:(60/100点) – 「古代の神が蘇ったど~!!!」「で、強いの?」「シラネ(´・ω・`)」


【あらすじ】

紀元前3600年、世界最古のミュータント:エン・サバー・ヌールは神としてエジプト世界を支配しながらも家来の叛逆によりピラミッドの地下深くへと封じ込められてしまう。そして時が経ち、1980年代の冷戦まっただ中、ヌールはカルト信者によって地中から復活を遂げる。彼は自分の世を取り戻すため、全人類・文明を破壊しようとする。

【三幕構成】

第1幕 -> エジプトでのモイラの調査
 ※第1ターニングポイント -> エン・サバー・ヌールの復活
第2幕 -> フォー・ホースメン結成とチャールズの誘拐
 ※第2ターニングポイント -> ヌールがチャールズを使って人類へ宣戦布告する。
第3幕 -> 新生X-MEN vs エン・サバー・ヌール


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【感想】

さてさて、「ペット」に続きまして夏休み映画の2本目は「X-MEN: アポカリプス」です。監督はシリーズでお馴染みブライアン・シンガー。一応リブート版X-MEN3部作の完結編と位置付けられています。とはいえ、スピンアウトの「X-MEN: ウルヴァリン」は3作目が制作中ですし、デッドプールも続編決定ですので、まだまだこれで打ち止めとはならなそうです。なんだかんだで一連の「20世紀FOX版X-MEN」のメインシリーズとしては6作目ですから、もう流石にファンしかいないかな、、、という劇場でした。19時から始まるレイトショー前の回だったのですが、意外と小学生ぐらいの子供連れが2組居て、それはとても嬉しいことです。ただね、、、最初の映画版X-MENってもう16年も前なんだな~と思うと感慨深いものがあります(笑)。

はじめに

もうすっかりお馴染みとなりましたが、一応念のため、ここでシリーズの概要をさらっとおさらいしておきましょう。X-MENは第2次世界大戦~現代あたりを舞台の中心とした超能力新人類「ミュータント」達と普通の人間との交流/対立を描いたシリーズです。

1作目の「X-MEN(2000年)」では「ミュータント登録法案」を巡って、ミュータントの権利拡大を狙う過激派集団「ブラザーフッド」の総帥マグニートと、そのテロを阻止しようとする穏健派の「恵まれし子らの学園」=「X-MEN」の創設者プロフェッサーXとの対決を描きます。

2作目の「X-MEN2(2003年)」では、宿敵ウィリアム・ストライカーが登場します。人間側のミュータント排斥主義者のウィリアムは、対ミュータント軍を率いて「恵まれし子らの学園」を襲撃します。そこに「ブラザーフッド」も雪崩れ込み、三つ巴の戦いが繰り広げられます。

3部作完結編となった「X-MEN: ファイナル ディシジョン(2006年)」では、ミュータントを人間に戻す治療薬「キュア」が開発され、ミュータントの存在意義を問う最終戦争が勃発します。ストーリーとしてはグダグダで、今回のアポカリプスでブライアン・シンガー自らの自虐ネタまで飛び出しました(笑)。一応この作品の監督はブレット・ラトナーで、シンガーはノータッチということになってます。降板前にプロットは書いたようなのですが、まぁ失敗作なんでノータッチにしときましょう(笑)。

なんだかんだあって仕切りなおしと思われたのが4作目「X-MEN:ファースト・ジェネレーション(2011年)」です。これは当ブログでも大絶賛しました。前作までから舞台は遡って1960年代、冷戦まっただ中を舞台に、ミュータント過激派のショウと穏健派のチャールズの激突、そして初代X-MENチームの誕生が描かれます。監督はこれまた非シンガーのマシュー・ヴォーン。キック・アスさながらの小気味の良いアクションと史実を舞台としたリアリティ・フィクションは、アメコミ映画の金字塔です。そして革新的な5作目「X-MEN: フューチャー&パスト(2014年)」へと続きます。

