ふと気の迷いから、「携帯彼氏」を見てきました。
評価: – D級ホラーだと思ったらB級アイドル映画だったの巻
<あらすじ>
女の子の間で話題沸騰の携帯彼氏(=ポストペット?)。ただの擬似恋愛ゲームだが、恋愛ゲージが0か100になると死ぬという噂が流れる。そんな中、実際に里美の周りでも不可解な死亡事故が次々と起こる。里見は真相を探るべく捜査を開始するが、、、。
<三幕構成>
第一幕 -> 里見の周りで携帯彼氏が原因と見られる死亡事故が連続で起こる。
第二幕 -> 里見がふとしたきっかけで高原直人の携帯彼氏を手に入れる。そして由香関連の色々。
第三幕 -> 解決編。
<感想>
もう何も言えません。いちいち真面目にツッコんだ方がよいのか、ただ呆れた方がよいのか、、、悩ましいです。そもそもこれはホラーではありません。それどころか怖いと思う(思わせようとする)描写が一つもありません。ひとえに「ホラーの文法」が全くできていないからですが、かといって劇映画として見るには物語が破綻しています。今回はどこが破綻したのかを考えながらグチりたいと思います。なので、携帯彼氏を夜も眠れないくらい楽しみにしている諸君はいますぐブラウザを閉じてください。マジ無理。
ストーリー(=劇中設定)について、根本的な破綻が二つあります。それは見た人なら一発でわかるように「携帯彼氏サービスの運用方式」と「携帯彼氏のメカニズム」です。
いきなりネタバレしますが、携帯彼氏サービスは「配信サーバで人物データを管理」し、ユーザは会員登録することでサーバから携帯彼氏プログラムをダウンロードします。つまり買切型ないし月額課金型のゲームで、基本はクライアントのローカルで動くプログラムです。さて劇中で流行っている携帯彼氏ですが、物語のラストで特に管理者がいない廃墟ビルのなかのサーバラックで運営されていることが明らかになります。運営会社が実在するかどうかまでは語られませんが、少なくとも設置ビルは完全に閉鎖されています。
「ハード保守は?」とか「DBのメンテは?」とか「回線や電気の維持費用は誰が出してるの?」とか色々ありますが、一番のツッコミは何で警察が運営会社を調べたときに分からなかったのかです。もはやグダグダ。だいいち、ゲームで人が死ぬみたいな美味しいゴシップネタがあれば、どこかのタブロイド系雑誌が速攻で運営会社を調べると思うんですが、、、。つまり根本的に「ミステリアス」にすらなってないんです。だって現場に行けば分かるんですもの。駄目だこりゃ。
さらに輪をかけて酷いのが、携帯彼氏のメカニズムです。携帯彼氏の「呪い」は、かつて雑居ビルでレイプサークルが被害者の女子もろとも焼死した際に上の階の携帯彼氏サーバに「死んだ人間の魂が入った」ために発生したと説明されます。つまり怨念です。劇中でもバッテリーの切れた携帯電話上で携帯彼氏が突然起動するなど、その「呪いパワー」は描かれます。さらには、携帯彼氏の入った携帯電話に他人が電話をかけると、携帯彼氏が妨害したりするんです。つまり非科学的存在で携帯電話を操れる訳です。呪いなんだから当たり前ですけどね。ところが映画のラスト、呪いを止めるために里見は「携帯彼氏サーバからデータの消去プログラム(=修正パッチ)を配信する」んですね。なんでその通信は邪魔しないんでしょうか?というかプログラムで消えたら非科学的存在じゃないわけで、、、。一応、「目には目を」「呪いには呪いを」ということでレイプ被害者・女子のデータを配信することで最後は呪われた携帯彼氏を消滅させて着地しますが、なんだかなぁ。しかも他のデータが消えてるのに高原直人だけが夜明けまで粘れたり、、、基準がよく分かりません。
結局、話の展開が全部行き当たりばったりで、その瞬間・そのシーンのことしか考えていないんです。だから通しで見ると無茶苦茶で収拾がつかなくなってるんです。また一つ携帯小説とやらのレベルのすさまじさが浮かび上がってしまいました。読んだこと無いのであくまで推察ですが、たぶん原作の携帯小説は、暇なときにちょっとづつ携帯電話で読むことを想定してるために通しでスクリプトのチェックをしてないんだと思います。
もう、携帯小説を映画化するの辞めませんか?
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と、ここまでボロカス書いてみたんですが、その割に35/100点とはどういうことかというと、、、、
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この映画はアイドル映画として見た瞬間に評価が急上昇します!まさに綾瀬はるか主演「僕の彼女はサイボーグ」状態!
とにかく川島海荷が超可愛い。話が酷かろうが、演出が酷かろうが、そんなことはどうでも良いくらい可愛い。
アイドル映画の水準としては「BALLAD 名もなき恋のうた」なんて遥かに超えています。
と言うことで、アイドル映画が好きな男の子と、ストーリーとか気にしない頭の軽い女の子にはオススメです!!!