今週の金曜は
「きな子 ~見習い警察犬の物語~」を見てきました。
評価:
– 演出が無理。【あらすじ】
杏子は父親に憧れ警察犬訓練士を志すようになる。素質がなく警察犬失格と目されたラブラトールレトリバーの「きな子」と共に、彼女は訓練士を目指し練習していく。
【三幕構成】
第1幕 -> 杏子がきな子と出会う。
※第1ターニングポイント -> きな子が杏子の担当犬になる。
第2幕 -> 警察犬試験ときな子の人気化。
※第2ターニングポイント -> 新奈ときな子が外出する。
第3幕 -> 新奈の遭難。
【感想】
今週の金曜日は「きな子 ~見習い警察犬の物語~」を見てきました。さすがに公開から二週間経っていてしかもレイトショーでしたので、完全貸し切り状態でした。久々に声出してつっこみながらの楽しい映画体験でしたw
本作は松竹で恒例となりました動物映画です。ですので犬さえ可愛ければ万事OKです。そういう意味では、この犬は間違いなく可愛いのでまったく問題ありません。大丈夫です! 犬好きにはオススメです!!! ということで本日はこれまで。
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で終わらせたいんですが、そうもいかないのでざっくり行きましょうw
とにかく何がヤバいって演出全般と脚本全般がヤバいです。つまり全部なわけですが(笑)、、、とっても説明的でとってもギコチナイです。一番ひっかかったのは劇中で二回出てくる置き手紙のシーンです。わざわざ文面がスクリーン一杯にでるのに、一拍おいて声が聞こえてくるんですw さすがに二回目には吹き出しましたw
こういった演出って素人がやりがちなんですが、さすがに40歳越えてコレはまずいです。小林監督は映画3本目ですがドラマは結構やられているようなのでちょっと誰か言ってあげた方が良いと思います。
ストーリー的な部分で言いますと、まずそもそものゴール設定の問題があります。本作は誰がどう見ても杏子の成長物語のはずです。すなわち、見習いに入った血統付(=才能が有るはず)の杏子が、きな子という非エリートの犬を通じて成長し、才能を開花させる話です。であればこそ、ゴールはきな子が警察犬になる(=杏子が一人前の警察犬を育てる)か、杏子が独立する部分までいかないといけないわけです。ところが本作は、「僕たちの旅はこれからだ」エンディングです。打ち切り漫画じゃないんだから、、、。
しかも途中では「きな子は厳しい練習をするよりアイドル犬として愛された方が幸せなんだ」という一時的な結論が出てくるんです。これに対する回答ってありましたっけ? 完全に言いっぱなしです。そして現実のきな子はまさにアイドル犬としての道を辿ったわけで、、、それを警察犬として訓練を続ける方向にもっていくのであればそれなりの回収が必要です。
また、ラストに出てくる笑劇の展開も凄いものがあります。子供が雨の中で遭難してるんですよ。食べ物もなくずぶ濡れで一晩明かしてるんですよ。それを見つけただけで喜んで一緒に寝るって、、それって助けに行った君らも一緒に遭難してるんじゃ、、、。助けなさいよ。
なんか雰囲気でどんどん話が流れていってなんとなく良い感じっぽくなるんですが、全然成長していないのがなんとも言えません。
【まとめ】
田代先輩って何のために居たんだろうとか思うことは一杯あるんですが、それがどうでもいいくらい犬が可愛いのでもうこの際OKです。っていうか本作を見ると、人間の傲慢さと犬のピュアさが浮き彫りになるようでいたたまれない気持ちになります。結局一番の被害者は、アホな杏子に教えられ、テレビ局に目を付けられ、そして大好きな杏子が勝手にいなくなっちゃって寂しい思いをするという犬です。きな子が可哀想過ぎる。
犬好きにはオススメと冒頭で書きましたが、犬が本当に大好きで感情移入しちゃうような人にはおススメめ出来ません。良くも悪くも、広告代理店的な発想の「犬を愛でる映画」でした。