ファインディング・ドリー

ファインディング・ドリー

昨日は夏休み映画の4本目

「ファインディング・ドリー」を見てきました。

評価:(51/100点) – 書きづらいけど微妙


【あらすじ】

前作「ファインディング・ニモ」からしばらく立ったある日、ドリーは突然両親のことを思い出した。断片的に思い出した両親のことが気になって仕方がないドリーは、ニモとマーリンと共に「カリフォルニアの宝石」というキーワードを唯一の手がかりに、西海岸へと向かう、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ドリーの決意と西海岸への旅
 ※第1ターニングポイント -> 海洋生物研究所へ到着
第2幕 -> ドリーの両親の捜索
 ※第2ターニングポイント -> ドリーが両親を見つける
第3幕 -> ニモとマーリン救出作戦


[スポンサーリンク]

【感想】

さてさて、ディズニー映画が続きます。昨日はピクサー最新作「ファイティング・ドリー」を見てきました。東京ディズニーシーの”タートル・トーク”でもおなじみの「ファイティング・ニモ(2003)」の続編です。監督は引き続きアンドリュー・スタントン。なんで今続編なのかはあんまりよくわかりませんが(笑)、あいも変わらず鉄壁の布陣です。私は有楽町のTOHO日劇で字幕版を見ました。公開からしばらく経っているからか、お子さんは外国人の家族連れ1組のみで、後はほぼ社会人カップルでした。
コレ以降、本作に関してネタバレが多数登場します。というか上記の三幕構成でおもいっきりネタバレしており申しわけございません。未見の方はご注意ください。
また、以降、私はドリーのことを「短期記憶障害」と表現しますが、実際はただの「記憶障害」かもしれませんし認知症かもしれません。

ざっくり概要と続編としての真面目さ

まずですね、簡単に「ファインディング・ニモ」についておさらいしておきましょう。前作の「ファインディング・ニモ」は「親の子離れ」がテーマでした。ひょんなことから人間にさらわれてしまった子クマノミのニモを取り戻すために、父親のマーリンがクセのある仲間と交流しながらすったもんだします。片親でありかつニモが障害児(※片ヒレが極端に小さく不自由)であるが故に過保護気味なマーリンを尻目に、ニモはさらわれた先で仲間たちを作り自力で脱出します。そしてマーリンは、我が子が十分に一人でもやっていけることを理解し、寂しいながらも少しだけ子離れを決意します。前作は、まさに親の視点から見た「子供の成長と”親離れ”」の話であり、それを送り出さなければいけない寂しさと嬉しさを同居させた素晴らしい作品でした。

そして今回のファインディング・ドリーです。前作が「親が子供を探す話」だったのに対して、今度は「子供が親を探す話」になります。立場をひっくり返して同じ話を繰り返すというのは、とても正しい続編の作り方です。これだけでも企画の真面目さがヒシヒシと伝わってきて好感が持てます。持てるんですが、じゃあなんで私がこの点数を付けるのかというと、本作の語り口にあんまり乗っかれないからなんですね、、、。それを以降とくとくとグチりたいと思います(笑)。

いいところ:前作と同じく成長と親離れを描けている

まず先に褒めておきましょう。ドリーのご両親って「一年前に子供が突然行方不明になっちゃった」状況なわけで、これってモロに拉致被害者と同じなんですね。本来は子離れしろってのが無理なんです。ご両親はいつかドリーが帰ってくると信じて、ドリーへ手がかりというか信号を送り続けます。来る日も来る日も。そしてドリーは本当にひょっこり帰ってくるわけです。普通に考えたら「もうずっと一緒だよ!」みたいになっても不思議じゃありません。でも「一人で生きていけるかな」と超心配だった子供には友達がいて、しかもその友達を救うために一肌脱ぐって言ってるわけです。要はちゃーんと生き抜いて大人になってたわけですね。これですごい安心して、子離れするんです。これ、フォーマットは完全に前作「ファインディング・ニモ」と同じです。大変よく出来ています。

