ファイナル・デッドサーキット3D

ファイナル・デッドサーキット3D

二本目は「ファイナル・デッドサーキット3D」です。
なんか今週はホラーばっかり見てる気がします。
評価:(40/100点) – 3Dの嫌な使い方と吹き替え問題


<あらすじ>
ニックは友人とカーレースを観戦していたが、突然事故の予知夢を見てその場を立ち去る。するとサーキットで予知夢通りの大事故が起き、多くの死者がでてしまう。しかし助かった人間達にも死の運命が襲いかかってきた。
<三幕構成>
第1幕 -> サーキット場の大惨事
 ※第1ターニングポイント -> カーター・ダニエルズが事故死する。
第2幕 -> 次々に人が死んでいく
 ※第2ターニングポイント -> ジャネットが助かる
第3幕 -> 映画館での大惨事と終幕


<感想>
本作は「ファイナル・デスティネーション」シリーズの四作目です。このシリーズは全体のプロットはまったく同じです。冒頭に大事故が起きて数人が助かりますが、彼らには「死ぬ運命」がついていて、結局何らかの事故で死んでしまいます。ドラマも大してありません。言うなれば、「いかに細かい出来事を連鎖させて(面白く)人を事故死させるか」という部分を徹底的に研究している非常にストイックなブラックコメディです。
さて、このブラックコメディは1996年にテクモから発売された「刻命館」というゲームのシリーズに影響を受けています。このゲームは「罠ゲー」と呼ばれる独自性の強いホラーゲームで、主人公の館に侵入してくる敵を罠に仕掛けて次々にハメ殺していくという凄い内容のものです。このゲームはホラーとコメディを非常に上手いさじ加減で融合させて大人気になりました。「床の油で滑ったら、柱に頭をぶつけて階段を転げ落ちたあげく、暖炉に突っ込んで服に火がついた直後に、天井からシャンデリアが落ちてきた。」というように「泣きっ面に蜂」を大げさに重ねることで他人の不幸を笑おうという趣旨の嫌~な感じで楽しむゲームです。
このファイナル・デスティネーションシリーズの趣旨も全く同じで、細かい偶然がどんどん連鎖していくことで、しまいには人間が死んでしまいます。そして連鎖から死に至るまでのクリエイティビティが余りに高いために、一種の芸術性すら帯びている変テコなシリーズです。超ブラック。そして超悪趣味。でもちょっと面白い。ホラーと呼んでいいのかすらよく分からない、「珍しい生活事故のアイデア集」です。
さて、本作「ファイナル・デッドサーキット 3D」ですが、シリーズ初の3Dということで、いかに3Dを利用してクリエイティビティを広げてくるかが一つの見所になっています。結論から言いますと、良かったり悪かったり、過去作と比べると結構微妙な内容です。ちょっと偶然と呼ぶには強引な演出が多く、不自然なシーンが結構あります。
ただし本作は3Dを上手く利用しています。作中でもいろいろな「とがったもの」がどんどん飛び出して来て、思わずのけぞってしまうほどです。釘やら木片やらが目の前に飛び出してくるのは、生理的に嫌ですし本当にビックリします。いままでの3D映画にはなかった実験的な使い方をしているとても意欲的な作品です。
■ 吹き替えの問題
これは是非配給会社の方も真剣に考えていただきたいのですが、吹き替えがあまりにも酷すぎます。最近では「くもりときどきミートボール」もそうでしたが、3D映画が吹き替えのみで公開されることが増えてきています。おそらく3D映画で字幕を出すと目が疲れやすいという配慮だと思いますが、一方で吹き替えが酷いときに回避策が無いという深刻な状況を生んでいます。特に本作は素人芸能人のオンパレードで、ことごとく大根役者がそろっています。もはや文化祭レベルの棒読みオンパレードで情緒もへったくれもありません。字幕という選択肢が無い以上、この吹き替えも込みで映画の評価とせざるを得ませんから、本作の評価は作品内容以上に低くなってしまいます。もしかするとDVDでは字幕が付くかもしれませんが、是非劇場でも字幕版を上映していただきたいです。消費者に選択肢すらないのは非常につらいです。
<まとめ>
はっきり言ってドラマは全然面白くないですから、本作の評価はその「珍しい死に方」がいかに面白かったかにかかっています。こればかりは個人個人の趣味ですので、是非見てみてください。ただし、本作は非常に作り物っぽい・安っぽい演出ですが、結構ゴア(残酷)な描写があります。ブラックコメディとはいえ、残虐描写が苦手な方は止めといた方が良いでしょう。嫌なのを我慢してまで見るほど面白くはありません。
また、もしこのシリーズを見たことが無い人は、是非一作目の「ファイナル・デスティネーション」と二作目の「デッドコースター」をDVDで見てみてください。僕たちの身の回りには危険がいっぱいです。

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