5作目にあたる「X-MEN: フューチャー&パスト」は、このX-MENシリーズで考えうる限り最高のアクロバット着地を見せました。舞台は再び旧3部作の延長線上、対ミュータントの最終ロボット軍・センチネルがミュータントを根絶やしにするまさにその時、世界の終わりを予感させるハチャメチャな状況の中で、プロフェッサーXはシャドウキャットの能力を使ってウルヴァリンを過去の世界へとタイムスリップさせます。タイムスリップした先は「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」直後の1973年ワシントン。ウルヴァリンはそもそもセンチネルが開発される切っ掛けとなったミスティークによるトラスク博士の暗殺事件を阻止し、歴史改変を図ります。そう、誰もが「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」は最近流行りの「シリーズが行き詰ったからリブートで全部最初っからやり直し」かと思っていたのに、実はこれはちゃんと続き物だったわけです。本作によって、旧3部作の世界はすべて「黒歴史」として歴史改変の波に埋葬・供養され(笑)、ストーリーとしてもきちんと説得力がある形で正式に「新たな未来としてのやり直し」となったわけです。「スター・トレック(2009年)」しかり、「アメージング・スパイダーマン(2012年)」しかり、「マン・オブ・スティール(2013年)」しかり、私たちはここ10年ぐらいの間、「続編作れないんで最初っからやるわ!」という投げっぱなしなリブート作品を数多く見てきました。「何回ベンおじさんが死ねばいいんだ!」というネタも飛び出すくらい乱発され、でもそれに疑問を抱かないまでに当たり前になっていました。しかし、このX-MENはきちんと作品内でリブートの意味を描いたわけです。これはまさにアメコミ映画革命であり、そしてワーナー版ジャスティス・リーグで来るであろう「フラッシュポイント」の予感にちょっとイヤな気分になる(笑)すばらしい出来事でした。

そして、5作目「X-MEN: フューチャー&パスト」によって正式に改変された世界は、本作「X-MEN: アポカリプス」へと繋がります。人気キャラ・ストームの誕生、別会社の「アベンジャーズ」で不遇だったクイック・シルバーの大活躍、コミックではほぼ主人公のサイクロップスの登場、3作目で使っていたプロフェッサーXの「魂移し替え能力」の獲得、そしてなによりそんなプロフェッサーXのハゲの秘密が本作で明らかになります!

心踊るワクワクの絵面が満載だ!

まずは本作の美点を上げていきましょう。この作品は、とにかく絵面が格好いいです!宙に浮かんで石つぶての大激流を操るマグニート!大爆発からみんなを救うために、ちょっとお茶目ないたずらをしながらも高速で救助活動をするクイック・シルバー!テロリストとして追われる身ながらもミュータントの英雄として遂にチャールズの元へ帰ってくるミスティーク!とにかく超格好いい!もうね、涙なしでは語れないほど、大人気キャラ達が躍動しています。3作目に引き続き相変わらず不遇なエンジェルさんのネタキャラっぷりに失笑しつつ(笑)、とても心踊るシーンがテンコ盛りです!もうね。これがハリウッドエンタメ映画の醍醐味なんじゃないですかね。とにかく大画面で見てガッツポーズするには最適な映画です。

なんですがね、、、この作品は映画としてはかなり無茶苦茶で、話も敵キャラも、本当に適当な小道具なんですね、、、。まさにこれぞブライアン・シンガー。やっぱりブライアン・シンガー。「シーンを先に考えて、話はあとから適当でいいんじゃね」という彼の姿勢が露骨にでています(笑)。

話が雑すぎるんじゃね?

