カールじいさんの空飛ぶ家

カールじいさんの空飛ぶ家

「カールじいさんの空飛ぶ家」を見てきました。
3Dで見るか迷いましたが、最初なんで2D字幕にしました。

評価:(90/100点) – 号泣でございます。本当にすみません。


【あらすじ】

冒険好きの少年カールは「スピリッツ・オブ・アドヴェンチャー」号の冒険家チャールズ・F・マンツに憧れていた。カールは同じく冒険好きの少女・エリーと恋をする。彼女の夢は、マンツが行ったという「楽園の滝(Paradise Falls)」の上に家を建てて暮らす事だった。結婚したカールは動物園の風船売りとして子供がいないながらも日々を幸せに暮らしていく。しかし、エリーに先立たれて状況が一変する。地上げ屋に難癖をつけられる形で、彼はエリーとの思い出が詰まった家を離れ老人ホームに入らねばならなくなってしまった。老人ホーム入居の朝、カールは家にたくさんの風船を付けて空の冒険に出ることにした。目的地はマンツが行った「楽園の滝」。亡きエリーを連れて行くと約束した夢の場所だった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> カールとエリーの出会いと結婚。そしてエリーの死。
 ※第1ターニングポイント -> カールが旅に出る。
第2幕 -> 楽園の滝への冒険。マンツとの出会い。
 ※第2ターニングポイント -> カールと家が楽園の滝にたどり着く。
第3幕 -> ケヴィンの奪還。


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【感想】

まず最初に言わなければならないことがあります。この年末になって今年のトップ5クラスの映画が出てくるとは正直思っていませんでした。最高です!!!本気で号泣すること2回。ヤバイっす。マジでヤバイっす。今回は様子見で2D版を見ましたが、たぶん3D版も近日中に行きます。本作は幸いなことに3Dかつ字幕の映画館がクリスマスキャロルより増えています。これは大変喜ばしいことです。今後の作品も是非、3D字幕をやっていただければと思います。
本作はごちゃごちゃ言わなくても、素晴らしいストーリーと素晴らしいCGでもう文句なくオススメです!!!
ただ、ブログでピクサー作品を扱うのは初めてですし、せっかくなんでディズニー周りについて考えてみたいと思います。

アシュマンとピクサーとジョン・ラセターとディズニー復活について

ディズニーといえば、ミッキーを筆頭とするアニメーション映画が有名です。私の子供の頃には「宝島」とか「メリー・ポピンズ」とか実写も良く見ましたが、やっぱり柱はアニメーションです。
ここではディズニーのアニメーションの歴史と現状をざっくりと確認したいと思います。

