劇場版マクロスF 恋離飛翼~サヨナラノツバサ~

劇場版マクロスF 恋離飛翼~サヨナラノツバサ~

3月の1本目は先週末スルーした

劇場版マクロスF 恋離飛翼~サヨナラノツバサ~」です。

評価:(45/100点) – 絵は凄い。絵は。曲もまぁまぁ。でも話しが、、、。


【あらすじ】

バジュラのフロンティア船団侵攻を食い止めたS.M.S.とシェリル・ランカは一躍船団のスターとなっていた。そんなおりスパイ容疑でギャラクシー船団からの避難者達が続々と襲撃・逮捕されていく。逮捕されたシェリルを尻目に、フロンティア船団のミシマはギャラクシー船団の技術を盗みバジュラ達を操ろうとする。実現すれば宇宙最大の脅威になると考えたS.M.Sマクロス・クォーターのジェフリー艦長は反逆罪を覚悟でシェリルを脱獄させ、ミシマの野望阻止に動き出す、、、。


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【感想】

今日はレイトショーで「劇場版マクロスF 恋離飛翼~サヨナラノツバサ~」を見て来ました。21:30開始の結構遅い回だったのですが、観客は2~3割ぐらいの入りでした。この時間だと観客1ケタが当たり前なので、結構入っている方だと思います。一昨年公開された「劇場版マクロスF 虚空歌姫~イツワリノウタヒメ~」の後編です。
ここで読んでいただいている方に注意があります。本作は私もちょっと整理しながら書かないと分からないくらい話しが大混乱しています。ですので、100%ネタバレで書こうかと思います。総論としては、アニメーションの動きは凄いけどストーリーが無茶苦茶でかなり観客を選ぶ作品だと思います。具体的にはTVアニメを見てシェリルやランカといったキャラクターが好きなことを前提として、「彼女たちを見ていれば満足できる」という人のみがターゲットです。完全なキャラものです。TVシリーズ未見の方はまずTVシリーズと劇場版前編を見てから、それでも興味があれば行きましょう。