まずですね、本作一番の問題は、ストーリーの雑さ。これに尽きます。本作のプレタイトル・シークエンスは、超でっかいピラミッドで世界最古のミュータント:エン・サバー・ヌール様が若い子に乗り移る変な儀式をやっているところから始まります。この掴みは完璧です。「魂が乗り移って肉体を替えていくってヤバくね?」「無敵じゃね?」というワクワクがマックスになり、どうやってX-MENはこんなバケモノを倒せばいいんじゃ~~って思うじゃないですか。そしたらね、そもそもストーリーがそこを中心に動いてくれないんですね(笑)。マグニートのポーランドでの潜伏生活とか、サイクロップスとジーンの青春交流とか、ストライカーの襲撃とか、急にキャラ物のショートストーリーが始まっちゃうんです。一応ヌール様とまったく無関係ではないんですが、なんかこう筋が通ってないというか、あっちゃこっちゃに話が飛ぶのでオムニバスものを見てるような気分になるんです。そんでもって、やっと敵がガッツリ本気を出すのがまさかの第3幕のみというね、、、。詰め込みすぎというのともちょっと違くて、これはもう「構成力」としか言いようがありません。ストーリー・テリング能力の問題。危ないこと言いますが、やっぱブライアン・シンガーってゲイじゃないですか。構成がちょっとガールズ・トークっぽいんですね。話してる先から話題が次々に移っていって、結局なんの話をしてたのかよくわからないという(笑)。それは半分冗談ですが、なんかこう要領を得ない話が続きます。

そもそもヌール様が弱すぎね?

そんでもってヌール様の圧倒的な存在感で興味をかろうじて繋ぎ止めているとですね、実は弱いんですわ、この神様(笑)。っていうか、ラスボスのくせにまさかの補助魔法要員なんです。要はドラクエの僧侶。このヌール様の能力ってのが、「砂を操る」「時空を歪ませてワープする」「他のミュータントの能力を増大させる」「魂を他の肉体に移すことができる」っていう能力なんですね。砂を使う以外は完全に間接技です。でもって、直接攻撃要員・パシリとしてエンジェル/ストーム/サイロック/マグニートを勧誘して「フォーホースメンじゃ!」って粋がるわけですが、なんとですね、いわゆる「マインドコントロール」の能力を持ってないんですねこの御方(笑)。完全に少数部活の勧誘(笑)。単に意気投合して仲間になってくれてるだけなので、わりと命令を聴いてくれないし、すぐに裏切りおります(笑)。これはずっこけました。よくエジプトを支配できてたなと。まぁできてないから反乱されて生き埋めになったんですけど。まさかまさかで最終決戦は殴りあいなんですよ。拳と拳で。超能力大戦だって言ってるのに。ちょいドン引きです。一応最後はサイキック合体攻撃なんですが、なんかもうちょいなんか無いのかな~というモヤモヤが残ります。

【まとめ】

そんなこんなで本作は3作目「X-MEN: ファイナル ディシジョン」に勝るとも劣らないグダグダな作品になってしまいました。劇中で「スターウォーズEP6:ジェダイの復讐」を利用して「やっぱ映画シリーズの3作目はダメだよな!」みたいな自虐ネタまでやってるくせに、肝心の本作がもろに「新3部作の3作目」としてダメパターンにハマっているという、、、お茶目さん♡

と文句を言ってきましたが、しかし絵面は本当に格好いいです。マジで名シーン(※ただし止め絵として)の連続。ヌール様vsプロフェッサーの精神世界での戦いなんて最高に楽しいです。ですので、シリーズファンは絶対に見に行ったほうが良いです。完全にキャラ物ファンムービーなので、いままでシリーズを一切見たことがない人が急に見るにはちょっとつらい気もします。でも、大作感の雰囲気だけでもそこそこ楽しめるかもと思いますので、是非劇場で御覧ください。私はもう一回、アルコール込みで見ようと思います(笑)。細かいことを気にしないコンディションに自分からなって、お迎えにいく感じで(笑)。なんだかんだこのシリーズは大好きです。

