シュレック フォーエバー

シュレック フォーエバー

今日は

シュレック フォーエバー」を見て来ました。

評価:(60/100点) – さすがの安定感だが、予告で全部見せすぎ。


【あらすじ】

シュレックはフィオナとの間に三人の子供を作り、幸せな生活を送っていた。しかし国の人気者という立場、父親という立場にどうしても物足りなさを感じてしまう。子供の1歳の誕生パーティでシュレックは遂に癇癪を起こしてしまい、フィオナから呆れられてしまう。一人パーティ会場を飛び出したシュレックは帰宅途中に馬車に下敷きになった男を助けるが、彼こそが悪名高き魔法使い・ランプルスティルスキンであった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> シュレックの平和な日常。
 ※第1ターニングポイント -> シュレックが契約書にサインする。
第2幕 -> シュレックとパラレルワールド。
 ※第2ターニングポイント -> オーガ達が捕まる。
第3幕 -> オーガ達の救出と結末。。


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【感想】

本日は「シュレック フォーエバー」を3D吹き替えで見て来ました。お客さんはまったく入っておらず250人の箱に一桁でした。比較的子供向けなアニメのレイトショーとしてはこんなものだと思います。

「シュレック」シリーズの意義と立ち位置

おなじみ有名なおとぎ話の主人公たちをブラックジョークのパロディにするシュレックですが、今回はグリム童話の「ランプルスティルスキン」がターゲットです。日本ではあまり馴染みのない話で、こちらのウィキペディアでは元ネタのドイツ語読みで「ルンペルシュティルツヒェン」となっていました。私は童話はわりと好きなほうなんですが、この話はまったく知りませんでした。
とはいえ本作の話自体にはあまり関係がありません。あくまでもディズニーが提唱する「夢と魔法の国」に悪意を剥き出しにした「夢もへったくれもない国」というブラックジョークの一要素です。
そうです。そもそもからしてこのシュレックというシリーズ自体が、アンチ・ディズニーという思想を前面に出した大人の悪ふざけ&ちょっぴり私怨のこもった作品です。何せ、元々80年代後半から90年代前半にディズニーの第二次黄金時代を引っ張ったジェフリー・カッツェンバーグが15年来の盟友マイケル・アイズナー社長に追い出されてスピルバーグやゲフィンとドリームワークスを作ったのが始まりですから。そしてアイズナーの暴走で「美女と野獣3」だの「ライオン・キング2」だのとふざけたOVAを作ってズタボロになったディズニーにトドメをさしたのが、2001年の「シュレック」です。「ドラゴンに捕まった眠り姫を救う運命の人」というこれ以上ないほどベタで「ディズニー的な」夢と魔法のプリンセスストーリーを見事に脱構築して見せ、あまつさえ「美醜の問題」「異種族間の恋愛」にまで完璧に納得せざるを得ない回答をずばっと出して見せた結末は、まさにディズニーとは違った角度からの「良質で道徳的な長編アニメーション」そのものでした。
「シュレック」が公開される2ヶ月前ですらディズニーは「わんわん物語2」なんぞ出してるわけですから、そのレベルの差はもう歴然だったわけです。
ご存じの通りこの「シュレック」を決定打にして、ディズニーは完全に経営難に陥ります。2005年にはアイズナーが辞任、直後にピクサーを買収、ディズニーの再建はジョン・ラセターに託されます。そして一昨年2008年に完全ラセター体制で作った「ボルト」によりディズニーは完全な復活を遂げます。
つまり、「ディズニーが迷走していた時期に登場した、ディズニーアニメに匹敵するレベルの大人も見られる長編劇場アニメ」としての「シュレック」シリーズは本家ディズニーの完全復活によって一旦その役割を終えたわけです。本作はそういった環境の中で発表されたシリーズの締めくくりであり、10年続いたシリーズへの供養でもあります。
そんな今作は、よりにもよって「パラレルワールドに迷い込んだシュレックが日常を取り戻そうと奮闘する」ストーリーです。考えすぎだとは思いますが、どうしても見ている間中ずっとこの「日常」と「パラレルワールド」との対比がそのまま「ディズニー・アニメ」と「ドリームワークス・アニメ」に見えて仕方がありません。見慣れているが故に当たり前になってしまった「ディズニー・アニメ」が、おとぎ話のパラレルワールドとしての「シュレック」に取って代わられるが、結局本家のすばらしさを再認識して「ディズニー・アニメ」へと回帰していく話。この構図だと「シュレック」が悪いみたいになってしまいますが(苦笑)、どうしてもこういった「ディズニーの完全復活に対する祝辞」に見えてきます。特にカッツェンバーグからしたら、アイズナーこそ憎けれど、古巣であり自らが黄金期を作り上げたディズニーやアメリカ・アニメ業界には相応の愛着があると思います。しかも本作の最後は一作目に回帰してくるわけです。いうなれば「ライバルの完全復活を素直に祝ったうえで、改めて宣戦布告している」のが本作です。それだけで十分に熱い話では無いでしょうか? 6割ぐらいは3Dメガネの疲労感で私が見た妄想かも知れませんけれどw

宣伝に対して思うこと

本作は内容だけを見れば文句なしの良作です。そりゃ多少ドタバタとせわしない印象もありますが、過去作のファンへの感謝をこめたキャラクターものとしては十分に満足出来る内容です。ただ、私は本作を見るのにどうしても抵抗がありました。というよりも「軽い失笑感」とでも言うべき嫌な感じがするんです。その要因は間違いなく本作の宣伝手法です。「ヒックとドラゴン」を見た際に、「シュレック フォーエバー 特別予告」なるものが劇場で流れていました。こういった特別予告自体はよくあるのですが、藤原紀香が出てきて二言三言しゃべった後に流れる予告編は完全に内容をすべてダイジェストで見せていました。「クライマックスは劇場で!」と藤原某が言った瞬間に「クライマックス手前まで見せたのかよ!!!」と突っ込んだのは私だけでは無いはずです。でまぁ実際に本作を見てみると、本当にラスト2分くらいまでを全部見せているわけですw この宣伝姿勢から見える作品への敬意や愛のなさと、そして質を無視した芸能人テンコ盛りな吹き替え陣が、間違いなく本作の価値を目減りさせています。
幸い何カ所かでは字幕版も公開されていますから、もし本作の宣伝に抵抗があるかたはそちらを選ばれた方が良いかもしれません。さすがに4作目なのでもう慣れましたが、それでも主役2人含めて違和感の多い吹き替え陣です。あまりにも山寺さん一人が上手すぎてドンキーの早口長台詞が浮いちゃってますしね。

【まとめ】

本作はシュレックのフィナーレに相応しいキャラものファンサービス満載の作品です。それだけに鑑賞にあたりシリーズを全てチェックしていることは前提になっています。是非子供連れで冬休みにご覧になっては如何でしょうか? 今年の洋画系冬休み映画はチェブラーシカとこれぐらいしか子供向けがありませんから、十分に選択肢に入ってくる良作だと思います。

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シュレック フォーエバー」への1件のフィードバック

  1. カテゴリーから 映画感想 を拝見しています。
    シュレック は まだ パート1しかみていなです。(面白いです)

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