海の金魚

海の金魚

昨日は「海の金魚」を観ました。

評価:(55/100点) – 青春ドラマの佳作。内容詰めすぎ。


【あらすじ】

天才ヨット少女のキヨミは、事故でパートナーを亡くしてしまい傷心のもと鹿児島に帰ってきた。無気力に過ごすキヨミだったがある日海辺のヨットで暮らすミオと出会い、徐々に心を開いていく。そんな中で、ミオは亡き父の遺した宝の地図を頼りに、キヨミにヨット操縦を依頼する。こうしてキヨミとミオの冒険が始まった、、、。

【四幕構成】

第1幕 -> キヨミの転校とミオとの出会い
 ※第1ターニングポイント -> ミオが宝探しと火山めぐりヨットレースにキヨミを誘う。
第2幕 -> 宝探し。
 ※第2ターニングポイント -> キヨミが父の遺品を発見する。
第3幕 -> ヨットレースに向けての準備・練習
 ※第三ターニングポイント -> 火山めぐりヨットレースの開幕
第四幕 -> ヨットレースと結末。


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【感想】

昨日見てきましたのは「海の金魚」です。鹿児島で行われる火山めぐりヨットレースを舞台に、二人の女子高校生の再起を描きます。私は結構楽しんで見ていたのですが、全体的にエピソードを詰め込みすぎで映画としては結構ブサイクな出来になっています。
本作には大きく二つの主題があります。一つはメインとなるキヨミの復活物語です。事故で親友を亡くしてヨットを離れた少女が、それでもヨットに惹かれて再起を果たす様子が描かれます。こちらのパートは非常にベタベタな展開でして、お約束となるトラウマ再現とその克服話があったり、敵対するイケメンが登場したりします。特に書くことも無いほど類型的です。
二つめはミオが父の死を乗り越えて生きる希望を取り戻す話です。こちらのパートはあまりにもトンデモな内容過ぎて、正直な所、劇中の真面目なトーンで見ることは難しいです。ミオは高校生で学校をサボって水族館のバイトをしてるんですが、それでヨットが維持できるとは到底思えません。なにより両親の居ない女子高生が、一人で鍵も掛からない不法係留したヨットの上で住んでること自体が不自然過ぎます。途中で鹿児島県の職員が不法係留の警告に来る場面があるんですが、ミオを養護施設にでも保護するのが先だと思うんですが、、、。当然キヨミの家でミオを引き取るのかと思ったんですがそんな様子もなく、結局この人はなんだったのか最後までさっぱり分かりません。さらに父が失踪する際のエピソードにしても非現実的ですし、ミオの背景をきちんと描かないとまったく感情移入できません。
本作で全体的に情緒に寄り過ぎな演出なのにそれでも淡泊に感じる一つの原因は、このキヨミとミオのエピソードのボリュームです。本作は全体が通常の三幕構成ではなく四幕構成になっています。それは「ミオの宝探し」と「キヨミの復活としてのヨットレース準備」が同じボリュームで詰め込まれるからです。ダブルヒロインと言うと聞こえは良いですが、単体でも十分に一本の映画が撮れるエピソードを二つも詰めた結果、両方が中途半端に駆け足になってしまいました。
作品の流れからすればあくまでもキヨミがメインで、ミオは「キヨミと似たもの同士」という位置のキャラクターです。ところがどうしても入来茉里さんの方が田中あさみさんよりも存在感があるために、ミオがキヨミを”食っちゃう”んです。特に練習風景でヨットに熱中しすぎて周りに当たるキヨミの描写の後では、完全にミオの方が魅力的に見えてしまいます。
さらに面倒なのが、本作のラストがミオの一人語りで終わる点です。ここが最も混乱する所です。ミオが父との思い出&遺言としての短編小説で映画を締めてしまうと、どうしても構造上ミオの話がメインに見えてしまうんです。でも実際はキヨミの復活劇がメインなわけです。
おそらく入来さんと田中さんの両者があっての映画企画なのでしょうが、2時間映画としてはどちらか一方のエピソードに絞って丁寧に描いた方が面白くなったのではないでしょうか?。
またこれは余談ですが、ある意味では裏テーマである「鹿児島の町おこしとしてのヨットレース」の描き方が雑なのはちょっと問題です。鹿児島市が公式に後援しているのですから、もっと盛り上がってる感じを見せてもらえないと観光としては逆効果になってしまいます。レースの終盤でも、ゴールデンフィッシュ号は馬鹿の一つ覚えのようにひたすらタックのみで攻めていきます。
はっきりいって相当ショボく見えましたから、この映画を見てヨットに興味を持つのはちょっと厳しいように思えます。

【まとめ】

青春映画としてはそこそこ楽しめる方だと思います。何せ入来さんが溌剌としていて可愛いですし、男性陣も魅力的な俳優がそろっています。中でも柄本時生さんのヤンキー漁師役は完璧です。見ておいて損はないですが、どうしても同じ「絶望からの復活物語」ですと「半分の月がのぼる空」の方が2・3枚は上です。
インディ映画ですので、あまり気張らずにフラっと劇場に入って見る分には文句なしの佳作だと思います。

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