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記事の評価
ペット

ペット

夏休み映画1発目はこちら

「ペット」です。

評価:(40/100点) – トイ・ストーリーのフォロワーとしてはあんまり…


【あらすじ】

マックスは、かつて捨て犬だった所をケイティに拾われ、今は幸せな生活を送っていた。ある日、ケイティは保健所から新しい犬―デュークを引き取ってきた。しかしこのデュークは乱暴者。自分の居場所が無くなることを恐れたマックスは、デュークと一触即発の関係になってしまう。そんなおり、いつものようにペットシッターにドッグランで放されている隙に、デュークはマックスを遠くの路地裏へほっぽり出そうとする。それが大冒険の始まりだった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> デュークの登場とマックスとの冷戦
 ※第1ターニングポイント -> デュークが路地裏でマックスを捨てようとする
第2幕 -> スノーボール一派との行動と脱出
 ※第2ターニングポイント -> デュークが保健所に連れ去られる
第3幕 -> デューク救出作戦


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【感想】

皆さん夏休みはいかがお過ごしでしょうか?今年の夏休みは珍しく大本命ファミリー映画が無く、「ファインディング・ドリー(ピクサー)」「ペット(ユニバーサル)」「ジャングル・ブック(ディズニー)」あたりの三つ巴となっているかと思います。個人的には「X-MEN アポカリプス」のほうが気になっており、こちらは近々で見に行ってきます、、、仕事帰りにでも、、、夏休みって本当にあるんでしょうか?(錯乱)
そんなこんなで昨日は「ペット」を見てきました。怪盗グルーシリーズで一躍3Dアニメの新興勢力に踊り出たイルミネーションの最新作です。お子さん連れを中心に結構お客さんが入ってまして、ファミリー映画としては大成功な雰囲気が出ていました。
この後、元も子も無いことを書きますが(笑)、安心して見られる作品なのは間違いありませんので涼みがてらお子さんと見るには丁度いい湯加減の映画だと思います。

ディズニーとドリームワークスとイルミネーション

90年代後半より、3Dアニメといえば王者ピクサー・ディズニー連合がど真ん中。それに対抗できるのはドリームワークスぐらいでした。ドリームワークスはアンチ・ディズニーというのを全面に出してきてまして、とにかく「ちょっと大人向けのほろ苦い&皮肉の効いた3Dアニメ」を作り続けてきました。初期ではディズニーのお伽話を盛大にパロったシュレック・シリーズですとか、マダガスカル/カンフー・パンダとかですね。そしてドリームワークス最高傑作はもちろん「ヒックとドラゴン」。極めてディズニー的な成長物語りでありながら、ディズニーが意図的に避けてきたちょっとエグいシーンや民族対立までちゃんと見せる。3Dアニメ映画市場はディズニー/ドリームワークスの2強体制といっても過言ではありません。

そんな中で、出てきた新興勢力がイルミネーション・エンターテイメントです。イルミネーションはクリストファー・メレダンドリが20世紀フォックスからスピンアウトして作った会社なのですが、このメレダンドリさん、もともとディズニー・ピクチャーズ出身の方なんですね。でまぁデビュー作の「怪盗グルーの月泥棒」とかその次の「イースターラビットのキャンディ工場」を見ていただくとわかるように、もろに「ザ・ディズニー」なメソッドそのまんまの作品が好きな人なんです。しかも80年台のディズニー第2黄金期世代のフォロワーです。おそらく当時若手としてディズニー・ピクチャーズに居たからだと思うんですが、それこそ「イースター~」は「ロジャー・ラビット」と「メリー・ポピンズ」のハイブリッド映画です。ドリームワークスがアンチ・ディズニーで差別化を図っているのに対して、イルミネーションはそのまんまディズニーの後追いをしています。
ただ、やはり毒のないキャラクター:ミニオンは安心して見れますし人気が出るわけで、ここ最近はむしろイルミネーションの方がドリームワークスよりも勢いがあるんじゃないかという所まで来ています。

