ランナウェイズ

ランナウェイズ

3連休の1本目は

「ランナウェイズ」です。

評価:(60/100点) – 初期衝動だけで突っ走る青春物語


【あらすじ】

ロサンゼルスに住む16歳のシェリー・カーリーと双子の姉マリーは奔放な母とアルコール依存症の父の離婚でぐれていた。タバコや酒は当たり前。夜な夜なディスコに繰り出し自堕落な生活を送っていた。
時を同じくして、1歳上のジョーン・ジェットはロック・スターに憧れギターを勉強していた。ある日ジョーンがクラブを出ると、そこに有名な音楽プロデューサーのキム・フォーリーを見つける。キムに声を掛けたジョーンはその場で女性ドラマーのサンディ・ウェストを紹介される。キムはこの二人がモノになると考え、当時男の物だったロックの世界に「女性ロック・バンド」というギミックで乗り込む事を考える。必要なのはブリジット・バルドーのようなセンターを飾るセックス・シンボルである。スカウトに出かけたキムは街のクラブでシェリー・カーリーに声をかける。こうしてシェリーとジョーンは出会い、そして「ザ・ランナウェイズ」を結成する、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ジョーンとキムの出会い。
 ※第1ターニングポイント -> キムがシェリーに声を掛ける。
第2幕 -> 「ザ・ランナウェイズ」結成とドサ周り。そしてメジャー契約。
 ※第2ターニングポイント -> 日本ツアー
第3幕 -> 仲違いとその後。


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【感想】

3連休の1本目は「ランナウェイズ」です。70年代にスポット的に活躍した「ザ・ランナウェイズ」のボーカル・シェリー=カーリーの自伝「ネオン・エンジェル」の映画化です。トワイライト・シリーズのクリステン・スチュワートとご存じ天才ダコタ・ファニングのダブル主演で昨年話題になった映画で、由緒正しきアイドル映画です。アイドル映画にしては珍しく結構お客さんが入っていました。
私、実はザ・ランナウェイズは名前しか知りませんでした。っていうか「ジョーン・ジェットの最初のバンド」ぐらいの認識しかなかったので、てっきりジョーンがメインだと思って映画も見に行きましたw
本作は原作の著者であるシェリー・カーリーを中心に進んで行きます。彼女が初期衝動を爆発させ、そして駄目な日常から抜け脱しロックスターとなり、でも結局挫折して駄目な日常へと戻っていきます。本作ではその初期衝動を一過性の青春として描きます。
ただーーこれはシェリーの自伝なので仕方がないことですがーーどうしてもシェリーの言い分が前面に出てきてしまうためストーリーにはイマイチ乗り切れない物があります。本作を客観的に見ると、どう考えてもシェリーが自分勝手にジョーンの夢・情熱の具現化であるバンドをブチ壊したようにしか見えません。アルコール・ドラッグ中毒で、短気で、そしてロックへの情熱もそこまで無いシェリーが、奔放に振る舞えば振る舞うほど周りとの軋轢が生じていき、ついにバンドは空中分解してしまいます。本作では随所にそれを「他人のせい」にする描写が出てきます。初期には自分勝手な母親のせいであり、中盤ではアルコール中毒で自堕落な父親のせいであり、後期ではプロデューサであるキム・フォーリーの無理解のせいです。特に後半は「キムは自分たちを商品としてしか見てない」ばりの事を平気で言ってきます。どん底だったシェリーをフック・アップしてくれた恩人に向かってそれは無いだろ、、、とか思うんですが、どうにも要領を得ません。
ただ本作がズルイのは、そういったシェリーのワガママな部分すらダコタの愛嬌を使って「青春だから仕方ないんですよ」と説得してくる所です。結局、本作におけるシェリーは奔放で手に負えない女王様であり、そしてそのセクシーさ=小悪魔っぷりでもってそれすら周りにあきらめさせてしまうような魅力的な人間として描いてくるわけです。そんな離れ業は普通の子役ではまず無理なんですが、それをよりによって当代一のダコタ・ファニングを使って彼女自身の魅力でねじ伏せてくるという、、、ここまで行くとはっきり言って反則です。
早い話がシェリー役にダコタをブッキングした時点でこの映画は勝ちです。酷い話しです、、、(汗
もちろん本作のもう一人の主役であるクリステン・スチュワートもかなり頑張っています。トワイライトの1作目の頃から「たくましいアゴ」「目つきが悪い」と言われ続けてきた彼女に、まさかこんなハマリ役があるとは思いませんでした。まずそもそもジョーン・ジェットと顔がそっくりですし、ケツアゴが男らしさの表現とマッチして本当にロックスターに見えてきます。たたずまいは完璧です。是非今後もこの路線で行って欲しいです。
ストーリー自体はいたってシンプルですが、それでも役者の魅力だけで120分持たせるというのは相当なものです。もちろん歌に関しては「お察し下さい」レベルですが、元ネタのザ・ランナウェイズ自体も上手いわけでは無いのでそこは全然問題無いでしょう。とにかく全編通じて、シェリーの「私達はイロモノじゃない」「ちゃんとやってた」「無理解なキムが全部悪い」「今はちゃんと薬物から更正して良くなった」というメッセージがビンビンに伝わってきます。ダコタが不良メイクから始まって最後は清純派メイクになるところがポイントですw最後のシーンなんてちょっとぼかしが入ってますしw
ですからシェリーが挫折したロック道をジョーンがまだ突き進んでいるっていうノスタルジックな着地にしたのは素晴らしいまとめ方だと思います。青春を過ぎて大人になった自分が居る一方で、年を取ったのにまだ青春のまっただ中にかつての仲間が居る。それだけで十分に素敵な映画です。
ダコタやクリステンが好きな人は絶対に押さえておいた方が良いですし、なにより青春物語として普遍的なものは持っている作品です。上映館がかなり少ないですが、お近くで上映している方にはオススメです。劇場で「I Love Rock’n Roll」を聴くと本当にテンション上がりますよ。

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