乗れないところ:「ドリー」というキャラの肯定の仕方が無理やりすぎる

あんまり大きな声で書きづらいんですが、私がこの「ファインディング・ドリー」を見ている最中に一番感じたのは「すごい24時間テレビっぽい」っていう所なんです。ドリーはですね、子供の成長課題としての「障害」がニモより重いんです。ニモは片足がちょっと不自由というレベルなので、まっすぐ泳ぐ練習さえできればそこまで厳しいハンデはありません。だから、「親が超過保護になるための設定上の味付け」で済んでました。ところが、ドリーの場合は短期記憶障害です。直前に言われたことを忘れちゃう病気。これは結構重い話です。もともと前作では、マーリンが「超慎重派」である描写と対比させるために、ドリーが登場しました。ドリーはすぐに物事を忘れてしまうので、結果的にその場の直感と勢いで物事を判断します。これが超慎重派のマーリンとの対比となり、デコボコ・コンビの珍道中としてうまく機能していました。

では、本作ではどうでしょう。本作でドリーがコンビを組むのは、ステルス機能があって手足を自在に操れるタコのハンク、声がよく通り離れても意思疎通ができるサメのデスティニー、そして遠くからナビゲーションができるイルカのベイリー。どれも最強クラスの超能力をもっており、100%万全のサポート体制です。この世界最強クラスのサポーター達が、ドリーを全力で盛り立てます。そして「ドリーがその場の直感と勢いで判断する」ことを全力で肯定してくれます。これね、、、どうなんでしょう。甘やかしてるだけっちゃあ甘やかしてるだけなんですが、そもそも「短期記憶障害をもってても立派にやっていけるから大丈夫だよ!」って話なのにここまでガッチリサポートしちゃうと、「それむしろやっていけてないんじゃないか」という気がしてきます。もちろんドリーの友達を作る能力=人間力(?)の賜物ですから別に良いんですが、あまりに過剰すぎてちょっと褒め殺しではないのかとすら思えてきて全然乗れません。この感じがすごい24時間テレビっぽくて嫌です。「ほら、こ~んな重い障害を持った子が芸能人のサポートと応援で立派に成し遂げたよ!エライでしょ!泣いて!」みたいな同調圧力を感じてすごい嫌。あまつさえ、映画の最後の方は、開き直って完全超能力ヒーローモノになるわけで、なんかちょっと雑だなという印象があります。

また、これは考え過ぎなのかもしれませんが、途中ギャグキャラとしてアシカ達が出てきます。このアシカ達は、2匹の兄貴分と1匹のガチャ目のとっぽい子=ちょっと障害者っぽい子で構成されるんですが、どうみても2匹がガチャ目の子をいじめてるんですよね。なんていうか「このテーマの作品でそれをギャグでいれるか!?」っていうのがアメリカンジョーク過ぎてよくわかりません。

【まとめ】

たぶんこの映画に乗れないのは私の心が濁っているからだと思います(笑)。ですので、心が清らかで、ピュアで、人間的によく出来た方達にはたぶん大好評ロングランなんじゃないでしょうか?単純に「さかなたち可愛いじゃん」っていうのは全面的に同意するんですが、ちょっとこういうテーマでこういうストーリーにされると素直に乗りたくないです。
真面目な話、ファインディング・ドリーを見るくらいなら、その入場料分をちゃんとした団体に寄付すりゃいいんじゃないでしょうか? 24時間テレビだと汐留と乃木坂のお城に吸われて最終的には某さんのハワイ旅行とかになっちゃいますんで(笑)。
個人的にはこの作品はレンタル100円でいいんじゃないかと思います。

ちなみに、リアル社会の飲み会で「ファインディング・ドリーどうだった?」と聞かれたら、とりあえず私は褒めときます(笑)。これが同調圧力と世渡りってやつです(笑)。

[スポンサーリンク]
記事の評価
ジャングル・ブック

ジャングル・ブック

夏休み映画3本目はレイトショーでディズニーの実写映画、

「ジャングル・ブック」を見てきました。

評価:(82/100点) – 最高のアイドル映画


【あらすじ】

人間の子・モーグリはジャングルで育てられた。黒豹のバギーラを師に、狼のラクシャを母親代わりに、狼の群れの中でモーグリは”ジャングルの子”として成長していく。
乾季のある日、ジャングルに平和の岩とオアシスが出現した。ジャングルの掟に従って肉食・草食問わずに仲良く水を飲む平和の泉に、ベンガルドラのシア・カーンも現れる。彼は人間のニオイを察知すると、狼の群れに警告を発する。「人間は必ず殺す。人間を匿うなら狼は多大な犠牲を払うことになるぞ」。狼の群れでの会議の末、モーグリは群れを離れ人間の村へと向かうこととなる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 平和の泉とシア・カーンの脅し
 ※第1ターニングポイント -> モーグリが人間の村へと向かう
第2幕 -> 人間の村への旅と熊のバルーとの出会い
 ※第2ターニングポイント -> モーグリが狼の群れの現状を知る
第3幕 -> シア・カーンとの対決