ディズニーは1937年に初の長編アニメ「白雪姫」を世に出して以降、おとぎ話や有名な児童書を次々と映画化してアニメ界の頂点に長いこと君臨しました。しかし1973年の「くまのプーさん」以降は暗黒期に突入します。実写映画でなんとか食いつないでいたディズニーを救ったのは脚本・作詞家のハワード・アシュマンと作曲家アラン・メンケンのコンビでした。この2人によりミュージカル要素を取り入れたディズニーアニメは80年代中盤から再び黄金期を迎えます。
ところが1992年、「アラジン」制作中に41歳の早さでアシュマンが亡くなってしまいます。これだけでもディズニーアニメには大打撃だったのですが、その後決定的な出来事が起こります。70年代~80年代のディズニーを支えた名アニメーターのドン・ブルースとゲイリー・ゴールドマンが20世紀フォックスの出資を受けて対ディズニーで本格的にアニメ映画制作に取り組み始めます。これに同調する形でディズニーのスタッフ達が離脱、ディズニーのアニメ部門は内部崩壊してしまいます。
さらにこれを機にディズニーは既存作品のスピンオフをビデオスルー(映画館でやらない作品)で制作し始めて、崩壊が決定的となります。新しい作品を作れる人がいないから既存のブランドで食べて行こうとした結果、ブランド力がなくなっちゃった訳です。当時ディズニーのCEOだったマイケル・アイズナーの完全に失策でした。こちらのディズニー作品リスト(wikipedia)を見ていただくと分かるように、アラジン以降は本当に悲惨です。
ディズニーに影響を受けた手塚治虫のジャングル大帝をパクリ返した「ライオン・キング」、アメリカ先住民のどうでもいい恋愛を描いた「ポカホンタス」。この辺りまではまだ知名度がありましたが、「ノートルダムの鐘」「ヘラクレス」「ムーラン」「ターザン」なんかは知名度も落ちてますし、見た人も少ないと思います。その一方で「美女と野獣3:ベルのファンタジーワールド」みたいな誰も喜ばないビデオを作ったりしてまして相当にグダグダだったんです。
そういった危機的な状況の中でディズニーを支えたのが、ジョン・ラセターを中心とするピクサー・アニメーション・スタジオです。ピクサーは元々コンピュータ機器の製造・販売会社です。1986年にアップル・コンピュータのカリスマ・スティーブ=ジョブスが買収・CEO就任以降、新規事業として3DCGの制作請負を始めました。
そして1991年にディズニーと3本の劇場用長編作品の制作契約を結びます。4年間の長期制作期間を経て1995年、低迷するディズニーからピクサースタジオ第1作目が公開されます。これが大ヒットとなった「トイ・ストーリー」です。1995年の興行収入第1位となった同作で、ディズニーはピクサーとの長期契約を決めます。以降はヒット作を連発、そのハイレベルな作品と手堅い興行収入により、監督・総制作のジョン・ラセターはアニメ界にその名を轟かせます
しかし2004年、ディズニー以外の可能性を探るピクサーとドル箱を離せないディズニーの間で一触即発の契約抗争が起きます。ピクサーとしては別に配給がディズニーじゃなくても良いわけですが、一方のディズニーはほとんどピクサーに食べさせてもらってる状況だったため何としても引き留めねばなりません。そんなこんなで2006年、ディズニーはピクサーを買収します。
実はこの買収について、多くの映画評論家・アニメ評論家が誤解しています。この買収は面白いことに、買収したディズニーよりも買収されたピクサーの方が立場が上なんです。現にピクサーとの契約抗争の責任を取って、アニメ低迷の原因を作ったCEO・アイズナーは2005年に任期満了目前で引責退任し、株主総会ではピクサーとの関係修復議案まで飛び出ました。2006年5月のピクサー買収直後、ジョン・ラセターはディズニーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任します。横文字で分かりにくいですが、日本風に言えば「アニメーション部門 制作統括本部長」でして、要はアニメ部門で社長の直下、一番偉い人です
つまりピクサーの柱で今やディズニー子会社の一社員となったジョン・ラセターは、ついに本丸ディズニー・アニメの船長も任された訳です。ということで、ラセターは名実共にディズニー・アニメの大黒柱となりました。イメージ的にはディズニーがラセターに泣きついたような状況です。これはすごいことです。何せ社員を一人獲得するのに社長が辞任させられちゃうんですから。
そして、ついに来年3月にラセター体制になって復活した初の長編フルアニメーション映画「プリンセスと魔法のキス」が公開されます。これはもう公開初日に見に行くしかないわけですよ!
だって1992年にアシュマンが亡くなって以降まともな長編アニメは作られてないわけです。ディズニーも公式には「5年ぶりの長編アニメ復活」と言ってますが、はっきりいって「18年ぶりの”まともな”長編アニメ復活」です。ラセターの実力とやる気がハンパじゃないのは、「WALL・E」「ボルト」「カールじいさんの空飛ぶ家」と立て続けに3本も傑作を送り出したことからも明らかです。
現代のカリスマ・ジョン=ラセターを獲得したディズニーが再び黄金期を作れるのか?「プリンセスと魔法のキス」はその試金石となる作品です。ということで、今からワクワクしながら待ちわびています。
あ、、、、「カールじいさんの空飛ぶ家」と関係無い長文を書いている、、、、すみません。

【まとめ】

細かいことは良いので、是非映画館に行ってください。悪いこと言わないですから行った方が良いです。大人も子供も楽しめる、笑いあり涙ありの大傑作です。
文句なしで、冬休み、ご家族で一本行くならこの映画です!!!
さすがにイングロリアス・バスターズとかアバターとかパブリック・エネミーとか家族で見られないですからね(苦笑)。

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記事の評価
Disney’s クリスマス・キャロル IMAX 3D版

Disney’s クリスマス・キャロル IMAX 3D版

「Disney’s クリスマス・キャロル IMAX 3D版」を109シネマズ川崎で見てきました。
レイトショーだったからか、カップルばかりで子供連れがほぼ皆無でした。
評価:(80/100点) – 3D映画って超楽しい~!!!