今回のストーリーの大混乱っぷり

今回のストーリーで一番厳しいのは、劇中の行動の動機・因果関係がグッチャグッチャだからです。しかもそのグチャグチャなストーリーの合間に「ミュージックPV」や「萌え要素」のような本筋と関係無いシーンが長く入るものですから、余計わけがわからなくなります。ですから、まずは時系列に沿って話しのプロットを整理しましょう。
・シェリルのV型感染症が末期であることが分かる。助かるには免疫を持ったランカを殺してシェリルに臓器移植する必要がある。
・フロンティア船団の前に巨大バジュラ艦が現れる。アルトとブレラの活躍で撃退するが、アルトが被弾し入院する。
・ギャラクシー船団幹部の野望が明らかになる。
 フォールド細菌を持つシェリルとランカの歌を通じてバジュラの意志ネットワークを解析、
 バジュラを操り世界征服を目論む
・ギャラクシーの幹部がフロンティアの公安に襲撃される。グレイスが重傷で拘束、シェリルが逮捕される。
・フロンティア幹部のミシマがギャラクシー幹部の世界征服案をそのまま流用しようとする。
・ミシマの野望を阻止するべく、S.M.Sマクロス・クォーターがシェリルの救出作戦を行う。
・ミシマがバジュラ・ネットワークの解析を終える。バジュラにインプラント弾を撃つことで操れるようになる。
・ミシマがバジュラを寝返らせつつ、バトル・フロンティアでバジュラの母星を目指し侵攻する。
・S.M.Sのマクロス・クォーターがバトル・フロンティアを追撃する。途中シェリルとオズマ隊長とはぐれる。
・バトル・フロンティアがブレラに襲撃され皆殺しにされる。
・ブレラはギャラクシー3幹部のインプラント体を起動しバトル・フロンティアを乗っ取る。
・バトル・フロンティアがバジュラ・クイーンと融合する。
・マクロス・クォーターのアルトがシェリル・オズマと合流。
・アルトが単機でバトル・フロンティアに突撃する。周囲のバジュラを押さえ込むためランカとシェリルがデュエット。
・S.M.S救援連合艦隊が到着。
・ランカの歌でブレラが正気に戻りインプラントを自らはずす。バトル・フロンティアに特攻し、3幹部を自爆破壊。
・バジュラ・クイーンとバトル・フロンティアの融合が外れる。
・救援連合艦隊の複数のマクロス級戦艦でバトル・フロンティアとバジュラ・クイーンを一斉射撃し破壊する。
・爆発に巻き込まれアルトが行方不明になる。
・ランカからの輸血で一命は取り留めたものの、重度の感染症からシェリルが昏睡する。
・バジュラ・クイーンの死によって無人になったバジュラ母星にフロンティア船団が入植する。
 はからずも第2の地球をゲット!
え~たぶんこの箇条書きだけ見ても訳が分からないと思いますが、大丈夫です。本編を見ても所々意味がわかりませんw
例えばシェリルを脱獄させる動機です。どう考えても「シェリルが好きだから」なんですが、劇中では「ミシマを止めるため」としか言いません。でもフォールド波はランカでも出せるんですから、対バジュラ兵器としてはこの時点でシェリルはもういらないんです。なぜこれが「ミシマを止める」ことに繋がるか分かりません。ちなみに救出作戦でのランカの歌声でミシマがバジュラ・ネットワークの解析を終えますから、むしろ「ミシマに勢いを与えて」います。
次いで一番引っ掛かるのはラスト付近のアルトの突撃です。「歌を届けるため」に突撃するということになっていますが、それって要はスピーカーを担いでいくイメージです。でもこの時点ではもうバジュラ・クイーンとバトル・フロンティアは融合しているので、その直前まであった「バジュラを救うためバトル・フロンティアを倒す」という構図はなくなっています。一応、マクロス・クォーターの唯一の大義名分は「バジュラにも意志がある=異星人だから、ミシマの異星人への侵攻は銀河連邦法違反である」という点です。ところが結局はマクロス・クォーターもバジュラを殺して母星を奪っていますw それって駄目なんじゃなかったの? しかも主人公・アルトがこの件に関してはまったく役にたっていませんw 勝手に突っ込んで勝手に爆発に巻き込まれただけです。

良かったところ

とまぁ話しに関してはつっこみ放題なほど酷いんですが、もちろん良かったところもありました。当然戦闘シーンとミュージックPVシーンです。戦闘シーンは相変わらず勢い重視で、各機体の位置関係はわかりません。ただ、ひたすら大音量でドガシャーンと動かすためテンションはかなり上がります。
「ミュージックPV」部分については、こちらも3DCG中心でかなり気合いの入ったものでした。こちらも相変わらず客観視点がありませんが、手持ちカメラっぽい動きをバーチャルに再現していて非常に面白かったです。こちらはハッキリ言って本編と一切関係がありませんから別に無くても良い部分ではあるんですが、やっぱりマクロスと言えば「アイドル」「飛行機」「三角関係」なのでここのクオリティは大事ですw

【まとめ】

上に書かなかった本作の特徴として、パロディが多いという事も言えます。ざっと思いつくだけでも、「エウレカセブン」のロボットが波乗りするシーン、「ガンダムW」の岩を盾にして大気圏突入するシーン、「F91」のセシリーっぽいシェリルの衣装。バジュラ母星での戦闘は「ダンバイン」の最終回です。バジュラ自体もダンバインっぽい造形です。
ということで、本作は完全にアニメオタク向けの作りですし、もっというとキャラクターもののアニメを好きな人向けです。話しの整合性よりは勢いや萌えがあればOKという割り切り方が出来ないと、結構つらいかもしれません。オススメはしません。本作のターゲットになるような方は勧めなくても見に行くでしょうし(苦笑)、見に行く気が無い人にオススメして無理に見せてもどうせ意味がわかりません。すごく閉鎖的で人を選ぶ作品です。前編が比較的わかりやすい整理をしていただけに、後編でなんでここまでグチャグチャになったのか結構不思議ですw

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