[スポンサーリンク]

【感想】

さてさて、夏休み映画シリーズの3本目はディズニーの実写、「ジャングル・ブック」です。丸の内ピカデリーのレイト・ショーで見てきました。500キャパぐらいの大箱ですが観客はせいぜい数十人規模で、しかもほとんどが女性の”お一人様”でした。そりゃ男の子はみんなX-MENかな、、、と思いつつ、やっぱり「癒やし」「ほんわか」みたいな雰囲気が出てるからでしょうか(笑)?そして実際見てみるとですね、その雰囲気は当たってます。大正解。本物かと勘違いするほど可愛い動物達が、所狭しと大活躍してとにかく終始ニヤニヤしっぱなしです。めちゃくちゃ楽しい2時間でした。

ディズニーがついに本気だした!

あんまりハッキリ言うのもなんですが(笑)、ディズニーの一連の「クラシックアニメのリメイク/スピンアウト路線」は作品的にはあまり成功しているとは言えません。「アリス・イン・ワンダーランド(2010)」「オズ(2013)」「ウォルト・ディズニーの約束(2013)」「マレフィセント(2014)」「シンデレラ(2015)」「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅(2016)」。素晴らしかったのは「メリー・ポピンズ(1964)」制作の裏側を劇化した「ウォルト・ディズニーの約束」ぐらいで、かろうじてまともなのは「シンデレラ」。後は本当に何考えてるんだっていうレベルの出来でした。

近年の長編アニメが名作揃いなのに対して、ディズニーの実写セクションはほぼアベンジャーズ・シリーズに全面依存しているのが現状で、それ以外のファミリー路線はちょっと残念なことになっていました。そんな状況の中、「アイアンマン」シリーズで全幅の信頼を得たジョン・ファブローが満を持してファミリー路線へ投入されたわけで、これは期待しないわけにはいきません。

ジョン・ファブローは”置きにきた”

そんなプレッシャーがかかる場面ですから、ファブローはこれをどう料理するのかと思いきや、、、完全に安全策にでました(笑)。昔のアニメ映画「ジャングル・ブック(1967)」から人種/性差別的に難癖を付けられていた部分を全て修正し、ポリティカル・コレクトネス的にも文句をつけようがない形にまとめて、エンタメ要素を全面に出しています。具体的には、母親代わりのメス狼・ラクシャの登場であったり、モーグリを群れから追い出す描写の緩和、最終的にはジャングルの子として受け入れる描写。私が鈍感すぎるのかもしれませんが、「そこまでやるの!?」ていうくらい猛烈に気を使っています。そうやって話の筋を「人間社会への復帰」から「ジャングルの子として生きる」方向へと変えた結果、そこに残ったのはピュアな意味での”ジャングルの魅力”であり、「動物ちゃんたち最高~~~~!!!」というモフモフ・キュンキュン・キャワワワ要素です(笑)。これはですね、ド鉄板です。動物の可愛さに国境はないですし、もっというとそこに文句のつけようがないですから。相当卑怯なやり方です(笑)。ずるいぞ、ジョン!

ワンちゃんクマちゃんがこの世で一番可愛い説

とにかくですね、何が可愛いって狼とクマちゃんのワンちゃんぽさですよ。肉食動物としてのエグさは一切見せず、この2種は完全に”ファンタジーなアイドル”として画面に登場します。クマのバルーがはちみつを食べる描写はあるのに、いわゆる”肉”は一切食べません。狼たちも狩りをする描写はなく、終始追いかけっこをしています。まるで「わたしアイドルだからウ○コしませ~ん♡」みたいなノリで、動物たちの可愛さだけが抽出され、描かれます。もうね、そんなの二時間も見せられたら無理(笑)。30過ぎたオッサンが映画館でずーっとニヤニヤしながら見ている絵面はさぞハタからみたら危なかったでしょう(笑)。マジでレイト・ショーでよかった、、、。