<あらすじ>
ロンドンで会計事務所を営むスクルージは強欲で血も涙もない男である。彼はクリスマスイブにいつものように店を閉めると、書記のクラチェットに悪態をつきながら家路についた。その晩、スクルージの元に七年前に死んだ共同経営者のマーレイの亡霊が現れる。石と鎖でがんじがらめになったマーレイは、スクルージに徳高い人生を歩むよう説教する。そしてスクルージの元に三人の精霊が訪れ、それが最後のチャンスだと言い放って消える。その直後にドアベルがけたたましく鳴った、、、。
<三幕構成>
第1幕 -> スクルージの事務所に甥が訪ねてくる。彼の普段の行い。
 ※第1ターニングポイント -> スクルージの元にマーレイの亡霊が訪ねてくる。
第2幕 -> スクルージと三人の精霊
 ※第2ターニングポイント -> スクルージが墓場で「まだ来ぬクリスマスの精霊」に改心を約束する
第3幕 -> 生まれ変わったスクルージ


<感想>
本作は、おそらく誰しもが知っている古典的名作の映画化です。過去に何度も映画化されていますし、ディズニー自身でも「ミッキーのクリスマスキャロル」というアニメがあります。ドナルドの伯父さんであるスクルージ・マクダックが主演で、ディズニーの人気キャラ総出演の「お遊戯会」的な作品です。
なにせ150年以上前の本ですから(笑)、今更ストーリーの目新しさだったりネタバレのようなものはありません。でも語り継がれるにはそれなりの理由があります。疑いようのないキリスト教の道徳話でありながら、いわゆる神への信奉や信心には向かわずに施しと協調精神に向かうところが、この話に一般性・普遍性を持たせています。そこまで長い作品でもありませんので、ストーリーについては原作を読んでいただいて、ここでは「Disney’s」と謳う3D部分を語りたいと思います。
■ 3D映画って超楽しい!!!
本作は、一部の劇場では3D版と2D版を同時上映しています。私は字幕かつ3Dを探した結果、せっかくなのでIMAXシアターを選びました。値段はちょいと高いですが十分満足の出来です。
全編を通じて3Dであることを意識したカット作りがなされています。空を飛ぶにせよ追いかけられるにせよ、すべて奥行きを意識した構図となっています。そのおかげでこれでもかというほど3Dの楽しさが表現されます。とにかく町並みやら雪やらがどんどん飛び出してきて、それはもう「ヒャッホゥゥー!!!」ってなもんです。
また3D映画もIMAXも何度か見ていますが、3DでIMAXは初めてでした。良いですね。XpanD方式やRealD方式よりもIMAX 3Dの方が色調がよくでていてとても見やすいです。明るいですし、動きのあるシーンでも変な残像はありません。あとは値段がもう少し安くなってくれれば問題無いんですが、、、頑張ってください。普通の映画は前売り券で1,300円、レイトショーだったら1,200円なわけで、そこで2,200円はさすがにちょっとなぁ、、、せめて200円増しでお願いしたいです。
<まとめ>
監督ロバート・ゼメギスは「ポーラー・エクスプレス」と「ベオウルフ」で俳優を使ったレンダリングを研究・実践してきました。技術自体はスクウェアが「ファイナルファンタジーX」を制作するときに開発したフェイシャル・モーションキャプチャが元にはなっていますが、わずか八年でここまで人形ライクなレンダリングができるとは驚きです。スクルージなんてジムキャリーそのものでちょっと気味悪いレベルです。そのうちショーン・コネリーやらジョージ・レーゼンビーやらのレンダリングを集めて「歴代ボンド総出演」みたいなことが出来そうです(笑)。
と同時にキャラクターの衣装はジョン・リーチのオリジナル挿絵に非常に忠実です。これは実際の挿絵を見てみてください。(挿絵はコチラ)。
非常にすばらしいCG映画です。2Dで見るのはあまりオススメできません。ということで本作は3D版の、できればIMAXないし大きめのスクリーンで見るのがオススメです。

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