2012

2012

今冬公開作で最も宣伝している「2012」を見てきました。

評価:(15/100点) – ローランド・エメリッヒのいつものやつ。


【あらすじ】

2008年インドで地温の上昇が観測される。近い将来に大規模な地殻変動が起き未曾有の災害に発展すると予想したヘルムズリーは、アンハイザー米大統領首席補佐官にコンタクトをとる。アメリカを中心とした世界約40カ国はこの災害を乗り切るために中国で巨大艦を建造することとした。そして2012年、予想通りに地震が多発し始める、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ジャクソンが子供達を連れてキャンプに行く
 ※第1ターニングポイント -> キャンプ場でチャーリー・フロストより終末の予言を聞く
第2幕 -> 大災害
 ※第2ターニングポイント -> チベット僧ニマの車に乗せてもらう
第3幕 -> 巨大艦の内部でいろいろ。エンディング。


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【感想】

内容に対して尺が長すぎます。ただ災害から家族で逃げてるだけなのに158分って、、、いくらなんでも冗長すぎるし無駄なシーンが多すぎます。私は序盤のセスナ機が離陸するぐらいで既に飽きてました。

■ エメリッヒ監督の”ディザスター・ムービー”

ローランド・エメリッヒはいわゆる”大災害モノ”で有名な監督です。宇宙人が侵略してくる「インディペンデンス・デイ」、恐竜が襲ってくる「GODZILLA」、氷河期がいきなりやってくる「デイ・アフター・トゥモロー」、別部族にいきなり攻められた弱小部族の反撃を描く「紀元前1万年」、み~んなやってることは一緒です。「緻密」とか「丁寧」とか「良くできた」などとは無縁な超大味で適当な脚本を使って、ひたすら大金をぶち込んだCGを見せるための映画です。「ピガー」「ちゅドーン」「ドッカ~ン」でエンドクレジット(笑)。早い話がテレビゲームのCGムービーだけ見てるようなものです。話なんてどうでも良いんです(笑)。
また、エメリッヒを語る上で絶対に外せない要素が二つあります。それは「家族愛」と「アメリカ神話」です。
とにかくクドい程に繰り返される家族愛とアジテーションのようなアメリカ神話を許せるかどうかが、エメリッヒの評価の全てです。

■ 「2012」におけるエメリッヒ要素

本作では冒頭からしつこいほどジャクソンと元妻・子供達の関係が描かれます。また、アメリカ大統領(きちんと黒人です)がとんでもないナイスガイになっており、アンハイザーの外道っぷりとの対比がそれを加速させます。しかしですね、今回はそこまで「アメリカ万歳!」という感じはしません。それ以上に、前者の「家族愛」がものすごい曲者です。
一応は主役格として登場するジャクソンですが、この人物は自己中心的な行動を全編通して繰り返します。「自分と家族のためなら全員死ね」と言わんばかりに周りに迷惑をかけまくり、利用しまくり、元妻の恋人まで殺して、最後は親子4人で日の目を見る「美談シーン」にこぎ着けます。こいつのために何万人死んだかは分かりませんが、少なくとも千人単位では死んでます。終盤にサスペンス的なイベントを盛り込んできますが、これもよくよく考えるとジャクソンのマッチポンプです。本当に酷い事になっていまして、とてもじゃないですがディザスター・ムービーの主役としてはどうかと思うほどのキャラクターです。そして許し難いことに、そのすべてが「家族愛」で片付けられてしまいます。
また通常のディザスター・ムービーで必要な要素に「日頃の行いと死の関連性」があります。簡単に言うと「嫌なやつは死に良いやつは生き残る」という因果律ですが、本作ではいまいち有効に活かされていません。すごい嫌なやつであるユーリとその息子も、最終的には”絵に描いたような家族愛”に着地しますし、最も嫌な奴であるアンハイザーは盤石の体制で生き残ります。

【まとめ】

本作は「どこまで細かい所を気にせずに見られるか」という観客のリテラシーに強く依存した作品です。もしあなたが映画をよく見るタイプなら、本作のメッセージに嫌気がさして前半で飽きてしまうでしょう。もしあなたが話を気にせず雰囲気で泣けるのであれば、号泣できます。
そしてここが良く分からないのですが、劇場に観客がかなり入っています、昨日も行ったシネコンでは朝一とレイトショー以外は全て完売でした。まぁ宣伝をバンバンしてますし三連休でもありますから入ってるだけかもしれません。一応ソニー・ピクチャーは「ハリウッド超大作」として売り込んでいますが、はっきり言ってCGにお金が掛かってるだけで、そこを除けばただの糞映画です。もし2009年現在のCGモデリング技術を大画面で見たいのであれば、オススメです!



でも一発ネタで2時間30分はやり過ぎですよ。

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