ストーリーはひたすら無難

細かいストーリーはですね、正直どうでもいいです(笑)。前述のようにポリティカル・コレクトネスを重視した結果、ストーリー自体はわりとありきたりで普通な感じに仕上がってます。平均偏差値50そのもの。褒めるほど上手くもなく、けなすほどアラもなく、動物たちの可愛さを邪魔しない程度の(笑)添え物です。でも、良いんじゃないでしょうか? だって可愛いは正義ですから。

【まとめ】

動物が好きなひとは絶対見たほうがいいです。特に犬が好きな人。これは義務です。ぜひ映画館で可愛さに悶ましょう(笑)。ただし一点だけ注意があります。大人が一人で見に行くなら、絶対レイト・ショーです。断言しますが、ツボにハマって終始ニヤニヤしている大人は完全に不審者です(笑)。昼の回は避け、是非、空いてそうな夜の劇場でニヤつきましょう。超オススメです!

[スポンサーリンク]
記事の評価
ペット

ペット

夏休み映画1発目はこちら

「ペット」です。

評価:(40/100点) – トイ・ストーリーのフォロワーとしてはあんまり…


【あらすじ】

マックスは、かつて捨て犬だった所をケイティに拾われ、今は幸せな生活を送っていた。ある日、ケイティは保健所から新しい犬―デュークを引き取ってきた。しかしこのデュークは乱暴者。自分の居場所が無くなることを恐れたマックスは、デュークと一触即発の関係になってしまう。そんなおり、いつものようにペットシッターにドッグランで放されている隙に、デュークはマックスを遠くの路地裏へほっぽり出そうとする。それが大冒険の始まりだった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> デュークの登場とマックスとの冷戦
 ※第1ターニングポイント -> デュークが路地裏でマックスを捨てようとする
第2幕 -> スノーボール一派との行動と脱出
 ※第2ターニングポイント -> デュークが保健所に連れ去られる
第3幕 -> デューク救出作戦


[スポンサーリンク]

【感想】

皆さん夏休みはいかがお過ごしでしょうか?今年の夏休みは珍しく大本命ファミリー映画が無く、「ファインディング・ドリー(ピクサー)」「ペット(ユニバーサル)」「ジャングル・ブック(ディズニー)」あたりの三つ巴となっているかと思います。個人的には「X-MEN アポカリプス」のほうが気になっており、こちらは近々で見に行ってきます、、、仕事帰りにでも、、、夏休みって本当にあるんでしょうか?(錯乱)
そんなこんなで昨日は「ペット」を見てきました。怪盗グルーシリーズで一躍3Dアニメの新興勢力に踊り出たイルミネーションの最新作です。お子さん連れを中心に結構お客さんが入ってまして、ファミリー映画としては大成功な雰囲気が出ていました。
この後、元も子も無いことを書きますが(笑)、安心して見られる作品なのは間違いありませんので涼みがてらお子さんと見るには丁度いい湯加減の映画だと思います。

ディズニーとドリームワークスとイルミネーション

90年代後半より、3Dアニメといえば王者ピクサー・ディズニー連合がど真ん中。それに対抗できるのはドリームワークスぐらいでした。ドリームワークスはアンチ・ディズニーというのを全面に出してきてまして、とにかく「ちょっと大人向けのほろ苦い&皮肉の効いた3Dアニメ」を作り続けてきました。初期ではディズニーのお伽話を盛大にパロったシュレック・シリーズですとか、マダガスカル/カンフー・パンダとかですね。そしてドリームワークス最高傑作はもちろん「ヒックとドラゴン」。極めてディズニー的な成長物語りでありながら、ディズニーが意図的に避けてきたちょっとエグいシーンや民族対立までちゃんと見せる。3Dアニメ映画市場はディズニー/ドリームワークスの2強体制といっても過言ではありません。

