冷たい雨に撃て、約束の銃弾を (原題:復仇)

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を (原題:復仇)

2本目は

「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を (原題:復仇)」です。

評価:(90/100点) – 漢たちの熱く切ない友情物語


【あらすじ】

マフィアの襲撃を受けて娘が重傷となり孫と娘婿を亡くしたコステロは、娘から犯人がトリオであることを聞き復讐を誓う。たまたま出会った三人組の殺し屋に、コステロは娘の仇の捜索と復讐の手伝いを持ちかける。報酬はわずかな金と腕時計とパリにある自分のレストラン。承諾した三人組とコステロは、いつしか友情にも似た連帯を見せていく。しかしコステロの頭部にはかつて受けた銃弾が残っており、徐々に記憶を失っていく運命であった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> コステロの娘家族が襲われる。
 ※第1ターニングポイント -> コステロがクワイ・チュウ・フェイロクを雇う。
第2幕 -> 実行犯の殺害と、黒幕の判明。
 ※第2ターニングポイント -> 三人が殺される。
第3幕 -> コステロの復讐。


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【感想】

本日の二本目は香港ノワールの巨匠にして00年代を代表する世界的監督・ジョニー・トーの「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」です。ジョニー・トーの映画は日本ではビデオスルーが多く不遇なのですが、今回はそこそこの公開規模ではありますので、まずは素直にファントムフィルムに感謝いたします。あ、ちなみに私は叶井俊太郎が大嫌いなんで、やっぱ感謝撤回(苦笑)。夜の回でしたが、観客は10人ぐらいでした。あまり宣伝していない作品としてはこんなもんだと思います。
3月の大阪アジアン映画祭で来日したジョニー・トーが「なんで日本ではこんなに長いタイトルなんだ? 香港では2文字だぞ。」と怒ってらしたので、監督の意向を受けまして私は以後原題どおりに「復仇」とよばせていただきます(笑)。っていうか、「復仇」って日本語でも普通に使いますし、、、配給会社の宣伝担当は知らなかったんでしょうか? そもそも本作で「約束の銃弾」を撃つのは「冷たい雨」の中じゃないんですけど(笑)。こういうセンスの無い邦題は本当に酷いです。100歩譲って、英語タイトルの「ヴェンジェンス」か「復讐」です。
さてここからが本題ですが、やはりジョニー・トーと言いますと、「男達の熱い友情」「これでもかと乱れ飛ぶ弾丸」、そして「不思議な舞台を使っためずらしいガン・アクション」が特徴です。その意味ですと、本作はフランスとの合作ながら、間違いなくジョニー・トー印の香港ノワール映画です。
なんといっても、殺し屋三人組が魅力的すぎます。
・冷静沈着なクワイ。
・生真面目な相方のチュウ。
・食いしん坊のコメディキャラ・フェイロク
三人とも香港ノワール映画の常連でベテランですが、この三人が本当にすばらしいトリオっぷりを見せてくれます。そして人種的にもチーム的にも異物であるコステロがスパゲティを一緒に食べることで完全に仲間となるシーンも素晴らしすぎます。やっぱりね、漢(おとこ)は一宿一飯ですよ(笑)。
そして肝心のタイトルにもなっている復讐です。特にコステロが記憶をなくしてからの展開は男泣き必至です。「彼は覚えていないかも知れないが、俺は約束した。」という名セリフとともに死地に赴くクワイは格好よすぎですし、その意志を受けるコステロの祈りのシーンも秀逸です。余談ですが、祈りのシーンで娘さんがでてきますので彼女はフランスに移送された後でおそらく死んでしまっています。このコステロの祈りからはもう完全に涙腺決壊です(笑)。
結局、記憶を無くした彼は娘家族のためではなく三人の友のために復讐をするわけです。まさに女子供は立ち入り禁止の世界(笑)。
ただただ、悲壮さを叩き付けてくる展開を見ながらさめざめするしかありませんでした。ヤバイっす。相当ヤバイっす。

【まとめ】

本作のすばらしさを説明しようとするとどうしても細部にいってしまいますので、あまり書けないもどかしさがあります。
ただ確信を持って言えるのは、この映画は絶対に劇場の大スクリーンで見ておくべきだって事です。
銃弾が飛び交って、マフィアが殺し合いをしていて、でもその中に確かな優しい人間ドラマが入ってるんです。これぞフィルム・ノワールの醍醐味。是非劇場でご覧下さい。

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