「REC/レック2」をレイトで見てきました。評価: – ついにバイオハザードの正当な映画化作品が登場!
<あらすじ>
謎の病原菌によって汚染されたアパートにSWATと医師が突入する。彼らが見たのは謎の実験室と病原菌により凶暴化した住人達だった、、、。
<三幕構成>
第1幕 -> アパートへの突入と探索。
※第1ターニングポイント -> 住人のファーストアタック。
第2幕 -> メディロスの血液サンプルの捜索。
※第2ターニングポイント -> アンヘラとの合流
第3幕 -> 解決編。
<感想>
皆さんに喜ばしいお知らせがあります。昨年漂流教室を映画化した「ミスト」が話題になりましたが(嘘)、ついに今年になってホラー・アドヴェンチャーの傑作「バイオハザード」も実写化されました。え?すでにミラ・ジョボビッチが実写化してるって?あんな顔のイカついお姉ちゃんのデジロック・CGアクション映画なんて知りません。本作こそが正当なバイオハザードの実写化です。ただし、これから見る方は注意が必要です。まず、主役がラクーン市警特殊班からSWATに変わっています。つぎに、ヒロインだった敏腕婦警・ジルは、色気と年齢がアップしてレポーターになりました。でもそれ以外はバイオハザードです。バイオハザード直撃世代の私は断言します。本作のとりあえず要素を詰め込んだやっつけな感じこそがバイオハザードの一番の魅力だと!
このままバイオハザードについて書きたくなってきたので話を元に戻します。本作は2007年に公開された「REC/レック」の続編で、前作終了直後から物語りが始まります。でも安心してください。前作を見ていなくても単独で十分に楽しめます。それはこの物語りが非常にミニマムでタイトだからです。
まず登場人物は10人もいません。実際に中心となるのは4名のみです。さらに舞台は小さなアパートで、このアパートから外には出ません。「敵」というか「モンスター」はゾンビだけです。非常にこぢんまりとしたスケールです。しかし、見ている間にショボイとは決して思いません。それは本作がいわゆる「フェイク・ドキュメンタリー」形式を採用している事が大きな要因です。
「フェイク・ドキュメンタリー」とは文字通り「偽物のドキュメンタリー」です。すなわち「実際に起きたことの記録映像という体裁で撮影する劇映画」のことです。わりと昔からある古典的な手法で、通常はハンディ・カメラを使用します。この手法の特徴は無論そのリアル表現にあるわけです。ホラーにおいては映画の中での出来事が観客にも起こるかもしれないと感じさせることが重要で、そのためにフェイク・ドキュメンタリー形式で現実と地続きの世界を表現することは効果的です。しかし実はそれ以上に大きな利点があります。それは「35mmフィルムよりも画質が汚くても良い」ということです。
かつてのハンディ・カメラは、フィルムを使用する映画用の固定カメラとは比べものにならないほど低性能でした。なのでハンディ・カムの荒い画質を利用するとセットや特殊メイクの安さを隠すことが出来たわけです。そんなわけで特に低予算のホラーでは非常に重宝されました。
本作はフェイク・ドキュメンタリー形式を使っていますが、冒頭ではそこを観客が意識することはありません。それはハンディ・カメラなのに画質が綺麗だからです。特に第一幕では「普通よりちょっと手ブレが大きい映画」ぐらいにしか思えません。ところがこの高性能なハンディ・カメラは中盤手前で壊れてしまい、代わりに画質の悪いカメラに乗り換えます。こうやってカメラの画質を物語の途中で落とすことによって、ギャップでより恐怖を感じるようにしています。この辺りは非常に上手い演出です。また、ハンディ・カメラ特有の画像の乱れを利用して「本当に怖い事は音だけで表現して、観客に絵を想像させる」というホラー文法の基本をきっちり押さえています。このすばらしい演出力によって本作は実際の規模とは比べものにならないスケール感を獲得しています。これぞ監督の腕の見せ所です。
<まとめ>
この作品は、オカルト的な要素とアドベンチャー的な要素となによりゾンビ映画の要素が入り交じった「ちゃんぽん」な映画です。
はっきり言いますと、話自体はさして目新しくもないですし劇中の謎解きも非常に簡素です。要は非常にテレビゲーム的です。登場人物と一緒にワクワク・ハラハラしながら見る映画なんです。ですから、たぶん二回目を見てもそこまで面白くないと思います。しかし、本作はその素晴らしい演出力によってグイグイと観客を画面に引きずり込んでいきます。是非映画館でみて欲しい映画です。一回目は本当に面白いですよ。オススメです。
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