そんな中で、出てきた新興勢力がイルミネーション・エンターテイメントです。イルミネーションはクリストファー・メレダンドリが20世紀フォックスからスピンアウトして作った会社なのですが、このメレダンドリさん、もともとディズニー・ピクチャーズ出身の方なんですね。でまぁデビュー作の「怪盗グルーの月泥棒」とかその次の「イースターラビットのキャンディ工場」を見ていただくとわかるように、もろに「ザ・ディズニー」なメソッドそのまんまの作品が好きな人なんです。しかも80年台のディズニー第2黄金期世代のフォロワーです。おそらく当時若手としてディズニー・ピクチャーズに居たからだと思うんですが、それこそ「イースター~」は「ロジャー・ラビット」と「メリー・ポピンズ」のハイブリッド映画です。ドリームワークスがアンチ・ディズニーで差別化を図っているのに対して、イルミネーションはそのまんまディズニーの後追いをしています。
ただ、やはり毒のないキャラクター:ミニオンは安心して見れますし人気が出るわけで、ここ最近はむしろイルミネーションの方がドリームワークスよりも勢いがあるんじゃないかという所まで来ています。

本題の元も子もない話

あんまり長く書いても仕方がないのでいきなり書いてしまいますが、本作「ペット」は「トイ・ストーリー1~3」「わんわん物語」のハイブリッド映画です。このディズニーを代表するような超有名作品4本を、ぜーんぶゴッタ煮にして、それを40倍ぐらい薄めたのが本作です。なので、正直本作を見るならこの4本をレンタルで借りてきたほうが遥かに楽しめます。軸は、ウッディとバズが扮する犬2匹の対立と友情の物語。ストーリーの大枠は、家から遠くはなれたところで迷子になった二匹の犬が一生懸命ご主人の元に帰る話。途中、下水道で暮らす野良猫/兎達との対立を挟みながら、最終的にはペット達は幸せな我が家へと帰って行き、ロッツォ・ハグベア扮する敵の親玉スノーボールも新しいご主人の元でペットの幸せを再確認する旅に出ます。

これですね、もしかするとディズニー映画公開の隙間をついていれば良かったのかもしれません。でもいま、まさに”本物”の「ファイティング・ドリー」が同じシネコンで上映されているわけで、これで対抗しようっていうのはちょっと、、、どうなんでしょう(苦笑)。

映画単体としてもちょっと行き当たりばったり感が強く、あんまり上手くまとまっているとは言えません。
動物のデフォルメもどちらかというとペンギンズに近いもので、動物の可愛さを強調する方向よりは擬人化を優先しており、結構顔がノッペリとしています。

【まとめ】

あっさり書いてしまいましたが、結論としては、「わざわざ映画館で見るほどでもないけどまぁ安心して見れるかな」というぐらいの微妙な温度感です。
やっぱりイルミネーションはミニオンみたいなオリジナル・キャラを作ってドタバタコメディをやっていたほうが良いと思います。実際、本編上映前の「ミニオンズ:アルバイト大作戦」の方が遥かに面白かったですしね。私はちょい夏バテ気味、映画も製作者側の熱気が低い、ということで、今日はこんな適当さ加減でご勘弁(笑)。

[スポンサーリンク]
記事の評価
ズートピア

ズートピア

本日はレイトショーでディズニーアニメ最新作の

「ズートピア」を見ました。

評価:(79/100点) – 「普通に面白い」という贅沢さと物足りなさ


【あらすじ】

動物たちが理性をもって生活する世界。うさぎのジュディは「うさぎ界初の警察官」の夢を叶え、大都市「ズートピア」へとやってきた。ズートピアでは最近失踪事件が多発しており警察署内は大騒ぎになっていたが、しかしジュディが配置されたのは駐禁係。なかなか警察らしい仕事をさせてもらえない不満から、ジュディはついうっかり失踪者の一人=カワウソのオッタートンの捜索を勝手に買って出てしまう。タイムリミットは48時間。それをすぎると、ジュディは事実上解雇されてしまう。はたしてジュディは無事事件を解決することができるのか、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ジュディの上京とニックとの出会い
 ※第1ターニングポイント -> オッタートンの捜索を買って出る
第2幕 -> オッタートンの足取り調査と発見
 ※第2ターニングポイント -> ジュディが田舎へ帰る
第3幕 -> 事件の解決と真相。


[スポンサーリンク]

