パーマネント野ばら

パーマネント野ばら

昨日見ましたのは

「パーマネント野ばら」です

評価:(80/100点) – クライマックスが不満だが、上質な雰囲気映画。


【あらすじ】

なおこはバツ一子持ちで故郷の宿毛に戻ってきた。母の「パーマネント野ばら」を手伝いながら、恋人のカシマや親友のみっちゃん・ともちゃん達と日々を過ごしていく、、、。


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【感想】

さて、昨日見てきましたのは、「パーマネント野ばら」です。観客は6名、雨の日のレイトショーにしては入っている方だと思います。気になって数えたら、本作が今年100本目の映画でした。節目の100本目が面白い映画でちょっとホっとしています(笑)。
本作は、一言でいってしまえば「閉じた田舎の社会で悲惨ながらも逞しく生きる女性達」を描いた映画です。本作には数えるほどしか男性が映りません。それも各キャラの父親と旦那ばかりで、なおこの恋人・カシマ以外は揃いも揃ってダメ人間です(笑)。そういった意味では、昨年映画化されました「女の子ものがたり」とほとんど同じ内容です。しかし、吉田大八という「アクの強さ」によって、本作は特殊な多幸感に包まれています。

今作に出てくるメインの三人、菅野美穂・小池栄子・池脇千鶴は揃ってすばらしい演技を見せてくれます。そしてみっちゃん・ともちゃんの超悲惨な現実をポジティブに見せてくれます。本作はある意味では吉田大八の大きな特徴--キ○ガイを特別視せずに描くことで歪んでるのに幸せな世界を描くという資質に適しています。フィルム内の世界そのものが躁状態と言いましょうか、何があってもオールOKな感じがとてもドラッギーで私は大好きです(笑)。

冷静に考えると、話として変だったり適当だったりする箇所は多々あります。例えば、みっちゃん・ともちゃんは悲惨な人生を逞しく生きているにも関わらず、実は主役のなおこは言うほど悲惨ではありません。途中で別れた旦那が出てきますが、子供も懐いていますし、フィルム上は礼儀正しい男性に見えます。っていうかフィルムを見る限りだと離婚の原因がなおこにあるんじゃないかと思えてなりません。少なくとも、離婚のショックでおかしくなったようには見えません。そしてラストの描写でどうも彼女がイかれたのはかなり昔だということが分かります。

実は原作未読で映画を見たんですが、どうもこの辺りって原作から設定を変えているようなんですね。映画の描き方ですと、ストーリーがなおこの独りよがりに思えてきてしまいます。なので、思い切って、ラストの出オチはあえて見せなくても良かったのではと思います。あそこを具体的に描写してしまうと、単に過去を引きずっているように見えてしまうんです。話の趣旨としては「別に本人が幸せならなんだっていいんじゃないの?」っていう方向なのですから、やはりその点はあくまでも具体的なエピソードではなくボカして欲しかったです。

【まとめ】

クライマックスに不満が一杯なんですが全体としてはとても良く出来た面白い作品だと思います。悲惨なのにどこかホンワカするというか、とっても満腹感のある作品でした。何にせよ、もっとお客さんが入ってもいいと思える良作ですので、是非お近くに上映館がある方は劇場へ足をお運びください。
だいぶ飛び道具な作品ではありますが、こういうのはツボです。原作も読んでみようかと思います。
余談ですが、吉田大八で言えば、去年の「クヒオ大佐」は全然ダメでしたが、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」は大好きでいまでもちょくちょく見返しています。もしよろしければ、レンタルDVDででもご覧になってみてください。変な作品ばっかり撮る監督です(笑)。

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