本題の元も子もない話

あんまり長く書いても仕方がないのでいきなり書いてしまいますが、本作「ペット」は「トイ・ストーリー1~3」「わんわん物語」のハイブリッド映画です。このディズニーを代表するような超有名作品4本を、ぜーんぶゴッタ煮にして、それを40倍ぐらい薄めたのが本作です。なので、正直本作を見るならこの4本をレンタルで借りてきたほうが遥かに楽しめます。軸は、ウッディとバズが扮する犬2匹の対立と友情の物語。ストーリーの大枠は、家から遠くはなれたところで迷子になった二匹の犬が一生懸命ご主人の元に帰る話。途中、下水道で暮らす野良猫/兎達との対立を挟みながら、最終的にはペット達は幸せな我が家へと帰って行き、ロッツォ・ハグベア扮する敵の親玉スノーボールも新しいご主人の元でペットの幸せを再確認する旅に出ます。

これですね、もしかするとディズニー映画公開の隙間をついていれば良かったのかもしれません。でもいま、まさに”本物”の「ファイティング・ドリー」が同じシネコンで上映されているわけで、これで対抗しようっていうのはちょっと、、、どうなんでしょう(苦笑)。

映画単体としてもちょっと行き当たりばったり感が強く、あんまり上手くまとまっているとは言えません。
動物のデフォルメもどちらかというとペンギンズに近いもので、動物の可愛さを強調する方向よりは擬人化を優先しており、結構顔がノッペリとしています。

【まとめ】

あっさり書いてしまいましたが、結論としては、「わざわざ映画館で見るほどでもないけどまぁ安心して見れるかな」というぐらいの微妙な温度感です。
やっぱりイルミネーションはミニオンみたいなオリジナル・キャラを作ってドタバタコメディをやっていたほうが良いと思います。実際、本編上映前の「ミニオンズ:アルバイト大作戦」の方が遥かに面白かったですしね。私はちょい夏バテ気味、映画も製作者側の熱気が低い、ということで、今日はこんな適当さ加減でご勘弁(笑)。

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シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

今日はついに公開された

「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」を見てきました。

評価:(97/100点) – 傑作ヒーロー・アクション・サスペンス!


【あらすじ】

スーパーヒーロー機関「S.H.I.E.L.D.」が崩壊し、アベンジャーズたちは草の根でヒーロー活動を続けていた。しかし活動中に民間犠牲者が出続ける事態に、ついに各国から抑止力の必要性が提示されるようになる。提案された「ソコヴィア協定」と名付けられた国際協定は、事実上アベンジャーズを国連軍に組み込むものであった。メンバー間でも賛否が分かれる中、協定を強行する国連とトニー・スターク。しかし調印のまさにその日、ウィーンの国連会議場がテロにより爆破されてしまう、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ラムロウ鎮圧とソコヴィア協定
※第1ターニングポイント -> 国連会議場が爆破される
第2幕 -> キャプテン・アメリカの事件捜査
※第2ターニングポイント -> シベリアのハイドラ基地へ着く
第3幕 -> トニー・スタークの合流と事件の真相


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【感想】

ということで、今日は待望の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」です。なんか宣伝だと「アベンジャーズ3」じゃないかというくらいキャプテン・アメリカのことがスルーされてますが(笑)、れっきとした「キャプテン・アメリカ3」です。とはいえ本作の主題はキャプテン・アメリカの行動理念の源と、そしてアベンジャーズの一時的な分裂です。今後のアベンジャーズシリーズに影響を与えるのは間違いありません。もうシリーズ13作目なので大丈夫だと思いますが、いきなり本作を見てもなんのこっちゃかと思いますのでご注意ください。また、以降はガンガンネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。先に感想だけ書いちゃいますと、本作は凄く良くできたサスペンスの上にヒーロー要素を振りかけた傑作です。ぜひぜひGWは劇場へダッシュです!