【感想】

さてさて、今週2本めの新作映画は、ディズニー最新作「ズートピア」です。ディズニーアニメのお家芸といえば白雪姫/眠れる森の美女から脈々とつながる「かわいらしくデフォルメされた動物」です。本作・ズートピアは人間の登場人物が一人もおらず、この「かわいらしくデフォルメされた動物」が所狭しと登場します。
見る前から本作が某Rotten Tomatoで98% Freshを記録したというニュースは見ていましたから、さてこれはどれだけ傑作なのかと結構ハードルが上がっていました。
そして実際に見てみて、、、というところですが、これはRottenの仕組み上仕方ないといいますか、、、「大傑作!」というよりは「これは皆がそれなりに満足して帰る内容だな」という感想です。100点満点中の100点というよりは、「良いか悪いかで二択にしたとき”良い”が限りなく100%になる」という類の作品です。

本作は王道どまんなかのバディ・ムービー/ファミリー映画です。ですから極力ネタバレはしないようにいたしますが、少々感づいてしまう恐れもあるため、映画未見の方はできるだけご注意ください。

果たして優等生は魅力的なのか?

まずざっくりと語るならば、本作は大変良く出来たバディ・ムービーです。女性(メス)でか弱く体格的にも小さいが頭脳と工夫で乗り越えるウサギのジュディと、ひねくれ者だけど優しくて頭がキレるキツネのニックのデコボコ・コンビが手がかりを追って事件を解決していく、、、という教科書にでてくるような非常に理想的・類型的なフォーマットです。

そうなんです。先に書いちゃいますと、私の不満点はまさにここ。この一点だけです。「教科書にでてくるような非常に類型的な」よくできた映画。なんというか、毒にも薬にもならない「普通の良い映画」なんです。これは物凄い贅沢な話でして、「飽食の時代ここに極まれり」ってことなんですが(笑)、なんかこう「これっ」っていうチャームポイントがあんまないんですよね。「どうしてもズートピアがまた見たい!」ってなるような魅力的なポイントが、ですね。

全体を通じて凄く良く出来ていて、文句の付け所はほとんどないです。お話的には伏線はちゃんと回収されますし、きちんと「他者を属性で判断するな!」「善人は必ず報われる」という道徳的なテーマになっています。キツネのニックは全然言うほどひねくれても無ければ悪人でもないですし、悪役だってひねくれるだけのきちんとした事情があります。そして、ジュディの性別や体格が原因で捜査が行き詰まるようなこともないです。凄く優しい世界の中で物事が進んでいきます。テーマ自体は人種差別というか「マイノリティvsマジョリティ」という重い民族問題を扱っているわけですが、しかしテイストはどこまでも軽く、そしてとても誠実です。そういった意味で、本作は間違いなく良質なファミリームービーです。

なので、本作を減点式にした場合、まず間違いなくそんな貶す人はいないと思います。大幅にマイナスなポイントって本当にないですから。
一方でこれを逆側から、つまり「良かった所集めの加点式」にするとですね、、、これどうなんでしょうか? 少なくとも私個人的には「70~80点ぐらいかな」というぐらいの温度感なんです。それでも十分に高いですよ。

変な言い方ですが、例えば「ナルニア国物語 第1章(2005)」と「ハリー・ポッターと賢者の石(2001)」のどっちが好き?って聞かれたとしましょう。個人的には、「ナルニア~」のほうが間違いなく映画として出来がいいと思いますが、もう一回みるなら「ハリー・ポッター~」なんですね。それはやっぱりあの3人の仲間うちのワイワイをもっと見たいからです。本作は「ナルニア~」と同じで、なんというか優等生すぎて癖がなさすぎるというか、それこそ何年経っても印象に残るようなシーンがあんまり無くてですね、、、「出来はいいけど、そんないうほど好きでもない」ってところです^^;あくまでも贅沢な無いものねだりです。

とはいえよく出来てるよ!

いきなり「そんな好きじゃない」とか書いといてなんですが(笑)、本作は凄いよく出来てます。これだけは再三再四書いても書きたりません。よく出来てます。劇中のズートピアには、エリアが何個もあって、エリアごとに「ジャングルっぽい」とか「南極っぽい」とか特徴があります。これって要はほとんどディズニーランドなんですね。ディズニーランドにおける「クリッターカントリー」「ファンタジーランド」「トゥモローランド」みたいなテーマエリアがあって。もっというと、ジオラマ的な「遊園地」です。ですから、この世界観の時点で、これはもう箱庭ファンタジーなんだというのをハッキリ表明しているわけです。