二つのテーマ

本作には二つのテーマがあります。

一つは活動中に民間人を巻き込んでしまうヒーローの苦悩であり、これはまんま「バットマンvsスーパーマン」にもあったテーマです。「悪との戦いなんだから巻き込まれる人がいたとしても確実に被害は少なく済んでいるはず」というヒーローの心理の一方で、被害者側からすれば個人はあくまでも個人でしかないわけでやりきれないという、いつものですね。これが発展して今回はアイアンマン=トニー・スタークとキャプテン・アメリカ=スティーブ・ロジャースのイデオロギー闘争となります。

もう一つはテロ事件を巡るサスペンスです。国連会議場が爆破され、現場では爆弾を積んだバンに乗ったウィンター・ソルジャー=バッキー・バーンズが目撃されます。果たして犯人はバッキーなのか?それとも誰かの陰謀か?この事件をめぐり、バッキー逮捕に乗り出すトニーと、バッキーの無実を信じて匿いながらも独自調査をするスティーブの衝突が描かれます。

前者のテーマはもちろんスーパーヒーローもの特有の倫理観を取り上げたものですが、後者のサスペンス要素は独立した映画としても十分に通用する素晴らしいものです。前作の「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」も陰謀サスペンスでしたが、本作はさらにクライムサスペンスとして十分な完成度を持っています。やっぱりルッソ兄弟は凄いです。本当にマーベルは良い監督を見つけてくるのが上手です。

テーマ1:ヒーロー問題について

まずは一つ目のテーマであるヒーローの倫理観問題についてです。これは過去作のキャラクター性・ストーリーを踏まえた素晴らしいものになっています。

スティーブは、一作目「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」において、ヒョロヒョロなモヤシ男ながら、国/みんなの役に立ちたい一心で米軍志願兵となります。そして超人化計画を経てキャプテン・アメリカになっての初陣は、ヒドラ軍に捕らえられたバッキーを助けるために、上官の反対を押し切って勝手に単独で敵地潜入を行うというものです。両方とも「誰かに命じられたから」ではなくて、自らの意思で進んで行ったわけです。だからこそ、バッキーから「キャプテン・アメリカの部下はごめんだけど、モヤシのスティーブのためなら一緒に戦う」と言われるわけです。
二作目の「ウィンター・ソルジャー」ではスティーブは自分の信念に従って政府を敵に回して戦います。そして遂にS.H.I.E.L.D.内に潜伏したネオヒドラの存在を突き止め、ヒドラの殲滅に動くわけです。
基本的にスティーブ・ロジャースは己の正義感と信念に従って行動する人間であり、その意味では紛れもなくアベンジャーズの精神的支柱であり、まさしくキャプテンなんです。本作での劇中でも、民間人に犠牲が出たというニュースをみて落ち込むスカーレット・ウィッチ=ワンダ・マキシモフに「犠牲者を気にしすぎて止まってはいけない。」と諭します。確かにラムロウに生物兵器が渡って大量殺人が起きるよりは遥かに被害が少なかったのは間違いないですから。

では一方のトニー・スタークはと言うと、彼は非常に自己中心的で我が道を行く人間です。もっとも、自己中心的と言っても誤解されやすいだけの照れ屋さんで、根はただの技術オタクなんですけどもね(笑)。彼は「アイアンマン」「アイアンマン2」「アイアンマン3」「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」と、毎度毎度アイアンマン・スーツを敵に取られたり技術を悪用されたりしてピンチに陥ります。頑張り屋さんなんですが、結構裏目にでるんですね(笑)。彼は徹頭徹尾自分の意思でやりたい放題やってきたんですが、それの積み重ねにより遂に本作では自分のうかつさに懲りているんです。だから冒頭、「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」のソコヴィア最終決戦で犠牲になったという学生の親から糾弾を受け、ショックを受けてしまうんです。すくなくともウルトロン計画についてはほとんどトニーの責任ですから。明確に「おまえが将来のある若者を殺したんだ」と言われてしまって、しかもインテルに就職が決まってる技術屋だったと知って、完全に自分に重ねちゃったわけです。