そしてこの「遊園地」を舞台に、かわいい動物たちが暴れまわり、しかもいろいろなパロディやギャグをかましてきます。実写だったら間違いなく腹が立つレベルの寒いギャグも、かわいいネズミキャラがやれば途端にキュートになります。そういった意味では、「動物が楽しく住んでいる楽園」っていう設定だけでもう勝ったも同然な作品です(笑)。

事件の解決はサラっとスマートに

本作は「ゾディアック(2007)」のような大真面目なサスペンスではなく、あくまでもコミカルアニメですから、事件はあっさりと解決します。とくに悩むこともなく、ジュデイとニックはほぼ最短距離で事件解決に向かっていくんです。
この作品の一番うまいところはまさにこの「コミカルアニメだからそこはそんな本気でやることないでしょ?」という言い訳を使ってくる部分です。そもそも動物がしゃべって二足歩行する世界なので、細かい部分は別に雑でもいいんです。
これのおかげで話の粗が目立たないというのは間違いないです。ニンジン型レコーダーの耐久性はどうなってんだとか、トイレの下水管が太すぎるだろとか、誰がこんな凄いズートピアを作ったんだとか、そういう所ですね。動物がしゃべって二足方向する世界なんだから、レコーダーの電池とか下水管の太さとかどうでもいいわけです(笑)。とても上手いです。

【まとめ】

表現が難しいんですが、「アニメの持ってる嘘やアラを隠してくれる懐の深さ」を最大限活用した良作だなと思いました。本作を実写でやったらかなりのトンデモ映画になるはずです。逆に言えば、アニメだからこそ出来ることをちゃんとやっているわけで、そりゃあ支持率が高いのは当たり前のことです。テーマが重くて子供向けじゃないんじゃないかという話もありますが、私はこれは大人も楽しめるバリバリの子供向けだと思います。
GW中の時間潰しやデートなら、ちょうどいい湯加減ではないでしょうか。

[スポンサーリンク]
記事の評価
キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争

キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争

本日は2本です。1本目は

キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争」です。

評価:(15/100点) – 犬可愛い。猫可愛い。でもそれ以上では、、、。


【あらすじ】

猫の秘密組織「ミャオ」に所属していたキティ・ガロアはミッション中に番犬に襲われて除毛液に落ち全身の毛を失ってしまう。飼い主からも捨てられたガロアは犬への復讐のため、独自の音波を作成、衛星を通じて全世界の犬を狂わせようと計画する。
キティ・ガロアの謀略を阻止するため、今、仇敵であった犬と猫が手を組む、、、。ついでに鳩も、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ディグスの失敗。
 ※第1ターニングポイント -> ディグスが全世界犬司令部に招かれエージェントになる
第2幕 -> シェイマスとガロアの捜索
 ※第2ターニングポイント -> ガロアの居所が分かる。
第3幕 -> 遊園地での決闘。


[スポンサーリンク]

【感想】

本日の1本目は「キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争」です。これもお客さんがほとんど入っていませんで、私以外は子連れ親子が2組居ただけでした。
非常に簡単に言いますと、これは動物を使ったスパイ大作戦のパロディです。のみならず、タイトルはスターウォーズのパロディ(原題の副題がThe Revenge of Kitty Galore = SW ep3の「The Revenge of Sith」)だったり、オープニングが「カジノ・ロワイヤル(2006年版)」以降のボンド映画のパロディだったり、除毛液に落ちるところは「バットマン(1989/ティムバートン版)」でジャック・ニコルソンが漂白液に落ちてジョーカーになる所のパロディです。そのほかにも「羊たちの沈黙」のレクター博士もどきの猫だったり、空中戦はちょっとロボコップorアイアンマンっぽさもあります。
ということで、本作の話自体は行き当たりばったりで下らないのですが、犬や猫が有名作品を再現してくれるという動物好きにはたまらない作品です。逆に言えば、映画として見に行くと痛い目を見ますw あくまでも犬猫が名場面を再現するだけの動画集です。
見も蓋もないことを言いますと、これ要は「親指スターウォーズ」とか「最終絶叫計画」とかと同種の映画で、それの物凄く出来が悪いものです。
なので、犬好きにのみオススメいたします。猫はかなり悪く描かれますので、猫好きには耐えきれないかも知れません。

[スポンサーリンク]
記事の評価