これがスティーブとトニーのイデオロギー闘争に発展します。スティーブはいままでも己の意思/正義に従ってきましたし、それを変えるつもりはまったくありません。むしろ「己の正義」以外の第3者の政治にアベンジャーズの力を利用されることを懸念します。この辺は第1作「ザ・ファースト・アベンジャー」においてハイドラ(=ナチス)の全体主義と真っ向勝負をしたからこその教訓なわけです。トニーはその真逆で、失敗続きの自分のことがもう信用出来なくなっています。そして誰かに管理されたいと望むわけです。そうすれば責任も分散されますしね。これは言ってみれば自営業者とサラリーマンの違いみたいなもんです(笑)。

このイデオロギー闘争は、当然決着するわけがありません。これは普遍的なテーマであり、現実世界だってどちらかに統一されるなんてありえないですから。
このスタンスの違いにより、本作でアベンジャーズが2つに分裂してしまいます。

テーマ2:ウィーン国連会議場テロ事件のサスペンス要素

そしてこのヒーロー問題を振り掛けるベースとなるのが、第一ターニングポイントでおきる国連会議場のテロ事件です。現場で取られた写真にはウィンター・ソルジャー=バッキー・バーンズがバッチリ写っており普通に考えれば犯人なのは間違いありません。しかし、スティーブは己の信念にしたがってバッキーの無実を信じ、解明に乗り出します。
本作でもっとも大事な事件は、第一幕に来るスティーブの永遠の恋人・ペギーの死です。スティーブはもともと第2次世界大戦の時の人であり、北極で氷漬けになって70年の時を超えました。スティーブを「キャプテン・アメリカ」ではなく「モヤシのスティーブ」として知っているのは、おばぁちゃんになったペギーと、スティーブと同じく冷凍睡眠されて若い状態でいるバッキーだけです。スティーブにとって「モヤシのスティーブ」こそが自分の原点であり真の姿なわけで、それを知っているこの2人はとても特別な存在です。本作の冒頭でペギーが亡くなったことにより、バッキーは名実ともに「唯一無二の親友」となったわけです。それは「キャプテン・アメリカ」として親交のあるトニーやブラック・ウィドウ=ナターシャ・ロマノフよりも遥かに大切です。だからこそ、彼はリスクをとってでも、バッキーを信じることを選ぶんです。

一方、本作において、トニー・スタークのコンプレックスも描かれます。トニーは技術者としても人間としても偉大な父親に猛烈なコンプレックスを抱いており、同時にまともに会話をすることなく父を亡くしてしまったことに深い後悔を持っています。そして、若かりし父と交流のあったスティーブに対して嫉妬に近い感情を持っています。スティーブのトレードマークである「ヴィブラニウムの丸盾」はまさしく父・ハワード・スタークの創造物であり、それはつまり自分には残されなかった父の形見なんです。そして父と同じようにスティーブと親交をもち、父と同じようにスティーブの真面目さを信頼してもいます。だからこそ、再三再四、トニーはスティーブに協力を依頼します。

このサスペンスパートについては要素を抽出すると、とてもわかり易くなります。
「テロ事件が起きて、警察官である主人公の親友が犯人と疑われる。主人公は警察仲間の必死の説得を無視し、親友を匿って真犯人の独自捜査を開始する。一方、警察仲間は彼なりに独自捜査をすすめ、そして遂に真犯人が別にいることを突き止める。しかし、真犯人の目的は、この3名をある場所へおびき出し、破滅させるためだった、、、」。これですね、いわゆる悪魔型サスペンスのオーソドックスなスタイルなんです。倫理観の暴露を目的とした犯人が、複数の罠を仕掛けてキーマンを集め、最終的に破滅を呼びこむというやつです。
監督のルッソ兄弟もインタビューで元ネタを言っちゃってますが、これモロにデヴィッド・フィンチャー監督の「セブン(1995)」なんです。

本作は、物凄く高いレベルで「キャラものエンターテイメント」と「犯罪サスペンス」を融合させています。これはとてつもない構成力です。ルッソ兄弟は凄すぎます。

もちろんヒーローアクションとしてもバッチり面白いよ!

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そんななか、本作ではヒーローアクションもきっちり見せてくれます。まずは冒頭のラゴスでの対ラムロウ戦。チームアクションとしてきっちり連携を取りながら、スティーブ、ワンダ、ナターシャ、ファルコン=サム・ウィルソンが大活躍します。全員に見せ場が用意されており、特にファルコンの子機=レッドウィングの存在とスカーレット・ウィッチの念力が描かれます。このパートは本当に最高です!個人的にはナターシャのルチャ・リブレっぽい戦い方が大好きで、そこだけで100点満点つけたいくらいです(笑)。
さらには目玉の一つとなっている中盤の空港での6vs6のチームバトルですね。どう考えてもヴィジョンとスカーレット・ウィッチが強すぎるのでどうするのかと思いきや、ここでも見事にみんなに見せ場を用意してくれました。特にですね、ここはアントマンとスパイダーマンが大活躍するのが堪りません。途中ウルトラマンのパロディを入れたり、スパイダーマンをちゃんと軽口を飛ばしながら若者っぽい無鉄砲さで暴れさせたり、笑いを随所にいれながらの素晴らしい配分です。予告でも話題になったウォーマシンの例のシーンはどう考えてもおかしいんですが(笑)、勢いで全然気になりません、どんまいどんまい。ファルコンに直撃してたら消し飛んでたようにしか見えず、明確な殺意が見えるんですがドンマイドンマイ(笑)。

あとですね、途中のカースタントでのブラックパンサー=ティ・チャラはめちゃくちゃかっこいいです。今回のブラックパンサーの戦い方って、爪や蹴りを多用しながら回転しつづけるというカポエイラ系の動きなんですね。これ本当にいい動きをしてます。本作のキーマンの割にはいまいちティ・チャラがお話し上の存在感がないんですが、単独作品がいまからとても楽しみです。

基本的にキャプテン・アメリカって身体能力が超強いだけですし、アイアンマンだって中年のおっさんが手からビームが出る鎧を着てるだけですから、この二人の戦いって地味になりがちです(笑)。でも脇をこれだけ多種多様なメンバーが囲んでくれて、さらにはストーリー上も強烈に盛り上がる場面でタイマン(正確には最初2vs1ですが^^;)が始まるわけで、これは盛り上がらないわけがありません。

正直、このクオリティでバットマンvsスーパーマンを見たかったな~とちょっと遠い目になります、、、、。

【まとめ】

本作はですね、サスペンスとして一級品、ヒーロー・アクションとしても一級品、熱血ものとしても一級品、そしてシャロン・カーターもスカーレット・ウィッチもブラック・ウィドウもみ~んなエロ格好いい。つまり文句がありません!
そりゃね、ラスボスがたかが個人のくせに有能すぎるし行き当たりばったりだろとか、なんでシベリアの基地にビデオが残ってると確信してるんだとか、そもそも最重要テロ犯の精神鑑定医が小細工なしに入れ替わりってセキュリティがザルすぎるだろとか、突っ込みどころは結構あります。でもですね、いいところがありすぎてあんまりノイズになりません。このままのクオリティで、ルッソ兄弟にはぜひ「アベンジャーズ:インフィニティー・ウォー」に突っ込んでいただきたいものです!
ということで、GWはぜひこの一本!超おすすめです!

※もしアベンジャーズシリーズをひとつも見たことがないという方がいたら、最低でも「アイアンマン1」「キャプテン・アメリカ1~2」「アベンジャーズ1~2」は見てからのほうが良いです。最低限この5本で、トニーとスティーブのイデオロギー闘争の背景がわかります。

【おまけ】

最後の「スタークが知らなかった過去」の件でスティーブやナターシャはなんで知ってたんだという話ですが、これ「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」の中盤、スティーブとナターシャがハイドラの秘密基地を発見してドクターゾラ(のAI)を起動するシークエンスで、ドクターゾラが喋ってます。いかにS.H.I.E.L.D内にハイドラが入りこんだのかっていう説明を喜々として語る自慢話のパートです。当時はシレっと流されてましたが、こんなところも伏線だったんですね。

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